JP2599296Y2 - 化粧サッシ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案に係る化粧サッシは、例
えばビルディングの外壁面を構成するガラスパネルの縁
部を支持すると共に、上記外壁面の体裁を整える為に利
用する。

【０００２】

【従来の技術】ビルディングの外壁面をガラスパネルで
覆う事が広く行なわれているが、この様な外壁面を構成
する場合には、ガラスパネルの縁部を窓枠に支持する。
窓枠は一般的に、アルミニウム製の押し出し成形材によ
り構成する。窓枠の一部は上記外壁面の一部に露出する
が、この露出部が上記押し出し成形材であると、建物の
外観が無機質なものとなる。この為従来から、例えば特
開平３−１０７０４３号公報に記載されている様に、上
記窓枠の一部で上記外壁面に露出する部分を合成樹脂製
とする化粧サッシが知られている。

【０００３】この従来から知られた化粧サッシは、図１
２に示す様に、アルミニウム（純アルミニウム及びアル
ミニウム合金を含む。本明細書全体で同じ。）の押し出
し成形材である主枠１と、合成樹脂の押し出し成形材で
ある補助枠２とから成る。上記主枠１の屋外側面には３
本の突条３、４を形成し、隣り合う突条３、４同士の間
を、係止溝５、５としている。上記補助枠２の屋内側面
には、これら係止溝５、５内に押し込み自在な形状と大
きさとを有する係止突条６を形成している。

【０００４】この係止突条６の外側面と上記係止溝５、
５の内側面とには、互いに係合自在なラチェット歯状の
波形部を形成している。従って、上記係止突条６は、上
記各突条３、４を弾性変形させつつ、上記係止溝５、５
内に押し込み自在であるが、押し込み後には上記波形部
同士の係合により、上記係止突条６が各係止溝５、５か
ら抜け出る事を防止する。

【０００５】ガラスパネル７の周縁部を係止する場合に
は、このガラスパネル７の端縁を突条３の側面に間座８
を介して突き合わせると共に、このガラスパネル７の外
周縁屋内側面と主枠１の屋外側面との間にパッキング９
を挟持した後、上記係止突条６を係止溝５、５に押し込
む。押し込み完了後、上記ガラスパネル７の周縁部が補
助枠２と主枠１との間で挟持される。

【０００６】この様に主枠１と補助枠２とを組み合わせ
て化粧サッシを構成し、ガラスパネル７の周縁部を支持
した状態で、ビルディングの外壁面には、アルミニウム
製の主枠１は露出せず、合成樹脂製の補助枠２のみが露
出する。従って、建物の外観が無機質なものとはならな
い。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】ところが、上述の様に
構成される従来の化粧サッシの場合には、次の〜の
様な解決すべき問題点がある。 合成樹脂製の補助枠
２によりガラスパネル７を抑え付けるが、補助枠２によ
る抑え力を十分に確保して、屋外の圧力が屋内の圧力よ
りも低くなった場合にもガラスパネル７の脱落防止を図
る為には、上記補助枠２の厚さ寸法を相当に大きくしな
ければならない。この結果、ガラスパネル７の屋外面か
らの補助枠２の突出量が大きくなり、ビルディング外壁
面の意匠の自由度が制限される。 合成樹脂製の補助
枠２によるガラスパネル７の支持強度を確保する事が難
しい。特に、火災時に補助枠２が加熱された場合には、
この補助枠２による支持力が喪失し、上記ガラスパネル
７が落下する恐れがある。 主枠１と補助枠２とを組
み合わせて窓枠を構成した場合に、補助枠２の屋外側面
の平面度を出しにくい。平面度が悪い場合には、ビルデ
ィング外壁面の意匠に高級感がなくなる等、好ましくな
い。本考案の化粧サッシは、上述の様な不都合を何れも
解消すべく考えたものである。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本考案の化粧サッシは、
アルミニウムの押し出し成形材である主枠と、この主枠
の屋外側端部内周側部分に形成された段部と、この段部
の屋外側を覆う状態で上記主枠の屋外側面に結合固定さ
れ、上記段部との間でパネルの縁部を支持する、アルミ
ニウムの押し出し成形材である補助枠と、この補助枠と
は別体に構成されて、一部をこの補助枠に係止する事に
より、この補助枠の屋外側面に添着された非金属材製の
覆い材とを備えている。

