JP2594394B2 - 乳化物の製造方法 - Google Patents

乳化物の製造方法

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JP2594394B2 JP3320516A JP32051691A JP2594394B2 JP 2594394 B2 JP2594394 B2 JP 2594394B2 JP 3320516 A JP3320516 A JP 3320516A JP 32051691 A JP32051691 A JP 32051691A JP 2594394 B2 JP2594394 B2 JP 2594394B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は乳化物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】乳化物
の製造においては、乳化物の融点が常温より高い場合、
又は高温の方が安定な乳化物が得られる場合は、昇温し
て乳化させる必要がある。このような場合の従来の乳化
物の製造方法としては、攪拌機構を有する攪拌槽に水
相、油相、その他の配合物を仕込み、昇温、攪拌、混合
を行い(図1参照)、所望の粒径の乳化物を製造し、冷
却して乳化物を安定化させるバッチ式の製造方法が行わ
れている。この方法によるとコマーシャルベースの生産
量を確保する為には、攪拌槽の必要容積が大きくなり、
内容物の昇温、冷却の操作自体も攪拌槽に付属のジャケ
ットや内部コイルのみでは効率が悪いので、トータルの
サイクルタイムは長時間を要する。
【0003】そこで攪拌槽の外部に循環ポンプと熱交換
器とを設置して、昇温、冷却の操作を効率化する方法も
考え出されている(図2参照)。ところが、この方法に
於ても、トータルのサイクルタイムが多少短縮出来るだ
けであり、且つ製造設備全体も大型化してしまう。又シ
ステム全体からみても、一度昇温したものを再び冷却す
る為、エネルギーの消費が大きい。従って、本発明が解
決すべき技術的課題は、現状のサイクルタイムが長く、
且つ大型の設備に代わり、コンパクトな設備で生産性が
高く、更に省エネルギー的な乳化物の製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは乳化物の製
造に際して、使用する水相及び/又は油相の一部を残し
て乳化の操作を攪拌槽の外部で連続的に予備的に行う事
に着目して、種々研究の結果、本発明を完成させるに至
ったものである。即ち本発明は、水相と油相から成る乳
化物を製造するに際して、水相の一部と油相の全部、水
相の全部と油相の一部、又は水相の一部と油相の一部の
何れかを、乳化機に連続的に供給して加熱下で予備乳化
物を連続的に生成させると共に、該予備乳化物と残りの
水相及び/又は油相とを、連続的に配合槽又は乳化機に
供給して攪拌・混合することを特徴とする乳化物の製造
方法に関する。
【0005】通常の乳化操作は、攪拌槽内で比較的高温
で水相(以下、Wと称す)を連続相、油相(以下、Oと
称す)を分散相とするO/W型乳化、又は油相を連続
相、水相を分散相とするW/O型乳化が行われ、その後
必要な液滴径に達する迄攪拌、分散された後、冷却を行
い、安定な乳化物とする方法が行われている。これに対
し、本発明は、まず最初の工程として昇温した水相と油
相を乳化機に連続的に供給し、予備乳化物を製造する。
予備乳化時には、常温より融点が高い原料を用いた場
合、又は高温の方が安定な予備乳化物が得られる場合に
所望の温度まで昇温する。この時Wを連続相、Oを分散
相とするO/W型乳化の場合は連続相である水相(W)
の比率を、又逆にOを連続相、Wを分散相とするW/O
型乳化の場合は連続相である油(O)の比率を減らして
分散相の濃度を高めたコンセントレート乳化物を製造す
るのが好ましい。予備乳化時に用いる連続相の使用量
は、連続相全体の仕込量の5〜80重量%、好ましくは10
〜50重量%である。また予備乳化時に用いる分散相の使
用量は、分散相全体の仕込量の50〜100 重量%、好まし
くは70〜100 重量%である。
