JP2673880B2 - 樹脂フィルム - Google Patents

樹脂フィルム

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JP2673880B2
JP2673880B2 JP22073696A JP22073696A JP2673880B2 JP 2673880 B2 JP2673880 B2 JP 2673880B2 JP 22073696 A JP22073696 A JP 22073696A JP 22073696 A JP22073696 A JP 22073696A JP 2673880 B2 JP2673880 B2 JP 2673880B2
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貞夫 西堀
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は粉砕された絹粉を
用いて形成される絹生地様の樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】通例天然の絹繊維は、しなやかで肌触り
が良く、しかも適度の吸湿性を備えており、光沢、風合
いに優れていると共に強伸度並びに耐衝撃性に優れてお
り、各種の繊維製品あるいは糸等として多方面に亘って
使用されてきている。
【0003】かゝる絹繊維の有する特性は、この絹繊維
に含まれているセリシンが溶解除去されて、グリシン、
アラニン、セリン、チロシン等のアミノ酸残基が直鎖状
に連結したフィブロイン分子で構成されていることに由
来するものであり古来から重要な衣服等の素材とされて
きている。
【0004】又、この種の天然の絹繊維は染色性に優れ
ていることからミリング染色による染色に際しても沸騰
させる必要がなく、80〜90℃で染料が絹に吸尽され、染
色中の損傷が少ないことから、各種の色調の染色が可能
であり、特に鮮かな色彩で、しかも極薄状の織編布に用
いられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら従前にお
ける絹素材は、絹繊維として糸又は織編生地として用い
られる以外に他の用途に向けられて用いられることが少
なかった。
【0006】そして、この糸あるいは織編布とされた絹
繊維は摩耗に弱く、又太陽光線で容易に褪色する不都合
を有しており、水濡れ時の保形力にも難があった。
【0007】又、絹素材を糸あるいは繊維として使用す
る場合には良質の連続した絹フィブロインを取り出す必
要があり、用意された繭繊維の全部を効果的に用いるこ
とができなかった。
【0008】本発明は、このように天然に存在している
絹素材を微粉状に粉砕して、これをフィルムの成形用樹
脂に配合することによって天然の絹素材に近い特性をこ
のフィルムにもたらそうとするものであり、天然の絹繊
維の欠点とされていたところの劣悪な耐摩耗性を補うと
共に、耐水、耐湿特性を向上させ、更に褪色の不都合を
無くしたものである。更に繊維以外のフィルムを絹状の
ものとすることによって、絹素材の新たな使用展開を試
みたものである。
【0009】しかしながら、かゝる絹素材を粉砕して樹
脂フィルム中に含ませ絹様の表面特性を有するフィルム
を形成するためには絹素材を微粉状に粉砕する必要があ
り、かゝる粉砕絹粉の粒径の大きい場合、この粉砕絹粉
を混配合してなるフィルムの面が荒れ出し、ザラつき感
を生ずる不都合があった。
【0010】そこで、絹素材を種々の方法で粉砕して微
粉状の絹粉を形成することが試みられ、主として機械的
な剪断による粉砕と乾式ボールミルによる磨砕粉砕によ
り絹素材の粉砕を試みた。
【0011】この乾燥条件下での剪断粉砕と磨砕粉砕で
は絹繊維が粒状に粉砕されず、微細な繊毛部分を有する
