JP2600852B2 - 電気光学装置の駆動方法 - Google Patents

電気光学装置の駆動方法

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JP2600852B2
JP2600852B2 JP63256487A JP25648788A JP2600852B2 JP 2600852 B2 JP2600852 B2 JP 2600852B2 JP 63256487 A JP63256487 A JP 63256487A JP 25648788 A JP25648788 A JP 25648788A JP 2600852 B2 JP2600852 B2 JP 2600852B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は表示装置や透過光制御装置などとして用いる
ことのできる電気光学装置の駆動方法に関する。
[従来の技術] 従来、電気光学装置として種々のものが開発されてい
る。これらの中でも、液晶を用いた電気光学装置は比較
的構成が簡単で、小型、軽量、低消費電力等の特徴によ
り、表示装置、光シャッター等として広く用いられてい
る。
液晶電気光学装置の製造上、大容量化/大面積化時に
は単純マトリクスを用いたものがアクティブマトリクス
を用いたものより有利であるが、従来の単純マトリクス
を用いた液晶電気光学装置においては、光学応答特性か
ら大容量のものを作製することが困難である。例えば、
ツイストネマチックモードを用いたものでは1/200デュ
ーティ、よりツイスト角を大きくして高性能化したSTN/
SBEモードでも1/400デューティ程度あるいはそれ以上と
すると、液晶の電気光学特性の不足などによる表示品位
あるいは応答速度の悪化によって実用上使用に耐えない
という問題点があった。
そこで、液晶とその配向制御によって記憶を持たせる
(印加電圧による双安定性を利用するものJ.Appl.Phy
s.,59,3087,'86など)方法が考えられた。これは、液晶
材料によっては90度を超える高ツイスト状態で印加電圧
と透過率もしくは反射率がヒステリシス現象を起こすこ
とを利用しており、(第2図参照)書き込み時に選択的
に書き込んだ情報を、電圧−透過率(もしくは反射率)
曲線におけるヒステリシスループ内となるように設定し
た保持電圧で保持しようとするものである。
以下本明細書では、この表示モードをHTNモードと略
記する。
このHTNモードを用いた電気光学装置においては、電
気光学特性にヒステリシス特性が発現するには種々の条
件を満たすことが必要である。すなわち、電気光学装置
を構成する液晶パネルにおけるツイスト角、セルギャッ
プ、液晶のプレチルト角、液晶組成物の自発ピッチ・弾
性定数・誘電率、配向膜と液晶分子の相互作用の状況等
によってヒステリシス特性の発現状況が異なってくる。
一般には、プレチルト角が大、ツイスト角が大、界面規
制力が大、弾性定数の比K33/K11、K33/K22が共に大、Δ
ε/ε⊥が小、液晶セルの配向処理によって決められる
ピッチPcと液晶組成物の自発ピッチPsのずれΔP(=Pc
/Ps−1)が小の方向にある等の方がヒステリシス特性
が発現し易いという傾向にある。
第3図は、従来のHTN方式の駆動波形の概略を示すも
のである(なお、本明細書では、従来の駆動方式をHTN
方式と呼ぶ)。従来のHTN方式の駆動方法では、ヒステ
リシスループ内に設定した保持電圧±Vhで以前の表示状
態を保持している保持状態に対して、略ゼロボルトを印
加して前の書き込み内容を消去する消去期間te、書き込
みパルスによって新たな表示内容を書き込む書き込み期
間ts、更に保持電圧±Vhによって新しい書き込み内容を
保持する保持期間thの繰り返しからなる。
すなわち従来のHTN方式によるマルチプレクス駆動で
は、表示内容の更新はパネル全面の一括消去と順次走査
による書き込みからなっている。
[発明が解決しようとする課題] しかし、従来とHTN方式によってパネル全面の一括消
去と順次走査による書き込みによる画面の書き換えを行
なう場合、走査期間の最初に選択される走査信号線に当
たる画素と、最後に選択される走査信号線に当たる画素
で、表示が消えている時間に大きな差異が生じてしま
う。たとえば消去にかかる時間teを50ミリ秒、1ライン
当りの書き込み時間tsを0.2ミリ秒とすると、最初に書
き込みが行なわれる1ライン目は消去開始後50ミリ秒後
に書き込まれる。それに対して1000ライン目では、消去
開始後250ミリ秒たってやっと書き込まれるため、書き
換えが目立ってしまい表示効果としてあまり好ましくな
い結果となっていた。
また、必要な最低消去時間と総書き込み時間の和に対
してあまり長くない間隔で書き換えが行われる場合に
は、最初に選択される部分に対して最後に選択される画
素の表示が薄くなってしまい、表示濃度にむらが生じて
表示品位が低下してしまう。これらの課題は、従来のHT
N方式の駆動方法における一括消去をすることにより、
走査線ごとに消去期間の長さが異なることによって生じ
ている。
そこで本発明では、これらの課題に対して各走査線毎
の消去時間をほぼ等しくする駆動方法を提供することに
よって、表示効果を向上した電気光学装置を得ることを
目的とするものである。また、駆動方法の工夫によって
セルギャップマージンを広げる方法も提案し、電気光学
装置の製造上の歩留まりの向上に対して効果がある駆動
