JP2604666Y2 - 魚釣用スピニングリール - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、ハンドルの回転に連
動して前後往復動するスプールに釣糸を捲回する魚釣用
スピニングリールに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来一般に魚釣用スピニングリールは、
スプール円筒部内にローター円筒部が嵌合する構成がと
られている。この魚釣用スピニングリールを小型化、軽
量化するには、例えば、ローターの円筒部やスプール円
筒部外径を小径にしたり、スプール円筒部の長さを短く
したり、スプール円筒部を薄肉で形成する等の構成変更
が考えられる。

【０００３】前記のようにスプール円筒部の長さを短く
すると、本来スプール円筒部内周とローター円筒部外周
とのクリアランスは、砂、異物及び釣糸等の内部への侵
入を極力少なくするために間隙を小さく形成しなければ
ならないが、スプール円筒部の長さが短いと、スプール
円筒部の長手方向とローター円筒部の長手方向の間に隙
間ができ易くなり、釣糸等がスプール円筒部内へ侵入し
易くなる。

【０００４】前記スプール円筒部の長さを短くしてスプ
ール内部に釣糸等の侵入を防止するために釣糸侵入防止
装置を備えたリールが実公平３−９６５４号公報で知ら
れている。しかし、前記公報の構成では釣糸の侵入を阻
止する阻止部をもった阻止体をスプールに対して回転自
在で、かつ、回転枠と共回り可能とし、かつ、スプール
と共に、支持腕に対して移動可能に設けられている。

【０００５】従って、構造が複雑になると共に、実用時
に水や海水が侵入したり、落下などの衝撃を受けたり、
温度差が非常に厳しい環境で使用されると、例えば落下
などの衝撃を受けた時にスプール円筒部が変形される。

【０００６】この変形でスプールとローターの間に当た
りが発生して巻取り機能が低下したり、ローターの回転
が阻止される事故も発生する。更に前記スプールの変形
でスプールと阻止体の間で前記と同様に阻止体の回転が
阻止されることがある。又、阻止体は前記のように、ス
プールと回転枠の支持腕の間に回転枠と共回り可能に設
けられているので、海水や異物の付着で阻止体の回転が
正常に機能しなくなり易い。スプール円筒部はローター
の支持腕に隠れる部分以外は露呈しているので、落下な
どの衝撃を受けると変形し易く、前記のようにスプール
円筒部を薄肉で形成する場合もスプール円筒部が変形さ
れ易い欠点がある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、リールを小型化、軽量化するために、ローターの
円筒部やスプール円筒部外径を小径にしたり、スプール
円筒部の長さを短くしたり、スプール円筒部を薄肉で形
成すると、スプール円筒部が変形し易く、釣糸等がスプ
ール円筒部内へ侵入し易くなることである。また、釣糸
の侵入を阻止する阻止体をスプールに対して回転自在
で、かつ、回転枠と共回り可能とし、かつ、スプールと
共に、支持腕に対して移動可能に設けると構造が複雑に
なると共に、スプール円筒部が変形した時にはスプール
と阻止体の間で阻止体の回転が阻止されることである。

【０００８】本考案の目的は前記欠点に鑑み、スプール
円筒部が変形し難く、釣糸等がスプール円筒部内へ侵入
し難く、快適なハンドル操作が出来ると共に、リールを
小型化、軽量化することが出来る魚釣用スピニングリー
ルを提供することである。

【０００９】

【問題を解決するための手段】本考案は、ハンドルの回
転に連動して前後往復動するスプールに釣糸を捲回する
と共に、前記スプールの後部円筒部の後端部に環状部が
一体的に固定されている魚釣用スピニングリールにおい
て、前記環状部は、前記スプールの後部円筒部の内周面
から径方向内方に突出する環状スカート部と、該環状ス
カート部に形成され前記円筒部と平行な平行部とを有す
ることを特徴としている。また、本考案は、ハンドルの
回転に連動して前後往復動するスプールに釣糸を捲回す
ると共に、前記スプールの後部円筒部の後端部に環状部
が一体的に固定されている魚釣用スピニングリールにお
いて、前記環状部は、前記円筒部外周より外側に突出す
る固定部と、前記スプールの後部円筒部の内周面から径
方向内方に突出する環状スカート部と、前記固定部およ
び環状スカート部に一体的に形成された傾斜部とを有す
ることを特徴としている。

