JP2935705B2 - 粒状皮革粉及びその製造方法 - Google Patents

粒状皮革粉及びその製造方法

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JP2935705B2 JP5843788A JP5843788A JP2935705B2 JP 2935705 B2 JP2935705 B2 JP 2935705B2 JP 5843788 A JP5843788 A JP 5843788A JP 5843788 A JP5843788 A JP 5843788A JP 2935705 B2 JP2935705 B2 JP 2935705B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は樹脂に混合使用される皮革粉ないしは樹脂
と共に使用される皮革粉の改良と、改良された皮革粉の
製造方法に関し、より詳細には粒状をなす微細な皮革粉
と、この微細な粒状皮革粉の製造方法の提供に関する。
(従来の技術) 天然の皮革(皮とは鞣し以前のもの、革とは鞣し処理
のされたものを称する。以下同じ。)は古くより衣料あ
るいは各種の身の回りの生活用品として重宝されてきて
いる。
それは天然の皮革が優れた保温機能とべとつき感のな
い優れた肌触り感を有すると共に柔軟性、強靱性にも優
れ、さらにファッション性を有している点に由来してい
る。
しかしながら天然の皮革は供給に限界があり、しかも
鞣し処理等に手間がかゝることから必然的に高価であっ
た。又個々の個体により形状や大きさが異なるため衣料
品等を作る際に特殊な技術が必要とされ、しかも裁断屑
等の無駄が多く出る不都合を有していた。
そこで近時、各種合成皮革あるいは人工皮革が天然の
皮革の代用品として開発されている。
その一つは、織布ないしは編布をベースとして塩化ビ
ニル、ポリアミド、ポリウレタン等の発泡体で作られた
スポンジレザーの表面を変性ポリアミド、ポリウレタ
ン、ポリアクリル酸誘導体で処理した合成皮革である。
又他の一つは、蓮根型中空繊維、微細繊維、集束型繊
維等の特殊繊維の三次元繊維絡合体とエラストマー(ポ
リウレタン)を主体とするバインダーの多孔構造体から
なる人工皮革である。
これらの合成皮革あるいは人工皮革は、天然の皮革に
近似した特性を有しており、優れた通気性、通湿性、撥
水性と共に優れた保温機能を有している。
しかしながら、これらの合成皮革あるいは人工皮革
は、あくまでも毛細管現象による吸水機能を有するにと
ゞまり、組織の膨潤に伴う吸水機能を有していない。
又、この組織の膨潤に伴って組織間の間隙量が調節さ
れ、通気性をコントロールする天然皮革特有の機能を有
していない。
そこで、天然の皮革を粉状に粉砕して、この粉状の天
然皮革自体を合成樹脂と共に成形したり、合成樹脂をバ
インダーとしてシート状とすることが試みられてきた。
この天然の皮革自体を粉状にし、合成樹脂素材と共に
成形する利点は数多く上げることができる。
その一つは、成形された製品が天然の皮革自体を有し
ていることから、混入された皮革粉の膨潤に伴う吸水、
吸湿機能を有している点であり、べたつき感のない良好
な肌触り感のある成形製品の提供をなすことができた。
その二つは、天然の皮革粉が成形製品中に含まれてい
ることにより、樹脂成形品と異なるシッとりした接触抵
抗を有する成形製品の提供をなすことができた。
その三つは、天然の皮革粉が成形製品中に含まれてい
ることにより通例、合成樹脂成形品において生ずる静電
気の帯電が無くなり、この静電気の帯電に伴う塵芥の付
着及びこの静電気の放電に伴う不快感の発生の無い成形
製品の提供をなすことができた。
更に天然の皮革粉を成形製品中に含ませることにより
樹脂成形品の耐寒特性が高められることが実験上明らか
にされている。
かゝる天然の皮革を粉状として合成樹脂等の樹脂中に
含ませ、あるいは樹脂と共に使用する場合、この樹脂の
配合され、あるいは樹脂に添加される皮革粉が微細であ
ればある程叙上の諸特性が樹脂の成形製品にもたらされ
ることが明らかとされた。
そこで、天然の皮革に対し以下に述べる機械的な方法
による破断、粉砕をなして、微細粉状の皮革粉を作り出
し、これを合成樹脂等の樹脂に混入して使用し、あるい
は樹脂に添加して使用していた。
第11図〜第13図の図面代用写真は、かゝる従来の皮革
粉を電子顕微鏡を用いて拡大撮影したものであり、第11
図と第13図の図面代用写真は100倍で第12図の代用写真
は101倍の倍率で撮影した後夫々1.6倍に引き伸ばしてあ
る。
この第11図〜第13図の図面代用写真で示されている皮
革粉は、クロム鞣し処理の施された革を30mm前後に切断
し、その含有水分が3重量%未満(ウェットベース、以
下同じ)となるように乾燥し、これをハンマータイプの
粉砕機を用いて粉砕したものである。このハンマータイ
プの粉砕機による粉砕は衝撃剪断を主たる内容としてお
り、次の条件でなされた。
ハンマータイプ粉砕機回転数3800(r.p.m.) 篩のスクリーン 32メッシュ 投入材料 0.2kg 処理時間 0′27″(27秒) 製品量 0.025Kg 上記の条件による粉砕により次の粒度分布(重量%)
からなる革粉が作られた。
(本明細書で測定値として表示されている皮革粒の粒径
は、測定される皮革粉が細長状の場合でも短径側を測定
基準としている。又、32メッシュ篩下の皮革粉とは、32
