JP3202300B2 - 回転式流体コンプレッサ - Google Patents
回転式流体コンプレッサInfo
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Description
に係り、特にベーン及びこれと摺動する相手材の材質構
造を改良した回転式流体コンプレッサに関する。
プレッサとしては、例えば、揺動ロータ型のコンプレッ
サが知られている。
ハウジングに形成されたベーン溝内にはベーンが進退自
在に挿入されており、該ベーンは、ロータの偏芯回転に
応じて上記ロータハウジング内から進退するようになっ
ている。
ータの回転方向に傾斜して摺動するため、該ロータと上
記ベーンの先端部とが接触して摩耗する。従って、回転
式流体コンプレッサのベーンには、耐摩耗性に著しく優
れた材質が採用されることが必要であった。
ロム軸受鋼の如き鋼を用いることが知られているが、こ
れは懸案の耐摩耗性において問題の残るものであった。
即ち、上記鋼製のベーンにあっては高硬度のCr炭化物
の析出量が少ないために耐摩耗性が劣り、高負荷時や連
続使用時において相手材としてのローラやベーン溝部分
に比して、ベーン自体の摩耗が多かった。
号公報において、C、Cr、Mo、Vの含有量を所定量
にした鋼材の表面に軟窒化処理を施してベーンを形成
し、且つ、該ベーンと摺動する相手材の黒鉛形状等を特
定して構成した回転式流体コンプレッサを提案した。
式流体コンプレッサにあっては、耐摩耗性を有するベー
ンを形成するために、塩浴軟窒化処理やガス窒化処理を
採用して、ベーンの形状を呈する鋼材の表面に窒化層を
生成させていたが、これらの軟窒化処理にあっては、耐
摩耗性に重要な化合物層(Fe4 N)が生成され難かっ
たり、その層厚のコントロールが困難であるという課題
があった。
ンにあっては、寸法変化量及び寸法バラツキも大きく、
窒化処理後に仕上加工を必要としており、さらに、上記
ベーンは対ローラ、対ベーン溝の摩耗上の相性において
必ずしも理想的ではない。
で、ベーン表面に化合物層(Fe4 N)が生成され易
く、その層厚のコントロールが容易で耐摩耗性に富み、
且つ、寸法変化量及び寸法バラツキの少ない安定した品
質のベーンを備え、対ローラ、対ベーン溝の摩耗上の相
性において理想的な回転式流体コンプレッサを提供する
ことを目的とする。
る回転式流体コンプレッサによれば、ベーン溝中に嵌装
され、このベーン溝内をベーンが摺動する回転式流体コ
ンプレッサにおいて、上記ベーンが重量%で、C(炭
素):0.50〜1.50%と、Cr(クロム):2.00〜6.00
%、Mo(モリブデン):3.00〜7.00%、W(タングス
テン):4.00〜8.00%及びV(バナジウム):1.00〜5.
00%のうち一成分以上と、残部Fe(鉄)とを含有する
焼入れを施した鋼材から成り、その表面にイオン窒化処
理が施されており、また該ベーンと摺動する相手材を炭
化物が0.10〜6.00%で、その黒鉛形状がASTM規格の
A、B、D、Eのいずれかのタイプであり、組織が焼戻
しマルテンサイトを有し、且つ硬さがHRC40〜60の鋳
鉄となしたことにより、達成される。
C、Cr、Mo、W、Vの含有量を所定量にしたので、
Cr、Mo、W、Vを含む高硬度の炭化物の析出量が適
切な量になる。そして、その鋼材の表面にイオン窒化処
理を施したので、ベーン表面に化合物層(Fe4 N)が
生成され易く、その層厚のコントロールが容易になり、
その結果、耐摩耗性が向上する。
イオン化された窒素ガスによる窒化処理であるため、化
合物層厚さや拡散層厚さを、温度、時間及びH2 :N2
のガス比をコントロールすることにより、自由に析出調
整することが可能であり、且つ、寸法変化量及び寸法バ
ラツキの少ない安定した品質のベーンを得ることができ
る。
鉛形状や組織等を特定したので、対ローラ、対ベーン溝
の摩耗上の相性において理想的なものを実現することが
できる。
の一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。
転式流体コンプレッサ1のケース2内にはロータハウジ
ング3が収納されており、このロータハウジング3に形
成されたベーン溝4内にはベーン5がケース2の半径方
