JP2599287B2 - 絹の粉砕方法 - Google Patents
絹の粉砕方法Info
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は樹脂フィルム、樹脂皮膜あるいは樹脂塗料
等に混入使用される絹素材の粉砕方法に関する。
等に混入使用される絹素材の粉砕方法に関する。
(従来の技術) 通例天然の絹繊維は、しなやかで肌触りが良く、しか
も適度の吸湿性を備えており、光沢、風合いに優れてい
ると共に強伸度並びに耐衝撃性に優れており、各種の繊
維製品あるいは糸等として多方面に亘って使用されてき
ている。
も適度の吸湿性を備えており、光沢、風合いに優れてい
ると共に強伸度並びに耐衝撃性に優れており、各種の繊
維製品あるいは糸等として多方面に亘って使用されてき
ている。
かゝる絹繊維の有する特性は、この絹繊維に含まれて
いるセリシンが溶解除去されて、グリシン、アラニン、
セリン、チロシン等のアミノ酸残基が直鎖状に連結した
フィブロイン分子で構成されていることに由来するもの
であり古来から重要な衣服等の素材とされてきている。
いるセリシンが溶解除去されて、グリシン、アラニン、
セリン、チロシン等のアミノ酸残基が直鎖状に連結した
フィブロイン分子で構成されていることに由来するもの
であり古来から重要な衣服等の素材とされてきている。
又、この種の天然の絹繊維は染色性に優れていること
からミリング染色による染色に際しても沸騰させる必要
がなく、80〜90℃で染料が絹に吸尽され、染色中の損傷
が少ないことから、各種の色調の染色が可能であり、特
に鮮かな色彩でしかも極薄状の織編布に用いられてい
た。
からミリング染色による染色に際しても沸騰させる必要
がなく、80〜90℃で染料が絹に吸尽され、染色中の損傷
が少ないことから、各種の色調の染色が可能であり、特
に鮮かな色彩でしかも極薄状の織編布に用いられてい
た。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら従前における絹素材は、絹繊維として糸
又は織編生地として用いられる以外に他の用途に向けら
れて用いられることが少なかった。
又は織編生地として用いられる以外に他の用途に向けら
れて用いられることが少なかった。
そして、この糸あるいは織編布とされた絹繊維は摩耗
に弱く、又太陽光線で容易に褪色する不都合を有してお
り、水濡れ時の保形力にも難があった。
に弱く、又太陽光線で容易に褪色する不都合を有してお
り、水濡れ時の保形力にも難があった。
又、絹素材を糸あるいは繊維として使用する場合には
良質の連続した絹フィブロインを取り出す必要があり、
用意された繭繊維の全部を効果的に用いることができな
かった。
良質の連続した絹フィブロインを取り出す必要があり、
用意された繭繊維の全部を効果的に用いることができな
かった。
本発明は、このように天然に存在している絹素材を微
粉状に粉砕して、これをフィルムの成形用樹脂あるいは
樹脂皮膜の形成用の樹脂ないしは塗料中に配合すること
によって天然の絹素材に近い特性をこれらのフィルム、
皮膜あるいは塗料塗膜にもたらそうとするものであり、
天然の絹繊維の欠点とされていたところの劣悪な耐摩耗
性を補うと共に、耐水、耐湿特性を向上させ、更に褪色
の不都合を無くしたものである。更に繊維以外のフィル
ム、皮膜あるいは塗装塗膜の絹状のものとすることによ
って、絹素材の新たな使用展開を試みたものである。
粉状に粉砕して、これをフィルムの成形用樹脂あるいは
樹脂皮膜の形成用の樹脂ないしは塗料中に配合すること
によって天然の絹素材に近い特性をこれらのフィルム、
皮膜あるいは塗料塗膜にもたらそうとするものであり、
天然の絹繊維の欠点とされていたところの劣悪な耐摩耗
性を補うと共に、耐水、耐湿特性を向上させ、更に褪色
の不都合を無くしたものである。更に繊維以外のフィル
ム、皮膜あるいは塗装塗膜の絹状のものとすることによ
って、絹素材の新たな使用展開を試みたものである。
しかしながら、かゝる絹素材を粉砕して樹脂フィル
ム、樹脂皮膜あるいは塗装塗膜中に含ませ絹様の表面特
性を有するフィルム、皮膜あるいは塗膜を形成するため
には絹素材を微粉状に粉砕する必要があり、かゝる粉砕
絹粉の粒径の大きい場合、この粉砕絹粉を混配合してな
るフィルム、皮膜ないしは塗膜の面が荒れ出し、ザラつ
き感を生ずる不都合があった。
ム、樹脂皮膜あるいは塗装塗膜中に含ませ絹様の表面特
性を有するフィルム、皮膜あるいは塗膜を形成するため
には絹素材を微粉状に粉砕する必要があり、かゝる粉砕
絹粉の粒径の大きい場合、この粉砕絹粉を混配合してな
るフィルム、皮膜ないしは塗膜の面が荒れ出し、ザラつ
き感を生ずる不都合があった。
そこで、絹素材を種々の方法で粉砕して微粉状の絹粉
を形成することが試みられ、主として機械的な剪断によ
る粉砕と乾式ボールミルによる磨砕粉砕により絹素材の
粉砕を試みた。
を形成することが試みられ、主として機械的な剪断によ
る粉砕と乾式ボールミルによる磨砕粉砕により絹素材の
粉砕を試みた。
この乾燥条件下での剪断粉砕と磨砕粉砕では絹繊維が
粒状に粉砕されず、微細な繊毛部分を有する多毛の繊維
塊状とされるため、剪断粉砕あるいは磨砕粉砕によって
形成される絹粉相互が綿状に絡み合って凝集してしまう
不都合があった。
粒状に粉砕されず、微細な繊毛部分を有する多毛の繊維
塊状とされるため、剪断粉砕あるいは磨砕粉砕によって
形成される絹粉相互が綿状に絡み合って凝集してしまう
不都合があった。
そして、このような綿状凝集は絹粉の粉砕の過程にお
いても生ずることから絹素材の粉砕が均一になされず、
大き目の繊維塊状の粉砕品と、極微細な多毛状繊維粉と
が混在された状態となり、均一の粒径の絹粉が得られな
い欠点を有していた。また、この絹素材の微細化に多く
の粉砕時間を要する欠点を有していた。
いても生ずることから絹素材の粉砕が均一になされず、
大き目の繊維塊状の粉砕品と、極微細な多毛状繊維粉と
が混在された状態となり、均一の粒径の絹粉が得られな
い欠点を有していた。また、この絹素材の微細化に多く
の粉砕時間を要する欠点を有していた。
かゝる粉砕に伴って絹粉に生ずる繊毛は、絹素材の粉
砕が長時間に及ぶにつれて、より多く生ずる傾向を示
し、又粉砕された絹素材が微細になればなる程、この粉
砕された絹粉に多毛様の繊毛が生ずる傾向を示してい
る。
砕が長時間に及ぶにつれて、より多く生ずる傾向を示
し、又粉砕された絹素材が微細になればなる程、この粉
砕された絹粉に多毛様の繊毛が生ずる傾向を示してい
る。
この結果、絹素材を剪断粉砕あるい磨砕粉砕によって
極微細な絹粉を得ようとした場合、粉砕形成された絹粉
相互が綿状に絡み合って、フィルムないしは皮膜形成用
の樹脂あるいは塗料の塗液中に、これらの粉砕絹粉を混
配合した場合、これらの樹脂ないしは塗液中に混配合し
た粉砕絹粉が均一に分散されない欠点を有していた。
極微細な絹粉を得ようとした場合、粉砕形成された絹粉
相互が綿状に絡み合って、フィルムないしは皮膜形成用
の樹脂あるいは塗料の塗液中に、これらの粉砕絹粉を混
配合した場合、これらの樹脂ないしは塗液中に混配合し
た粉砕絹粉が均一に分散されない欠点を有していた。
又、粉砕された絹粉が綿状に絡み合って、より大きな
固まりとなる現象は、これらの絹粉を成形用の樹脂ある
いは塗料と混配合して用いる場合に限らず、絹粉の成形
工程においても、又、絹粉の保管過程においても生ず
る。このことから、成形用の樹脂あるいは塗料との混配
合に際して、これらの混配合絹粉の綿状凝集を防止する
だけでは、これらの樹脂あるいは塗料中に均一に粉砕絹
粉が分散されない欠点を有していた。
固まりとなる現象は、これらの絹粉を成形用の樹脂ある
いは塗料と混配合して用いる場合に限らず、絹粉の成形
工程においても、又、絹粉の保管過程においても生ず
