JP4570188B2 - 絹繊維を微粉末化及び水溶化する方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、絹繊維に放射線を照射することにより絹繊維の機械的粉砕を容易にし、併せて水への溶解性を飛躍的に高めることにより不溶性絹繊維を可溶性絹タンパク質に変換する方法を提供するものである。
【0002】
絹は長年にわたって優れた衣料材料として利用されてきたが、最近ではタンパク質としての絹の特性が注目され衣料以外の分野での利用が進められている。中でも、衣料材料としての長年の利用によって実証されている絹と人の肌の親和性から医療材料や化粧品素材として注目が集まっている。絹繊維の微粉末化や水への溶解はこのような分野での利用において重要な加工処理であり、本発明はそのための有効な方法を提供することができる。
【0003】
【従来の技術】
一般に、絹繊維は結晶構造を有し、機械的強度も高く、機械的に粉砕して微粉末を得ることは困難であった。そのため、絹繊維の微粉末を得るには、あらかじめ水を加えて凍結固化後粉砕するか、あるいは特定の溶媒に溶解後乾燥、粉砕するなどの処理が必要であった。
【0004】
また、絹タンパク質(フィプロイン)は、単なる水には沸騰させてもほとんど溶解することがない。したがって、絹タンパク質の水溶解には、特定の水溶媒や酸・アルカリまたはタンパク質分解酵素などが利用されている。しかし、これらの方法では、酸・アルカリの中和ならびに塩や酵素の分離など煩雑で時間を要する処理が必要であり、これらの処理コストも高くなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の問題点に鑑み、本発明は煩雑で時間を要する処理を用いることなく、絹繊維の微粉末化および水溶液化を可能とする方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するべく、絹繊維の機械的粉砕性に及ぼす放射線照射の影響を調べ、放射線照射によって絹繊維を直接機械的に粉砕出来ること、及び得られた微粉末が水に対して著しい溶解性を有することを見出し、簡便に絹繊維の微粉末化及び水溶液化を行える方法を開発した。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、絹繊維に放射線を照射する方法であり、照射雰囲気を制御することにより適性線量を低減することが可能である。
【0008】
本発明において、電子加速器から得られる電子線や(変換)X線、コバルト−60などから得られるガンマ線が放射線として用いられる。線量は、10−1000kGyの範囲であることが望ましい。適性線量は放射線を照射する雰囲気に依存する。酸素ガス雰囲気での照射は、窒素ガスに比べ適性線量を低くすることができる。
【0009】
即ち、本発明は、真空中、不活性ガス雰囲気中、又は酸素ガス雰囲気(空気中も含む)中で、精練糸、生糸等の絹繊維に、10−1000kGyの線量の電子線、(変換)X線、コバルト−60等から得られるガンマ線等の放射線を照射し、絹繊維の機械的破砕による微粉末化を容易にし、更に必要に応じて得られた微粉末を水に溶解して水溶液化するための方法である。
【0010】
本発明で得られた絹微粉末又は絹タンパク質の水溶液は、化粧品分野で種々の用途に使用され、例えばパウダー状又は水溶液状の保湿剤等として使用されることができる。
【0011】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はそれら実施例のみによって限定されるものではない。
【0012】
〔実施例1〕
精練した絹繊維(精練糸)に電子線を照射し、その粉砕性に対する照射効果を粉砕器を用いて計測した。図1は、ボールミルによって1時間粉砕した試料を40メッシュのふるいにより未粉砕分を分離・計量し、初期試料量に対する粉砕率を求め、示したものである。図に示すように未照射の絹繊維は全く粉砕されないのに対し、250−1000kGyの照射によってその粉砕性が著しく増大している。特に、酸素ガス雰囲気下での照射は、窒素ガス雰囲気下に比べ顕著な増大が見られる。
【0013】
〔実施例2〕
ボールミルで1時間粉砕した絹繊維粉末のサイズを走査型電子顕微鏡を用いて調べた。線量が高いほど小さいサイズの粉末が得られ、図2は、酸素ガス中で1000kGyの放射線量が照射された照射絹繊維(精練糸)から得られた絹微粉末の電子顕微鏡写真を示す図である。この図から、元の絹繊維片はほとんど見られず、粉砕が十分に進んでいることがわかる。また、10ミクロン以下の粒子が多数見られた。この実施例では、ボールミルで1時間の粉砕例のみを示したが、より効率的な粉砕器の利用やより長時間の粉砕によってより小さなサイズの微粉末が得られる。
【0014】
〔実施例3〕
蚕から直接得られる絹繊維(生糸)は、中心部の真の繊維であるフィブロインとそのまわりを層状に被覆し、接着剤の役割を果たしているセリシンの2種類のタンパク質から構成されている。生糸から精練によってセリシンを除いた繊維を精練糸という。そこで、粉砕率に及ぼす精練の影響について0−1000kGyの線量範囲で電子線を照射後に調べた結果を図3に示す。図3から、高線量では生糸と精練糸で粉砕率に大きな違いはほとんど見られないが、低線量では精練糸の方が生糸より粉砕が容易であることが分かる。
【0015】
〔実施例4〕
実施例1に示した方法で得られた絹繊維の微粉末に蒸留水を加え絹微粉末の水溶解性を検討した。図4には絹繊維粉末に蒸留水を加え(10mg/ml)、室温で1時間保持した後の溶解タンパク質量を示した。
【0016】
図4に示されるように、絹繊維を微粉末化することにより絹タンパクの水溶解性が著しく増大し、線量が高いほど溶解度も高くなった。このように、線量が高くなるにつれて、絹繊維粉末の水に対する溶解度は著しく上昇し、1000kGyでは約70%に達した。
【0017】
この結果は、図1に示した粉砕率と対応しており、放射線処理により微粉化した絹繊維を用いることにより、容易に絹タンパク質の水溶液が得られることが明らかとなった。
【0018】
【発明の効果】
本発明においては、従来、微粉末化及び水への溶解化が困難であった絹繊維に特定の雰囲気下で特定線量の放射線を照射することにより、その機械的粉砕による絹の微粉末化が容易となり、更にその微粉末の水への溶解が可能となったという、本発明に特有な顕著な効果が生ずる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 精錬した絹繊維の粉砕率に対する放射線照射効果を示す図である。
【図2】 酸素ガス中で1000kGyの放射線量が照射された照射絹繊維(精練糸)から得られた絹微粉末の電子顕微鏡写真を示す図である。
【図3】 照射絹繊維の粉砕性に及ぼす精練の影響を示す図である。
【図4】 照射絹繊維微粉末の水溶解性(室温、1時間)を示す図である。

Claims (5)

  1. 絹繊維に放射線を照射し、当該絹繊維を機械的粉砕により微粉末化する方法
  2. 絹繊維に放射線を照射し、当該絹繊維を機械的粉砕により微粉末化し、更に当該微粉末を水に溶解する、絹タンパク質の水溶液の調製方法
  3. 照射する放射線がガンマ線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 照射する放射線が電子線あるいはX線であることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  5. 照射する放射線の線量が10〜1000kGyであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
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