JPH06137430A - 内燃機関用オイルリング - Google Patents

内燃機関用オイルリング

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JPH06137430A
JPH06137430A JP4287411A JP28741192A JPH06137430A JP H06137430 A JPH06137430 A JP H06137430A JP 4287411 A JP4287411 A JP 4287411A JP 28741192 A JP28741192 A JP 28741192A JP H06137430 A JPH06137430 A JP H06137430A
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less
ring
oil ring
internal combustion
combustion engine
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Ken Nakamura
憲 中村
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Hitachi Metals Ltd
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  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Solid-Phase Diffusion Into Metallic Material Surfaces (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ピストンリングの高性能化あるいはアルコー
ル燃料にも使用できる耐焼付性、耐摩耗性および耐腐食
性を兼備した内燃機関用オイルリングを提供する。 【構成】 母材の化学組成が重量%でC 0.6〜1.5%、S
i 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr 20.0%を越え25.0%を含
み、残部Feおよび不可避不純物からなるものであり、
焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450で、横断面形状が概略
HまたはX字形でその左右部を繋ぐウェブ部の厚み寸法
の前記左右部の全厚み寸法に対する比が0.3以下であ
り、少なくともシリンダ内面との摺動面は窒化層を有す
ることを特徴とする内燃機関用オイルリング、および上
記の化学組成にさらにMoおよびWの1種または2種を
Mo+1/2Wで3.0重量%以下、VとNbの1種または2種
をV+1/2Nbで3.0重量%以下、Coを12重量%以下、Ni
5重量%、およびCu 5重量%以下から選ばれる1種または
2種以上を適宜選択して添加できるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種内燃機関に用いら
れる鋼製2ピース型オイルリングに関するものである。
【0002】
【従来の技術】内燃機関用の鋼製オイルリングの型式と
しては、従来2本の長方形断面のリングおよび1本のス
プリングの計3本からなる3ピース型と、新型式である
1本の異形溝付リングおよび1本のスプリングの計2本
からなる2ピース型の2種類がある。近年、部品点数減
少によるコスト低減等を目的として、3ピース型から2
ピース型への転換の要求が強まってきた。この2ピース
型用の異形溝付リングは、その断面形状が概略Hまたは
X字形状の複雑形状で、かつその左右部を繋ぐウェブ部
の厚み寸法の左右部の全厚み寸法に対する比が小さくて
異形度が大きいものである。
【0003】また近年、ピストンリングの材質は耐摩耗
性、耐スカッフ性、耐硫酸腐食性等の向上を目的として
高合金化する要求も強まっている。ピストンリングのう
ち、圧力リングは断面形状も単純な長方形に近いので製
造上の問題は少なく、すでに17Cr系のマルテンサイト
系ステンレスへと高合金化している。3ピース型の組合
せオイルリングのレール(一般にサイドレールと呼ばれ
ている)はSUS420J2(0.35C−13Cr系である)、または0.
