JP5972434B2 - 乳化分散液製造システム - Google Patents

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Description

本発明は、媒体液中に所定の材料を乳化又は分散させて乳化分散液を製造する乳化分散液製造システムに関するものであり、より詳しくは、媒体液と、該媒体液に溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液に強いせん断力を加えることにより、基本的には界面活性剤を用いることなく、乳化分散材料を媒体液中に乳化又は分散させる乳化分散液製造システムに関するものである。
一般に、媒体液中に液体又は固体の乳化分散材料を乳化又は分散させて乳化分散液を製造する場合、種々の界面活性剤が用いられる。しかしながら、乳化分散液が人体と接触する可能性がある場合、例えば乳化分散液が化粧品や食品である場合、界面活性剤が人体にとって有害なことがある。そこで、媒体液と該媒体液に溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液に強いせん断力を加えることにより、基本的には界面活性剤を用いることなく、乳化分散材料を媒体液中に乳化又は分散させるようにした乳化分散装置が種々提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
この種の乳化分散装置として、例えば、媒体液と液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液に強いせん断力を加えて乳化分散を行う高圧噴射式又は回転攪拌式の乳化分散装置が知られている。そして、例えば高圧噴射式の乳化分散装置では、高圧の混合液をノズルから噴射してジェット流を生成し、このジェット流を壁に衝突させあるいは壁で反転させて、液・液間でジェット流の運動エネルギをせん断エネルギに変換することにより乳化分散を行うようにしている。
しかしながら、混合液に強いせん断力が作用するときに、せん断力が作用する場が不均一であると、例えばせん断力が作用する場に局所的な圧力差や速度差が存在すると、媒体液中に溶解している空気又は媒体液中に残留している空気が気泡となってバブリングが発生し、このバブリングにより粗大な乳化分散材料粒子が発生する。そこで、従来のこの種の乳化分散装置では、混合液ないしは乳化分散液に背圧をかけてこのようなバブリングの発生を防止するようにしている。
特開平8−89774号公報 国際公開第2003/059497号明細書
ところで、近年、市場では、材料の乳化分散性が非常に高い乳化分散液、すなわち乳化分散材料が非常に微粒化された乳化分散液が求められている。そこで、媒体液ないしは混合液にさらに高い圧力を加えて、乳化分散材料のさらなる微粒化を図るようにした乳化分散装置が開発されているが、これに伴ってバブリングの発生がより深刻な問題となっている。ここで、混合液ないしは乳化分散液の背圧をさらに高くすれば、乳化分散装置内でのバブリングの発生を抑制することができる。しかし、このようにすると、乳化分散液が乳化分散装置から排出されたときに生じる瞬時の圧力低下によりバブリングが発生するといった問題が生じる。
乳化分散液中でバブリングが発生すると、媒体液に粉体の材料を分散させる場合(サスペンジョン)は、粉体表面に気泡が付着して粉体の濡れ性が悪くなるといった問題が生じる。他方、媒体液に液体の材料を乳化させる場合(エマルジョン)は、エアゾールが形成されやすくなり、乳化分散液の製品としての品質が低下するといった問題が生じる。また、気泡がエネルギを吸収するので、エネルギ損失が大きくなり、エネルギ効率が悪くなるといった問題が生じる。さらに、例えば乳化分散材料として不飽和脂肪酸を用いる場合は、高温下において気泡中の酸素により乳化分散材料が酸化されるので、製品の品質が低下するといった問題が生じる。
