JP2861581B2 - 磁気検出方法及びその装置 - Google Patents

磁気検出方法及びその装置

Info

Publication number
JP2861581B2
JP2861581B2 JP4024098A JP2409892A JP2861581B2 JP 2861581 B2 JP2861581 B2 JP 2861581B2 JP 4024098 A JP4024098 A JP 4024098A JP 2409892 A JP2409892 A JP 2409892A JP 2861581 B2 JP2861581 B2 JP 2861581B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
magnetic sensor
signal
output signal
output
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4024098A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH085610A (ja
Inventor
静吾 安藤
泰大 松藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from PCT/JP1991/001685 external-priority patent/WO1992021963A1/ja
Application filed by Nippon Kokan Ltd filed Critical Nippon Kokan Ltd
Priority to JP4024098A priority Critical patent/JP2861581B2/ja
Publication of JPH085610A publication Critical patent/JPH085610A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2861581B2 publication Critical patent/JP2861581B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Magnetic Means (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、鋼板等の磁性材料で形
成された被検体に磁化器で磁界を交差させ、磁気的異常
部に起因する漏洩磁束を磁気センサで検出する磁気検出
方法及び磁気検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気検出装置は、磁気を利用して、被検
体としての薄鋼帯の内部あるいは表面に存在する疵,介
在物等の磁気的異常部を検出する。磁束を検出する磁気
センサをリニア状に配設した磁気センサ群か内部に組込
まれた磁気検出装置は、走行中の薄鋼帯の全幅に存在す
る欠陥を連続的に検出できることが報告されている(実
開昭63−107849号公報)。
【0003】図44,図45は上述した走行中の薄鋼帯
の欠陥を連続的に検出する磁気検出装置をそれぞれ異な
る方向から見た断面模式図である。また、図46はこの
磁気検出装置が支持装置に組込まれた状態を示す側面図
である。
【0004】図46において、建屋の床に据付けられフ
レーム11内に水平アーム12が一対のばね部材13
a,13bによって支持されている。したがって、水平
アーム12は上下に移動可能である。水平アーム12の
中央に磁気検出装置の固定軸2が固定されている。ま
た、フレーム11の両側には薄鋼帯10を磁気検出装置
の中空ロール1の外周面に導くための一対のガイドロー
ル14a,14bが設けられている。
【0005】図44,図45において、非磁性材料で形
成された中空ロール1の中心軸に固定軸2の一端が貫通
されている。この固定軸2の他端は前記水平アーム12
に固定されている。そして、固定軸2は中空ロール1の
中心軸に位置するように一対のころがり軸受3a,3b
でもって中空ロール1の両端の内周面に支持されてい
る。したがって、この中空ロール1は固定軸2を回転中
心軸として自由に回転する。
【0006】中空ロール1内に、略U字断面形状を有し
た磁化鉄心4cが、その各磁極4a,4bが中空ロール
1の内周面に近接する姿勢で、支持部材5を介して固定
軸2に固定されている。この磁化鉄心4cに磁化コイル
6が巻装されている。したがって、この磁化鉄心4cと
磁化コイル6とで磁化器4を構成する。磁化鉄心4cの
磁極4a,4bの間に複数の磁気センサ7aを軸方向に
リニア状に配列してなる磁気センサ群7がやはり固定軸
2に固定されている。
【0007】磁化コイル6に励磁電流を供給するための
電源ケーブル8および磁気センサ群7の各磁気センサ7
aの出力信号を取出すための信号ケーブル9は固定軸2
内を経由して外部へ導出されている。したがって、磁化
器4および磁気センサ群7の位置は固定され、中空ロー
ル1が磁化器4および磁気センサ群7の外周を微小間隙
を有して回転する。
【0008】このような構成の磁気検出装置の中空ロー
ル1の外周面を例えば矢印a方向に走行状態の薄鋼帯1
0の一方面に所定圧力でもって押し当てると、固定軸2
は水平アーム12に固定されているので、中空ロール1
が矢印b方向に回転する。
【0009】このような磁気検出装置において、磁化コ
イル6に励磁電流を供給すると、磁化鉄心4cの各磁極
4a,4bと走行中の薄鋼帯10とで閉じた磁路が形成
される。そして、薄鋼帯10の内部あるいは表面に欠陥
が存在すると、薄鋼帯10内の磁路が乱れ、漏洩磁束が
生じる。この漏洩磁束が磁気センサ群7を構成する該当
欠陥位置に対向する磁気センサ7aで検出され、この磁
気センサ7aから該当欠陥に対応する信号が出力され
る。
【0010】検出された信号はその信号レベルが薄鋼帯
10内部または表面の欠陥の大きさと対応するので、出
力信号の信号レベルを測定することによって薄鋼帯10
の内部または表面に存在する欠陥の幅方向の発生位置と
その規模が把握できる。
【0011】このような磁気検出装置おいて、各磁気セ
ンサ7aは、各磁極4a,4bの中央位置に配設されて
いる。この中央位置に配設する理由は次の通りである。
【0012】すなわち、図47は、図44,図45の磁
気検出装置の要部を模式的に描いた図である。全く欠陥
が存在しない薄鋼帯10を静止させた状態で各磁極4
a,4bに対向配置されている。そして、磁化コイル6
が直流励磁される。すると、磁極4a,4b近傍に磁界
が発生する。この磁界は、図示するように、各磁極4
a,4b位置で最大,最小を示すサイン波形状の垂直磁
界分布特性Dと、各磁極4a,4bの中心位置で最大値
を示す山形形状の水平磁界分布特性Fとを有する。した
がって、この垂直磁界分布特性Dが0レベルラインを横
切る磁極4a,4bの磁極間距離Wの中央位置に、磁気
感応方向が垂直方向に設定された垂直型の磁気センサ7
aが配設されれば、前記磁界の影響が除去可能である。
【0013】また、磁極4a,4bの磁極間距離Wの中
央位置に、磁気感応方向が水平方向に設定された水平型
の磁気センサを配設して、この水平型の磁気センサの出
力信号を微分すれば、磁極間の中心位置近傍において
は、この出力信号波形は前記垂直磁界分布特性Dに近似
する。よって、微分後の出力信号は前記中央位置で0レ
ベルラインを横切る。よって、垂直型の磁気センサ7a
と同様に、前記磁界の影響を除去できる。
【0014】但し、水平型の磁気センサを採用するより
は垂直型の磁気センサを採用する方が好ましい。すなわ
ち、上述したように、垂直型の磁気センサのような微分
波形類似の出力を得る方が、磁気的異常部の検出に便利
であると一般的に言れる。水平型の磁気センサでもっ
て、これと同じ出力を得るためには、水平型の磁気セン
サの出力を一旦微分回路で処理する必要があるので、装
置全体が複雑化する。また、水平型の磁気センサにおけ
る磁気的異常部に起因する信号成分の周波数fSと雑音
成分の周波数fN との比(fS /fN H は、垂直型の
磁気センサにおける比(fS /fN V に比較して小さ
い。
【0015】したがって、垂直型の磁気センサを採用し
た方が、出力信号に含まれる雑音の除去がより容易にな
る。したがって、実際の装置の簡素化を図るためには、
垂直型の磁気センサの方が好ましいのである。しかし、
垂直型の磁気センサでなければ、磁気的異常部を検出す
ることができないことではない。
【0016】なお、図48に示すように、たとえ磁気セ
ンサ7aが磁極4a,4bの磁極間の中央位置に存在し
ない場合であっても、前記磁界の影響を排除できる。す
なわち、その磁気センサ7aの設置位置における磁界分
布特性D,F上の各磁気センサの出力電圧値Vov,Voh
を予め求めておく。そして、図49に示すように、バイ
アス電圧発生器16から出力される固定バイアス電圧を
前記電圧Vov,Vohに調整する。減算器15でもって、
磁気センサ7aの出力信号から前記電圧Vov(Voh)を
減算する。
【0017】したがって、以下の説明においては、垂直
型の磁気センサを磁極間の中央位置に設置した場合につ
いて論ずる。
【0018】ところで、図47に示す垂直磁界分布特性
Dは、全く欠陥が存在しない薄鋼帯10を磁極4a,4
bに対して静止させた状態における特性である。しか
し、実際の磁気検出装置において、薄鋼帯10は速度V
で一方方向へ移動している。このとき薄鋼帯10は磁極
4aによって磁化され、この励磁磁界内を移動する被検
体である薄鋼帯10の速度効果により、見掛上、磁束分
布が被検体の移動方向に偏奇する。すなわち、導体であ
る被検体が磁界内で移動している場合には、被検体に渦
電流が発生する。この渦電流により生起される磁界の作
用により、結果として磁束分布が偏奇すると推定され
る。
【0019】その結果、垂直磁界分布特性Dが0ライン
を横切る位置が必ずしも、磁極間の中央位置とは限ら
ず、図47の垂直磁界分布特性Eに示すように、走行方
向側に平行移動する。
【0020】よって、薄鋼帯10が走行状態において
は、磁極4a,4bの磁極間の中央位置(X=0)が移
動後の垂直磁界分布特性Eにおける0レベル位置になら
ない。したがって、中央位置には浮遊磁束が存在する。
【0021】なお、浮遊磁束とは、被検体における磁気
的異常部に起因して発生する漏洩磁束とは別に、被検体
周囲で検出される磁束である。そして、この浮遊磁束は
主としてバルクとしての被検体や、磁化器の磁化鉄心部
材から周囲に放出される。したがって、この浮遊磁束は
図47に示す各磁界分布特性に対応した分布特性を有す
る。
【0022】当然、この浮遊磁束は薄鋼帯10の移動速
度Vの増加に伴って変化する。また、浮遊磁束は磁化器
4の励磁電流Iの増加に伴ってさらに変化する。図50
は、欠陥が存在しない薄鋼帯10の移動速度Vを0m/
分から1200m/分まで変化させた場合における中心位置
(X=0)に配設された垂直型の磁気センサ7aの出力
電圧の各相対値を示す実測図である。なお、図50中の
各特性は磁化コイル6の励磁電流Iを0.25A,0.50A,
0.75Aと順番に変化させた場合の特性である。この実測
図からも理解できるように、浮遊磁束は移動速度V及び
励磁電流Iの増加に伴って増加する。
【0023】また、磁気センサ7aが検出できる磁束の
強度に一定の範囲が存在し、一定以上の強い磁束を検出
すると出力信号が飽和する。図51は、上述した欠陥が
存在しない薄鋼帯10の移動速度Vと磁気センサ7aの
出力電圧の各相対値を示す実測図である。この実測図で
も理解できるように、励磁電流Iが 0.2Aの条件下にお
いては、薄鋼帯10の移動速度Vが 600m/分程度で浮
遊磁束に起因する出力信号は飽和する。
【0024】一方、各磁気センサ7aには欠陥に起因す
る漏洩磁束に対する高い検出感度が要求されることも多
い。例えば微小欠陥からの漏洩磁束が数10mm Gauss程
度の非常に小さな値である。したがって、各磁気センサ
7aの磁気検出感度を大幅に上昇させる必要がある。
【0025】図52は、例えば1ガウスで1Vの高い検
出感度を有する磁気センサ7aにおいて、この磁気セン
サ7aに交差する磁束の強度を変化させた場合における
磁気センサ7aの出力電圧値を示す実測図である。この
実測図でも理解できるように、磁気センサ7aの検出感
度を上昇させると、交差磁束が6ガウス程度で出力電圧
値が飽和してしまう。
【0026】この磁気センサ7aの出力信号が飽和する
現象は、薄鋼帯10の移動速度Vが上昇するとより顕著
になる。図53は、直径が0.6mm の人工欠陥が形成され
た薄鋼帯10に対する欠陥検出を行った場合の磁気セン
サ7aの出力と励磁電流Iとの関係を示す実測図であ
る。すなわち、この実測図によると、薄鋼帯10の移動
速度Vを高くして、かつ磁化器4の励磁電流Iを増加さ
せて、欠陥の検出感度を上昇させようとすると、磁気セ
ンサ7aの出力は、励磁電流Iが一定電流以上になる
と、飽和するのみならず、低下する。
【0027】このように、小規模の欠陥を検出するため
に磁気センサ7aの感度を上昇させる必要がある。しか
し、全く欠陥が存在しない場合における浮遊磁束の強度
は前記小規模欠陥に起因する漏洩磁束の強度に比較して
格段に大きい。したがって、磁気センサ7aの検出感度
を上昇させると、出力信号が浮遊磁束でもって飽和して
しまう。その結果、小規模な欠陥を精度良く検出できな
い問題がある。
【0028】このような問題は実開昭63−10784
9号公報のように中空ロールを使用しているものだけに
見られる特殊な現象ではない。特に浮遊磁束に起因する
欠陥検出精度低下は、磁化器を用いて磁気的異常部を検
出するいわゆる磁気検出技術において一般に見られる現
象である。
【0029】また、被検体としての薄鋼帯10の磁化特
性も移動速度Vに応じて変化する。すなわち、薄鋼帯1
0の移動速度Vが高くなると、速度効果により、薄鋼帯
10の磁化力が低下する。その結果、同一の欠陥規模で
あったとしても、薄鋼帯10の移動速度Vが変化すれ
ば、異なる規模の欠陥として検出される。
【0030】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、被検体の健全部から生じる浮遊磁束を相殺
するための補償コイルを設けることによって、被検体の
磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を検出する磁気
センサの出力信号に含まれる浮遊磁束に起因する低周波
信号成分を除去でき、磁気センサの出力信号のS/Nを
上昇でき、磁気的異常部の検出感度と検出精度を大幅に
向上できる磁気検出方法および磁気検出装置を提供する
ことを目的とする。
【0031】さらに、上述した目的に加えて、たとえ被
検体の移動速度が変化したとしても、常に安定した一定
の検出感度を維持できる磁気検出装置を提供することを
目的とする。
【0032】
【課題を解決するための手段】上記課題を解消するため
に本発明の磁気検出方法においては、磁界内を移動する
被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を磁気