メッシュの篩を通過した粒径の皮革粉を、48メッシュ篩
上の皮革粉とは48メッシュの篩の上に残った皮革粉を言
う。尚、メッシュとミクロン(μm)の関係は、略30メ
ッシュ≒500μm、50メッシュ≒300μm、60メッシュ≒
250μm、70メッシュ≒212μm、100メッシュ≒150μ
m、140メッシュ≒106μm、200メッシュ≒75μmとし
て以下説明する。) 更に叙上のハンマータイプの粉砕機による鞣し革材の
粉砕に際し、鞣し革材の含有水分量を1.9〜2.4重量%と
することにより第14図の写真で示される皮革粉が作られ
た。(この第14図の写真は光学顕微鏡写真であり、粉砕
された革粉を100倍の倍率で撮影したものである。) かゝる従来の破断、粉砕の方法においても微細な粒径
の皮革粉を作ることができ、しかも合成樹脂等の樹脂に
混入し、あるいは樹脂に付着する等の方法で使用されて
いた。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら従前の機械的な方法による皮革の破断、
粉砕による皮革粉は、破断、粉砕に伴って粒径が微小と
なるにも拘らず、皮革粉相互が絡み合って綿状に凝集す
る不都合があった。
かゝる皮革粉相互が綿状に凝集する不都合は、いかに
皮革粉を細かく破断、粉砕しても生ずるものであり、破
断、粉砕された皮革粉が繊維状であること、及び破断、
粉砕された皮革粉が微細な繊毛部分を有していることに
その主要な原因があった。
このようにして粉砕された皮革粉が繊維状をなし、あ
るいは皮革粉が微細な繊毛部分を有していることは第11
図〜第14図の図面代用写真から確認されるとおりである
が、皮革粉の見掛け比重からも確実に把握される。即
ち、皮革粉が繊維状をなし、あるいは皮革粉が繊毛部分
を有することより個々の皮革粉自体又は皮革粉と皮革粉
との間に形成される空隙が多くなり、皮革粉の見掛け比
重が低くなる。これに反し、皮革粉が粒状をなし、皮革
粉自体において有する空隙、又は皮革粉と皮革粉との間
に形成される空隙のいずれもが少なくされる場合には皮
革粉の見掛け比重が高くなる。[(本明細書における見
掛け比重は(JIS K6721、塩化ビニル樹脂試験法に準ず
る。)ゆるみ見掛け比重(Aerated Bulk Density)であ
って、篩を振動させて皮革粉をシュートを通じて100cc
の容器に投入した後、すり切って上皿天秤で秤量し、皮
革粉の重量(g)÷100(cc)で表示する。)] 前記の従来の粉砕機を用いた破断、粉砕で作り出され
た第11図〜第13図の図面代用写真で示される革粉の見掛
け比重は0.1〜0.2g/cc(革粉の含有水分=3重量%)の
範囲にあり、第14図の図面代用写真で示されている革粉
の見掛け比重は0.087g/cc(革粉の含有水分=1.0重量
%)であった。
かゝる破断、粉砕された革粉の見掛け比重は使用皮革
の真比重に比し極めて低いものであり、破断、粉砕され
た革粉自体が多くの空隙をもっていることゝ、革粉と革
粉との間に多くの空隙が作り出されていることゝを意味
しており、革粉自体が前記の破断、粉砕によっても尚繊
維状を呈し、あるいは多くの繊毛部分を有していること
を意味している。
これらのことは従来の皮革粉を破断、粉砕する前の粗
粉砕された皮革屑の見掛け比重が0.079g/cc(皮革屑の
含有水分=1.0重量%)と、その破断、粉砕後の皮革粉
の見掛け比重と大差ない点からも裏づけられる。
第11図〜第14図の図面代用写真では微粉状に破断、粉
砕された皮革粉が60メッシュよりも粗く、特に48メッシ
ュよりも粗い皮革粉を有し、これが繊維状をなしている
と共に多数の手足状の繊毛部分を有していることを示し
ている。
かゝる従来の皮革粉は、この皮革を破断、粉砕する過
程においてかかる破断、粉砕に多くの時間を要する欠点
を有し、しかも破断、粉砕した皮革粉が綿状に絡み合っ
て凝集する不都合を有していた。又、このような皮革粉
同志の絡み合いに伴う綿状の凝集は粉砕した皮革粉の貯
蔵、移送の過程においても生じ易く、皮革粉の使用に際
して逐一この綿状に凝集した皮革粉を解きほぐす必要が
あった。
又、かゝる従来の皮革粉では合成樹脂パウダー中に均
一に分散され難く、パウダー中に綿状に凝集したり、パ
ウダーに分散されずに浮き出したりする不都合を有し、
更に液状樹脂(液体ポリマー等)、樹脂溶液ないしは樹
脂エマルションに混入した際にも皮革粉相互が攪拌に伴
って綿状に絡み合い、これらの液体中に均一に分散され
ない不都合を有していた。
叙上の第11図〜第13図の図面代用写真で示される皮革
粉30重量部を塩化ビニル樹脂(信越化学製、信越PVC TK
−1300、平均重合度1300)100重量部に配合した混合物
を用いてカレンダーロールでシート成形をしたところシ
ートの表面に凝集した皮革粉が綿状に浮き出し、シート
表面が凹凸状とされ、しかもこの綿状に凝集した皮革粉
部分がぼやけた白色状に浮き出した色合いをなす欠点を
有していた。
更に、叙上の第14図の図面代用写真で示されている皮
革粉を用いて押出し成形と、射出成形をなしたところ、
いずれもシリンダー内壁面に著しい摩耗を生じ、同時に
押出し圧、射出圧の関係からダイス及び成形型の摩耗と
一部を毀損する不都合があった。
又、このような押出し抵抗、射出抵抗が高い場合に
は、より大型の押出し装置、射出装置が必要とされると
共に成形される製品に特有の収縮歪等の歪が生じた。