65C−13Cr系のマルテンサイト系ステンレス鋼が使用
されているが、やはり断面形状は単純な長方形に近く、
従来の冷間圧延や冷間伸線による方法でも製造可能であ
る。3ピース型用のサイドレールとしては、特公昭61
−54862号(0.65C−13Cr系)、特開昭61−59
066号(0.55C−7Cr系)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】オイルリングの材質も
高合金化の要求が強く、特に2ピース型オイルリングに
ついても、高合金ほど耐摩耗性や耐スカッフ性、耐食性
の向上が期待できる。しかし、この2ピース型オイルリ
ング用異形溝付きのリングを、従来よりさらに高C化し
て、例えばC 0.8重量%を越え、Cr 15重量%以上(%は以
下すべて重量%である)を含有するマルテンサイト系ステ
ンレス鋼から製造することは非常に困難である。すなわ
ち、該リングは断面形状が複雑、かつ異形度が大、つま
り丸または長方形からの形状的隔たりが大きく、したが
って異形成形に際して、大きな塑性加工量が必要で、特
に上下方向から強い圧縮加工を受けるウェブ部と上下か
ら圧縮作用を受けないフランジ部が隣合っており、本発
明者が実験の結果見出したことであるが、この境界部か
ら非常に割れが発生し易いこと、およびオイルリングの
用途上表面粗さが3S以下とされるほか、割れはもちろん
打疵、すり傷等の表面性状が厳しく規制されているから
である。すなわち、従来の冷間引抜き方法によると、高
合金化のため被加工性が低下し、かつ、異形度が大きい
上に前記のように加工割れが、ウェブ部とフランジ部と
の境界部に発生し易く、これらを防止するためには1パ
ス当りまたは焼鈍1回当りの加工率が低く制限され、そ
の結果、最終製品に至るまでの加工パス回数や焼鈍回数
がさらに増加し、これらの処理またはハンドリング中に
表面性状を損ない易く、また、コスト的にも困難とな
る。このため、従来C 0.8%を越え、Cr 15%以上を含有
するマルテンサイト系ステンレス鋼による2ピース型オ
イルリングの製造はなされていなかった。
【0005】このような問題に対して、本発明者は温間
ロールダイスを使用することを中心とする新規なスチー
ル製オイルリング用異形線材の製造方法を発明し、特願
平3−19302号で提案した。これにより、Cが0.8%
を越え0.95%未満で、Crが15%ないし20%を含有し、横断
面形状が複雑なマルテンサイト系ステンレス鋼の連続伸
線が可能となった。
【0006】ところで、近年エンジンの高性能化に加
え、低級燃料の使用、排気ガス規制に対する燃焼ガスの
機関内導入の他、アルコール系燃料、天然ガス系燃料な
ど新燃料の使用が検討され、一部試験走行が行なわれて
いる。これらの内燃機関は、高速化による油切れ、燃焼
後に生じる水分の増加、硫黄酸化物による腐食性の増
加、カルボン酸による腐食性の増加などの原因によって
オイルの劣化が早まり、ピストンリングとシリンダの潤
滑性が低下することから、従来提案されてきた材質に増
して耐焼付性および耐食性の優れたオイルリングが要求
されている。本発明の目的は、前述の特願平3−193
02号の製造方法を発展させて、より高Cr化と合金添
加を試み、従来のオイルリングと較べて耐焼付性と硫黄
酸化物やカルボン酸に対する耐食性を一段と高めたオイ
ルリングを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、温間伸線と
冷間圧延の組合せ、温間伸線と温間圧延の組合せなどを
実施し、伸線や圧延時に生じるミクロボイドや表面疵の
発生の少ない合金組成と製造方法を検討した。その結
果、本発明は横断面形状が概略HまたはX字形の異形断
面を有するものであるが、温間ロールダイスを使用する
ことにより、20%を越える高Crのステンレス鋼でも異形
断面のままで線材化することができることを見出したも
のである。
【0008】すなわち本発明は、母材の化学組成が重量
%でC 0.6〜1.5%、Si 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr
20.0%を越え25.0%を含み、残部Feおよび不可避不純物
からなるものであり、焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450
で、横断面形状が概略HまたはX字形でその左右部を繋
