JP2697435B2 - 磁気探傷装置の校正方法及び装置 - Google Patents

磁気探傷装置の校正方法及び装置

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JP2697435B2
JP2697435B2 JP3331874A JP33187491A JP2697435B2 JP 2697435 B2 JP2697435 B2 JP 2697435B2 JP 3331874 A JP3331874 A JP 3331874A JP 33187491 A JP33187491 A JP 33187491A JP 2697435 B2 JP2697435 B2 JP 2697435B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板に磁界を発生させ
て、漏洩磁束をリニア状に配設された複数の磁気センサ
からなる磁気センサ群でもって検出することによって鋼
板に存在する欠陥を検出する磁気探傷装置の校正方法及
びその校正装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気を利用して、鋼板の内部あるいは表
面に存在する疵,気泡等の欠陥を検出する磁気探傷装置
は、被探傷体としての鋼板を静止させた状態で、磁気探
傷装置を鋼板の全表面に亘って移動させて各位置におけ
る欠陥の有無を検出する必要があった。しかし、磁束を
検出する磁気センサをリニア状に配設した磁気センサ群
を内部に組込み、一定速度で走行中の薄鋼帯の全幅に存
在する欠陥を連続的に検出できる磁気探傷装置が提唱さ
れている(実開昭63−107849号公報)。
【0003】図19は上述した走行中の薄鋼帯の欠陥を
連続的に検出する磁気探傷装置を示す図であり、同図
(a)(b)はそれぞれ異なる方向から見た断面模式図
である。
【0004】図中1は非磁性材料で形成された中空ロー
ルであり、この中空ロール1の中心軸に固定軸2の一端
が貫通されている。この固定軸2の他端は図示しない建
屋のフレームに固定されている。そして、固定軸2は中
空ロール1の中心軸に位置するように一対のころがり軸
受3a,3bでもって中空ロール1の両端の内周面に支
持されている。したがって、この中空ロール1は固定軸
2を回転中心軸として自由に回転する。
【0005】この中空ロール1内において、略コ字断面
形状を有した磁化鉄心4cが、その各磁極4a,4bが
中空ロール1の内周面に近接する姿勢で、支持部材5を
介して固定軸2に固定されている。この磁化鉄心4cに
磁化コイル6が巻装されている。したがって、この磁化
鉄心4cと磁化コイル6とで磁化器4を構成している。
磁化鉄心4cの磁極4a,4bの間に複数の磁気センサ
7aを軸方向にリニア状に配列してなる磁気センサ群7
がやはり固定軸2に固定されている。
【0006】磁化コイル6に励磁電流を供給するための
電源ケーブル8および磁気センサ群7の各磁気センサ7
aの出力信号を取出すための信号ケーブル9は固定軸2
内を経由して外部へ導出されている。したがって、磁化
器4および磁気センサ群7の位置は固定され、中空ロー
ル1が磁化器4および磁気センサ群7の外周を微小間隙
を有して回転する。
【0007】このような構成の磁気探傷装置の中空ロー
ル1の外周面を例えば矢印a方向に走行状態の薄鋼帯1
0の一方面に所定圧力でもって押し当てると、固定軸2
はフレームに固定されているので、中空ロール1が矢印
b方向に回転する。
【0008】このような磁気探傷装置において、磁化コ
イル6に励磁電流を供給すると、磁化鉄心4cの各磁極
4a,4bと走行中の薄鋼帯10とで閉じた磁路が形成
される。そして、薄鋼帯10の内部あるは表面に欠陥が
存在すると、薄鋼帯10内の磁路が乱れ、漏洩磁束が生
じる。この漏洩磁束が磁気センサ群7を構成する該当欠
陥位置に対向する磁気センサ7aで検出され、該磁気セ
ンサ7aから該当欠陥に対応する信号が出力される。
【0009】検出された信号はその信号レベルが薄鋼帯
10内部または表面の欠陥の規模(大きさ)と対応する
ので、出力信号の信号レベルを測定することによって薄
鋼帯10の内部または表面に存在する欠陥の幅方向の発
生位置とその規模が把握できる。
【0010】このように鋼板の内部または表面に存在す
る欠陥の規模を磁気センサ群7を構成する各磁気センサ
7aで検出された漏洩磁束の強度で判定している。した
がって、各磁気センサ7aの感度を全部の磁気センサ7
aに亘って均一になるように調整する必要がある。ま
た、他の磁気探傷装置との間における磁気センサ群7全
体としての感度も一致させる必要がある。経時的な感度
の変化に対しては定期的に調整する必要がある。さら
に、検出量と欠陥規模の絶対値との対応も把握しておく
必要がある。
【0011】このため、従来は、それぞれ規模の異なる
標準となる人工欠陥を有した標準欠陥試料を被探傷体と
同一の材料で複数個作成し、作成された各標準欠陥試料
を線状の磁気センサ群7を構成する1個1個の各磁気セ
ンサ7a上において、各磁気センサ7a1個づづ感度を
校正していた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかし、標準欠陥試料
を用いて磁気センサ群7の各磁気感センサ7aを校正す
る場合は、標準欠陥試料の経時変化が問題となる。腐食
や取扱い上の不注意による損傷や劣化が経時変化の大き
な要因であるが、他にも標準欠陥試料の材質的劣化が問
題となる場合がある。よって、標準欠陥試料の保管や破
損時の再製作に多大の時間と労力を必要とした。
【0013】また、校正作業に多くの時間と労力が必要
であった。すなわち、標準欠陥試料と対象となる磁気セ
ンサ7aとの相対位置を全部の磁気センサ7aに亘って
同一条件に設定する必要がある。したがって、1個の磁
気センサ7aの感度を校正するのに多大の時間を必要と
し、磁気センサ群7が多数の磁気センサ7aで構成され
ていた場合には、これらの時間が累積されるので、1個