本発明は、上記従来の問題を解決するためになされたものであって、媒体液と該媒体液に溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液に十分なせん断力を加えて乳化分散材料を十分に微粒化することができ、かつバブリングの発生を有効に防止して良好な品質の乳化分散液を製造することができる乳化分散液製造システムを提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る乳化分散液製造システムは、媒体液(例えば水、メタノール、エタノール、これらの混合物等)と、媒体液に溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液にせん断力を加えることにより、乳化分散材料(乳化材料及び/又は分散材料)を媒体液中に乳化又は分散させて乳化分散液(乳化液及び/又は分散液)を製造する。この乳化分散液製造システムは、その基本的態様においては、混合液供給装置と、混合液加圧装置と、乳化分散装置と、多段圧力温度制御装置とを備えている。
この乳化分散液製造システムにおいて、混合液供給装置は、媒体液と乳化分散材料とを含む混合液を混合液加圧装置に供給する。混合液加圧装置は、混合液供給装置から供給された混合液を加圧してこれを乳化分散装置に排出する。乳化分散装置は、混合液加圧装置から排出された混合液を受け入れ、混合液の圧力エネルギを運動エネルギに変換することにより混合液のジェット流を生成し、ジェット流中に生じるせん断力により混合液中の乳化分散材料を媒体液中に乳化分散させて乳化分散液を生成し、これを多段圧力温度制御装置に排出する。多段圧力温度制御装置は、乳化分散装置から排出された乳化分散液を受け入れ、乳化分散液の圧力を段階的ないしは漸次的に低下させるととともに乳化分散液の温度を制御する一方、乳化分散装置内の乳化分散液に背圧をかける。
この乳化分散液製造システムにおいて、多段圧力温度制御装置は、それぞれ、その内部を伝熱媒体が流通する外套(又は外管)と該外套の内部に配置されその内部を乳化分散液が流通する伝熱管とを有し、乳化分散液の流れ方向に関して上流側から下流側に向かって順に直列に配置された第1〜第3制御部を有している。第1〜第3制御部の各伝熱管は直列に接続されている。第1〜第3制御部の各伝熱管の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形態(パイピング)は、第1〜第3制御部における各伝熱管の圧力低下量をそれぞれΔP、ΔP、ΔPとすれば、該乳化分散液製造システムの稼働時における各伝熱管内の乳化分散液の流速及び粘度(又は温度)に応じて、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定されている。
本発明に係る乳化分散液製造システムにおいて、第1〜第3制御部の各伝熱管の内直径、全長及び全体形状は、それぞれ、各伝熱管内を乳化分散液が層流(例えば、レイノルズ数が100〜2000)で流れるように設定されていてもよい。また、第1〜第3制御部の各伝熱管の内直径、全長及び全体形状は、それぞれ、各伝熱管内を乳化分散液が乱流(例えば、レイノルズ数が3000〜50000)で流れるように設定されていてもよい。
本発明に係る乳化分散液製造システムは、乳化分散液の流れ方向に関して、混合液供給装置と混合液加圧装置との間に、混合液を加熱又は冷却する熱交換器を備えているのが好ましい。また、混合液供給装置は、混合液を、熱交換器を経由して混合液加圧装置に圧送する混合液圧送ポンプを備えているのが好ましい。
本発明に係る乳化分散液製造システムにおいては、乳化分散装置が、それぞれ細孔を有し乳化分散液の流れ方向に関して上流側から下流側に向かって順に、各細孔が互いに直列に接続されるよう直列に配置された第1〜第3細孔部材(細孔セル)を有しているのが好ましい。この場合、第1〜第3細孔部材の細孔の内直径をそれぞれd、d、dとすれば、各内直径d、d、dは、d>d>dの関係を満たすように設定するのが好ましい。
本発明に係る乳化分散液製造システムにおいては、乳化分散装置は、互いに直列に接続された第1乳化分散装置と第2乳化分散装置とで構成されているのが好ましい。この場合、第1乳化分散装置の下流に、第1添加剤を乳化分散液に添加する第1添加剤供給装置を付設し、第2乳化分散装置の下流に、第2添加剤を乳化分散液に添加する第2添加剤供給装置が付設するのがより好ましい。
本発明によれば、混合液加圧装置によって混合液に高圧がかけられるので、乳化分散装置内で混合液に強いせん断力を加えることができ、界面活性剤を用いることなく、乳化分散材料を十分に微粒化することができる。また、多段圧力温度制御装置によって乳化分散装置内の乳化分散液に背圧がかけられるので、乳化分散装置内におけるバブリングの発生を防止することができる。さらに、多段圧力温度制御装置内では、乳化分散液の圧力が段階的ないしは漸次的に低下させられ急激ないしは瞬時の圧力低下が起こらないので、乳化分散液が乳化分散液製造システムから外部に排出される際に、乳化分散液中にバブリングが発生しない。また、乳化分散液製造システムから外部に排出される乳化分散液の温度を好ましく制御することができる。このため、乳化分散液の製品としての品質を高めることができ、かつ、エネルギの損失を低減してエネルギ効率を高めることができる。
