JP2605519B2 - 磁気探傷方法およびその装置 - Google Patents

磁気探傷方法およびその装置

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JP2605519B2 JP23324591A JP23324591A JP2605519B2 JP 2605519 B2 JP2605519 B2 JP 2605519B2 JP 23324591 A JP23324591 A JP 23324591A JP 23324591 A JP23324591 A JP 23324591A JP 2605519 B2 JP2605519 B2 JP 2605519B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は金属体の表面または内部
に存在する欠陥を磁気を用いて検出する磁気探傷方法お
よびこの方法を用いた磁気探傷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】金属体としての薄鋼帯の内部または表面
に疵,異物等の欠陥が存在すると、この薄鋼帯を絞り加
工する場合や、曲げ加工する場合に亀裂が発生して致命
的な損傷を被る懸念がある。したがって、薄鋼帯製造工
場の検査ラインにおいて、欠陥の発生と欠陥規模とを精
度よく検出する必要がある。
【0003】従来から、薄鋼帯の表面または内部に存在
する欠陥を効率よく検出する検出法として磁気探傷方法
が提唱されている。この磁気探傷方法においては、薄鋼
帯の表面に対向させて磁化器を配置して、この磁化器の
磁化コイルに励磁電流を流し、薄鋼帯を直流磁化する。
そして、直流磁化された薄鋼帯内に欠陥が存在すると、
欠陥の規模に応じた漏洩磁束が生じる。そして、この漏
洩磁束を薄鋼帯表面の近傍に配設された磁気センサでも
って検出することによって、欠陥の発生位置と欠陥規模
を測定できる。
【0004】そして、薄鋼帯を静止した状態で測定する
のみならず、例えば工場等の製造ライン等において、走
行中の薄鋼帯に存在する欠陥を連続的に検出できる磁気
探傷装置が提唱されている(実開昭63−107849
号公報,実開昭61−170068号公報)。
【0005】この磁気探傷装置においては、走行する薄
鋼帯の一方面に当接して、薄鋼帯が走行することによっ
て回転する中空ロール内に、磁化器と磁気センサとが中
空ロールに連動して回転しないように固定軸に固定され
ている。そして、磁化器でもって薄鋼帯内の走行方向に
磁界を生起させ、薄鋼帯内に存在する欠陥に起因する漏
洩磁束を磁化器の磁極間に配設された前記磁気センサで
検出する。欠陥規模は漏洩磁束の大きさに比例するの
で、磁気センサの出力信号レベルが欠陥規模に対応す
る。このような磁気センサを中空ロール内の軸方向、す
なわち、薄鋼帯の幅方向に多数配設すれば、薄鋼帯の厚
さ,材質が一定の条件においては、薄鋼帯に存在する欠
陥の幅方向の発生位置と概略の欠陥規模を検出できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たような漏洩磁束を測定する磁気探傷装置においてもま
だ解消すべき次のような問題かあった。
【0007】図12(a)(b)を用いて問題点を説明
する。図12は薄鋼帯内に磁化器でもって磁界を発生さ
せた状態を示す。そして、図12(a)は内部に欠陥が
存在する場合の磁力線を示し、図12(b)は欠陥が全
く存在しない健全部における磁力線の状態を示す。
【0008】欠陥が存在する図12(a)においては、
薄鋼帯の外部に磁力線が大きくはみ出て、漏洩磁束を形
成する。そして、この漏洩磁束が薄鋼帯の表面近傍に配
設された磁気センサで検出される。
【0009】一方、欠陥が存在しない図12(b)の健
全部においては、薄鋼帯に外部に全く磁力線がはみ出な
いことはなく、例えば材質の組成等の影響等によって、
微小の磁力線が必ずはみ出る。このように、たとえ健全
部であってもある程度の磁力線は外部へはみ出て、浮遊
磁束を形成する。
【0010】したがって、磁気センサの出力信号には、
たとえ健全部であってもこの浮遊磁束に対応する値を含
む。逆に、欠陥が存在している場合には、欠陥に起因す
