JP2601853B2

JP2601853B2 - 多層容器

Info

Publication number: JP2601853B2
Application number: JP920988A
Authority: JP
Inventors: 英則小林; 守昭諏訪部; 伸浩稲数; 初男永松
Original assignee: 釜屋化学工業株式会社
Priority date: 1988-01-19
Filing date: 1988-01-19
Publication date: 1997-04-16
Anticipated expiration: 2012-04-16
Also published as: JPH01184129A

Description

【発明の詳細な説明】「産業上の利用分野」この発明は、食品、医薬品、化粧品等を収容する多層
容器に関するものである。

「従来の技術」ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフ
タレートなどからなるプラスチック容器は、食品、医薬
品、化粧品のなどの容器として広く用いられているが、
これらのプラスチック容器は水蒸気などに対するガスバ
リヤー性が低いため、粉体、顆粒、錠剤のようにその含
水率を6wt％以下に保つ必要のある内容物を収容する場
合には用いることができなかった。

このため、粉体、錠剤、顆粒などを収容する場合、従
来は、ガラス容器、アルミラミネート容器などに収容し
て湿気を防ぐようにしていたが、ガラス容器には重くて
割れ易いという欠点があり、アルミラミネート容器には
容器を通して内容物を見ることができないという欠点が
あった。

また、プラスチック容器のガスバリヤー性を向上させ
る方法として、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレ
ン・ビニルアルコール共重合体などのガスバリヤー性に
優れた樹脂層を積層してなる多層容器があり、このよう
な多層容器を製造する方法としては、例えば特開昭53−
108162号に開示された多層延伸ブロー成形法がある。こ
の多層延伸ブロー成形法は、押出により飽和ポリエステ
ル層及びエチレン含量15〜60mol％、酢酸ビニル成分の
ケン化度90mol％以上のエチレン・酢酸ビニル共重合体
ケン化物層よりなる管状の多層パリソンを成形し、この
多層パリソン（コールドパリソン）を延伸ブロー成形す
るものである。

ところが、このような方法では、パリソンを押出し成
形するため、寸法精度が悪く、また、製造工程が多い等
の欠点があった。

「発明が解決しようとする課題」本発明は、前記従来技術における次のような課題を解
決しようとするものである。

ガラス容器では重くて割れ易い点。

アルミラミネート容器では内部が見えない点。

押出し成形では、寸法精度が悪く、製造に手間がか
かり、コスト高になるという点。

「課題を解決するための手段」この発明は、少なくとも二種以上の熱可塑性樹脂を同
時に射出することによって三層以上の断面構造を有する
チューブ状に予備成形した多層パリソンを延伸ブロー成
形してなる多層容器であって、上記多層パリソンは、そ
の中間層がエチレン・ビニルアルコール共重合体からな
り、中間層の厚さが1mm以下で1mm〜0.05mmの中間層の厚
さ範囲が多層パリソンの胴部の長さの70％以下の範囲に
入っており、しかも、上記中間層の位置は、多層パリソ
ンの肉厚の1/2より中間層全体が層の内側に位置し、上
記延伸ブローしてなる容器の胴部平均肉厚をｌ、その胴
部における中間層の平均肉厚をａとすると、 0.25mm≦ｌ≦1.2mm 0.01mm≦ａ≦0.2mm で表される断面構造を有するものである。

「作用」この発明の多層容器においては、多層パリソンを同時
に射出成形で製造したことによって、型の再現性が良
く、精度の高い成形体が得られる上、ブロー成形の形状
に応じて、最適の多層パリソンを得ることができる。

また、多層容器が樹脂製で、かつエチレン・ビニルア
ルコール共重合体からなる中間層を有しているため、透
明で軽くて割れにくく、かつガスバリヤー性に優れた容
器が得られる。しかも、中間層を構成するエチレン・ビ
ニルアルコール共重合体を延伸ブローすることにより、
強度、透明性、酸素遮断性が特にさらに向上する。

さらに、中間層全体が多層パリソンの肉厚の1/2より
層の内側に位置しているので、外側から局部的な力が加
わるような場合に、たとえ表面にクラック等が生じても
中間層でそれ以上の進展が防止できる。