る。このことから、成形用の樹脂あるいは塗料との混配
合に際して、これらの混配合絹粉の綿状凝集を防止する
だけでは、これらの樹脂あるいは塗料中に均一に粉砕絹
粉が分散されない欠点を有していた。
更に、叙上手法による剪断ないしは磨砕では、粉砕時
に多量の摩擦ないしは衝撃に伴う熱を生じ、この粉砕に
伴う熱によって粉砕絹粉のフィブロインが変質したり、
変色したりすることがあり、特に粉砕絹粉が磨砕装置の
内壁面あるいは磨砕用のボールの面に融着あるいは結着
する不都合があった。
に多量の摩擦ないしは衝撃に伴う熱を生じ、この粉砕に
伴う熱によって粉砕絹粉のフィブロインが変質したり、
変色したりすることがあり、特に粉砕絹粉が磨砕装置の
内壁面あるいは磨砕用のボールの面に融着あるいは結着
する不都合があった。
そこで、粉又は粒又は短繊維状をなす絹素材を液状ポ
リマーあるいは各種の溶剤で希釈した樹脂溶液に混配合
し、この粉又は粒又は短繊維状の絹素材の混配合された
液状ポリマーあるいは樹脂溶液を湿式粉砕機に投入して
粉砕することを試みた。
リマーあるいは各種の溶剤で希釈した樹脂溶液に混配合
し、この粉又は粒又は短繊維状の絹素材の混配合された
液状ポリマーあるいは樹脂溶液を湿式粉砕機に投入して
粉砕することを試みた。
かゝる湿式粉砕の方法では、液状ポリマーあるいは樹
脂溶液の流動抵抗が大きく、撹拌粉砕が円滑になされな
いと共に、混配合した絹素材がポリマー中に均一に分散
されない欠点を有していた。特に、この種の液状ポリマ
ーあるいは樹脂溶液の撹拌を続行した場合、これらのポ
リマーあるいは樹脂溶液の粘性が経時的に高められる傾
向にあり、湿式粉砕機による円滑な粉砕処理が困難とさ
れる場合が多い。そして、粉砕機の撹拌に伴って粉砕機
中の粉砕温度が上昇された場合には、かゝる粉砕上の不
都合が更に顕著に生じた。
脂溶液の流動抵抗が大きく、撹拌粉砕が円滑になされな
いと共に、混配合した絹素材がポリマー中に均一に分散
されない欠点を有していた。特に、この種の液状ポリマ
ーあるいは樹脂溶液の撹拌を続行した場合、これらのポ
リマーあるいは樹脂溶液の粘性が経時的に高められる傾
向にあり、湿式粉砕機による円滑な粉砕処理が困難とさ
れる場合が多い。そして、粉砕機の撹拌に伴って粉砕機
中の粉砕温度が上昇された場合には、かゝる粉砕上の不
都合が更に顕著に生じた。
本発明は、かゝる絹粉の粉砕を容易、確実になし、粉
砕された絹粉が相互に綿状に絡み合って凝集することの
ないようになすと共に、絹粉々砕時における粉砕熱の発
生を無くし品質に変化が無く、しかも均一のの粒径から
なる6ミクロン(粒が細長状である場合は、その短径側
で測定した粒径を意味し、以下μmと表示する。)より
も微細な絹粉の提供をなすことゝ、このように6μmよ
りも微細な範囲の絹粉とされ、しかも均一の粒径とされ
た絹粉を用いて0.02〜0.002mmの厚さからなるフィルム
あるいは皮膜ないしは塗膜を形成することを目的として
いる。
砕された絹粉が相互に綿状に絡み合って凝集することの
ないようになすと共に、絹粉々砕時における粉砕熱の発
生を無くし品質に変化が無く、しかも均一のの粒径から
なる6ミクロン(粒が細長状である場合は、その短径側
で測定した粒径を意味し、以下μmと表示する。)より
も微細な絹粉の提供をなすことゝ、このように6μmよ
りも微細な範囲の絹粉とされ、しかも均一の粒径とされ
た絹粉を用いて0.02〜0.002mmの厚さからなるフィルム
あるいは皮膜ないしは塗膜を形成することを目的として
いる。
(課題を解決するための手段) 本発明に係る絹の粉砕方法は叙上の目的を達成するも
のとして、その請求項1の発明は、粉又は粒又は短繊維
状をなす絹素材を用意し、この絹素材をジメチルフォル
ムアミド、トルエン等の主として有機系の溶剤を用いて
湿式ボールミル等で湿式粉砕をし、この湿式粉砕によっ
て粒径が6μmよりも細かい絹粉を作り出すものであ
り、請求項2の発明は、前記請求項1の発明での湿式粉
砕に先立って、粉砕対象とされる粉又は粒又は短繊維状
の絹素材を篩又は風量分級機等を用いて分級し、粉又は
粒又は短繊維の絹素材が50μmよりも微細な範囲に属す
る絹素材を、その粉砕絹粉全量の少なくとも90重量%以
上のものとして用意し、この分級により粒径の揃えられ
た絹素材を請求項1の発明の同一の方法で粉砕するもの
である。
のとして、その請求項1の発明は、粉又は粒又は短繊維
状をなす絹素材を用意し、この絹素材をジメチルフォル
ムアミド、トルエン等の主として有機系の溶剤を用いて
湿式ボールミル等で湿式粉砕をし、この湿式粉砕によっ
て粒径が6μmよりも細かい絹粉を作り出すものであ
り、請求項2の発明は、前記請求項1の発明での湿式粉
砕に先立って、粉砕対象とされる粉又は粒又は短繊維状
の絹素材を篩又は風量分級機等を用いて分級し、粉又は
粒又は短繊維の絹素材が50μmよりも微細な範囲に属す
る絹素材を、その粉砕絹粉全量の少なくとも90重量%以
上のものとして用意し、この分級により粒径の揃えられ
た絹素材を請求項1の発明の同一の方法で粉砕するもの
である。
(作用) 本発明に係る絹素材の粉砕方法、及び、この粉砕方法
によって得られる絹粉は以下の特長を有している。
によって得られる絹粉は以下の特長を有している。
先ず、請求項1の発明においては、溶剤の介在によっ
て粉砕絹粉相互が互に密着し合った状態で摩砕、衝撃さ
れることが無く、常に絹粉相互が溶剤を介在して接触さ
れることから、絹粉相互が粉砕時に溶着し合ったり、粉
砕機の面に付着することがなく、しかも粉砕された絹粉
が繊維状の多毛構造とされず粒状とされる特長を有して
いる。
て粉砕絹粉相互が互に密着し合った状態で摩砕、衝撃さ
れることが無く、常に絹粉相互が溶剤を介在して接触さ
れることから、絹粉相互が粉砕時に溶着し合ったり、粉
砕機の面に付着することがなく、しかも粉砕された絹粉
が繊維状の多毛構造とされず粒状とされる特長を有して
いる。
このように、粉又は粒又は短繊維状をなす絹素材が粒
状に粉砕され、繊毛部分が比較的少ないことから、これ
らの絹素材の粉砕が比較的短時間に且つ効果的になされ
る特長を有している。
状に粉砕され、繊毛部分が比較的少ないことから、これ
らの絹素材の粉砕が比較的短時間に且つ効果的になされ
る特長を有している。
又、粉砕時の摩砕、衝撃に伴う発生熱が溶剤に吸収さ
れ、しかも粉砕絹粉が溶剤によって表面を覆われた態様
とされていることから、この発生熱に伴って絹粉の特性
が損われたり、軟化あるいは硬化することがない。特
に、溶剤によって粉砕中の絹粉が外気から遮断されてお
り、この粉砕中の絹粉から水分が放出されたり、あるい
は粉砕中の絹粉が湿気を吸収したり膨潤したり、粘弾性
を帯びたり、硬化することがない。
れ、しかも粉砕絹粉が溶剤によって表面を覆われた態様
とされていることから、この発生熱に伴って絹粉の特性
が損われたり、軟化あるいは硬化することがない。特
に、溶剤によって粉砕中の絹粉が外気から遮断されてお
り、この粉砕中の絹粉から水分が放出されたり、あるい
は粉砕中の絹粉が湿気を吸収したり膨潤したり、粘弾性
を帯びたり、硬化することがない。
従って、溶剤中に投入された粉砕絹粉は常に同一の条
件のもとで粉砕されることゝなり目的とする粒径に到る
まで同一の条件で粉砕を続行することができる。
件のもとで粉砕されることゝなり目的とする粒径に到る
まで同一の条件で粉砕を続行することができる。
請求項2の発明では、粉砕される絹粉の粒径を一定の
範囲に揃えたことから、湿式粉砕機による粉砕が、より
短時間で目的とする粒径の絹粉とすることができ、しか
も粉砕された絹粉の概ね均一とされる。
範囲に揃えたことから、湿式粉砕機による粉砕が、より
短時間で目的とする粒径の絹粉とすることができ、しか
も粉砕された絹粉の概ね均一とされる。
(実施例) 以下、本発明に係る絹素材の粉砕方法の典型的な一実