る漏洩磁束と浮遊磁束との合計に対応した値が磁気セン
サの出力信号に含まれる。
【0011】大規模欠陥のみを問題にする場合は、この
浮遊磁束の影響は少ない。しかし、小規模な欠陥まで精
度よく検出する場合は、この浮遊磁束の影響を無視でき
ない。この浮遊磁束の大きさは、検査対象としての薄鋼
帯の磁気抵抗、すなわち、薄鋼帯の板厚や材質によって
大きく変動する。したがって、この一定しない浮遊磁束
を含む漏洩磁束を測定したとしても、この漏洩磁束の大
きさは欠陥規模に対応しない。
【0012】また、欠陥を連続して検出している過程に
おいては、この浮遊磁束は磁気センサの出力信号におい
ては雑音レベル(バックグランドノイズを含む)とな
る。よつて、この雑音レベルが薄鋼帯の種類を変更する
毎に変動すれば、出力信号のS/Nが変動する。
【0013】このため、一定のしきい値で欠陥の有無を
自動的に判断し、さらに欠陥規模を特定する場合に正確
に作動しないことになる。また、実際には、浮遊磁束が
変動すると、漏洩磁束も浮遊磁束の変動分以上に変動す
るので、欠陥規模に対応しない出力信号が得られること
になる。
【0014】したがって、上述した磁気探傷方法および
磁気探傷装置においては、検査対象となる薄鋼帯の板厚
や材質の違いで、たとえ同一規模の欠陥であったとして
も、欠陥の検出信号レベルが異なり、欠陥の検出精度が
低下し、装置全体の欠陥検出の信頼性が低下する問題が
ある。
【0015】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、磁化器の励磁電流値を制御することによっ
て、たとえ検査対象としての金属体の厚さや材質が変化
したとしても、磁気センサにて検出された欠陥の検出信
号の信号レベルは、常に欠陥規模に正確に対応した値と
なり、かつ雑音となる浮遊磁束のレベルを常に一定に維
持でき、結果として、欠陥検出精度を向上できかつ検出
信号のS/Nを向上できる磁気探傷方法及び磁気探傷装
置を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明の方法は、磁化器でもって金属体内に磁界を発
生させ、この金属体の内部または表面の欠陥に起因して
生じる漏洩磁束を磁気センサでもって検出する磁気探傷
方法において、金属体における欠陥が生じていない健全
部においても発生する浮遊磁束を検出し、検出された浮
遊磁束が予め定められた一定値になるように、磁化器の
励磁電流を制御するようにしている。
【0017】また、本発明の装置は、金属体の表面に対
向配設され、この金属体内に磁界を発生させる磁化器
と、この磁化器に励磁電流を供給する磁化電源と、金属
体の近傍に配設され、金属板の内部または表面の欠陥に
起因して生じる漏洩磁束を検出する磁気センサとを備え
た磁気探傷装置において、金属体における欠陥が生じて
いない健全部に発生する浮遊磁束を磁気センサで検出す
る浮遊磁束検出手段と、この検出された浮遊磁束が予め
定められた一定値になるように、前記励磁電流を制御す
る励磁電流制御手段とを備えたものである。
【0018】さらに、磁化器を、金属体の走行路に直交
する固定軸に回転自在に支持され走行路を走行する金属
体の表面に接することによって回転する中空ロール内に
配設することが、測定精度を向上する上で効果がある。
【0019】
【作用】先ず、浮遊磁束が予め定められた一定値になる
ように磁化器の励磁電流を制御すると、欠陥に起因する
検出信号レベルが、たとえ検査対象の金属体の板厚や材
質が変化したとしても一定値を維持する理由を説明す
る。
【0020】前述したように検査対象となる金属体は板
厚や材質によって変化する磁気抵抗Rが存在する。した
がって、外部の磁化器によって同一の磁界を印加したと
しても金属体内に生起される磁界の強度が異なる。すな
わち、磁気抵抗Rが増加すると内部を通る磁束数Nが減
少し、磁気抵抗Rが減少すると磁束数Nが増加する。ま
た、浮遊磁束は微細な結晶や組成の不揃いに起因すると
考えると、磁気抵抗Rに比例したミクロな欠陥と見なす
ことが可能である。このミクロな欠陥の規模をA(=k
1 R)とすると、この欠陥の存在により外部へはみ出し
た磁力線が浮遊磁束となる。よって、この浮遊磁束Φ0