の磁気探傷装置を校正する場合の作業能率が大幅に低下
する問題がある。
【0014】さらに、標準欠陥試料と各磁気センサ7a
との相対位置調整は操作者がマニアル操作で実行するの
で、位置合せ精度に各磁気センサ7a間でバラツキが生
じて、どうしても校正精度が低下する問題もある。
【0015】また、薄鋼帯10の幅方向に多数の磁気セ
ンサ7aがリニア状に配列されているか、そのうちの1
部の磁気センサ7aが特に劣化した場合、薄鋼帯10の
うちの該当磁気センサ7aが対向する部分の欠陥検出感
度が低下する。
【0016】
【0017】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、装置の稼働期間中においても、実際の欠陥
検出動作に支障を与える事なく、自動的に各磁気センサ
の感度補正を実行できる磁気探傷装置の校正方法及び装
置を提供することを目的とする。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明の磁気探傷装置の校正方法は、複数のコイルを
溶接接続してなる移動状態の鋼板に磁界を発生させ、欠
陥に起因して生じる漏洩磁束をリニア状に配設された複
数の磁気センサからなる磁気センサ群で検出することに
よって、鋼板の内部または表面の欠陥を検出する磁気探
傷装置おいて、
【0022】各磁気センサの出力信号を一定周期で読取
り、各磁気センサ毎に定められたセンサ感度補正値に基
づいて感度補正を行い、この感度補正された各出力信号
から溶接部を検出し、一つの溶接部を検出してから次の
溶接部を検出するまでに得られた各出力信号に含まれる
欠陥に起因して生じる欠陥信号を検出し、この検出され
た欠陥信号および溶接部を示す溶接信号を除去した後の
各出力信号の各磁気センサ毎の時系列平均値および全部
の磁気センサに亘って時系列平均値を平均した全体平均
値を算出し、この各磁気センサ毎の時系列平均値および
全体平均値から各磁気センサ毎のセンサ感度補正値の修
正量を算出し、この算出された各修正量に基づいて各磁
気センサ毎のセンサ感度補正値を自動修正するようにし
ている。さらに、本発明の磁気探傷装置の校正装置は、
上述した磁気探傷装置において、
【0023】各磁気センサの出力信号を一定周期で読取
る出力信号読取手段と、各磁気センサ毎に定められたセ
ンサ感度補正値に基づいて各出力信号に対する感度補正
を行う感度補正手段と、この感度補正された各出力信号
から溶接部を検出する溶接部検出手段と、一つの溶接部
を検出してから次の溶接部を検出するまでに得られた各
出力信号に含まれる欠陥に起因して生じる欠陥信号を検
出する欠陥信号検出手段と、この検出された欠陥信号お
よび溶接部を示す溶接信号を除去した後の各出力信号の
各磁気センサ毎の時系列平均値および全部の磁気センサ
に亘って時系列平均値を平均した全体平均値を算出する
平均値算出手段と、この各磁気センサ毎の時系列平均値
および全体平均値から各磁化センサ毎の感度補正値の修
正量を算出する修正量算出手段と、この算出された各修
正量に基づいて各磁気センサ毎のセンサ感度補正値を自
動修正するセンサ感度補正値自動修正手段とを備えたも
のである。
【0024】
【作用】このように構成された磁気探傷装置の校正方法
および校正装置について説明する。
【0025】
【0026】
【0027】例えば製鉄工場の圧延ラインを流れる鋼板
は一般に複数のコイルを溶接接続して帯状に形成されて
いる。したがって、溶接部が磁気センサ群の配設位置を
通過すると、各磁気センサの出力信号に一斉に溶接部に
起因する溶接信号が現れる。また、鋼板の健全部におい
ても各磁気センサの出力信号には浮遊磁束に起因する地
合雑音が検出される。この地合雑音の信号レベルは鋼板
の種類やロット毎(コイル毎)に若干異なる場合もある
が、同一コイルにおいては等しいと見なすことができ
る。したがって、溶接部や欠陥が存在しない健全部にお
ける幅方向に配設された各磁気センサの出力信号の信号
レベルは等しい筈である。
【0028】よって、本発明においては、幅方向に配設
された各磁気センサの各出力信号を読取り、各磁気セン
サ毎に定められたセンサ感度補正値に基づいて感度補正
を行う。そして、一定周期毎に読取られた感度補正後の
出力信号に基づいて溶接部が検出される。そして、溶接
部相互間に存在する1コイル分の各出力信号を読取り、
この読取った出力信号から欠陥信号および溶接信号を排
除する。すなわち、1コイル分の地合雑音のみを含む各
出力信号が抽出される。そして、この抽出された各出力
信号が各磁気センサ毎に時系列的に平均され、さらに鋼
板の幅方向に配列された全部の磁気センサに亘って平均
されて全体平均値が得られる。そして、この各磁気セン
サ毎の時系列的平均および全体平均値に基づいて前述し
た各磁気センサ毎のセンサ感度補正値に対する修正量が
算出される。そして、この修正量に基づいて各センサ感
度補正値が修正される。よって、それ以降修正されたセ
ンサ感度補正値でもって各磁気センサの出力信号が感度
補正される。上述した修正処理は通常の欠陥検出動作と
全く独立して実行できるので、通常の欠陥検出動作に何
等支障が生じることなく、自動的に感度が校正される。
【0029】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。
【0030】第1図は実施例の校正方法を用いた校正装
置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面
模式図である。図19の従来の磁気探傷装置と同一部分
には同一符号が付してある。したがって、重複する部分
の詳細説明は省略されている。
【0031】非磁性材料で形成された中空ロール1の中
心軸に固定軸2の一端が貫通されている。固定軸2は中
空ロール1の中心軸に位置するように一対のころがり軸
受でもって回転自在に支持されている。したがって、こ
の中空ロール1は固定軸2を回転中心軸として自由に回
転する。