センサにより検出し、この磁気センサの出力信号に含ま
れる低周波信号成分をローパスフィルタで抽出し、抽出
された低周波信号成分を増幅して補償コイルに印加し、
この補償コイルで生起される磁束によって、前記磁気セ
ンサに交差する浮遊磁束を相殺するようにしている。
【0033】また、本発明は、磁界内を移動する被検体
の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を磁気センサ
で検出する磁気検出装置において、磁気センサの出力信
号に含まれる低周波信号成分を抽出するローパスフィル
タと、このローパスフィルタにて抽出された低周波信号
成分を増幅する増幅器と、この増幅器の出力信号にて励
磁され、磁気センサに交差する浮遊磁束を相殺する磁束
を生起する補償コイルとを備えている。
【0034】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、上記発明におけるローパスフィルタと増幅器との間
に積分器を介挿し、ローパスフィルタにて抽出された低
周波信号成分を積分して、その積分された低周波信号成
分を増幅器で増幅するようにしている。
【0035】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起
因して生じる信号を抽出するための例えばハイパスフィ
ルタ等の特定信号抽出フィルタと、この特定信号抽出
ィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出力する出
力増幅器と、磁気センサの近傍位置に設けられ、磁界の
被検体の表面に平行な成分を検出する磁気センサとを備
え、この磁気センサの出力信号で出力増幅器の増幅率を
制御するようにしている。
【0036】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの近傍位置に磁界の被検体の表面に平行
な成分を検出する磁気センサを設け、この磁気センサの
出力信号で磁化器によって生起される磁界強度を制御す
るようにしている。
【0037】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を
抽出するローパスフィルタと、このローパスフィルタに
て抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この
増幅器の出力信号にて励磁され、磁気センサに交差する
浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、磁気
センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起因して生
じる信号を抽出するためのハイパスフィルタと、このハ
イパスフィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出
力する出力増幅器と、磁気センサの近傍位置に設けら
れ、磁界の被検体の表面に平行な成分を検出する磁気セ
ンサとを備え、この磁気センサの出力信号で出力増幅器
の増幅率を制御するようにしている。
【0038】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を
抽出するローパスフィルタと、このローパスフィルタに
て抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この
増幅器の出力信号にて励磁され、磁気センサに交差する
浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、磁気
センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起因して生
じる信号を抽出するためのハイパスフィルタと、このハ
イパスフィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出
力する出力増幅器と、前記磁気センサの近傍位置に設け
られ、磁界の被検体の表面に平行な成分を検出する磁気
センサとを備え、この磁気センサの出力信号で磁化器に
よって生起される磁界強度を制御するようにしている。
【0039】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を
抽出するローパスフィルタと、このローパスフィルタに
て抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この
増幅器の出力信号にて励磁され、磁気センサに交差する
浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、磁気
センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起因して生
じる信号を抽出するためのハイパスフィルタと、このハ
イパスフィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出
力する出力増幅器とを備え、磁気センサの出力信号で出
力増幅器の増幅率を制御するようにしている。
【0040】さらに、別の発明の磁気検出装置において
は、磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を
抽出するローパスフィルタと、このローパスフィルタに
て抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この
増幅器の出力信号にて励磁され、磁気センサに交差する
浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、磁気
センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起因して生
じる信号を抽出するためのハイパスフィルタと、このハ
イパスフィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出
力する出力増幅器とを備え、前記磁気センサの出力信号
で磁化器によって生起される磁界強度を制御するように
している。
【0041】
【0042】
【0043】
【作用】本発明の磁気検出方法および磁気測定装置にお
いては、磁界内を移動する被検体の磁気的異常部に起因
して生じる漏洩磁束を検知する磁気センサの出力信号に
含まれる低周波信号成分はローパスフィルタで抽出され
る。抽出された低周波信号成分は増幅されて補償コイル
に印加される。そして、この補償コイルで生起される磁
束によって、磁気センサに交差する浮遊磁束が相殺され
る。
【0044】一般に被検体の健全部においても生じる浮
遊磁束の時間変化(周波数)は、磁界内を移動する被検
体の磁気的異常部に起因する漏洩磁束の周波数に比較し
て格段に低い。したがって、ローパスフィルタでもって
磁気センサの出力信号に含まれる浮遊磁束の信号成分が
抽出できる。そして、この低周波信号成分を例えば逆極
性にして補償コイルに印加すれば、補償コイルによって
浮遊磁束を打消す方向の磁束が生起される。その結果、
磁気センサに交差する浮遊磁束は補償コイルにて生起さ
れる磁束によって相殺される。よって、磁気センサの出
力信号から浮遊磁束に起因する信号成分が除去される。
【0045】さらに、ローパスフィルタと増幅器との間
に積分器を挿入することによって、磁気センサに交差す
る浮遊磁束を相殺する時に相殺できない微小な差分が生
じても、その差分が積分されて増大して帰還されるの
で、完全な相殺効果を実現することができる。
【0046】また、本発明の磁気検出装置においては、
磁気センサの出力信号に含まれる磁気的異常部に起因し
て生じる信号がハイパスフィルタで抽出される。出力増
幅器はこのハイパスフィルタの出力信号を増幅して欠陥
信号として出力する。さらに、磁気センサの近傍位置
に、磁束のうち被検体の表面に平行な成分を検出する例
えば水平型の磁気センサが配設されている。そして、こ
の水平型磁気センサの出力信号で出力増幅器の増幅率が
制御される。
【0047】磁化器に対向して配設された被検体に生じ
る磁界特性においては、図47に示すように、垂直磁界
分布特性Dはサイン波形状を有しているが、水平磁界分
布特性Fは山型形状を有している。水平型の磁気センサ
でもって被検体内および被検体を貫通した磁界の強度が
測定される。この磁界の強度は前述したように被検体の
移動速度に対応して変化する。さらに、被検体の厚みや
種類(例えば、被検体が鋼帯の場合には炭素成分)等の
変化による磁化力の変動に対しても磁界強度の水平成分
が変化する。
【0048】よって、水平型の磁気センサでもって移動
速度変化に起因する磁界の変化量を検出して、出力増幅
器の増幅度を制御すれば、出力増幅器から速度補正され
た正しい信号レベルを有した欠陥信号が出力される。
【0049】さらに、水平型の磁気センサでもって移動
速度変化に起因する磁界の変化量を検出して、この変化
量でもって磁化器によって生起される磁界強度を制御す
れば、磁気センサにて検出される漏洩磁束の感度が常に
一定値に維持される。よって、速度補正された正しい信
号レベルを有した欠陥信号が得られる。
【0050】また、磁気的異常部を検出する磁気センサ
の出力信号でもってハイパスフィルタの出力段に取付け
られ出力増幅器の増幅率を制御することも可能である。
【0051】同様に、磁気的異常部を検出する磁気セン
サの出力信号でもって磁化器によって生起される磁界強
度を制御することも可能である。
【0052】さらに、別の発明においては、被検体表面
に垂直な磁束成分を検出する垂直型の磁気センサと被検
体表面に平行な磁束成分を検出する水平型の磁気センサ
とのいずれか一方の磁気センサのみを用いる。そして、
この磁気センサの出力信号から、補償コイルにて生起す
る磁束を制御する信号を取出すとともに、出力増幅器の
増幅率を制御したり磁化電源を制御する制御信号を取出
すことが可能である。
【0053】
【実施例】以下本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。
【0054】図1は本発明の一実施例の磁気検出方法を
適用した磁気検出装置を示すブロック図である。
【0055】磁化器100は一対の磁極が被検体として
の薄鋼帯101に対向するように配設されている。この
磁化器100は薄鋼帯101に交差する磁束を生起す
る。磁化器100の励磁コイル102には磁化電源10
3から励磁電流Iが供給される。薄鋼帯101の上側
で、かつ磁化器100の一対の磁極の中間位置に、薄鋼
帯101の内部または表面の磁気的異常部に起因して生
じる漏洩磁束を検出する垂直型の磁気センサ104が配
設されている。この磁気センサ104の出力信号は磁気
検出回路105でこの磁気センサ104に交差する磁束
の強度に対応した出力信号106に変換される。出力信
号106はローパスフィルタ107および特定信号抽出
フィルタとしてのハイパスフィルタ108へ入力され
る。
【0056】ローパスフィルタ107は出力信号106
に含まれる低周波信号成分を抽出する。このローパスフ
ィルタ107にて抽出された低周波信号成分は増幅器1
10へ送出される。増幅器110は低週波信号成分を増
幅して、磁気センサ104の外周面を囲むように巻装さ
れた補償コイル111に印加する。
【0057】一方、薄鋼帯101の移動速度Vは速度検
出器112で検出されて、遮断周波数制御回路113へ
入力される。遮断周波数制御回路113は入力された移
動速度Vに対応して前記ハイパスフィルタ108の遮断
周波数を変更する。ハイパスフィルタ108は磁気検出
回路105の出力信号106に含まれる低周波信号成分
を除去して欠陥信号114として出力端子115から出
力する。
【0058】このように構成された磁気検出装置におい
て、例えば磁気的異常部が全く存在しない薄鋼帯101
が図1の矢印方向に移動すると、垂直型の磁気センサ1
04の設置位置(X=0)における磁束は0ではなく、
図47の垂直磁界分布特性Eに示すように、移動速度V
に対応した浮遊磁束の値となる。したがって、磁気セン
サ104の出力信号106はこの浮遊磁束に起因する移
動速度Vに対応したほぼ一定レベルの低周波信号とな
る。そして、移動状態の薄鋼帯101に例えば欠陥等の
磁気的異常部が存在すると、この磁気的異常部に起因す
る漏洩磁束が磁気センサ104によって検出され、前記
浮遊磁束の低周波数成分に、磁気的異常部に起因する高
周波成分が重畳される。
【0059】ローパスフィルタ107でこの低周波信号
成分が抽出され、この抽出された低周波信号成分は増幅
器110で所定のレベルに増幅された後、補償コイル1
11に印加される。この補償コイル111は励磁される
と前記浮遊磁束を打ち消す極性の磁束を発生する。その
結果、磁気センサ104に交差する合成された磁束は打
ち消されて零に近ずく。よって、磁気センサ104の出
力信号106に含まれる低周波信号成分は低減される。
【0060】すなわち、補償コイル111,磁気センサ
104,ローパスフィルタ107,増幅器110は一種
の閉帰還ループを構成する。よって、たとえ薄鋼帯10
1の移動速度Vが変化して、出力信号106に含まれる
低周波信号成分の信号レベルが変化したとしても、閉帰
還ループはこの低周波信号成分を打消す方向に動作す
る。なお、出力信号106に含まれる磁気的異常部に起
因する欠陥信号の周波数は低周波信号成分の周波数に比
較して格段に高い。よって、欠陥信号は、ローパスフィ
ルタ107で除外され、閉帰還ループに負帰還されるこ
とはない。
【0061】さらに、磁気センサ104の出力信号10
6からハイパスフィルタ108を用いて欠陥信号114
を抽出しているので、欠陥信号114に含まれる浮遊磁
束の影響をさらに徹底して除去できる。また、薄鋼帯1
0の移動速度Vが変化すると、同一規模の磁気的異常部
であっても磁気センサ104の出力信号106に含まれ
る欠陥信号の周波数成分が変化するので、遮断周波数制
御回路113でもってハイパスフィルタ108の遮断周
波数fc を移動速度Vに応じて変化させている。よっ
て、より正確に欠陥等の磁気的異常部の規模を検出でき
る。
【0062】このように、磁気センサ104の出力信号
106から磁気的異常部に起因する欠陥信号のみを効率
的に取出すことが可能である。
【0063】図2,図3,図4は図1に示す磁気検出装
置を工場における検査ラインに組込んだ状態を示す断面
図である。図44,図45,図46に示す磁気検出装置
と同一部分には同一符号が付されている。したがって、
重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0064】この実施例においては、被検体としての薄
鋼帯10を挟んで上下にそれぞれ中空ロール1,1aが
配設されている。図4において、フレーム11内に2本
の水平アーム12,12aがそれぞればね部材13a,
13b,13c,13dによって支持されている。した
がって、各水平アーム12,12aは上下に移動可能で