【0006】使用する乳化機としては、駆動部を有する
機械式の乳化機、例えばラインホモミキサー、ラインミ
ル〔特殊機化工業(株)製〕、マイルダー〔(株)荏原
製作所製〕、スープラトン〔月島機械(株)製〕、キャ
ビトロン、ボックボルトホモジナイザー〔(株)ユーロ
テック製〕、及びコロイドミル〔 Fryma社製、スイス
国〕等が挙げられる。又、駆動部を有しないモーション
レス(静止)型の乳化機としては、スルザーミキサー
〔Sulzer社製、スイス国〕、ロス ISGミキサー〔C-harl
ess&Loss社製、米国〕、スクエァーミキサー〔桜製作所
(株)製〕、ハイミキサー〔東レ(株)製〕、及びスタ
ティックミキサー〔ノリタケカンパニー リミテッド
製〕等が挙げられる。
【0007】乳化物のタイプとしては、O/W型、或は
W/O型のどちらでも適用することが出来、油相、水相
の比率は対象とする乳化物により任意にとることが可能
である。必要に応じて水相又は油相に固形分又は粉体原
料を予備分散させるか、又は溶解させておくことも可能
である。水相は水のみでも良いし、又乳化物としての機
能を付与するための物質、例えば界面活性剤を添加した
ものでも良い。又、油相は動植物油脂由来の物質、化学
合成による物質が用いられ、又乳化物としての機能を付
与するための物質を添加したものでも良い。
【0008】次の工程として、上記の前工程で製造した
比較的高温の予備乳化物と、コンセントレート化により
減らした残りの昇温されていない油相又は水相と、そし
てその他の最終配合物中で冷却に使用できるものとを攪
拌、混合する。この時の攪拌、混合の方法としては、攪
拌槽を用いたバッチ方式の混合でも良く、又上記の予備
乳化で用いた様な機械式或は静止型乳化機を混合機とし
て用いて連続方式で行っても良い。
【0009】一例として図3に示す本発明の乳化物製造
方式の場合は、配合槽Aに仕込まれた油相の一部又は全
部と、配合槽Bに仕込まれた水相の一部又は全部とを、
乳化機1に連続的に供給し予備乳化物を製造し、この予
備乳化物を配合槽Dへ供給する。一方残りの油相及び/
又は水相は配合槽Cに仕込まれ、これが配合槽Dへ供給
され、この配合槽Dでバッチ方式で攪拌、混合され、最
終乳化物が得られる。この際予備乳化物を形成する水相
及び油相は加熱昇温されているが、配合槽で添加混合さ
れる残りの水相及び/又は油相により冷却され、速やか
に所望の温度に調節される。又、別の例として図4に示
す本発明の乳化物製造方式の場合は、予備乳化物をつく
るための油相と水相とを乳化機1に供給するまでの工程
は、前記の図3に示す製造方法と同一であるが、次の工
程として予備乳化物と配合槽Cに供給される残りの油相
及び/又は水相である液体原料とを、攪拌槽の代わりを
成す別の乳化機1'に供給して、連続的に攪拌、混合が行
われ、最終乳化物が製造される。又、予備乳化物を製造
する際に、乳化機への原料の供給速度、乳化機の運転条
件(駆動部を有するものの場合はその回転数、駆動部を
有しないものの場合はそのエレメントの口径、数等)を
任意に変えることで乳化物の粒径を 0.1〜100 μm程度
の範囲で制御することが可能である。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明する
が、本発明はこの実施例により制限されるものではな
い。実施例1 下記に示す配合物と配合割合で、原料を調製した。 配 合 原 料 割合、重量% 配合量、Kg (a) 塩化ジアルキルジメチルアンモニウム 1.0 1.5 (b) 塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 0.5 0.75 (c) セチルアルコール 2.0 3.0 (d) ヒドロキシエチルセルロース 0.3 0.45 (e) プロピレングリコール 2.0 3.0 (f) 水 94.2 141.3 合 計 100.0 150.0 図3に示した製造方式を用い、以下の手順で乳化物を製
造した。最初に、配合槽Aに油相となる上記の配合原料
(a) ,(b) ,(c) ,(e) を仕込み、70℃で予備混合し、
同時に配合槽Bに配合原料(d) と配合原料(f) である水