施例について説明する。
施例について説明する。
先ず、通例、繭を湯で煮込んでセリシンを柔かくした
状態でフィブロイン繊維を適宜の大きさに切断する。又
は、繭を加熱、乾燥して内部のさなぎを取除いた状態で
繭そのものを粉砕して適宜の粉、粒又は短繊維とする。
状態でフィブロイン繊維を適宜の大きさに切断する。又
は、繭を加熱、乾燥して内部のさなぎを取除いた状態で
繭そのものを粉砕して適宜の粉、粒又は短繊維とする。
更に、石鹸液で精練してセリシンを溶解除去した後に
フィブロイン繊維を粉砕して適宜の大きさからなる絹素
材を用意する。
フィブロイン繊維を粉砕して適宜の大きさからなる絹素
材を用意する。
この絹素材を5重量%前後の含水率となるまで乾燥し
て粉砕媒体としての溶剤に投入する。
て粉砕媒体としての溶剤に投入する。
この絹素材の乾燥は、乾燥の度合いが高い程以下の粉
砕が容易となり、しかも樹脂等に配合した場合に、これ
らの樹脂溶液中に円滑且つ均一に分散される特長を有し
ており、更に成形されるフィルム、皮膜あるいは塗膜等
に発生水蒸気によるピンホール等を生ずることがない特
長を有している。かゝる絹素材をジメチルフォルムアミ
ド、トルエン等の溶剤と共に湿式ボールミル等の湿式粉
砕機に投入し、この溶剤によって絹素材相互が接触され
ない状態で粉砕する。この湿式ボールミル等の粉砕機に
よる粉砕は粉砕絹粉の粒径が6μmよりも微細な範囲と
なるまで続けられる。又、この湿式粉砕機により粉砕さ
れる絹粉の粒径を均一とし、しかも短時間に粉砕絹粉を
目的とする粒径にまで粉砕するためには、湿式粉砕機に
投入する絹素材を分級し、粉又は粒又は短繊維の絹粉が
50μmよりも細かい範囲に属している微細絹粉を絹粉全
量の90重量%以上となるように篩又は風量分級機で分級
しておくのが良い。
砕が容易となり、しかも樹脂等に配合した場合に、これ
らの樹脂溶液中に円滑且つ均一に分散される特長を有し
ており、更に成形されるフィルム、皮膜あるいは塗膜等
に発生水蒸気によるピンホール等を生ずることがない特
長を有している。かゝる絹素材をジメチルフォルムアミ
ド、トルエン等の溶剤と共に湿式ボールミル等の湿式粉
砕機に投入し、この溶剤によって絹素材相互が接触され
ない状態で粉砕する。この湿式ボールミル等の粉砕機に
よる粉砕は粉砕絹粉の粒径が6μmよりも微細な範囲と
なるまで続けられる。又、この湿式粉砕機により粉砕さ
れる絹粉の粒径を均一とし、しかも短時間に粉砕絹粉を
目的とする粒径にまで粉砕するためには、湿式粉砕機に
投入する絹素材を分級し、粉又は粒又は短繊維の絹粉が
50μmよりも細かい範囲に属している微細絹粉を絹粉全
量の90重量%以上となるように篩又は風量分級機で分級
しておくのが良い。
尚、叙上において用いられる溶剤は有機溶剤を典型例
とするものであり、この粉砕絹粉を混入使用する樹脂溶
液等の樹脂素材ないしはこの粉砕絹粉を配合される塗料
に適応する溶剤が用いられる。そして、この溶剤は蛋白
質を主成分とする絹粉が不溶であることを要し、典型的
にはジメチルフォルムアミド、トルエン、メチルエチル
ケトン等が用いられる他メタノール、イソプロピルアル
コール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、アセトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、キシロール、2・ニトロプロパン、二塩化エタン、
トリクロールエチレン、パークロールエチレン、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ等が用いられている。
とするものであり、この粉砕絹粉を混入使用する樹脂溶
液等の樹脂素材ないしはこの粉砕絹粉を配合される塗料
に適応する溶剤が用いられる。そして、この溶剤は蛋白
質を主成分とする絹粉が不溶であることを要し、典型的
にはジメチルフォルムアミド、トルエン、メチルエチル
ケトン等が用いられる他メタノール、イソプロピルアル
コール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、酢酸エ
チル、酢酸ブチル、アセトン、メチルイソブチルケト
ン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、キシロール、2・ニトロプロパン、二塩化エタン、
トリクロールエチレン、パークロールエチレン、メチル
セロソルブ、エチルセロソルブ等が用いられている。
かゝる溶剤は絹素材が不溶のものであることから、こ
れに絹粉を混入しても絹粉が膨潤したり、溶けだしたり
することがなく、又絹粉中の水分等が溶剤に吸収されて
絹粉が硬化したりすることがなく、絹素材の粉砕過程の
いずれにおいても、溶剤に混入したときと同様の状態が
絹素材に約束される特長を有している。
れに絹粉を混入しても絹粉が膨潤したり、溶けだしたり
することがなく、又絹粉中の水分等が溶剤に吸収されて
絹粉が硬化したりすることがなく、絹素材の粉砕過程の
いずれにおいても、溶剤に混入したときと同様の状態が
絹素材に約束される特長を有している。
このような溶剤を湿式媒体として粒又は粉又は短繊維
状の絹素材を粉砕機に投入して粉砕処理を施す。
状の絹素材を粉砕機に投入して粉砕処理を施す。
この粉砕装置は粉又は粒又は短繊維状物の湿式粉砕に
適するものであれば、いかなる装置であっても良く、主
として各種のボールミルの中で湿式粉砕に適するものが
用いられる。
適するものであれば、いかなる装置であっても良く、主
として各種のボールミルの中で湿式粉砕に適するものが
用いられる。
又、この粉砕機による粉砕は、投入された粒又は粉又
は短繊維状の絹粉の粒径が6μmよりも微細なものとな
るまで続行される。従って、この粉砕機による粉砕時間
等の粉砕条件は、粉砕機の容量と、この粉砕機で用いら
れるボールの径及び投入量と、この粉砕機に投入される
絹素材の種別及び投入量と、使用溶剤の種別及び投入量
と、粉砕機の撹拌速度並びに粉砕温度等の諸条件によっ
て随時変更されるが、極力粉砕中の溶剤温度が上昇され
ない範囲で絹粉の粉砕をなすことが、粉砕絹粉の品質の
劣化をもたらさないために必要である。
は短繊維状の絹粉の粒径が6μmよりも微細なものとな
るまで続行される。従って、この粉砕機による粉砕時間
等の粉砕条件は、粉砕機の容量と、この粉砕機で用いら
れるボールの径及び投入量と、この粉砕機に投入される
絹素材の種別及び投入量と、使用溶剤の種別及び投入量
と、粉砕機の撹拌速度並びに粉砕温度等の諸条件によっ
て随時変更されるが、極力粉砕中の溶剤温度が上昇され
ない範囲で絹粉の粉砕をなすことが、粉砕絹粉の品質の
劣化をもたらさないために必要である。
又、請求項2の発明に係る実施例では、叙上の粉砕機
による粉砕をより効果的になすために、粉砕される絹素
材に対し予備粉砕を施し、これを真比重による風量分級
又は嵩による篩分級によって、その粒径を略50μmより
も細かい範囲に揃えるものであり、通例ターボミル等の
乾式粉砕機による粉砕により用意する。
による粉砕をより効果的になすために、粉砕される絹素
材に対し予備粉砕を施し、これを真比重による風量分級
又は嵩による篩分級によって、その粒径を略50μmより
も細かい範囲に揃えるものであり、通例ターボミル等の
乾式粉砕機による粉砕により用意する。
このように、絹素材が不溶であるところの溶剤を粉砕
媒体とした湿式粉砕では、粉砕中の絹素材が溶剤によっ
て溶け出したり、膨潤したり、あるいは硬くなったりす
ることが無く、しかも外気と遮断された状態で粉砕され
ることから、粉砕中における絹素材の吸放湿現象が無い
特長を有している。この結果、絹素材の粉砕の過程にお
いて絹素材の含水率が高められて相互に融着し合った
り、柔らかくなって磨砕あるいは衝撃粉砕に適しなくな