は(1) 式となる。 Φ0 =kAN=k・k1 RN …(1) 同様に本来の欠陥の規模をBとすると、この欠陥に起因
する漏洩磁束Φ1は(2)式となる。 Φ1 =kBN …(2) なお、kは定数である。よって、磁気センサで検出され
る磁束Φは浮遊磁束と漏洩磁束とを加算した値となる。 Φ=Φ0 +Φ1 =k(AN+BN) …(3)
【0021】(1)(2)(3) 式において、たとえ
金属体の材質や板厚が変化しても、漏洩磁束Φ1 が変化
しないことが条件となる。したがって、磁束数Nが一定
である必要がある。この磁束数Nを一定にするには、浮
遊磁束Φ0 を一定に制御すればよい。すなわち、例えば
材質や板厚が変化して磁気抵抗Rが増加すると磁束数N
が低下するが、浮遊磁束Φ0 が一定であれば、外部から
この金属体に印加する磁界の強度を上昇させて磁束数N
の低下分を補う必要がある。したがって、浮遊磁束Φ0
が一定であれば、磁束数Nは一定となる。その結果、た
とえ検査対象の金属体の板厚や材質が変化したとして
も、本来の欠陥に起因する検出信号レベルが一定とな
る。
【0022】そして、この発明においては、金属体の健
全部においても発生する浮遊磁束を検出して、検出され
た浮遊磁束が一定値になるように磁化器の励磁電流値を
制御している。
【0023】よって、検査対象となる金属体の板厚や材
質が変更になった時に、浮遊磁束が予め設定された基準
サンプルに対する基準浮遊磁束に一致するように励磁電
流を調整すれば、種類が異なる全て金属体に対して同一
ゲインで欠陥規模を測定できる。
【0024】また、磁化器を金属体が接触する中空ロー
ル内に収納することによって、磁化器と金属体との間の
距離を常に一定値に制御でき、金属体内に発生する磁界
の強度を同一種類の金属体に対して常に一定値に制御で
き、装置全体の測定精度を向上できる。
【0025】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。図2は実施例の磁気探傷方法を採用した磁気探傷装
置の概略構成を示す図であり、同図(a)(b)はそれ
ぞれ異なる方向から見た断面模式図である。
【0026】非磁性材料で形成された中空ロール1の中
心に固定軸2の一端が貫通されている。この固定軸2の
他端は図示しない建屋のフレームに支持されている。そ
して、固定軸2は中空ロール1の中心に位置するように
一対のころがり軸受3a,3bでもって中空ロール1の
両端の内周面に支持されている。したがって、この中空
ロール1は固定軸2を回転中心軸として自由に回転す
る。
【0027】中空ロール1内に、略コ字断面形状を有し
た磁化鉄心4cが、その各磁極4a,4bが中空ロール
1の内周面に近接する姿勢で、支持部材5を介して固定
軸2に固定されている。この磁化鉄心4cに磁化コイル
6が巻装されている。したがって、この磁化鉄心4cと
磁化コイル6とで磁化器4を構成している。磁化鉄心4
cの磁極4a,4bの間に複数の磁気センサ7aを軸方
向にアレイ状に配列してなる磁気センサ群7がやはり固
定軸2に固定されている。
【0028】磁化コイル6に励磁電流を供給するための
電源ケーブル8および磁気センサ群7の各磁気センサ7
aの検出信号を取出すための信号ケーブル9は固定軸2
内を経由して外部へ導出されている。したがって、磁化
器4および磁気センサ群7の位置は固定され、中空ロー
ル1が磁化器4および磁気センサ群7の外周を微小間隙
を有して回転する。
【0029】このような構成の磁気探傷装置の中空ロー
ル1の外周面を例えば矢印a方向に走行状態の金属体と
しての薄鋼帯10の一方面に所定圧力でもって押し当て
ると、固定軸2はフレームに固定されているので、中空
ロール1が矢印b方向に回転する。図1は各磁気センサ
7aから得られた検出信号を処理するとともに、磁化器
4を制御する制御装置11を示すブロック図である。
【0030】各磁気ンサ7aから各信号ケーブル9を介
して導出された検出信号は制御装置11内のマルチプレ
クサ12へ入力される。マルチプレクサ12はデータ処
理部14からの指令によって、一定のサンプリング周期
でもって、各磁気センサ7aから入力された各検出信号
を時分割多重化して次の信号処理回路13へ送出する。