【０００９】

【作用】上述の様に構成する本考案の化粧サッシにより
パネルの縁部を支持する場合には、主枠の段部にパネル
の周縁部を係合させた状態で、この主枠に補助枠を結合
固定する。そして、この補助枠の屋外側面に覆い材を添
着する事により、アルミニウム製の補助枠が屋外側面に
露出する事を防止する。上記補助枠を上記主枠に結合固
定する以前の状態では、上記段部にパネルを組み付ける
作業は、このパネルと主枠とを互いに近づけ合うのみ
で、容易に行なえる。従って、ビルディングの外壁面を
構成するガラスパネルの様に、大きくてしかも厚く、重
量が嵩むパネルを上記主枠と補助枠との間に建て込む作
業を容易に行なえる。更に、覆い材は、上記補助枠とは
別体に構成されている為、この補助枠の形状とは独立し
た形状にできる。

【００１０】

【実施例】図１は、本考案の第一実施例を示している。
アルミニウムの押し出し成形材である主枠１０の屋外側
端部（図１の左端部）内周側（図１の上側）部分には、
段部１１を形成している。そして、この段部１１の内周
縁部に形成した、開口部が狭くなった係止溝１２に、パ
ッキング１３を係止している。又、上記段部１１の外周
縁部には、内周側に向け直角に折れ曲がった係止部１４
を形成している。

【００１１】そして、上記段部１１の屋外側を覆う状態
で補助枠１９を、上記主枠１０の屋外側面にねじ止め固
定している。即ち、この補助枠１９の中間部屋内側面に
形成した係止突片１５と上記係止部１４とを係合させる
と共に、上記補助枠１９の外周側端部に形成した取付板
部１６を、上記主枠１０の外周側半部屋外側面に設けた
固定板部１７に突き当てている。そして、これら取付板
部１６と固定板部１７とを、ねじ１８により結合固定し
ている。

【００１２】この様にして主枠１０に結合固定される補
助枠１９の内周縁部には、断面Ｔ字形の係止部２０を設
け、この係止部２０にパッキング２１を係止している。
そして、このパッキング２１と、前記主枠１０側に係止
したパッキング１３とにより、ガラスパネル７の周縁部
を挟持している。尚、このガラスパネル７の外周縁と段
部１１の内周面との間には、間座８を挟持している。

【００１３】前記ねじ１８の緊締により主枠１０と補助
枠１９とを結合固定した状態で、これら主枠１０の屋外
側端部外周縁と補助枠１９の中間部との間には、開口部
の幅が狭くなった係止溝２２が形成される。この係止溝
２２により、上記補助枠１９の屋外側面に、非金属材製
の覆い材２３を添着している。即ち、塩化ビニル等の合
成樹脂、シリコンゴム等のゴム、等の有機材料を押し出
し成形する事により造られた覆い材２３の屋内側面外周
寄り部分には、上記係止溝２２と係合自在な係止部２４
を設けている。そして、この係止部２４を上記係止溝２
２に押し込む事により、上記覆い材２３を補助枠１９の
屋外側面に添着し、アルミニウム製の補助枠１９が屋外
側面に露出する事を防止している。上記覆い材２３の内
周縁部は、屋内側に向け折れ曲がっている。そして、覆
い材２３を補助枠１９の屋外側面に添着した状態でこの
内周縁部は、前記ガラスパネル７の屋外側面に当接し、
当該部分の水密保持を図る。上記覆い材２３は、上記補
助枠１９とは別体に構成したものを、後からこの補助枠
１９に結合する為、この補助枠１９の形状とは独立した
形状にできる。従って、ビルディングの外壁面の意匠の
設計の自由度が高くなる。