ある。各水平アーム12,12aの中央に磁気検出装置
の固定軸2,2aが固定されている。また、フレーム1
1の両側には薄鋼帯10を磁気検出装置における各中空
ロール1,1aの間に導くための一対のガイドロール1
4a,14bが設けられている。
【0065】図2,図3おいて、非磁性材料で形成され
た下側中空ロール1の中心軸に固定軸2の一端が貫通さ
れている。固定軸2は中空ロール1の中心軸に位置する
ように一対のころがり軸受でもって回転自在に支持され
ている。したがって、この中空ロール1は固定軸2を回
転中心軸として自由に回転する。
【0066】この中空ロール1内において、磁化器4の
磁化コイル6が巻装された磁気鉄心4cが、その各磁極
4a,4bが中空ロール1の内周面に近接する姿勢で、
支持部材5を介して固定軸2に固定されている。
【0067】一方、下側中空ロール1を挟んで薄鋼帯1
0の上側に配設された上側中空ロール1aは固定軸2a
に対して回転自在に設けられ、薄鋼帯10が矢印a方向
に走行すると、矢印c方向に回転する。そして、この中
空ロール1aの固定軸2aに支持棒21aを介して磁気
センサ群7が下側中空ロール1内に収納された磁化器4
の磁極4a,4bに対向するように固定されている。磁
気センサ郡7はリニア状に配列され複数の磁気センサ7
aで構成されている。各磁気センサ7aの信号ケーブル
は固定軸2aを介して外部に導き出されている。
【0068】また、この磁気センサ群7を囲むようによ
うに補償コイル22が巻装されている。この補償コイル
22へ励磁電流を供給する信号線も前記固定軸2aを介
して供給される。さらに、薄鋼帯10の走行方向にこの
薄鋼帯10の移動速度Vを検出するための例えば回転計
からなる速度検出器23が取付けられている。
【0069】図5,図6は本発明の他の実施例の磁気検
出装置を示す断面図である。この実施例装置は1個の中
空ロール1のみで構成されている。すなわち、図2,図
3に示す各磁気センサ7aおよび補償コイル22が下側
中空ロール1内の磁化器4の磁極4a,4bの中間位置
に配設されている。このように1個の中空ロール1のみ
で構成すれば、装置全体を小型化できる。
【0070】図7は本発明の他の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図である。図1の実施例と同一部分には
同一符号が付してある。したがって重複する部分の詳細
説明が省略されている。
【0071】この実施例装置においては、磁気センサ1
04のみが薄鋼帯101の上側に配設されている。そし
て、補償コイル111が薄鋼帯101の下側に配設され
た磁化器102の磁極間に配設されている。その他の各
回路構成は図1の実施例と同じである。
【0072】図8,図9は図7の実施例装置を実際の工
場における検査ラインに組込んだ状態を示す断面図であ
る。この実施例においては、上側中空ロール1a内の固
定軸2aに固定された支持棒21aに各磁気センサ7a
が取付けられている。一方、下側中空ロール1内の磁化
器4の磁極4a,4b間の中央位置には補償コイル22
が設けられている。この補償コイル22は支持棒21に
て固定軸2に固定されている。
【0073】図10は発明のさらに別の実施例の磁気検
出装置を示すブロック図である。図1の実施例と同一部
分には同一符号が付してある。したがって、重複する部
分の詳細説明が省略されている。
【0074】この実施例装置においては、図7の実施例
装置とは逆に、補償コイル111のみが薄鋼帯101の
上側に配設されている。そして、磁気センサ104は薄
鋼帯101の下側に配設された磁化器102の磁極間に
配設されている。その他の各回路構成は図1の実施例と
同じである。
【0075】図11,図12は図10の実施例装置を実
際の工場における検査ラインに組込んだ状態を示す断面
図である。この実施例においては、上側中空ロール1a
内の固定軸2aに固定された支持棒21aに補償コイル
22が取付けられている。一方、下側中空ロール1内の
磁化器4の磁極4a,4b間の中央位置に各磁気センサ
7aが設けられている。この各磁気センサ7aは支持棒
21にて固定軸2に固定されている。
【0076】次に、前述した図1乃至図12の各実施例
装置において使用される磁気センサおよび補償コイルの
具体的構成を図13(a),(b)を用いて説明する。
【0077】図13(a)は薄鋼帯10に直角方向の磁
束を検出する垂直型磁気センサ7aであり、図13
(b)は薄鋼帯10に平行方向の磁束を検出する水平型
磁気センサ7bである。各磁気センサ7a,7bは同一
構成であり、配設方向が異なるのみである。すなわち、
磁気センサ群7を構成する各磁気センサ7a,7bは強
磁性体材料で形成された棒状コアに検出コイルを巻装し
てなる過飽和型の磁気センサである。
【0078】なお、磁気センサ7a,7bとして、上述
した高い検出感度を有する過飽和型の磁気センサが最良
であるが、MR素子,ホール素子,磁気ダイオード等の
公知の磁気検出素子を用いることも可能である。
【0079】このリニア状に配列された多数の磁気セン
サ7a,7bからなる磁気センサ群7を囲むように例え
ばパーマロイのような強磁性体で形成されたシールド筒
24の外周面に前述した補償コイル22が巻装されてい
る。
【0080】そして、図13(a)に示す垂直型磁気セ
ンサ7aにおいては、補償コイル22の高さHは、磁気
センサ群7全体を覆うように、各磁気センサ7aの長さ
Lより長く設定されている(H>L)。なお、シールド
筒24は、各磁気センサ7aがこの磁気センサ7aの直
下の磁束のみを効率よく検出するために、磁気検出にお
ける指向性を向上させる目的で設けられている。
【0081】なお、水平型磁気センサ7bにおいては、
上述したような補償コイル22の垂直型磁気センサ7a
に対するような寸法制限((H>L)は存在しない。し
かし、補償コイル22の大きさは、基本的に、水平型磁
気センサ7bを取囲む大きさであればよい。
【0082】また、磁気センサ郡7の外周面に絶縁物を
介して補償コイル22が巻装されてもよい。さらに、磁
気センサ郡7の周囲にモールド材を配設して、このモー
ルド材の外周面に補償コイル22が巻装されてもよい。
【0083】さらに、実施例のように磁気センサが多数
の磁気センサ7aからなる磁気センサ群7で構成されて
いた場合は、この磁気センサ群7を一つの補償コイル2
2で囲むのが好ましい。しかし、各磁気センサ7a毎に
補償コイルを個別に設けてもよい。当然、磁気センサ群
が1個の磁気センサのみで構成されていた場合には、こ
の1個の磁気センサを一つの補償コイルで囲めばよい。
【0084】図13(c)は図13(a)で示す垂直型
磁気センサ7aおよび補償コイル22が組込まれた図2
の実施例装置の要部を取出して示す拡大図である。磁気
センサ群7を構成する各磁気センサ7aは磁極4a,4
b間を結ぶ線に平行する線の中心(X=0)に、薄鋼帯
10に直交する姿勢で配設されている。したがって、こ
の各磁気センサ7aは欠陥に起因する漏洩磁束のうちの
薄鋼帯10の表面に直交する垂直成分を検出する。
【0085】図14は図2〜図4および図5,図6に示
す磁気検出装置における下側中空ロール1内に収納され
た磁化器4を除いた電気的構成を示すブロック図であ
る。
【0086】薄鋼帯10の幅方向にn個の磁気センサ7
aが配列されており、このn個の磁気センサ7aからな
る磁気センサ群7を囲むように補償コイル22が巻装さ
れている。補償コイル22の一端は接地されており、他
端はスイッチ25を介して増幅器26の出力端子に接続
されている。
【0087】各磁気センサ7aは各磁気検出回路27に
接続され、この各磁気検出回路27からそれぞれ各磁気
センサ7aに交差する磁束に比例する出力信号dが出力
される。各磁気検出回路27から出力されたn個の出力
信号dはそれぞれハイパスフィルタ28へ入力される。
各ハイパスフィルタ28は、それぞれ、例えば20Hzか
ら3kHzまでの間に含まれる複数の遮断周波数fc を有
しており、遮断周波数切換制御回路29からの切換制御
信号に応じて一つの遮断周波数fc を選択する。
【0088】遮断周波数制御回路29には前記速度検出
器23から出力された移動速度Vが入力されており、入
力された移動速度Vに対応した切換制御信号を出力す
る。その結果、薄鋼帯10の移動速度Vが増加すると、
各ハイパスフィルタ28の遮断周波数fc が上昇する。
したがって、各ハイパスフィルタ28は移動速度Vに対
応した遮断周波数fc でもって各出力信号dに含まれる
欠陥に起因する漏洩磁束に対応する欠陥信号eを抽出す
る。
【0089】各ハイパスフィルタ28にて抽出された欠
陥信号eはマルチプレクサ回路30へ入力される。マル
チプレクサ回路30は一定周期で各欠陥信号eを順番に
選択して、例えばCRT表示装置からなる表示器31に
表示する。
【0090】また、各磁気検出回路27から出力された
n個の出力信号dは平均化回路32へ入力される。この
平均化回路32はn個の出力信号dを平均して、平均出
力信号d1 として出力する。平均化回路32から出力さ
れた平均出力信号d1 は次のローパスフィルタ33へ入
力される。ローパスフィルタ33の遮断周波数fccは例
えば1Hz等の非常に低い値に設定されている。そしてロ
ーパスフィルタ33の出力端子には母材の例えば材質や
厚さにおける健全部や、磁気センサの位置(例えばX方
向の位置)のずれ、または、薄鋼帯10が走行すること
によって生じる浮遊磁束強度に対応する低周波信号成分
gを抽出する。
【0091】ローパスフィルタ33で抽出された低周波
信号成分gは増幅器26へ入力される。増幅器26は入
力された低周波信号成分gを一定の増幅率でもって増幅
して、スイッチ25を介して補償コイル22へ印加す
る。
【0092】補償コイル22においては、前記浮遊磁束
の磁界の極性とは逆の極性の磁界を発生するようにコイ
ルに供給する電流の極性が設定されている。したがっ
て、補償コイル22に増幅器26から励磁電流を印加す
ると、浮遊磁束を打消す方向の磁束が発生する。その結
果、各磁気センサ7aに交差する垂直方向の磁束は相殺
されて大幅に低減する。
【0093】なお、各磁気センサ7aから各磁気検出回
路27への信号路に端子Sが設けられている。この端子
Sには、必要に応じて、図49に示すバイアス電圧発生
回路16と減算15からなる固定バイアス回路が介挿
される。すなわち、各磁気センサ7aの設置位置が磁化
器4の磁極4a,4bの中心位置(X=0)からずれた
場合に、そのずれ量を固定バイアス電圧Vovを印加
(減算)することによって電気的に補正することも可能
である。
【0094】図15は本発明のさらに別の実施例装置の
要部を取出して示すブロック図である。図14の実施例
と同一部分には同一符号が付してある。よって重複する
部分の詳細説明は省略されている。
【0095】この実施例装置においては、薄鋼帯10の
幅方向に例えば100 〜200 個の磁気センサ7aが配設さ
れている。そして、各磁気センサ7aは例えば10個づ
づブロック化され、m個のブロック34に分割されてい
る。各ブロック34毎に先頭の磁気センサ7aの磁気検
出回路27の出力信号d1 が順番に抽出されて平均化回
路32aへ入力している。よって、平均化回路32aは
m個の出力信号d1 を平均して、ローパスフィルタ33
へ送出する。
【0096】このような構成であれば、平均化回路32
aは図14の実施例装置における平均化回路32に比較
して、回路構成が簡素化される。
【0097】次に、上述した補償コイル22が組込まれ
た図14,図15に示す磁気検出装置における長所を実
際に測定されたデータを用いて説明する。
【0098】実施例装置によれば、欠陥が全く存在しな
い薄鋼帯10を走行させることに起因する浮遊磁束は結
果的に各磁気センサ7aに交差しない。その結果、各磁
気センサ7aの出力信号dに低周波信号成分gが含まれ
ないので、たとえ各磁気センサ7aの検出感度を上昇さ
せたとしても出力信号dが飽和することはない。よっ
て、各磁気センサ7aの検出感度を容易に上昇できる。
【0099】次に、発明者は上述した効果を確認するた
めに図14の回路において、スイッチ25を投入して補
償コイル22に低周波信号成分gに対応する低周波信号
を帰還させた場合(帰還あり)と、スイッチ25を開放
した場合(帰還なし)とにおいて、実際の薄鋼帯10を
用いて種々の比較試験を行った。試験結果は図16乃至
図20に示されている。
【0100】まず最初に、欠陥が全く存在しない薄鋼帯
10を静止した状態で(V=0)、磁化器4の磁化コイ
ル6の磁化電流Iを 0.4Aに設定した条件で、各磁気セ
ンサ7aの水平方向の位置Xを磁極4a,4bの中心位
置(X=0)に対して−3mmから+8mmまで移動させた
場合におけるハイパスフィルタ28に入力する手前の出
力信号dの信号レベルを測定した。図16は測定された
各信号レベルを相対出力として表示した実測図である。
【0101】この実測結果でも理解できるように、スイ
ッチ25を投入して、補償コイル22に図47に示す垂
直磁界分布特性Dに対応する浮遊磁束を打消す方向の磁
束を発生させると、各磁気センサ7aの−3mmから+
3mmまで広い位置範囲内において、各磁気センサ7a
の設置位置変化に係わらず、各磁気センサ7aの出力信
号レベルを略零の一定値に制御することが可能である。
すなわち、従来装置においては各磁気センサ7aを正確
に磁極4a,4bの中心位置に設定する必要があるが、
実施例装置においては、磁気センサ7aの設置位置を正
確に中心位置(X=0)に設定していなくても、前述し
た中心位置(X=0)から±3mmの範囲であれば、出
力信号dに含まれる垂直磁界分布特性Dに起因する浮遊
磁界の影響を除去できる。
【0102】なお、この図16において、帰還のない場
合の特性を示す線はX=0、相対出力0の点に関して略
対称であり、帰還のある場合の特性を示す線はX=0を
通るX軸に垂直な直線に関して略対称であるが、理解を
容易にするために部分的にしか描いていない。この点
は、後述する図17においても同様である。
【0103】したがって、図49に示した固定バイアス
回路を端子Sに接続しなかったとしても、垂直磁界分布
特性Dに対応する浮遊磁界の影響を十分排除できる。
【0104】次に、予め基準となる直径0.3 mm及び0.2m
m の2種類の標準欠陥が形成された薄鋼帯10を一定速
度(V=200 m/分)で走行させた状態において、スイ
ッチ25を投入した条件(帰還あり)で、各磁気センサ
7aを走行方向に8mmまで順番に移動させた場合におけ
る各磁気センサ7aの出力信号dの信号レベルを測定し
た。図17は各信号レベルを相対出力として表示した実
測図である。また、図18は同一条件でスイッチ25を
開放した場合(帰還なし)における実測図である。
【0105】薄鋼帯10を走行させると前述したように
浮遊磁束が生じる。そして、図18の従来装置の測定結
果によると、この浮遊磁束の影響を大きく受けて、各磁
気センサ7aの位置を中心から3mm程度移動させると標
準欠陥の信号レベルは極端に変動する。しかし、図17
の実施例装置の測定結果によると、磁気センサ7aの位
置Xが中心位置から5mm程度ずれても、検出された標準