更に、カレンダーロール等で成形する場合には、この
ような成形上での合成樹脂等の流動抵抗が問題とされな
い反面、混入された皮革粉が綿状から更に団子状に固ま
ることがあり、シート面の平滑さを損ってシート面を凹
凸様とし、更にこの団子状の皮革粉部分で成形樹脂生地
と縁切れを起す不都合があった。
又、塗料中に上記の皮革粉を混入して使用する場合に
も塗装皮膜中に皮革粉が綿状に凝集して偏在され、塗装
皮膜面が平滑に形成されず波打ち、あるいは引きつれ状
となる不都合があった。更に、皮革粉を混入した塗料を
吹きつけて塗装皮膜を形成する場合には、吹き付けガン
のノズルが、この綿状に凝集した皮革粉で詰める不都合
を有していた。
更に、0.1mm以内の厚味のフィルム特に0.007mm前後の
厚味のフィルムを作る場合にも同様に綿状に凝集した皮
革粉がフィルム面の凹凸を作り出すと共にフィルム生地
と皮革粉との間に縁切れを生じ、この部分からフィルム
が裂け出す不都合を有していた。
本発明は、かゝる従来技術における不都合に鑑み合成
樹脂等の樹脂に混合し易く、しかも樹脂に混合した際
に、この混合樹脂中に均一に分散される粒状皮革粉の提
供と、かゝる特性を有する粒状皮革粉の製造方法の開示
を目的としている。
(課題を解決するための手段) 上記の目的を達成すべく請求項1の発明いおいては、
40メッシュの篩を通過した粒径に揃えられ、しかもその
含有水分を5重量%未満とした状態で実質的に綿状に絡
み合うことがない粒状皮革粉として用意した。
又、請求項2の発明では、合成樹脂等の樹脂に混入使
用されたり、樹脂パウダーと共に配合使用されたり、樹
脂接着液に付着使用したりするため請求項1の発明の粒
状皮革粉に比し更に微粉状とし、その粒径が40μmより
も小さい範囲に属するものが全量の70重量%以上である
粒状皮革粉とし、しかも、その含有水分が5重量%未満
である状態で、相互に、実質的に綿状に絡み合うことの
ない粒状皮革粉として用意した。
次いで請求項3の発明は請求項1及び請求項2の発明
で示される粒状皮革粉の具体的な製造方法に関するもの
であり、先ず、処理室中に投入された皮革に対し蒸気を
送り込み、この供給蒸気をもって処理室中に皮革に膨
潤、加熱処理を施す。この皮革に対する膨潤、加熱処理
は作り出される皮革粉の見掛け比重が皮革粉の含有水分
を5重量%未満とした状態で所定の見掛け比重となるま
で施される。次いで、この加熱、膨潤された皮革を強制
乾燥し、該皮革の含有水分が5重量%未満として粉砕処
理を施し、粒状の皮革粉を作り出すものである。
(作用) 叙上の構成からなる請求項1の発明にかゝる粒状皮革
粉は、40メッシュの篩を通過した粒径で、しかも含有水
分が5重量%未満の状態で、実質的に綿状に絡み合うこ
とのない粒状皮革粉としている。このことから、この粒
状皮革粉が滑性を有し、合成樹脂等の粉体あるいは液体
に混入した場合、これらの粉体あるいは液体中に円滑
に、しかも均一に分散される。又、合成樹脂接着剤を用
いて製品の表面に前記の粒状皮革粉を付着させた場合で
も綿状に凝集することなく均一の厚味で付着皮革層が作
られる。
又、請求項2の発明にかゝる粒状皮革粉では前記請求
項1の発明にかゝる粒状皮革粉が更に微細状とされてい
ることから合成樹脂等の粉体あるいは液体に混入した場
合、これらの粉体あるいは液体中に、より円滑に、しか
もより均一に分散される。又、合成樹脂接着剤を用いて
製品の表面にこの粒状皮革粉を付着させた場合、この粒
状皮革粉が綿状に凝集せず均一の厚味でしかも極薄状に
製品の表面に付着皮革粉層を形成する。
更に、請求項3の発明においては皮革が蒸気により膨
潤状態で加熱されることにより、組織の萎縮化が進めら
れる。この萎縮化された皮革を乾燥して破断、粉砕する
ことにより破断、粉砕が容易、確実になされ、その破断
面に繊毛を生ずることがない。そして、この萎縮化に伴
って蒸気加熱前に皮革に残されていた繊毛部分が萎縮さ
れ、この萎縮された繊毛部分が皮革の破断、粉砕に伴っ
て皮革から分離し、極微粉状の粒とされる。
(実施例) 以下本発明にかゝる粒状皮革粉及びその製造方法の典
型的な一実施例を添付の図面に基づいて詳細に説明す
る。
第6図の図面代用写真で示される皮革屑は見掛け比重
0.079g/cc(含有水分=1.0重量%)の粗砕皮革屑であ
り、多くの繊毛部分を有し、しかも繊維状をなしてい
る。(第6図は蒸気加熱前の皮革屑を100倍の倍率で撮
影した光学顕微鏡写真である。) このような皮革屑を破断、粉砕し、しかも破断、粉砕
された皮革屑が非繊維状で、しかも繊毛部分を有してい
ない粒状皮革粉としたものが第1図〜第4図の図面代用
写真で示される粒状皮革粉である。
第1図の図面代用写真(101倍の倍率で撮影した電子
顕微鏡写真)で示された粒状皮革粉は40メッシュの篩で
選別し、その含有水分が5重量%未満の状態で0.38〜0.
80g/ccの見掛け比重となるようにしたもので、前記の皮
革屑における繊維状物が無くなり、しかも皮革屑にあっ
た繊毛部分も無くなっている。かゝる点は、従来の皮革
粉である第11図〜第14図の図面代用写真で示される皮革
粉の形状と比較することにより、より明確に理解するい
ことができる。
即ち、本実施例では、皮革屑の破断、粉砕によって作
り出される皮革粉が繊維状とならず、しかも繊毛部分を
有せず、より“粒”に近い形状のものとし、その見掛け
比重も高まっている。
そして、本実施例においては、前記の見掛け比重が0.