方法を提供することも目的としている。
[課題を解決するための手段] 本発明の電気光学装置の駆動方法は、 走査信号線を有する基板とデータ信号線を有する基板
との間に液晶を挟持してなる電気光学装置の駆動方法に
おいて、 前記走査信号線に、選択期間では選択電位を、非選択
期間では非選択電位を有する走査信号を供給し、前記デ
ータ信号線に前記選択期間毎に表示状態を選択するため
のデータ信号を供給し、 前記非選択期間は保持期間と消去期間とを有し、 前記選択期間後の前記保持期間では、前記選択期間に
選択した表示状態を保持させる保持電圧が前記液晶に印
加されてなり、前記保持期間後の前記消去期間では前記
保持電圧の電圧値の絶対値より低く、且つ互いに電圧極
性の異なる2種類の消去電圧パルスが前記液晶に印加さ
れてなることを特徴とする。
[実施例] 以下、実施例により本発明の詳細を示す。
(実施例1) ストライプ状に形成した透明電極上に、SiOを85度の
入射角で蒸着し、焼成してSiO2としたものは液晶のプレ
チルト角が約25倍となった。
これを用いて上下基板間の液晶分子のツイスト角を27
0度、セルギャップを4.4μmとしたセルを作り、メルク
社製の液晶組成物ZLI−3187にBDH社製のカイラルドーパ
ントCB−15を2.4wt%添加した液晶を注入し、画素数750
×1120ドットの液晶表示装置を製作した。
この電気光学装置を30℃で駆動し、電気光学特性を測
定したところ第2図(a)に示すようなヒステリシス特
性が得られた。また、書き込み電圧Vwとパルス幅Pwの関
係を測定したところ第4図に示すような関係が得られ
た。
第4図において、aで示す曲線はOFF状態の書き込み
を行なおうとしたときに、書き込み電圧Vwをこれ以上に
設定すると表示が全てONになってしまう限界を示す。ま
た、bで示す曲線はON状態の書き込みを行なおうとした
ときに、書き込み電圧Vwをこれ以下にすると表示が全て
OFFとなってしまう限界をあらわしている。従って、HTN
モードの液晶パネルを駆動する場合には、書き込み電圧
Vwと書き込みパルス幅Pwはこのaとbの曲線の間の斜線
で示す領域の条件に設定しなければならない。第4図か
ら、一般に駆動マージンを大きくするには、書き込みパ
ルスのパルス幅を大きくし電圧を下げればよいことが判
る。
また、この電気光学装置の消去のために必要な消去期
間の長さteを測定したところ、第3図に示した従来のHT
N方式による消去波形では13ミリ秒の零ボルト印加を必
要とした。
それに対し、第5図に示すような、消去期間中にも保
持電圧Vhと同レベルのパルスを間欠的に印加する本発明
による駆動波形を用いた場合、保持電圧Vhがヒステリシ
ス特性の下限(=2.11ボルト)では21ミリ秒、保持電圧
Vhがヒステリシス特性の上限(=2.31ボルト)では29ミ
リ秒で消去が可能であった。このことから消去を高速化
するには、消去期間中に印加される他の走査電極用の保
持電圧レベルを、できる限り低く設定することが好まし
いことがわかる。
このように、保持電圧のレベルを下げた場合、書き込
み内容の保持が部分によって低下する場合がある。その
ときは、消去期間のない書き込みの波形を加えることに
よって表示濃度が低下した保持内容を再び書き加えて表
示品位を向上させることが好ましい。このような表示内
容の書き加えは、本実施例のように他のラインが消去中
のHTNモードのディスプレイに限らず、一般に従来のHTN
方式の駆動方法をはじめとする表示内容の保持を行うデ
ィスプレイで有効である。
この電気光学装置をマルチプレックス駆動しながら消
去するために、第1図に示すような波形で駆動を行なっ
た。
第1図において、COM(1)〜COM(n)は各々、1本
目〜n本目の走査信号線に印加される信号波形を表し、
SEG(1)は1本目のデータ信号線に印加されるデータ
信号波形を表している。また、VLC(1)〜VLC(n)
は、それぞれ、1本目〜n本目の走査信号線が1本目の
データ信号線と交わる画素の液晶に印加される合成波形
を示す。
第1図の駆動波形においては (1)全てのデータ信号線には一定の周期で同位相の信
号(以下、消去信号と呼ぶ)が加えられる。第1図の駆
動波形では、書き込み期間tsの2倍の時間を周期とし
て、パルス幅が書き込み期間tsの1/2、電圧の絶対値が
保持電圧Vhと同じで正負両極性の反転パルスが消去信号
として加えられている。
(2)表示を消去したい走査信号線には、データ信号線
に加えられる消去信号と同じタイミングで消去信号が加
えられる。第1図の駆動波形では、データ信号線に加え
られる消去信号と同位相・同レベルの反転パルスを走査
信号線の消去信号として加え、液晶に印加される合成波
形VLCの電圧を消去信号が加えられる期間ゼロとするこ
とができる。
(3)各走査信号線が消去期間に入るタイミングは互い
にずらしてある。第1図の駆動波形では、各走査線毎の
消去期間にはいるタイミングは同じ時間、すなわち2×
tsずつずれて開始している。
(4)各走査信号線の消去期間の長さは同一にしてあ
り、液晶組成物やパネル構成、温度特性に合わせて消去
のために必要な消去期間の長さの長さを調整する。
このような駆動を行なうことで、例えば第1図中のt1
のタイミングでは すぐに書き込みが終って、保持期間にある走査信号線
[→COM(1)] 書き込みパルスが印加され、書き込み状態にある走査
信号線[→COM(2)] 消去期間中の走査信号線[→COM(3)] 前フレームの表示状態を保持している走査信号線[→