ったりすることがなく、粉砕形式された絹粉が繊毛状の
枝毛を有せず粒状に粉砕される特長を有している。又、
絹素材の粉砕の過程において絹素材の含水率が低められ
て親水性を阻害されるまで品質が劣化されることもな
い。このようにして粉砕された絹粉は、粉砕時の溶剤と
共に塗料あるいは樹脂の成形用に用いられる。
媒体とした湿式粉砕では、粉砕中の絹素材が溶剤によっ
て溶け出したり、膨潤したり、あるいは硬くなったりす
ることが無く、しかも外気と遮断された状態で粉砕され
ることから、粉砕中における絹素材の吸放湿現象が無い
特長を有している。この結果、絹素材の粉砕の過程にお
いて絹素材の含水率が高められて相互に融着し合った
り、柔らかくなって磨砕あるいは衝撃粉砕に適しなくな
ったりすることがなく、粉砕形式された絹粉が繊毛状の
枝毛を有せず粒状に粉砕される特長を有している。又、
絹素材の粉砕の過程において絹素材の含水率が低められ
て親水性を阻害されるまで品質が劣化されることもな
い。このようにして粉砕された絹粉は、粉砕時の溶剤と
共に塗料あるいは樹脂の成形用に用いられる。
例1 繭から繰り出した絹フィブロインを5重量%の含水率
まで乾燥し、この状態でターボミルにより粉砕し、これ
を分級して以下の絹素材を用意した。この絹素材の含有
水分は5重量%であったが、実際の絹素材の粉砕では3
〜10重量%の範囲にある含水率の絹素材の使用が可能で
あった。
まで乾燥し、この状態でターボミルにより粉砕し、これ
を分級して以下の絹素材を用意した。この絹素材の含有
水分は5重量%であったが、実際の絹素材の粉砕では3
〜10重量%の範囲にある含水率の絹素材の使用が可能で
あった。
30.0μm以上〜50.0μm未満 35.0重量% 20.0μm以上〜30.0μm未満 25.0重量% 15.0μm以上〜20.0μm未満 15.0重量% 10.0μm以上〜15.0μm未満 10.0重量% 7.0μm以上〜10.0μm未満 5.0重量% 5.0μm以上〜 7.0μm未満 4.0重量% 4.0μm以上〜 5.0μm未満 3.0重量% 3.0μm以上〜 4.0μm未満 1.5重量% 2.0μm以上〜 3.0μm未満 0.8重量% 1.0μm以上〜 2.0μm未満 0.5重量% 0.5μm以上〜 1.0μm未満 0.2重量% 0.4μm以上〜 0.5μm未満 0.0重量% 前記の絹粉をジメチルフォルムアミド100重量部に対
し25重量部の割合で粉砕機に投入した。この粉砕機に対
し3mm径のアルミナ系ボールを体積比で70%、絹粉を含
む溶剤を体積比25%投入して90分間撹拌したところ以下
の粒径からなる絹粉とすることができた。
し25重量部の割合で粉砕機に投入した。この粉砕機に対
し3mm径のアルミナ系ボールを体積比で70%、絹粉を含
む溶剤を体積比25%投入して90分間撹拌したところ以下
の粒径からなる絹粉とすることができた。
3.8μm以上〜5.5μm未満 11.0重量% 2.7μm以上〜3.8μm未満 26.0% 1.7μm以上〜2.7μm未満 18.0% 1.0μm以上〜1.7μm未満 17.0% 0.5μm以上〜1.0μm未満 15.0% 0.4μm以上〜0.5μm未満 7.0% 0.3μm以上〜0.4μm未満 5.0% 0.2μm以上〜0.3μm未満 1.0% 例2 前記のターボミルで粉砕した粒又は粉又は短繊維状の
絹素材をジリコニア系の3mm径のボールを充填した粉砕
機で以下の条件で粉砕したところ、120分〜180分の粉砕
絹粉の粒径が6μm以下となった。
絹素材をジリコニア系の3mm径のボールを充填した粉砕
機で以下の条件で粉砕したところ、120分〜180分の粉砕
絹粉の粒径が6μm以下となった。
トルエン100重量部に絹粉40重量部を配合した配合液5
0%(体積比) 3mm径のジリコニア系ボール50%(体積比) 尚、溶剤に配合される絹粉の量は、溶剤の性状、特に
溶剤の有する粘性の度合いにより夫々適量があり、ジメ
チルフォルムアミドはトルエンに比して粘性が高いこと
から、絹粉の配合量をトルエンよりも少なくする必要が
ある。
0%(体積比) 3mm径のジリコニア系ボール50%(体積比) 尚、溶剤に配合される絹粉の量は、溶剤の性状、特に
溶剤の有する粘性の度合いにより夫々適量があり、ジメ
チルフォルムアミドはトルエンに比して粘性が高いこと
から、絹粉の配合量をトルエンよりも少なくする必要が
ある。
又、粉砕機に投入される絹素材及び溶剤の量を増した
場合、その増量相当分前記の6μmの絹粉とするのに多
くの粉砕時間を必要としている。尚、粉砕機に投入され
るボールの径を大きくしたところ粉砕時間の短縮化がは
かられたものゝ、径の大きい絹粉及び繊毛部分を有する
絹粉が残溜される傾向があり、必要以上に大きい径のボ
ールの使用では均一の粒径の絹粉を得ることができなか
った。
場合、その増量相当分前記の6μmの絹粉とするのに多
くの粉砕時間を必要としている。尚、粉砕機に投入され
るボールの径を大きくしたところ粉砕時間の短縮化がは
かられたものゝ、径の大きい絹粉及び繊毛部分を有する
絹粉が残溜される傾向があり、必要以上に大きい径のボ
ールの使用では均一の粒径の絹粉を得ることができなか
った。
又、前記例1のように事前に粉又は粒又は短繊維状の
絹素材の粒径を揃えることなしにジメチルフォルムアミ
ドを用いて湿式ボールミルで絹素材の粉砕をなしたとこ
ろ、粒径を揃えた絹素材の利用に比し略30分程粉砕時間
を長目にする必要があった。尚、この方法でも6μmよ
りも微細で均一の絹粉を作り出すことができた。
絹素材の粒径を揃えることなしにジメチルフォルムアミ
ドを用いて湿式ボールミルで絹素材の粉砕をなしたとこ
ろ、粒径を揃えた絹素材の利用に比し略30分程粉砕時間
を長目にする必要があった。尚、この方法でも6μmよ
りも微細で均一の絹粉を作り出すことができた。
叙上の方法で粉砕された絹粉は、その粉砕の過程並び
に作り出された絹粉に以下の特長が認められた。
に作り出された絹粉に以下の特長が認められた。
先ず、粉砕機に投入された粒又は粉又は短繊維状の絹
素材は、この絹素材が不溶とされるところの、主として
有機系の溶剤中に取りこまれ、絹素材相互が、この溶剤
により包みこまれた状態で粉砕されるため、絹素材相互
が融着し合うことがなく多毛状の破断繊毛を生ずること
なく粉砕され、又ボールないしは粉砕機の面に融着する
ことがない。特に、ボールの磨砕ないしは衝撃に伴って
生ずる熱が、この溶剤により分散されて直接絹素材に伝
達されないことから、熱による絹素材の変質ないしは絹
粉相互の溶融着を生ずる虞れがない。又、絹粉が溶剤に
よって覆われた状態で粉砕されていることから、この絹
粉の粉砕過程において、絹素材が湿気を帯びて膨潤ない
しは、この粉砕過程での水分の蒸散加熱に伴う硬化現象
を生ずることがなく、溶剤に混合された絹素材が溶剤に
混入時の含水率を含み、絹素材特有の膨潤機能あるいは
親水性と特有の強伸性等を損なうことがない。又、絹素
材の粉砕過程において絹素材が湿気を帯び、しかも加熱
に伴って強伸性を帯びることによって粉砕が困難とされ
ることもなく、均一の粒径からなる微細な絹粉を確実且
つ容易に作り出すことができる。
素材は、この絹素材が不溶とされるところの、主として
有機系の溶剤中に取りこまれ、絹素材相互が、この溶剤
により包みこまれた状態で粉砕されるため、絹素材相互
が融着し合うことがなく多毛状の破断繊毛を生ずること
なく粉砕され、又ボールないしは粉砕機の面に融着する
ことがない。特に、ボールの磨砕ないしは衝撃に伴って
生ずる熱が、この溶剤により分散されて直接絹素材に伝
達されないことから、熱による絹素材の変質ないしは絹
粉相互の溶融着を生ずる虞れがない。又、絹粉が溶剤に
よって覆われた状態で粉砕されていることから、この絹
粉の粉砕過程において、絹素材が湿気を帯びて膨潤ない
しは、この粉砕過程での水分の蒸散加熱に伴う硬化現象
