JP2526742B2 - 薄鋼帯の磁気探傷装置 - Google Patents

薄鋼帯の磁気探傷装置

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JP2526742B2
JP2526742B2 JP3048784A JP4878491A JP2526742B2 JP 2526742 B2 JP2526742 B2 JP 2526742B2 JP 3048784 A JP3048784 A JP 3048784A JP 4878491 A JP4878491 A JP 4878491A JP 2526742 B2 JP2526742 B2 JP 2526742B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、回転状態の中空ロール
内に磁化器および磁気センサを収納して走行状態の薄鋼
帯の欠陥を検出する薄鋼帯の磁気探傷装置の改良に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気を利用して、薄鋼帯の内部あるいは
表面に存在する疵,介在物等の欠陥を検出する磁気探傷
装置は、被探傷体としての薄鋼帯を静止した状態で探傷
するのみならず、例えば工場等の製造ライン等に設置さ
れる、走行中の薄鋼帯に存在する欠陥を連続的に検出で
きる薄鋼帯の磁気探傷装置が提唱されている(実開昭6
3−107849号公報)。
【0003】図10は上述した走行中の薄鋼帯の欠陥を
連続的に検出する薄鋼帯の磁気探傷装置を示す図であ
り、同図(a)(b)はそれぞれ異なる方向から見た断
面模式図である。
【0004】図中1は非磁性材料で形成された中空ロー
ルであり、この中空ロール1の中心軸に固定軸2の一端
が貫通されている。この固定軸2の他端は図示しない建
屋のフレームに固定されている。そして、固定軸2は中
空ロール1の中心軸に位置するように一対のころがり軸
受3a,3bでもって中空ロール1の両端の内周面に支
持されている。したがって、この中空ロール1は固定軸
2を回転中心軸として自由に回転する。
【0005】中空ロール1内に、略コ字断面形状を有し
た磁化鉄心4cが、磁路を構成する磁極4a,4bが中
空ロール1の内周面に近接する姿勢で、支持部材5を介
して固定軸2に固定されている。そして、この磁化鉄心
4cに磁化コイル6が巻装されている。したがって、磁
極4a,4bが形成された磁化鉄心4cと磁化コイル6
とで磁化器4を構成する。磁化器4の磁化鉄心4cの磁
極4a,4bの間に複数の磁気センサ7が軸方向に配列
されている。そして、各磁気センサ7は前記固定軸2に
固定されている。
【0006】磁化コイル6に励磁電流を供給するための
電源ケーブル8および各磁気センサ7から出力される各
検出信号を取出すための信号ケーブル9が固定軸2内を
経由して外部へ導出されている。したがって、磁化鉄心
4および各磁気センサ7の位置は固定され、中空ロール
1が磁化器4および各磁気センサ7の外周を微小間隙を
有して回転する。
【0007】このような構成の磁気探傷装置の中空ロー
ル1の外周面を例えば矢印A方向に走行状態の薄鋼帯1
0の一方面に所定圧力でもって押し当てると、固定軸2
は建屋のフレームに固定されているので、中空ロール1
が矢印B方向に回転する。
【0008】そして、磁化コイル6に励磁電流を供給す
ると、磁化鉄心4cと走行状態の薄鋼帯10とで閉じた
磁路が形成される。このため、薄鋼帯10の内部あるは
表面に前述した欠陥が存在すると、薄鋼帯10内の磁路
が乱れ、漏洩磁束が生じる。この漏洩磁束が該当位置の
磁気センサ7で抽出されて欠陥信号として検出される。