COM(n)] の各段階の走査信号線が同時に存在することが可能とな
り、同一表示面内で各走査信号線毎の状態を任意に設定
することができる。従って、基本的には各走査信号線毎
の消去期間の位置を任意に設定でき、消去期間の長さが
他の走査信号線の状態に左右されることがなくなる。こ
れは全てのラインで消去時間が一定で、駆動走査線数が
増えるほど消去時間が相対的に短くなるラインが多いこ
とをあらわしている。
また、略零ボルトをパネル全面に対して印加すること
で一括消去する従来のHTN方式の駆動方法による表示が
消えている期間に対し、最高2倍までの時間で全ての走
査信号線の表示を消去することができるようになる。
なお、第1図の駆動波形においては、消去信号は駆動
に必要な電源電圧レベル数を少なくできる利点から、保
持電圧Vhと同じ電圧レベルに設定した反転パルスを用い
て一定周期で印加されているが、消去信号の周期・波形
・電圧レベルは、必ずしもこの条件にする必要はない。
すなわち、消去を速くするためには、消去期間の実効値
を保持電圧Vhの下限よりも低く、しかもできるだけゼロ
に近く設定した波形を印加することが望ましいだけで、
前記の条件には束縛されない。そこで、消去信号の電圧
レベルを保持電圧Vhからずらして消去時の実効値電圧を
低下させ、消去時間が短くなるように設定した。また、
略ゼロボルトと消去信号からなるパルス波形を印加する
ことも可能である。
第1図に示す本実施例の駆動波形を用い、選択電圧Vs
=15.0ボルト、保持電圧Vh=2.11ボルト、選択期間ts=
0.5ミリ秒として前記電気光学装置を駆動してやると、
各走査信号線上の画素は表示が21ミリ秒で消え、全画面
を書き換えるのに要する時間は325ミリ秒であった。こ
の時、表示が消えているのはいほとんど見えず、40ライ
ンほどの表示が薄くなることで走査しているのがわかる
程度だったため、従来の略零ボルトを全面に同時に印加
して消去を行なう方法に対して見栄えのよい表示装置を
得ることが出来た。
一方、第3図の従来のHTN方の消去波形を用いて一括
消去を行なう方法では、最後に選択される走査信号線上
の画素は約340ミリ秒もの間表示が消えており、フラッ
シングしているように見え、表示が非常に見にくかっ
た。特に、1フレームの書き換えに必要な時間の数倍以
下の間隔で表示内容を変化させた場合には、従来のHTN
方式の駆動方法いでは消去によってちらつきが激しくな
り、表示品位を著しく低下させるのに対し、本発明によ
る駆動方法ではほとんどちらつきを生じないため、フレ
ーム周期は表示品位にあまり影響を与えない。
第6図に、第1図の駆動波形を得るするための一回路
例を示す。また、第7図に第6図に示す回路の各部分の
信号波形を示してある。第6図(a)は走査信号線COM
(1)に印加する波形を出力する回路で、第7図中の各
信号701〜705によってトランスミッションゲート601を
制御し、電圧レベルVs〜−Vsを選択する。また、第6図
(b)はデータ信号線SEG(1)に印加される波形を出
力する回路で、信号706によってラッチされた各画素の
表示状態に応じたデータ信号と、信号707によってラッ
チの出力をゼロレベルにリセットすることでトランスミ
ッションゲートの出力を制御した±Vhが交互に印加され
る。
(実施例2) 電気光学装置として、400×640画素のHTNモードのパ
ネルを試作した。配向処理は実施例1と同様に、SiO斜
方蒸着とし、プレチルト角25度、ツイスト角270度、セ
ルギャップ6.0μmとしたパネルに対し、メルク社製の
液晶組成物ZLI−1132にBDH社のカイラルドーパントCB−
15を1.5wt%添加した液晶組成物を封入した。
このパネルを用いて、いろいろな駆動波形に対する消
去の光学応答特性を測定した。実施例1と同様にして消
去のために必要な消去期間の長さを測定すると、25℃に
おいて第13図(a)の従来のHTN方式の駆動波形では50
ミリ秒、第13図(b)または(c)の波形では40ミリ
秒、第13図(d)の波形では96ミリ秒、第13図(e)の
波形では104ミリ秒を要した。
このパネルを、選択電圧Vs=10.5ボルト、保持電圧Vh
=1.5ボルト、選択期間ts=1ミリ秒としてマルチプレ
ックス駆動すると、最後に選択される走査信号線は第3
図の従来のHTN方式の駆動波形では約450ミリ秒の時間表
示が消えていたのに対し、第13図(d)または第13図
(e)の本発明の駆動波形では走査信号線毎に表示が消
えている時間は100ミリ秒程度であり、しかもパネル全
面が一度に消えることがなくなったためフラッシングし
ているように見えることがなくなるため表示品位が向上
し、本発明によって実用上非常に有利なものとなった。
(実施例3) 実施例1で作製した液晶パネルの電気光学特性を25℃
において測定したところ、第2図(b)に示すように、
表示を保持するのに必要な保持電圧が2.19〜2.50ボルト
と0.31ボルトの幅を有するヒステリシス特性となった。
第5図に示すような、消去期間teにはゼロボルトおよ
び電圧レベルVe又は−Veの消去信号を印加する本発明に
よる駆動波形を用い、この消去信号の電圧を変化させな
がら消去のために必要な消去期間の長さτを測定した
ところ、第8図に示すような結果が得られた。第8図の
曲線aは保持電圧Vh=2.50ボルト、第8図の曲線bは保
持電圧Vh=2.19ボルトとした場合に、消去のために必要