信号処理回路13は、内部に雑音除去のためのローパス
フィルタ,ピーク値検出回路.加減演算回路,増幅器,
A/D変換器等を内臓している。そして、信号処理回路
13は入力した各磁気センサ7aの検出信号を漏洩磁束
に対応したデジタルの出力電圧V0 に変換して次のデー
タ処理部14へ送出する。
【0031】データ処理部14は、例えばマイクロコン
ピュータから構成されており、内部記憶部に前記各磁気
センサ7a毎の感度係数Ka を記憶する。そして、各磁
気センサ7aの出力電圧V0 に各感度係数Ka を乗算し
て、欠陥規模に対応する電圧Vf を求めて表示器15へ
表示する。 Vf =Ka ・V0 …(4) また、このデータ処理部14には、操作パネル16、お
よび磁化器4の磁化コイル6に励磁電流Iを供給する磁
化電源17が接続されている。
【0032】このような磁気検出装置において、磁化電
源17から磁化コイル6に励磁電流Iを供給すると、磁
化鉄心4cの各磁極4a,4bと走行中の薄鋼帯10と
で閉じた磁路が形成される。そして、薄鋼帯10の内部
あるいは表面に欠陥が存在すると、薄鋼帯10内の磁路
が乱れ、漏洩磁束が生じる。この漏洩磁束が磁気センサ
群7を構成する該当欠陥位置に対向する磁気センサ7a
で検出され、この磁気センサ7aから該当欠陥に対応す
る検出信号が出力される。そして、信号処理回路13か
ら出力された薄鋼帯10の幅方向に各位置の出力電圧V
0 は欠陥規模に対応する電圧Vf に変換されて、図4ま
たは図7に示すフォーマットで表示器15に表示さる。
【0033】図4は全く欠陥が存在しない薄鋼帯10を
測定した場合における表示器15に表示された各幅方向
位置の各出力電圧を示す図である。台形特性の中央部の
レベルが薄鋼帯10における浮遊磁束に対応する雑音レ
ベルであり、両端部のレベルが薄鋼帯10が存在しない
中空ロール1における雑音レベルである。図4は薄鋼帯
10に全く欠陥が存在した場合における各幅方向位置に
おける浮遊磁束に起因する雑音信号と欠陥検出信号の各
レベルを示す図である。そして、前記データ処理部14
は図3に示す電流調整処理を実行するようにプログラム
構成されている。
【0034】すなわち、流れ図が開始されると、磁気セ
ンサ郡7の幅方向の中央部におけるM個の磁気センサ7
aからの各出力電圧Vf を取出す。そして、図7に示す
ように、実際の欠陥が存在していた場合を考慮して、予
め設定されたしきい値以上の出力電圧Vf を破棄する。
そして、破棄後の各出力電圧Vf の平均値Vf0を算出す
る。そして、この平均値Vf0をm個単位で移動平均す
る。
【0035】そして、予め設定された基準電圧Vfs(設
定雑音レベル)からこの移動平均値Vf0を減算して、こ
の偏差ΔV(=Vfs−Vf0)が予め設定された±0.5
Vの許容誤差ΔVa 範囲内に入るか否かを判断する。許
容範囲に入っていれば、なにもしない。許容範囲を上方
に外れれば、磁化器17へ磁化電流Iの増加指令を送出
し、逆に許容範囲を下方に外れれば、磁化器17へ磁化
電流Iの減少指令を送出する。したがって、検出された
移動平均値Vf0が基準電圧Vfsになるように、磁化器4
に対する励磁電流Iが変化し、最終的に、検出された浮
遊磁束が予め設定された基準値に一致する。
【0036】したがって、たとえ薄鋼帯10の板厚や材
質が変化したとしても、浮遊磁束に対応する出力電圧V
f が基準電圧Vfsに一致するので、薄鋼帯10内の磁力
線数Nが一定となり、同一規模の欠陥に対しては同一出
力電圧VF が得られる。発明者は実施例装置の効果を確
認するために予め欠陥規模が既知の複数のサンプルを用
いて欠陥測定を行った。
【0037】そして、図5(a)(b)(c)(d)に
示すように、同一材質Aを用い、板厚0.16 mm の鋼板に
直径0.2 mm,0.3 mm,0.6 mmのドリル貫通孔を加工し、
前記鋼板と同一材質Aで、板厚0.1 mm,0.16 mm ,0.32
mm の各々2枚の薄鋼帯で前記ドリル貫通孔を加工した
薄鋼帯を挟むように重ねて、板厚dが異なる4種類の人
工欠陥サンプル18a,18b,18c,18dを作成
した。
【0038】さらに、図6(a)(b)(c)(d)に