【００１０】

【作用】実用時にスプール５の円筒部５ｃはローター３
の一対の支持腕３ｆ，３ｇに隠れる部分以外は露呈して
いるので、例えば落下などの衝撃を受け易いが、円筒部
５ｃは後端部の内側に環状部６が一体的に固定されてい
るから、円筒部５ｃは変形し難く、環状部６の環状スカ
ート部６ｂで釣糸等がスプール５の円筒部５ｃ内へ侵入
し難くなる。スプール５の円筒部５ｃの後端部の内側に
環状部６が一体的に固定されることで、ローター３の円
筒部３ｃやスプール５の円筒部５ｃ外径を小径にした
り、スプール５の円筒部５ｃの長さを短くしたり、スプ
ール５の円筒部５ｃを薄肉で形成することが出来る。

【００１１】

【実施例】以下、図示の実施例によって本考案を説明す
ると、図１及び図２は第１実施例で、図１は魚釣用スピ
ニングリールの要部断面平面図、図２は一部拡大要部断
面平面図である。

【００１２】リール本体１の前部１ａ内の筒状の駆動軸
２の外周にカラー１０を介して駆動軸２を回転自在に支
持する軸受１１が嵌合され、該軸受１１の前方にカラー
１２が嵌合されている。更にカラー１２の前方にロータ
ー３の筒部３ａを回り止め嵌合してナット１３で固定し
ている。軸受１１は止め板１４で抜け止めされている。
ローター３は駆動軸２に設けられたピニオン２ａと噛合
する駆動歯車４を介してハンドル１５の回転に連動して
回転されるように支持されている。

【００１３】前記駆動軸２内に嵌合されて突出されたス
プール軸１６の先端部にスプール５が支持され、スプー
ル５はハンドル１５の回転に連動して前後に往復動され
る。ローター３は前記筒部３ａと前壁３ｂと大径の円筒
部３ｃとローター３基部３ｄ，３ｅの外周から前方に向
けて突出された一対の支持腕３ｆ，３ｇとで形成されて
いる。スプール５は釣糸捲き胴部５ａと前側フランジ５
ｂと後部円筒部５ｃ等で形成されている。前記スプール
５の後部円筒部５ｃの後端部の内側には、凹部５ｅが形
成されて、凹部５ｅに環状部６が一体的に固定されてい
る。環状部６は、内方に突出する環状スカート部６ｂ
と、環状スカート部６ｂと一体的に形成され円筒部５ｃ
と平行な平行部６ｄとを有している。ローター３の大径
の円筒部３ｃ外周と、環状部６の環状スカート部６ｂお
よび平行部６ｄの内周は、近小の間隙で対向されてい
る。平行部６ｄは、２点鎖線のようにスプール５に当接
される長さとしても良い。

【００１４】魚釣用スピニングリールの動作は、ハンド
ル１５が回転されると、駆動歯車４とピニオン２ａと駆
動軸２を介してローター３が回転されて、図示しない釣
糸が前後に往復動されるスプール５の釣糸捲き胴部５ａ
に捲回される。

【００１５】実用時にスプール５の円筒部５ｃはロータ
ー３の一対の支持腕３ｆ，３ｇに隠れる部分以外は露呈
しているので、例えば落下などの衝撃を受け易いが、円
筒部５ｃは後端部の内側に環状部６が一体的に固定され
ているから、円筒部５ｃは変形し難く、環状部６の環状
スカート部６ｂで釣糸等がスプール５の円筒部５ｃ内へ
侵入し難くなる。

【００１６】このことでローター３の回転に支障を来さ
ず、快適なハンドル操作が行える。また、スプール５の
円筒部５ｃの後端部の内側に環状部６が一体的に固定さ
れることで、ローター３の円筒部３ｃやスプール５の円
筒部５ｃ外径を小径にしたり、スプール５の円筒部５ｃ
の長さを短くしたり、環状部６による補強でスフール５
の円筒部５ｃを薄肉で形成することが出来てリールを小
型化、軽量化することが出来る。

【００１７】図３は、本発明の第２実施例であり、魚釣
用スピニングリールの一部の要部断面平面図である。

【００１８】この実施例の魚釣用スピニングリールは、
スプール５の後部円筒部５ｃの後端部の外側に凹部５ｈ
が形成されて凹部５ｈに環状部６´が一体的に固定され
ている。環状部６´には、固定部６ｅと、環状スカート
部６ｂと、円筒部５ｃと平行な平行部６ｄが形成されて
環状スカート部６ｂは内方に突出形成されている。ロー
ター３の大径の円筒部３ｃ外周と、環状部６´の環状ス
カート部６ｂおよび平行部６ｄの内周は近小の間隙で対
向されている。他の構成は前記第１実施例と略同一であ
る。