欠陥の信号レベルはほとんと変化しないことが確認でき
た。
【0106】次に、前述した直径0.3mm 及び0.2mm の2
種類の標準欠陥を有する薄鋼帯10の走行速度Vを 200
m/分から1200m/分まで変化させた場合におけるスイ
ッチ25を投入した場合と開放した場合における各出力
信号dを測定した。図19は測定された各信号レベルの
相対出力を示す実測図である。
【0107】この実測図でも理解できるように、「帰還
あり」で示された実施例装置によれば、たとえ移動速度
Vが大きく変化してもほぼ一定した高い信号レベルでも
って各欠陥を検出できる。すなわち、移動速度Vが変化
したとしても検出された欠陥の規模を示す信号レベルは
ほとんど変化しない。よって、欠陥の規模をより定量的
に測定できる。また、移動速度Vを上昇させることによ
って、例えば工場の検査ラインにおける薄鋼帯10の探
傷作業能率を大幅に向上できる。
【0108】さらに、磁気センサ7aを中心位置(X=
0)に設定し、ハイパスフィルタ28の遮断周波数fc
を1500Hzに設定し、さらに直径0.6mm の標準欠陥を有す
る薄鋼帯10を走行速度V =1200m/分で走行させた条
件において、磁化器4の励磁電流Iを0Aから0.6A
まで変化させた場合におけるハイパスフィルタ28を通
った欠陥信号eの信号レベルを測定した。図20は測定
された各信号レベルの相対値を示す実測図である。
【0109】励磁電流Iの増加に伴って欠陥信号eの信
号レベルも上昇するが、スイッチ25を開放した場合
(帰還なし)においては、 0.2A程度の励磁電流Iで飽
和する。しかし、スイッチ25を投入した実施例装置
(帰還あり)においては、欠陥信号eは 0.5A程度の励
磁電流Iまで上昇を続ける。すなわち、磁化器4の磁化
コイル6に印加する励磁電流値を増大することによって
簡単に検出感度を上昇できる。
【0110】このように、薄鋼帯10の移動速度Vを高
くすることが可能であり、かつ励磁電流を増加すること
によって簡単に検出感度を上昇でき、さらに磁気センサ
7aの厳密な取付位置精度も要求されないので、工場の
製造ライン等の悪測定環境下においても十分高い測定精
度を確保できる。
【0111】図21は図20と同一条件で励磁電流Iを
1.0Aまで上昇させた場合におけるハイパスフィルタ
28から出力される欠陥信号eの信号レベルの変化を示
す実測図である。「積分回路なし」の指示で示される実
施例装置の出力信号特性においては、信号レベルが相対
値で0.3以上になると、信号レベルと励磁電流との関
係が非直線関係になる。すなわち、実施例装置の特性を
さらに向上させる必要がある。
【0112】図22は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図1に示す実施例と
同一部分には同一符号が付されている。したがって、重
複する部分の詳細説明は省略されている。
【0113】この実施例装置においては、ローパスフィ
ルタ107と増幅器110との間に積分回路109が介
挿されている。
【0114】磁気センサ104の出力信号は磁気検出回
路105でこの磁気センサ104に交差する磁束の強度
に対応した出力信号106に変換される。この出力信号
106はローパスフィルタ107およびハイパスフィル
タ108へ入力される。ローパスフィルタ107は出力
信号106に含まれる低周波信号成分を抽出する。ロー
パスフィルタ107にて抽出された低周波信号成分は積
分回路109によってほぼ直流のバイアス信号に変換さ
れた後、増幅器110へ送出される。増幅器110にて
増幅されたバイアス信号は、磁気センサ104の外周面
を囲むように巻装された補償コイル111に印加され
る。
【0115】このように構成された磁気検出装置におい
ては、図1の実施例装置と同様に、補償コイル111,
磁気センサ104,ローパスフィルタ107,積分回路
109,増幅器110は一種の閉帰還ループを構成す
る。よって、たとえ薄鋼帯101の移動速度Vが変化し
て、出力信号106に含まれる低周波信号成分の信号レ
ベルが変化したとしても、閉帰還ループはこの低周波信
号成分を相殺する方向に動作し、結果として、低周波数
成分を発生させる外部磁界が、あたかも作用していない
かのような状態が実現される。よって、磁気センサ10
4の出力信号106に含まれる低周波信号成分はほぼ零
となる。
【0116】図23は図22に示す積分回路が組込まれ
た磁気検出装置における下側中空ロール1内に収納され
た磁化器4を除いた電気的構成を示すブロック図であ
る。図14の実施例装置と同一部分には同一符号が付し
てある。したがって、重複する部分の詳細説明は省略さ
れている。
【0117】この実施例装置においては、ローパスフィ
ルタ33と増幅器26との間に積分回路35が介挿され
ている。したがって、ローパスフィルタ33で抽出され
た低波信号成分gは積分回路35へ入力される。積分
回路35は入力された低周波信号成分gを積分してほぼ
直流のバイアス信号に変換する。積分回路35から出力
されたバイアス信号は増幅器26で増分されて、スイッ
チ25を介して補償コイル22へ印加される。
【0118】次に、図22および図23に示すローパス
フィルタと増幅器との間に積分回路を介挿する長所を前
述した図16,図17,図18,図20および図21を
用いて説明する。
【0119】図16,図17において、積分回路を採用
しない実施例装置における磁気センサ7aの設置位置の
中心位置からの許容誤差範囲は3〜4mm程度である。こ
れに対して、積分回路を採用することによって、この許
容誤差範囲が一挙に8mm程度まで拡大する。したがっ
て、この磁気検出装置の製造時の取付位置調整作業がよ
り簡素化される。また、図19に示す実測図において
は、積分回路を採用することとによって、薄鋼帯10の
移動速度Vが変化した場合における磁気センサ7aの出
力信号レベル低下を軽減できる。すなわち、たとえ移動
速度Vが大きく変化しても欠陥規模の検出精度はほぼ一
定値を維持する。よって、常に高い欠陥検出精度を維持
できる。
【0120】さらに、図21においては、積分回路を採
用することによって、励磁電流Iと出力信号との直線関
係を、1.0Aの励磁電流値まで維持できる。すなわ
ち、積分回路を採用していない図14の実施例装置にお
いては、約3.5A程度で出力信号において飽和の前兆
が現れるのに対して、図23の実施例装置においては、
1.0A程度まで全く飽和の前兆は現れない。したがっ
て、励磁電流Iを増加することによって簡単に検出感度
を上昇させることが可能である。
【0121】図24は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図1の実施例と同一
部分には同一符号が付してある。したがって、重複する
部分の詳細説明は省略されている。
【0122】この実施例においては、磁気センサとし
て、図1における垂直型の磁気センサ104の代りに、
薄鋼帯101に平行する方向の磁束を検出する水平型磁
気センサ119が用いられている。水平型磁気センサ1
19からの信号は磁気検出回路105へ入力される。水
平型磁気センサ119は図47に示す水平磁界分布特性
Fにおける中央位置(X=0)の浮遊磁束を検出する。
水平磁界分布特性Fにおける中央位置における磁界変化
は比較的緩やかであり、一方、欠陥に起因する漏洩磁束
の波形は急峻な形状を有するので、欠陥波形を十分区別
して検出できる。
【0123】磁気検出回路105から出力される出力信
号106は次のローパスフィルタ107へ入力される。
したがって、ローパスフイルタ107以降の信号処理は
図1の実施例装置における信号処理とほぼ同じである。
よって、図1の実施例とほぼ同様の効果が得られる。
【0124】図25は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図24の実施例と同
一部分には同一符号が付してある。したがって、重複す
る部分の詳細説明は省略されている。
【0125】この実施例においては、ローパスフィルタ
107と増幅器110との間に積分回路109が介挿さ
れている。その他の部分は図24の実施例装置と同じで
ある。したがって、図1の実施例装置に積分回路109
が組込まれた図22に示す実施例装置とほぼ同じ効果を
得ることが可能である。
【0126】次に、図14および図23に示す実施例装
置において、垂直型磁気センサ7aの代りに水平型磁気
センサ7bを用いた場合における実測値が図26に示さ
れている。
【0127】スイッチ25を開放して、補償コイル22
に低周波信号またはバイアス信号を帰還しない場合は、
磁化器4に印加する励磁電流Iを0.02A程度まで上
昇させると、磁気センサ7bの出力信号は飽和し、さら
に励磁電流Iを0.04Aまで上昇させると、前記出力
信号は0まで低下する。
【0128】これに対して、補償コイル22に低周波信
号を帰還させると、励磁電流Iを0.1Aまで上昇させ
ることが可能である。さらに、積分回路104を採用す
ると、磁気センサ7bの出力信号は、励磁電流Iが0.
1Aまで上昇するまで、この励磁電流Iにほぼ比例して
上昇する。
【0129】図27は、水平型磁気センサ7bの設置位
置Xと水平型磁気センサ7bの出力信号レベルの相対値
との関係を示す実測図である。なお、磁化器4の磁極4
a,4bの中心位置が原点(X=0)である。図27か
ら明らかなように、同一励磁電流Iで比較した場合に、
補償コイル22に低周波信号またはバイアス信号を帰還
する条件の方が、帰還しない条件に比較して、磁気セン
サ7bの出力信号レベルは設置位置の影響を受けにく
い。したがって、垂直型磁気センサ7aと同様に、水平
型磁気センサ7bの取付時における高い取付位置精度は
要求されない。
【0130】図28は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図1に示す実施例と
同一部分には同一符号が付してある。したがって、重複
する部分の詳細説明は省略されている。
【0131】この実施例装置においては、薄鋼帯101
の内部または表面の磁気的異常部に起因して生じる漏洩
磁束を検出する垂直型磁気センサ104の出力信号は磁
気検出回路105で磁束の強度に対応した出力信号10
6に変換される。この出力信号106はハイパスフィル
タ108へ入力される。ハイパスフィルタ108は磁気
検出回路105の出力信号106に含まれる低周波信号
成分を除去する。ハイパスフィルタ108の出力信号は
出力増幅器116で増幅されたのち、欠陥信号117と
して出力端子118へ送出される。
【0132】一方、垂直型磁気センサ104に隣接して
水平型磁気センサ119が配設されている。この水平型
磁気センサ119は、図47に示す水平磁界分布特性F
における山形波形のピーク位置近傍の磁束を検出する。
【0133】水平型磁気センサ119の出力信号は磁気
検出回路120でこの磁気センサ119に交差する磁束
の強度に対応した出力信号121に変換される。磁気検
出回路120から出力された出力信号121は割算回路
122へ入力される。基準信号発生回路123は前記出
力増幅器116に予め設定された基準増幅率に対応する
信号レベルを有した基準信号124を割算回路122へ
送出する。割算回路122は磁気センサ119からの出
力信号121を基準信号123の信号レベルで除算し
て、除算された信号を制御信号125として出力増幅器
116へ印加する。出力増幅器116は、制御信号12
5の信号レベルが高くなると増幅率を低下し、信号レベ
ルが低くなると増幅率を上昇させる。
【0134】すなわち、前述したように、磁化器100
に対する励磁電流Iを一定に制御した状態においては、
薄鋼帯101の移動速度Vが上昇すると薄鋼帯101の
磁化力が低下する。したがって、同一規模の欠陥であっ
たとしても、移動速度Vが上昇するると、欠陥信号11
7の信号レベルが低下する。しかし、実施例装置によれ
ば、薄鋼帯101の磁化力が低下すると、水平型磁気セ
ンサ119の出力信号121の信号レベルが低下する。
その結果、出力増幅器116の増幅率が上昇して、欠陥
信号117の信号レベル低下を補う。
【0135】逆に、薄鋼帯101の移動速度Vが低下し
て、磁化力が上昇すると、水平型磁気センサ119の出
力信号121の信号レベルが上昇する。その結果、出力
増幅器116の増幅率が低下して、欠陥信号117の信
号レベル上昇を抑制する。
【0136】このように、薄鋼帯101の移動速度Vが
変化すると、この移動速度Vに変化に起因する磁化力の
変化が水平型磁気センサ119で検出される。検出され
た磁化力の変化に応じて出力増幅器116の増幅度が制
御される。したがって、出力端子118から出力される
欠陥信号117の信号レベルは常に欠陥の規模に対応し
た信号レベルとなる。よって、欠陥規模の測定精度がよ
り一層向上する。
【0137】さらに、この実施例装置は厚さや種類等の
被検体の属性の変化にも十分対応することができる。し
たがって、特に厚さや品質が個々に異なる被検体を絶え
間なくオンライン常態で検査する場合に特に有益であ
る。
【0138】図29は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図28に示す実施例
と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重
複する部分の詳細説明は省略されている。
【0139】この実施例装置においては、割算回路12
2から出力される制御信号125は磁化電源126の制
御端子へ入力されている。また、基準信号発生回路12
3は基準磁化電流に対応する基準信号124を出力す
る。磁化電源126は制御信号125の信号レベルが上
昇すると、磁化器100の励磁コイル102に印加する
励磁電流Iを前記基準磁化電流から低下させる。逆に制
御信号125の信号レベルが低下すると、励磁電流Iを
上昇させる。
【0140】このような構成の磁気検出装置において、
前述したように薄鋼帯101の移動速度Vが上昇すると
薄鋼帯101の磁化力が低下する。その結果、制御信号
125の信号レベルが低下して、励磁電流Iが上昇する
ので、薄鋼帯101の磁化力低下が補われる。逆に、薄
鋼帯101の移動速度Vが低下して、磁化力が上昇する
と、制御信号125の信号レベルが上昇して、磁化電源
126から出力される励磁電流Iが低下する。よって、
磁化力上昇が抑制される。
【0141】このように、薄鋼帯101の移動速度Vが
変化すると、この移動速度V変化に起因する磁化力の変
化が水平型磁気センサ119で検出される。検出された
磁化力の変化に応じて磁化器100に対する励磁電流I
が変化して、薄鋼帯101の磁化力が常に一定値に維持
される。よって、出力端子118から出力される欠陥信
号117の信号レベルは常に欠陥の規模に対応した信号
レベルとなる。その結果、欠陥規模の測定精度がより一
層向上する。
【0142】図30は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図29に示す実施例
と同一部分には同一符号が付してある。したがって、重
複する部分の詳細説明は省略されている。
【0143】この実施例装置においては、割算回路12