向に進退自在に挿入されている。
50%と、Cr:2.00〜6.00%、Mo:3.00〜7.00%、
W:4.00〜8.00%及びV:1.00〜5.00のうち一成分以上
と、残部Feとを含む焼入れを施した鋼材から成ってい
る。
形成するとともに基地に固溶してマルテンサイトを生成
する。0.5 %以下では効果が充分でなく、1.5 %以上だ
と材料の靭性を損ねる。
き耐摩耗性に寄与する炭化物を作り、他は基地に固溶し
焼入性を向上させるとともに、焼戻し時の軟化抵抗も増
すことにより基地の硬さと靭性を合わせ有することがで
きる。2%以下では、充分な効果が見られず、又6%以
上では、加工性が悪くなり実用的ではない。
は炭化物中に入り、他は基地の焼入性を高めるとともに
焼戻し時の軟化抵抗も増す。この効果は1%以下でも認
められるが、本件は特に靭性の向上も狙うため、3%以
上とし、7%以上入れても見合った効果はないため7%
以下とした。
炭化物生成と基地硬さ向上に寄与する。この効果は1%
以下でも認められるが、Moと同様靭性向上のため、4
%〜8%の範囲とした。
耗性に寄与する。より高い耐摩耗性のため1%以上とし
た。あまり多くてもかえって焼入性を損ねるため5%以
下とした。
状の鋼材の表面には、イオン窒化処理が施されている。
ここで、イオン窒化処理とは、低圧H2 、N2 のガス雰
囲気中で炉壁を陽極、ベーン5を陰極とし、 300〜1200
Vの電圧を加えてグロー放電させるものであり、イオン
化したNは加速されて陰極に衝突し、上記ベーン5が加
熱されると共にNが浸入して該ベーン5の表面に窒化層
が形成されるものである。このイオン窒化処理は400〜
500℃の低温処理が可能であり、迅速な窒化処理であ
る。
理は次のようにして行う。図2に示されているように、
複数枚のベーン5をその厚さ方向に重合させ、これらを
ワーククランプ9で束ねる。このワーククランプ9は、
二枚の締め板10a,10bと、この締め板10a,1
0bに掛け渡して挿通された二組のクランプ用ボルト・
ナット11a,11bとからなっている。そして、この
ようにワーククランプ9で束ねた複数枚のベーン5を炉
内に入れ、イオン窒化処理を施す。
ン5の先端部5a、上下面5b,5c、及び後述する圧
縮コイルスプリング8(図1)による付勢面5dにのみ
イオン窒化処理が施工されることになる。尚、上記ベー
ン5の付勢面5dは摩耗しないため必ずしもイオン窒化
処理を施す必要はないが、この実施例のように処理され
ていても構わない。また、ベーン5の平行な両側面5e
は摩耗量が少ないため、本実施例ではイオン窒化処理は
施されないが、他の施工方法により該両側面5eにイオ
ン窒化処理を施工してもよい。
流体コンプレッサ1のロータ6は、上記ロータハウジン
グ3内に設けられたクランク軸7に回転自在に嵌装され
ている。上記ベーン5は、上記ベーン溝4内に設けられ
た圧縮コイルスプリング8により半径方向内方に付勢さ
れ、上記ロータ6の偏芯回転に応じて上記ロータハウジ
ング3内から進退するようになっている。
ーン溝4やロータ6は、鋳鉄にて形成されており、炭化
物量が0.10〜6.00重量%で、その黒鉛形状がASTM規
格のA、B、D、Eのいずれかのタイプであり、各タイ
プの組織が焼戻しマルテンサイトを有し、且つ硬さがH
RC40〜60である。さらに具体的には、例えばNi−C
r−Moを含有する鋳鉄の焼入、焼戻し後の組織は黒鉛
形状がASTM規格のAまたはBタイプであり、炭化物
量が2〜6重量%、硬さがHRC48〜55である。
上述したように、上記ベーン5はベーン溝4内で上記ロ
ータ6の回転方向に傾斜して摺動するため、図4に示さ
れているように、該ロータ6と上記ベーン5の先端部5
aとが接触し、また上記ベーン溝4の入口部4aとベー
ン5の両側面部5eとが接触し、さらにベーン溝4の上
下部とベーン5の上下面5b,5cとが接触し合うこと
になる。
プレッサにあっては、ベーン5を形成する鋼材のC、C
r、Mo、W、Vの含有量を所定量にしたので、Cr、
Mo、W、Vを含む高硬度の炭化物の析出量が適切な量
になり、且つ、その鋼材の表面にイオン窒化処理を施し
たので、ベーン5の表面に化合物層(Fe4 N)が生成
され易く、その層厚のコントロールが容易になる。その