【００１４】尚、上記補助枠１９を上記主枠１０に結合
固定する以前の状態では、上記段部１１に上記ガラスパ
ネル７を組み付ける作業は、このガラスパネル７と主枠
１０とを互いに近づけ合うのみで、容易に行なえる。即
ち、上記補助枠１９を上記主枠１０に結合固定する以前
には、上記段部１１により囲まれる部分の屋外側への開
口面積が、上記ガラスパネル７の面積以上になる。従っ
て、このガラスパネル７を上記主枠１０に近づけるのみ
の作業で、このガラスパネル７を上記主枠１０に対し
て、図１に示した状態に組み付ける事ができる。従っ
て、ビルディングの外壁面を構成するガラスパネル７の
様に、大きくてしかも厚く、重量が嵩むパネルを上記主
枠１０と補助枠１９との間に建て込む作業を容易に行な
える。

【００１５】次に、図２は、本考案の第二実施例を示し
ている。上述の第一実施例は、主枠１０の一部と補助枠
１９の一部とを対向させる事により、覆い材２３を支持
する為の係止溝２２を形成していた。これに対して、本
実施例の場合には、補助枠１９のみで、覆い材２３の係
止部２４を係止する為の係止溝２２ａを形成している。
その他の構成及び作用は、上述した第一実施例と同様で
ある為、同等部分には同一符号を付して、重複する説明
を省略する。

【００１６】次に、図３〜７は、本考案の第三〜第七実
施例を示している。これら各実施例の場合、主枠１０と
補助枠１９との形状を、上述した第一〜第二実施例の場
合と異ならせている。その他の構成及び作用は、第一〜
第二実施例の場合とほぼ同様である為、同等部分には同
一符号を付して、重複する説明を省略する。

【００１７】次に、図８は、本考案の第八実施例を示し
ている。本実施例の場合には、窓枠の下枠部分を構成す
る主枠１０に補助枠１９を結合固定するのに、両枠１
０、１９に形成した係止突条同士を係合させている。即
ち、上記補助枠１９の下部屋内側面には、その先端部に
くさび状の鉤部２５ａを形成した第一の係止突条２５
を、上記主枠１０の下部屋外側面でこの第一の係止突条
２５と対向する部分には、その先端部に上記鉤部２５ａ
と係合自在な鉤部２６ａを形成した第二の係止突条２６
を、それぞれ形成している。

【００１８】又、上記補助枠１９の上部屋内側面には、
断面Ｌ字形の第三の係止突条２７を、上記主枠１０の中
間部屋外側面でこの第三の係止突条２７と対向する部分
には、その先端部に上記第三の係止突条２７の先端部と
係合自在な鉤部２８ａを形成した第四の係止突条２８
を、それぞれ形成している。

【００１９】この図８に示した様な化粧サッシを構成す
る場合には、主枠１０の段部１１にガラスパネル７の周
縁部を建て込んだ後、屋外側から屋内側に向けて上記補
助枠１９を、上記主枠１０に押し付ける。この結果、上
記第一の係止突条２５と第二の係止突条２６とが、上記
第三の係止突条２７と第四の係止突条２８とが、それぞ
れ弾性変形しつつ係合し、係合後は上記主枠１０に対し
て上記補助枠１９を、不離に結合固定する。

【００２０】この様にして補助枠１９を主枠１０に結合
固定したならば、次いでパッキング２９を、この補助枠
１９の上端縁と上記ガラスパネル７の下部屋外側面との
間に押し込む。そして最後に、覆い材２３の係止部２４
を上記補助枠１９の係止溝２２ａに押し込んで、この覆
い材２３によって補助枠１９の屋外側面を覆う。

