JPH06145912A - ピストンリング材 - Google Patents
ピストンリング材Info
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- JPH06145912A JPH06145912A JP30334492A JP30334492A JPH06145912A JP H06145912 A JPH06145912 A JP H06145912A JP 30334492 A JP30334492 A JP 30334492A JP 30334492 A JP30334492 A JP 30334492A JP H06145912 A JPH06145912 A JP H06145912A
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-
- G—PHYSICS
- G01—MEASURING; TESTING
- G01B—MEASURING LENGTH, THICKNESS OR SIMILAR LINEAR DIMENSIONS; MEASURING ANGLES; MEASURING AREAS; MEASURING IRREGULARITIES OF SURFACES OR CONTOURS
- G01B11/00—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques
- G01B11/24—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring contours or curvatures
- G01B11/25—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring contours or curvatures by projecting a pattern, e.g. one or more lines, moiré fringes on the object
- G01B11/2513—Measuring arrangements characterised by the use of optical techniques for measuring contours or curvatures by projecting a pattern, e.g. one or more lines, moiré fringes on the object with several lines being projected in more than one direction, e.g. grids, patterns
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- Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 ピストンリングの高性能化あるいはアルコー
ル燃料にも使用できる耐焼付性、耐摩耗性および耐腐食
性を兼備したピストンリング材を提供する。 【構成】重量%でC 0.3%を越え1.5%以下、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%以下、Co 2%未
満、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで3.0%以
下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを基本
組成とし、必要に応じてVとNbの1種または2種をV
+1/2Nbで2.0%以下、5.0%以下のNiと5.0%以下のCuの
1種または2種をそれぞれ添加することができるピスト
ンリング材。
ル燃料にも使用できる耐焼付性、耐摩耗性および耐腐食
性を兼備したピストンリング材を提供する。 【構成】重量%でC 0.3%を越え1.5%以下、Si 2.0%以
下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%以下、Co 2%未
満、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで3.0%以
下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを基本
組成とし、必要に応じてVとNbの1種または2種をV
+1/2Nbで2.0%以下、5.0%以下のNiと5.0%以下のCuの
1種または2種をそれぞれ添加することができるピスト
ンリング材。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関に用いられる