な消去期間の長さτを示す。また第8図で消去信号の
実効値が2.19ボルト以上の領域では、表示を保持するこ
とが可能なヒステリシスループ内の電圧となるため、表
示を消去することはできなかった。
例えば本実施例で用いた第9図の駆動波形では、1走
査信号線当りの選択時間tsを3分割し、消去信号として
この選択期間の1/3のパルス幅Pwを持った両極性の反転
パルスを与えて書き込み信号としている。各データ信号
線には、選択期間中に各走査信号線に選択信号が印加さ
れるタイミングに合わせ、各画素の表示状態に応じた電
圧レベル±Vhのデータ信号が加えられる。この選択時間
の残り1/3に相当するデータ信号が印加されていない時
間は、全データ信号線に対して、+Vhあるいは−Vhの電
圧レベルの信号(以下、消去信号Seと呼ぶ)を同位相で
印加する。消去期間中にある各走査信号線には、上記の
データ信号線に対する消去信号Seと同タイミング・同電
圧の消去信号Seが加えられる。このようにデータ信号
線、走査信号線双方に消去信号が加えられているタイミ
ングには、各画素の液晶に印加される合成波形はゼロボ
ルトとできる。その結果、消去期間中に各画素の液晶に
加えられる合成波形は、選択期間の2/3の期間Vhが加え
られる形になり、その実効値は(2/3)1/2×Vh≒0.816
×Vhとなる。
なお、第9図中で消去期間te、選択期間tsおよび保持
期間thは1本目の走査信号線の場合についてのものをあ
らわしている。
第9図に示す本実施例の波形を用い、選択電圧Vs=1
5.0ボルト、保持電圧Vh=2.50ボルト、消去信号の電圧V
e=2.50ボルト、選択期間ts=0.5ミリ秒として前記電気
光学装置を駆動してやると、消去期間中の波形の実効値
は2.04ボルトとなり、各走査信号線上の画素は表示が約
60ミリ秒で消去ができる。よって、消去のために表示が
薄くなっているのはパネル全面の1/7以下にしか過ぎ
ず、気にならないレベルであった。また、全画面を書き
換えるのに要する時間は435ミリ秒であり、消去用パル
スを入れない場合に全走査線を走査するのに必要な走査
時間の5割増しの値であり、一瞬、走査しているのがわ
かる程度に表示品位を改善することが出来た。
一方、第3図のような従来のHTN方の消去波形を用い
て一括消去を行なう方法では、最後に選択される走査信
号線上の画素は約390ミリ秒もの間表示が消えており、
非常に見にくかった。
また、500ミリ秒間隔程度で表示内容の書き換えを行
なった場合には、従来のHTN方式の駆動方法では最初に
書き込まれる走査信号線では約13ミリ秒表示内容が消え
ていた後書き込み内容が400ミリ秒以上保持され、最後
に走査される走査信号線では約300ミリ秒ほど表示内容
が消えていた後に200ミリ秒以下しか表示内容が保持さ
れないため、表示濃度に明らかな差異が生じる。それに
対し、本発明による駆動方法を用いると全ての走査信号
線が60ミリ秒以下表示が薄くなるのみであるために、部
分による表示濃度に差異がほとんど無く表示品位が向上
した。
ところで、これ以上選択期間の分割数を減らし、略ゼ
ロボルトを印加する割合を減らすと、例えば1.33分割し
た1/4の時間略ゼロボルトを印加する場合には、消去期
間中の実効値電圧がVhの(3/4)1/2≒0.87倍にもなって
しまい、20%程度のVhマージンが確保できなくなってし
まう。このため、本実施例の1.5分割が実用的な限界で
ある。
(実施例4) 実施例1で作製したパネルを第10図に示すような波形
を用いて駆動した。第10図の駆動波形では、実施例3と
同様の考え方で1走査信号線当りの選択時間tsを2分割
し、この選択期間の1/2のパルス幅Pwを持った片極性の
パルスを選択信号としている。各データ信号線には各走
査信号線に書き込み信号が印加されるタイミングに合わ
せ各画素の表示状態に応じた電圧レベル±Vhのデータ信
号が加えられる。このデータ信号が印加されていない残
りの1/2の時間には全データ信号線に対して+Vhあるい
は−Vhの電圧レベルの信号(以下、消去信号Seと呼ぶ)
を同位相で印加する。消去期間中にある各走査信号線に
は上記のデータ信号線における消去信号Seと同タイミン
グ・同電圧の消去信号Seが加えられ、この消去信号Seが
走査信号線に加えられているタイミングには、各画素の
液晶に印加される合成波形VLCはゼロボルトとすること
ができる。
その結果、消去期間中に各画素の液晶に加えられる合
成波形の実効値は(1/2)1/2×Vhとなる。また、各波形
の電圧極性は1フレーム(te+ts+tn)毎に極性反転
し、液晶に直流分が印加されないようにしてある。さら
に、消去信号Seは交互に極性を反転することで、データ
信号によらず各画素に連続して長いパルスが印加されな
いようにしてある。
第10図に示す本実施例の波形を用い、選択電圧Vs=1
8.0ボルト、保持電圧Vh=2.19ボルト、消去信号の電圧V
e=2.19ボルト、選択期間ts=0.5ミリ秒として前記電気
光学装置を駆動してやると、消去期間中の波形の実効値
は1.55ボルトとなり、各走査信号線上の画素は表示が約
25ミリ秒で消え、表示が消えているのはほとんど見えず
表示品位が向上した。また、全画面を書き換えるのに要
する時間は400ミリ秒で消去信号を印加しない場合の2
倍の時間であり、表示の薄くなっている部分の割合は最
大でもパネルの1/16以下で実用上問題はなかった。しか
し本実施例のようにフレーム毎の極性反転を行い、特に