を生ずることがなく、溶剤に混合された絹素材が溶剤に
混入時の含水率を含み、絹素材特有の膨潤機能あるいは
親水性と特有の強伸性等を損なうことがない。又、絹素
材の粉砕過程において絹素材が湿気を帯び、しかも加熱
に伴って強伸性を帯びることによって粉砕が困難とされ
ることもなく、均一の粒径からなる微細な絹粉を確実且
つ容易に作り出すことができる。
更に、粉砕されて得られた絹粉は、叙上の粉砕方法に
よる場合では、その粒径がいずれも6μmよりも微細な
ものとされ、相互に融着し合ったり、絡み合ったりして
いない特長を有しており、しかも粉砕に用いた溶剤中に
均一に分散され、概ね絹粉が懸濁様に溶剤中に分散され
ている特長を有している。
よる場合では、その粒径がいずれも6μmよりも微細な
ものとされ、相互に融着し合ったり、絡み合ったりして
いない特長を有しており、しかも粉砕に用いた溶剤中に
均一に分散され、概ね絹粉が懸濁様に溶剤中に分散され
ている特長を有している。
そして、これらの溶剤中の絹粉は一個一個が夫々に独
立の状態で溶剤中に浮遊しており、外気から遮断されて
いる。このことから粉砕された絹粉の管理が容易とさ
れ、粉砕後に絹粉が湿気を帯びたり、硬化したり、ある
いは相互に融着し合ったりすることがない。
立の状態で溶剤中に浮遊しており、外気から遮断されて
いる。このことから粉砕された絹粉の管理が容易とさ
れ、粉砕後に絹粉が湿気を帯びたり、硬化したり、ある
いは相互に融着し合ったりすることがない。
尚、前記の絹素材の粉砕に先立って、絹素材を蒸気で
加熱して、セリシンを充分に除去し、しかもフィブロイ
ンに充分な膨潤加熱を施すことによってフィブロイン組
織の収縮をはかり、更に、この膨潤加熱の施されたフィ
ブロインを、その含有水分が3重量%未満となるように
乾燥することによりフィブロイン組織の脆弱化をはかる
ことがなされた。この方法で、フィブロインを粗粉砕し
て、フィブロインの粉、粒又は短繊維の径寸法を50μm
よりも細かい範囲のものに揃え、これを前記の溶剤を媒
体とした湿式粉砕の方法で粉砕した。
加熱して、セリシンを充分に除去し、しかもフィブロイ
ンに充分な膨潤加熱を施すことによってフィブロイン組
織の収縮をはかり、更に、この膨潤加熱の施されたフィ
ブロインを、その含有水分が3重量%未満となるように
乾燥することによりフィブロイン組織の脆弱化をはかる
ことがなされた。この方法で、フィブロインを粗粉砕し
て、フィブロインの粉、粒又は短繊維の径寸法を50μm
よりも細かい範囲のものに揃え、これを前記の溶剤を媒
体とした湿式粉砕の方法で粉砕した。
かゝる方法で粉砕されたフィブロインの粉、粒又は短
繊維には繊毛部分がなく、これらを溶剤を媒体として粉
砕したところ粉砕絹粉が略“粒”状となった。又、かゝ
る方法で溶剤を媒体としてフィブロインを粉砕した場
合、この粉砕が極めて容易且つ円滑になされ、粉砕効率
が飛躍的に向上することが明らかとなった。更に、かゝ
る方法でフィブロインを粉砕したところ、その粉砕絹粉
の粒径が6μmよりも更に細かい範囲のものとされた。
繊維には繊毛部分がなく、これらを溶剤を媒体として粉
砕したところ粉砕絹粉が略“粒”状となった。又、かゝ
る方法で溶剤を媒体としてフィブロインを粉砕した場
合、この粉砕が極めて容易且つ円滑になされ、粉砕効率
が飛躍的に向上することが明らかとなった。更に、かゝ
る方法でフィブロインを粉砕したところ、その粉砕絹粉
の粒径が6μmよりも更に細かい範囲のものとされた。
このようにして6μmよりも細かく粉砕された絹粉
を、この絹粉の粉砕に用いた溶液と共に成形用の樹脂あ
るいは塗料に配合する。この配合の方法と配合の量は、
成形される樹脂製品、フィルムないしはシートの特性及
び塗料の特性等に合せて適宜決定される。
を、この絹粉の粉砕に用いた溶液と共に成形用の樹脂あ
るいは塗料に配合する。この配合の方法と配合の量は、
成形される樹脂製品、フィルムないしはシートの特性及
び塗料の特性等に合せて適宜決定される。
尚、絹粉を有する溶剤の配合される樹脂は、この溶剤
の配合によって作り出される成形用の樹脂溶液ないしは
塗料塗液の樹脂であって、通例は成形される樹脂フィル
ム、シート等の樹脂素材に適する溶剤を用いて前記の絹
粉の粉砕をなす。
の配合によって作り出される成形用の樹脂溶液ないしは
塗料塗液の樹脂であって、通例は成形される樹脂フィル
ム、シート等の樹脂素材に適する溶剤を用いて前記の絹
粉の粉砕をなす。
従って、前記に湿式粉砕に用いる溶剤と樹脂素材の選
択により、各種の樹脂フィルム、シート等の成形と、各
種の樹脂皮膜の形成及び各種樹脂塗料が作り出される。
択により、各種の樹脂フィルム、シート等の成形と、各
種の樹脂皮膜の形成及び各種樹脂塗料が作り出される。
又、この絹粉を含む溶剤に配合される樹脂及び塗液
は、ペースト状であっても粉体状ないしは液状であって
も良く、この溶剤の配合量を調節することによってペー
スト状ないしは粘性の高い溶液状又は粘性の低い希釈溶
液状とされる。
は、ペースト状であっても粉体状ないしは液状であって
も良く、この溶剤の配合量を調節することによってペー
スト状ないしは粘性の高い溶液状又は粘性の低い希釈溶
液状とされる。
このようにして6μmよりも細かい絹粉を有する溶剤
の配合された樹脂又は塗液を用いてフィルムないしはシ
ート、あるいは皮膜と、塗料とを作り出す。このフィル
ム、シートを作り出す方法はカレンダーロール、インフ
レーション成形等適宜の方法が用いられる他、離型紙の
表面にコーティングした後に、この離型紙を剥ぎとって
フィルム、シートを作る方法等がある。更に、このフィ
ルム、シートの面にサンディングを施したり、各種の表
面処理を施す。
の配合された樹脂又は塗液を用いてフィルムないしはシ
ート、あるいは皮膜と、塗料とを作り出す。このフィル
ム、シートを作り出す方法はカレンダーロール、インフ
レーション成形等適宜の方法が用いられる他、離型紙の
表面にコーティングした後に、この離型紙を剥ぎとって
フィルム、シートを作る方法等がある。更に、このフィ
ルム、シートの面にサンディングを施したり、各種の表
面処理を施す。
又、各種の皮膜は布、紙、皮革あるいは木製品その他
の製品の表面に塗布形成する方法と、前記溶剤を配合さ
れた樹脂溶液中に布、紙等を漬け込み形成する方法及び
離型紙の表面にコーティングした後、その離型紙面上の
樹脂皮膜を布、樹脂シート、紙、皮革等の面に転写接着
する方法等によって作り出す。更に、塗料は、各種の用
途に合せた塗膜形成要素及び顔料に対し、塗膜形成助要
素の一部ないしは、改良及び増量要素として前記の絹粉
を有する溶剤の添加配合がなされるものであり、一般的
な撹拌、混合で作り出される。
の製品の表面に塗布形成する方法と、前記溶剤を配合さ
れた樹脂溶液中に布、紙等を漬け込み形成する方法及び
離型紙の表面にコーティングした後、その離型紙面上の
樹脂皮膜を布、樹脂シート、紙、皮革等の面に転写接着
する方法等によって作り出す。更に、塗料は、各種の用
途に合せた塗膜形成要素及び顔料に対し、塗膜形成助要
素の一部ないしは、改良及び増量要素として前記の絹粉
を有する溶剤の添加配合がなされるものであり、一般的
な撹拌、混合で作り出される。
このようにして作り出されるフィルム、皮膜及び塗装
塗膜は、これらの素材中に含まれる絹粉の粒径が6μm
よりも微細な範囲に属していることから、フィルム、皮
膜ないしは塗装塗膜の厚さが0.02〜0.002mmの範囲であ
っても、これらのフィルム、皮膜ないしは塗装塗膜の面
から混入絹粉が浮き出したり、突き出したりすることが
なく、平滑で良好な肌触り感のあるフィルム、皮膜ある
いは塗膜等とされた。又、これらのフィルム、皮膜ある
いは塗膜等の樹脂成形品中に含まれる絹粉の組成分の一
部を溶出することにより、このフィルム、皮膜あるいは
塗膜等の面に数ミクロンよりも微細な多数の孔を設ける