ピストンリング材に関するものである。
ピストンリング材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ピストンリングの材質には、従来鋳鉄が
用いられてきたが、近年のエンジンの効率化、高負荷
化、さらに軽量化の要求に伴い、スチール製ピストンリ
ングの適用が拡大している。このスチール製ピストンリ
ングは、ピストンの薄肉化が可能であるため、軽量化の
要求に応えるとともに、さらに平線をリング加工するこ
とによって製造されるため、製造工程が鋳鉄リングに比
較して著しく簡略化できる利点がある。このような背景
からスチール製ピストンリング材として、例えば特公昭
61−22131号、特公昭57−8302号、特公昭
58−46542号、特公昭61−21302号、特開
平1−208435号などに開示されるような多くの材
質が提案されてきた。
用いられてきたが、近年のエンジンの効率化、高負荷
化、さらに軽量化の要求に伴い、スチール製ピストンリ
ングの適用が拡大している。このスチール製ピストンリ
ングは、ピストンの薄肉化が可能であるため、軽量化の
要求に応えるとともに、さらに平線をリング加工するこ
とによって製造されるため、製造工程が鋳鉄リングに比
較して著しく簡略化できる利点がある。このような背景
からスチール製ピストンリング材として、例えば特公昭
61−22131号、特公昭57−8302号、特公昭
58−46542号、特公昭61−21302号、特開
平1−208435号などに開示されるような多くの材
質が提案されてきた。
【0003】現在、自動車エンジン用スチール製ピスト
ンリングのうち、特に過酷な使用条件が要求されるもの
に対しては、高Crである17Cr系マルテンサイトステン
レス鋼が用いられている。この材質は、シリンダと摺動
するリング外周部は、耐摩耗性や耐焼付性を向上させる
ため、主に窒化処理が行なわれている。
ンリングのうち、特に過酷な使用条件が要求されるもの
に対しては、高Crである17Cr系マルテンサイトステン
レス鋼が用いられている。この材質は、シリンダと摺動
するリング外周部は、耐摩耗性や耐焼付性を向上させる
ため、主に窒化処理が行なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年エンジ
ンの高性能化に加え、低級燃料の使用、排気ガス規制に
対する燃焼ガスの機関内導入の他、アルコール系燃料、
天然ガス系燃料など新燃料の使用が検討され、一部試験
走行が行なわれている。これらの内燃機関は、高速化に
よる油切れ、燃焼後に生じる水分の増加、硫黄酸化物に
よる腐食性の増加、カルボン酸による腐食性の増加など
の原因によってオイルの劣化が早まり、ピストンリング
とシリンダの潤滑性が低下することから、従来提案され
てきた材質に増して耐焼付性および耐食性の優れたピス
トンリング材が要求されている。
ンの高性能化に加え、低級燃料の使用、排気ガス規制に
対する燃焼ガスの機関内導入の他、アルコール系燃料、
天然ガス系燃料など新燃料の使用が検討され、一部試験
走行が行なわれている。これらの内燃機関は、高速化に
よる油切れ、燃焼後に生じる水分の増加、硫黄酸化物に
よる腐食性の増加、カルボン酸による腐食性の増加など
の原因によってオイルの劣化が早まり、ピストンリング
とシリンダの潤滑性が低下することから、従来提案され
てきた材質に増して耐焼付性および耐食性の優れたピス
トンリング材が要求されている。
【0005】そこで、本出願人はCrの上限を25%まで高
め、Coを2〜13.0%添加して耐摩耗性と耐食性を向上さ
せたピストンリング材(特開平1-208435号)、およびCu
を添加して耐焼付性と耐腐食性を高めたピストンリング
材(特願平4-2028号)を開発し提案してきた。そして、こ
れらのピストンリング材から圧延や引抜き加工により、
ピストンリングを製造すると、特にCoの多少により加
工性が左右されることを知見したのである。本発明の目
的は、ステンレススチール製ピストンリング材として従
来材と比べて耐焼付性と硫黄酸化物やカルボン酸に対す
る耐食性を同時に高め、しかも加工性のすぐれたピスト
ンリング材を提供することである。
め、Coを2〜13.0%添加して耐摩耗性と耐食性を向上さ
せたピストンリング材(特開平1-208435号)、およびCu
を添加して耐焼付性と耐腐食性を高めたピストンリング
材(特願平4-2028号)を開発し提案してきた。そして、こ
れらのピストンリング材から圧延や引抜き加工により、
ピストンリングを製造すると、特にCoの多少により加
工性が左右されることを知見したのである。本発明の目
的は、ステンレススチール製ピストンリング材として従