【0032】この中空ロール1内において、磁化器4の
磁化コイル6が巻装された磁気鉄心4cが、その各磁極
4a,4bが中空ロール1の内周面に近接する姿勢で、
支持部材5を介して固定軸2に固定されている。磁化鉄
心4cの磁極4a,4bの間に複数の磁気センサ7aを
軸方向にリニア状に配列してなる磁気センサ群7がやは
り固定軸2に固定されている。
【0033】前記各磁気センサ7aは、強磁性材料で形
成された棒状コアに検出コイルを巻装し、この検出コイ
ルに外部信号源から交流の励磁電流を印加して、棒状コ
アを過飽和域まで励磁した状態で使用する過飽和型の磁
気センサで構成されている。そして、この実施例におい
ては、棒状コアの軸、すなわち磁気センサ7aの軸が薄
鋼帯10に直交する方向に配設されている。したがっ
て、この磁気センサ7aは薄鋼帯10の欠陥に起因して
発生する漏洩磁束の垂直成分を検出する垂直型の磁気セ
ンサである。
【0034】そして、複数の垂直型の磁気センサ7aを
リニア状に配設してなる板状形状を有した磁気センサ群
7に校正用コイル12が巻装されている。そして、この
校正用コイル12に励磁電流Iを供給する電源ケーブル
は前記磁化器4に励磁電流を供給する電源ケーブルと同
様に固定軸2を介して外部へ導き出される。
【0035】このような構成において、中空ロール1の
外周面を例えば矢印a方向に走行状態の薄鋼帯10の一
方面に所定圧力でもって押し当てると、中空ロール1が
矢印b方向に回転する。
【0036】このような状態で、磁化コイル6に励磁電
流が供給されると、磁化鉄心4cの各磁極4a,4bと
走行中の薄鋼帯10とで閉じた磁路が形成される。薄鋼
帯10の内部あるは表面に欠陥が存在すると漏洩磁束が
生じる。この漏洩磁束の垂直成分が磁気センサ群7を構
成する該当欠陥位置に対向する垂直型の磁気センサ7a
で検出されて出力信号として出力される。図2は実施例
の校正装置が組込まれた磁気探傷装置の概略構成を示す
ブロック図である。
【0037】磁化器4の磁化コイル6には固定軸2内を
配線された電源ケーブル8を介して磁化電源回路13か
ら励磁電流が供給される。また、磁気センサ群7を構成
する各磁気センサ7aの各出力信号は信号ケーブル9を
介してマルチプレクサ14へ入力される。マルチプレク
サ14はデータ処理制御装置15からの切換指令にて、
入力されている各磁気センサ7からの各出力信号のうち
1つの出力信号を順番に選択して次の信号処理回路16
へ送出する。
【0038】信号処理回路16は、各磁気センサ7aか
ら入力された出力信号を該当磁気センサ7aが検出した
漏洩磁束の大きさに対応した検出電圧V0 に変換する回
路であり、具体的には、雑音除去のためのローパスフィ
ルタ、ピーク値検出回路,加減算回路、増幅器等で構成
されている。信号処理回路16から出力された各各磁気
センサ7a毎の検出電圧V0 はデータ処理制御装置15
へ入力される。
【0039】また、磁気センサ群7に巻装された校正用
コイル12には、固定軸2内を配線された電源ケーブル
17を介して校正用電源回路19から例えば周波数60
Hzの交流の励磁電流Iが供給される。なお、この励磁電
流の電流値Iは電源ケーブル17に介挿された電流計2
0で検出される。
【0040】データ処理制御装置15は一種のマイクロ
コンピュータで形成されており、内部に各磁気センサ7
a毎に感度係数Kaを記憶する感度校正メモリを有して
おり、信号処理回路16から入力された各検出電圧V0
に該当磁気センサ7aに対応する感度係数Kaを乗算し
て、薄鋼帯10における該当磁気センサ7aに対向する
位置に発生している欠陥の規模を示す電圧Vf を算出し
て、表示器21へ表示する。 Vf =Ka・V0 (1)
【0041】また、データ処理制御装置15は磁化電源
回路13および校正用電源回路19に対してそれぞれオ
ン/オフ信号を送出して、各電源回路13,19の動作
を制御する。
【0042】このような校正装置においては、実際の欠
陥規模と校正用コイル12を励磁することによって生じ
る擬似漏洩磁束との関係を、校正用コイル12の励磁電
流Iと実際の欠陥規模との関係でもって予め調べておく
必要がある(初期校正作業)。
【0043】すなわち、0.2 ,0.3 ,0.6 ,0.9mmφの
各標準欠陥を有した標準欠陥試料を準備する。そして、
磁化電源回路13を起動して磁化器4を駆動する。その
状態で標準欠陥試料を前記薄鋼帯10の代りに中空ロー
ル1に巻付ける。ガウジ欠陥の場合0.2 mmφを標準欠陥
と見なすと、この0.2 mmφの標準欠陥を検出した場合の
信号処理回路16の検出電圧V0 が2Vになるように、
信号処理回路16の増幅器のゲインを調整する。
【0044】増幅器のゲイン調整が終了すると、標準欠
陥試料を除去して、校正用電源回路19を起動する。そ
して、校正用コイル12に前述した交流の励磁電流を印
加して、擬似漏洩磁束を磁気センサ群7の磁気検出領域
に亘って均一に形成させる。
【0045】なお、校正用コイル12に交流電流を印加
させて交流磁界を発生させる理由は、実際の薄鋼帯10
の探傷を実施する場合においては、薄鋼帯10は中空ロ
ール1上を走行するので、実際の欠陥に起因する漏洩磁
束は振動波形となるから、その漏洩磁束波形にできるだ
け近似させるためである。
【0046】そして、各磁気センサ7aでこの擬似漏洩
磁束が検出され、信号処理回路16から各磁気センサ7
aに対応した各検出電圧V0 が出力される。そして、各
検出電圧V0 のほぼ平均レベルが基準電圧Vs (=5
V)になるように校正用電源回路19を操作して励磁電
流Iを調整する。このときの電流値を校正基準電流Is
とする。そして、この校正基準電流Is をデータ処理制
御装置15内のメモリに設定する。したがって、校正基
準電流Is を流した場合に生じる擬似漏洩磁束の強度
は、実際の0.5 mmφの標準欠陥に起因する漏洩磁束の強
度に対応した強度となる。
【0047】以上で、実際の標準欠陥試料を用いた初期
校正作業を終了する。なお、この初期校正作業は、この
