JP4912385B2 - 転動部材の製造方法 - Google Patents
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Description
HRC=36×√C(重量%)+20.9
で記述され、この硬さを基準にして各種合金元素の300℃焼戻しマルテンサイト相の硬さに対する影響を調査した結果、300℃焼戻しマルテンサイト相の硬さが
HRC=(36×√C(重量%)+20.9)+4.33×Si(重量%)+7.3×Al(重量%)+3.1×V(重量%)+1.5×Mo(重量%)+1.2×Cr(重量%)×(0.45÷C(重量%))
で記載できることを明らかにした。
図2中のA点(0.8重量%C,0.4重量%Cr)で示す鋼を(セメンタイト+フェライト)共存領域の700℃で十分加熱するとB点(セメンタイト、2.6重量%Cr)とC点(フェライト、0.09重量%Cr)の組成になり、この状態で例えば高周波加熱によってオーステナイト状態になる1000℃に急速加熱すると、B点,C点はA点に向かって均質化していくことになるが、前述のように、B点のセメンタイト中の合金元素がオーステナイト中をほとんど拡散しない間に炭素がフェライト組成を持っていたオーステナイト(C点)にD点を経由しながら矢印(↑↓)で示すように急速に拡散し、セメンタイトを固溶した後、A点を通る炭素の等活量線(等炭素活量線)で平衡化し、その後の加熱によってCr元素がA点に向かって均質化することで、より迅速なセメンタイトの固溶を達成することができ、マルテンサイト母相の炭素濃度もほぼA点と同じ炭素濃度となって、より高硬度なマルテンサイトが得られることがわかる。
図2中のE点(0.8重量%C,1重量%Cr)で示す鋼をフェライトとセメンタイト共存領域の700℃で十分加熱するとG点(フェライト、0.24重量%Cr)とF点(セメンタイト、6.61重量%Cr)の組成になり、この状態で例えば高周波加熱によってオーステナイト状態になる1000℃に急速加熱すると、前述の例のごとく、F点はH点に向かって固溶していくことになるが、H点(セメンタイトが固溶する場合のセメンタイトと等炭素活量の関係にあるオーステナイト界面)での炭素活量が元のE点の炭素活量よりも低くなるために、まずH点までセメンタイトが炭素の拡散律速機構ですばやく固溶した後、さらに長時間の加熱を続けることによってセメンタイトと平衡するγ相組成(H点)がセメンタイトの固溶度線に沿ってE点と等炭素活量の関係にあるセメンタイトの固溶度線上のI点にCrの拡散を伴いながらセメンタイトを固溶し、オーステナイト(γ)組成がI点に到達した時点でセメンタイトが完全に固溶することがわかる。したがって、短時間の加熱、焼入れ後のマルテンサイト母相中の炭素濃度は、H点を通る等炭素活量線上のG点とほぼ同じCr濃度(0.24重量%)での炭素濃度約0.6重量%となり、非常に硬質なマルテンサイト中に約3体積%のセメンタイトが未固溶状態で分散することがわかる。
前記(2)の場合におけるH点は、セメンタイトと異なるCr7C3炭化物とオーステナイト(γ相)が平衡し、非平衡なセメンタイトとオーステナイト(γ相)の二相平衡がセメンタイトの固溶過程において成り立つと仮定しているが、このセメンタイトの固溶過程において、Cr7C3炭化物の固溶度線上のJ点を通る等炭素活量線(約0.2)までは、炭素拡散律速でセメンタイトが固溶するが、それ以後のセメンタイトの固溶は、セメンタイト消失前にCr7C3炭化物が形成される必要性のないように、オーステナイト(γ相)界面組成は、少なくともCr7C3炭化物が析出しなくても良い(オーステナイト(γ相)+セメンタイト+Cr7C3)三相共存領域のK点に到達する拘束条件が加わるためにセメンタイトの固溶がより遅延されることがわかる。この場合の前記高周波加熱・焼入れによって得られるマルテンサイト母相中の炭素濃度は約0.45重量%となり、硬質な(HRC57〜61)マルテンサイト母相中に約5体積%のセメンタイトが未固溶状態で分散することがわかる。
αKCr=28、αKMn=10.5、αKv=9.0、αKMo=7.5、αKW=2.0、αKNi=0.34、αKSi,Al≒0であることが知られており、Crが各種合金中で最もセメンタイトへ濃縮することがわかる。
5≦4.3×Si(重量%)+7.3×Al(重量%)+3.1×V(重量%)+1.5×Mo(重量%)+1.2×Cr(重量%)×(0.45÷C(重量%))
の関係を満足するように調整されてなる鋼材を用いることがより好ましいこととした。