来材と比べて耐焼付性と硫黄酸化物やカルボン酸に対す
る耐食性を同時に高め、しかも加工性のすぐれたピスト
ンリング材を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、温間伸線と
冷間圧延の組合せ、温間伸線と温間圧延の組合せなどを
実施し、伸線や圧延時に生じるミクロボイドや表面疵の
発生の少ない合金組成を検討した。その結果、Coを2%
未満と、比較的少量の添加に留めることにより、Crが1
8%を越え25%以下と高Cr系の鋼でありながら、加工時の
上記の欠陥が著しく生じにくくなり、ピストンリングの
特性として必要な耐焼付性が確保されることを確認した
のである。
冷間圧延の組合せ、温間伸線と温間圧延の組合せなどを
実施し、伸線や圧延時に生じるミクロボイドや表面疵の
発生の少ない合金組成を検討した。その結果、Coを2%
未満と、比較的少量の添加に留めることにより、Crが1
8%を越え25%以下と高Cr系の鋼でありながら、加工時の
上記の欠陥が著しく生じにくくなり、ピストンリングの
特性として必要な耐焼付性が確保されることを確認した
のである。
【0007】すなわち本発明のうち第1発明は、重量%
でC 0.3%を越え1.5%以下、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以
下、Cr 18%を越え25%以下、Co 2%未満、MoとWの1
種または2種をMo+1/2Wで3.0%以下、残部Feおよび
不可避的不純物からなることを特徴とするピストンリン
グ材であり、第2発明は、重量%でC 0.3%を越え1.5%
以下、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%
以下、Co 2%未満、MoとWの1種または2種をMo+1/
2Wで3.0%以下、VとNbの1種または2種をV+1/2Nb
で2.0%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とするピストンリング材である。さらに第3発
明では、第1発明または第2発明のピストンリング材
に、NiとCuの1種または2種を5%以下で添加するもの
である。
でC 0.3%を越え1.5%以下、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以
下、Cr 18%を越え25%以下、Co 2%未満、MoとWの1
種または2種をMo+1/2Wで3.0%以下、残部Feおよび
不可避的不純物からなることを特徴とするピストンリン
グ材であり、第2発明は、重量%でC 0.3%を越え1.5%
以下、Si 2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%
以下、Co 2%未満、MoとWの1種または2種をMo+1/
2Wで3.0%以下、VとNbの1種または2種をV+1/2Nb
で2.0%以下、残部Feおよび不可避的不純物からなるこ
とを特徴とするピストンリング材である。さらに第3発
明では、第1発明または第2発明のピストンリング材
に、NiとCuの1種または2種を5%以下で添加するもの
である。
【0008】
【作用】以下、本発明の成分の限定理由について述べ
る。Cは、Cr,Mo,W,V,Nb等の元素と結合して炭化
物を形成し、耐摩耗性、耐焼付性の向上に寄与するとと
もに、一部は基地中に固溶して基地を強化する。スチー
ル製ピストンリング材の場合、これ等の効果は0.3%を越
えて添加する必要があるが、1.5%を越えると、過度の炭
化物を形成するため、リング素材の加工性およびリング
自体の成形性を悪化させる。したがって、0.3%を越え1.
5%以下に限定する。より望ましい範囲は0.6%〜1.3%であ
る。
る。Cは、Cr,Mo,W,V,Nb等の元素と結合して炭化
物を形成し、耐摩耗性、耐焼付性の向上に寄与するとと
もに、一部は基地中に固溶して基地を強化する。スチー
ル製ピストンリング材の場合、これ等の効果は0.3%を越
えて添加する必要があるが、1.5%を越えると、過度の炭
化物を形成するため、リング素材の加工性およびリング
自体の成形性を悪化させる。したがって、0.3%を越え1.
5%以下に限定する。より望ましい範囲は0.6%〜1.3%であ
る。
【0009】Siは鋼の精錬時に脱酸の目的で添加され
るとともに、耐食性、焼入性、強度の向上に有効な元素
である。しかし、多量に含有した場合、冷間加工性を害
するので2.0%以下に限定する。下限は特に限定しない
が、0.1%以上であることが望ましい。Mnは鋼の精錬時
に脱硫の目的で添加されるが、2.0%を越えると熱間加工
性を害するので2.0%以下に限定する。Mnの下限も特に