保持期間の長い駆動を行なった場合にはイオン性不純物
の影響などと考えられる書き込み電圧や保持電圧の変動
現象などが起きるため信頼性の低下は免れない。このた
め本実施例の駆動波形はフレーム周波数の比較的高い用
途に適している。
(実施例5) 実施例1で作製したパネルを第11図に示すような波形
を用いて駆動した。第11図の駆動波形では、実施例3と
同様の考え方で1走査信号線当りの選択期間tsを3分割
し、消去信号として選択期間の1/6のパルス幅Pwを持っ
た両極性の反転パルスを正負電圧合計で選択期間の1/3
加えて選択信号としている。消去期間中の各画素には、
選択期間の1/3のデューティでデータ信号、残り3/4のデ
ューティでゼロボルトが印加される。その結果、消去期
間中に各画素の液晶に加えられる合成波形の実効値は
(1/3)1/2×Vhとなる。選択電圧Vs=20.0ボルト、保持
電圧Vh=2.19ボルト、消去信号の電圧Ve=2.19ボルト、
選択期間ts=0.6ミリ秒として前記電気光学装置を駆動
してやると、消去期間中の波形の実効値は1.26ボルトと
なり、各走査信号線上の画素において表示が消えるのに
約19ミリ秒、全画面を書き換えるのに469ミリ秒かか
る。よって、書き換えのために表示が薄くなっている領
域は走査の直前のパネル全面積の約1/25に過ぎない。こ
のため、消去が目立たなくなり、走査しているのがわか
る程度となるため、従来のHTNの駆動方法に対して非常
に表示品位が向上する。
(実施例6) 実施例1と同じパネルを第12図に示すような波形を用
いて駆動した。第12図の駆動波形では、実施例3と同様
の考え方で、1走査信号線当りの選択期間tsを4分割
し、消去信号として選択期間の1/8のパルス幅Pwを持っ
た両極性の反転パルスを合計選択期間の1/4与えて書き
込み信号としている。消去期間中の各画素には、1/4の
デューティでデータ信号、残り3/4のデューティでゼロ
ボルトが印加される。
その結果、消去期間中に各画素の液晶に加えられる合
成波形の実効値は(1/4)1/2×Vh=0.5×Vhとなり、選
択電圧Vs=20.0ボルト、保持電圧Vh=2.19ボルト、消去
信号の電圧はVe=2.19ボルト、選択期間ts=0.8ミリ秒
として前記電気光学装置を駆動してやると、消去期間中
の波形の実効値は1.10ボルトとなり、各走査信号線上の
画素は表示が消えるのに約18ミリ秒しかかからず、表示
が消えているのはほとんど見えなかった。この消去期間
の長さはおよそ選択期間の長さの23倍程度である。ま
た、全画面を走査するのに要する時間は618ミリ秒とな
り、消去信号を印加しない場合の4倍の時間になってし
まうため、ほぼ実用に耐え得る限界であった。この駆動
で消去のために表示が薄くなっている部分は、全パネル
面積の1/30以下にしかすぎない。また、これ以上選択信
号を印加する時間の選択期間に対するデューティ比を下
げたばあいには、消去のために必要な消去期間の長さτ
は短かくなるが全画面を走査するのに必要な時間が非
常に長くなり、実用性が低下する。
(実施例7) 実施例1と同様にして作製した液晶パネルに封入する
液晶組成物ZLI−3187に対し、カイラルドーパントの添
加量をさまざまに変えてみた。この液晶パネルにおいて
は、CB−15の添加量が1.90〜1.11wt%、液晶セルの配向
処理によって決められるピッチPcと液晶組成物の自発ピ
ッチPsのずれに相当するΔP(=Pc/Ps−1)の値にし
て0.3〜−0.2の領域では正常なヒステリシス特性が得ら
れる。
ところが、CB−15の添加量が1.07〜1.02wt%、ΔPの
値−0.25〜−0.3の領域では電圧−透過率曲線が第14図
のeで示されるように変形したり、ひどい場合には一旦
書き込んだ後の消去に通常の数倍以上もの時間がかかる
など、電気光学特性に異常なヒステリシス特性が発生す
る。以下本明細書ではこのような電気光学特性における
異常なヒステリシス特性を異常ヒステリシス特性と呼ぶ
こととする。
また、CB−15の添加量を1.02wt%以下とし、Δの値が
−0.3以下になるとローツイストドメインの発生する領
域になる。
ΔPの値が−0.2〜−0.25の領域は不安定で、配向条
件のむらなどによって異常ヒステリシス特性を示した
り、示さなかったりする場合がある。
ΔPの値が−0.25の異常ヒステリシス特性を示す液晶
パネルを用いて、25℃における消去のために必要な消去
期間の長さτを測定したところ、第13図(a)に示し
た従来のHTN方式の駆動波形では50ミリ秒もかかったの
に対し、第13図(b)あるいは(c)に示すような、消
去期間の最初に書き込みパルスの電圧レベルVONと同程
度の電圧レベル±Velの消去用高パルスを印加し、残る
消去期間はゼロボルトを印加する波形にするとτ=25
ミリ秒と非常に速くなり、正常なヒステリシスを示すも
のとほぼ同等になった。また、正常なヒステリシスを示
すパネルに対して第13図(b)あるいは(c)に示すよ
うな波形を印加すると、第13図(a)に示す従来のHTN
方式による駆動方法の消去が45ミリ秒だったのに対し、
消去時の実効値電圧が消去用高パルスの分だけ高くなっ
ているにも係わらず、40ミリ秒程度と高速で消去が可能
となった。
そこで、第13図(d)に概念を示す消去用高パルス印
加、消去用高パルスの直後のゼロボルト印加と、ゼロボ
ルトと電圧レベル±Vhの消去信号の反転パルスを交互に