2から出力される制御信号125が磁化電源126の制
御端子へ入力されると共に、出力増幅器116の制御端
子へも入力される。
【0144】このような構成の磁気検出装置であれば、
欠陥信号117の信号レベルと磁化器100に対する励
磁電流レベルが同時に補正されるので、例えば薄鋼帯1
01の移動速度Vが急激に変化した場合等において、信
号レベルおよび励磁電流レベルがその速度変動に迅速に
応答して変化する。したがって、欠陥規模の測定精度が
より一層向上する。
【0145】次に、制御信号125を出力増幅器116
へ帰還させた図28の実施例装置と、制御信号125を
磁化電源126へ帰還させた図29の実施例装置とを比
較するために、直径0.2mm の標準欠陥が形成された薄鋼
帯101の移動速度Vを0〜1200m/分まで変化さ
せた場合における水平型磁気センサ119の各出力信号
の信号レベルを測定した。図31にその測定結果が示さ
れている。
【0146】また、図31には、図1の実施例に示すよ
うに、増幅器110の低周波信号を補償コイル111の
みへ帰還させた場合の実測値が同時に記載されている。
なお、この場合、欠陥が存在しない健全な薄鋼帯101
を測定した。
【0147】図示するように、補償コイル111へ低周
波信号を帰還させるのみの場合においては、薄鋼帯10
1の移動速度Vが高くなると出力信号レベルは低下す
る。しかし、磁化電源126または出力増幅器116に
制御信号125を帰還させると、たとえ移動速度Vが大
きく変動したとしても出力信号レベルはほとんど変化し
ない。よって、欠陥の規模の検出精度が大幅に上昇する
ことが理解できる。
【0148】図32は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図28に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0149】この実施例装置においては、水平型磁気セ
ンサ119で欠陥が検出される。
【0150】すなわち、薄鋼帯101の内部または表面
の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を検出する水
平型磁気センサ119の出力信号は磁気検出回路120
で磁束の強度に対応した出力信号121に変換される。
この出力信号121はハイパスフィルタ108へ入力さ
れる。ハイパスフィルタ108は磁気検出回路120の
出力信号121に含まれる低周波信号成分を除去する。
ハイパスフィルタ108の出力信号は出力増幅器116
で増幅されたのち、欠陥信号117として出力端子11
8へ送出される。
【0151】また、磁気検出回路120の出力信号12
1は割算回路122へ入力される。基準信号発生回路1
23は前記出力増幅器116に予め設定された基準増幅
率に対応する信号レベルを有した基準信号124を割算
回路122へ送出する。割算回路122は、水平型磁気
センサ119からの出力信号121を基準信号123の
信号レベルで除算して、除算された信号を制御信号12
5として出力増幅器116の制御端子へ印加する。出力
増幅器116は、制御信号125の信号レベルが高くな
ると増幅率を低下し、信号レベルが低くなると増幅率を
上昇させる。
【0152】このように構成された磁気検出装置におい
て、水平型磁気センサ119は図47の水平磁界分布特
性Fの中央位置(X=0)の磁界に対応する浮遊磁束お
よび欠陥に起因する漏洩磁束を検出する。したがって、
欠陥が存在すると、水平型磁気センサ119は、低周波
の浮遊磁束に高周波の欠陥に起因する漏洩磁束が重畳し
た合成磁束を検出する。磁気検出回路120の出力信号
121に含まれる欠陥に起因する高周波信号成分はハイ
パスフィルタ108で検出される。よって、欠陥に起因
する欠陥信号117が出力端子118から出力される。
浮遊磁束に起因する低周波信号成分は欠陥に起因する高
周波信号成分に比較して桁違いに大きいので、割算回路
122に入力される信号の信号レベルはほぼ浮遊磁束に
起因する低周波信号成分の信号レベルと見なすことが可
能である。したがって、出力増幅器116の増幅度は浮
遊磁束のレベル変化に応動して変化する。その結果、た
とえ薄鋼帯101の移動速度Vが大きく変動したとして
も、欠陥規模の検出精度を広い速度範囲に亘ってほぼ一
定値に制御できる。よって、図28に示す実施例装置に
準じる効果が得られる。
【0153】図33は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図32に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0154】この実施例装置においては、割算回路12
2から出力される制御信号125は磁化電源126の制
御端子へ入力される。磁化電源126から磁化器100
へ供給される励磁電流Iが制御信号125にて制御され
る。
【0155】前述したように、割算回路122に入力さ
れる信号の信号レベルはほぼ磁界強度に対応する低周波
信号成分の信号レベルと見なすことが可能である。よっ
て、励磁電流Iは水平型磁気センサ119で検出される
浮遊磁束が常に一定値になるように制御される。その結
果、速度変動に起因する薄鋼帯101の磁化力変動が補
償され、欠陥規模の検出精度は常に一定値に維持され
る。
【0156】図34は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図33に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0157】この実施例装置においては、割算回路12
2から出力される制御信号125が磁化電源126の制
御端子へ入力されると共に、出力増幅器116の制御端
子へも入力される。
【0158】このような構成の磁気検出装置であれば、
欠陥信号117の信号レベルと磁化器100に対する励
磁電流レベルが同時に補正されるので、例えば薄鋼帯1
01の移動速度Vが急激に変化した場合等において、信
号レベルおよび励磁電流レベルがその速度変動に迅速に
応答して変化する。したがって、欠陥規模の測定精度が
より一層向上する。
【0159】図35は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図30に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0160】この実施例装置においては、薄鋼帯101
の欠陥に起因して発生する漏洩磁束が水平型磁気センサ
119aで検出される。水平型磁気センサ119aの出
力信号は磁気検出回路120aで磁束の強度に対応した
出力信号121aに変換される。この出力信号121a
はハイパスフィルタ108へ入力される。ハイパスフィ
ルタ108は磁気検出回路120aの出力信号121a
に含まれる低周波信号成分を除去する。ハイパスフィル
タ108の出力信号は出力増幅器116で増幅されたの
ち、欠陥信号117として出力端子118へ送出され
る。
【0161】また、他方の水平型磁気センサ119から
得られた出力信号121は割算回路122へ入力され
る。この割算回路122から磁化電源126および出力
増幅器116へ制御信号125が送出される。
【0162】このように構成された磁気検出装置であっ
ても、一方の水平型磁気センサ119aでもって欠陥が
検出でき、かつ他方の水平型磁気センサ119の出力信
号でもって励磁電流および増幅率が制御されるので、図
30の実施例とほぼ同様の効果を得ることが可能であ
る。
【0163】図36は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図1および図29に
示す実施例装置と同一部分には同一符号が付してある。
したがって、重複する部分の詳細説明は省略されてい
る。
【0164】この実施例装置においては、欠陥に起因す
る漏洩磁束を検出する垂直型磁気センサ104と、補償
コイル111と、磁界強度に対応する浮遊磁束を検出す
る水平型磁気センサ119とが薄鋼帯101に上側に配
設されている。
【0165】すなわち、垂直型磁気センサ104の出力
信号は磁気検出回路105にて欠陥に対応する出力信号
106に変換されてハイパスフィル108へ入力され
る。出力信号106はハイパスフィルタ108で低周波
信号成分が除去された後、出力増幅器116で増幅さ
れ、欠陥信号117として出力端子118へ送出され
る。また、出力信号106に含まれる低周波信号成分は
ローパスフィルタ107によって抽出された後、増幅器
110で増幅される。増幅器110で増幅された低周波
信号成分は補償コイル111へ印加される。
【0166】一方、水平型磁気センサ119の出力信号
は磁気検出回路120にて浮遊磁束に対応する出力信号
121に変換されて割算回路122へ入力される。割算
回路122から前記浮遊磁束に応じて変化する制御信号
125が磁化電源126へ印加される。
【0167】この実施例装置においては、移動速度Vが
変化することに起因する薄鋼帯101の磁化力変化に応
動して、磁化器100に対する励磁電流Iが変化して、
磁化力がが常に一定値に制御される。また、出力信号1
06に含まれる浮遊磁束に起因する低周波信号成分は補
償コイル22にて相殺されて低減される。
【0168】このように、互いに独立した2種類の制御
手法でもって欠陥検出の検出精度を常に高い一定状態に
維持することが可能となる。
【0169】図37は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図36に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0170】この実施例装置においては、磁界強度に対
応する浮遊磁束を検出する水平型磁気センサ119が薄
鋼帯101の上方に配設され、欠陥に起因する漏洩磁束
を検出する垂直型磁気センサ104および補償コイル1
11が薄鋼帯101の下側に位置する磁化器100の磁
極間に配設されている。このように構成された磁気検出
装置においても、図36に示した実施例とほぼ同様の効
果を得ることが可能である。
【0171】図38は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図36に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0172】この実施例装置においては、薄鋼帯101
の欠陥に起因して発生する漏洩磁束が水平型磁気センサ
119aで検出される。そして、この水平型磁気センサ
119aに補償コイル111が巻装されている。水平型
磁気センサ119aの出力信号は磁気検出回路120a
で磁束の強度に対応した出力信号121aに変換され
る。この出力信号121aはハイパスフィルタ108お
よびローパスフィルタ107へ入力される。ハイパスフ
ィルタ108の出力信号は出力増幅器116で増幅され
て欠陥信号117として出力される。また、ローパスフ
ィルタ107の出力信号は増幅器110で増幅されたの
ち補償コイル111へ印加される。さらに、割算回路1
22から磁化電源126へ制御信号125が送出され
る。
【0173】したがって、出力増幅器116の増幅率お
よび磁気電源126の磁化電流が制御されるので、図3
6の実施例とほぼ同じ効果を得ることが可能である。
【0174】図39は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図35に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0175】この実施例装置においては、水平型磁気セ
ンサ119とこの水平型磁気センサ119の周囲に巻装
された補償コイル111とが薄鋼帯101の上側に配設
されている。すなわち、水平型磁気センサ119の出力
信号は磁気検出回路120でこの水平型磁気センサ11
9に交差する磁束に対応する出力信号121に変換され
る。出力信号121に含まれる浮遊磁束に対応する低周
波信号成分はハイパスフィルタ108で除去される。低
周波信号成分が除去された出力信号は、出力増幅器11
6で増幅されて、欠陥信号117として出力端子118
から出力される。
【0176】また、出力信号121に含まれる浮遊磁束
に起因する低周波信号成分はローパスフィルタ107で
抽出された後、電力増幅器127で増幅される。電力増
幅器127で増幅された低周波信号成分は補償コイル1
11に印加される。また、電力増幅器127で増幅され
た低周波信号成分は割算回路122へ入力される。割算
回路122から出力された制御信号125は出力増幅器
116および磁化電源126の各制御端子に印加され
る。
【0177】このように構成された磁気検出装置におい
ては、補償コイル111によって、浮遊磁束を相殺する
方向の磁束が生起されるので、出力信号121に含まれ
る浮遊磁束に起因する低周波信号成分は低減される。よ
って、出力信号121のS/Nが向上する。また、薄鋼
帯101の移動速度Vが変化することに起因する磁化力
変化に応動して、磁化器100に対する励磁電流Iが変
化して、磁化力が常に一定値に制御される。したがっ
て、図35の実施例とほぼ同様の効果を得ることが可能
である。
【0178】図40は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図14および図36
に示す実施例装置と同一部分には同一符号が付してあ
る。したがって、重複する部分の詳細説明は省略されて
いる。
【0179】この実施例においては、垂直型磁気センサ
でもって、欠陥に起因する漏洩磁束と薄鋼帯の速度変化
に起因する磁化力変化とが検出される。
【0180】すなわち、マルチプレクサ回路30にて選
択される欠陥信号eは出力増幅器116を介して表示器
31へ入力される。また、増幅器26の出力信号は割算
回路122へ入力される。この割算回路122は、入力
された出力信号を基準信号発生回路123から出力され
た基準信号124で除算して、除算された信号を制御信
号125として磁化器4(100)の磁化電源126へ
印加する。
【0181】このように構成された磁気検出装置であれ
ば、補償コイル22によって、浮遊磁束を相殺する方向
の磁束が生起されるので、垂直型の各磁気センサ7aの
出力信号dに含まれる浮遊磁束に起因する低周波信号成
分は低減される。よって、出力信号dのS/Nが向上す
る。また、薄鋼帯10(101)の移動速度Vが変化す
ることに起因して磁化力が変化すると、増幅器26の出
力信号が変化する。その結果、割算回路122から出力
される制御信号125が変化して、磁化器4(100)
に対する励磁電流Iが変化し、薄鋼帯10(101)の
磁化力が常に一定値に制御される。したがって、図3
6,図37,図38の実施例とほぼ同様の効果を得るこ
とが可能である。
【0182】なお、図40に示す実施例においては、増
幅器26の出力信号を割算回路122へ印加したが、L
PF33の出力信号を割算回路122へ印加してもよ
い。
【0183】さらに、点線で示すように、割算回路12
2から出力される制御信号125を磁化電源126の代