「実施例」以下、この発明の第１実施例を第１図、第２図を参照
して説明する。

この実施例の多層容器は、第２図に示すように、口部
１とこの口部１より大径の胴部２とから構成されたもの
であって、その断面構造が内層３、外層４、および中間
層５の三層構造となっているものである。この多層容器
の胴部２においては、その平均肉厚が0.25〜1.2mm、中
間層５の平均厚さが0.01〜0.2mmであり、外層４の厚さ
は肉厚全体の半分以上となっている。

この多層容器では、上記内層３および外層４がポリエ
チレンテレフタレートから構成され、上記中間層５がエ
チレン・ビニルアルコール共重合体から構成されてい
る。上記エチレン・ビニルアルコール共集合体として
は、エチレン共集合比率15〜60mol％、酢酸ビニル成分
ケン化度90mol％以上の組成を有するものが用いられる
が、これは、エチレン共重合比率が15mol％未満では成
形性が劣り、60mol％を越えるときにはガスバリヤー性
が不足し、酢酸ビニル成分ケン化度が90mol％未満のと
きもガスバリヤー性が不足するためである。また、第６
図のようにエチレン・ビニルアルコール共重合体は、吸
湿することによりガスバリヤー性が低下する湿度依存性
を持っているが、この多層容器では、エチレン・ビニル
アルコール共集合体からなる中間層を肉厚全体の1/2よ
り内側に位置させることによって、水蒸気透過度が低い
ポリエチレンテレフタレートからなる外層の肉厚を厚く
して中間層を外部の湿気から保護すると共に、その中間
層を乾燥状態の内容物側に寄せて相対湿度の低い良好な
状態に保っているため、多層容器のガスバリヤー性を長
期間に亙って良好な状態に保つことができる。

なお、上記エチレン・ビニルアルコール共重合体を構
成する場合には、原料として、エチレンとビニルアルコ
ール以外の他に少量の共重合成分、例えばプロピレン、
イソブチレン、高級α−オレフィンなどのオレフィン、
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸な
どの不飽和酸またはこれらのアルキルエステルなどを含
んだものも用いられる。

また、内層３および外層４として、例えばポリブチレ
ンテレフタレートのような芳香族ジカルボン酸とグリコ
ールとを主成分とする縮合体を用いることもできる。

このような多層容器を製造する場合には、まず、第３
図に示すように、内外層３、４と中間層５とを分離して
同時に射出し得るようなノズル６（図示例では、射出シ
リンダ８に接続されたノズルとこのノズルの周囲に位置
して射出シリンダ７に接続しているノズル。）に、ポリ
エチレンテレフタレートを供給する射出シリンダ７とエ
チレン・ビニルアルコール共重合体を供給する射出シリ
ンダ８とを接続してなる射出成形装置を用いて、射出順
序および射出量を、自動制御機構を有する射出シリンダ
駆動油圧装置等によって、例えば第４図に示すように調
節しつつ、多層パリソン９を成形する。

上記多層パリソン９は、その厚さ全体が4mmm以下、中
間層の厚さが1mm以下で1mm〜0.05mmの中間層の厚さ範囲
が多層パリソンの胴部の長さの70％以下の範囲に入って
いるものである。すなわち、第５図に示すように、多層
パリソン９の胴部上端10から底部中央11までの長さの70
％以下の長さ範囲内にある境界部12までは中間層の厚さ
が1mm〜0.05mmとなっており、その境界部12から底部中
央11までの中間層の厚さは0.05mm以下となっている。

そして、このような多層パリソン９を成形した後、こ
の多層パリソン９をブロー成型機の金型内に設置し、加
熱して所定の倍率まで延伸ブローすることによって所望
の多層容器を得る。

なお、この実施例では、多層容器を三層構造とした
が、内層と中間層の間または中間層と外層の間にも樹脂
層を設けて、四層またはそれ以上の層から構成しても差
し支えない。

「実験例」ポリエチレンテレフタレート（以下、PETと呼ぶ。）
側の射出スクリューサイズが38φで、エチレン・ビニル
アルコール共重合体（以下、EVOHと呼ぶ。）側の射出ス
クリューサイズが16φの射出成形装置を用いて多層パリ
ソンを成形し、次いで延伸ブロー成形機で所定の倍率ま
で延伸ブローすることによって多層容器を製造した。

このときの多層パリソンの射出成形条件は、PET側が
バレル温度270℃、ホットランナー温度270℃、射出段数
２で、EVOH側がバレル温度225〜230℃、ホットランナー
温度270℃、射出段数１であり、射出時間は9.5秒であ
る。また、PETおよびEVOHの射出タイミングは、第４図
に示すように、最初にPETを射出した後、すぐに射出を
停止し、次いでEVOHを射出し、続いてPETを再度射出
し、以下、所定の多層パリソンが成形されるまでPETお
よびEVOHを射出し続ける。

