JP2596466Y2 - 温水式床暖房装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は床面から室内を暖房する
温水式床暖房装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の床面から室内を暖房する温水式床
暖房装置は、図７に示すように、硬質発泡体からなる基
板２０の上面に設けたパイプ収納溝２１内に樹脂パイプ
２３を配設収納し、該基板２０上にアルミシート等から
なる均熱材２２を貼着積層して構成されていた。

【０００３】前記の室内床面に布設した温水式床暖房装
置に配設収納された樹脂パイプ相互を接続するには、図
８に示すように両端に接続金具２６、２６を取り付けた
接続用のパイプ２５を根太Ａの下を引き通して樹脂パイ
プ相互を接続していた。

【０００４】また、パネル内に暖房用配管を埋設し、パ
ネルの端部の両側縁寄りの２箇所に開口を設けて配管の
端部を露出させ、この開口に開閉蓋を取付けた方形パネ
ルの両側縁部の垂直ねじ孔に下方突出する調整ねじを螺
着し、この調整ねじによりパネルをコンクリート床上の
防振緩衝部材の上に設置し、床に布設された隣接するパ
ネルの隣接し合う両側縁の各開口内において両パネルの
配管端部を連結管で接続した実開昭４９−６１８４３号
の床暖房用二重床パネルが公知である。

【０００５】また、熱媒体の供給用ヘッダ接続部と回収
用ヘッダ接続部における熱媒体漏洩のチェックを容易に
するために、断熱材内に配置した放熱管の上面を覆う放
熱板を設け、２箇所のＴ字形の供給用ヘッダ接続部と２
箇所のＴ字形の回収用ヘッダ接続部の各接続部上の放熱
板部位置に、各接続部ごとにそれぞれ、放熱板を切欠い
た点検口とカバーを設けた実開昭６０−１８８９１２号
の床暖房パネルが公知である。

【０００６】また、底板・断熱層・合板の積層パネルの
上に固定した銅パイプをラバーチップ層内に埋設し、こ
のラバーチップ層の両端隅部にボックスを埋設してボッ
クス蓋を開閉自在に取付け、この両端隅部の一方のボッ
クス内に銅パイプのインプット接続端部を露出させて配
置するとともに他方のボックス内にアウトプツト接続端
部を露出させて配置した実開昭６２−１４２１０号の床
暖房畳が公知である。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】前記の図７、図８に示
すように構成された温水式床暖房装置においては、温水
式床暖房装置の端面から樹脂パイプ２３が突出している
ために見栄えが悪く、しかも、温水式床暖房装置は布設
する室内床面の長さよりも短く形成されているために、
温水式床暖房装置と室内壁面との間に隙間が生じ、この
隙間に位置する樹脂パイプ２３に荷重が掛かると樹脂パ
イプ２３が破断するおそれがあり、また、室下の根太と
の間に隙間が生じてこの隙間から床下への放熱ロスが生
じる。このことから従来は、図９に示すように温水式床
暖房装置と室内壁面との間に生じた隙間に硬質発泡体等
からなる断熱材Ｂを敷き詰め、樹脂パイプ２３の破断及
び床下への放熱ロスを防止しているが、その作業は面倒
で長時間を要し作業性が極めて悪いという問題点があっ
た。

【０００８】また、前記実用新案公開の床暖房用二重床
パネルは、１枚のパネルの端部の両側縁部の２箇所に開
口を設けたので小さな開口にならざるを得ず、この小さ
な開口内において配管端部を接続する曲がった連結管の
曲率半径が小さくなり、樹脂パイプのような腰の強いパ
イプを配管に用いる場合に、その曲げ部分の曲率が小さ
いとパネルに過渡の負荷がかかるので、強度が大なるパ
ネルを用いなければならないという問題点がある。