りに出力増幅器116へ印加してもよい。この場合。薄
鋼帯10(101)の磁化力変化に応じて、表示器31
へ送出される欠陥信号eの信号レベルが制御される。
【0184】図41は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図40に示す実施例
装置と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0185】この実施例においても、垂直型磁気センサ
でもって、欠陥に起因する漏洩磁束と薄鋼帯の速度変化
に起因する磁化力変化とが検出される。
【0186】すなわち。LPF33と増幅器26との間
に積分回路35が介挿されている。また、増幅器26の
出力信号は割算回路122へ入力される。この割算回路
122は、入力された出力信号を基準信号発生回路12
3から出力された基準信号124で除算して、除算され
た信号を制御信号125として出力増幅器116へ印加
する。
【0187】このように構成された磁気検出装置であれ
ば、図40の実施例装置と同様に、補償コイル22の存
在によって垂直型の各磁気センサ7aの出力信号dに含
まれる浮遊磁束に起因する低周波信号成分は低減され
る。よって、出力信号dのS/Nが向上する。また、薄
鋼帯10(101)の移動速度Vが変化することに起因
して磁化力が変化すると、増幅器26の出力信号が変化
し、割算回路122から出力される制御信号125が変
化する。その結果、薄鋼帯10(100)の磁化力変化
に応じて、表示器31へ送出される欠陥信号eの信号レ
ベルが制御される。よって、図40の実施例とほほ同様
の効果を得ることか可能である。
【0188】なお、図41に示す実施例においては、増
幅器26の出力信号を割算回路122へ印加したが、L
PF33または積分回路35の出力信号を割算回路12
2へ印加してもよい。
【0189】さらに、点線で示すように、割算回路12
2から出力される制御信号125を出力増幅器116の
代りに磁化電源126へ印加してもよい。この場合、薄
鋼帯10(101)の磁化力が一定になるように磁化電
源126から磁化器4(100)へ印加される磁化電流
Iが変化する。
【0190】発明者等らは、図40,図41の各実施例
装置を用いて直径0.2 mmの標準欠陥が形成された薄鋼帯
10に対する探傷測定を実施した。なお、薄鋼帯10の
移動速度を0〜1200m/分まで変化させた。そし
て、スイッチ25を投入して補償コイル22を稼働させ
た条件の測定と、スイッチ25を解放して補償コイル2
2を遮断した条件の測定とを実施した。測定結果は図3
1に示されている。
【0191】この測定結果によると、垂直型磁気センサ
の1種類の磁気センサを用いた図40および図41に示
す装置の特性と、図28および図29に示す垂直型磁気
センサ104と水平型磁気センサ119との2種類の磁
気センサを用いた装置の特性との間に大きな差は存在し
ないことが理解できる。
【0192】この現象は次のように説明することが可能
である。
【0193】すなわち、図31の補償コイル22のみの
図1に示した実施例装置の特性においては、薄鋼帯10
の移動速度Vが上昇すると、磁気センサの相対出力は曲
線的に低下する。しかし、その低下度合いは、移動速度
Vが1200m/分まで上昇しても、高々5%に過ぎな
い。したがって、この曲線は非常に直線に近い。この現
象は、速度変化に対して磁界の垂直型成分が直線的に変
化する場合と同じである。すると、実質的な薄鋼帯の磁
化率の低下に対して磁化電源の電流や出力増幅器の増幅
率を制御する場合、わざわざ、水平型磁気センサを新た
に設けて、速度Vに比例する水平成分を検出する必要な
く、速度Vに比例する垂直型磁気センサの出力を用い
て、前述した磁化電源の電流や出力増幅器の増幅率を制
御しても当初の目的を充分果たすことが可能である。
【0194】図42は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図1および図40の
実施例と同一部分には同一符号が付してある。したがっ
て、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0195】この実施例装置においては、図1に示す実
施例装置に図40に示した割算回路122,基準信号発
生回路123,出力増幅器116が付加されている。そ
して、割算回路122は、増幅器110またはLPF1
07の出力信号を基準信号発信器123からの基準信号
124でもって割算して、この割算結果を制御信号12
5として出力増幅器116または磁電源126へ送出
する。
【0196】このような構成の磁気検出装置であって
も、浮遊磁束成分および磁化力変化分は除去されるの
で、図40に示した実施例装置とほぼ同様の効果を得る
ことが可能である。
【0197】図43は本発明のさらに別の実施例の磁気
検出装置を示すブロック図である。図22および図41
の実施例と同一部分には同一符号が付してある。したが
って、重複する部分の詳細説明は省略されている。
【0198】この実施例装置においては、図22に示す
実施例装置に図41に示した割算回路122,基準信号
発生回路123,出力増幅器116が付加されている。
そして、割算回路122は、増幅器110,LPF10
7または積分回路109の出力信号を基準信号発信器1
23からの基準信号124でもって割算して、この割算
結果を制御信号125として出力増幅器116または磁
電源126へ送出する。
【0199】このような構成の磁気検出装置であって
も、浮遊磁束成分および磁化力変化分は除去されるの
で、図41に示した実施例装置とほぼ同様の効果を得る
ことが可能である。
【0200】なお、本発明は上述した各実施例に限定さ
れるものではない。例えば、図1に示す実施例装置にお
いては、磁気センサ104の出力信号に含まれる薄鋼帯
101の欠陥に起因して生じる信号を抽出するハイパス
フィルタ108の遮断周波数は遮断周波数制御回路11
3からの制御によって変化する。しかし、ハイパスフィ
ルタ108の代りに、通過周波数帯域幅が広いバンドパ
スフィルタを用いて、このバンドパスフィルタの通過周
波数帯域の中心周波数を前記遮断周波数制御回路113
からの制御によって変化させてもよい。
【0201】
【発明の効果】以上説明したように本発明の磁気検出方
法および磁気検出装置によれば、例えば磁気センサの近
傍に浮遊磁束を相殺するための補償コイルを設け、磁気
センサの出力信号に含まれる浮遊磁束に起因する低周波
信号成分をローパスフィルタで抽出して補償コイルに印
加している。したがって、磁気センサに交差する浮遊磁
束を補償コイルにて生起する磁束で相殺することがで
き、磁気センサに交差する磁束を例えば欠陥等の磁気的
異常部に起因する漏洩磁束のみに限定できる。
【0202】その結果、磁化電流を大きな値に設定する
ことによって、磁気センサの検出感度を簡単に上昇で
き、磁気的異常部の検出感度およびS/Nを上昇でき
る。
【0203】また、水平型の磁気センサでもって被検体
の移動速度変化に起因する被検体内に発生する又は透過
する磁界の変化量を検出して、例えば磁化器の磁界強度
や出力増幅器の増幅率を制御して、常に一定の検出感度
を維持している。よって、高い磁気的異常部検出精度を
維持したままで被検体の移動速度を上昇でき、例えば探
傷作業能率を大幅に向上できる。
【0204】さらに、磁気センサの取付け位置が多少ず
れていたとしても高い検出精度を維持できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係わる磁気検出方法を適
用した磁気検出装置を示すブロック図、
【図2】 図1に示す実施例装置をさらに具体化した磁
気検出装置における薄鋼帯の走行方向に平行する面で切
断した断面図、
【図3】 同装置における薄鋼帯の走行方向に直交する
面で切断した断面図、
【図4】 同装置が支持装置に組込まれた状態を示す側
面図、
【図5】 本発明の他の実施例に係わる磁気検出装置に
おける薄鋼帯の走行方向に平行する面で切断した断面
図、
【図6】 同装置における薄鋼帯の走行方向に直交する
面で切断した断面図、
【図7】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置を
示すブロック図、
【図8】 同装置における薄鋼帯の走行方向に平行する
面で切断した断面図、
【図9】 同装置における薄鋼帯の走行方向に直交する
面で切断した断面図、
【図10】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図11】 同装置における薄鋼帯の走行方向に平行す
る面で切断した断面図、
【図12】 同装置における薄鋼帯の走行方向に直交す
る面で切断した断面図、
【図13】 実施例の磁気検出装置に組込まれた磁気セ
ンサ及び補償コイルを示す断面図、
【図14】 図2に示す磁気検出装置の電気的構成を示
すブロック図、
【図15】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
の電気的構成を示すブロック図、
【図16】 実施例装置にて欠陥が存在しない薄鋼帯を
測定した場合におけるセンサ位置と出力信号レベルとの
関係を示す実測図、
【図17】 実施例装置にて欠陥が存在する薄鋼帯を測
定した場合におけるセンサ位置と出力信号レベルとの関
係を示す実測図、
【図18】 従来装置にて欠陥が存在する薄鋼帯を測定
した場合におけるセンサ位置と出力信号レベルとの関係
を示す実測図、
【図19】 実施装置における薄鋼帯の移動速度と磁気
センサの出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図20】 実施例装置における励磁電流と出力信号レ
ベルとの関係を示す実測図、
【図21】 実施例装置において、積分回路のある場合
とない場合とにおける励磁電流と出力信号レベルとの関
係を示す実測図、
【図22】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図23】 同実施例装置の電気的構成を示すブロック
図、
【図24】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図25】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図26】 図24,図25の実施例装置における励磁
電流と出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図27】 図24,図25の実施例装置におけるセン
サ位置と出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図28】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図29】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図30】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図31】 図28乃至図30の実施例装置における薄
鋼帯の移動速度と出力信号レベルとの関係を示す実測
図、
【図32】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図33】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図34】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図35】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図36】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図37】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図38】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図39】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図40】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図41】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図42】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図43】 本発明のさらに別の実施例の磁気検出装置
を示すブロック図、
【図44】 従来の磁気検出装置における薄鋼帯の走行
方向に平行する面で切断した断面図、
【図45】 同装置における薄鋼帯の走行方向に直交す
る面で切断した断面図、
【図46】 同装置が支持装置に組込まれた状態を示す
側面図、
【図47】 磁極位置に対応する一般的な磁界分布特性
図、
【図48】 磁界分布特性と磁気センサの出力信号に印
加する固定バイアス電圧との関係を示す図、
【図49】 磁気センサの出力信号に固定バイアス電圧
を印加するバイアス回路図、
【図50】 従来装置における薄鋼帯の移動速度と磁気
センサの出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図51】 同じく従来装置における薄鋼帯の移動速度
と磁気センサの出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図52】 従来装置における磁束強度と磁気センサの
出力信号レベルとの関係を示す実測図、
【図53】 従来装置における励磁電流と磁気センサの
出力信号レベルとの関係を示す実測図。
【符号の説明】
1,1a…中空ロール、2,2a…固定軸、4,100
…磁化器、4a,4b…磁極,4c…磁化鉄心、6…磁
化コイル、7…磁気センサ群、7a,104…磁気セン
サ、119…水平型磁気センサ、10,101…薄鋼
帯、22,111…補償コイル、23…速度検出器、2
4…シールド筒、25…スイッチ、26,110…増幅
器、27,105…磁気検出回路、28,108…ハイ
パスフィルタ、29,113…遮断周波数切換制御回
路、30…マルチプレクサ、31…表示器、32…平均
化回路、33,107…ローパスフィルタ、35,10
9…積分回路、103,126…磁化電源、116…出
力増幅器、122…割算回路、123…基準信号発生回
路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−45555(JP,A) 特開 昭62−172258(JP,A) 特開 昭55−1534(JP,A) 特開 昭55−128150(JP,A) 特表 平2−504077(JP,A) 実開 平1−148856(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 27/72 - 27/90