限定しないが、脱硫の目的には0.1%以上が望ましく、通
常0.1〜1.0%程度添加すればよいことが多い。
るとともに、耐食性、焼入性、強度の向上に有効な元素
である。しかし、多量に含有した場合、冷間加工性を害
するので2.0%以下に限定する。下限は特に限定しない
が、0.1%以上であることが望ましい。Mnは鋼の精錬時
に脱硫の目的で添加されるが、2.0%を越えると熱間加工
性を害するので2.0%以下に限定する。Mnの下限も特に
限定しないが、脱硫の目的には0.1%以上が望ましく、通
常0.1〜1.0%程度添加すればよいことが多い。
【0010】Crは前述のようにCと結びついて炭化物
(M23C6タイプおよびM7C3タイプ)を形成し、耐摩耗
性および耐焼付性を向上させる。さらに一部は基地中に
固溶して耐食性、耐酸化性、耐熱性を向上させる。ま
た、ピストンリングの表面処理の一つとして特に有効な
窒化処理において、硬質の窒化層を形成し、耐摩耗性、
耐焼付性を大きく向上させる。これらの効果を特に発揮
させるためには、18%を越えて添加する必要がある。し
かし、25%を越えると過度の共晶炭化物量を形成するだ
けでなく、C量が少ない場合には、焼入れ焼もどしによ
っても軟質の相であるフェライト相が安定となり、強度
が不足するため上限を25.0%とする。適正な共晶炭化物
量で、線材にするための加工性と炭化物析出による耐摩
耗性が両立する最も望ましい範囲は本発明の組成系では
Cr 19〜22%である。
(M23C6タイプおよびM7C3タイプ)を形成し、耐摩耗
性および耐焼付性を向上させる。さらに一部は基地中に
固溶して耐食性、耐酸化性、耐熱性を向上させる。ま
た、ピストンリングの表面処理の一つとして特に有効な
窒化処理において、硬質の窒化層を形成し、耐摩耗性、
耐焼付性を大きく向上させる。これらの効果を特に発揮
させるためには、18%を越えて添加する必要がある。し
かし、25%を越えると過度の共晶炭化物量を形成するだ
けでなく、C量が少ない場合には、焼入れ焼もどしによ
っても軟質の相であるフェライト相が安定となり、強度
が不足するため上限を25.0%とする。適正な共晶炭化物
量で、線材にするための加工性と炭化物析出による耐摩
耗性が両立する最も望ましい範囲は本発明の組成系では
Cr 19〜22%である。
【0011】Coは、本発明において耐焼付性を向上さ
せるうえで重要な元素であるが、ピストンリング線材や
ピストンリングに成形する加工性の点から上限を2%未満
とすることが必要である。この範囲での添加でCoは炭
化物を形成せず、基地中に固溶することにより、その耐
焼付性や耐硫酸腐食性を高めるほか、軟質の相であるフ
ェライト相の生成を抑制する効果がある。この効果はC
rが18%を越えるような高Crとなり、C%が0.3%を越え0.
6%程度の場合には、著しい効果として現われる。しか
し、Crが18%を越えるような高Crであると冷間や温間
における加工性の他に熱間加工性も劣化してくるので、
Coは上限を2%未満とすることが重要である。本発明で
は、Coの添加は必要とするものの、その量をCoの添加
の効果が出る範囲内で低く抑えて、加工性に問題がない
ようにしたのが、大きな特徴の一つである。
せるうえで重要な元素であるが、ピストンリング線材や
ピストンリングに成形する加工性の点から上限を2%未満
とすることが必要である。この範囲での添加でCoは炭
化物を形成せず、基地中に固溶することにより、その耐
焼付性や耐硫酸腐食性を高めるほか、軟質の相であるフ
ェライト相の生成を抑制する効果がある。この効果はC
rが18%を越えるような高Crとなり、C%が0.3%を越え0.
6%程度の場合には、著しい効果として現われる。しか
し、Crが18%を越えるような高Crであると冷間や温間
における加工性の他に熱間加工性も劣化してくるので、
Coは上限を2%未満とすることが重要である。本発明で
は、Coの添加は必要とするものの、その量をCoの添加
の効果が出る範囲内で低く抑えて、加工性に問題がない
ようにしたのが、大きな特徴の一つである。
【0012】MoとWは、Moと1/2Wがほぼ当価で同じ
作用を及ぼす。これらの元素はCと結びついてそれ自体
の炭化物を形成するとともに、Cr炭化物中にも固溶す
ることにより、これを強化し、さらに焼もどしにおける
軟化抵抗を高めるのでピストンリング成形時の矯正や窒
化時の加熱でも硬さは低下しないという効果がある。ま
た窒化処理を行なう場合には、窒化層形成に寄与し、耐
摩耗性、耐焼付性を向上させる。さらにMoは、耐硫酸
腐食性を向上させる効果を有する。しかし、Mo+1/2W
で3.0%を越えて添加すると、硬質の炭化物の量を増し、
疲労強度低下の原因になると共に、高価な元素であるた