38g/ccよりも低い皮革粉では、皮革屑の破断、粉砕に多
くの時間を要し、しかも作り出された皮革粉が繊維状で
あったり、多くの繊毛部分を有しているため合成樹脂等
の樹脂中に均一に分散され難い性質を有している。
又、本実施例において、前記の見掛け比重が0.80g/cc
よりも高い皮革粉では、皮革粉が略完全な“粉”状をな
し、樹脂中に円滑に混入される特長を有する反面、かか
る皮革粉はゲル化に伴って硬くなり、吸湿性などの皮革
特有の機能を喪失し、しかもこの皮革粉は硬いために接
触時の柔かい感触が喪なわれる。
以上の点から本発明に係る粒状皮革粉の製造方法によ
り得られた粒状皮革粉においては、合成樹脂等の樹脂粉
末あるいは樹脂液等に混入使用され、あるいは樹脂系の
接着剤に付着使用される場合の見掛け比重は0.38g/ccよ
りも高く、0.80g/ccよりも低い範囲に属するものである
必要があり、多くの実施の結果0.6g/cc以下とすること
が望ましく、特に0.50g/cc以下で0.38g/cc以上であるこ
とが理想的とされた。
第2図の図面代用写真(100倍の倍率で撮影した電子
顕微鏡写真)で示される粒状皮革粉は前記の粒状皮革粉
を更に微細な範囲で揃えたものであり、40μmよりも細
かい範囲に属する皮革粉を皮革粉全量の70重量%以上含
み、しかもその見掛け比重が0.38〜0.80g/cc(含有水分
=5重量%)の粒状皮革粉を示すものである。
この見掛け比重が0.38〜0.80g/ccで、しかも40μmよ
りも細かい範囲に属するものが全量の70重量%以上有す
る粒状皮革粉では、前記の実施例に比べ更に皮革粉が
“粒”の状態とされ、繊毛部分が無くなっており、合成
樹脂等の樹脂と共にフィルム成形、ラミネートフィル
ム、塗布皮膜あるいは塗料等に用いることができ、これ
らの樹脂素材に対し均一に分散される特長を有してい
る。
尚、第3図と第4図の図面代用写真(100倍と200倍の
倍率で撮影した光学顕微鏡写真)の粒状皮革粉は蒸気加
熱の条件を変えて作られた0.38〜0.80g/cc(含有水分=
5重量%)の見掛け比重のものであり、繊維状のものが
全く無く、ほゞ完全な“粒”状とされている。従って、
この第3図と第4図の図面代用写真で示されている粒状
皮革粉は前記の実施製品よりも、更に滑性が良く、樹脂
素材との馴染みが良く、樹脂生地中に均一に満遍なく分
散される特長を有している。
次いで叙上の見掛け比重が0.38〜0.80g/ccとなる粒状
皮革粉の製造方法について説明する。
使用される皮革は、主としてタンニン、クロム等の鞣
し処理の施されたものを利用する。このような鞣し処理
の施されていない皮を利用した場合、作り出された皮革
粉は黴を生じたり品質が低下すること等の不都合がある
ため、これらの不都合が生じない用途に向けたものとし
て鞣し処理のされていない皮も成形されることがある。
そして、この皮革は50〜60重量%(ウェットベース)
の含有水分を有していることが理想的であり、この含有
水分が20〜30重量%と低い場合には、より多くの蒸気加
熱処理を施す必要があり、見掛け比重が0.38〜0.80g/cc
の粒状皮革粉を作り出すのに多くの処理時間を要し、効
率的でないことから極力皮革を50〜60重量%の含有水分
の状態として用いる。
実施例では主としてシェービング屑が用いられてお
り、これを5mm前後の大きさに切断し、又は粗粉砕す
る。この粗粉砕の皮革は0.079g/cc(含有水分=1.0重量
%)前後の見掛け比重からなっており第6図の図面代用
写真に示されているものである。
このように切断又は粗粉砕された皮革を第8図で模式
的に示されるような閉鎖型の処理室1に投入し、蒸気加
熱を行う。
この蒸気加熱は、処理対象とされる皮革が蒸気による
膨潤と加熱とによって皮革の特性を損ねることなしに収
縮するようにするものである。従って、処理対象とされ
る皮革がこの充分に収縮(組織の萎縮化に伴って)され
ていない場合、この皮革を破断、粉砕しても見掛け比重
が0.38g/cc以上となることがなく、繊維状あるいは多く
の繊毛部分を有している。又、蒸気を用いずに処理対象
とされる皮革を煮込んだ場合、処理対象とされる皮革が
急激にゲル化し、これを乾燥した時に柔軟さが皮革粉に
復原されずに硬いまゝとされ、しかも膨潤機能に伴う吸
湿性も喪なわれる。
これらのことから蒸気加熱は処理対象とされる皮革が
乾燥粉砕された際に0.38〜0.80g/ccの見掛け比重の範囲
になるように処理室の温度、蒸気の供給量、処理室の室
圧、処理時間等が設定される。
第8図の閉鎖型処理室1は攪拌手段2を有しており、
攪拌しながら蒸気加熱を行うことができ、その周囲を二
層としてスチームジャケット3としている。そして蒸気
Aを管4から処理室1に送り込み、管5から蒸気A′と
して排出し、この管5にある弁6を用いて室圧が適宜0.
5〜2.0Kg/cm2Gとなるように調整する。又、蒸気Bを管
7からスチームジャケット3に送り込み処理室1を外部
から加熱できるようにして管8から蒸気B′として排出
する。尚9は管8に設けた弁である。
通例、処理室1の室圧を1Kg/cm2G〜1.5Kg/cm2G、室
温100〜119℃で20分間前後処理皮革を攪拌し、処理皮革
の含有水分が5〜10重量%前後高めるようにする。又、
この蒸気加熱処理は長い程結果が良く30分間前後加熱す
ることが望ましい。尚、通常0.5〜2.0Kg/cm2Gの圧力の
水蒸気を用いるが、例えば1.5Kg/cm2Gの水蒸気などの
水蒸気の温度と圧力が高い程同一量の皮革の処理に要す
る時間が短かくて済む。これに反し、前記の温度及び圧
力が低い場合には皮革の処理に多くの時間を要すること
ゝなり製造には不適当となる。しかしながら叙上におけ
る皮革の蒸気加熱処理が必要以上に施された場合、作り
出された皮革粉は硬くなり、吸湿機能を喪うため、作り
出された皮革粉の見掛け比重が0.80g/cc以内である必要