印加することからなる波形ではτ=80ミリ秒で消去が
可能なことを確認した。また、第13図(e)に示す、消
去用高パルスに引続き、消去用高パルスの直後に電圧レ
ベル±Vhの反転パルスを印加し、ゼロボルトと電圧レベ
ル±Vhの消去信号を交互に印加する波形では、τ=85
ミリ秒となった。
第13図に示した(a)〜(f)の各波形を用いて消去
を行なった場合の消去の光学応答特性を図示すると、そ
れぞれ第15図のa〜fに示すようになる。
ところで、第13図(a)、(b)及び(c)に示す波
形でマルチプレックス駆動を行なう場合には、一旦全画
面を消去してから走査信号線を順次選択して表示情報を
書き込む必要がある。例えば、駆動マージンを大きくす
るために、書き込み電圧VONを低くし、選択期間tsを大
きくした場合には、たとえば書き込み電圧VON(=Vs+
Vh)を12.0ボルトとし、保持電圧Vh=1.5ボルト、選択
期間ts=1ミリ秒で駆動を行なうと、 最初に選択される走査線上の画素が表示が消えている時
間はどれも変わらず40ミリ秒以下なのに対して、最後に
選択される走査線上の画素は、第13図(a)に示す従来
のHTN方式の駆動波形では約450ミリ秒、消去応答特性の
改善された第13図(b)あるいは(c)の波形でも約42
5ミリ秒もの間表示が消えているのが見え、このように
走査線数が多い場合にはとても実用レべルとは言い難
い。
そこで、本発明にしたがってこの液晶パネルをマルチ
プレックス駆動しながら消去するために、第13図(d)
で示す波形を応用し、消去用高パルス電圧Vel=書き込
み電圧VON=10.5ボルト、保持電圧Vh=1.5ボルト、消
去用の高パルスの印加時間tel=1ミリ秒として第16図
に示す波形で駆動したところ、各走査信号線上の画素は
表示が80ミリ秒以下で消え、表示が消えているのはほと
んど見えなかった。また、全画面を書き換えるのに要す
る時間は400ミリ秒であり、表示が消えている部分は最
大でもパネル全面の1/5以下でしかなく、書き込みのた
めの走査している部分の直前の表示が徐々に薄くなり、
消え、書き換えられるため、従来の駆動法による全面一
括消去とその後の書き換えを行なう駆動法よりも非常に
見栄えがよく、表示品位の優れた電気光学装置となっ
た。
また、本実施例で用いた駆動方法によってΔPの値が
−0.2〜−0.3である異常ヒステリシス特性を示す液晶パ
ネルについても、正常なヒステリシス特性を示すパネル
とほぼ同様な消去応答が可能であり、ほぼ正常に駆動で
きることを確認した。
さらに、ΔPの値が−0.2以上の正常なヒステリシス
特性を示すパネルの場合にも若干の消去応答特性の改善
がみられ、第13図(d)または(e)の駆動波形で消去
にそれぞれ64ミリ秒、70ミリ秒しかかからないので、画
面を書き換えるときに表示が消えている部分の割合が低
下し1/6以下になった。
第16図にしめす駆動波形において、COM(1)〜COM
(m)は各々、1本目〜m本目の走査信号線に印加され
る信号波形を表し、SEG(1)は1本目のデータ信号線
に印加されるデータ信号波形を表している。また、VLC
(1)〜VLC(m)は、それぞれ、1本目〜m本目の走
査信号線上の1本目のデータ信号線と交わる画素の液晶
に印加される合成波形を示す。
なお第16図の駆動波形においては、 ・消去期間の最初telに走査信号線に加えられる、消去
用高パルスの電圧レベルVelと、書き込み時の選択期間t
s中に加えられる書き込みパルスの電圧レベルVON ・保持電圧Vhと、消去期間中に走査信号線およびデータ
信号線の双方に加えられる消去信号の電圧レベルVe をそれぞれ同一電圧として、必要な電源電圧レベル数を
5レベルないし6レベルと少なくして設定しているが、
この消去信号の周期・波形・電圧レベルはこれに限定さ
れない。すなわち、消去信号の実効値が保持電圧Vhより
も低ければ、消去は可能であり、例えばデータに応じて
消去信号の電圧レベルを保持電圧Vhからずらし、略ゼロ
ボルトとパルス波形を印加することで消去も可能であ
る。また、書き込みに必要な書き込みパルスの電圧とパ
ルス幅は、例えば第4図に示したような関係の中で設定
すれば良く、消去用高パルスとは無関係であるため、消
去用高パルスの設定は自由にできる。
しかし消去パルスについては、のちほど実施例8で詳
細を述べるが消去用の高パルスの電圧Velが高いほど消
去が速くなる傾向があり、消去を速くする目的では書き
込み電圧と同等以上のできるだけ高い電圧で消去を行な
うことが望ましい。さらに、消去期間中の信号レベルも
実効値をできるだけ低くした方が消去が速くなるため、
消去信号の電圧レベルはできるだけ低くして、消去を速
くすることも望ましいことである。
本実施例では、従来の駆動波形ではΔPの値が0.3〜
−0.2の正常なヒステリシス特性を示す範囲でしか実用
的な使用ができないのに対し、その範囲をローツイスト
ドメインは発生せずに異常ヒステリシス特性を示す限界
であるΔP=−0.3の領域まで拡張できる。従って、セ
ルギャップを6.0μm一定と仮定すると、液晶パネルに
注入する液晶組成物に添加するカイラルドーパントの添
加許容幅を1.90〜1.11wt%の0.79wt%から、1.90〜1.02
wt%の0.88wt%と約11%増加することができる。また、
逆にセルギャップイ6.0μm時のΔP=−0.1に相応する
液晶組成物へのカイラルドーパント量1.69wt%に固定し
たとき、液晶パネルのセルギャップの許容幅は8.67〜5.
