JP2598561B2 - 歯質接着用前処理剤および歯質接着補助剤 - Google Patents

歯質接着用前処理剤および歯質接着補助剤

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、歯質接着用前処理剤および歯質接着補助剤
に関するものである。詳しく述べると、エナメル質や象
牙質等の歯質に対して優れた接着性を付与し得る歯質接
着用前処理剤および歯質接着補助剤に関するものであ
る。
(従来の技術) 歯の矯正または修復のための接着剤として、(メタ)
アクリル酸エステル系ビニル単量体等のラジカル重合性
単量体と触媒とからなるものが多数提案されていて、
(メタ)アクリル酸エステル系ビニル単量体と(メタ)
アクリロイルオキシ基含有芳香族カルボン酸(無水
物)、アミンおよびスルフィン酸(塩)からなる硬化性
組成物(特開昭60−44,508号)や常温で液状の(メタ)
アクリル酸エステル、アミン、スルフィン酸(塩)、過
酸化物からなる接着剤(特開昭53−39,331号)等があ
る。しかしながら、従来の接着剤や硬化性組成物では、
歯質に対して充分な接着力および適合性を得ることが困
難であった。
(発明が解決しようとする課題) したがって、本発明の目的は、歯質に対して優れた接
着性を付与し得る歯質接着用前処理剤および歯質との接
着性を改善する歯質接着補助剤を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 上記目的は、N−(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)−2−ピロリドンからなる歯質との接着を促進する
前処理剤により達成される。
上記目的は、N−(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)−2−ピロリドンからなる歯質接着補助剤によって
も達成される。
(作用) 本発明の歯質接着用前処理剤は、水またはメタノー
ル、エタノール、アセトン等の水混和性有機溶媒の溶液
あるいは溶液とせずにそのまま単独で使用される。すな
わち、該前処理剤を所定個所に塗布したのち、ボンディ
ング剤を塗布することにより接着される。
本発明の歯質接着補助剤は、通常、ボンディング剤組
成物に配合されて使用され、市販品に配合することもで
きる。ボンディング剤組成物は、ラジカル重合体単量体
の混合物であり、必要によりラジカル重合開始剤が配合
されている。
このようなラジカル重合性単量体としては、メチル
(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、
イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)ア
クリレート等のアクリル酸またはメタクリル酸のアルキ
ルエステル類、カルボキシル基やリン酸基を側鎖に有す
る(メタ)アクリル酸のエステル類、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アク
リレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等
のジオール類のジアクリル酸またはジメタクリル酸のエ
ステル類、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレ
ート、ビスフェノールA−グリシジルメタクリレート付
加物等がある。
(実施例) つぎに、参考例および実施例を挙げて本発明をさらに
詳細に説明する。
参考例 温度計、攪拌機および滴下ロートを備えた容量500ml
の三つ口フラスコに、N−(2−ヒドロキシエチル)−
2−ピロリドン46g、トリエチレンアミン40gおよび脱水
ベンゼン400mlを供給し、さらに滴下ロートよりメタク
リル酸クロリド41gを、反応系が5℃以下となるように
して滴下した。滴下終了後、5℃で1時間、さらに室温
で1時間攪拌を続けた。ついで、反応液を水および5重
量%炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄したのち、ベンゼ
ンを除去し、減圧蒸留を行なってN−(2−メタクリロ
イルオキシエチル)−2−ピロリドン28gを得た(収率3
9.3%)。
実施例1〜4 N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピロ
リドン(MAOEP)および水または有機溶媒を混合し、第
1表に示すような前処理剤を調製した。
一方、抜去後直ちに冷凍保存した牛前歯を使用前に解
凍し、低速ダイヤモンドカッターで軸側方向に歯冠を切
断して、その唇側面の象牙質をそのまま用いた。pH7.4
の0.5Mのエチレンジアミン四酢酸ナトリウム水溶液で60
秒間処理し、水洗および乾燥を行なったのち、直径5mm
の穴の開いたポリエステル製粘着テープを張り付けて被
着面積を規定した。前記前処理剤を塗布し、乾燥したの
ち、厚さ1mmのシリコーンゴムのスペーサを張り付け、
ボンディング剤(「フォトボンド」、クラレ株式会社
製)を塗布、軽くエアブローし、光照射器にて20秒間に
わたって光照射した。この上にコンポジットレジン
(「フォトクリアフィル」、クラレ株式会社製)を充填
し、60秒間光を照射した。硬化したレジンに即時重合レ
ジンでアクリル樹脂棒を接着し、37℃で水中で24時間浸
漬したのち、試験片を引張り速度2mm/分の条件で引張り
試験を行なった。その結果を第1表に示す。なお、結果
は、5個の試験片についての平均値を表わした。
比較例1 実施例1〜4の方法においてMAOEPを使用しなかった
以外は実施例1〜4と同様な方法を行なったところ、第
1表の結果が得られた。
実施例5 MAOEPを、ボンディング剤(「フォトボンド」、クラ
レ株式会社製)に、該ボンディング剤に対し30重量%配
合して、かつ前処理剤としてMAOEPを使用しなかった以
外は、実施例1と同様の方法を用いて試験を行なったと
ころ、3.5MPaの接着強度が得られた。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明による歯質接着用前処理剤
は、N−(2−メタクリロイルオキシエチル)−2−ピ
ロリドンとからなるものであるから、使用する前に所定
部位に塗布することによりボンディング剤の接着強度が
高めるという利点がある。さらに、本発明による歯質接
着補助剤は、ボンディング剤中に配合することによりボ
ンディング剤の接着強度を高めるという利点がある。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】N−(2−メタクリロイルオキシエチル)
    −2−ピロリドンからなる歯質との接着を促進する前処
    理剤。
  2. 【請求項2】N−(2−メタクリロイルオキシエチル)
    −2−ピロリドンからなる歯質接着補助剤。
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