がある。この皮革粉の見掛け比重が0.80g/ccを超えると
皮革粉がゲル化しこれを乾燥した際に硬くなり使用に不
向きとされる。従って前記の蒸気加熱処理は作り出され
る皮革粉が0.60g/cc以下の見掛け比重、理想的には0.50
g/cc以下の見掛け比重となる範囲で施されることが望ま
しい。
このようにして蒸気加熱処理のされた皮革を乾燥し、
その含有水分が5重量%未満となるようにする。この乾
燥された皮革は第7図の図面代用写真(100倍の倍率で
撮影した光学顕微鏡写真)で明らかなように皮革にあっ
た繊毛部分がほとんどなく全体として収縮していること
が認められ、その見掛け比重が0.250g/cc(含有水分=
1.0重量%)であった。そして全体的に繊維状でなく塊
状とされていることが理解される。
又、この処理皮革を粉砕し易くする意味から前記の乾
燥を3重量%未満の含水率まで高めることが望ましく、
より理想的には1重量%の含水率とする。
このようにして蒸気加熱−乾燥のされた処理皮革をフ
ァインビクトリーミル(図示省略)等の粉砕機で粉砕
し、コールターカウンターで測定した平均ミクロン単位
粒径が理想的には100μm以下で、且つ150μmを上回ら
ない粒径となるように粉砕する。(以下ミクロンで表示
されている粒径はいずれもコールターカウンターで測定
されたものである。) このように粉砕処理のされた粒状皮革粉を篩又は風量
分級機を用いて分粒を行うことが望ましく、篩分けは40
〜300メッシュ、200〜300メッシュ、100〜150メッシュ
の範囲等に分けてなされることが望ましい。又、風量分
級機は、少なくとも一つの大きい粒径のクラスと、少な
くとも一つの小さい粒径の少なくとも二つのクラスに分
粒することが望ましい。
叙上の方法で作られた粒状皮革粉は、いずれも0.38〜
0.80g/ccの見掛け比重の範囲に属する見掛け比重のもの
であり第1図〜第4図の図面代用写真に示されているよ
うに略“粒”に近い形状を有し、破断、粉砕部分に繊毛
が無い特長を有している。
このようにして得られた粒状皮革粉は、皮革粉相互が
絡み合って綿状に凝集することがなく、目的とする合成
樹脂等の樹脂に均一に満遍なく分散された。このことか
ら皮革粉含有樹脂組成物の押出し及び射出成形も従前の
樹脂材と同様に行うことができ樹脂の押出し、射出抵抗
が従来樹脂と略同様であることからシリンダー、ダイス
等に摩耗の生ずることがない。又、成形された樹脂中に
満遍なく、しかも均一に粒状皮革粉が含まれていること
から成形製品に皮革特有の性状を付与することができ
る。
更に、塗料、特に樹脂状コーテング液と混合した場合
にも粒状皮革粉は綿状に凝集せず、よく混和し、かつそ
の粒子は一様に分散される。そのために上記塗料を塗布
することにより薄層中にこの粒状皮革粉が均一に含まれ
た層とすることが可能となる。この粒状皮革粉の粒子は
極めて微細であるため、塗装した層の表面に影響をあた
えることがないので表面は滑らかで一様な状態になる。
又、この粒状皮革粉により極めて薄い7μm〜100μ
m前後の樹脂フィルム、特に積層用転写フィルムを、組
織の不均一性を生ずることなく、又表面上に変形や歪み
を生じることなく製造することが可能である。粒状皮革
粉全量の略70重量%の粒子が40μmより小である前記実
施例において殆どの粒子は約100μm又はそれ以下、特
に40μm以下である。この粒状皮革粉を用いて剥離紙上
に20〜30μmの厚さのフィルムを形成してから織物、編
物、不織布等の布、紙、樹脂フィルム、レザーその他の
表面に積層することができる。
第5図のグラフは、分級機により分級した微粉をメチ
ルアルコール中に懸濁してコールターカウンターで粒径
を計測した粒子度分布を重量%で表示したものである。
粒径が40μm以下の微細な粒状皮革粉が78.7重量%で
あることが第5図のグラフから明らかである。上述した
ように、用いられる粒状皮革粉が略“粒”の形状をなし
ていることから、かかる粒径よりもわずかに大きい粒径
を有する粒状皮革粉を該塗料又は被覆材料と混合して使
用することもできる。
本出願人の実験によれば40μmよりもわずかに大きい
粒径を有する粒状皮革粉を該塗料又は被覆材料と混合し
て使用することもできる。本出願人の実験によれば40μ
mよりも細かい粒状皮革粉が全量の70重量%を超え、し
かも150μmを超える粒状皮革粉が効果的にカットされ
ていれば良好な使用結果が得られることが判明した。
油脂分処理には、油脂分を皮革から溶出させる溶剤、
例えばベンジン、メチルクラロイド、メチルアセトン、
酢酸エチル等を利用して行う。また、他の処理方法とし
ては皮革を熱湯で洗って膨潤した皮革から脂肪分を溶出
せしめる。溶剤を利用する場合には、皮革中の水分が少
ない方が好都合であるので皮革に対する蒸気加熱をする
前の段階、蒸気加熱後の乾燥段階、乾燥後の粉砕した段
階のいずれかで上記溶剤によるこの種の溶出処理がなさ
れるのが理想的である。
上記の粒状皮革粉は含有油脂が多いと変色の原因とな
るので必要に応じ油脂分の除去処理をする。
このようにして得られた粒状皮革粉に対し、所望なら
ば染色処理を施すことができる。粒状皮革粉の性状によ
り適宜の染料及び染色方法を選択すべきである。例えば
クロムでなめし処理を行った皮革から得られた粒状皮革
粉では均染性、浸透性の良好なモノアゾ、アントラキノ
ン、カルボニウム染料のような酸性染料が用いられる。
タンニン処理のされた皮革ではアゾ、アジン、アチジン
のような塩基性染料が用いられる。また、粒状皮革粉の
使用目的、性状等により酸性媒染染料、直接染料及び反
応染料を添加し、加湿下で攪拌して粒状皮革粉の染色を
行う。染色後、粒状皮革粉を乾燥する。
染色は皮革を蒸気加熱する過程においてなされたり、
又は、粉砕完了後の加湿下での独立した工程でなされる
場合とがあり、それぞれのプラントの条件に合わせて、