【0009】検出された欠陥信号はその信号レベルが薄
鋼帯10内部または表面の欠陥の大きさと対応するの
で、欠陥信号の信号レベルでもって薄鋼帯10の欠陥の
存在とその大きさを把握することが可能である。
【0010】しかし、欠陥信号の信号レベルは薄鋼帯1
0と磁化鉄心4cと磁化コイル6からなる磁化器4によ
って形成される磁路の状態や、磁化器4と薄鋼帯10と
の間の距離Lや、リフトオフと呼ばれる薄鋼帯10と各
磁気センサ7との間の距離d等によって大きく変化す
る。
【0011】このような不都合を解消するために、図1
0(a)(b)に示すように一定厚みtを有した中空ロ
ール1を用いて、薄鋼帯10と磁化器4との間の距離L
や、薄鋼帯10と各磁気センサ7との間のリフトオフd
を常時一定値に維持している。また、中空ロール1が磁
性材料で形成されていると、薄鋼帯10内への磁路の形
成が阻害されるので、中空ロール1は非磁性材料で形成
されている。
【0012】したがって、中空ロール1の厚みtを薄く
すればするほど、薄鋼帯10と磁化器4の磁極4a,4
bとの間の距離Lが小さくなり、薄鋼帯10内に形成さ
れる磁界が大きくなり、安定した磁束を得ることができ
る。したがって、中空ロール1の厚みtを薄くするのが
望ましい。
【0013】また、中空ロール1の厚みtが大きいと、
中空ロール1の慣性モーメントが大きくなり、薄鋼帯1
0の走行速度が変動した場合に、中空ロール1の慣性力
により、中空ロール1と薄鋼帯10との接触面で摺動現
象が生じて、薄鋼帯10の表面に疵をつけてしまう懸念
がある。したがって、中空ロール1の厚みtを小さくし
て、前記慣性モーメントを小さくする必要がある。な
お、ただ単に慣性モーメントを小さくする目的のみでは
中空ロール1の外径を小さく設定すればよいが、内部に
収納されている磁化器4や磁気センサ7の大きさによっ
てその外径が制約される。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような中空ロール1を用いた薄鋼帯の磁気探傷装置にお
いてもまだ次のような問題がある。
【0015】すなわち、前述したように連続して走行し
ている薄鋼帯10の欠陥を検出するには、薄鋼帯10表
面と中空ロール1の外周面とが常時接触している必要が
あるので、中空ロール1には薄鋼帯10の張力に起因す
る下向きの力や、薄鋼帯10自体の重量による下向きの
力が印加される。下向きの力が印加されると中空ロール
1が変形したり損傷する。すると、前述した薄鋼帯10
と磁化器4との間の距離Lや薄鋼帯10と各磁気センサ
7との間のリフトオフdを一定値に制御できなくなるの
で、欠陥検出精度が低下したり、探傷不能となる。
【0016】よって、中空ロール1が長期間に亘って真
円状態を維持するには、中空ロール1の厚みtを一定限
度以下に薄くできない。ちなみに、薄鋼帯10が100 m
/分の走行速度条件下においては、上記厚みtは2mm程
度が限界である。
【0017】また、中空ロール1内に収納する磁化鉄心
4cと磁励コイル6からなる磁化器4の発生する磁界の
強さを大きくすることが考えられるが、磁化鉄心4cの
大きさや磁化コイル6に流す電流の大きさを一定限度以
上にすれば、装置全体が大型化したり、製造費が大幅に
上昇する問題がある。
【0018】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、磁化器の磁極間距離と磁化器と薄鋼帯との
間の距離とを一定の関係に制御することにより、薄鋼帯
に対する磁化効率を上昇させることが可能となり、磁気
センサで検出される欠陥信号のS/Nを向上できるの
で、製造費を上昇させることなく、欠陥の検出精度を大