【０００９】また、前記実用新案公開の床暖房パネル
は、１枚のパネルの一端部に４箇所のＴ字形のヘッダ接
続部ごとにそれぞれ点検口の開口を設けるものであり、
また、前記実用新案公開の床暖房畳も、１枚の底板・断
熱層・合板の積層パネルの両端隅部に設けた各ボックス
の開口内にそれぞれ銅パイプの接続端部を配置する構成
のために、この各開口は小さな開口にならざるを得ず、
この小開口内でパイプを接続する作業を行うことは容易
でないという問題点がある。

【００１０】また、前記実用新案公開のいずれのもの
も、室下の根太間に布設したパネルの端面と根太側面と
の間に隙間が生じ、完全に気密になる程には密接しない
ので、この隙間から床下に暖房熱が逃げてしまい、床下
への大なる放熱ロスが生ずるという問題点があり、さら
に、この隙間において室内の暖房空気が床下の冷気に触
れて結露が生じ、パネル端部に結露による汚損劣化が生
ずるおそれがある。

【００１１】本考案は前記の課題を解決し、床下への放
熱ロスがなく、施工性に優れた温水式床暖房装置を提供
することを目的とする。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め本考案の温水式床暖房装置は、 （１）巾Ｄａの軟質発泡体板１ａの上に前記巾Ｄａより
も狭い巾Ｄｂの硬質発泡体板１ｂを貼着積層して前記軟
質発泡体板１ａの両側縁板部に、前記硬質発泡体板１ｂ
の両側縁外に張り出す張出し側縁板部１ｘ、１ｘを形成
して基板１を構成し、前記基板１の上面のパイプ収納溝
４内に温水パイプ５を配設し、該基板１の 上面に長さＬ
の均熱板６を貼着し、前記基板１の一端を均熱板６の長
さＬを越えて延長した板面１ｃの略中央部に単一のパイ
プ接続用開口部２を設けたことを特徴とするものであ
る。

【００１３】（２）また、前記（１）の装置において、
パイプ接続用開口部２に蓋体３を着脱自在に設けたこと
を特徴とするものである。

【００１４】

【作用】前記（１）のパイプ接続用開口部２は、室内床
面に布設した隣接し合う各基板１の温水パイプ５、５を
接続する際に、２つの接続用パイプ１０と接続金具１１
を用い、パイプ接続用開口部２内において図３に示すよ
うに２つの接続用パイプ１０、１０をクロスさせて根太
下に通し両温水パイプ５、５の端部を接続する。

【００１５】前記（１）のように、基板１の一端の延長
板面の略中央部１箇所にパイプ接続用開口部２を設け、
この１箇所のパイプ接続用開口部２内において、接続用
パイプ１０を図３に示すようにクロスさせて温水パイプ
５を接続するように構成したことにより、接続用パイプ
１０の曲率半径を大きくすることができる。このこと
は、前記公知の床暖房用のパネルのように、パネルの複
数箇所に開口を設けて、隣接し合う基板の各々の開口内
において両基板の配管端部を曲率が小さな連結管で接続
する構成に比較すれば、本考案は、殊に樹脂パイプを用
いた場合でも接続用パイプ１０の曲率半径を大きくでき
るので基板１に過渡の負荷がかからず、接続の自由度、
接続作業の容易性を高める上で極めて有利となる。ま
た、基板１に高強度の板材を選択する必要がなくなる。

【００１６】また、前記（２）のように、基板端部の延
長板面の略中央部１箇所のパイプ接続用開口部２に蓋体
３を着脱自在に設けたことにより、基板１枚当たり１箇
所で開口部２を厚い断熱材の蓋体３で閉じるので、パネ
ルの２箇所の開口に蓋をする前記公知の床暖房用二重床
パネルに比較すれば、断熱効果がよい。

【００１７】また、基板１の軟質発泡体板１ａの両側の
柔軟な張出し側縁板部１ｘ、１ｘが撓んで根太Ａ、Ａの
側面に隙間なく密着するので、従来の基板端部と根太側
面との間に形成されていた隙間による床下への放熱が防
止される。しかも、根太Ａ、Ａの側面との間に隙間が形
成されないので、室内の暖房空気が隙間において床下の
冷気に触れることがなくなり結露が生ぜずパネル端部に
汚損、劣化が生ずるおそれがない。