ことができる。又、塗装皮膜の場合の塗布皮膜は、0.00
2μm以下であっても良く、この塗膜の面も平滑とされ
た。
塗膜は、これらの素材中に含まれる絹粉の粒径が6μm
よりも微細な範囲に属していることから、フィルム、皮
膜ないしは塗装塗膜の厚さが0.02〜0.002mmの範囲であ
っても、これらのフィルム、皮膜ないしは塗装塗膜の面
から混入絹粉が浮き出したり、突き出したりすることが
なく、平滑で良好な肌触り感のあるフィルム、皮膜ある
いは塗膜等とされた。又、これらのフィルム、皮膜ある
いは塗膜等の樹脂成形品中に含まれる絹粉の組成分の一
部を溶出することにより、このフィルム、皮膜あるいは
塗膜等の面に数ミクロンよりも微細な多数の孔を設ける
ことができる。又、塗装皮膜の場合の塗布皮膜は、0.00
2μm以下であっても良く、この塗膜の面も平滑とされ
た。
このように2〜3μmよりも微細な孔をフィルム、皮
膜あるいは塗膜の面に設けることによって、これらのフ
ィルム、皮膜あるいは塗膜に通気性がもたされることゝ
なり、特にこのフィルム、皮膜あるいは塗膜にもとらさ
れる通気性は、0.0004μm前後の粒径からなる水蒸気を
通し、水滴を通さない特長を有していることから耐水、
透湿機能をフィルム、皮膜あるいは塗膜にもたらすもの
である。
膜あるいは塗膜の面に設けることによって、これらのフ
ィルム、皮膜あるいは塗膜に通気性がもたされることゝ
なり、特にこのフィルム、皮膜あるいは塗膜にもとらさ
れる通気性は、0.0004μm前後の粒径からなる水蒸気を
通し、水滴を通さない特長を有していることから耐水、
透湿機能をフィルム、皮膜あるいは塗膜にもたらすもの
である。
従って、各種の布地、皮革あるいは木製品等の表面に
前記の絹粉を含む0.02〜0.002mm厚さからなる皮膜ある
いは塗膜を形成し、ないしはフィルムを貼り合せて、こ
の皮膜、塗膜あるいはフィルム中の絹粉成分の一部を溶
出した場合、このフィルム中の絹粉と溶出された孔とに
よってこれらの布地、皮革あるいは木製品等に特有の耐
水性と透湿性とがもたらされることゝなる。因みに、通
例の雨滴の径は2000μmであり、微細な霖雨においても
100μmであって、これらのフィルム等に設けられた微
細な孔を通過することがない。又、これらのフィルム面
等に付着した雨滴も表面張力の関係から前記の微細な孔
を通して滲潤することがない。
前記の絹粉を含む0.02〜0.002mm厚さからなる皮膜ある
いは塗膜を形成し、ないしはフィルムを貼り合せて、こ
の皮膜、塗膜あるいはフィルム中の絹粉成分の一部を溶
出した場合、このフィルム中の絹粉と溶出された孔とに
よってこれらの布地、皮革あるいは木製品等に特有の耐
水性と透湿性とがもたらされることゝなる。因みに、通
例の雨滴の径は2000μmであり、微細な霖雨においても
100μmであって、これらのフィルム等に設けられた微
細な孔を通過することがない。又、これらのフィルム面
等に付着した雨滴も表面張力の関係から前記の微細な孔
を通して滲潤することがない。
例3 前記6μmよりも細かい範囲の絹粉を含む溶剤を用い
てポリウレタン樹脂フィルムを作り、そのフィルムを織
編布の面に転写した。
てポリウレタン樹脂フィルムを作り、そのフィルムを織
編布の面に転写した。
6μmよりも微細な絹粉 15重量部 トルエン 70重量部 ポリウレタン樹脂固形分 30重量部 この樹脂溶液を離型紙の面にドクターナイフコーティ
ング法により0.008mmの厚さで塗着し、これを乾燥した
後に該離型紙より剥ぎとって厚さ0.008mmのフィルムを
作った。
ング法により0.008mmの厚さで塗着し、これを乾燥した
後に該離型紙より剥ぎとって厚さ0.008mmのフィルムを
作った。
又、このフィルムを引き剥すことなく1.5mm厚の不織
布の面に接着しながら前記離型紙を剥ぎとって不織布の
面にフィルムスキン層を作り出した。そして、この不織
布を60℃の温水中に漬け込んで15分間湯洗いしたところ
フィルム中に含まれている絹粉の一部が溶出し、柔かい
感触のフィルム面とされた。
布の面に接着しながら前記離型紙を剥ぎとって不織布の
面にフィルムスキン層を作り出した。そして、この不織
布を60℃の温水中に漬け込んで15分間湯洗いしたところ
フィルム中に含まれている絹粉の一部が溶出し、柔かい
感触のフィルム面とされた。
尚、前記の絹粉の混入量を3重量部〜30重量部の間で
各5重量部づつ増しながらフィルムを作ったところ、前
記例3の割合で絹粉を3重量部としたところ作り出され
たフィルム面の光沢が良好で、充分な耐摩性を有してい
る反面、接触時のベタつき感があった。又、35重量部の
絹粉を配合したフィルム面は絹特有の滑らかな接触抵抗
と良好な光沢及び風合いがある反面、耐摩耗性に難があ
り、フィルム面に強い力が作用した場合に、このフィル
ム面にシワよれを生じ、又前記のフィルムをラミネート
した製品では、表面がヨレた状態で下地の生地面が一部
露出することがあった。従って、前記の絹粉の配合量は
3〜30重量部が最適である。しかしながら、フィルムの
成形樹脂の種別、使用溶剤の配合量及び成形条件等によ
って前記の絹粉の配合量を更に変更することもできる。
各5重量部づつ増しながらフィルムを作ったところ、前
記例3の割合で絹粉を3重量部としたところ作り出され
たフィルム面の光沢が良好で、充分な耐摩性を有してい
る反面、接触時のベタつき感があった。又、35重量部の
絹粉を配合したフィルム面は絹特有の滑らかな接触抵抗
と良好な光沢及び風合いがある反面、耐摩耗性に難があ
り、フィルム面に強い力が作用した場合に、このフィル
ム面にシワよれを生じ、又前記のフィルムをラミネート
した製品では、表面がヨレた状態で下地の生地面が一部
露出することがあった。従って、前記の絹粉の配合量は
3〜30重量部が最適である。しかしながら、フィルムの
成形樹脂の種別、使用溶剤の配合量及び成形条件等によ
って前記の絹粉の配合量を更に変更することもできる。
例4 トルエン 70重量部 6μmよりも微細な絹粉 15重量部 ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部 この例4で作り出された塩ビフィルムでは光沢と絹特
有の風合があり、しかも柔軟性が増し、通例の塩ビフィ
ルムに比し良好な肌触り感があり伸縮性が著しく増すと
共に吸湿機能がもたらされた。又前記配合量によってフ
ィルム、皮膜の形成と、塗料とが作り出された。
有の風合があり、しかも柔軟性が増し、通例の塩ビフィ
ルムに比し良好な肌触り感があり伸縮性が著しく増すと
共に吸湿機能がもたらされた。又前記配合量によってフ
ィルム、皮膜の形成と、塗料とが作り出された。
例5 トルエン 70重量部 6μmよりも微細な絹粉 15重量部 アクリル樹脂 30重量部 この例5の配合比率で作り出されたフィルムは例4の
フィルムに比して耐候性に優れており、耐摩耗性が良好
であるにも拘らず接触時のベタつき感がない特長を有
し、フィルム面の光沢も良好であった。又、この配合比
率からなる樹脂溶液で皮膜を形成し、又塗料として塗膜
を形成したところ同様に例4で作られた皮膜ないしは塗
膜に比べて耐摩耗性に優れ、且つ吸湿機能を有する皮膜
ないしは塗膜とされた。
フィルムに比して耐候性に優れており、耐摩耗性が良好
であるにも拘らず接触時のベタつき感がない特長を有
し、フィルム面の光沢も良好であった。又、この配合比
率からなる樹脂溶液で皮膜を形成し、又塗料として塗膜
を形成したところ同様に例4で作られた皮膜ないしは塗
膜に比べて耐摩耗性に優れ、且つ吸湿機能を有する皮膜
ないしは塗膜とされた。
例6 トルエン 70重量部 6μmよりも微細な絹粉 15重量部 ポリ塩化ビニル樹脂 15重量部 アクリル樹脂 15重量部 この例6の配合比率で作り出されたフィルムは前記例