幅に向上できる薄鋼帯の磁気探傷装置を提供することを
目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明は、薄鋼帯の走行
路に直交する固定軸に回転自在に支持され、走行路を走
行する薄鋼帯の表面に接することによって回転する中空
ロールと、この中空ロール内に配設され、走行方向に離
間した磁極を有し、薄鋼帯内に磁界を発生させる磁化器
と、薄鋼帯の内部又は表面の欠陥に起因して生じる漏洩
磁束を検出する磁気センサとを備えた薄鋼帯の磁気探傷
装置に適用される。
【0020】そして、上記課題を解消するために本発明
においては、離間した磁極間の距離をこの磁極から薄鋼
帯までの距離の2倍以上でかつ8倍以下に設定し、かつ
中空ロールにおける薄鋼帯と接触する領域の厚さが非接
触領域の厚さより薄く設定している。
【0021】また、別の発明においては、離間した磁極
間の距離をこの磁極から薄鋼帯までの距離の2倍以上で
かつ8倍以下に設定し、かつ磁気センサを中空ロールに
薄鋼帯を挟んで対向する別の中空ロール内に収納してい
る。
【0022】
【作用】まず、離間した磁極を有する磁化器とこの磁極
に対向する位置に配設された薄鋼帯との間の相対位置と
薄鋼帯内に形成される磁界の強度との関係を説明する。
【0023】周知のように、離間した磁極を有する磁化
器においては、一方の磁極から出力される磁束は磁極相
互間の空間(磁気ギャップ)を経由して他方の磁極へ入
力される。この場合、磁気ギャップに近接して磁性材料
であるる薄鋼帯が存在すれば、一方の磁極から出力され
た磁束の一部は磁気ギャップを通過せずに薄鋼帯内を通
過して他方の磁極に入力する。
【0024】この場合、磁気ギャップを通過する磁束と
薄鋼帯内を通過する磁束との割合は、磁気ギャップの間
隔(磁極間距離W)と各磁極から薄鋼帯までの距離Lと
に大きく左右される。すなわち、磁極間距離Wが一定の
場合には、磁気回路の磁気抵抗が小さい方により多くの
磁束が集中するので、各磁極と薄鋼帯との間の距離Lが
小さくなると、当然薄鋼帯を通過する磁束の密度が増大
し、距離Lが大きくなると、薄鋼帯を通過する磁束の密
度が減少する。
【0025】一方、距離Lが一定の場合には、磁極間距
離Wが広くなると薄鋼帯を通過する磁束の割合が増大す
るが、磁極間距離Wが過度に広くなると、前述した磁束
の総数が減少する。また、磁極間距離Wが過度に狭くな
ると、前記磁束の総数は増大するが、薄鋼帯を通過する
磁束の割合が減少する。
【0026】したがって、磁極間距離Wには一定の最適
範囲が存在する。そして、この最適範囲は、各磁極から
薄鋼帯までの距離Lによって左右される。すなわち、距
離Lが大きい場合は、前記最適範囲は磁極間距離Wの寄
与が大きく、距離Lが小さい場合は、前記最適範囲は距
離Lの寄与が大きい。
【0027】発明者は上記磁極間距離Wと距離Lとの関
係を実験的に求めて、磁極間距離Wが距離Lに対して2
倍から8倍の範囲であれば、薄鋼帯を通る磁束の磁束密
度が高く十分実用に耐えるレベルとなることを確認し
た。
【0028】したがって、前述したように中空ロールの
厚みの制約で、たとえ距離Lを小さく設定できなかった
としても、磁極間距離Wを上記関係に設定することによ
って、磁気センサの検出感度を最大限に設定でき、欠陥
検出精度を向上できる。
【0029】さらに、上述した磁極間距離Wと磁極から
薄鋼帯までの距離Lとの関係(2L≦W≦8L)の他
に、中空ロールにおける中央部の薄鋼帯が接する領域の
厚みt1 を両端部の薄鋼帯が接触しない非接触領域の厚
みt0 より薄く設定している。したがって、この中空ロ
ールにおいて長期に亘って真円度を維持するために必要