磁気探傷装置を製造して、工場出荷時の製品検査工程で
実施される。
【0048】次に、この磁気探傷装置を実際の薄鋼帯の
生産現場の検査ラインに据付けた後における一定期間毎
に、または毎日の起動開始時に自動的に実行される通常
の自動校正処理を説明する。
【0049】図3は、この磁気探傷装置の電源を投入し
た場合に、データ処理制御装置15が実施する自動校正
処理を示す流れ図である。なお、この状態においては、
薄鋼帯10はまだ搬入されていない。
【0050】装置の電源が投入されると、各電子回路お
よび磁化電源回路13を投入して、動作状態にする。そ
して、P(プログラムステップ)1にて、校正用電源回
路19に対してメモリに設定さている校正基準電流Is
を校正用コイル12へ印加させる。なお、電流計20の
電流値を監視することによって、校正用コイル12の励
磁電流Iの電流値は正確に校正基準電流Is に制御され
る。
【0051】その状態で、P2にて、信号処理回路16
から入力される各磁気センサ7aの各検出電圧V0 を読
取る。次に各検出電圧V0 と校正基準電流Is に対応す
る基準電圧Vs である5Vとの比で示される各感度係数
Ka を算出する。 Ka=V0 /Vs …(2)
【0052】P3にて、求めた各磁気センサ7a毎の感
度係数Kaを前述した感度係数メモリへ設定する。その
後、校正用電源回路19へ電源遮断指令を送出して、校
正用コイル12に対する励磁電流Iを遮断する。以上で
自動校正処理を終了する。
【0053】なお、実際の薄鋼帯10に対する磁気探傷
時においては、データ処理制御装置15は、信号処理回
路16から順次入力される各磁気センサ7aの検出電圧
V0を感度係数メモリに記憶されている該当磁気センサ
7aに対する感度係数Kaを用いて前記(1) 式にて欠陥
規模に対応する電圧Vf を算出して表示器21に表示す
る。なお、表示に当たっては、前記電圧Vfを欠陥の大
きさの[mm]の単位に変換して表示してもよい。
【0054】このように構成された校正装置が組込まれ
た磁気探傷装置によれば、一旦、工場出荷時に校正用コ
イル12の励磁電流と実際の標準欠陥の規模との間の関
係を精密に初期校正しておけば、製造工場の検査ライン
に据付けた後は、例えば装置の電源を投入すれば、自動
的に各磁気センサ7aの感度係数Kaが修正される。
【0055】すなわち、校正用電源回路19から校正用
コイル12へ基準励磁電流Is を印加するのみで、磁気
センサ群7を校正する各磁気センサ7aに対して擬似漏
洩磁束を印加することができるので、従来の校正手法で
説明したような標準欠陥試料を使用する必要がない。し
たがって、この磁気探傷装置を使用する一般ユーザにと
っては、標準欠陥試料を作製し、また管理する必要もな
い。
【0056】また、磁気センサ群7の磁気検出領域より
広い領域で均一磁界を発生させる校正用コイル12を使
用することにより、磁気センサ群7を構成する各磁気セ
ンサ7aは完全に同一磁界強度を検出する。したがっ
て、従来手法のように、各磁気感センサ毎に標準欠陥試
料を一定条件で位置合せする必要がないので、校正作業
の作業能率を大幅に向上できる。さらに、操作者が位置
合せする必要がないので、位置合せ誤差に起因する校正
精度が低下することを未然に防止できる。
【0057】さらに、校正用コイル12の励磁電流Iの
値を変更することによって、擬似的な欠陥規模を容易に
複数段階に設定可能であるので、よりきめ細かくより正
確に各磁気センサ7aの感度を校正できる。
【0058】さらに、従来手法における標準欠陥試料の
代りに、この標準欠陥試料の人口欠陥によって発生する
であろう漏洩磁束に対応する擬似漏洩磁束を発生する磁
化器を別途準備して、この磁化器による擬似漏洩磁束で
もって各磁気センサの感度を調整することが考えられる
が、校正する毎に、この磁化器に対する取付け,取外し
操作を実施する必要があり、毎回高い取付け位置精度を
維持することは困難である。また、この磁化器の取扱い
が繁雑である。
【0059】しかし、この実施例においては、擬似漏洩
磁束を発生する校正用コイル12はこの磁気探傷装置を
製作する過程で既にこの磁気探傷装置内に組込まれてい
る。また、校正用電源回路19もこの磁気探傷装置の制
御回路内に予め組込まれている。したがって、ユーザが
校正を実施するために、別途校正を実施するための治具
や測定器を準備する必要がない。よって、校正作業能率
を大幅に向上できる。また、可動部分が存在しないの
で、取付け取外し作業に起因する取付け誤差が除去され
るので、校正精度を大幅に向上できる。
【0060】このように、校正作業の作業能率を大幅に
向上できると共に、校正精度も大幅に向上できる。ま
た、標準欠陥試料を使用しないので、校正作業に不慣れ
な者であっても簡単に校正作業を実施できる。
【0061】図4は本発明の他の実施例に係わる構成装
置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面
模式図である。図1と同一部分には同一符号が付してあ
る。したがって、重複する部分の説明を省略する。この
実施例においては、校正用コイル12が巻装された磁気
センサ群7を構成する各磁気センサとして水平型の磁気
センサ7bを用いている。
【0062】この水平型の磁気センサ7bにおいては、
磁気センサを構成する前述した棒状コアの軸が薄鋼帯1
0に対して平行に配設されている。よって、この水平型
の磁気センサ7bは薄鋼帯10の欠陥に起因して発生す
る漏洩磁束の水平成分を検出する。
【0063】なお、水平型の各磁気センサ7bから出力
される出力信号に対する処理は、前述した垂直型の各磁
気センサ7aの出力信号に対する処理と全く同一であ
る。したがって、前述した図2に示す回路構成および図
3に示す校正処理手順がそのまま使用できる。次に、こ
の水平型の磁気センサ7bと垂直型の磁気センサ7aと
の検出特性の差を実験結果を用いて説明する。
【0064】発明者は、前述した0.2 ,0.3 ,0.6 ,0.