多毛の繊維塊状とされるため、剪断粉砕あるいは磨砕粉
砕によって形成される絹粉相互が綿状に絡み合って凝集
してしまう不都合があった。
【0012】そして、このような綿状凝集は絹粉の粉砕
の過程においても生ずることから絹素材の粉砕が均一に
なされず、大き目の繊維塊状の粉砕品と、極微細な多毛
状繊維粉とが混在された状態となり、均一の粒径の絹粉
が得られない欠点を有していた。又、この絹素材の微細
化に多くの粉砕時間を要する欠点を有していた。
【0013】かゝる粉砕に伴って絹粉に生ずる繊毛は、
絹素材の粉砕が長時間に及ぶにつれて、より多く生ずる
傾向を示し、又粉砕された絹素材が微細になればなる
程、この粉砕された絹粉に多毛様の繊毛が生ずる傾向を
示している。
【0014】この結果、絹素材を剪断粉砕あるい磨砕粉
砕によって極微細な絹粉を得ようとした場合、粉砕形成
された絹粉相互が綿状に絡み合って、フィルム形成用の
樹脂中に、これらの粉砕絹粉を混配合した場合、樹脂中
に混配合した粉砕絹粉が均一に分散されない欠点を有し
ていた。
【0015】又、粉砕された絹粉が綿状に絡み合って、
より大きな固まりとなる現象は、これらの絹粉を成形用
の樹脂と混配合して用いる場合に限らず、絹粉の成形工
程においても、又、絹粉の保管過程においても生ずる。
このことから、成形用の樹脂との混配合に際して、これ
らの混配合絹粉の綿状凝集を防止するだけでは、樹脂中
に均一に粉砕絹粉が分散されない欠点を有していた。
【0016】更に、叙上手法による剪断ないしは磨砕で
は、粉砕時に多量の摩擦ないしは衝撃に伴う熱を生じ、
この粉砕に伴う熱によって粉砕絹粉のフィブロインが変
質したり、変色したりすることがあり、特に粉砕絹粉が
磨砕装置の内壁面あるいは磨砕用のボールの面に融着あ
るいは結着する不都合があった。
【0017】そこで、粉又は粒又は短繊維状をなす絹素
材を液状ポリマーあるいは各種の溶剤で希釈した樹脂溶
液に混配合し、この粉又は粒又は短繊維状の絹素材の混
配合された液状ポリマーあるいは樹脂溶液を湿式粉砕機
に投入して粉砕することを試みた。
【0018】かゝる湿式粉砕の方法では、液状ポリマー
あるいは樹脂溶液の流動抵抗が大きく、撹拌粉砕が円滑
になされないと共に、混配合した絹素材がポリマー中に
均一に分散されない欠点を有していた。特に、この種の
液状ポリマーあるいは樹脂溶液の撹拌を続行した場合、
これらのポリマーあるいは樹脂溶液の粘性が経時的に高
められる傾向にあり、湿式粉砕機による円滑な粉砕処理
が困難とされる場合が多い。そして、粉砕機の撹拌に伴
って粉砕機中の粉砕温度が上昇された場合には、かゝる
粉砕上の不都合が更に顕著に生じた。
【0019】本発明は、かゝる絹粉の粉砕を容易、確実
になし、粉砕された絹粉が相互に綿状に絡み合って凝集
することのないようになすと共に、絹粉々砕時における
粉砕熱の発生を無くし品質に変化が無く、しかも均一の
粒径からなる6ミクロン(粒が細長状である場合は、そ
の短径側で測定した粒径を意味し、以下μm と表示す
る。)よりも微細な絹粉の提供をなし、このように6μ
m よりも微細な範囲の絹粉とされ、しかも均一の粒径と
された絹粉を用いて0.02〜0.002mm の厚さからなるフィ
ルムを形成することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明に係る粉砕絹粉を
用いた樹脂フィルムは叙上の目的を達成するものとし
て、粉又は粒又は短繊維状をなす絹素材を用意し、この
絹素材をジメチルフォルムアミド、トルエン等の主とし
て有機系の溶剤を媒体として湿式粉砕のされた6μm よ
りも微細な範囲に属する絹粉を樹脂フィルムに含ませる
ものであり、粉砕された絹粉を、この粉砕に用いた湿式
媒体としての溶剤と共に樹脂素材に配合し、主として0.