な遠規定値以上の強度を維持しながら、磁極から薄鋼帯
までの距離Lをより短く設定でき、薄鋼帯内に安定した
磁束を形成でき、欠陥検出精度をより一層向上できる。
さらに、磁極から薄鋼帯までの距離Lをより短く設定で
きるので、上述した関係(2L≦W≦8L)により、磁
極間距離Wを短く設定可能となり、磁化器を小型に形成
できる。
【0030】さらに、別の発明においては、磁気センサ
を、磁化器が収納された中空ロールに対して薄鋼帯を挟
んで対向配設された別の中空ロール内に収納しているの
で、この別の中空ロールの厚みを先の中空ロールの厚み
より薄く設定できるので、磁気センサと薄鋼帯との間の
距離をより小さく設定できる。
【0031】
【実施例】以下本発明の一実施例を図面を用いて説明す
る。
【0032】図1(a)(b)は実施例の薄鋼帯の磁気
探傷装置の概略構成を示す断面である。なお、図10
(a)(b)と同一部分には同一符号を付して重複する
部分の詳細説明を省略する。
【0033】非磁性材料で形成された中空ロール1aの
中心軸に固定軸2の一端が貫通されている。中空ロール
1aの両端の内周面が一対のころがり軸受3a,3bに
よって固定軸2に回転自在に支持されている。したがっ
て、この中空ロール1aは固定軸2を回転中心軸として
自由に回転する。
【0034】前記中空ロール1aにおいて、図1(b)
に示すように、ころがり軸受3a,3bが取付けられて
いる両端部の厚みt0 が厚く、薄鋼帯10が接触する中
央部の厚みt1 が薄く設定されている。この実施例にお
いては、両端部の厚みt0 が6〜10mmに設定され、中
央部の厚みt1 が1〜4mmに設定されれている。
【0035】この中空ロール1a内において、略コ字断
面形状を有した磁化鉄心4cが、各磁極4a,4bが中
空ロール1aの内周面に近接する姿勢で、支持部材5を
介して固定軸2に固定されている。各磁極4a,4bの
先端は中空ロール1aの内周面の曲率に対応して円弧状
に形成されている。そして、磁化鉄心4cに磁化コイル
6が巻装されている。また、磁化鉄心4cの磁極4a,
4bの間に複数の磁気センサ7が軸方向に配列されてい
る。そして、各磁気センサ7は固定軸2に固定されてい
る。しかして、磁化鉄心4cおよび磁化コイル6は中空
ロール1aを介して薄鋼帯10内に磁界を発生させる磁
化器4を構成する。
【0036】各磁気センサ7は特開平1−308982
号公報に記載された過飽和型の磁気センサを使用してい
る。すなわち、この磁気センサ7においては、棒状コア
に検出コイルを巻装して、この検出コイルに高周波励磁
電流を継続して流して前記棒状コアを過飽和域まで励磁
した状態とする。したがって、この検出コイルの両端の
出力電圧波形の振幅値は一定となる。このような過飽和
に励磁された棒状コアに外部磁界が接近すると、前記両
端電圧波形の振幅値は変化しないが、正負の各波高値V
a,−Vbが変化する。そこで、この各波高値Va,−
Vbを検波器で検波して直流に変換して、加算器で加算
することによって、差電圧(Va−Vb)を求める。す
なわち、この差電圧(Va−Vb)がこの磁気センサ7
に加えられた外部磁界に対応する。よって、この磁気セ
ンサ7で漏洩磁束密度が検出される。
【0037】磁化コイル6に励磁電流を供給するための
電源ケーブル8および各磁気センサ7から出力される各
検出信号を取出すための信号ケーブル9が固定軸2内を
経由して外部へ導出されている。したがって、磁化鉄心
4cおよび各磁気センサ7の位置は固定され、中空ロー
ル1aが磁化鉄心4cおよび各磁気センサ7の外周を微
小間隙を有して回転する。
【0038】そして、磁化器4における磁極4a,4b