9 mmφの各標準欠陥を有した標準欠陥試料を準備して、
4種類の各標準欠陥に起因する各漏洩磁束の水平成分お
よび垂直成分を水平型の磁気センサ7bおよび垂直型の
磁気センサ7aを用いてそれぞれ測定した。測定結果を
図5に示す。信号波形aが漏洩磁束の水平成分であり、
信号波形bが垂直成分である。図示するように、水平磁
束分布特性は略山形形状となり、垂直磁束分布特性は中
央位置で0ラインを横切る略正弦波形となる。
【0065】そして、水平型の磁気センサ7bにて検出
された漏洩磁束の水平成分と垂直型の磁気センサ7aで
検出された漏洩磁束の垂直成分との各相対出力の関係を
図6に示す。この特性から理解できるように、漏洩磁束
の水平成分と垂直成分とは正の相関関係を有する。した
がって、磁気センサ群7に組込む名磁気センサとしては
いずれか一方の型の磁気センサを用いればよい。
【0066】図7は検出感度を改良した水平型の磁気セ
ンサ7bを示す図である。この水平型の磁気センサ7b
においては、水平方向磁束の検出感度を向上させるため
に、棒状コアの両端を薄鋼帯10側に曲げ形成して、中
央部に図示しない検出コイルおよび校正用コイル12を
巻装している。
【0067】図8は本発明の他の実施例に係わる校正装
置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面
模式図である。図1と同一部分には同一符号が付してあ
る。したがって、重複する部分の詳細説明を省略する。
【0068】この実施例装置においては、擬似漏洩磁束
を発生させる校正用コイル31a,31bが磁化器4の
磁気鉄心4cに巻回されている。このように構成された
磁気探傷装置においても、この校正用コイル31a,3
1bによって擬似漏洩磁束を発生させることが可能であ
るので、図1に示した実施例とほぼ同様の効果を得るこ
とができる。
【0069】なお、図8の磁気センサ群7は、漏洩磁束
の垂直成分を検出する垂直型の磁気センサ7aを用いて
いるが、前述したように、水平成分を検出する水平型の
磁気センサ7bを用いることも可能である。
【0070】そして、この実施例のように磁気鉄心4c
に巻回された校正用コイル31a,31bによる擬似漏
洩磁束に対しては、漏洩磁束の水平成分を検出する水平
型の磁気センサ7bで構成された磁気センサ群7を採用
する方が好ましい。
【0071】図9は本発明のさらに別の実施例の校正装
置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面
模式図である。図1と同一部分には同一符号が付してあ
る。したがって、重複する部分の詳細説明を省略する。
【0072】この実施例装置においては、薄鋼帯10の
中空ロール1に対する接触部における上下振動を抑制す
るために別の中空ロール1aを設けたものである。すな
わち、この中空ロール1aは固定軸2aに対して回転自
在に設けられ、薄鋼帯10が矢印a方向に移動すると、
矢印c方向に回転する。そして、この中空ロール1aの
固定軸2aに取付けられたコア棒32に校正用コイル3
3が巻装されている。なお、このコア棒32は薄鋼帯1
0に対して垂直方向に取付けられている。また、校正用
コイル33の電源ケーブルは固定軸2aを介して外部に
導き出されている。
【0073】このような構成であっても、磁気センサ群
7を構成する垂直型の各磁気センサ7aは校正用コイル
33によって薄鋼帯10に対して主に垂直方向に発生さ
れた擬似漏洩磁束を検出できるので、前述した実施例と
ほぼ同様の効果を得ることができる。
【0074】図10は本発明のさらに別の実施例の校正
装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断
面模式図である。図9と同一部分には同一符号が付して
ある。したがって、重複する部分の詳細説明を省略す
る。
【0075】この実施例装置においては、上側の中空ロ
ール1a内に薄鋼帯10と平行する水平方向にコア棒3
2aが取付られ、このコア棒32aに校正用コイル33
が巻装されている。さらに、下側の中空ロール1内に設
けられた磁気センサ群7を構成する各磁気センサを水平
型の磁気センサ7bを用いている。
【0076】このような構成であっても、磁気センサ群
7を構成する水平型の各磁気センサ7bは校正用コイル
33によって薄鋼帯10に対して主に水平方向に発生さ
れた擬似漏洩磁束を検出できるので、前述した実施例と
ほぼ同様の効果を得ることができる。
【0077】図11は本発明のさらに別の実施例の校正
装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断
面模式図である。図9と同一部分には同一符号が付して
ある。したがって、重複する部分の詳細説明を省略す
る。
【0078】この実施例においては、上側の中空ロール
1a内に複数の垂直型の磁気センサ7aで構成された磁
気センサ群7が収納されている。そして、下側の中空ロ
ール1内には、磁気センサ群7を除去して、その位置に
薄鋼帯10に対して垂直方向に取付けらたコア棒34に
巻装された校正用コイル35を配設している。すなわ
ち、この校正用コイル35は磁化器4の磁化鉄心4c内
に収納されている。
【0079】このような構造では、上側の中空ロール1
aには薄鋼帯10の重力が直接印加されないので、下側
の中空ロール1の厚みに比較して、上側の中空ロール1
aの厚みを薄く設定できる。したがって、磁気センサ群
7と薄鋼帯10との間の距離を短く設定でき、磁気セン
サ群7の検出感度を上昇できる。
【0080】そして、磁気センサ群7の各垂直型の磁気
センサ7aは校正用コイル35によって薄鋼帯10に対
して主に垂直方向に発生された擬似漏洩磁束を検出でき
るので、前述した実施例とほぼ同様の効果を得ることが
できる。
【0081】図12は本発明のさらに別の実施例の校正
装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断
面模式図である。図11と同一部分には同一符号が付し
てある。したがって、重複する部分の詳細説明を省略す
る。
【0082】この実施例においては、上側の中空ロール
1a内の配設された磁気センサ群7を構成する各磁気セ
ンサは水平型の磁気センサ7bで形成されている。それ
に対応して、下側の中空ロール1内に、薄鋼帯10に平
行する水平方向にコア棒34aが配設されており、この
コア棒34aに校正用コイル35が巻装されている。