本発明の実施形態に係る乳化分散液製造システムのシステム構成図である。 図1に示す乳化分散液製造システムを構成する第1、第2乳化分散装置の概略構成を示す模式図である。 図1に示す乳化分散液製造システムを構成する多段圧力温度制御装置の概略構成を示す模式図である。 多段圧力温度制御装置内での乳化分散液の位置的な圧力変化の態様を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態を具体的に説明する。まず、本発明の実施形態に係る乳化分散液製造システムの概要を説明する。一般に、媒体液と液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液に強いせん断力を加えて乳化分散材料を乳化分散させるようにした乳化分散装置において、混合液に強いせん断力を加えた場合、せん断力が作用する場が不均一であるとき、例えばせん断力が作用する場における混合液の速度ないし圧力のバランスが崩れたときにはバブリングが発生し、乳化分散材料の粒子が不均一化して粗大粒子が発生する。そして、従来は、混合液を非常に高圧にすることによりバブリングの発生を防止するようにしている。
しかしながら、このように混合液を非常に高圧にすると、多大なエネルギが消費される。そこで、本発明に係る乳化分散液製造システムでは、乳化分散装置の下流に多段圧力温度制御装置を設けることにより、混合液にさほど高圧をかけることなくバブリングの発生を防止するようにしている。これにより、乳化分散材料の粒子の寸法ないしは形状が均一化され、粗大粒子の発生が有効に防止され、かつエネルギ消費量が低減される。
本発明に係る乳化分散液製造システムにおける基本的な技術思想は、製品である乳化分散液の出口、すなわち、生成された乳化分散液が大気圧下に開放される時点を基準にして、この時点で生じる圧力低下がバブリングを発生させない構成とすることにある。すなわち、発想の原点を下流側におき、上流側での投入エネルギ等の諸条件に対応するようにしている。そして、本発明に係る乳化分散液製造システムは、乳化分散材料を媒体液中に乳化又は分散させる乳化分散装置と、バブリングの発生を防止する多段圧力温度制御装置とを直列に接続したことを基本的特徴とする。
乳化分散装置は、乳化分散液の流れ方向に関して上流側から下流側に向かって順に、細孔の内直径が互いに異なる第1〜第3細孔部材を軸方向にシールを介して直列に接続したものである。そして、第1〜第3細孔部材の細孔の内直径をそれぞれd、d、dとすれば、各内直径d、d、dを、d>d>dの関係を満たすように設定していることを特徴とする
多段圧力温度制御装置は、乳化分散液の流れ方向に関して、上流側から下流側に向かって順に直列に配置された第1〜第3制御部を有している。第1〜第3制御部は、それぞれ、その内部を伝熱媒体が流通する外套(シェル)ないしは外管と、外套の内部に配置されその内部を乳化分散液が流通する伝熱管とを有している。これらの伝熱管は直列に接続されている。そして、多段圧力温度制御装置は、段乳化分散装置に対して必要な背圧を加える一方、この背圧を第1〜第3制御部で段階的ないしは漸次的に減圧する。ここで、第1〜第3制御部は、乳化分散液を、大気圧下に解放されたときにバブリングを生じない圧力、例えば大気圧まで減圧するとともに、乳化分散液を所定の温度、例えば室温まで冷却する。
この多段圧力温度制御装置においては、第1〜第3制御部の各伝熱管の内直径、全長、及びその全体的形状ないしは全体的形態は、各伝熱管内の乳化分散液の流速(平均流速)及び粘度(又は平均温度)に応じて、第1〜第3制御部における各伝熱管の圧力低下量をそれぞれΔP、ΔP、ΔPとすれば、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定される。なお、各伝熱管の接続部には、それぞれ、前後の伝熱管間での減圧作用を寸断する拡管部が設けられている。要するに、多段圧力温度制御装置の全体としての減圧量は、第1〜第3制御部(伝熱管)の減圧量の総和と考えることができるので、乳化分散装置に必要な背圧に応じて各伝熱管の流動抵抗ないしは減圧量を設定するようにしている。なお、各伝熱管の流動抵抗ないしは減圧量は、それぞれ、各伝熱管の内直径及び相当長さと、各伝熱管内の乳化分散液の平均流速(場所的な平均)及び粘度又は平均温度(場所的な平均)とによって決定される。