ぐウェブ部の厚み寸法の前記左右部の全厚み寸法に対す
る比が0.3以下であり、少なくともシリンダ内面との摺
動面は窒化層を有することを特徴とする内燃機関用オイ
ルリング、または前記の組成にMoおよびWの1種また
は2種をMo+1/2Wで3.0%以下、VとNbの1種または
2種をV+1/2Nbで3.0%以下、Coの12%以下、およびN
i、Cuの5%以下を適宜含み、残部Feおよび不可避不純
物からなるものである。合金元素のうち、MoとWのグ
ループ、VとNbのグループおよびCoとNiとCuのグル
ープからなる3つのグループは、それぞれのグループの
中の1種または2種以上を適宜組み合わせてオイルリン
グの母材を構成することができる。
【0009】本発明は、ロールダイスの採用により、ソ
リッド孔型ダイスにおける金属石鹸のような強固な潤滑
剤は不要とすることができる。従来、この潤滑剤を使用
した場合には、各引抜工程後の除去が困難であり、この
除去不十分のため、中間焼鈍時に肌荒れが生じていた。
潤滑剤を使用しないと表面性状を高度に維持することが
できるのである。また温間加工の採用により、高合金鋼
化により変形能が低下して割れが発生し易くなった材料
に対し、割れ発生を防止して異形度の大なる所定断面形
状に、加工歪を蓄積することなく、したがって、中間焼
鈍を排除して能率的に成形することが可能である。さら
に、ロールダイスによる温間加工法は、ロール孔型内へ
の肉の盛り上がり効果が多いから、先鋭(突出部の隔肉
半径が小さい)な断面形状の成形が可能となる。温間加
工温度は、焼入れ効果を生じない範囲で可能の限り高く
して温間加工の効果(上記中間焼鈍不要化、または回数
減少等)を十分に引き出すのがよい。また、加熱方法に
ついて、高周波誘導加熱法は、スパークの危険がなく、
かつ急速加熱が可能なため酸化等による表面性状を損な
うことが少ないことから望ましい。
【0010】ロールダイスによる温間加工および冷間加
工後の異形線材は、ウェブに油孔を打抜穿孔され、脱脂
された後、保護雰囲気を導入した連続式焼入れ焼もどし
熱処理装置により、HV300〜450の範囲内の所定硬さに熱
処理される。通常は、この状態でピストンリングメーカ
に引き渡される。連続熱処理炉による熱処理品は、その
長さ方向の均一性が極めて高く、これがカーリング工程
でのスプリングバックむらを抑制して、均一な曲げ成形
形状の確保に役立つ。
【0011】
【作用】次に本願の異形線材において、全厚みに対する
ウェブの厚みの比を0.3以下と規定したのは、この条件
が温間加工を採用した効果が最も生かされるからであ
る。一方この値を満足することが、表面性状を満足する
と共に該異形線の製造上大きな課題が前記のウエブの厚
み以下で生じていたものが、前述の方法で高合金線材に
ついて初めてこの製造が実現可能となったことによるも
のである。
【0012】また、硬さ範囲をHV300〜450と規定した理
由は、HV450を越えるとカーリング工程でスプリングバ
ックが大きくなり、カーリング形状を一定範囲内に保つ
ことが困難となるほか、カーリング時に折損し易くなる
ためであり、特に異形断面を有する本発明の形状のオイ
ルリングを製造する上で必須の条件である。一方、HV30
0未満では高合金化の目的に反して耐摩耗性が低下し、
所定のリング寿命を得ることができないためである。本
発明の異形線材は、曲げ成形後、そのシリンダ内面との
摺動面および端面つまりピストンのリング溝の壁面と接
する面を軽く研磨仕上げされ、リングに曲げ成形されて
内周となる側の溝の内面は、そのままでスプリングと直
接接触作動するので、全表面とも3S以下の表面粗さが要
求される。
【0013】次に、本発明の成分の限定理由について述
べる。CはCrおよびMo,W,V,Nb等の添加元素と結合
して炭化物を形成し、耐摩耗、耐焼付性の向上に寄与す
ると共に、一部は基地中に固溶して基地を強化する。こ
れらの効果を得るためにCは0.6%以上を添加することが
必要であるが、本発明のオイルリングは異形状断面を有
するので1.5%以上では温間加工といえどもリング素材の
製造性およびリングの成形性が悪くなる。また、1.5%を
越えると過度の炭化物を形成することにより、耐硫酸腐
食性が低下する。したがって、Cは0.6〜1.5%とする。
より望ましい範囲は、0.8〜1.2%である。Siは鋼の精錬
時に脱酸の目的で添加されると共に、耐硫酸腐食性の向
上、焼入性、強度の向上に効果的な元素である。しか