め、含有させる場合には、1種または2種をMo+1/2W
で3.0%以下に限定する。MoとWは少量の添加でも軟化
抵抗に効果があり、Mo+1/2Wで0.2%程度でも効果が生
じるが、望ましい範囲はMo+1/2Wで0.3〜2.0%であ
る。
作用を及ぼす。これらの元素はCと結びついてそれ自体
の炭化物を形成するとともに、Cr炭化物中にも固溶す
ることにより、これを強化し、さらに焼もどしにおける
軟化抵抗を高めるのでピストンリング成形時の矯正や窒
化時の加熱でも硬さは低下しないという効果がある。ま
た窒化処理を行なう場合には、窒化層形成に寄与し、耐
摩耗性、耐焼付性を向上させる。さらにMoは、耐硫酸
腐食性を向上させる効果を有する。しかし、Mo+1/2W
で3.0%を越えて添加すると、硬質の炭化物の量を増し、
疲労強度低下の原因になると共に、高価な元素であるた
め、含有させる場合には、1種または2種をMo+1/2W
で3.0%以下に限定する。MoとWは少量の添加でも軟化
抵抗に効果があり、Mo+1/2Wで0.2%程度でも効果が生
じるが、望ましい範囲はMo+1/2Wで0.3〜2.0%であ
る。
【0013】VとNbは、効果的にVと1/2Nbがほぼ当
量であり、両元素とも結晶粒微細化に効果があり、ピス
トンリングの靭性向上に寄与するだけでなく、Mo,Wと
同様、それ自体で炭化物を形成するとともに、Cr炭化
物中にも固溶して、これを強化することにより耐摩耗
性、および耐焼付性を向上させるので添加するとよい。
また、両元素とも耐硫酸腐食性、耐カルボン酸腐食性を
向上させる。これ等の効果を得るためには、添加する場
合には、VとNbの1種または2種をV+1/2Nbで少な
くとも0.05%以上添加するとよい。しかし、過度に添加
するとMC型炭化物を過剰に生成し靭性を劣化させるの
でV+1/2Nb量の上限を2.0%とする。
量であり、両元素とも結晶粒微細化に効果があり、ピス
トンリングの靭性向上に寄与するだけでなく、Mo,Wと
同様、それ自体で炭化物を形成するとともに、Cr炭化
物中にも固溶して、これを強化することにより耐摩耗
性、および耐焼付性を向上させるので添加するとよい。
また、両元素とも耐硫酸腐食性、耐カルボン酸腐食性を
向上させる。これ等の効果を得るためには、添加する場
合には、VとNbの1種または2種をV+1/2Nbで少な
くとも0.05%以上添加するとよい。しかし、過度に添加
するとMC型炭化物を過剰に生成し靭性を劣化させるの
でV+1/2Nb量の上限を2.0%とする。
【0014】Niは、炭化物を形成せず、基地に固溶
し、耐硫酸腐食性を高める効果を有する。特に窒化処理
を行なうピストンリングの場合には、Ni自身窒化物を
形成しないため、窒化層中においてもその作用が残存す
ることが特徴である。この効果を得るためには、Ni 5.
0%以下で添加するとよい。しかし、Niは5.0%を越える
と熱処理における所定の硬さが得られにくくなる。Cu
は、本発明において耐焼付性を向上させるだけでなく、
カルボン酸に対する耐腐食性を高めるためには積極的に
添加するとよい。Cu含有鋼は、例えばアルコール燃料
の燃焼ガスなどの腐食性雰囲気に対して従来の材料に増
して、より耐食性の優れたピストンリングとすることが
できる。上記の効果を十分得るために、Cuは0.2%以上
とするのがよいが、5.0%を越えると熱間加工性が悪くな
るため、Cuは5.0%以下とする。しかし、NiとCuは本
発明のピストンリング材として、必ずしも添加する必要
はなく、使用される雰囲気に応じて単独または複合添加
するとよい。
し、耐硫酸腐食性を高める効果を有する。特に窒化処理
を行なうピストンリングの場合には、Ni自身窒化物を
形成しないため、窒化層中においてもその作用が残存す
ることが特徴である。この効果を得るためには、Ni 5.
0%以下で添加するとよい。しかし、Niは5.0%を越える
と熱処理における所定の硬さが得られにくくなる。Cu
は、本発明において耐焼付性を向上させるだけでなく、
カルボン酸に対する耐腐食性を高めるためには積極的に
添加するとよい。Cu含有鋼は、例えばアルコール燃料
の燃焼ガスなどの腐食性雰囲気に対して従来の材料に増
して、より耐食性の優れたピストンリングとすることが
できる。上記の効果を十分得るために、Cuは0.2%以上
とするのがよいが、5.0%を越えると熱間加工性が悪くな
るため、Cuは5.0%以下とする。しかし、NiとCuは本
発明のピストンリング材として、必ずしも添加する必要
はなく、使用される雰囲気に応じて単独または複合添加
するとよい。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。表1に、供試材の化学成分を示す。このうち、No.