その最適の方法が採られる。
粉砕されて得られた粒状皮革粉は40メッシュ篩で選別
し、ポリ塩化ビニルのような合成樹脂と混合した樹脂組
成物として種々の樹脂成形物が作られる。
本発明の粒状皮革粉と混合して使用することができる
合成樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビ
ニリデン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル
共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブ
タジエン−スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリウレ
タン、ポリアミド類、ABS、ポリカーボネート、ポリア
クリレートのような熱可塑性樹脂、フェノール系、エポ
キシ系、ユリア系のような熱硬化性プラスチック類、ク
ロロプレン系、ブタジエン系、スチレン系、オレフィン
系ゴム、ポリウレタン系ゴムのような合成ゴム等が挙げ
られる。
典型例として軟質塩化ビニルを使用した場合について
説明するとその配合割合は次に示すようになる。(数値
は重量%で示してあり、“合成樹脂コンパウンド”とは
樹脂、可塑剤、安定剤等の混合物を意味する。) (1)シート成形の場合 粒状皮革粉 5〜55% 合成樹脂コンパウンド 45〜95% (2)椅子の肘かけ、壁材、家具、コンソールボック
ス、ハンドル、グリップ等自動車内部のフレームの成形
を行う場合 粒状皮革粉 20〜80% 合成樹脂コンパウンド 20〜80% (3)工業用ゼラチンを含む成形の場合 粒状皮革粉 5〜70% 合成樹脂コンパウンド (ゼラチンを2〜15%含む) 30〜95% (4)ペレット等の中間素材を調製する場合 粒状皮革粉 5〜80% 合成樹脂コンパウンド 20〜95% 以上のいずれの配合の場合でも良質の皮革様の成形品
を得ることができた。尚、ゼラチンの配合量は約5%が
適量である。
上記の組成物は軟質、半硬質成形品に好適であり、そ
れぞれの硬さ相応の特長を有している。発泡成形品は上
記のフィルム、シート及び板、棒ないしは塊状物を製造
する際に、粒状皮革粉と混合された樹脂コンパウンドを
発泡させると、粒状皮革粉と樹脂との間に連続又は非連
続の隙間が形成されて得られる。
粉砕して得られた粒状皮革粉を分級して得られる第2
図に示される粒状皮革粉は粒子がより微細であるため優
れた滑性を有し、充分に乾燥されていることより、樹脂
コンパウンドとの混じり合いが良好である。
特に、この粒状皮革粉5〜45重量%を種々の合成樹脂
液(溶液状、エマルション状、あるいは液状ポリマーを
含む融解状の合成樹脂液)と混合し、これを布、不織
布、紙、合成皮革ないしは皮革上にコーティングすると
皮革様の表面を有するシート状の製品が得られる。
同様に、この合成樹脂液を塗料として金属製品あるい
は樹脂成形品、例えば、家具や、自動車内装品等の表面
に0.007〜0.1mmの厚さで塗布(刷毛、吹きつけ等)する
ことにより皮革様の外観を有する塗膜面が得られる。
このように塗料として用いられる場合、粒状皮革粉が
混入される塗料は、現在市販されているいずれの塗料で
あってもよい。典型例として、合成樹脂液がポリウレタ
ン樹脂溶液(一液型であっても二液型であってもよい)
である場合、塗膜面は良好な皮革状の外観を有してい
た。
更に、分級された粒状皮革粉を含有する塗料を吹きつ
けその他の方法で塗装に用いる場合に粒状皮革粉を混合
した塗料を使用するに先立ってボールミル、サンドミル
等により粉砕した場合、塗膜面が平滑になる。このよう
に、粒状皮革粉を塗料中に混入した後にトルエン、ME
K、キシレン、DMF等の溶剤中で粒状皮革粉を粉砕するこ
とにより平均粒径30μmのものを10μm以下にすること
ができ、スプレーが目詰りを起こさず吹きつけ塗装が更
に容易となり、又平滑な塗膜面が得れらる。
更に、分級された粒状皮革粉は樹脂の成形品、布、不
織布、紙、皮革、合成皮革等の表面に接着剤で付着させ
ることもできる。
以上のようにして得られた成形品の表面層は粒状皮革
粉であるため綿状凝集による突起がなく、平滑な面とな
った。
このようにして得られた成形品の表面にサイデイング
あるいはサンドブラス処理を施し、混入されている粒状
皮革粉が表面に露出するようにしても良い。
又、製品を熱湯中に浸潰して前記の混入ゼラチンある
いは粒状皮革粉の一部を滲出させることにより微細な孔
を製品の表面に成形することもできる。
更に型押しにより、特殊な模様(ワニ皮革の模様等)
を作り出してもよい。
皮革用の塗料、油も通常の皮革と同様の方法で本発明
の皮革製品に使用することができる。
今までの説明で明らかにされたように、本発明の粒状
皮革粉を利用してあらゆる種類の樹脂成形品を製造する
ことができる。粒状皮革粉はまた吹きつけ塗装、コーテ
イング、ラミネート等にも使用することができる。した
がって、日常の身の回りにある全ての製品を対象として
本発明の粒状皮革粉を利用することが可能である。
以下、叙上の実施例を更に具体的に説明する。
例1 クロム鞣し処理のされた牛の皮革屑(巾3〜5mm、長
さ30〜50mm、厚さ0.5mm)600Kgを長さ5mmのチップに細
かくきざみ、第8図に示す閉鎖型処理室1に投入し、処
理室温度110℃、攪拌機回転数16r.p.m.で30分間蒸気処
理した。蒸気処理前の原料の水分は、53重量%で、蒸気
処理後の水分は59重量%であった(測定はKett社製FD−
220型を用いた熱天秤法によって行った)。
次いで、ドライエアーによる内部加熱と、加熱蒸気に
よる外部加熱を併用して原料の水分が約3重量%になる
まで乾燥を行った。
このようにして得られた皮革をファインビクトリーミ
ルを使用して粉砕を行った。
ファインビクトリーミルの稼動は、回転数7000(r.p.