02〜0.006 mmの厚さからなるフィルムを作り出すもので
ある。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の典型的な一実施の
形態にかかる樹脂フィルムについて説明する。
【0022】先ず、通例、繭を湯で煮込んでセリシンを
柔かくした状態でフィブロイン繊維を適宜の大きさに切
断する。又は、繭を加熱、乾燥して内部のさなぎを取除
いた状態で繭そのものを粉砕して適宜の粉、粒又は短繊
維とする。更に、石鹸液で精練してセリシンを溶解除去
した後にフィブロイン繊維を粉砕して適宜の大きさから
なる絹素材を用意する。
【0023】この絹素材を5重量%前後の含水率となる
まで乾燥して粉砕媒体としての溶剤に投入する。
【0024】この絹素材の乾燥は、乾燥の度合いが高い
程以下の粉砕が容易となり、しかも樹脂等に配合した場
合に、これらの樹脂溶液中に円滑且つ均一に分散される
特長を有しており、更に成形されるフィルムに発生水蒸
気によるピンホール等を生ずることがない特長を有して
いる。
【0025】かゝる絹素材をジメチルフォルムアミド、
トルエン等の溶剤と共に湿式ボールミル等の湿式粉砕機
に投入し、この溶剤によって絹素材相互が接触されない
状態で粉砕する。この湿式ボールミル等の粉砕機による
粉砕は粉砕絹粉の粒径が6μm よりも微細な範囲となる
まで続けられる。又、この湿式粉砕機により粉砕される
絹粉の粒径を均一とし、しかも短時間に粉砕絹粉を目的
とする粒径にまで粉砕するためには、湿式粉砕機に投入
する絹素材を分級し、粉又は粒又は短繊維状の絹粉が50
μm よりも細かい範囲に属している微細絹粉を絹粉全量
の90重量%以上となるように篩又は風量分級機で分級し
ておくのが良い。
【0026】尚、叙上において用いられる溶剤は有機溶
剤を典型例とするものであり、この粉砕絹粉を混入使用
する樹脂溶液等の樹脂素材に適応する溶剤が用いられ
る。そして、この溶剤は蛋白質を主成分とする絹粉が不
溶であることを要し、典型的にはジメチルフォルムアミ
ド、トルエン、メチルエチルケトン等が用いられる他メ
タノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、ベ
ンジルアルコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサン、テトラ
ヒドロフラン、ジオキサン、キシロール、2・ニトロプ
ロパン、二塩化エタン、トリクロ−ルエチレン、パ−ク
ロ−ルエチレン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ
等が用いられている。
【0027】かゝる溶剤は絹素材が不溶のものであるこ
とから、これに絹粉を混入しても絹粉が膨潤したり、溶
けだしたりすることがなく、又絹粉中の水分等が溶剤に
吸収されて絹粉が硬化したりすることがなく、絹素材の
粉砕過程のいずれにおいても、溶剤に混入したときと同
様の状態が絹素材に約束される特長を有している。
【0028】このような溶剤を湿式媒体として粒又は粉
又は短繊維状の絹素材を粉砕機に投入して粉砕処理を施
す。
【0029】この粉砕装置は粉又は粒又は短繊維状物の
湿式粉砕に適するものであれば、いかなる装置であって
も良く、主として各種のボ−ルミルの中で湿式粉砕に適
するものが用いられる。
【0030】又、この粉砕機による粉砕は、投入された
粒又は粉又は短繊維状の絹粉の粒径が6μm よりも微細
なものとなるまで続行される。従って、この粉砕機によ
る粉砕時間等の粉砕条件は、粉砕機の容量と、この粉砕
機で用いられるボールの径及び投入量と、この粉砕機に
投入される絹素材の種別及び投入量と、使用溶剤の種別
及び投入量と、粉砕機の撹拌速度並びに粉砕温度等の諸
条件によって随時変更されるが、極力粉砕中の溶剤温度
が上昇されない範囲で絹粉の粉砕をなすことが、粉砕絹
粉の品質の劣化をもたらさないために必要である。
【0031】又、叙上の粉砕機による粉砕をより効果的
になすために、粉砕される絹素材に対し予備粉砕を施
し、これを真比重による風量分級又は嵩による篩分級に