【００１８】

【実施例】以下本考案の実施例を図面により説明する。
本考案の一実施例を示す図１において、１は軟質発泡体
板１ａ上に硬質発泡体板１ｂを貼着積層した基板であ
り、軟質発泡体板１ａの巾Ｄａは図示するように硬質発
泡体板１ｂの巾Ｄｂより広く形成する。前記基板１の一
端を均熱板５の長さＬを越えて延長した板面１ｃを形成
し、この板面１ｃの略中央部に単一のパイプ接続用開口
部２を設ける。該開口部２にはパイプ収納溝４の両端が
開口している。３はパイプ接続用開口部２に着脱自在に
嵌装した硬質発泡体等からなる蓋体である。４は基板１
の上面に所定のパターンで設けたパイプ収納溝であり、
該パイプ収納溝４の両端は前記したようにパイプ接続用
開口部２に開口する。５はパイプ収納溝４内に配設収納
された樹脂パイプ等の温水パイプである。６は基板１の
上面に貼着されたアルミシート等からなる均熱板であ
り、この均熱板６の巾は前記硬質発泡体板１ｂの巾Ｄｂ
と同じに形成し、その長さＬは温水パイプを配設した区
域を覆う長さに形成し、パイプ収納溝３内に温水パイプ
を収納した硬質発泡体板１ｂの上面に貼着する。

【００１９】前記基板１の積層した下側の軟質発泡体板
１ａと上側の硬質発泡体板１ｂは、広い巾Ｄａの軟質発
泡体板１ａの両側縁板部が狭い巾Ｄｂの硬質発泡体板１
ｂの両側縁の外に張り出した形状の張出し側縁板部１
ｘ、１ｘを形成する。

【００２０】前記のように構成した本考案の温水式床暖
房装置を室内床面に布設するには、温水式床暖房装置を
布設する室内の広さに応じて、基板１の一端を延長した
板面１ｃを切断して図２に示すように室内床面に布設す
る。従って、従来のように室内壁面と温水式床暖房装置
との間に生じた隙間を断熱材により埋める処理作業の必
要はなく、施工性は著しく向上する。

【００２１】前記のように室内床面に布設した複数枚の
温水式床暖房装置に配設収納された隣接基板の各温水パ
イプ５、５相互を接続するには、図３に示すように１つ
のパイプ接続用開口部２内において２つの接続用パイプ
１０、１０を用いてクロスさせ、パイプ接続用開口部２
から引き出した接続用パイプ１０を根太Ａの下を通して
隣りの基板のパイプ接続用開口部２内に引込み、接続用
パイプ１０の両端に取り付けた接続金具１１、１１によ
り両温水パイプ５、５の端部を接続する。このパイプ接
続用開口部２に蓋体３を嵌装してパイプ接続用開口部２
を閉塞する。

【００２２】前記のようにパイプ端部が接続された基板
１の軟質発泡体板１ａの両側の張出し側縁板部１ｘ、１
ｘは、図３に示すように撓んで根太Ａ、Ａに隙間なく密
着するので、この基板１と根太の間から床下への放熱ロ
スがなく、パイプ接続用開口部２も蓋体３で閉塞される
ので、床下への放熱ロスが防止される。また根太Ａ、Ａ
に密着して隙間が形成されないから、室内の暖房空気が
隙間において床下の冷気に触れて結露することがなく、
パネル端部に結露による汚損、劣化が生ずるおそれがな
い。

【００２３】なお、図４に示すように温水パイプ５に配
管用の余長部４ａを設け、該余長部４ａを板面１ｃ上に
ループ状に巻回しておき、パイプ相互を接続する際に、
該余長部４ａを根太Ａの下を引き通して相手方床暖房装
置のパイプ接続用開口部２から引き出し、接続金具１１
によりパイプ相互を接続することもできる。