m.)で無負荷/負荷運転が17.2/20(アンペア)でスリ
ットを半開して行った(例1A)。また他の例として回転
数7800(r.p.m.)で無負荷/負荷運転が15.8/20(アン
ペア)でスリットを全開して行った。
スリットを全開の方向にしていくと、粉砕された粒状
皮革粉も戻りが多くなり、粉砕回転数が多くなり、より
以上に微粉化される。
このようにして得られた粒状皮革粉を40〜300メッシ
ュの篩を使用して選別し、その粒径分布(重量%)を調
べた。
この粒状皮革粉の見掛け比重を測定したところ0.40g/
ccであった。
前記の蒸気加熱工程において茶褐色に皮革用染料を用
いて着色処理を施された以外は同様の処理によって得ら
れた粒状皮革粉の粒度分布(重量%)は下記の通りであ
る。
尚、着色処理されると無着色皮粉より粒径が若干大き
くなる。
上記の粒度分布を有する粒状皮革粉は各種の樹脂と混
合して成形に好適に使用される。カレンダーロール、押
出し、射出等のいずれの成形方法にも使用できる。
この粒状皮革粉の見掛け比重を測定したところ0.42g/
ccであることが判明した。
例2 付着用、コーテイング用あるいはラミネートフィルム
用等の薄い膜又は層中に混入して使用する粒状皮革粉を
得るため風量分級機を使用して、上記例1Aで得られた粒
状皮革粉を真比重による分級を行った。
この分級については第9図及び第10図を用いて説明す
る。参照番号11はフィーダーを示し、前記の粒状皮革粉
を導入し、これを順次風量分級機(ミクロンセパレータ
ー)12に送り込む。この分級機12は、ローター12aを有
しており、投入口12bより供給された粒状皮革粉をその
真比重で分別吸引する。ターボファン13でバックフィル
タータンク14内に粒状皮革粉を送りこみ分級する。粗粒
が分級され、ロータリーバルブ12cより取り出される。
一方、微粉はロータリーバルブ14aより取り出される。
尚、参照番号12dは二次エアーの取入口を、12eは分級微
粉の出口を示している。
上記のような構造を有する分級機を用いてローター12
aの回転数を600(r.p.m.)、二次風量を4.0m3/分、集
塵風量12m3/分とし、5Kgの粒状皮革粉を処理したとこ
ろ、2.05Kgの微粉が得られた。
粒度分布を示す第5図のグラフから、このように分級
された微粉の平均粒径が24.5μmであり、その殆どが50
μm未満であることがわかる。微粉の見掛比重は0.45g/
ccであった。
このようにして得られた微粉を用いれば、粒体の粒子
は相互に絡み合いがなく綿状に凝集することがなく個々
に皮革粒子が独立に存在する。
例3(粒状皮革粉) 第1図は粒状皮革粉を40メッシュの篩を用いて選別し
た粒状皮革粉の電子顕微鏡写真で、第2図は、この粒状
皮革粉を風量分級機に5Kg投入し、2.05Kgの微粉として
得たものの顕微鏡写真である。
第1図は繊維が存在せず、粉体中に個々に独立して粒
子が“粒状”を維持して散在しているのを示す。従来の
皮革粉は第11図〜第14図の図面代用写真が示されている
ように、比較的大きな長繊維を含んでいる。分級機12を
利用して、粒状皮革粉5Kgをローター12aの回転数を600
r.p.m.、二次風量が4.0m3/分、集塵風量を12m2/分と
して、処理したところ2.05Kgの微粉が得られた。この分
級を行った結果、微粉の平均粒径は24.5μmであり、そ
の殆どんが50μm未満であった。この微粉の比重は大き
く、0.46g/ccの範囲であった。第1図と比べて第2図の
図面代用写真で示されている粒状皮革粉はより均一性が
あり、比重がより高いことを示している。また、粒径が
細かく、繊維も、絡み合いもないということに注目すべ
きである。又、第3図と第4図は更に他の実施例で得ら
れた粒状皮革粉を光学顕微鏡写真で示したものであり、
第2図と比べて更に均一性があり、粒径が細かく、繊維
も、絡み合いも認められない。
種々の試験を行った結果から、本発明に係る粒状皮革
粉の製造方法により得られた粒状皮革粉においては、見
掛け比重が0.38g/cc以上だと絡み合ったり繊毛状の繊維
が存在しないということが結論づけられた。また見掛比
重が0.8g/ccを超えると、溶剤中でゲル化し硬くなり、
吸湿性などの皮革特有の性質が失なわれる傾向がある。
第1図の図面代用写真に示されている粒状皮革粉は40
メッシュ篩を使用して選別されたもので見掛け比重が0.
42g/ccを有していた。
第2図の図面代用写真に示されている粒状皮革粉は40
μm未満の粒子を70重量%含んでいる。この粒状皮革粉
は極めて微細で40μm以下の粒径を有するが全加工工
程、保管、樹脂との成形のいずれの工程においても綿状
に凝集することがなかった。
例4 塩化ビニル樹脂(信越化学製、信越PVC TK−1300、平
均重合度1300)100重量部に対し、可塑剤としてジ−2
−エチルヘキシルフタレート(DOP)100重量部、例1Aで
得られた粒状皮革粉25重量部、配合した樹脂組成物をカ
レンダーシート成形してポリエステル編物にラミネート
した。また表面仕上げ剤として、ウレタン樹脂100重量
部に上記第5図の粒径分布を有する粒状皮革粉30重量部
を混合した液状樹脂組成物を20μmの厚さにグラビアコ
ートした。上記積層シートをしぼ加工し、皮革模様をつ
けると、従来になり風合いのよい、べとつき感のないシ
ートが得られた。
例5(塗料) 第5図の分布を有する粒状皮革粉を二液反応型ウレタ
ンタイプの塗料のポリエステルとトルエンの溶液中にボ
ールミルで攪拌し、その後硬化剤であるイソシアナート
を添加配合し、スプレーガンで塗装し膜厚40μmの厚さ
の塗膜を得た。
このものは艶消し効果に優れ、手に触れたときの風合
いはベトつき感がなく良好であった。
粒状皮革粉の添加量は下記表の通りであり、二液反応
型ウレタンタイプ塗料中のポリエステルと粒状皮革粉と
の合計重量に対する粒状皮革粉の重量%で示されてい
る。また光沢度は60°反射により求めた。
例6(転写フィルム) ウレタン樹脂100重量部中に第5図の粒径分布からな
る粒状皮革粉30重量部を溶剤で希釈し混合したものを離
型紙上にコーティングし、乾燥後得られた厚さ60μmの
フィルムを織物基材に転写して張り合わせて積層フィル
ムを得た。
このものは表面状態が良好で、ベトつき感がなく感触
にも優れていた。