示すように、板厚0.16 mm の鋼板に直径0.2 mmのドリル
貫通孔を加工したそれぞれ材質B,C,D,Eのみが異
なる4種類の人工欠陥サンプル19a,19b,19
c,19dを作成した。
【0039】そして、これらの合計8種類の人工欠陥サ
ンプル18a〜19dに対して、磁化器4に対する励磁
電流Iを一定値に固定した状態で、図1,図2に示す実
施例装置を用いて欠陥測定を実施した。測定結果を図7
に示す。図7の測定結果でも理解できるように、材質や
板厚が異なれば、たとえ同一欠陥規模であっても、欠陥
検出信号の出力電圧レベルが異なることが理解できる。
同時に、浮遊磁束を示す雑音電圧レベルも異なる。
【0040】図8に板厚dと欠陥検出信号の出力電圧レ
ベルとの関係を示す。この図から明らかなように、同一
欠陥規模であっても、板厚dが厚くなると出力電圧レベ
ルが低下する。また、板厚dが厚くなると浮遊磁束に対
応する雑音電圧レベルが低下する。
【0041】なお、図8には、磁気センサ7aを図1に
示すように中空ロール1内に収納した場合と、図11に
示すように、中空ロール1の外側に配設した場合におけ
る出力電圧レベルの比較も同時に表示している。図示す
るように、磁気センサ7aを中空ロール1内に収納した
場合と、磁気センサ7aを中空ロール1外へ配設した場
合とでは、欠陥検出特性相互間に統計上の有意差は認め
られない。よって、以後は磁気センサ7aが中空ロール
1内に収納された装置で実験した結果について述べる。
【0042】図10に、各材質毎に、同一規模の欠陥
(0.2mmドリル貫通孔)に対する欠陥検出信号の出力
電圧レベルとそのときの浮遊磁束に対応する雑音電圧レ
ベルとの比較を示す。この図から理解できるように、各
材質の欠陥に対する出力電圧レベルに対する雑音電圧レ
ベルの比は各材質に亘ってほぼ一定していることが理解
できる。
【0043】そこで、欠陥に起因する検出信号の出力電
圧レベルが磁化器4に印加する励磁電流I0 に比例する
と仮定する。そして、各材質A〜Eおよび各板厚0.16mm
〜0.8mm における0.2 mmドリル貫通孔の欠陥を測定した
時の各出力電圧レベルが、基準となる人工欠陥サンプル
18aにおける出力電圧レベルに一致するためには、そ
れぞれ基準励磁電流I0 に対してどのくらいの比率の励
磁電流を供給したらよいかを示す励磁電流比を求めた。
結果を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】前述したように、出力電圧レベルに対する
雑音電圧レベルの比は各材質に亘ってほぼ一定している
ので、この各励磁電流比は同一の浮遊磁束に対応する雑
音電圧レベルを得るための励磁電流比でもある。
【0046】そして、この表に示す励磁電流比に対応す
るそれぞれの励磁電流Iを磁化器4に供給した状態で、
規模が異なるそれぞれの欠陥を測定した。測定結果を図
10(a)(b)に示す。
【0047】図10(a)にも明らかなように、たとえ
板厚dが変化したとしても、各欠陥規模毎にほぼ一定の
電圧出力レベルおよび雑音電圧レベルを確保することが
できた。また、図10(b)に示すように、たとえ材質
が変化したとしても、各欠陥規模毎にほぼ一定の電圧出
力レベルおよび雑音電圧レベルを確保することができ
た。
【0048】このように、たとえ検査対象となる薄鋼帯
10の材質や板厚が変化したとしても、磁気センサ7a
で検出される浮遊磁束が常に一定値になるように磁化器
4に対する励磁電流Iを制御することによって、常に欠
陥規模に対して正確に対応した出力値が得られる。
【0049】また、雑音電圧レベルとなる浮遊磁束が一
定値に制御されるので、磁気センサ7aの検出信号に含
まれる雑音信号レベルを常に一定値に維持できるので、
常に安定したS/Nを維持できる。このように、一定し
たS/Nでもって欠陥規模に対した正確な出力値が得ら
れるので、欠陥検精度を大幅に向上できる。
【0050】なお、本発明は上述した実施例に限定され
るものではない。実施例装置においては、磁気センサ7
aを中空ロール1内へ収納したが、例えば、図11に示
すように外部に設けることが可能である。すなわち、図
11の実施例においては、中空ロール1に薄鋼帯10を
挟んで対向する位置に固定軸2aが配設されており、こ