し、1.5%を越えると温間加工性を害するのでSiは1.5%
以下に限定する。
【0014】Mnは鋼の精錬時に脱硫の目的で添加され
るが、1.5%を越えると素線を製造する時の熱間加工性を
害するので1.5%以下に限定する。Crは前述のようにC
と結び付いて、炭化物(M236型およびM73型)を形
成し、耐摩耗性および耐焼付性を向上させるので、本発
明のオイルリングには必須の成分である。さらに一部
は、基地中に固溶して耐酸化性、耐熱性を向上させる。
また、窒化処理により硬質の窒化層を生成し、耐摩耗
性、耐焼付性を大きく向上させる。これらの著しい効果
を得るにはCrは20.0%が必要である。本発明者の実験の
結果によれば、Cr量が20.0%未満の場合、おそらく炭化
物量が不足するために硫酸中での腐食摩耗量が多くな
る。またCr量が25.0%を越えるとおそらく炭化物量の過
度の増加、および窒化を行った場合にCrの窒化物量が
過度になるため耐硫酸腐食性が低下する。従ってCr量
は20.0〜25.0%の範囲に限定した。
【0015】MoとWは、Moと1/2Wがほぼ等価で同じ
作用を及ぼす。これらの元素はCと結びついてそれ自体
の炭化物を形成するとともに、Cr炭化物中にも固溶す
ることにより、これを強化し、さらに焼もどしにおける
軟化抵抗を高めるので、ピストンリング成形時の矯正や
窒化時の加熱でも硬さは低下しないという効果がある。
また窒化処理を行なう場合には、窒化層形成に寄与し、
耐摩耗性、耐焼付性を向上させる。さらにMoは、耐硫
酸腐食性を向上させる効果を有する。しかし、Mo+1/2
Wで3.0%を越えて添加すると、硬質の炭化物の量を増
し、疲労強度低下の原因になると共に、高価な元素であ
るため、含有させる場合には、1種または2種をMo+1
/2Wで3.0%以下に限定する。MoとWは少量の添加でも
軟化抵抗に効果があり、Mo+1/2Wで0.2%程度でも効果
が生じるが、望ましい範囲はMo+1/2Wで0.3〜2.0%で
ある。
【0016】VとNbは、効果的にVと1/2Nbがほぼ当
量であり、両元素とも結晶粒微細化に効果があり、ピス
トンリングの靭性向上に寄与するだけでなく、Mo,Wと
同様、それ自体で炭化物を形成するとともに、Cr炭化
物中にも固溶して、これを強化することにより耐摩耗
性、および耐焼付性を向上させるので添加するとよい。
また、両元素とも耐硫酸腐食性、耐カルボン酸腐食性を
向上させる。これ等の効果を得るためには、添加する場
合には、VとNbの1種または2種をV+1/2Nbで添加
するとよい。しかし、過度に添加するとMC型炭化物を
過剰に生成し靭性を劣化させるのでV+1/2Nb量の
上限を3.0%とする。
【0017】Co、NiおよびCuは、本発明において窒
化層の耐硫酸腐食性を向上させる重要な元素である。三
元素とも炭化物を形成せず、基地に固溶し、耐硫酸腐食
性を高めるが、窒化物を形成しないため窒化層中におい
てもその作用が残存することが特徴であり、窒化処理を
行って使用する本発明のピストンリング材には特に有効
である。Coは12%を越えると熱間加工性および冷間加工
性を低下させ、Niは5.0%を越えると熱処理における所
定の硬さが得られにくくなるので、添加する場合はそれ
ぞれ、Coは12%以下、Niは5.0%以下とするとよい。
【0018】Cuは、本発明において耐焼付性を向上さ
せるだけでなく、カルボン酸に対する耐腐食性を高める
ためには、積極的に添加するとよい。Cu含有鋼は、例
えばアルコール燃料の燃焼ガスなどの腐食性雰囲気に対
して従来の材料に増して、より耐食性の優れたピストン
リングとすることができる。上記の効果を十分に得るた
めに、Cuの添加が有効であるが、5.0%を越えると熱間
加工性が悪くなるため、Cuは5.0%以下とする。P,
S,O,Nは、通常不純物元素として微量含有されても
よい。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明す
る。表1には各種評価を行なった本発明のオイルリング
の化学成分を示す。このうち、No.1ないしNo.23は本
発明のオイルリングであり、No.26ないしNo.28は従来
のオイルリングである。従来のリングのうち、No.26は
SKD61鋼であり、No.27とNo.28は、それぞれ現在
ガソリン車のオイルリングとして最も多く使用されてい
る13Cr系の材料および17Cr系のオイルリングである。