結果、上記ベーン5の耐摩耗性が向上し、ベーン5の先
端部5aがロータ6と接触しても摩耗し難くなる。特
に、上記ベーン5の上下面部5b,5cとベーン溝4の
上下部とには、これらの接触によるすべり摩耗だけでな
く、上記ベーン溝4内に溜まった摩耗粉や異物粒子によ
るかじり摩耗が発生するが、表面処理された上下面部5
b,5cは摩耗し難くなる。
スによってベーン5の窒化処理を行っているので、化合
物層厚さや拡散層厚さを、温度、時間及びH2 :N2 の
ガス比をコントロールすることにより、自由に析出調整
することが可能であり、且つ、寸法変化量及び寸法バラ
ツキの少ない安定した品質のベーン5を得ることができ
る。このようにイオン窒化処理を施したベーン5の寸法
変化量及び寸法バラツキが少ないのは、他の塩浴窒化処
理等に比べて窒化層が緻密に形成されるためと考えられ
る。
積により1バッチの処理能力が決定される。即ち、処理
面積が大きい程大出力の処理炉を必要とし、同一出力炉
であれば、処理面積が大きい程1バッチの処理枚数は減
少する。
クランプ9(図2)によって、各ベーン5の比較的耐摩
耗性を要しない両側面5eを重ねて束ねてイオン窒化処
理するようにしたので、この両側面5eの部分の面積を
積算する必要がなく、ベーン5の処理可能量は大巾に増
加し、処理コストの低減化を図ることができる。
動する相手材としてのベーン溝4やロータ6の黒鉛形状
や組織等を特定したので、対ローラ6、対ベーン溝4の
摩耗上の相性において理想的なものである。
よれば、ベーン表面に化合物層(Fe 4 N)が生成され
易く、その層厚のコントロールが容易で耐摩耗性に富
み、且つ、寸法変化量及び寸法バラツキの少ない安定し
た品質のベーンとし、対ローラ、対ベーン溝の摩耗上の
相性において理想的である、という優れた効果を発揮す
ることができる。
例を示す要部断面図である。
るベーンのイオン窒化処理状況を示す斜視図である。
るベーンのイオン窒化処理面を示す斜視図である。
Claims (1)
- 【請求項1】 ベーン溝中に嵌装され、該ベーン溝内を
ベーンが摺動する回転式流体コンプレッサにおいて、 上記ベーンが重量%で、C:0.50〜1.50%と、Cr:2.
00〜6.00%、Mo:3.00〜7.00%、W:4.00〜8.00%及
びV:1.00〜5.00のうち一成分以上と、残部Feとを含
有する焼入れを施した鋼材から成り、その表面にイオン
窒化処理が施されており、また該ベーンと摺動する相手
材を炭化物が0.10〜6.00重量%で、その黒鉛形状がAS
TM規格のA、B、D、Eのいずれかのタイプであり、
組織が焼戻しマルテンサイトを有し、且つ硬さがHRC
40〜60の鋳鉄となしたことを特徴とする回転式流体コン
プレッサ。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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JP3-63184 | 1991-03-27 | ||
JP02676492A JP3202300B2 (ja) | 1991-03-27 | 1992-02-13 | 回転式流体コンプレッサ |
Publications (2)
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JPH0586442A JPH0586442A (ja) | 1993-04-06 |
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Family Applications (1)
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JPH01201459A (ja) * | 1988-02-08 | 1989-08-14 | Daido Steel Co Ltd | 高靭性耐摩耗部品 |
-
1992
- 1992-02-13 JP JP02676492A patent/JP3202300B2/ja not_active Expired - Fee Related
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