例7(脱脂した粒状皮革粉) 第2図の図面代用写真で示される粒状皮革粉(含有水
分5重量%、脂肪分6.3重量%)をトルエン中で加熱し
て攪拌を行い、脂肪分を除去した。粒状皮革粉とトルエ
ンの配合比率は粒状皮革粉/トルエン=1/5、加熱温度
は60℃とした。その結果攪拌2時間で脂肪分は0.5重量
%となり、さらに新しいトルエンで洗浄すると脂肪分は
0.1重量%以下となった。なお、脂肪分の測定はJIS K 6
550で行った。
たて50mmよこ40mmのガラス板二枚の間にこの粒状皮革
粉を1mmの厚さで封入し、JIS L0842に準じてブラックパ
ネル温度83℃で耐光性試験をおこなった。
この粒状皮革粉は100時間経過後も変色が認められな
かった。
例8(シート) 塩化ビニル樹脂 100重量部 (信越化学製TK−1300、平均重合度1300) DOP 90重量部 粒状皮革粉(例1Aで得られたもの) 83重量部 から成る樹脂組成物をカレンダー法により0.2mm厚さの
シートとした。
得られたシートは塩化ビニルシートに比べべとつき感
がなく風合いに優れていた。また吸湿特性も優れてい
た。
例9(発泡レザー) ポリエステル製の編物の上に次の(イ),(ロ)及び
(ハ)の組成からなるシートをこの順に(イ)を上にし
て重ね、加熱して発泡シートを得た。
(イ) 塩化ビニル樹脂 100重量部 (信越化学製TK=1300、平均重合度1300) DOP 90重量部 例1Aの粒状皮革粉 80重量部 (ロ) 塩化ビニル樹脂 100重量部 (信越化学製TK=1300、平均重合度1300) DOP 90重量部 発泡剤 4重量部 例1Aの粒状皮革粉 80重量部 (ハ) 塩化ビニル樹脂 100重量部 (信越化学製TK=1300、平均重合度1300) DOP 90重量部 得られた発泡レザーは発泡塩化ビニル樹脂シートに比
べベトツキ感がなく風合いに優れたものであった。
例10(塗料) 液状ウレタン樹脂液(大日本インキ化学社製無黄変一
液型ポリウレタン3006LV、不揮発分30%)を溶剤として
MEKの混合剤を用いて20〜50poise(25℃)に調整した。
第5図の粒径分布からなる粒状皮革粉を上記ウレタン
樹脂100重量部中に50重量部添加し100poise(25℃)に
なるようにトルエンで希釈しながらボールミルで混合し
た。この混合物をスプレーガンを使用してPVC板に塗装
し、100℃で1分間乾燥すると皮革調の塗膜が得られ
た。この塗膜の表面を更に240メッシュのサイドペーパ
ーでバフ掛けするとスエード調の塗膜が得られた。
この塗膜は従来のごとくベトツキ感がなく、つや消し
材としての効果が大である。
例11(接着) 離型紙上に一液ウレタン樹脂(不揮発分30重量%、ME
K/DMF=25/75 600poise at 20℃)に第5図の粒径分布
からなる粒状皮革粉を30重量%添加して得られる混合液
をコンマロールにてコーティングし乾燥した。
二液型ウレタン樹脂(不揮発分50重量%、MEK溶剤、4
00 poise at 250℃)に第5図の粒径分布からなる粒状
皮革粉を30重量%混入したものを更に前記フィルム上に
コーティングし、不織布とラミネート接着した。このも
のは上記粒状皮革粉を混入していないものと同様の接着
強度を有していた。
(効果) 今までの説明で充分に明らかにされたように本発明の
粒状皮革粉は製作過程でも、保管の過程でも、又合成樹
脂等の樹脂との混合使用の過程のいずれでも綿状に凝集
することなく、“粒”の状態を維持でき、又、樹脂との
成形に際して成形樹脂中に粒状皮革粉が均一に分散され
て皮革特有の性状と成形樹脂固有の性状とを兼ね合せた
成形品が得られる。
更に、塗料液等に混合された場合に、これらの液体中
に満遍なく均一に分散され、従って形成された塗装皮膜
中には粒状皮革粉が均一に且つ満遍なく存する。
更に、叙上の繊維状あるいは絡み合った綿状に凝集す
ることのない“粒”状の皮革粉を容易に、しかも量産提
供することが可能である。
以上の点により本発明にかかる粒状皮革粉の利用は全
ての樹脂成形品が対象とされ、更に吹きつけ塗装、コー
ティング、ラミネート等の手法による利用も可能である
ことから、これらの対象物もまた利用対象とされる。
この結果、日常身の回りにある全ての商品を対象とし
て本発明の粒状皮革粉を利用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例にかゝる粉砕された皮革繊維
を拡大撮影した図面代用写真、第2図〜第4図は他の実
施例にかゝる粉砕された皮革繊維を拡大撮影した図面代
用写真、第5図は粉砕分級された粒状皮革粉の粒径分布
を示すグラフ、第6図は蒸気加熱処理前の粗砕皮革の繊
維を拡大撮影した図面代用写真、第7図は蒸気加熱後に
乾燥して含有水分を5重量%未満とした皮革繊維を拡大
撮影した図面代用写真、第8図は蒸気加熱装置の概略
図、第9図は粒状皮革粉の分級装置の構成図、第10図は
風量分級機の概略図、第11図〜第14図は従来の粉砕皮革
繊維を拡大撮影した図面代用写真である。 1……処理室、2……攪拌手段、3……スチームジャケ
ット、4……管、5……管、6……弁、7……管、8…
…管、9……弁、11……フィーダー、12……風量分級
機、13……ターボファン、14……バックフィルタータン
ク。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】40メッシュの篩を通過する粒径の範囲にあ
    り、しかも実質的に綿状に絡み合うことがなく、且つ含
    有水分が5重量%未満とされていることを特徴とする粒
    状皮革粉。
  2. 【請求項2】40μmよりも小さい範囲にある粒状皮革粉
    を粒状皮革粉全量の70重量%以上含んでおり、しかも実
    質的に綿状に絡み合うことがなく、且つ含有水分が5重
    量%未満とされていることを特徴とする粒状皮革粉。
  3. 【請求項3】処理室内にある皮革に対し蒸気を送り込
    み、この供給蒸気によって皮革に所定の加熱、膨潤処理
    を施した後、強制的に乾燥し、皮革の含有水分が5重量
    %未満とされた状態で粉砕したことを特徴とする粒状皮
    革粉の製造方法。
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