【００２４】図３に示した温水式床暖房装置に配設収納
された温水パイプ５、５相互を接続する接続用パイプ１
０の両端に取り付けた接続金具１１、１１は、図示のよ
うにパイプ接続用開口部２内に収納してもよく、また図
５に示すように基板１の一端を延長した板面１ｃに接続
金具収納溝１１ａを設けて該接続金具収納溝１１ａ内に
収納してもよい。さらに、図４に示すように基板１の一
端を延長した板面１ｃの上面に所定の間隔で切込み溝１
ｄを設けておくことにより、室内広さに応じて余長部分
を切断する際の目安となり、且つ、切断作業が極めて容
易となる。

【００２５】図６は、本考案の温水式床暖房装置を折り
畳み自在に構成した実施例を示し、図１乃至図５と同一
符号は同一部分を示す。

【００２７】

【考案の効果】本考案は前記のように、基板の一端を延
長した板面の略中央部に単一のパイプ接続用開口部を設
け、この単一のパイプ接続用開口部内において２つの接
続用パイプを用いて両パイプ端部を接続するように構成
したので、接続用パイプの曲率半径を大きくすることが
でき、基板に過渡の負荷がかからず、基板に高強度の板
材を選択する必要がなくなり、施工性がよくなる。

【００２８】また、基板の軟質発泡体板の両側の柔軟な
張出し側縁板部が根太の側面に隙間なく密着するので、
隙間を介しての床下への放熱ロスが無くなる。しかも、
根太側面との間に隙間が形成されないから、室内の暖房
空気が床下の冷気に触れて結露することがなくパネル端
部の汚損、劣化を防止することができる。

【００２９】また、基板端部の延長板面の略中央部１箇
所のパイプ接続用開口部に蓋体を設けたことにより、基
板１枚当たり１箇所で開口部を蓋体で閉じることができ
るから、断熱効果が良好になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す斜視図

【図２】本考案の一実施例の使用状態を示す縦断面図

【図３】本考案の一実施例の使用状態を示す横断面図

【図４】本考案の他の実施例を示す要部拡大斜視図

【図５】本考案のさらに他の実施例を示す要部拡大斜視
図

【図６】本考案の別の実施例を示す斜視図

【図７】従来の温水式床暖房装置を示す斜視図

【図８】従来の温水式床暖房装置の使用状態を示す要部
拡大斜視図

【図９】従来の温水式床暖房装置の使用状態を示す縦断
面図

【符号の説明】

１ 基板１ａ 軟質発泡体板 １ｂ 硬質発泡体板 １ｘ 張出し側縁板部 ２ パイプ接続用開口部 ３ 蓋体 ４ パイプ収納溝 ５ 温水パイプ６ 均熱板 Ｌ 均熱板の長さ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 奥山 哲夫 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古河電気工業株式会社内 (72)考案者 若塚 邦男 東京都千代田区丸の内２丁目６番１号 古河電気工業株式会社内 (56)参考文献 実開 昭62−14210（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭60−188912（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭49−61843（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F24D 3/16

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】軟質発泡体板の上に前記軟質発泡体板の巾
   よりも狭い巾の硬質発泡体板を貼着積層して、前記軟質
   発泡体板の両側縁板部に、前記硬質発泡体板の両側縁外
   に張り出す張出し側縁板部を形成した基板を設け、前記
   基板の上面のパイプ収納溝内に温水パイプを配設し、該
   基板上面に均熱板を貼着し、前記基板の一端を前記均熱
   板の長さ越えて延長した板面の略中央部に単一のパイプ
   接続用開口部を設けたことを特徴とする温水式床暖房装
   置。
2. 【請求項２】パイプ接続用開口部に蓋体を着脱自在に設
   けたことを特徴とする請求項１の温水式床暖房装置。