さらに、多段圧力温度制御装置は、第1〜第3制御部の各外套内を流れる伝熱媒体の供給温度及び流量を調節することにより、多段圧力温度制御装置内の乳化分散液の温度を制御する。例えば、各外套内に伝熱媒体として冷却水を流し、その流量を調整することにより、多段圧力温度制御装置内の乳化分散液の温度ないしは多段圧力温度制御装置から排出される乳化分散液の温度の温度を所定の目標温度まで冷却する。
さらに、第1〜第3制御部の各外套内を流れる伝熱媒体の供給温度及び流量を調節して各伝熱管内の乳化分散液の温度を制御することにより、各伝熱管内の乳化分散液の粘度ひいては各伝熱管の流動抵抗ないしは圧力低下量を補助的に制御することができる。なお、第1〜第3制御部の各伝熱管における流動抵抗ないしは圧力低下量は、主として、各伝熱管の内直径及び相当長さと、各伝熱管内の乳化分散液の流速とによって制御するのはもちろんである。
なお、本発明に係る多段圧力温度制御装置は、従来用いられている回転式や高圧式の乳化分散装置にも適用することができる。この場合も、多段圧力温度制御装置は、乳化分散装置に対し必要な背圧を与えて乳化分散装置内におけるバブリングの発生を抑止する一方、この背圧を段階的ないしは漸次的に減圧してゆき、乳化分散液の圧力を、最終的に大気圧下に解放してもバブリングが発生しない圧力、例えばほぼ大気圧にまで減圧することになる。
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明に係る乳化分散液製造システムの具体的な構成及び機能を説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る乳化分散液製造システムSにおいては、原料である混合液又は製品である乳化分散液の流れ方向に関して、上流側から下流側に向かって順に、混合液供給タンク1と、混合液圧送ポンプ2と、熱交換器3と、混合液加圧ポンプ4と、第1乳化分散装置5と、第1添加剤供給ポート6と、第2乳化分散装置7と、第2添加剤供給ポート8と、多段圧力温度制御装置9とが直列に配設されている。
混合液供給タンク1内には、媒体液(例えば水)と、媒体液には溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液が貯留されている。詳しくは図示していないが、混合液供給タンク1内には攪拌機が付設され、この攪拌機は、媒体液中に乳化分散材料が巨視的にはほぼ均一に分布するように、混合液を常時攪拌している。なお、ここで「乳化分散材料」は、媒体液中に乳化又は分散させるべき材料を意味する。
混合液供給タンク1内の混合液は、混合液圧送ポンプ2により、所定の流量で、熱交換器3を経由して混合液加圧ポンプ4に供給される。熱交換器3は、適当な伝熱媒体、例えばスチーム、高温の水(例えば80〜100℃)、高温の鉱油(例えば、100〜500℃)等を用いて、混合液を、乳化分散材料が水の中で乳化分散するのに適した所定の温度となるように加熱する。熱交換器3としては、例えば、2重管式熱交換器、コイル式熱交換器、プレート式熱交換器等を用いることができる。また、場合によっては、混合液を加熱するのではなく、冷却することもある。この場合は、伝熱媒体として、例えば低温の水(例えば0〜5℃)、低温の冷媒(例えば−20〜0℃)等を用いればよい。なお、混合液の温度を調節する必要がなければ、熱交換器3を省いてもよい。
混合液加圧ポンプ4は、混合液圧送ポンプ2から熱交換器3を経由して供給される混合液を、例えば30〜300MPa(300〜3000バール)に加圧して下流側に吐出する。そして、混合液加圧ポンプ4から吐出された高圧の混合液は、この高圧を維持しつつ、まず第1乳化分散装置5に供給される。第1乳化分散装置5は、後で詳しく説明するように、ジェット流による液・液せん断により、乳化分散材料を媒体液中に乳化分散させて乳化分散液を生成し、これを下流側に排出する。乳化分散材料の一部が媒体液中に乳化分散しなかった場合、この乳化分散材料は、後で説明する第2乳化分散装置7により乳化分散させられる。なお、ここで「乳化分散液」は、乳化させるべき材料及び/又は分散させるべき材料が媒体液中に乳化又は分散している液体(例えば、エマルジョン、サスペンション等)を意味する。