33μmの3.34μmから、8.67〜4.67μmの4.00μmと約
20%増加させることができ、液晶パネルの製造マージン
を広くすることが可能となる。
また、正常なヒステリシス特性を持つパネルの場合に
は消去の応答速度を改善し、書き換え中に表示が消えて
いる部分の割合を低下させられる。
(実施例8) 電気光学装置として、750×1120画素の液晶パネルを
試作した。配向処理としてはSiOの斜方蒸着によって液
晶分子のプレチルト角を25度、上下基板間の液晶のツイ
スト角を270度に設定した。このパネルにメルク社製の
液晶組成物ZLI−3187にカイラルドーパントとしてBDH社
のCB−15を添加したものを封入して、液晶パネルとし
た。
界面規制力などセル製造の各条件やカイラルドーパン
トの種類によってヒステリシス特性の発現状況は異なる
が、例えば4.4μmのセルギャップの液晶パネルに、液
晶組成物ZLI−3187に対してカイラルドーパントとしてC
B−15を2.43〜2.17wt%添加した液晶を注入することで
ΔPの値を−0.05〜−0.15としたものについては、正常
なヒステリシス特性が安定して得られた。また、CB−15
の添加量を2.05wt%以下としてΔPの値を−0.2よりも
小さくすると、パネルによって異なるがローツイストド
メインが発生することが多くなった。ΔPの値が−0.15
〜−0.2の領域ではローツイストドメインは発生しない
が、液晶パネルの製造条件によっては異常ヒステリシス
特性を示したり、示さなかったりした。
これらの液晶パネルのうち、例えばΔPの値を−0.1
とした正常なヒステリシス特性を示す液晶パネルでは、
30℃において、第13図(a)に示した消去期間にパネル
全面に対してゼロボルトを印加する従来のHTN方式の駆
動法による一括消去法では13ミリ秒で消去が可能であっ
た。一方、ΔPの値を−0.2とした異常ヒステリシス特
性を示す液晶パネルでは、従来のHTN方式の駆動法によ
る消去波形では速くても数百ミリ秒、遅い場合には数秒
の単位で消去期間の長さが必要であったのに対し、第13
図(d)あるいは(e)に示すように、消去期間の先頭
に高電圧の消去用高パルスを印加し、それに引続きゼロ
ボルトと±Vhの反転パルスを印加する消去波形とするこ
とによって、消去期間の長さを非常に短くすることが可
能であった。この駆動法によると消去期間の長さは、正
常なヒステリシス特性を持つ液晶パネルに対して消去用
の高パルス電圧印加をしない駆動法を用いた場合の消去
期間の長さとほぼ同等とすることができた。
消去波形の電圧を±2.11ボルト、消去パルス印加時間
te1を5〜0.2ミリ秒としたときの、消去パルス電圧Vel
に対する消去のために必要な消去期間の長さτ(単位
ミリ秒)の値を第1表に示す。
第1表によると、消去用高パルスは高電圧で印加時間
を短かくする方が消去期間の長さを短絡する効果がより
大きく、よいことが判る。
この液晶パネルを、30℃において、書き込みパルス電
圧VON=15.0ボルト、保持電圧Vh=2.11ボルト、選択期
間ts=0.5ミリ秒、消去用高パルスの電圧Vel=20.0ボル
ト、消去用高パルス印加時間tel=0.5ミリ秒、消去信号
の電圧を保持電圧Vhと同じにしてマルチプレックス駆動
すると、第13図(b)の波形では最後に選択される走査
信号線上の画素の表示が消えている時間が約365ミリ秒
であったのに対し、第13図(d)の本発明の駆動波形で
は場所にかかわらず25ミリ秒以下であった。また、低温
にすると一般に消去応答特性は悪化するが、本実施例の
駆動方法によって10℃でも消去期間の長さを約80ミリ秒
以下にすることが可能であり、実用に耐えうる消去時間
となった。
本実施例では、従来の駆動波形ではΔPの値が0.05〜
−0.15である正常なヒステリシス特性を示す範囲のパネ
ルしか実用的な使用ができないのに対し、その範囲をロ
ーツイストドメインは発生せずに異常ヒステリシス特性
を示す限界であるΔP=−0.2の領域まで拡張できる。
従って、セルギャップを4.4μm一定と仮定すると、液
晶パネルに注入する液晶組成物に添加するカイラルドー
パントの添加許容幅を2.43〜2.17wt%の0.26wt%から、
2.43〜2.05wt%の0.38wt%と約46%増加することができ
る。また、逆にセルギャップ4.4μm時のΔP=−0.1に
設定し、液晶組成物へのカイラルドーパント量を2.30wt
%一定としたとき、液晶パネルのセルギャップを許容幅
を4.64〜4.16μmの0.48μmから、4.64〜3.91μmの0.