前記合金元素は鋼中の炭素、窒素と反応してMC型炭化物、窒化物およびM(CN)型炭窒化物を形成し、また、鋼中に対する固溶度が極めて小さいことから、製鋼段階で容易に鋼中に微細に分散析出するが、これらの物質は、鋼の焼入れ硬化層に較べても極めて硬質(ビッカース硬さで1500以上)で優れた熱的、化学的に安定性を持ち、例えば超硬、サーメットのように極めて高温度にさらされる工具においても優れた耐摩耗性と耐焼付き性を示していることから明らかなように、これらの微量の分散によって摺動時の耐焼付き性を改善するが、多量に分散した場合においては、摺動時の摩擦係数が大きくなり、耐焼付き性の劣化と相手材料に対するアタック性が顕著になる問題がある。したがって、本発明においては0.4〜4体積%の範囲に分散量を限定して、耐焼付き性の改善を適正化した。
Siは350℃以下の低温焼戻し温度域での焼戻し軟化抵抗性を顕著に高める元素であり、その焼戻し軟化抵抗性を高める機構としては低温度で析出するε炭化物をより安定化し、セメンタイトの析出をより高温度側に引き上げることによって軟化を防止することが示されている。
Alは強力な脱酸作用を示すことおよび、鋼中に含有される不純物元素であるP,Sを結晶粒界から排斥する作用が強力であることから鋼材の清浄度化に有効であること、さらに、本発明では、AlがSiよりも低温焼戻し軟化抵抗性を高める元素であることを確認し(ΔHRC=7.3)、Alを単独に添加する場合の添加量を0.25〜1.5重量%とし、Siの一部を0.15〜1.5重量%のAlで置き換えて利用する場合には(Si+Al):0.5〜3.0重量%とすることを特徴としたが、前述のようにAlはSiよりもさらに強力なフェライト安定化元素であり、Ac3温度をSiに比べて約1.6倍より高める作用を有するので、その最大の添加量を1.5重量%以下とした(2.5重量%/1.6)。また、浸炭、浸炭浸窒処理後に油焼入れもしくは高周波焼入れする場合においては、その鋼材の炭素量を0.2〜0.8重量%にする必要があることから、焼入れ温度がむやみに高くなり過ぎないようにその上限値を1重量%に抑えることが好ましいことは明らかである。
前記添加量のAlとNi:0.3〜2.5重量%を共存させることにより、顕著な強靭性作用が発現することをすでに特願2002−240967号で報告しており、とりわけ、0.6重量%および1.2重量%炭素を含有する高硬度マルテンサイト組織が優れたシャルピー衝撃特性を示すことは、歯車の耐衝撃荷重を画期的に改善できることは歯車材料として有効であることは明らかである。本発明ではNi添加が鋼材をより高価なものとするために、1.5重量%以下とした。また、Niはオーステナイトを安定化する元素であり、その添加はSi,Alと共存する場合において焼入れ温度を低減することから、浸炭、浸炭浸窒焼入れ処理を施して転動面層を硬化する転動部材ではMn添加量と合わせて利用することが好ましく、その目安は、例えば最大3重量%Siを添加する場合において(Mn+Ni):2.5重量%であることが好ましい。
Crは焼入れ性を顕著に高める元素であるが、高周波焼入れ法を利用して歯車歯面部を焼入れ硬化する場合には、高周波加熱によってAc3変態温度以上に加熱された表面層部のみが急速に冷却されれば良いので、歯車材としての焼入れ性(DI値)は、通常の炭素鋼レベルの焼入れ性DI値:2.0inch以上を越える必要性が無いために、前述のようにセメンタイトを分散させない歯車材料としては、その焼割れ性を軽減するために、Crは0.5重量%以下に調整されることが多いが、前述のように高周波焼入れ法によってセメンタイトを分散させる場合においては、セメンタイトを微細化するために0.3〜1.5重量%Crを添加することが好ましい。また、この場合においてはセメンタイトの球状化処理によって、Crをセメンタイト中に十分に濃縮させておき、高周波加熱時に発生するオーステナイト中への合金元素の固溶を抑えて、実質的なオーステナイト相の焼入れ性を抑えることによって焼割れ性を抑制することが好ましいが、焼入れ性にほとんど影響を与えないVによってセメンタイトの分散を図り、Cr添加量を0.5重量%以下に留めることも好ましいことは明らかである。また、前述の浸炭、浸炭浸窒後に油焼入れする転動部材においては、焼入れ性を確保する観点からCrは1.5重量%以下であることが好ましい。
Mnは、顕著な脱硫作用を示すだけでなく、前述のようにオーステナイトを安定化させる元素であるが、さらに、鋼の焼入れ性を向上させる有効な元素であるために、目的に応じて適量添加されるが、前記マルテンサイト母相中の固溶炭素量を0.3〜0.8重量%含有する転動部材では、オーステナイトが炭素によって十分に安定化されることを考慮すると、そのMn下限量は0.2重量%であり、また、浸炭、浸炭浸窒処理を施して転動面層を高周波焼入れする転動部材ではオーステナイトを十分に安定化する炭素量が少ないために、例えばフェライトを安定化させるSiを最大3重量%添加する場合において、安価なMnを最大2重量%程度まで添加すること、もしくはNi添加量と合わせて(Mn+Ni):2.5重量%とすることが好ましい。