間の距離で示される磁極間距離(磁気ギャップ間隔)W
は各磁極4a,4bと薄鋼帯10までの距離Lに対して
2倍以上でかつ8倍以下に設定されている(2L≦W≦
8L)。
【0039】また、各磁気センサ7の薄鋼帯10の走行
方向位置は各磁極4a,4bの中間位置に設定されてい
る。また、各磁気センサ7と薄鋼帯10との間のリフト
オフdはこの実施例においては3mmに設定されている。
【0040】このような構成の磁気探傷装置の中空ロー
ル1aの外周面を例えば矢印A方向に走行状態の薄鋼帯
10の一方面に所定圧力でもって押し当てると、固定軸
2は建屋のフレームに固定されているので、中空ロール
1aが矢印B方向に回転する。
【0041】そして、図示しない外部の磁化電源装置か
ら励磁コイル6に励磁電流を供給すると、磁化鉄心4c
の各磁極4a,4bと走行中の薄鋼帯10とで閉じた磁
路が形成される。薄鋼帯10の内部あるは表面に欠陥が
存在すると、薄鋼帯10内の磁路が乱れ、漏洩磁束が生
じる。この漏洩磁束が該当位置の磁気センサ7でもって
欠陥信号として検出される。
【0042】検出された欠陥信号はその信号レベルが薄
鋼帯10内部または表面の欠陥の大きさと対応するの
で、欠陥信号の信号レベル変化でもって薄鋼帯10の内
部または表面の欠陥の存在とその大きさを判定すること
ができる。
【0043】次に、上述したように、磁化器4の各磁極
4a,4bの磁極間距離Wを薄鋼帯10までの距離Lに
対して2倍以上でかつ8倍以下に設定する根拠となる実
験結果を説明する。
【0044】図2は離間した磁極32a,32bを有す
る磁化鉄心32に磁化コイル33を巻装してなる磁化器
31に距離Lだけ離間して薄鋼帯10aを配設して、こ
の薄鋼帯10aの反対側位置に距離dだけ離して磁気セ
ンサ7aを配設している。なお、この磁気センサ7aの
位置は磁極間距離Wの中心位置である。そして、磁気セ
ンサ7aは磁化器31にて生成される磁界の磁束のうち
薄鋼帯10a内を通過する磁束の磁束密度を間接的に検
出する。なお、磁極間距離Wのみが異なる複数種類の磁
化器31が準備されている。また、薄鋼帯10aと磁化
器31との間の距離Lも任意に変更可能である。
【0045】このような実験装置において、磁気センサ
7aをその軸が薄鋼帯10aに直交する方向に配設し
て、薄鋼帯10aに形成された外径0.2mm 〜0.9mm の4
種類の標準欠陥に起因する各漏洩磁界の垂直成分を測定
した。また、磁気センサ7aをその軸が薄鋼帯10aに
平行する方向に配設して、同一条件で漏洩磁界の水平成
分を測定した。測定結果を図4に示す。信号波形aが磁
界の水平成分であり、信号波形bが磁界の垂直成分であ
る。
【0046】なお、磁化器の各磁極と水平磁界分布特性
Fと垂直磁界分布特性Dとの位置関係が図3に示されて
いる。図示するように、水平磁界分布特性Fは略山形形
状となり、垂直磁界分布特性Dは中央位置で0ラインを
横切る略正弦波形となる。
【0047】また、磁化器31と薄鋼帯10aとの距離
Lは3.5mm、磁極間距離Wは20mm、磁気センサ7a
と薄鋼帯10aとの距離dは3mmである。
【0048】そして、各磁気センサ7aにて検出された
磁界の垂直成分と水平成分の各相対出力の関係を図5に
示す。この特性から理解できるように、磁界の水平成分
と垂直成分とは正の相関関係を有する。
【0049】このような知見に基づき、これ以降の実施
例においては、特に断らない限り、垂直成分検出型の磁
気センサを使用した場合について説明する。
【0050】なお、図4に示すように、水平成分検出型
の磁気センサの検出感度が垂直成分検出型の磁気センサ
の検出感度より高い。しかし、水平成分検出型の磁気セ