第1乳化分散装置5から排出された乳化分散液は、第1添加剤供給ポート6を経由して第2乳化分散装置7に供給される。第1添加原料供給ポート6では、所定の第1添加剤が乳化分散液中に添加される。第1添加剤は1種類の添加剤でも複数種類の添加剤の混合物でもよい。なお、第1添加剤供給ポート6内の乳化分散液は高圧であるので、第1添加剤は、図示していない高圧ポンプにより第1添加剤供給ポート6に圧入される。なお、必要がなければ、第1添加剤は添加しなくてもよい。
そして、第1添加剤が添加された乳化分散液は、第1添加剤供給ポート6から排出されて第2乳化分散装置7に供給される。第2乳化分散装置7は、第1乳化分散装置5によって生成された乳化分散液中に乳化分散していない乳化分散材料が存在する場合、この乳化分散材料を、基本的には第1乳化分散装置5と同様の液・液せん断により媒体液中に乳化分散させ、乳化分散材料が完全に乳化分散している乳化分散液を生成し、これを下流側に排出する。なお、乳化分散材料が第1乳化分散装置5によって十分に乳化分散する場合は、第2乳化分散装置7を省いてもよい。
第2乳化分散装置7から排出された乳化分散液は、第2添加剤供給ポート8を経由して多段圧力温度制御装置9に供給される。第2添加剤供給ポート8では、所定の第2添加剤が乳化分散液中に添加される。第2添加剤は1種類の添加剤でも複数種類の添加剤の混合物でもよい。なお、第2添加剤供給ポート8内の乳化分散液は高圧であるので、第2添加剤は、図示していない高圧ポンプにより第2添加剤供給ポート8に圧入される。なお、必要がなければ、第2添加剤は添加しなくてもよい。
そして、第2添加剤が添加された乳化分散液は、第2添加原料供給ポート8から排出されて多段圧力温度制御装置9に供給される。多段圧力温度制御装置9は、後で詳しく説明するように、第2乳化分散装置7内の乳化分散液と第1乳化分散装置5内の乳化分散液とに対して所定の背圧をかけ、第1、第2乳化分散装置5、7の内部におけるバブリングの発生を防止するとともに、生成された乳化分散液の圧力を段階的ないしは漸次的に減圧し、多段圧力温度制御装置9の出口部における乳化分散液の圧力を、乳化分散液を大気圧下に解放してもバブリングが発生しない程度の圧力、例えば大気圧にまで低下させる。
図2は、第1乳化分散装置5の構造を模式的に示す図である。なお、第2乳化分散装置7の構造及び機能は、図2に示す第1乳化分散装置5と実質的には同様であるので、説明の重複を避けるため、以下では第1乳化分散装置5の構成及び機能のみを説明する。図2に示すように、第1乳化分散装置5は、互いに直列に接続された、ノズル部材11と、円筒形の通路部材12と、略円柱形の本体部13とを備えている。
ここで、ノズル部材11と通路部材12と本体部13とは、これらの中心軸が一直線となるように、すなわち同軸状となるように配置されている。本体部13は、混合液ないしは乳化分散液の流れ方向(図2中の位置関係では右向き)に関して、上流側から下流側に向かって順に並ぶ第1〜第3細孔部材14〜16を備えている。第1〜第3細孔部材14〜16は、それぞれ、該第1〜第3細孔部材14〜16をその中心軸方向に貫通する円柱形の第1〜第3細孔17〜19を有している。なお、第1〜第3細孔部材14〜16は、リング状のシール部材20を介して相互に接続されている。
ここで、第1〜第3細孔部材14〜16の第1〜第3細孔17〜19の内直径をそれぞれd、d、dとすれば、各内直径d、d、dは、d>d>dの関係を満たすように設定されている。ここで、円筒形の通路部材12の内直径は、dより大きい値に設定されている。なお、通路部材12の内直径はdと同一であってもよい。また、各シール部材20の内直径はdより大きい値に設定されている。なお、第1〜第3細孔部材14〜16の内直径は、混合液ないしは乳化分散液の性状に応じて、例えば0.4〜4mmの範囲内で好ましく設定され、その長さは例えば4〜40mmの範囲内で好ましく設定される。また、ノズル部材11の内直径は、混合液ないしは乳化分散液の性状に応じて、例えば0.1〜0.5mmの範囲内で好ましく設定され、ノズル長さは例えば1〜4mmの範囲内で好ましく設定される。シール部材20の内直径は、例えば2〜8mmの範囲内で好ましく設定される。