【0083】このような構成であっても、磁気センサ群
7の水平型の各磁気センサ7bは校正用コイル35によ
って薄鋼帯10に対して主に平行方向に発生された擬似
漏洩磁束を検出できるので、前述した実施例とほぼ同様
の効果を得ることができる。
【0084】図13は本発明のさらに別の実施例の校正
装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断
面模式図である。図11と同一部分には同一符号が付し
てある。したがって、重複する部分の詳細説明を省略す
る。
【0085】この実施例においては、上側の中空ロール
1a内に収納された複数の垂直型の磁気センサ7aで構
成された磁気センサ群7に校正用コイル36が巻装され
ている。
【0086】このような構成であっても、磁気センサ群
7を構成する垂直型の各磁気センサ7aは校正用コイル
36によって発生された薄鋼帯10に直交する垂直方向
の擬似漏洩磁束を検出できるので、前述した実施例とほ
ぼ同様の効果を得ることができる。
【0087】図14は本発明のさらに別の実施例の校正
装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断
面模式図である。図13と同一部分には同一符号が付し
てある。したがって、重複する部分の詳細説明を省略す
る。
【0088】この実施例においては、上側の中空ロール
1a内に収納された校正用コイル36が巻装された磁気
センサ群7を構成する各磁気センサとして水平型の磁気
センサ7bが用られている。
【0089】このような構成であっても、磁気センサ群
7を構成する水平型の各磁気センサ7bは校正用コイル
36によって発生された薄鋼帯10に平行する水平方向
の擬似漏洩磁束を検出できるので、前述した実施例とほ
ぼ同様の効果を得ることができる。図15は本発明のさ
らに別の実施例の校正装置が組込まれた磁気探傷装置が
設置された製鉄工場における圧延ラインを示す模式図で
ある。
【0090】供給リール41a,41bから交互に供給
される薄鋼帯10は、その終端位置を次の薄鋼帯10の
先端に溶接する溶接機42を通過する。溶接機42を通
過した薄鋼帯10は、ロール43a,43bでもって走
行方向が180度変換されて、ルーパーロール44で走
行方向を再度180度変換され、さらに、ロール44
c,44dで走行方向が90度づづ変換される。そし
て、薄鋼帯10は磁気探傷装置を構成する一対の中空ロ
ール1,1aの間を通過する。磁気探傷装置を通過した
薄鋼帯10はロール44e,圧延機45を経由して、巻
取リール46a,46bに交互に巻取られる。前記ルー
パーロール44は、図中矢印方向に移動可能であり、溶
接機42にて溶接作業を行ってる期間に右方向に移動し
て、圧延機45に常時一定速度で薄鋼帯10を供給する
機能を有する。
【0091】この実施例の磁気探傷装置においては、図
示するように、下側の中空ロール1内に複数の磁気セン
サ7aからなる磁気センサ群7が収納されており、上側
の中空ロール1a内に磁化器4が収納されている。図1
6は実施例の校正装置が組込まれた磁気探傷装置の電気
的構成を示すブロック図である。
【0092】薄鋼帯10の幅方向に配列された各磁気セ
ンサ7aから出力される信号はそれぞれ磁気検出回路4
7によって、漏洩磁束または浮遊磁束に対応する出力信
号に変換される。各磁気センサ7a毎の出力信号は増幅
器48でもって所定の増幅率で増幅された後、マルチプ
レクサ49へ入力される。マルチプレクサ49はデータ
処理部50からの切換指令にて、入力されている各磁気
センサ7aからの各出力信号を一定のサンプリング周波
数に基づいて順次選択して次のA/D変換器51へ送出
する。A/D変換器51は入力された各アナログの出力
信号をデシタルの出力信号に変換してデータ処理部50
へ送出する。
【0093】データ処理部50は、一種のマイクロコン
ピュータで構成されており、A/D変換器51を介して
入力された各磁気センサ7aの出力信号に対して各種の
演算処理を実行する。また、このデータ処理部50には
各磁気センサ7a毎の出力信号の値を欠陥規模に対応し
た正しい値に補正するためのセンサ感度補正値Kitを記
憶する感度補正メモリ52が接続されている。さらに、
このデータ処理部50には操作者が各種指令を入力した
り、データ処理部50における演算結果等を表示する入
出力装置53が接続されている。
【0094】このよに構成された磁気探傷装置におい
て、各磁気センサ7aの各出力信号は例えば図17に示
す信号波形となる。すなわち、溶接部が磁気センサ群7
位置を通過すると全部の磁気センサ7aの出力信号にこ
の溶接部に起因する溶接信号54が現れる。従って、溶
接信号54が出現する周期は一つのコイル長Lに対応す
る周期である。また、薄鋼帯10の表面または内部に欠
陥が存在すると、該当欠陥の対向位置に配設された磁気
センサ7aの出力信号に欠陥信号55が現れる。欠陥信
号55は全部の磁気センサ7aに亘って一斉に現れるこ
とはないので、溶接信号54と簡単に区別できる。ま
た、たとえ薄鋼帯10の溶接や欠陥が存在しない健全部
であっても出力信号には一定信号レベルAを有する地会
雑音が現れる。そして、前記サンプリング周波数の周期
は十分短いので、各出力信号に含まれれる溶接信号54
および欠陥信号55が見逃されることはない。
【0095】そして、通常の欠陥検出処理状態時におい
ては、データ処理部50へ入力された各磁気センサ7a
からのサンブリングされた各出力信号は感度補正値メモ
リ52に記録されている各磁気センサ7a毎のセンサ感
度補正値Kitによって欠陥規模に対応した値に変換され
て入出力装置53に表示される。しかして、この装置の
監視者は薄鋼帯10におれける欠陥の存在とその規模を
把握できる。
【0096】さらに、前記データ処理部50において
は、前述した一定のサンプリング周期毎に各磁気センサ
7aの出力信号がA/D変換器51を介して入力される
と、図18の流図に従って、感度補正値メモリ52に記
憶されている各センサ感度補正値Kitを修正するように
プログラム構成されている。
【0097】先ずQ1にて、薄鋼帯10の移動速度を検
出する。なお、薄鋼帯10における健全部の周囲に発生
する浮遊磁束の強度は移動速度が変動すると大きく変動
する。また、同一欠陥規模であっても薄鋼帯10の移動
速度が変化すると、磁気センサ7aの各出力信号レベル
も大きく変動する。したがって、感度補正値メモリ52