ンサを用いた場合には、薄鋼帯10a等の被検体からの
磁気ノイズから欠陥信号を抽出するために別途ハイパス
フィルタを設ける必要があり、回路構成が複雑になる。
【0051】次に、距離Lを例えば3mmの一定値に固定
した状態で、磁化器31の磁極間距離Wを例えば5mmか
ら25mmまで変更していった場合の磁気センサ7aの出
力電圧を測定した。薄鋼帯10a内に欠陥が存在しなけ
れば、漏洩磁束は薄鋼帯10a内の磁束密度に比例する
ので、磁気センサ7aでもって薄鋼帯10a内の磁束密
度が測定される。その測定結果が図6に示されている。
なお、実験においては、磁化コイル33に供給する磁化
電流を0Aから定格の5Aまで徐々に増加している。
【0052】図6に示すように、磁化電流が大きくなる
と、磁極間距離Wの値によって、薄鋼帯10内を通る磁
束の磁束密度が変化することが理解できる。すなわち、
例えばW=5mmの条件等のように、磁極間距離Wが距離
Lに対して余りにも小さい領域においては、磁束密度が
小さい。また、逆に、例えばW=25mmの条件等のよう
に、磁極間距離Wが距離Lに対して余りにも大きい領域
においても、磁束密度が小さくなる。このような傾向
は、現実に測定を行った0.5 mm≦L≦8.0 mmの実測範囲
で観測することができた。
【0053】よって、磁極間距離Wと距離Lとの比(W
/L)を横軸にして、縦軸に前記磁気センサ7aの相対
出力をとると、図7に示す特性が得られる。すなわち、
この図においては、各距離Lの実測範囲(0.5 mm≦L≦
8.0 mm)内で、磁極間距離Wを調節して、各距離Lにお
ける最大出力値が、距離Lで規格化された各磁極間距離
Wに対して示される。
【0054】一般に、測定機器の特性は[−3dB]を
基準として評価される。そこで、図7において、相対出
力が70%以上の場合であれば、その出力は十分実用に
耐えると考える。したがって、前記比(W/L)が2以
上でかつ8以下の範囲が最適範囲である。
【0055】図8は上述した条件(2L≦W≦8L)を
満たした上で、第1図(a)(b)に示す実際の装置に
おいて、磁化器4と薄鋼帯10との間の距離Lを1mmか
ら5mmまで変化させていった場合における各磁気センサ
7にて検出された欠陥信号の波形図である。但し、この
波形図は磁界の垂直成分を微分して出力した信号波形で
ある。また、実験は、0.9 mm,0.6 mm,0.3 mmの予めピ
ンホール外径が定まっている3樹類の試験用の標準欠陥
を有した薄鋼帯10を用いて実施した。
【0056】当然距離Lが大きくなると検出された欠陥
信号全体の信号レベルは低下するが、得られた欠陥信号
のS/Nが上昇しているので、増幅器を用いてゲイン
(利得)を増大すれば、0.3 mm等の小さい欠陥であって
も精度良く検出できる。
【0057】次に、各磁気センサ7の走行方向位置を磁
極間距離Wの中央位置に設定する理由を説明する。
【0058】図3に示す実験装置において、磁気センサ
7aの水平方向位置(走行方向位置)を変化させた場合
の垂直成分検出型の磁気センサ7aに検出される磁化方
向を考慮した磁束密度は図示するように、各磁極位置で
最大,最小を示す垂直磁界分布特性Dとなる。したがっ
て、この垂直磁界分布特性Dが0レベルラインを横切る
磁極間距離Wの中央位置に磁気センサ7aを設定すれ
ば、磁気センサ7aにて検出された磁束密度に対応する
出力信号に対してバイアス電圧を印加して、出力レベル
を調整する必要がない。よって、出力信号を処理するた
めの回路構成が簡素化される。
【0059】また、実施例装置においては、図1(b)
に示すように、中空ロール1aの厚みtを、ころがり軸
受3a,3bが取付けられている両端部において厚く、