【0020】
【表1】
【0021】次に供試材の製造プロセスについて述べ
る。表1の各材料のそれぞれ約6mm直径の熱間圧延後焼
鈍したコイル材をシェービングにより表面疵を除去した
後、温間伸線により直径 4.0mmの線材とし、さらに駆動
四方ロールにより、長方形断面を有するラウンドコーナ
の平角線材とした。これらそれぞれの線材を図2に概略
系統図を示した一連の加工装置により、加熱温度約800
℃で、順次進展する孔型による連続パスの温間ロールダ
イスにより異形ロール加工した。さらに、加熱装置およ
び温度測定装置がない以外は、図2とほぼ同じ装置によ
り、冷間仕上を施して、図1に概略断面図を示す全厚み
Tに対するウェブ厚みtwの比(tw/T)が約0.2の異
形溝付き線材を得た。
【0022】上記により製造した線材を連続焼鈍した
後、渦流探傷法による割れチェックを行なった。その結
果、ウェブとフランジとの境界部も含め割れは認められ
なかった。次にウェブに油孔をパンチングにより穿孔し
た後、連続炉により焼入れ焼もどし熱処理を施した。熱
処理後の触針法による表面粗さはいずれの材料とも0.6
〜1.4μmRaxであり、3S以下の規定を満足し、また、各
部の寸法公差(最も狭い公差は0.06mm)も満足するもので
あった。表1の試料No.1ないしNo.28については規定
直径のリング状にカーリングし、合口切断して窒化処理
を行なったが、いずれの材質工程とも問題なく処理する
ことができた。
【0023】一方、表1の各材料について特性評価テス
トを行なった。表2に各供試材の焼付きテスト結果およ
び摩耗テスト結果および10%硫酸、カルボン酸(5%酢酸+
5%蟻酸)による腐食減量を示す。これ等の試験には、超
高圧摩耗試験機を用いてテストした。試験片部の概略を
図3,図4に示す。焼付試験においては、同試験機を用
い下記の条件で行なった。 摩擦速度・・・8m/s 摩擦面圧力・・・初期圧 20kg/cm2、3分毎に10kg/cm2づつ
上昇 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 焼付検出・・・・ロードセルおよび動歪計にて検出(焼付時
に異常摩擦力を検知) 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25)
【0024】また、摩耗試験については、下記の条件で
テストを行ない、試験片の摩耗量を測定した。 摩擦速度・・・3m/s 摩擦面圧力・・・80kg/cm 潤滑油・・・・・モーターオイル #30,温度 80℃、ステータ
ーホルダー中心より400ml/min注油 摩擦距離・・・50km 相手材・・・・・JIS ねずみ鋳鉄4種(FC25) 耐食性については、10mmφ×20mmLのガス窒化したサン
プル(最表面除去)について、10%硫酸 40℃、40時間での
腐食減量および5%酢酸5%蟻酸+水(60℃)、40時間での腐
食減量をそれぞれ求めた。
【0025】
【表2】
【0026】表2において、本発明のピストンリングの
特徴を従来材として比較してみると、まず耐焼付性と摩
耗量の現象が顕著であると言える。これは、本発明が従
来材よりさらに高Crとなっており、さらにMo,W,V,
Nbの添加の効果により、一段とその効果が大きくなっ
ているものである。10%硫酸中の耐食性は傾向的にはCo
とMoの添加の効果が大きいようである。また、カルボ
ン酸中の耐食性は、Co,Ni,Cuの添加の効果が大き
く、従来材のオイルリングと比較するとその耐食性は顕
著に改善される。本発明のピストンリングは20.0%を越
えるCrを含有するので、通常の冷間伸線のみでは伸線
中の炭化物の破断やミクロボイドの発生により耐食性は
必ずしも保障されるものではなかった。しかし、本発明
では温間ロールダイスを使用することにより、内部の欠
陥が生じないまま、かなり複雑な横断面の形状の伸線化
を可能にしたものである。試料No.1〜No.4のようにC
−Si−Mn−Crを含む本発明の鉄合金製オイルリング
でもその機能は、従来のオイルリングと比較して十分向
上している。しかし、さらにMo,W,V,Nb,Co,Niお
よびCuを特定の範囲で適宜添加することにより、その
効果はさらに大きくなる傾向にある。
【0027】
【発明の効果】本発明材は、従来材のオイルリングと比
較して、焼付発生面圧が高く、ピストンリングに使用す