【００１９】図４は、本発明の第３実施例であり、魚釣
用スピニングリールの一部の要部断面平面図である。

【００２０】この実施例の魚釣用スピニングリールは、
スプール５の後部円筒部５ｃの後端部の外側に凹部５ｈ
が形成されて、凹部５ｈに環状部６が一体的に固定され
ている。環状部６´´には、円筒部５ｃ外周より外側に
突出した固定部６ｅと環状スカート部６ｂと傾斜部６ｆ
が形成されて、環状スカート部６ｂは内方に突出形成さ
れている。ローター３の大径の円筒部３ｃ外周と、環状
部６´´の環状スカート部６ｂの先端内周は近小の間隙
で対向されている。スプール５の釣糸捲き胴部５ａに捲
回される釣糸が円筒部５ｃを乗り越えて後端部側に移動
しても円筒部５ｃ外周より外側に突出した固定部６ｅで
止められ、仮に固定部６ｅを乗り越えても傾斜部６ｆで
釣糸を釣糸捲き胴部５ａに容易に戻すことが出来る。他
の構成は前記第１実施例と略同一である。

【００２１】

【考案の効果】請求項１の考案によれば、スプールの後
部円筒部の後端部に一体的に固定されている環状部がス
プールの後部円筒部の内周面から径方向内方に突出する
環状スカート部を備え、該環状スカート部に前記円筒部
と平行な平行部を形成していることにより、円筒部の補
強が図れて落下や外部より衝撃を受けても変形し難いと
共に、釣糸等がスプール円筒部内へ侵入し難くなる。ま
た、ロータやスプールの小型化によってリール全体の小
型、軽量化が可能となり、魚釣り操作性が向上する。

【００２２】請求項２の考案によれば、スプールの後部
円筒部の後端部に一体的に固定されている環状部が、前
記円筒部外周より外側に突出する固定部と、前記スプー
ルの後部円筒部の内周面から径方向内方に突出する環状
スカート部とを有していることにより、円筒部の補強が
図れて落下や外部より衝撃を受けても変形し難いと共
に、釣糸がスプール円筒部を乗り越えても前記環状部の
固定部で移動規制できるため、釣糸の内部侵入を確実に
防止できる。また、仮に釣糸が固定部を更に乗り越えて
も、固定部および環状スカート部に一体的に形成されて
いる傾斜部によって釣糸をスプールの釣糸捲き胴部に容
易に戻すことができる。さらに、ロータやスプールの小
型化によってリール全体の小型、軽量化が可能となり、
魚釣り操作性が向上する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る魚釣用スピニングリ
ールの要部断面平面図。

【図２】図１に示す魚釣用スピニングリールの一部拡大
要部断面平面図。

【図３】本発明の第２実施例に係る魚釣用スピニングリ
ールの一部の要部断面平面図。

【図４】本発明の第３実施例に係る魚釣用スピニングリ
ールの一部の要部断面平面図。

【符号の説明】

５ スプール ５ｃ 後部円筒部 ６，６´、６´´ 環状部 １５ ハンドル

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルの回転に連動して前後往復動す
   るスプールに釣糸を捲回すると共に、前記スプールの後
   部円筒部の後端部に環状部が一体的に固定されている魚
   釣用スピニングリールにおいて、 前記環状部は、前記スプールの後部円筒部の内周面から
   径方向内方に突出する環状スカート部と、該環状スカー
   ト部に形成され前記円筒部と平行な平行部とを有するこ
   とを特徴とする魚釣用スピニングリール。
2. 【請求項２】 ハンドルの回転に連動して前後往復動す
   るスプールに釣糸を捲回すると共に、前記スプールの後
   部円筒部の後端部に環状部が一体的に固定されている魚
   釣用スピニングリールにおいて、 前記環状部は、前記円筒部外周より外側に突出する固定
   部と、前記スプールの後部円筒部の内周面から径方向内
   方に突出する環状スカート部と、前記固定部および環状
   スカート部に一体的に形成された傾斜部とを有すること
   を特徴とする魚釣用スピニングリール。