薄鋼帯10が当接する中央部において薄く設定してい
る。前述したように、中空ロール1aの厚みtは薄い方
が望ましいが、過度に薄くすると前述した種々の問題が
生じる。その問題の中に、中空ロール1aの強度が低下
する問題がある。この強度を補う目的で、ころがり軸受
3a,3bが取付けられる両端部の厚みt0 を薄鋼帯1
0が当接する中央部の厚みt1 より厚く設定することに
よって、中空ロール1aの厚みtを薄くすることによる
強度低下をある程度補償できる。
【0060】図9(a)(b)は本発明の他の実施例の
薄鋼帯の磁気探傷装置の概略構成を示す断面である。な
お、図10および図1の磁気探傷装置と同一部分には同
一符号が付してある。したがって、重複する部分の詳細
説明は省略されている。
【0061】この実施例の磁気探傷装置においては、薄
鋼帯10を挟んで上下に一対の中空ロール1,1bが配
設されている。各中空ロール1,1bは非磁性材料で形
成されている。そして、外径は互いに等しく設定されて
いるが、上側中空ロール1bの厚みt3 が下側中空ロー
ル1の厚みt1 より薄く設定されている。
【0062】各中空ロール1,1bの各中心軸にそれぞ
れ中空の固定軸2,2aの一端が貫通されている。下側
中空ロール1の固定軸2の他端は図示しない建屋のフレ
ームに固定されている。一方、上側中空ロール1bの固
定軸2aの他端は下側中空ロール1の固定軸2に対して
図示しないごく弱いばねで付勢されている。各固定軸
2,2aは各中空ロール1,1bの各中心軸に位置する
ようにそれぞれ一対のころがり軸受3a,3bを介して
各中空ロール1,1bの両端の内周面に支持されてい
る。したがって、各中空ロール1,1bは固定軸2,2
aを回転中心軸として自由に回転する。そして、薄鋼帯
10が矢印A方向へ走行すると、各中空ロール1,1b
はそれぞれ矢印B方向および矢印C方向へ回転する。
【0063】上側中空ロール1b内において、複数の磁
気センサ7bが下方を向く姿勢で固定軸2aに支持部材
を介して固定されている。そして、各磁気センサ7bの
先端は上側中空ロール1bの内周面に微小間隙を有して
対向している。この各磁気センサ7bの出力信号は固定
軸2aの内部を経由した信号線ケーブル9aでもって外
部へ導出される。
【0064】一方、下側中空ロール1内において、磁化
鉄心4cの各磁極4a,4bが上方を向く姿勢で、磁化
器4が固定軸2に固定されている。磁化コイル6の励磁
電流は固定軸2内を経由した電源ケーブル8を介して供
給される。
【0065】なお、中空ロール1内の磁化器4の磁極間
距離Wと磁化器4と薄鋼帯10との間の距離Lとの関係
は先の実施例と同様に一定の関係(2L≦W≦8L)を
維持している。
【0066】このような磁気探傷装置においても、(2
L≦W≦8L)の条件を満たしているので、図1の実施
例とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0067】さらに、上側の中空ロール1bには薄鋼帯
10の重力や張力が直接印加されないので、下側の中空
ロール1の厚みt1 に比較して、上側の中空ロール1b
の厚みt3 を薄く設定できる。よって、磁気センサ7b
と薄鋼帯10との間のリフトオフdをより短く設定する
ことによって、磁気センサ7bの検出感度をより向上で
きる。
【0068】また、薄鋼帯10は上下の中空ロール1
b,1によって挟まれているので、走行に伴って生じる
振動が抑制される。その結果、リフトオフdの変動が小
さくなり、欠陥の検出精度が向上する。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように本発明の薄鋼帯の磁