1ないしNo.15は本発明材、No.16ないしNo.18は比較
材である。また、No.19および20は、前述の特開平1−
208435号で開示されたCoを含有する鋼である。
供試材は、溶製、鍛伸、焼なましの工程により作製し
た後、焼入、焼もどしを行なって、硬さをHRC40〜43に
調整した。続いて、540℃ 20時間のガス窒化処理を行な
った。ガス窒化処理により窒化拡散層の最表面に脆い窒
化物が形成されるため、研磨によりこれを除去して試験
材とした。
る。表1に、供試材の化学成分を示す。このうち、No.
1ないしNo.15は本発明材、No.16ないしNo.18は比較
材である。また、No.19および20は、前述の特開平1−
208435号で開示されたCoを含有する鋼である。
供試材は、溶製、鍛伸、焼なましの工程により作製し
た後、焼入、焼もどしを行なって、硬さをHRC40〜43に
調整した。続いて、540℃ 20時間のガス窒化処理を行な
った。ガス窒化処理により窒化拡散層の最表面に脆い窒
化物が形成されるため、研磨によりこれを除去して試験
材とした。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】表2に各供試材の焼付きテスト結果および
摩耗テスト結果および10%硫酸、カルボン酸(5%酢酸+5%
蟻酸)による腐食減量を示す。これ等の試験には、超高
圧摩耗試験機を用いてテストした。試験片部の概略を図
1,図2に示す。焼付試験においては、同試験機を用い
下記の条件で行なった。 摩擦速度・・・8m/s 摩擦面圧力・・・初期圧 20kgf/cm2、3分毎に10kg/cm2づつ
上昇 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 焼付検出・・・・ロードセルおよび動歪計にて検出(焼付時
に異常摩擦力を検知) 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25)
摩耗テスト結果および10%硫酸、カルボン酸(5%酢酸+5%
蟻酸)による腐食減量を示す。これ等の試験には、超高
圧摩耗試験機を用いてテストした。試験片部の概略を図
1,図2に示す。焼付試験においては、同試験機を用い
下記の条件で行なった。 摩擦速度・・・8m/s 摩擦面圧力・・・初期圧 20kgf/cm2、3分毎に10kg/cm2づつ
上昇 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 焼付検出・・・・ロードセルおよび動歪計にて検出(焼付時
に異常摩擦力を検知) 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25)
【0019】また、摩耗試験については、下記の条件で
テストを行ない、試験片の摩耗量を測定した。 摩擦速度・・・3m/s 摩擦面圧力・・・80kgf/cm2 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 摩擦距離・・・50km 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25) 耐食性については、10mmφ×20mmLのガス窒化したサン
プル(最表面除去)について、10%硫酸 40℃、40時間での
腐食減量および5%酢酸5%蟻酸+水(60℃)、40時間での腐
食減量をそれぞれ求めた。
テストを行ない、試験片の摩耗量を測定した。 摩擦速度・・・3m/s 摩擦面圧力・・・80kgf/cm2 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 摩擦距離・・・50km 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25) 耐食性については、10mmφ×20mmLのガス窒化したサン
プル(最表面除去)について、10%硫酸 40℃、40時間での
腐食減量および5%酢酸5%蟻酸+水(60℃)、40時間での腐
食減量をそれぞれ求めた。
【0020】さらに、ピストンリング材から圧延や引抜
き加工によりピストンリングを製造する加工性を評価す
るために、焼なまし状態の供試材から引張試験片を作成
し、室温で引張試験を行ない、その時の伸びを測定した
値を表2に併記する。本発明材はCoを添加しない比較
材No.16ないし18の焼付発生面圧が高いだけでなく、硫
酸およびカルボン酸など腐食雰囲気に対する耐食性が特
に優れていることがわかる。一方、Coを多く含有する
従来鋼No.19および20は耐食性が優れるものの、焼なま
し状態の伸びが小さい値を示している。
き加工によりピストンリングを製造する加工性を評価す
るために、焼なまし状態の供試材から引張試験片を作成
し、室温で引張試験を行ない、その時の伸びを測定した
値を表2に併記する。本発明材はCoを添加しない比較
材No.16ないし18の焼付発生面圧が高いだけでなく、硫
酸およびカルボン酸など腐食雰囲気に対する耐食性が特
に優れていることがわかる。一方、Coを多く含有する
従来鋼No.19および20は耐食性が優れるものの、焼なま
し状態の伸びが小さい値を示している。
【0021】
【発明の効果】本発明材は、同じレベルの比較材と比べ
て、焼付発生面圧が高く、ピストンリングに使用する際
に発生するスカッフを軽減できる。また、耐摩耗性も比
較材に比べて一段と良好である。さらに、硫酸やカルボ
ン酸に対する耐食性も良好で、特にカルボン酸に対して
は、格段に優れ、アルコール系燃料に対して十分対応で
きるものである。しかも、本発明材は加工性にも優れ、
製造上の点でも効果が高いものである。
て、焼付発生面圧が高く、ピストンリングに使用する際
に発生するスカッフを軽減できる。また、耐摩耗性も比
較材に比べて一段と良好である。さらに、硫酸やカルボ
ン酸に対する耐食性も良好で、特にカルボン酸に対して
は、格段に優れ、アルコール系燃料に対して十分対応で
きるものである。しかも、本発明材は加工性にも優れ、
製造上の点でも効果が高いものである。