Claims (24)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁界内をその磁界に対して相対的に移動
    する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を
    磁気センサにより検出し、この磁気センサの出力信号に
    含まれる低周波信号成分をローパスフィルタで抽出し、
    抽出された低周波信号成分を増幅して補償コイルに印加
    し、この補償コイルで生起される磁束によって、前記磁
    気センサに交差する浮遊磁束を相殺することを特徴とす
    る磁気検出方法。
  2. 【請求項2】 一対の磁極が前記被検体に対向するよう
    に磁化器を配設して、この磁化器により前記被検体に磁
    束を交差させ、前記磁気センサを前記一対の磁極間を結
    ぶ線又はこれに平行する線上に配設し、この磁気センサ
    でもって、前記被検体の内部または表面の磁気的異常部
    に起因して生じる漏洩磁束を検出する請求項1記載の磁
    気検出方法。
  3. 【請求項3】 磁界内をその磁界に対して相対的に移動
    する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を
    検出する磁気センサと、この磁気センサの出力信号に含
    まれる低周波信号成分を抽出するローパスフィルタと、
    このローパスフィルタにて抽出された低周波信号成分を
    増幅する増幅器と、この増幅器の出力信号にて励磁さ
    れ、前記磁気センサに交差する浮遊磁束を相殺する磁束
    を生起する補償コイルとを備えた磁気検出装置。
  4. 【請求項4】 前記磁界は一対の磁極が前記被検体に対
    向するように配設された磁化器によって生成され、前記
    磁気センサは前記磁化器の一対の磁極間を結ぶ線又はこ
    れに平行する線上に配設された請求項3記載の磁気検出
    装置。
  5. 【請求項5】 前記磁気センサは、前記被検体の磁気的
    異常部に起因して生じる漏洩磁束のうちの前記被検体の
    表面に垂直な成分を検出する磁気センサであり、かつ前
    記補償コイルは、前記磁気センサの外周面を囲むように
    巻装されている請求項3記載の磁気検出装置。
  6. 【請求項6】 前記磁気センサは、前記被検体の磁気的
    異常部に起因して生じる漏洩磁束のうちの前記被検体の
    表面に平行な成分を検出する磁気センサであり、かつ前
    記補償コイルは、前記磁気センサの外周面を囲むように
    巻装されている請求項3記載の磁気検出装置。
  7. 【請求項7】 前記磁気センサの出力信号に含まれる前
    記磁気的異常部に起因して生じる信号を抽出するための
    特定信号抽出フィルタと、前記磁気センサに対する前記
    被検体の相対的な移動速度を検出する速度検出器と、こ
    の速度検出器にて検出された移動速度に応じて前記特定
    信号抽出フィルタの通過周波数を制御する周波数制御手
    段とを備えた請求項3記載の磁気検出装置。
  8. 【請求項8】 前記磁気センサの出力信号に含まれる前
    記磁気的異常部に起因して生じる信号を抽出するための
    特定信号抽出フィルタと、前記磁気センサに対する前記
    被検体の相対的な移動速度を検出する速度検出器と、こ
    の速度検出器にて検出された移動速度に応じて前記特定
    信号抽出フィルタの通過周波数を制御する周波数制御手
    段とを備えた請求項4記載の磁気検出装置。
  9. 【請求項9】 磁界内をその磁界に対して相対的に移動
    する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束を
    検出する磁気センサと、この磁気センサの出力信号に含
    まれる低周波信号成分を抽出するローパスフィルタと、
    このローパスフィルタにて抽出された低周波信号成分を
    積分する積分器と、この積分器にて積分された低周波信
    号成分を増幅する増幅器と、この増幅器の出力信号にて
    励磁され、前記磁気センサに交差する浮遊磁束を相殺す
    る磁束を生起する補償コイルとを備えた磁気検出装置。
  10. 【請求項10】 磁界内をその磁界に対して相対的に移
    動する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束
    を検出する磁気センサと、この磁気センサの出力信号に
    含まれる前記磁気的異常部に起因して生じる信号を抽出
    するための特定信号抽出フィルタと、この特定信号抽出
    フィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出力する
    出力増幅器と、前記磁気センサの近傍位置に設けられ、
    前記磁界の前記被検体の表面に平行な成分を検出する磁
    気センサと、この磁気センサの出力信号で前記出力増幅
    器の増幅率を制御する増幅器制御手段とを備えた磁気検
    出装置。
  11. 【請求項11】 前記出力増幅器の基準増幅率に対応す
    る基準信号を出力する基準信号発生回路と、前記磁界の
    前記被検体の表面に平行な成分を検出する磁気センサと
    前記出力増幅器との間に介挿され、前記磁気センサの出
    力信号を前記基準信号で除算して、除算された出力信号
    で前記出力増幅器の増幅率を制御する割算回路とを備え
    た請求項10記載の磁気検出装置。
  12. 【請求項12】 磁化器によって生成された磁界内をそ
    の磁界に対して相対的に移動する被検体の磁気的異常部
    に起因して生じる漏洩磁束を検出する磁気センサと、こ
    の磁気センサの近傍位置に設けられ、前記磁界の前記被
    検体の表面に平行な成分を検出する磁気センサと、この
    磁気センサの出力信号で前記磁化器によって生起される
    磁界強度を制御する磁化器制御手段とを備えた磁気検出
    装置。
  13. 【請求項13】 前記漏洩磁束を検出する磁気センサの
    出力信号に含まれる前記磁気的異常部に起因して生じる
    信号を抽出するための特定信号抽出フィルタと、この特
    定信号抽出フィルタの出力信号を増幅して欠陥信号とし
    て出力する出力増幅器と、前記表面に平行な成分を検出
    する磁気センサの出力信号で前記出力増幅器の増幅率を
    制御する増幅器制御手段とを備えた請求項12記載の磁
    気検出装置。
  14. 【請求項14】 磁界内をその磁界に対して相対的に移
    動する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束
    を検出する磁気センサと、この磁気センサの出力信号に
    含まれる低周波信号成分を抽出するローパスフィルタ
    と、このローパスフィルタにて抽出された低周波信号成
    分を増幅する増幅器と、この増幅器の出力信号にて励磁
    され、前記磁気センサに交差する浮遊磁束を相殺する磁
    束を生起する補償コイルと、前記磁気センサの出力信号
    に含まれる前記磁気的異常部に起因して生じる信号を抽
    出するための特定信号抽出フィルタと、この特定信号抽
    出フィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出力す
    る出力増幅器と、前記磁気センサの近傍位置に設けら
    れ、前記磁界の前記被検体の表面に平行な成分を検出す
    る磁気センサと、この磁気センサの出力信号で前記出力
    増幅器の増幅率を制御する増幅器制御手段とを備えた磁
    気検出装置。
  15. 【請求項15】 磁化器によって生成された磁界内をそ
    の磁界に対して相対的に移動する被検体の磁気的異常部
    に起因して生じる漏洩磁束を検出する磁気センサと、こ
    の磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を抽
    出するローパスフィルタと、このローパスフィルタにて
    抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この増
    幅器の出力信号にて励磁され、前記磁気センサに交差す
    る浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、前
    記磁気センサの出力信号に含まれる前記磁気的異常部に
    起因して生じる信号を抽出するための特定信号抽出フィ
    ルタと、この特定信号抽出フィルタの出力信号を増幅し
    て欠陥信号として出力する出力増幅器と、前記磁気セン
    サの近傍位置に設けられ、前記磁界の前記被検体の表面
    に平行な成分を検出する磁気センサと、この磁気センサ
    の出力信号で前記磁化器によって生起される磁界強度を
    制御する磁化器制御手段とを備えた磁気検出装置。
  16. 【請求項16】 前記漏洩磁束を検出する磁気センサ
    は、前記漏洩磁束のうち前記被検体の表面に垂直な成分
    を検出する磁気センサである請求項10,12,14お
    よび15のうちのいずれか一項記載の磁気検出装置。
  17. 【請求項17】 前記漏洩磁束を検出する磁気センサ
    は、前記漏洩磁束のうち前記被検体の表面に平行な成分
    を検出する磁気センサである請求項10,12,14お
    よび15のうちのいずれか一項記載の磁気検出装置。
  18. 【請求項18】 磁界内をその磁界に対して相対的に移
    動する被検体の磁気的異常部に起因して生じる漏洩磁束
    を検出する磁気センサと、この磁気センサの出力信号に
    含まれる低周波信号成分を抽出するローパスフィルタ
    と、このローパスフィルタにて抽出された低周波信号成
    分を増幅する増幅器と、この増幅器の出力信号にて励磁
    され、前記磁気センサに交差する浮遊磁束を相殺する磁
    束を生起する補償コイルと、前記磁気センサの出力信号
    に含まれる前記磁気的異常部に起因して生じる信号を抽
    出するための特定信号抽出フィルタと、この特定信号抽
    出フィルタの出力信号を増幅して欠陥信号として出力す
    る出力増幅器と、前記磁気センサの出力信号で前記出力
    増幅器の増幅率を制御する増幅器制御手段とを備えた磁
    気検出装置。
  19. 【請求項19】 磁化器によって生成された磁界内をそ
    の磁界に対して相対的に移動する被検体の磁気的異常部
    に起因して生じる漏洩磁束を検出する磁気センサと、こ
    の磁気センサの出力信号に含まれる低周波信号成分を抽
    出するローパスフィルタと、このローパスフィルタにて
    抽出された低周波信号成分を増幅する増幅器と、この増
    幅器の出力信号にて励磁され、前記磁気センサに交差す
    る浮遊磁束を相殺する磁束を生起する補償コイルと、前
    記磁気センサの出力信号に含まれる前記磁気的異常部に
    起因して生じる信号を抽出するための特定信号抽出フィ
    ルタと、この特定信号抽出フィルタの出力信号を増幅し
    て欠陥信号として出力する出力増幅器と、前記磁気セン
    サの出力信号で前記磁化器によって生起される磁界強度
    を制御する磁化器制御手段とを備えた磁気検出装置。
  20. 【請求項20】 前記ローパスフィルタと前記増幅器と
    の間に積分器が介挿された請求項18または19記載の
    磁気検出装置。
  21. 【請求項21】 前記特定信号抽出フィルタはハイパス
    フィルタである請求項10,13,14,15,18お
    よび19のうちいずれか一項記載の磁気検出装置。
  22. 【請求項22】 前記特定信号抽出フィルタはハイパス
    フィルタであり、前記周波数制御手段は前記ハイパスフ
    ィルタの遮断周波数を制御する手段である請求項7また
    は8記載の磁気検出装置。
  23. 【請求項23】 前記特定信号抽出フィルタはバンドパ
    スフィルタである請求項10,13,14,15,18
    および19のうちいずれか一項記載の磁気検出装置。
  24. 【請求項24】 前記特定信号抽出フィルタはバンドパ
    スフィルタであり、前記周波数制御手段は前記バンドパ
    スフィルタの中心周波数を制御する手段である請求項7
    または8記載の磁気検出装置。
JP4024098A 1991-06-04 1992-02-10 磁気検出方法及びその装置 Expired - Fee Related JP2861581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4024098A JP2861581B2 (ja) 1991-06-04 1992-02-10 磁気検出方法及びその装置