よって、その粒径を略50μm よりも細かい範囲に揃える
ものであり、通例ターボミル等の乾式粉砕機による粉砕
により用意する。
【0032】このように、絹素材が不溶であるところの
溶剤を粉砕媒体とした湿式粉砕では、粉砕中の絹素材が
溶剤によって溶け出したり、膨潤したり、あるいは硬く
なったりすることが無く、しかも外気と遮断された状態
で粉砕されることから、粉砕中における絹素材の吸放湿
現象が無い特長を有している。この結果、絹素材の粉砕
の過程において絹素材の含水率が高められて相互に融着
し合ったり、柔らかくなって磨砕あるいは衝撃粉砕に適
しなくなったりすることがなく、粉砕形成された絹粉が
繊毛状の枝毛を有せず粒状に粉砕される特長を有してい
る。又、絹素材の粉砕の過程において絹素材の含水率が
低められて親水性を阻害されるまで品質が劣化されるこ
ともない。このようにして粉砕された絹粉を、粉砕時の
溶剤と共に樹脂の成形用に用いる。
【0033】例1 繭から繰り出した絹フィブロインを5重量%の含水率ま
で乾燥し、この状態でターボミルにより粉砕し、これを
分級して以下の絹素材を用意した。この絹素材の含有水
分は5重量%であったが、実際の絹素材の粉砕では3〜
10重量%の範囲にある含水率の絹素材の使用が可能であ
った。
【0034】前記の絹粉をジメチルフォルムアミド100
重量部に対し25重量部の割合で粉砕機に投入した。この
粉砕機に対し3mm径のアルミナ系ボールを体積比で70
%、絹粉を含む溶剤を体積比25%投入して90分間撹拌し
たところ以下の粒径からなる絹粉とすることができた。
【0035】例2 前記のタ−ボミルで粉砕した粒又は粉又は短繊維状の絹
素材をジリコニア系の3mm径のボ−ルを充填した粉砕機
で以下の条件で粉砕したところ、120分〜180分で
粉砕絹粉の粒径が6μm 以下となった。 トルエン100 重量部に絹粉40重量部を配合した配合液50
%(体積比) 3mm径のジリコニア系ボ−ル50%(体積比)
【0036】尚、溶剤に配合される絹粉の量は、溶剤の
性状、特に溶剤の有する粘性の度合いにより夫々適量が
あり、ジメチルフォルムアミドはトルエンに比して粘性
が高いことから、絹粉の配合量をトルエンよりも少なく
する必要がある。又、粉砕機に投入される絹素材及び溶
剤の量を増した場合、その増量相当分前記の6μm の絹
粉とするのに多くの粉砕時間を必要としている。尚、粉
砕機に投入されるボールの径を大きくしたところ粉砕時
間の短縮化がはかられたものゝ、径の大きい絹粉及び繊
毛部分を有する絹粉が残溜される傾向があり、必要以上
に大きい径のボールの使用では均一の粒径の絹粉を得る
ことができなかった。又、前記例1のように事前に粉又
は粒又は短繊維状の絹素材の粒径を揃えることなしにジ
メチルフォルムアミドを用いて湿式ボールミルで絹素材
の粉砕をなしたところ、粒径を揃えた絹素材の利用に比
し略30分程粉砕時間を長目にする必要があった。尚、こ
の方法でも6μm よりも微細で均一の絹粉を作り出すこ
とができた。
【0037】叙上の方法で粉砕された絹粉は、その粉砕
の過程並びに作り出された絹粉に以下の特長が認められ
た。先ず、粉砕機に投入された粒又は粉又は短繊維状の
絹素材は、この絹素材が不溶とされるところの、主とし
て有機系の溶剤中に取りこまれ、絹素材相互が、この溶
剤により包みこまれた状態で粉砕されるため、絹素材相
互が融着し合うことがなく多毛状の破断繊毛を生ずるこ
となく粉砕され、又ボールないしは粉砕機の面に融着す
ることがない。特に、ボールの磨砕ないしは衝撃に伴っ
て生ずる熱が、この溶剤により分散されて直接絹素材に
伝達されないことから、熱による絹素材の変質ないしは
絹粉相互の溶融着を生ずる虞れがない。又、絹粉が溶剤
によって覆われた状態で粉砕されていることから、この
絹粉の粉砕過程において、絹素材が湿気を帯びて膨潤な
いしは、この粉砕過程での水分の蒸散加熱に伴う硬化現
象を生ずることがなく、溶剤に混合された絹素材が溶剤
に混入時の含水率を含み、絹素材特有の膨潤機能あるい
は親水性と特有の強伸性等の特性を損なうことがない。
又、絹素材の粉砕過程において絹素材が湿気を帯び、し