る際に発生するスカッフを著しく軽減できる。また、耐
摩耗性も従来材に比較して一段と良好である。さらに、
硫酸やカルボン酸に対する耐食性も良好で、特にカルボ
ン酸に対しては格段に優れた特性を有するので、アルコ
ール系燃料に対して十分対応できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内燃機関用2ピース型オイルリングの
断面形状の一例を示す図である。
【図2】本発明のオイルリングの製造に用いた温間ロー
ルダイス加工装置の概略系統図である。
【図3】超高圧摩耗試験装置の断面図である。
【図4】図3のA−A矢視断面図である。
【符号の説明】
1 製品または材料 1′ 油孔 2 巻出機 3 ローラ矯正機 4 高周波加熱装置 5 温度測定器 6 溝加工用孔型付駆動ロール 7 冷却装置 8 乾燥機 9 寸法測定機 10 巻取機 11 テストピン 12 Vブロック 11 試験片(5.0mm角×10L) 12 円板(相手材・・・FC25) 13 ステータホルダー 14 ロータ 15 試験片保持具 16 潤滑油注入口 17 ロードセル 18 動歪計 P 摩擦圧力 T トルク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F02F 5/00 L 8503−3G F16J 9/26 C 7366−3J

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材の化学組成が重量%でC 0.6〜1.5
    %、Si 1.5%以下、Mn 1.5%以下、Cr 20.0%を越え25.0
    %を含み、残部Feおよび不可避不純物からなるものであ
    り、焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450で、横断面形状が
    概略HまたはX字形でその左右部を繋ぐウェブ部の厚み
    寸法の前記左右部の全厚み寸法に対する比が0.3以下で
    あり、少なくともシリンダ内面との摺動面は窒化層を有
    することを特徴とする内燃機関用オイルリング。
  2. 【請求項2】 母材への添加元素が請求項1の記載の上
    にさらにMoおよびWの1種または2種をMo+1/2Wで
    3.0重量%以下を含み、残部Feおよび不可避不純物から
    なるものであり、焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450で、
    横断面形状が概略HまたはX字形でその左右部を繋ぐウ
    ェブ部の厚み寸法の前記左右部の全厚み寸法に対する比
    が0.3以下であり、少なくともシリンダ内面との摺動面
    は窒化層を有することを特徴とする内燃機関用オイルリ
    ング。
  3. 【請求項3】 母材への添加元素が請求項1または請求
    項2の上にさらにVとNbの1種または2種をV+1/2N
    bで3.0重量%以下を含み、残部Feおよび不可避不純物か
    らなるものであり、焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450
    で、横断面形状が概略HまたはX字形でその左右部を繋
    ぐウェブ部の厚み寸法の前記左右部の全厚み寸法に対す
    る比が0.3以下であり、少なくともシリンダ内面との摺
    動面は窒化層を有することを特徴とする内燃機関用オイ
    ルリング。
  4. 【請求項4】 母材への添加元素が請求項1ないし請求
    項3のいずれかの上に、さらにCoを12重量%以下、Ni
    5重量%、およびCu 5重量%以下から選ばれる1種または
    2種以上を含み、残部Feおよび不可避不純物からなる
    ものであり、焼入れ焼もどし硬さがHV300〜450で、横断
    面形状が概略HまたはX字形でその左右部を繋ぐウェブ
    部の厚み寸法の前記左右部の全厚み寸法に対する比が0.
    3以下であり、少なくともシリンダ内面との摺動面は窒
    化層を有することを特徴とする内燃機関用オイルリン
    グ。
JP4287411A 1992-10-23 1992-10-26 内燃機関用オイルリング Pending JPH06137430A (ja)

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