Moは鋼の焼入れ性を向上させる有効な元素であるとともに、焼戻し脆性を抑える元素であることから、本発明では通常肌焼きSCM鋼と同レベルの0.35重量%以下の範囲で添加されることが好ましいものとしたが、前述の高周波焼入れ法が適用される転動部材においては、0.3重量%以上の添加によって高周波加熱時のオーステナイトへのセメンタイトの固溶を遅延するが、その役割と経済的な観点を考慮して不可欠な添加元素でないことは明らかであり、Wについてもほぼ同様である。
0.5〜1.5重量%の炭素および0.3〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが7.5〜20体積%分散されている鋼材を用いて、誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.3〜0.8重量%に調整され、その母相中に前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とするものである。
0.5〜1.5重量%の炭素および0.3〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが7.5〜20体積%分散されている鋼材を用いて、A1温度から900〜1050℃の焼入れ温度までを10秒以内で急速加熱した後に急冷する誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.35〜0.8重量%に調整され、その母相中に平均粒径が1.5μm以下の粒子状セメンタイトを2〜15体積%分散させ、さらに、残留オーステナイトを10〜50体積%残留させた前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とするものである。
0.2〜0.8重量%の炭素および0.5〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%が分散する鋼材を用いて、その転動面層に浸炭、浸炭浸窒もしくは浸窒処理を施して、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2μm以下の窒化物および/または炭窒化物が新たに析出分散され、その転動面の炭素量が0.65〜1.5重量%および/または窒素量が0.1〜0.7重量%に調整されるとともにセメンタイトが7.5〜20体積%分散されて、さらにその転動面層を誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.35〜0.8重量%に調整され、その母相中に前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とするものである。
本実施例では、歯車での歯面における滑りを伴う転動疲労強度を調べるために、図4に示される試験片を用いてローラピッチング試験を実施し、各種の焼入れ焼戻し炭素鋼および浸炭焼入れ肌焼き鋼のピッチング強度を調べた。表1は本実施例に用いた各種炭素鋼、肌焼き鋼の化学成分を示したものであり、各種鋼材は図4(a)の小ローラ形状に加工した後、No.1、2、4は820℃で30分加熱後に水焼入れし160℃で3時間焼戻して、試験に供した。また、No.3は素材調質処理後に転動面を40kHz高周波電源を用いて焼入れ硬化し、前述と同様の焼戻し処理を施した。さらに、No.5は930℃で5時間の浸炭処理(炭素ポテンシャル0.8)した後850℃に冷却し、850℃で30分保持した後に60℃の焼入れ油に焼入れた後、前述と同様の焼戻し処理を施した。
表2は本実施例で使用した合金組成を示したものである。熱処理は810〜870℃で30分加熱後に水冷し、300℃、350℃で3時間焼戻しした試験片のロックウェル硬さHRCを調査し、さらに、これらの硬さに対する各合金元素添加量の影響を解析した。
250℃では HRC=34×√C(重量%)+26.5
300℃では HRC=36×√C(重量%)+20.9
350℃では HRC=38×√C(重量%)+15.3
で近似されることがわかった。
ΔHRC=4.3×Si(重量%)+7.3×Al(重量%)+1.2×Cr(重量%)×(0.45÷C(重量%))+1.5×Mo(重量%)+3.1×V(重量%)
表3は本実施例で使用する鋼材の合金成分を示したものである。No.P1〜No.P3は850〜920℃から焼入れた後に160℃で3時間の焼戻し処理を施し、No.P4〜No.P9は実施例1と同じ高周波加熱条件で高周波焼入れしたものをローラピッチング試験に供したものである。