かも加熱に伴って強伸性を帯びることによって粉砕が困
難とされることもなく、均一の粒径からなる微細な絹粉
を確実且つ容易に作り出すことができる。
【0038】更に、粉砕されて得られた絹粉は、叙上の
粉砕方法による場合では、その粒径がいずれも6μm よ
りも微細なものとされ、相互に融着し合ったり、絡み合
ったりしていない特長を有しており、しかも粉砕に用い
た溶剤中に均一に分散され、概ね絹粉が懸濁様に溶剤中
に分散されている特長を有している。そして、これらの
溶剤中の絹粉は一個一個が夫々に独立の状態で溶剤中に
浮遊していおり、外気から遮断されている。このことか
ら粉砕された絹粉の管理が容易とされ、粉砕後に絹粉が
湿気を帯びたり、硬化したり、あるいは相互に融着し合
ったりすることがない。
【0039】尚、前記の絹素材の粉砕に先立って、絹素
材を蒸気で加熱して、セリシンを充分に除去し、しかも
フィブロインに充分な膨潤加熱を施すことによってフィ
ブロイン組織の収縮をはかり、更に、この膨潤加熱の施
されたフィブロインを、その含有水分が3重量%未満と
なるように乾燥することによりフィブロイン組織の脆弱
化をはかることがなされた。この方法で、フィブロイン
を粗粉砕して、フィブロインの粉、粒又は短繊維の径寸
法を50μm よりも細かい範囲のものに揃え、これを前記
の溶剤を媒体とした湿式粉砕の方法で粉砕した。
【0040】かゝる方法で粉砕されたフィブロインの
粉、粒又は短繊維には繊毛部分がなく、これらを溶剤を
媒体として粉砕したところ粉砕絹粉が略“粒”状となっ
た。又、かゝる方法で溶剤を媒体としてフィブロインを
粉砕した場合、この粉砕が極めて容易且つ円滑になさ
れ、粉砕効率が飛躍的に向上することが明らかとなっ
た。更に、かゝる方法でフィブロインを粉砕したとこ
ろ、その粉砕絹粉の粒径が6μm よりも更に細かい範囲
のものとされた。
【0041】このようにして6μm よりも細かく粉砕さ
れた絹粉を、この絹粉の粉砕に用いた溶液と共に成形用
の樹脂に配合する。この配合の方法と配合の量は、成形
される樹脂フィルムの特性に合せて適宜決定される。
尚、絹粉を有する溶剤の配合される樹脂は、この溶剤の
配合によって作り出される成形用の樹脂溶液の樹脂であ
って、通例は成形される樹脂フィルムの樹脂素材に適す
る溶剤を用いて前記の絹粉の粉砕をなす。
【0042】従って、前記に湿式粉砕に用いる溶剤と樹
脂素材の選択により、各種の樹脂フィルムの成形がされ
る。又、この絹粉を含む溶剤に配合される樹脂は、ペ−
スト状であっても粉体状ないしは液状であっても良く、
この溶剤の配合量を調節することによってペ−スト状な
いしは粘性の高い溶液状又は粘性の低い希釈溶液状とさ
れる。
【0043】このようにして6μm よりも細かい絹粉を
有する溶剤の配合された樹脂を用いてフィルムを作り出
す。このフィルムを作り出す方法はインフレ−ション成
形等適宜の方法が用いられる他、離型紙の表面にコ−テ
ィングした後に、この離型紙を剥ぎとってフィルムを作
る方法等がある。更に、このフィルムの面にサンディン
グを施したり、各種の表面処理を施す。
【0044】このようにして作り出されるフィルムは、
これらの素材中に含まれる絹粉の粒径が6μm よりも微
細な範囲に属していることから、フィルムの厚さが0.02
〜0.002mm の範囲であっても、このフィルムの面から混
入絹粉が浮き出したり、突き出したりすることがなく、
平滑で良好な肌触り感のあるフィルムとされた。又、こ
のフィルムの樹脂成形品中に含まれる絹粉の組成分の一
部を溶出することにより、このフィルムの面に数ミクロ
ンよりも微細な多数の孔を設けることができる。
【0045】このように2〜3μm よりも微細な孔をフ
ィルムの面に設けることによって、このフィルムに通気
性がもたらされることゝなり、特にこのフィルムにもた
らされる通気性は、0.0004μm 前後の粒径からなる水蒸
気を通し、水滴を通さない特長を有していることから耐
水、透湿機能をフィルムにもたらすものである。従っ
て、各種の布地、皮革あるいは木製品等の表面に前記の
絹粉を含む0.02〜0.002 mm厚さからなるフィルムを貼り