の固定軸2aに支持部材を介して、多数の下向きの磁気
センサ7bからなる磁気センサ群が固定されたいる。し
たがって、中空ロール1内には磁気センサ7aは設けら
れていない。各磁気センサ7bは薄鋼帯10を介して磁
化器4の各磁極4a,4bに対向する。
【0051】このように構成された磁気探傷装置であっ
ても、磁化器4でもって薄鋼帯に磁界が形成され、欠陥
に起因する漏洩磁束を各磁気センサ7bで検出できる。
よって、先に説明した実施例とほぼ同様の効果を得るこ
とができる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように本発明の磁気探傷方
法および磁気探傷装置によれば、磁化器によって検査対
象としての金属体内に磁界を発生させたときに欠陥が生
じていない健全部においても発生する浮遊磁束を検出
し、検出された浮遊磁束が予め定められた一定値になる
ように、磁化器の励磁電流を制御している。したがっ
て、たとえ検査対象としての金属体の厚さや材質が変化
したとしても、磁気センサにて検出された欠陥の検出信
号の信号レベルは、常に欠陥規模に正確に対応した値と
なる。また、雑音となる浮遊磁束のレベルを常に一定に
維持でき、結果として、欠陥検出精度を向上できかつ検
出信号のS/Nを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わる磁気探傷方法を適
用した磁気探傷装置の制御装置を示すブロック図、
【図2】 同装置の概略構成を示す断面模式図、
【図3】 同装置の動作を示す流れ図、
【図4】 同装置で測定した欠陥のない健全部における
出力電圧特性図、
【図5】 同装置の効果を確認するための人工欠陥サン
プルを示す図、
【図6】 同じく同効果を確認するための人工欠陥サン
プルを示す図、
【図7】 同人工欠陥サンプルを測定した結果を示す
図、
【図8】 同人工欠陥サンプルを測定した結果を板厚を
横軸に示す図、
【図9】 同人工欠陥サンプルを測定した結果を材質を
横軸に示す図、
【図10】 同人工欠陥サンプルを励磁電流を変化させ
て測定した結果を示す図、
【図11】 本発明の他の実施例に係わる磁気探傷装置
の概略構成を示す断面模式図、
【図12】 一般的な薄鋼帯内を通過する磁束の状態を
示す図。
【符号の説明】
1…中空ロール、2,2a…固定軸、4…磁化器、6…
磁化コイル、7a,7b…磁気センサ、10…薄鋼帯、
11…制御装置、12…マルチプレクサ、13…信号処
理回路、14…データ処理部、15…表示器、17…磁
化電源。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁化器でもって金属体内に磁界を発生さ
    せ、この金属体の内部または表面の欠陥に起因して生じ
    る漏洩磁束を磁気センサでもって検出する磁気探傷方法
    において、 前記金属体における欠陥が生じていない健全部において
    も発生する浮遊磁束を検出し、検出された浮遊磁束が予
    め定められた一定値になるように、前記磁化器の励磁電
    流を制御する磁気探傷方法。
  2. 【請求項2】 金属体の表面に対向配設され、この金属
    体内に磁界を発生させる磁化器と、この磁化器に励磁電
    流を供給する磁化電源と、前記金属体の近傍に配設さ
    れ、前記金属板の内部または表面の欠陥に起因して生じ
    る漏洩磁束を検出する磁気センサとを備えた磁気探傷装
    置において、 前記金属体における欠陥が生じていない健全部に発生す
    る浮遊磁束を前記磁気センサで検出する浮遊磁束検出手
    段と、この検出された浮遊磁束が予め定められた一定値
    になるように、前記励磁電流を制御する励磁電流制御手
    段とを備えた磁気探傷装置。
  3. 【請求項3】 前記磁化器は、金属体の走行路に直交す
    る固定軸に回転自在に支持され前記走行路を走行する金
    属体の表面に接することによって回転する中空ロール内
    に配設されたことを特徴とする請求項2記載の磁気探傷
    装置。
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