一方、延伸ブロー成形時の条件は、多層パリソンの加
熱温度100℃、加熱時間７秒、ブローエア圧23kg/cm²、
ブロー時間９秒である。

このようにして表１のNo.1に示すような層構成の多層
容器を作成すると共に、この多層容器の比較対象とし
て、比較１および比較２に示すような層構成のプラスチ
ック容器も作成した。

但し、これら三種類の容器は、その内容積がいずれも
470ccである。また、表１の層構成の欄において、“AD"
は接着剤を示している。

次に、これら三種類の容器について、その酸素透過度
および水蒸気透過度をそれぞれ測定し、その結果を表２
に示した。

但し、このときの測定条件は、20℃、65％RHとした。

その結果、この発明の多層容器No.1は、肉厚全体が42
3μｍと最も薄いにもかかわらず（比較１は432μｍ、比
較２は479μｍ）、比較１、２と比べて、酸素透過度が1
/6〜1/14、水蒸気透過度が1/5〜1/6とな、ガスバリヤー
性が極めて高いことがわかった。

「発明の効果」この発明の多層容器によれば、少なくとも二種以上の
熱可塑性樹脂を同時に射出することによって三層以上の
断面構造を有するチューブ状に予備成形した多層パリソ
ンを延伸ブロー成形してなる多層容器であって、上記多
層パリソンは、その中間層がエチレン・ビニルアルコー
ル共重合体からなり、中間層の厚さが1mm以下で1mm〜0.
05mmの中間層の厚さ範囲が多層パリソンの胴部の長さの
70％以下の範囲に入っており、しかも、上記延伸ブロー
成形してなる容器の胴部平均肉厚をｌ、その胴部におけ
る中間層の平均肉厚をａとすると、 0.25mm≦ｌ≦1.2mm 0.01mm≦ａ≦0.2mm で表される断面構造を有するので、透明で軽くて割れ
ず、従来のプラスチック容器と比較してガスバリヤー性
に優れている。

また、上記中間層の位置は、多層パリソンの肉厚の1/
2より中間層全体が層の内側に位置しているので、エチ
レン・ビニルアルコール共重合体の吸湿を防止すること
ができ、これによりエチレン・ビニルアルコール共重合
体を良好な状態に保って高いガスバリヤー性を長期間に
亙って保つことができると共に、外側から局部的な力が
加わるような場合に、たとえ表面にクラック等が生じて
も中間層でそれ以上進展することを防止することができ
る。

さらに、多層パリソンを、同時射出成形で製造したこ
とにより、型の再現性が良く、精度の高い成形体が得ら
れる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は、この発明の一実施例を示す図で
あって、第１図は多層容器の要部の断面図、第２図は同
縦断面図、第３図は多層パリソンの成形方法を説明する
説明図、第４図はPETおよびEVOHの射出タイミングを表
すグラフ、第５図は中間層の長さを示す断面図である。
第６図は、エチレン・ビニルアルコール共重合体の酸素
透過量の湿度依存性を示すグラフである。５……中間層。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者永松初男東京都板橋区加賀１丁目14番１号釜屋化学工業株式会社東京事業本部内 (56)参考文献特開昭61−173924（ＪＰ，Ａ) 特開昭61−137（ＪＰ，Ａ)

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】少なくとも二種以上の熱可塑性樹脂を同時
に射出することによって三層以上の断面構造を有するチ
ューブ状に予備成形した多層パリソンを延伸ブロー成形
してなる多層容器であって、上記多層パリソンは、その
中間層がエチレン・ビニルアルコール共重合体からな
り、中間層の厚さが1mm以下で1mm〜0.5mmの中間層の厚
さ範囲が多層パリソンの胴部の長さの70％以下の範囲に
入っており、しかも、上記中間層の位置は、多層パリソ
ンの肉厚の1/2より中間層全体が層の内側に位置し、か
つ上記延伸ブロー成形してなる容器の胴部平均肉厚を
ｌ、その胴部における中間層の平均肉厚をａとすると、 0.25mm≦ｌ≦1.2mm 0.01mm≦ａ≦0.2mm で表される断面構造を有することを特徴とする多層容
器。