JP2606855Y2 - メタルシートボール弁のシール構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、メタルシートボール弁
のシール構造で、詳しくは金属製のシートの金属製のボ
ールとの着座面に二重のシール部を形成したメタルシー
トボール弁のシール構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のメタルシートボール弁としては、
図３に示すようなものがある。すなわち、流路101 を貫
通するハウジング102 の中央下部の開口103 から、流路
104 を貫通する金属製のボール105 とボール105 の両側
の金属製で円筒状の上流側シート106 と金属製で円筒状
の下流側シート107 とを流路101 の途中に嵌める。

【０００３】下流側シート107 の上流側端面はボール10
5 を受け入れ着座できるように凹球面108 に形成されて
いて、外周先端側にネジ山109 を刻設し、外周中間部に
Ｏリング110 を装着し、外周基端には回転用突起111 が
突設してある。上流側シート106 は皿バネ121 でボール
105 に向けて付勢され支持筒122 の基端側に支持され、
上流側シート106 の下流側端面はボール105 を受け入れ
着座できるように凹球面123 に形成されていて、その外
周には支持筒122 との密封を行うためＯリング124 を装
着する。支持筒122 の外周先端部にはハウジング102 と
の密封のためＯリング125 が設けられ、外周中間には流
路101 に螺着するためネジ山126 が刻設され、外周基端
には回転用突起127 が突設されている。

【０００４】下流側シート107 を回転用突起111 を回転
させてハウジング102 の流路101 に螺着し、上流側シー
ト106 を備えた支持筒122 を回転用突起127 を回転させ
てネジ山126 を全てネジ込んで流路101 に螺着し、ボー
ル105 を下流側シート107 と上流側シート106 との間に
入れて、支持筒122 をネジ戻して下流側シート107 と上
流側シート106 とでボール105 を挟持させる。

【０００５】次に、内面支え131 を突設した下蓋132 で
ハウジング102 の開口103 を覆いボルト133 でハウジン
グ102 に螺締し、支え131 でボール103 の外平面134 を
支持させる。下蓋132 とハウジング102 との密封はＯリ
ング146 で行う。ボール105 の外平面134 に対向する外
平面135 に溝136 を刻設し、ハウジング102 に挿入した
ステム137 の先端の突片154 を溝136 に嵌める。ステム
137 とハウジング102 の間にはステム137 の先端側にブ
ッシュ138 をステム137 に外嵌めし、続いてパッキン13
9 をステム137 に外嵌めしてハウジング102 との間を密
封し、円筒状の押え140 を介して押え板141 をハウジン
グ102 から突設したボルト142 を挿通させてナット143
で螺締する。押え140 の内面にはステム137 との密封の
ためＯリング144 がステム137 に外嵌めされている。

【０００６】このようにしてなるメタルシートボール弁
は、ステム137 の基端145 を回動させることによりステ
ム137 の先端の突片154 がボール105 の溝136 に係合し
てボール105 を回動させハウジング102 の流路101 を遮
断したり連通させたりする。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】従来のメタルシートボ
ール弁において、図４に示すように、シート106 ・107
のボール105 との着座面123 ・108 にシール部152 ・15
1 はそれぞれ１箇所形成してある。流体圧力によるシー
ル面圧の増加や異物かみ込みによるシール部151・152
に傷が発生しシールの機能を果たさないことがある。

【０００８】また、ボール105 を回動させて流体を流過
から遮断あるいは遮断から流過に切換える際、その途中
で図４に示す状態となる。ボール105 の流路104 を通っ
て下流側シート107 を通って下流に流れるだけでなく、
上流側シート106 を通って流路104 より弁室153 に流れ
込み、弁としてのシール機能が損なわれる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】そこで、本考案は、上記
の事情に鑑み、メタルシートボール弁において、シール
性能の向上とシール面圧低下・かみ込み現象によりシー
トの傷付き防止を図るべく、流路を貫通した金属製のボ
ールの両側に金属製で円筒状のシートを配置してシート
にボールを着座させてボールを回動させ流体を流過させ
たり遮断したりするメタルシートボール弁において、シ
ートのボールとの着座面に小径シール部と大径シール部
とを形成し、小径シール部と大径シール部との間に非接
触部を形成し前記ボールに設けた流路の径が前記非接触
部の幅より大きく、且つ小径シール部と大径シール部に
股がってなるメタルシートボール弁のシール構造とし
た。

【００１０】

【作用】本考案は、シートのボールとの着座面に小径シ
ール部と大径シール部とを形成し、小径シール部と大径
シール部との間に非接触部を形成したので、メタルシー
トボール弁において、シール性能の向上とシール面圧低
下・かみ込み現象によりシートの傷付き防止ができる。

【００１１】

【実施例】本考案を、添付する図面に示す具体的な実施
例に基づいて、以下詳細に説明する。すなわち、流路１
を貫通するハウジング２の中央下部の開口３から、流路
４を貫通する金属製のボール５とボール５の両側の金属
製で円筒状の上流側シート６と金属製で円筒状の下流側
シート７とを流路１の途中に嵌める。