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13291191 1991-06-04
JP3-132911 1991-06-04
JP91/01685 1991-06-04
PCT/JP1991/001685 WO1992021963A1 (en) 1991-06-04 1991-12-03 Method for sensing magnetism and device thereof
JP4024098A JP2861581B2 (ja) 1991-06-04 1992-02-10 磁気検出方法及びその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH085610A JPH085610A (ja) 1996-01-12
JP2861581B2 true JP2861581B2 (ja) 1999-02-24

Family

ID=27284513

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4024098A Expired - Fee Related JP2861581B2 (ja) 1991-06-04 1992-02-10 磁気検出方法及びその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2861581B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004151094A (ja) * 2002-10-15 2004-05-27 General Electric Co <Ge> 試験プローブ
CN101762796B (zh) * 2008-12-24 2013-02-13 上海华虹Nec电子有限公司 磁场检测器

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100352133B1 (ko) * 1997-12-20 2002-11-18 주식회사 포스코 누설자속법에 의한 박강판 결함의 탐상장치

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS551534A (en) * 1978-06-21 1980-01-08 Hitachi Ltd Magnetic flaw detection apparatus of rope
JPS55128150A (en) * 1979-03-27 1980-10-03 Sumitomo Metal Ind Ltd Adjusting device for sensitivity of nondestructive inspection apparatus
JPH0430540Y2 (ja) * 1985-01-11 1992-07-23
JPH0635961B2 (ja) * 1986-01-24 1994-05-11 原電子測器株式会社 漏洩磁束探傷装置
JPH0627729B2 (ja) * 1985-10-11 1994-04-13 住友金属工業株式会社 渦流探傷装置
JPS62112053A (ja) * 1985-11-08 1987-05-23 Toshiba Corp 探傷装置
JPS6345555A (ja) * 1986-08-13 1988-02-26 Nippon Kokan Kk <Nkk> 鋼管の孔食探査方法
JPH0652255B2 (ja) * 1987-05-07 1994-07-06 日本鋼管株式会社 管内磁気探傷方法
JPH0628690Y2 (ja) * 1988-04-05 1994-08-03 新日本製鐵株式会社 金属板の欠陥検出装置
DE3813739A1 (de) * 1988-04-23 1989-11-02 Fraunhofer Ges Forschung Verfahren zum zerstoerungsfreien messen magnetischer eigenschaften eines pruefkoerpers sowie vorrichtung zum zerstoerungsfreien messen magnetischer eigenschaften eines pruefkoerpers
JP2526748B2 (ja) * 1991-01-19 1996-08-21 日本鋼管株式会社 金属帯の異常部検出装置
JP2605517B2 (ja) * 1991-09-02 1997-04-30 日本鋼管株式会社 磁気探傷装置の磁化力制御方法
JP2605519B2 (ja) * 1991-09-12 1997-04-30 日本鋼管株式会社 磁気探傷方法およびその装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004151094A (ja) * 2002-10-15 2004-05-27 General Electric Co <Ge> 試験プローブ
JP4503972B2 (ja) * 2002-10-15 2010-07-14 ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ 試験プローブ
CN101762796B (zh) * 2008-12-24 2013-02-13 上海华虹Nec电子有限公司 磁场检测器

Also Published As

Publication number Publication date
JPH085610A (ja) 1996-01-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5512821A (en) Method and apparatus for magnetically detecting defects in an object with compensation for magnetic field shift by means of a compensating coil
US5235275A (en) Magnetic inspection apparatus for thin steel strip having magnetizer and detection coil within a hollow roller rotated by the steel strip
US5357198A (en) Apparatus for magnetic inspection using magnetic shield
JP2605519B2 (ja) 磁気探傷方法およびその装置
JP4911489B2 (ja) 探傷装置
JP2861581B2 (ja) 磁気検出方法及びその装置
US2295382A (en) Device for magnetic measurements and inspection
JP2848081B2 (ja) 磁気探傷装置
JP2697435B2 (ja) 磁気探傷装置の校正方法及び装置
JP2002257789A (ja) 漏洩磁束検出装置
EP0544911B1 (en) Device for detecting magnetic flux
JP4175181B2 (ja) 漏洩磁束探傷装置
US5122743A (en) Apparatus and method of non-destructively testing ferromagnetic materials including flux density measurement and ambient field cancellation
US3940688A (en) Device for testing the magnetic properties of a magnetic material
JP2617605B2 (ja) 磁気測定装置及び磁気探傷装置の診断方法
JP2007064907A (ja) 漏洩磁束探傷装置
JP2526748B2 (ja) 金属帯の異常部検出装置
JPH06281625A (ja) 漏洩磁気探傷装置における感度校正装置
JPH07190991A (ja) 変態率測定方法及び装置
JPH11108900A (ja) 磁気探傷装置の感度校正方法及び装置
JP2522732Y2 (ja) 鉄損値測定装置
JP3166987B2 (ja) 電流センサ
JPH03134555A (ja) 磁気探傷装置の校正方法及び装置
KR100352133B1 (ko) 누설자속법에 의한 박강판 결함의 탐상장치
CA2054718C (en) Magnetic inspection apparatus for thin steel strip

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071211

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081211

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees