JP2832010B2 - シルク含有成形品の製造方法 - Google Patents

シルク含有成形品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、樹脂又はゴムにシルク粉末を配合したシル
ク含有成形品の製造方法、さらに詳しくいえば、樹脂又
はシルク粉末の混合物を加熱混練したのち、それを成形
加工することによりシルク含有成形品を製造する方法に
関するものである。
本発明方法は、押出成形、射出成形、カレンダー成形
等の生産性の高い成形法に適し、外観が良好で、しかも
高い透湿性や吸放湿性を有する成形品を与える。
従来の技術 合成樹脂からなるシート、フィルム、レザーなどは天
然品の代替物として広く利用されているが、帯電により
塵埃を付着する、吸放湿性を欠く、感触が劣るなど天然
品に比べ品質的な欠点を有している。
これを改良するために、合成樹脂やゴムに皮革粉末を
配合した成形品が提案され、このものは吸放湿性及び非
帯電性を有することから、天然皮革に匹敵するものとし
て注目されている。しかしながら、このものは、なめし
革粉に含まれる重金属を除去するのに煩雑な処理を必要
とする上に、その吸透湿性は天然品に比べまだ満足しう
るものではないので透湿性、吸放湿性を向上することが
望まれていた。
発明が解決しようとする課題 本発明は、生産効率が高く、天然品に匹敵する透湿
性、吸放湿性及び外観を有する樹脂又はゴムの成形品を
製造する方法を提供することを目的としてなされたもの
である。
課題を解決するための手段 本発明者は、天然品に匹敵する樹脂又はゴムの成形品
を開発するために鋭意研究を重ねた結果、特定割合のシ
ルク粉末を含有する樹脂又はゴムを加熱混練し、そのま
ま成形することにより、その目的を達成しうることを見
出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、シルク粉末含有量2〜70重量%
を含む樹脂又はゴムを加熱混練したのち、得られた混練
物を成形加工することを特徴とするシルク含有成形品の
製造方法を提供するものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明方法における樹脂又はゴム(以下樹脂等とい
う)としては、天然又は合成樹脂、天然又は合成ゴム等
各種のものが用いられる。
また、この樹脂等としては、必要に応じて、可塑剤、
安定剤、タルク、炭酸カルシウムなどの充填剤、着色
剤、硬化剤、触媒、反応性モノマー、溶剤、分散剤、そ
の他の各種添加剤を含有させたものを用いてもよい。こ
の樹脂等は固体であっても、液状であってもよい。
合成樹脂としては、特に熱可塑性樹脂が好適である。
この熱可塑性樹脂の例としては、ポリエチレン(低密度
ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ
エチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
アクリル酸系共重合体)、ポリプロピレン、ポリブテン
−1等のポリオレフィン、ポリブタジエン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル(可塑剤を含有したものを含む)、
ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、エチレ
ン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコー
ル、ポリウレタン等が挙げられる。
また、合成ゴムとしては、エチレン−プロピレンゴ
ム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム
等が挙げられる。
樹脂等は前記のものを単独で用いてもよいし、また2
種以上の混合物として用いてもよい。
樹脂等として熱可塑性樹脂を用いると射出成形、押出
成形、カレンダー成形等が適用でき、生産性よく各種成
形品が得られる。また、150℃以上の成形温度を有する
樹脂であっても成形可能であるので使用樹脂が大幅に拡
大する。
本発明方法で用いられるシルク粉末については一般に
入手しうるものの中から任意に選択することができ、特
に制限はないが、特開昭61−276825号公報に記載されて
いるシルク粉末を用いるのが有利である。
このシルク粉末の粒径は成形性、成形品の外観の点か
ら200メッシュ篩(ASTM式標準篩)を通過するものを用
いることが必要である。
また、シルク粉末の見掛比重が小さいと成形性、成形
品の外観に劣り、樹脂に対する充填量を多くすることが
できなくなる上に、混合が非常に困難となるため、0.2g
/cm3以上、好ましくは0.3〜0.6g/cm3の範囲のものを用
いるのがよい。
なお、ここで用いられる見掛比重は、空気混入かさ比
重(Aerated Bulk Density)、すなわち篩を振動させて
シルク粉末を該篩に通して100ccの容器に投入した後、
容器の上部をすり切って秤量し、シルク粉末の重量を10
0で除して求められる。
本発明方法における樹脂等とシルク粉末の混合物は、
所望に応じフェノール系、リン系、イオウ系などの酸化
防止剤や、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、
ヒンダードアミン系などの耐光剤を含有させることがで
きる。酸化防止剤を含有させることにより、発泡の発生
を抑制し、色調や伸びなどの物性を改善することができ
る。
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−
4−メチルフェノール、2,2′−メチレンビス(4−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデ
ンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、n
−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート、1,1,3−トリス
(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニ
ル)ブタン、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニル}エチル]−2,4,8,10−テトラオキ
サスピロ[5,5]ウンデカンなどのフェノール系酸化防
止剤やトリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステ
アリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン
系酸化防止剤、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミ
リスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプ
ロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス(β
−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化
防止剤を挙げることができる。これらは単独で用いても
よいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
また、紫外線吸収剤としては、例えば、2(2′−ヒ
ドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、2(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′
−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールな
どのベンゾトリアゾール系化合物、1,2,3,4−ブタンテ
トラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペ
リジノールとトリデシルアルコールとの縮合物、1,2,3,
4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル
−4−ピペリジノールとβ,β,β′,β′−テトラメ
チル−3,9−(2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウ
ンデカン)ジエタノールとの縮合物などの縮合系化合物
などを挙げることができる。これらは単独で用いてもよ
いし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明方法における樹脂等とシルク粉末との混合物の
中のシルク粉末の含有量は、成形品の用途、形状、要求
特性により決定されるが、一般に2〜70重量%、好まし
くは5〜60重量%の範囲内の割合で選ばれる。シルク粉
末の含有量が2重量%未満であるとシルク粉末を入れた
効果が得られないし、70重量%を超えると樹脂等に均一
に分散できなくなるとともに、強度などの物性が著しく
低下する。
また、樹脂等とシルク粉末との混合物が酸化防止剤や
耐光剤を含む場合、酸化防止剤の含有量は0.05〜5重量
%、好ましくは0.1〜3重量%、また耐光剤の含有量は
0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%の範囲内で
ある。
本発明方法においては、まず、このような原料混合物
を加熱混練することが必要であるが、その際の混練処理
はロール、バンバリーミキサー、押出機のような通常の
混練機を用い、150℃以上の温度で行うのがよい。
発明の効果 本発明方法は、押出成形、射出成形、カレンダー成
形、圧縮成形等の生産性の高い成形方法を用いて行うこ
とができるという利点がある。
そして、本発明方法によれば、150℃以上の比較的高
温度で溶融することにもかかわらず発泡のおそれがな
く、外観が良好で、高い透湿性や吸放湿性を有し、天然
品に匹敵する感触のシルク含有成形品を得ることができ
る。
このようにして得られた成形品は、天然のシルクに似
た柔軟なフィルム、シート、椅子の肘かけ、壁材、家
具、コンソールボックス、ハンドルグリップなどとして
広く用いられ、さらに金属製品や樹脂成形品の表面にシ
ルクのような外観を与える被覆材として使用することが
できる。
実施例 次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する
が、本発明はこれらの例によって何ら限定されるもので
はない。
なお、各実施例及び比較例の成形品の物性は以下のよ
うに測定あるいは評価した。
(1)透湿度; JIS L 1099 A−1で測定した。
(2)吸放湿性; 130mm角のサンプルを23℃、50%RH中で24時間放置し
たのち、切出し又は打抜いて試験片を調製した。
次にアルミニウム板130mm角に両面テープを張り付け
た台に、試験片の表面が露出するように貼り付ける。そ
してビニールテープで周囲をシールする。
このようにセットされた試験片を23℃、30%RH中に24
時間放置したのち、重量測定をして求めた乾燥重量を吸
放湿性評価の基点とした。
吸湿性試験は、このように試験片を23℃、80%RHの恒
温恒湿槽又は同等の雰囲気の硫酸アンモニウム飽和溶液
を入れた容器の中に入れ、経時重量変化を3時間後まで
測定することによって行った。その結果をグラフを図1
にAとして示す。次いで試験片はそのまま24時間放置し
ほぼ安定した重量を測定した。
また放湿性試験は、前記の重量の安定した吸湿状態の
試験片を23℃、30%RHの恒温恒湿槽中に入れ、経時重量
変化を3時間後まで測定することによって行った。その
結果のグラフを図1にBとして示す。
測定は、20分間隔ごとに取り出して1分経過直後の重
量を求めることにより行った。
1m2当りの吸湿、放湿速度Q(g/m2)を次式により求
めた。
Q〔(W1−W0)/1000〕×(10000/S) 〔W0:基準重量(mg)、W1:各温度の測定重量(mg)、S:
試験片の面積(cm2)〕 吸放湿性は以下の3段階で評価した。
◎:優れている ○:かなり優れている ×:劣る (3)手触り; パネラーによる手で触れた触感を以下の4段階で評価
した。
◎:優れている ○:かなり優れている △:普通 ×:劣る 実施例1、2 LLDPE80及び40重量%にそれぞれシルク粉を20及び60
重量%加えたものをバンバリーミキサーで160℃で5分
混練しロールでシート状フィルムとした。
実施例3、4 PVCコンパウンド95及び50重量%にそれぞれシルク粉
を5及び50重量%加えたものをバンバリーミキサーで18
0℃で5分混練しロールでシート状フィルムとした。
比較例1 LLDPEをバンバリーミキサーで160℃で5分混練しロー
ルでシート状フィルムとした。
比較例2 PVCコンパウンドをバンバリーミキサーで180℃で5分
混練しロールでシート状フィルムとした。
各実施例及び比較例で得たフィルムの物性を第1表に
示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は、吸放湿性と経過時間との関係を示すグラフで
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−276825(JP,A) 特開 昭62−146946(JP,A) 特開 昭59−11332(JP,A) 特開 昭58−145745(JP,A) 特開 昭62−146947(JP,A) 特開 平1−293142(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】200メッシュ篩通過以下の粒径を有するシ
    ルク粉末含有量2〜70重量%を含む樹脂又はゴムを加熱
    混練したのち、得られた混練物を成形加工することを特
    徴とするシルク含有成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】樹脂が合成樹脂である請求項1記載の製造
    方法。
  3. 【請求項3】合成樹脂が熱可塑性樹脂である請求項2記
    載の製造方法。
  4. 【請求項4】樹脂又はゴムとシルク粉末との混合物が酸
    化防止剤0.05〜5重量%を含有する請求項1ないし3の
    いずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】樹脂又はゴムとシルク粉末との混合物が耐
    光剤を0.05〜5重量%含有する請求項1ないし4のいず
    れかに記載の製造方法。
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