【図1】超高圧摩耗試験装置の断面図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
1 試験片(5.0mm角×10L) 2 円板(相手材・・・FC25) 3 ステータホルダー 4 ロータ 5 試験片保持具 6 潤滑油注入口 7 ロードセル 8 動歪計 P 摩擦圧力
Claims (3)
- 【請求項1】 重量%でC 0.3%を越え1.5%以下、Si
2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%以下、Co
2%未満、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで3.0%
以下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特
徴とするピストンリング材。 - 【請求項2】 重量%でC 0.3%を越え1.5%以下、Si
2.0%以下、Mn 2.0%以下、Cr 18%を越え25%以下、Co
2%未満、MoとWの1種または2種をMo+1/2Wで3.0%
以下、VとNbの1種または2種をV+1/2Nbで2.0%以
下、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴
とするピストンリング材。 - 【請求項3】 Feの一部を5.0%以下のNiと5.0%以下の
Cuの1種または2種で置換した請求項1または2に記
載のピストンリング材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30334492A JPH06145912A (ja) | 1992-11-13 | 1992-11-13 | ピストンリング材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30334492A JPH06145912A (ja) | 1992-11-13 | 1992-11-13 | ピストンリング材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06145912A true JPH06145912A (ja) | 1994-05-27 |
Family
ID=17919848
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP30334492A Pending JPH06145912A (ja) | 1992-11-13 | 1992-11-13 | ピストンリング材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH06145912A (ja) |
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0799902A1 (en) * | 1994-10-13 | 1997-10-08 | Hitachi Metals, Ltd. | Piston ring material excellent in workability |
US5944920A (en) * | 1996-04-10 | 1999-08-31 | Hitachi Metals, Ltd. | Piston ring material excellent in workability |
CN104451397A (zh) * | 2015-01-06 | 2015-03-25 | 江苏羽立新材料科技有限公司 | 一种活塞式内燃机中活塞环用精密合金及其制备方法 |
US9650702B2 (en) | 2009-03-26 | 2017-05-16 | Federal-Mogul Burscheid Gmbh | Nitridable piston rings |
EP3006787A4 (en) * | 2013-06-07 | 2017-07-19 | Kabushiki Kaisha Riken | Piston ring, raw material therefor, and production method for both |
DE102016208301A1 (de) * | 2016-05-13 | 2017-11-16 | Continental Automotive Gmbh | Stahl-Werkstoff für Hochtemperatur-Anwendungen und Turbinengehäuse aus diesem Werkstoff |
-
1992
- 1992-11-13 JP JP30334492A patent/JPH06145912A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0799902A1 (en) * | 1994-10-13 | 1997-10-08 | Hitachi Metals, Ltd. | Piston ring material excellent in workability |
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CN107262641A (zh) * | 2013-06-07 | 2017-10-20 | 株式会社理研 | 活塞环的制造方法 |
CN104451397A (zh) * | 2015-01-06 | 2015-03-25 | 江苏羽立新材料科技有限公司 | 一种活塞式内燃机中活塞环用精密合金及其制备方法 |
DE102016208301A1 (de) * | 2016-05-13 | 2017-11-16 | Continental Automotive Gmbh | Stahl-Werkstoff für Hochtemperatur-Anwendungen und Turbinengehäuse aus diesem Werkstoff |
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