73μmと約52%も増加させることができ、液晶パネルの
製造時のマージンを非常に広くすることが可能となる。
以上実施例7および8で述べた消去時の高パルス印加
による消去応答特性の改善は、液晶組成物や、ツイスト
角やプレチルト角などのパネルの構造に依存しないこと
も確認した。例えば、液晶組成物としてメルク社製のZL
I−1840,ZLI−3238,ZLI−3239,ZLI−2411,ZLI−3219,ZL
I−1800/000,ZLI−3201/000,ZL−1691などで同様の効果
があった。これらの液晶組成物では比較的セルギャップ
マージンが少ないため、特に効果的であった。また、ツ
イスト角は270度,285度,300度,330度,360度などいわゆ
るスーパーツイストと呼ばれる180度以上の領域でヒス
テリシス特性を持つもの全般についても同様の効果があ
ることは確認している。
また、ネマチック−コレステリック相転移によって表
示を行なうモードについてもネマチック相あるいはコレ
ステリック相の初期状態に戻すのに略零ボルトを印加す
るものについても同様に本特許が有効であることも確認
し、走査線が1000ライン程度のディスプレイにおいては
表示の消えている時間を最高約1/3程度にまで改善でき
た。
以上、実施例を述べたが、本発明は上記実施例にのみ
限定されるものではなく、HTNモードで消去期間中にゼ
ロボルト以外の電圧を印加するもの全てに適用でき、そ
の電圧、パルス幅などの条件に上記実施例が同等制限を
与えるものではないことはいうまでもない。
また、正常なヒステリシス特性、異常ヒステリシス特
性、あるいはローツイストドメインの発生するΔPの値
の領域は、液晶パネルのプレチルト角などの配向条件や
配向材料、ツイスト角やギャップ材の分布状態などの製
造条件や液晶組成物やカイラルドーパントの材料によっ
ても異なるため、必ずしも本発明の実施例中の値に限定
されるものではないことは言うまでもない。
さらに、一般に液晶組成物に対するカイラルドーパン
ト量と旋回力の関係は液晶組成物によって異なるため、
カイラルドーパント量とセルギャップの組合せも本発明
の実施例中の値とは異なる可能性がある。
そのうえ、本発明の範囲はHTNモードだけに限定され
るものではなく、ネマチック−コレステリック相転移型
などの、消去−書き込みと電圧印加による書き込み内容
の保持からなる、書き込み内容保持型の液晶ディスプレ
イすべてに適用できることは、本発明により容易に推測
できることも示している。
[発明の効果] 以上説明したように、本発明によれば、消去後書き込
まれた内容を、保持電圧を印加して保持する方法で駆動
される双安定性電気光学装置において、マルチプレック
ス駆動を行なった場合にも、消去のために表示が消えて
いる時間を各走査信号線につき同一で、ほぼ最小限度と
することが可能となり、部分によって表示/消去されて
いる期間の長さが異なるために表示品位に及ぼしていた
悪影響を最小限にするという効果を有する。
また、従来のHTN方式をはじめとする駆動波形を用い
た場合には消去間が非常に長くかかり、本来ならば実用
上使用不可能な異常ヒステリシス特性を示す液晶パネル
においても、表示の消えている時間を短くすることがで
き、実用上問題なく使用可能とすることができること
で、液晶パネルの製造時のマージンが非常に広くなり、
製造が容易になるという大きな効果を有する。
よって、デューティー比に依存しないため原理的には
走査線を無制限に増やせるHTNモードやネマチック−コ
レステリック相転移型などの、消去−書き込みと電圧印
加による書き込み内容の保持からなる、書き込み内容保
持型の液晶ディスプレイの表示品位の向上による使いや
すさの改善が可能である。また、製造時のマージンを大
きいものとすることが可能なため、製造の歩留まりを向
上させることも可能である。よって、パソコン、端末
機、計測機用等の超高解像度ディスプレイなど、用途を
広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の駆動波形の概念を示す図である。 第2図(a)、(b)は、HTN方式の液晶パネルの電気
光学特性の一例を示す図である。 第3図は従来のHTNモードの駆動波形の概念を示す図で
ある。 第4図は、HTN方式の液晶ディスプレイの駆動可能な選
択時間と書き込み電圧の関係の一例を示した図である。 第5図は本発明による駆動波形の概念を示す図である。
tsは書き込みのための選択期間、thは保持期間、teは消
去期間を示しており、実際の駆動波形はこの繰り返しか
らなっている。 第6図(a)(b)は、第1図の駆動波形を実現するた
めの一回路例を示す図である。 第7図は、第6図の回路の各部分の信号波形を表す図で
ある。 第8図は、本発明の駆動波形を用いたときの、消去用反
転パルスの電圧Veと消去のために必要な消去期間の長さ
τの関係を示す図である。 第9図は実施例3で用いた駆動波形の概念をあらわす
図、第10図は実施例4で用いた駆動波形の概念をあらわ
す図、第11図は実施例5で用いた駆動波形の概念をあら
わす図、第12図は、実施例6で用いた駆動波形の概念を
あらわす図である。 第13図は、従来例と本発明の駆動波形の違いを説明する
図であり、(a)は従来のHTN方式での駆動波形、
(b)および(c)はより高速な消去波形、(d)およ
び(e)は本発明による消去用の波形の例を示す図であ
る。 第14図は、実施例7における異常ヒステリシス特性の例
を示す図である。 第15図は、第13図に示した各波形を用いて消去した場合
のHTN方式の電気光学装置の光学応答の様子を示す図で
あり、図中a〜fの曲線は第13図の(a)〜(f)の各
駆動波形に対応している。 第16図は、実施例7における駆動波形の概念をあらわす
図である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】走査信号線を有する基板とデータ信号線を
    有する基板との間に液晶を挟持してなる電気光学装置の
    駆動方法において、 前記走査信号線に、選択期間では選択電位を、非選択期
    間では非選択電位を有する走査信号を供給し、前記デー
    タ信号線に前記選択期間毎に表示状態を選択するための
    データ信号を供給し、 前記非選択期間は保持期間と消去期間とを有し、 前記選択期間後の前記保持期間では、前記選択期間に選
    択した表示状態を保持させる保持電圧が前記液晶に印加
    されてなり、前記保持期間後の前記消去期間では前記保
    持電圧の電圧値の絶対値より低く、且つ互いに電圧極性
    の異なる2種類の消去電圧パルスが前記液晶に印加され
    てなることを特徴とする電気光学装置の駆動方法。
  2. 【請求項2】前記消去期間に印加される電圧の実効値
    は、前記保持期間に印加される電圧の(2/3)1/2倍より
    低いことを特徴とする請求項1記載の電気光学装置の駆
    動方法。
  3. 【請求項3】前記走査信号線の前記保持期間に印加する
    電圧は、前記選択期間の1/4に相当する時間以上の周期
    で印加されることを特徴とする請求項1記載の電気光学
    装置の駆動方法。
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