【００１２】下流側シート７の上流側端面はボール５を
受け入れ着座できるように凹球面８に形成されていて、
外周先端側にネジ山９を刻設し、外周中間部にＯリング
10を装着し、外周基端には回転用突起11が突設してあ
る。上流側シート６は皿バネ21でボール５に向けて付勢
され支持筒22の基端側に支持され、上流側シート６の下
流側端面はボール５を受け入れ着座できるように凹球面
23に形成されていて、その外周には支持筒22との密封を
行うためＯリング24を装着する。支持筒22の外周先端部
にはハウジング２との密封のためＯリング25が設けら
れ、外周中間には流路１に螺着するためネジ山26が刻設
され、外周基端には回転用突起27が突設されている。

【００１３】下流側シート７を回転用突起11を回転させ
てハウジング２の流路１に螺着し、上流側シート６を備
えた支持筒22を回転用突起27を回転させてネジ山26を全
てネジ込んで流路１に螺着し、ボール５を下流側シート
７と上流側シート６との間に入れて、支持筒22をネジ戻
して下流側シート７と上流側シート６とでボール５を挟
持させる。

【００１４】次に、内面支え31を突設した下蓋32でハウ
ジング２の開口３を覆いボルト33でハウジング２に螺締
し、支え31でボール５の外平面34を支持させる。下蓋32
とハウジング２との密封はＯリング46で行う。ボール５
の外平面34に対向する外平面35に溝36を刻設し、ハウジ
ング２に挿入したステム37の先端の突片54を溝36に嵌め
る。ステム37とハウジング２の間にはステム37の先端側
にブッシュ38をステム37に外嵌めし、続いてパッキン39
をステム37に外嵌めしてハウジング２との間を密封し、
円筒状の押え40を介して押え板41をハウジング２から突
設したボルト42を挿通させてナット43で螺締する。押え
40の内面にはステム37との密封のためＯリング44がステ
ム37に外嵌めされている。

【００１５】このようにしてなるメタルシートボール弁
は、ステム37の基端45を回動させることによりステム37
の先端の突片54がボール２の溝36に係合してボール５を
回動させハウジング２の流路１を遮断したり連通させた
りする。このメタルシートボール弁において、図２に示
すように、シート６・７のボール５との着座面８・23に
同芯状の小径シール部61・71と大径シール部62・72とを
形成し、小径シール部61・71と大径シール部62・72との
間に非接触部63・73を形成する。

【００１６】シート６・７のボール５との着座面８・23
に同芯状の小径シール部61・71と大径シール部62・72を
形成することでシール性能の高いメタルシートボール弁
が得られた。また、２重シールにすることでシート部の
傷の発生が少なくなる。さらに、ボール５を回動させて
流体を流過から遮断あるいは遮断から流過に切換える
際、その途中で図２に示す状態となるが、上流側シート
６を通った流体は小径シール部61・71および大径シール
部62・72で遮断され弁室53に流体が流入するようなこと
はなくシール性能が向上する。

【００１７】

【考案の効果】本考案は、上述のように、流路を貫通し
た金属製のボールの両側に金属製で円筒状のシートを配
置してシートにボールを着座させてボールを回動させ流
体を流過させたり遮断したりするメタルシートボール弁
において、シートのボールとの着座面に小径シール部と
大径シール部とを形成し、小径シール部と大径シール部
との間に非接触部を形成し前記ボールに設けた流路の径
が前記非接触部の幅より大きく、且つ小径シール部と大
径シール部に股がってなるメタルシートボール弁のシー
ル構造であるので、シール性能の高いメタルシートボー
ル弁が得られる。

【００１８】また、本考案は、二重シールにすることで
シートの傷の発生が少なくなる。さらに、本考案は、ボ
ールを回動させて流体を流過から遮断あるいは遮断から
流過に切換える際、その途中で上流側シートを通った流
体は小径シール部および大径シール部で遮断され弁室に
流体が流入するようなことはなくシール性能が向上す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のメタルシートボール弁の具体的一実施
例の縦断面図である。

【図２】図１の要部の拡大断面図である。

【図３】従来のメタルシートボール弁の縦断面図であ
る。

【図４】図３の要部の拡大縦断面図である。

【符号の説明】

１…流路 ５…ボール ７・８…シート ７・23…着座面 61・71…小径シール部 62・72…大径シール部 63・73…非接触部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 田村 悦子 兵庫県西宮市上田東町４番97号 甲南電 機株式会社内 (72)考案者 田中 久美子 兵庫県西宮市上田東町４番97号 甲南電 機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭52−118626（ＪＰ，Ａ) 特公 昭43−28197（ＪＰ，Ｂ１) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F16K 5/06

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 流路を貫通した金属製のボールの両側に
   金属製で円筒状のシートを配置してシートにボールを着
   座させてボールを回動させ流体を流過させたり遮断した
   りするメタルシートボール弁において、シートのボール
   との着座面に小径シール部と大径シール部とを形成し、
   小径シール部と大径シール部との間に非接触部を形成し
   前記ボールに設けた流路の径が前記非接触部の幅より大
   きく、且つ小径シール部と大径シール部に股がってなる
   メタルシートボール弁のシール構造。