の1/3 量(47.1Kg)の水を予備溶解し、70℃に調整する。
次に配合槽Aと配合槽B中の液体を、連続的に乳化機1
〔(株)ノリタケカンパニー リミテッド製、スタチッ
クミキサー、内径12mmφ、長さ 160mm、8エレメント〕
を通して、予備乳化物を製造しながら、10分間で配合槽
D(容量200 l)に仕込む。同時に配合槽Dの攪拌機を回
転させながら、水(f) の残り2/3 量(94.2Kg)を室温(20
℃)で配合相Cから配合槽Dに仕込み、攪拌、混合を行
うことにより、4500Kg/m3・Hrの割合で乳化物を得た。
この時の配合槽D中の配合物の温度は40℃となった。得
られた乳化物の平均粒径は10μmであり、配合時間は10
分であった。尚、乳化物の粒径の測定にはレーザー回折
式粒度分布測定装置〔(株)堀場製作所製、LA−500
型〕を用いた。
【0011】比較例1 実施例1と同様な配合原料と配合割合で、図1に示す従
来の製造方式により、以下の手順で乳化物を製造した。
最初に、配合槽Aに上記の配合原料(a) ,(b) ,(c) ,
(e) を仕込み、70℃で予備混合し、同時に配合槽Bに配
合原料(d) と配合原料(f) の水の1/3 量(47.1Kg)を予備
溶解し、70℃に調整する。次に配合槽D(容量200 l)に
水(f) の残り2/3量(94.2Kg)を配合槽Cから70℃で仕
込んだ(10分間)後に、配合槽Dに配合槽B中の水相用
液体を仕込み、均一に攪拌、混合を行った(5分間)。
続いて、配合槽Dに配合槽A中の油相用液体を仕込み、
均一に攪拌、混合を行い乳化物を製造し(10分間)、更
に配合槽D中の乳化物を70℃から40℃まで冷却し、乳化
物を安定化させる(35分間)ことにより 750Kg/m3・Hr
の割合で乳化物を得た。得られた乳化物の平均粒径は10
μmであり、配合時間は60分であった。尚、粒径の測定
は実施例1と同様の装置により行った。実施例1と比較
例1とを比較すると、下記の表1の様になる。
【0012】
【表1】
【0013】表1より、本発明の製造方法を用いれば、
従来の製造方法と比べて配合時間(製造時間)は1/6 で
済み、又生産性は6倍向上することが判る。
【0014】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、コンパクト
な設備でしかも生産性を大幅に向上させることが出来、
且つ必要以上に昇温・冷却を行うことがないので、非常
に省エネルギー的である。又、予備乳化物を製造する際
に、乳化機への原料の供給速度、乳化機の運転条件を任
意に変えることで、乳化物の粒径を制御することが可能
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の乳化物製造方式を示す概略図である。
【図2】従来の別の乳化物製造方式を示す概略図であ
る。
【図3】本発明の乳化物製造方式を示す概略図である。
【図4】本発明の別の製造方式を示す概略図である。
【符号の説明】
1 乳化機 1' 乳化機 2 攪拌翼 3 邪魔板 4 ジャケット 5 循環ポンプ 6 外部循環熱交換器 7 攪拌機モーター 8 移送ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−291036(JP,A) 特開 昭57−78038(JP,A) 特開 昭57−94746(JP,A) 特開 平3−258332(JP,A) 実開 昭59−162925(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水相と油相から成る乳化物を製造するに
    際して、水相の一部と油相の全部、水相の全部と油相の
    一部、又は水相の一部と油相の一部の何れかを、乳化機
    に連続的に供給して加熱下で予備乳化物を連続的に生成
    させると共に、該予備乳化物と残りの水相及び/又は油
    相とを、連続的に配合槽又は乳化機に供給して攪拌・混
    合することを特徴とする乳化物の製造方法。
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