5のフィルムに比し耐摩耗性に劣る傾向を示したが肌触
りと風合とが良く、ラミネート時の接着性が良好であっ
た。又、この配合比率からなる樹脂溶液を用いて形成し
た皮膜及び、例6の樹脂溶液を含む塗料を用いて形成し
た塗膜は吸湿性と、接触抵抗とが良好で適度の肌触り感
があった。
5のフィルムに比し耐摩耗性に劣る傾向を示したが肌触
りと風合とが良く、ラミネート時の接着性が良好であっ
た。又、この配合比率からなる樹脂溶液を用いて形成し
た皮膜及び、例6の樹脂溶液を含む塗料を用いて形成し
た塗膜は吸湿性と、接触抵抗とが良好で適度の肌触り感
があった。
例7 トルエン中で絹粉を粉砕し、この粉砕絹粉を有するト
ルエンに二液反応タイプのウレタン塗料のポリエステル
を配合し、その後イソシアネートを添加配合してスプレ
ーガンで膜厚0.002mmの塗膜を得た。
ルエンに二液反応タイプのウレタン塗料のポリエステル
を配合し、その後イソシアネートを添加配合してスプレ
ーガンで膜厚0.002mmの塗膜を得た。
この塗膜は艶消し効果に優れ、手に触れたときの風合
いはベトつき感がなく良好であった。この実施例では、
二液反応型ウレタン樹脂塗料中のポリエステルと絹粉と
の合計重量に対する絹粉の量を10〜40重量%の範囲とし
た。
いはベトつき感がなく良好であった。この実施例では、
二液反応型ウレタン樹脂塗料中のポリエステルと絹粉と
の合計重量に対する絹粉の量を10〜40重量%の範囲とし
た。
例8 液状ポリウレタン樹脂液(無黄変一液型ポリウレタ
ン、不揮発分30%)をメチルエチルケトンの混合剤を用
いて20〜50poise(25℃)に調整し、このウレタン樹脂1
00重量部中に絹粉50重量部をトルエンと共に混合し、10
0poise(25℃)となるように撹拌混合した。
ン、不揮発分30%)をメチルエチルケトンの混合剤を用
いて20〜50poise(25℃)に調整し、このウレタン樹脂1
00重量部中に絹粉50重量部をトルエンと共に混合し、10
0poise(25℃)となるように撹拌混合した。
この混合物をPVC板にスプレーガンで吹きつけ100℃で
1分間乾燥したところ吸湿性の良好な、しかも艶消し効
果の高い塗膜が得られた。
1分間乾燥したところ吸湿性の良好な、しかも艶消し効
果の高い塗膜が得られた。
例9 ウレタン樹脂100重量部中に絹粉40重量部を含む溶剤
を配合して得られた混合液を離型紙上にコーティング
し、乾燥後得られた0.006mmの厚さのフィルムを織物基
材に転写して張り合せた。このようにして作り出された
織物の表面はベトつき感がなく、感触にも優れ絹特有の
風合を有していた。
を配合して得られた混合液を離型紙上にコーティング
し、乾燥後得られた0.006mmの厚さのフィルムを織物基
材に転写して張り合せた。このようにして作り出された
織物の表面はベトつき感がなく、感触にも優れ絹特有の
風合を有していた。
例10 離型紙上に絹粉を含む一液型ウレタン樹脂(絹粉含有
のメチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分30重量%の
混合液)をコンマロールで塗布、乾燥し、更に、このコ
ーティング層の上に、絹粉を含む二液型ウレタン樹脂
(絹粉含有のメチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分
50重量%の混合液)を塗布、乾燥して積層皮膜を作り、
この積層皮膜を離型敷から引き剥すようにして不織布の
面にラミネート接着した。このラミネートフィルムの面
を有する不織布の表面のベトつき感はなく、又絹粉を含
まないラミネート接着と同様の接着強度が得られた。
のメチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分30重量%の
混合液)をコンマロールで塗布、乾燥し、更に、このコ
ーティング層の上に、絹粉を含む二液型ウレタン樹脂
(絹粉含有のメチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分
50重量%の混合液)を塗布、乾燥して積層皮膜を作り、
この積層皮膜を離型敷から引き剥すようにして不織布の
面にラミネート接着した。このラミネートフィルムの面
を有する不織布の表面のベトつき感はなく、又絹粉を含
まないラミネート接着と同様の接着強度が得られた。
(効果) 本発明に係る絹の粉砕方法では、絹粉が溶剤によって
夫々に分離された状態で粉砕されることから、絹粉相互
が直接々触して融着し合うことがなく、粉砕に伴って絹
粉に多毛状の繊毛を生ずることがない。
夫々に分離された状態で粉砕されることから、絹粉相互
が直接々触して融着し合うことがなく、粉砕に伴って絹
粉に多毛状の繊毛を生ずることがない。
このことから絹素材の粉砕が容易になされ、しかも粉
砕粉が粒状とされた。
砕粉が粒状とされた。
又、絹粉の粉砕に際して磨砕あるいは衝撃粉砕に伴う
熱の発生が無く、熱変化に伴う絹粉相互の融着あるいは
品質劣化の不都合を生ずることがない。
熱の発生が無く、熱変化に伴う絹粉相互の融着あるいは
品質劣化の不都合を生ずることがない。
更に、溶剤で覆われた状態で絹が粉砕されることか
ら、粉砕の過程において絹粉が乾燥したり、膨潤したり
することがない。このことから絹粉の乾燥に伴う親水性
の阻害が無く、又膨潤に伴って絹粉が粘性を帯びて粉砕
が阻害される不都合もない。
ら、粉砕の過程において絹粉が乾燥したり、膨潤したり
することがない。このことから絹粉の乾燥に伴う親水性
の阻害が無く、又膨潤に伴って絹粉が粘性を帯びて粉砕
が阻害される不都合もない。
これらのことから粒径が6μmよりも微細な範囲に属
する絹粉を確実に、しかも短時間で効率良く作り出すこ
とができた。
する絹粉を確実に、しかも短時間で効率良く作り出すこ
とができた。
更に、この微細な粒状に粉砕された絹粉が溶剤中に懸
濁状に分散されていることからこれらの絹粉が綿状に絡
み合うことが無く、フィルム、シートあるいは皮膜等の
成形樹脂との配合が円滑、容易とされ、これらの樹脂混
合液中に絹粉が均一に分散される特長を有している。
濁状に分散されていることからこれらの絹粉が綿状に絡
み合うことが無く、フィルム、シートあるいは皮膜等の
成形樹脂との配合が円滑、容易とされ、これらの樹脂混
合液中に絹粉が均一に分散される特長を有している。
又、かゝる特長は、溶剤により粉砕された絹粉を、こ
の溶剤と共に塗料成分とした場合でも同様である。
の溶剤と共に塗料成分とした場合でも同様である。
従って、叙上の6μmよりも微細な範囲に属する絹粉
を含む樹脂混合液あるいは塗料を用いてフィルム、皮膜
あるいは塗膜を形成した場合、これらのフィルム、皮膜
あるいは塗膜中に絹粉が均一に分散された状態で、これ
らのフィルム等が形成される。このことから、これらの
フィルム等に絹特有の吸放湿性、光沢及び風合と適度の
接触抵抗、及び強伸性がもたらされると共に静電気の帯
電が防止される特長を有している。
を含む樹脂混合液あるいは塗料を用いてフィルム、皮膜
あるいは塗膜を形成した場合、これらのフィルム、皮膜
あるいは塗膜中に絹粉が均一に分散された状態で、これ
らのフィルム等が形成される。このことから、これらの
フィルム等に絹特有の吸放湿性、光沢及び風合と適度の
接触抵抗、及び強伸性がもたらされると共に静電気の帯
電が防止される特長を有している。
又、これらのフィルム、シート、皮膜ないしは塗膜に
含まれる絹粉の粒径が6μmよりも微細であることか
ら、これらのフィルム、シート、皮膜ないしは塗膜を薄
く形成することが可能とされた。特にフィルムないしは
皮膜としては0.006mmの厚さのものが、又塗膜としては
0.002mmの厚さのものが作られ、そのいずれにおいても
形成されたフィルム、皮膜あるいは塗膜の面から混入絹
粉が浮き出したり、突き出したりすることがなく、肌触