内の各センサ感度補正値Kitは予め定められた一定速度
範囲内で有効に作用する。よって、Q2にて、測定され
た移動速度が適性範囲に存在することを確認する。適性
範囲でなければ、今回の検出信号はセンサ感度修正には
使用しない。
【0098】移動速度が適性範囲であれは、各増幅器4
8で増幅した後の各出力信号を読取る(Q3)。そし
て、読取った出力信号に対して感度補正値メモリ52に
記憶されている該当磁気センサ7aに対応するセンサ感
度補正値Kitを用いて感度補正を行う(Q4)。
【0099】その後、読取った出力信号が溶接信号54
であるか否かを前述した手法でもって調べる。溶接信号
54でなれければ(Q5)、Q6へ進む。Q6において
は、該当出力信号が欠陥信号55であるか否かを前述し
た手法で調べる。具体的には、出力信号の値Bitがしき
い値Ss より大きいとき、欠陥信号55と見なす。欠陥
信号55であれは、今回の出力信号をセンサ感度補正値
の修正には使用しない。
【0100】欠陥信号55でなければ、この出力信号は
地合雑音であると判断できる。そして、Q7にて、この
地合雑音の値Bitを地合雑音の合計値Si に加算する。
なお、添字iはi番目の磁気センサ7aであることを示
し、tは今回得られた出力信号であることを示す。ま
た、加算回数Niをインクリメントする。 Si =Si +Bit …(3) Ni =Ni +1 …(4) 加算処理が終了すると次の周期における出力信号の入力
待ちとなる。
【0101】また、Q5にて、読取った出力信号が溶接
信号54であった場合には、溶接部が磁気センサ群7位
置に達したので、図17における1コイル分の各出力信
号の溶接信号54及び欠陥信号55を除去した残りの地
合雑音の値Bitの加算処理が終了したと判断する。そし
て、Q8へ進む。Q8においては、まず、各磁気センサ
7a毎の地合雑音における時系列的な平均値Ai を算出
する。 Ai =Si /Ni …(5)
【0102】次に各磁気センサ7a毎の地合雑音の平均
値A1 ,A2 ,…,Ai ,…が算出されると、薄鋼帯1
0の幅方向に配設された全部の磁気センサ7aの地合雑
音の平均値A1 ,A2 ,…,Ai ,…の全体平均値Aa
を算出する。同時にこの全体平均値Aa を算出するのに
用いた全出力信号数Na を算出する。
【0103】
【数1】
【0104】ここで、Ni <αNa [(0<α<
1) α;操作者が予め設定した値]のときは、加算し
た出力信号数が少ないと判断して、(6)(7)の計算式から
i番目の磁気センサ7aを計算から除外する。そして、
除外したことを入出力装置53に表示し、操作者に警告
する。全体平均値Aa が算出されると、各磁気センサ7
aの平均値Ai における全体平均値Aa からのずれ量で
示される修正量ΔAi を算出する。 ΔAi =(Ai −Aa )/Aa …(8) 次に、Q9にて、算出された修正量ΔAi が適性である
か否かを(9) 式でもって判断する。 |ΔAi |<β (β:操作者が予め設定した値) …(9)
【0105】すなわち、(9) 式が成立しない場合で、か
つiが少ない場合は、該当磁気センサ7aに異常が発生
したと判断して、入出力装置53を介して操作者に警告
する(Q10)。また、(9) 式が成立しない場合でか
つ、iが多い場合は、薄鋼帯10の表面仕上げが異常に
粗雑であり、今回得られた全体平均値Aa を今回のセン
サ感度補正には使用しない。
【0106】そして、Q9にて(9) 式の条件を満足する
と、Q11において、実際に感度補正値メモリ52に記
憶されている各磁気センサ7aのセンサ感度補正値Kit
を(10)式に従って修正する。 Kit=Kit-1(1−γ・ΔAi ) …(10) Kit-1:前回のセンサ感度補正値 γ :感度補正の重み関数(操作者が予め設定した値 0≦γ≦1) Kit :今回のセンサ感度補正値
【0107】以上で、感度補正値メモリ52に記憶され
ている各磁気センサ7a毎のセンサ感度補正値Kitが修
正された。なお、修正処理が終了すると、加算値Si
加算回数Ni を0の初期状態にクリアする。
【0108】なお、この磁気探傷装置を新規に稼働する
場合は当然感度補正値メモリ52にはセンサ感度補正値
itは設定されていないので、他の磁気センサの平均的
な感度等を参考にして操作者が適切な各値を初期設定す
る。すると、試験稼働期間中に溶接部が検出される毎に
上述した自己学習にて正しいセンサ感度補正値に補正さ
れていく。
【0109】なお、この場合、試験稼働期間中または一
部の磁気センサ7aを交換した当座は、一時的に修正量
ΔAi が大きな値になることがあるので、(9) 式に示す
条件を外した状態で稼働させる。
【0110】このように構成された磁気探傷装置の校正
方法および校正装置によれば、試験稼働を経て一旦各磁
気センサ7aにおける正しいセンサ感度補正値Kitが感
度補正値メモリ52に記憶されると、それ以降は、薄鋼
帯10の溶接部が磁気センサ群7位置を通過する毎に、
各磁気センサ7aのセンサ感度補正値Kitが、地合雑音
の信号レベルを用いて最適値になるように自動的に修正
される。
【0111】上述した各磁気センサ7aのセンサ感度補
正値Kitの修正処理は、薄鋼帯10における各磁気セン
サ7aを用いた通常の欠陥検出動作に何等影響を与えも
のではない。したがって、各磁気センサ7aの感度校正
を実行するために、この磁気探傷装置が設置された圧延
ライン等における圧延動作を停止する必要はない。ま
た、校正処理のために、圧延ラインを流れる薄鋼帯10
が一時的に無検査状態になることもない。また、一定期
間毎に特別に校正作業を実施する必要がないので、磁気
探傷装置に対する保守管理が簡素化される。
【0112】
【0113】
【発明の効果】以上説明したように本発明の磁気探傷装
置の校正方法及び装置によれば、複数のコイルを溶接接
続してなる移動状態の鋼板に存在する欠陥を溶接部分と
区別して検出する場合において、出力信号に含まれる地
合雑音の信号レベルを利用して各磁気センサの感度を自
動的に修正するようにしている。よって、通常の欠陥検
出処理動作に何等影響を与える事なく、校正処理が実施
されるので、保守管理を大幅幅に簡素化できる。さら
に、異常が発生した磁気センサはその時点で検出される
ので、装置全体の信頼性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わる校正方法を用いた