合せて、このフィルム中の絹粉成分の一部を溶出した場
合、このフィルム中の絹粉と溶出された孔とによってこ
れらの布地、皮革あるいは木製品等に特有の耐水性と透
湿性とがもたらされることゝなる。因みに、通例の雨滴
の径は2000μm であり、微細な霖雨においても100 μm
であって、このフィルムに設けられた微細な孔を通過す
ることがない。又、このフィルム面等に付着した雨滴も
表面張力の関係から前記の微細な孔を通して滲潤するこ
とがない。
【0046】例3 前記6μm よりも細かい範囲の絹粉を含む溶剤を用いて
ポリウレタン樹脂フィルムを作り、このフィルムを織編
布の面に転写した。 6μm よりも微細な絹粉 15重量部 トルエン 70重量部 ポリウレタン樹脂固形分 30重量部 この樹脂溶液を離型紙の面にドクタ−ナイフコ−ティン
グ法により0.008mm の厚さで塗着し、これを乾燥した後
に該離型紙より剥ぎとって厚さ0.008mm のフィルムを作
った。
【0047】又、このフィルムを引き剥すことなく1.5m
m 厚の不織布の面に接着しながら前記離型紙を剥ぎとっ
て不織布の面にフィルムスキン層を作り出した。そし
て、この不織布を60℃の温水中に漬け込んで15分間湯洗
いしたところフィルム中に含まれている絹粉の一部が溶
出し、柔かい感触のフィルム面とされた。尚、前記の絹
粉の混入量を3重量部〜30重量部の間で各5重量部づつ
増しながらフィルムを作ったところ、前記例3の割合で
絹粉を3重量部としたところ作り出されたフィルム面の
光沢が良好で、充分な耐摩性を有している反面、接触時
のベタつき感があった。又、35重量部の絹粉を配合した
フィルム面は絹特有の滑らかな接触抵抗と良好な光沢及
び風合いがある反面、耐摩耗性に難があり、フィルム面
に強い力が作用した場合に、このフィルム面にシワよれ
を生じ、又前記のフィルムをラミネ−トした製品では、
表面がヨレた状態で下地の生地面が一部露出することが
あった。従って、前記の絹粉の配合量は3〜30重量部が
最適である。しかしながら、フィルムの成形樹脂の種
別、使用溶剤の配合量及び成形条件等によって前記の絹
粉の配合量を更に変更することもできる。
【0048】例4 トルエン 70重量部 6μm よりも微細な絹粉 15重量部 ポリ塩化ビニル樹脂 30重量部 この例4で作り出された塩ビフィルムでは光沢と絹特有
の風合があり、しかも柔軟性が増し、通例の塩ビフィル
ムに比し良好な肌触り感があり伸縮性が著しく増すと共
に吸湿機能がもたらされた。
【0049】例5 トルエン 70重量部 6μm よりも微細な絹粉 15重量部 アクリル樹脂 30重量部 この例5の配合比率で作り出されたフィルムは例4のフ
ィルムに比して耐候性に優れており、耐摩耗性が良好で
あるにも拘らず接触時のベタつき感がない特長を有し、
フィルム面の光沢も良好であった。
【0050】例6 トルエン 70重量部 6μm よりも微細な絹粉 15重量部 ポリ塩化ビニル樹脂 15重量部 アクリル樹脂 15重量部 この例6の配合比率で作り出されたフィルムは前記例5
のフィルムに比し耐摩耗性に劣る傾向を示したが肌触り
と風合とが良く、ラミネート時の接着性が良好であっ
た。
【0051】例7 ウレタン樹脂100 重量部中に絹粉40重量部を含む溶剤を
配合して得られた混合液を離型紙上にコーティングし、
乾燥後得られた0.006mm の厚さのフィルムを織物基材に
転写して張り合せた。このようにして作り出された織物
の表面はベトつき感がなく、感触にも優れ絹特有の風合
を有していた。
【0052】例8 離型紙上に絹粉を含む一液型ウレタン樹脂(絹粉含有の
メチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分30重量%の
混合液)をコンマロールで塗布、乾燥し、更に、このコ
ーティング層の上に、絹粉を含む二液型ウレタン樹脂
(絹粉含有のメチルエチルケトンを溶剤とした不揮発分
50重量%の混合液)を塗布、乾燥して積層皮膜を作
り、この積層皮膜を離型紙から引き剥すようにして不織
布の面にラミネート接着した。このラミネートフィルム