【００２１】次に、図９〜１０は、本考案の第九〜第十
実施例を示している。このうち、図９に示した第九実施
例は、本考案を上枠部分に適用した例を、図１０に示し
た第十実施例は、本考案を竪枠部分に適用した例を、そ
れぞれ示している。使用場所の変更に伴って上下左右方
向が変わる以外、上述した第八実施例と同様である為、
同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略す
る。

【００２２】次に、図１１は、本考案の第十一実施例を
示している。本実施例の場合は、窓障子を構成するガラ
スパネル７の周縁部を囲む框に、本考案を適用した例を
示している。嵌め殺し窓を仕切る窓枠が框に変わった以
外は、前述した第八実施例と同様である為、同等部分に
は同一符号を付して、重複する説明を省略する。

【００２３】

【考案の効果】本考案の化粧サッシは、以上に述べた通
り構成され作用するので、次の〜の様な効果を得ら
れる。 アルミニウム製の補助枠によりガラスパネル
を抑え付ける為、補助枠の厚さ寸法を徒に大きくしなく
ても、この補助枠による抑え力を十分に確保して、屋外
の圧力が屋内の圧力よりも低くなった場合にもガラスパ
ネルの脱落防止を図れる。この結果、ガラスパネルの屋
外面からの補助枠並びに覆い材の突出量を小さくでき
て、ビルディング外壁面の意匠の自由度を大きくでき
る。 補助枠によるガラスパネルの支持強度を確保す
る事が容易となり、火災時に補助枠が加熱された場合に
も、この補助枠による支持力を確保して、上記ガラスパ
ネルの落下防止を図れる。 覆い材の屋外側面の平面
度を出し易く、ビルディング外壁面の意匠に高級感を出
す事が容易である。 重量の嵩むパネルの組み付け作
業も、容易に行なえる。 覆い材の形状を任意にでき
る為、ビルディング外壁面の意匠の設計の自由度が高く
なる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第一実施例を示す部分断面図。

【図２】同第二実施例を示す部分断面図。

【図３】同第三実施例を示す部分断面図。

【図４】同第四実施例を示す部分断面図。

【図５】同第五実施例を示す部分断面図。

【図６】同第六実施例を示す部分断面図。

【図７】同第七実施例を示す部分断面図。

【図８】同第八実施例を示す部分断面図。

【図９】同第九実施例を示す部分断面図。

【図１０】同第十実施例を示す部分断面図。

【図１１】同第十一実施例を示す部分断面図。

【図１２】従来構造の１例を示す部分切断斜視図。

【符号の説明】

１ 主枠 ２ 補助枠 ３、４ 突条 ５ 係止溝 ６ 係止突条 ７ ガラスパネル ８ 間座 ９ パッキング １０ 主枠 １１ 段部 １２ 係止溝 １３ パッキング １４ 係止部 １５ 係止突片 １６ 取付板部 １７ 固定板部 １８ ねじ １９ 補助枠 ２０ 係止部 ２１ パッキング ２２、２２ａ 係止溝 ２３ 覆い材 ２４ 係止部 ２５ 第一の係止突条 ２５ａ 鉤部 ２６ 第二の係止突条 ２６ａ 鉤部 ２７ 第三の係止突条 ２８ 第四の係止突条 ２８ａ 鉤部 ２９ パッキング

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルミニウムの押し出し成形材である主
   枠と、この主枠の屋外側端部内周側部分に形成された段
   部と、この段部の屋外側を覆う状態で上記主枠の屋外側
   面に結合固定され、上記段部との間でパネルの縁部を支
   持する、アルミニウムの押し出し成形材である補助枠
   と、この補助枠とは別体に構成されて、一部をこの補助
   枠に係止する事により、この補助枠の屋外側面に添着さ
   れた非金属材製の覆い材とを備えた化粧サッシ。