りが良好で絹素材様の滑らかな面とされた。
含まれる絹粉の粒径が6μmよりも微細であることか
ら、これらのフィルム、シート、皮膜ないしは塗膜を薄
く形成することが可能とされた。特にフィルムないしは
皮膜としては0.006mmの厚さのものが、又塗膜としては
0.002mmの厚さのものが作られ、そのいずれにおいても
形成されたフィルム、皮膜あるいは塗膜の面から混入絹
粉が浮き出したり、突き出したりすることがなく、肌触
りが良好で絹素材様の滑らかな面とされた。
又、形成されるフィルム、皮膜あるいは塗膜の面に絹
粉が均一に露呈していることから、これらのフィルム、
皮膜あるいは塗膜の面に吸着性が効果的にもたらされ、
良好な肌触り感がもたらされる。
粉が均一に露呈していることから、これらのフィルム、
皮膜あるいは塗膜の面に吸着性が効果的にもたらされ、
良好な肌触り感がもたらされる。
更に、形成されるフィルム、皮膜あるいは塗膜の面か
ら絹素材の一部を溶出させた場合、これらのフィルム、
皮膜あるいは塗膜の面に数ミクロンの微少な孔が無数に
設けられることゝなり、形成されるフィルム等の面に特
有の吸放湿機能、特に耐水透湿機能がもたらされる特長
を有している。又、叙上で形成されたフィルム、皮膜あ
るいは塗膜の面にサンディング処理を施した場合、フィ
ルム等に含まれている絹粉の有する吸湿機能、耐水透湿
機能と、良好な肌触り感及び絹様の風合いが更に助長さ
れる。
ら絹素材の一部を溶出させた場合、これらのフィルム、
皮膜あるいは塗膜の面に数ミクロンの微少な孔が無数に
設けられることゝなり、形成されるフィルム等の面に特
有の吸放湿機能、特に耐水透湿機能がもたらされる特長
を有している。又、叙上で形成されたフィルム、皮膜あ
るいは塗膜の面にサンディング処理を施した場合、フィ
ルム等に含まれている絹粉の有する吸湿機能、耐水透湿
機能と、良好な肌触り感及び絹様の風合いが更に助長さ
れる。
本発明に係る絹の粉砕方法と、この粉砕方法によって
得られる絹粉を用いたフィルム、皮膜並びに塗料は叙上
における特長ある内容から絹様の表装材として各種の衣
料品、家具あるいは鞄等の身の回り用品ないしは自動車
の内装材等として用いられる他、静電気を帯びない特性
をいかして各種の電子機器と、これらのオペレーター用
キーボード等として用いられる。
得られる絹粉を用いたフィルム、皮膜並びに塗料は叙上
における特長ある内容から絹様の表装材として各種の衣
料品、家具あるいは鞄等の身の回り用品ないしは自動車
の内装材等として用いられる他、静電気を帯びない特性
をいかして各種の電子機器と、これらのオペレーター用
キーボード等として用いられる。
又、叙上の絹粉を有するフィルム及び皮膜並びに塗料
は、絹粉を含まない通例のフィルムの成形方法あるいは
皮膜の形成方法ないしは塗膜の形成方法と同一の方法な
いしは手法で作り出したり、用いたりすることができ、
日常身の回りにある全ての商品、特に衣料品類の成形な
いしは表面化粧材等の手段として用いることができる。
は、絹粉を含まない通例のフィルムの成形方法あるいは
皮膜の形成方法ないしは塗膜の形成方法と同一の方法な
いしは手法で作り出したり、用いたりすることができ、
日常身の回りにある全ての商品、特に衣料品類の成形な
いしは表面化粧材等の手段として用いることができる。
Claims (2)
- 【請求項1】粉又は粒又は短繊維状をなす絹素材がジメ
チルフォルムアミド、トルエン等の溶剤を媒体とした湿
式粉砕により粉砕され、この粉砕絹粉が6ミクロンより
も微細な粒径とされていることを特徴とする絹の粉砕方
法。 - 【請求項2】分級されて50ミクロン未満の粒径の粉又は
粒又は短繊維状の絹素材が全重量の少なくとも90重量%
以上とされ、且つ該分級絹粉又は粒又は短繊維がジメチ
ルフォルムアミド、トルエン等の溶剤を媒体とした湿式
粉砕により粉砕され、この粉砕絹粉が6ミクロンよりも
微細な粒径とされていることを特徴とする絹の粉砕方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12302488A JP2599287B2 (ja) | 1988-05-21 | 1988-05-21 | 絹の粉砕方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12302488A JP2599287B2 (ja) | 1988-05-21 | 1988-05-21 | 絹の粉砕方法 |
Related Child Applications (3)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8220742A Division JPH09118846A (ja) | 1996-08-05 | 1996-08-05 | 樹脂皮膜 |
JP22073696A Division JP2673880B2 (ja) | 1996-08-05 | 1996-08-05 | 樹脂フィルム |
JP8220772A Division JPH09118847A (ja) | 1996-08-05 | 1996-08-05 | 塗 料 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01293142A JPH01293142A (ja) | 1989-11-27 |
JP2599287B2 true JP2599287B2 (ja) | 1997-04-09 |
Family
ID=14850332
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP12302488A Expired - Lifetime JP2599287B2 (ja) | 1988-05-21 | 1988-05-21 | 絹の粉砕方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2599287B2 (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2832010B2 (ja) * | 1988-08-19 | 1998-12-02 | 出光石油化学株式会社 | シルク含有成形品の製造方法 |
JP2601779B2 (ja) * | 1991-05-13 | 1997-04-16 | 鐘紡株式会社 | 微粉体状改質シルクパウダー水分散液の製造法及び微粉体状改質シルクパウダーの製造法 |
KR100351260B1 (ko) * | 1993-05-24 | 2002-11-08 | 이데미쓰세끼유가가꾸가부시끼가이샤 | 천연유기물미분말함유물 |
JP4570188B2 (ja) * | 1999-11-24 | 2010-10-27 | 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 | 絹繊維を微粉末化及び水溶化する方法 |
KR20040036032A (ko) * | 2002-10-23 | 2004-04-30 | 김진국 | 합성 고분자재질의 코팅방법 및 그 코팅방법에 의하여표면이 코팅된 합성 고분자재질을 포함하는 제품 |
JP6656010B2 (ja) * | 2016-02-12 | 2020-03-04 | 株式会社豊和堂シルクテック | 繊維状タンパク質スラリー及びその製造方法 |
-
1988
- 1988-05-21 JP JP12302488A patent/JP2599287B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH01293142A (ja) | 1989-11-27 |
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