気探傷装置によれば、磁化器の磁極間距離Wと磁化器と
薄鋼帯との間の距離Lとを一定の関係(2L≦W≦8
L)に制御している。さらに、中空ロールにおける中央
部の薄鋼帯が接する領域の厚みt1 を両端部の薄鋼帯が
接触しない非接触領域の厚みt0 より薄く設定してい
る。したがって、磁化器による薄鋼帯に対する磁化効率
が上昇する。よって、磁気センサで検出される欠陥信号
のS/Nを向上できるので、製造費を上昇させることな
く、薄鋼帯の表面又は内部に存在する欠陥の検出精度を
大幅に向上できる。
【0070】また、磁気センサを薄鋼帯による荷重が作
用しない別の中空ロール内に収納しているので、この中
空ロールの厚みを薄くすることによって、磁気センサの
検出感度をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の薄鋼帯の磁気探傷装置における薄鋼
帯の走行方向および直交する各面で切断した断面図、
【図2】 本発明の効果を確認するための実験装置の概
略構成を示す模式図、
【図3】 磁化器の磁極位置と水平,垂直の各磁界分布
特性との関係を示す図、
【図4】 磁気センサの配設方向と各磁気センサの検出
波形との関係を示す図、
【図5】 図4の各磁気センサで検出された垂直磁界と
水平磁界との関係を示す図、
【図6】 実験装置で得られた検出特性図、
【図7】 図6の検出特性図を異なるパラメータで示し
た特性図、
【図8】 実施例装置で得られた欠陥信号を示す図、
【図9】 本発明の他の実施例に係わる薄鋼帯の磁気探
傷装置おける薄鋼帯の走行方向および直交する各面で切
断した断面図、
【図10】 従来の薄鋼帯の磁気探傷装置の各断面図で
ある。
【符号の説明】
1,1a,1b…中空ロール、2,2b…固定軸、4…
磁化器、4a,4b…磁極、4c…磁化鉄心、6…磁化
コイル、7,7a…磁気センサ、10…薄鋼帯。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄鋼帯の走行路に直交する固定軸に回転
    自在に支持され、前記走行路を走行する薄鋼帯の表面に
    接することによって回転する中空ロールと、この中空ロ
    ール内に配設され、前記走行方向に離間した磁極を有
    し、前記薄鋼帯内に磁界を発生させる磁化器と、前記薄
    鋼帯の内部又は表面の欠陥に起因して生じる漏洩磁束を
    検出する磁気センサとを備えた薄鋼帯の磁気探傷装置に
    おいて、 前記離間した磁極間の距離がこの磁極から前記薄鋼帯ま
    での距離の2倍以上でかつ8倍以下に設定され、かつ前
    記中空ロールにおける薄鋼帯と接触する領域の厚さが非
    接触領域の厚さより薄いことを特徴とする薄鋼帯の磁気
    探傷装置。
  2. 【請求項2】 薄鋼帯の走行路に直交する固定軸に回転
    自在に支持され、前記走行路を走行する薄鋼帯の表面に
    接することによって回転する中空ロールと、この中空ロ
    ール内に配設され、前記走行方向に離間した磁極を有
    し、前記薄鋼帯内に磁界を発生させる磁化器と、前記薄
    鋼帯の内部又は表面の欠陥に起因して生じる漏洩磁束を
    検出する磁気センサとを備えた薄鋼帯の磁気探傷装置に
    おいて、 前記離間した磁極間の距離がこの磁極から前記薄鋼帯ま
    での距離の2倍以上でかつ8倍以下に設定され、かつ前
    記磁気センサが前記中空ロールに薄鋼帯を挟んで対向す
    る別の中空ロール内に収納されていることを特徴とする
    薄鋼帯の磁気探傷装置。
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