の面を有する不織布の表面のベトつき感はなく、又絹粉
を含まないラミネート接着と同様の接着強度が得られ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明では、絹粉が溶剤によって夫々に
分離された状態で粉砕されることから、絹粉相互が直接
々触して融着し合うことがなく、粉砕に伴って絹粉に多
毛状の繊毛を生ずることがない。このことから絹素材の
粉砕が容易になされ、しかも粉砕粉が粒状とされた。
【0054】又、絹粉の粉砕に際して磨砕あるいは衝撃
粉砕に伴う熱の発生が無く、熱変化に伴う絹粉相互の融
着あるいは品質劣化の不都合を生ずることがない。
【0055】更に、溶剤で覆われた状態で絹が粉砕され
ることから、粉砕の過程において絹粉が乾燥したり、膨
潤したりすることがない。このことから絹粉の乾燥に伴
う親水性の阻害が無く、又膨潤に伴って絹粉が粘性を帯
びて粉砕が阻害される不都合もない。これらのことから
粒径が6μm よりも微細な範囲に属する絹粉を確実に、
しかも短時間で効率良く作り出すことができた。
【0056】更に、この微細な粒状に粉砕された絹粉が
溶剤中に懸濁状に分散されていることからこれらの絹粉
が綿状に絡み合うことが無く、フィルムの成形樹脂との
配合が円滑、容易とされ、これらの樹脂混合液中に絹粉
が均一に分散される特長を有している。従って、叙上の
6μm よりも微細な範囲に属する絹粉を含む樹脂混合液
を用いてフィルムを形成した場合、このフィルム中に絹
粉が均一に分散された状態で、このフィルムが形成され
る。このことから、このフィルムに絹特有の吸放湿性、
光沢及び風合と適度の接触抵抗、及び強伸性がもたらさ
れると共に静電気の帯電が防止される特長を有してい
る。
【0057】又、このフィルムに含まれる絹粉の粒径が
6μm よりも微細であることから、このフィルムを薄く
形成することが可能とされた。特にフィルムとしては0.
006mm の厚さのものが作られ、形成されたフィルムの面
から混入絹粉が浮き出したり、突き出したりすることが
なく、肌触りが良好で絹素材様の滑らかな面とされた。
【0058】又、形成されるフィルムの面に絹粉が均一
に露呈していることから、このフィルムの面に吸着性が
効果的にもたらされ、良好な肌触り感がもたらされる。
更に、形成されるフィルムの面から絹素材の一部を溶出
させた場合、このフィルムの面に数ミクロンの微少な孔
が無数に設けられることゝなり、形成されるフィルムの
面に特有の吸放湿機能、特に耐水透湿機能がもたらされ
る特長を有している。
【0059】又、叙上で形成されたフィルムの面にサン
ディング処理を施した場合、フィルムに含まれている絹
粉の有する吸湿機能、耐水透湿機能と、良好な肌触り感
及び絹様の風合いが更に助長される。
【0060】本発明に係る絹粉を用いたフィルムは叙上
における特長ある内容から絹様の表装材として各種の衣
料品、家具あるいは鞄等の身の回り用品ないしは自動車
の内装材等に用いられる他、静電気を帯びない特性をい
かして各種の電子機器と、これらのオペレーター用のキ
ーボード等の表面材として用いられる。又、叙上の絹粉
を有するフィルムは、絹粉を含まない通例のフィルムの
成形方法と同一の方法ないしは手法で作り出したり、用
いたりすることができ、日常身の回りにある全ての商
品、特に衣料品類の成形ないしは表面化粧材等の手段と
して用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 89:00)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粉又は粒又は短繊維状をなす絹素材がジ
    メチルフォルムアミド、トルエン等の溶剤を媒体とした
    湿式粉砕により粉砕され、この粉砕絹粉が6ミクロンよ
    りも微細な粒径とされていると共に、この溶剤に含まれ
    た粉砕絹粉が形成樹脂フィルム組成分の一部とされてい
    ることを特徴とする樹脂フィルム。
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