表4は本実施例で使用する鋼材の合金成分を示したものである。No.G1〜No.G5は図9で示されるように、950℃で炭素ポテンシャル(CP)1.2重量%Cでの2hr浸炭期、CP=0.8での4hr拡散期からなる浸炭処理を施した後に850℃に降温し、60℃の焼入れ油に焼入れ、さらに、180℃で3hrの焼戻し処理を施した(浸炭焼入れ焼戻し処理)。さらに、図9中の850℃の恒温期を2hrとして、その恒温期にアンモニアガスを添加し浸窒処理を施した浸炭浸窒焼入れ焼戻し処理を施したものも準備し、先の実施例と同じ条件でローラピッチング試験を実施した。
本実施例は実施例3、4と同じ鋼材を用いて、図13に示されるような定速摩擦摩耗摺動試験片を用いて80℃のエンジンオイル#30で潤滑しながら、周速度が10m/sec、また、相手材料にSCM420に浸炭焼入れ焼戻しの処理を施して、表面硬さがHRC60になるように調整したものを使い、同じ押し付け圧を5分間保持し、押し付け圧力を25kgf/cm2毎に増加させて急激に摩擦係数が増大する時点(焼き付き状態)の押し付け圧力(kgf/cm2)を測定した。
本実施例では、前記マルテンサイト母相中にセメンタイトが高密度に分散され、滑りを伴う転動部材の耐摩耗性が顕著に改善されることを検証するために、表1に示した鋼材を用いて、高周波焼入れ前組織を調整しながら、各種条件で高周波焼入れを実施し、その焼入れ組織観察を行うとともに耐摩耗性を調査した。
Claims (4)
- 0.5〜1.5重量%の炭素および0.3〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが7.5〜20体積%分散されている鋼材を用いて、誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.3〜0.8重量%に調整され、その母相中に前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とする転動部材の製造方法。
- 0.5〜1.5重量%の炭素および0.3〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが7.5〜20体積%分散されている鋼材を用いて、A1温度から900〜1050℃の焼入れ温度までを10秒以内で急速加熱した後に急冷する誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.35〜0.8重量%に調整され、その母相中に平均粒径が1.5μm以下の粒子状セメンタイトを2〜15体積%分散させ、さらに、残留オーステナイトを10〜50体積%残留させた前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とする転動部材の製造方法。
- 0.2〜0.8重量%の炭素および0.5〜1.5重量%のCrと、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素を0.2〜2.0重量%含有し、さらに、Si:0.5〜3.0重量%もしくはAl:0.2〜1.5重量%のいずれか一方または(Si+Al):0.5〜3.0重量%と、Mn:0.2〜2重量%と、P,S,N,Oの不可避不純物元素を含有し、残部がFeからなり、前記Cr,V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfの一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2〜5μmの炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%が分散する鋼材を用いて、その転動面層に浸炭、浸炭浸窒もしくは浸窒処理を施して、V,Ti,Zr,Nb,Ta,Hfからなるグループから選ばれる一種以上の合金元素からなる平均粒径が0.2μm以下の窒化物および/または炭窒化物が新たに析出分散され、その転動面の炭素量が0.65〜1.5重量%および/または窒素量が0.1〜0.7重量%に調整されるとともにセメンタイトが7.5〜20体積%分散されて、さらにその転動面層を誘導加熱焼入れ、低温焼戻しされた転動面層のマルテンサイト組織母相の固溶炭素濃度が0.35〜0.8重量%に調整され、その母相中に前記炭化物、窒化物および炭窒化物の一種以上が0.4〜4.0体積%、セメンタイトが2〜15体積%分散されていることを特徴とする転動部材の製造方法。
- 前記転動面層における圧縮残留応力を高めるために、ショットピーニングの物理的加工を施すことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の転動部材の製造方法。
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