校正装置が組込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示
す断面模式図、
【図2】 同実施例装置の電気的構成を示すブロック
図、
【図3】 同実施例装置の動作を示す流れ図、
【図4】 本発明の他の実施例の校正装置が組込まれた
磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式図、
【図5】 磁気センサの配列方向と各磁気センサの検出
波形との関係を示す波形図、
【図6】 図5の各磁気センサで検出された垂直磁束と
水平磁束との関係を示す図、
【図7】 校正用コイルが巻装された水平型の磁気セン
サの構成を示す模式図、
【図8】 本発明の別の実施例の校正装置が組込まれた
磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式図、
【図9】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組込
まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式図、
【図10】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式
図、
【図11】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式
図、
【図12】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式
図、
【図13】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式
図、
【図14】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置の要部を取出して示す断面模式
図、
【図15】 本発明のさらに別の実施例の校正装置が組
込まれた磁気探傷装置が設置された工場の圧延ラインを
示す図、
【図16】 同実施例装置の電気的構成を示すブロック
図、
【図17】 同実施例装置における各磁気センサの出力
信号波形図、
【図18】 同実施例装置の動作を示す流れ図、
【図19】 一般的な磁気探傷装置おける薄鋼帯の走行
方向に平行および直交する面で切断した断面模式図。
【符号の説明】
1,1a…中空ロール、4…磁化器、4a,4b…磁
極,4c…磁化鉄心、6…磁化コイル、7…磁気センサ
群、7a…垂直型の磁気センサ、7b…水平型の磁気セ
ンサ、10…薄鋼帯、12,31a,31b,33,3
5,36…校正用コイル、13…磁化電源回路、15…
データ処理制御装置、16…信号処理回路、19…校正
用電源回路。42…溶接機、45…圧延機、47…磁気
検出回路、48…増幅器、50…データ処理部、51…
A/D変換器、52…感度補正値メモリ、54…溶接信
号、55…欠陥信号。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹腰 篤尚 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭54−123989(JP,A) 特開 平2−95252(JP,A) 実開 昭63−107849(JP,U) 実公 平1−25347(JP,Y2) 実公 平6−28691(JP,Y2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のコイルを溶接接続してなる移動状
    の鋼板に磁界を発生させ、欠陥に起因して生じる漏洩
    磁束をリニア状に配設された複数の磁気センサからなる
    磁気センサ群で検出することによって、前記鋼板の内部
    または表面の欠陥を検出する磁気探傷装置の校正方法に
    おいて、 前記各磁気センサの出力信号を一定周期で読取り、各磁
    気センサ毎に定められたセンサ感度補正値に基づいて感
    度補正を行い、この感度補正された各出力信号から前記
    溶接部を検出し、一つの溶接部を検出してから次の溶接
    部を検出するまでに得られた各出力信号に含まれる前記
    欠陥に起因して生じる欠陥信号を検出し、この検出され
    た欠陥信号および前記溶接部を示す溶接信号を除去した
    後の各出力信号の各磁気センサ毎の時系列平均値および
    全部の磁気センサに亘って前記時系列平均値を平均した
    全体平均値を算出し、この各磁気センサ毎の時系列平均
    値および全体平均値から各磁気センサ毎の前記センサ感
    度補正値の修正量を算出し、この算出された各修正量に
    基づいて各磁気センサ毎のセンサ感度補正値を自動修正
    することを特徴とする磁気探傷装置の校正方法。
  2. 【請求項2】 複数のコイルを溶接接続してなる移動状
    の鋼板に磁界を発生させ、欠陥に起因して生じる漏洩
    磁束をリニア状に配設された複数の磁気センサからなる
    磁気センサ群で検出することによって、前記鋼板の内部
    または表面の欠陥を検出する磁気探傷装置の校正装置に
    おいて、 前記各磁気センサの出力信号を一定周期で読取る出力信
    号読取手段と、各磁気センサ毎に定められたセンサ感度
    補正値に基づいて前記各出力信号に対する感度補正を行
    う感度補正手段と、この感度補正された各出力信号から
    前記溶接部を検出する溶接部検出手段と、一つの溶接部
    を検出してから次の溶接部を検出するまでに得られた各
    出力信号に含まれる前記欠陥に起因して生じる欠陥信号
    を検出する欠陥信号検出手段と、この検出された欠陥信
    号および前記溶接部を示す溶接信号を除去した後の各出
    力信号の各磁気センサ毎の時系列平均値および全部の磁
    気センサに亘って前記時系列平均値を平均した全体平均
    値を算出する平均値算出手段と、この各磁気センサ毎の
    時系列平均値および全体平均値から各磁気センサ毎の前
    記感度補正値の修正量を算出する修正量算出手段と、こ
    の算出された各修正量に基づいて前記各磁気センサ毎の
    センサ感度補正値を自動修正するセンサ感度補正値自動
    修正手段とを備えたことを特徴とする磁気探傷装置の校
    正装置。
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