第1乳化分散装置5においては、比較的小径の第1細孔部材14ないしは第1細孔17は、比較的大径の通路部材12内の混合液に対して所定の背圧をかける。また、最も小径の第3細孔部材16ないしは第3細孔19は、最も大径の第2細孔部材15ないしは第2細孔18内の混合液ないしは乳化分散液に対して所定の背圧をかける。前記のとおり、リング状のシール部材20の内直径は、最も大径の第2細孔部材15ないしは第2細孔18の内直径d2より大きいので、混合液ないしは乳化分散液の圧力を瞬間的に緩和することにより、第1〜第3細孔部材14〜16が、それぞれ独立した減圧作用を生じさせることを可能にする。
第1乳化分散装置5においては、最も強いせん断が生ずる通路部材12に対して、この強いせん断によって生じようとするバブリングを防止するのに十分な背圧をかけることができる。また、最も小径の第3細孔部材16ないしは第3細孔19は、最も大径の第2細孔部材15による圧力緩和に対して、この圧力緩和によりバブリングが生じない背圧をかける。なお、第3細孔部材16の下流側でこれと連通する、第1添加原料供給ポート6への円筒形の接続部材21の内直径は、第3細孔部材16ないしは第3細孔19の内直径d3に対して十分に大きくなっている。
かくして、混合液加圧ポンプ4によって、例えば30〜300MPa(300〜3000バール)の高い圧力に加圧された混合液は、ノズル部材11により、高速のジェット流に変換されて通路部材12内に噴出する。通路部材12内に噴出したジェット流は、周囲に存在する混合液に強いせん断力を加えて乳化分散材料の乳化分散を生じさせる。そして、混合液のジェット流自体は、その運動エネルギを失いつつ第1〜第3細孔部材14〜16内に流入し、第1〜第3細孔部材14〜16内に存在する混合液にせん断力を加え、乳化分散材料の乳化分散を生じさせて乳化分散液を生成する。
なお、第1〜第3細孔部材14〜16は、軸心部を通過する混合液のジェット流と、その周囲に存在する混合液との間における液・液せん断により、ジェット流の運動エネルギがせん断エネルギや熱エネルギに変換され、その運動エネルギが次第に失われる小径の細孔を有するものである。第1〜第3細孔部材14〜16ないしは第1〜第3細孔17〜19の内直径及び段数の設定は、バブリングを発生させることなく強力な乳化分散作用を生じさせる上で極めて重要な要素である。
このように、第1、第2乳化分散装置5、7には、混合液加圧ポンプ4によって混合液に高圧がかけられるので、第1、第2乳化分散装置5、7内で混合液に強いせん断力を加えることができ、乳化分散材料を十分に微粒化することができる。また、後で説明する多段圧力温度制御装置9によって第1、第2乳化分散装置5、7に背圧がかけられるので、第1、第2乳化分散装置5、7内におけるバブリングの発生を防止することができる。
なお、図2に示す第1〜第3細孔部材14〜16は、それぞれ、内直径が互いに異なる単一の円筒部材で構成されている。しかしながら、第1〜第3細孔部材14〜16を、それぞれ、複数(例えば2〜3個)の円筒部材で構成してもよい。この場合、各細孔部材14〜16において、各円筒部材間にはシール部材20を介設するのが好ましい。
図3は、多段圧力温度制御装置9の構造を模式的に示す図である。多段圧力温度制御装置9は、第2乳化分散装置7から第2添加原料供給ポート8を経由して供給される乳化分散液を受け入れ、乳化分散液の圧力を段階的ないしは漸次的に低下させるととともに、第1、第2乳化分散装置5、7内の乳化分散液に背圧をかける。また、多段圧力温度制御装置9は、せん断力による乳化分散により高温となった乳化分散液を、所定の温度、例えば室温(20〜30℃)まで冷却する。また、乳化分散液の温度ひいては粘度を制御することにより、補助的に圧力低下を制御する。
図3に示すように、多段圧力温度制御装置9は、乳化分散液の流れ方向(図3中の位置関係では右向き)に関して上流側から下流側に向かって順に直列に接続された第1〜第3制御部23〜25を備えている。ここで、第1制御部23は、その内部を冷却水(伝熱媒体)が流通する第1外套26と、この第1外套26の内部に配置されその内部を乳化分散液が流通する第1伝熱管29とを有している。第2制御部24は、その内部を冷却水が流通する第2外套27と、この第2外套27の内部に配置されその内部を乳化分散液が流通する第2伝熱管30とを有している。第3制御部25は、その内部を冷却水が流通する第3外套28と、この第3外套28の内部に配置されその内部を乳化分散液が流通する第3伝熱管31とを有している。
多段圧力温度制御装置9においては、第1〜第3伝熱管29〜31は、いずれもその横断面が円形であり、連通部材35を介して互いに直列に接続されている。なお、乳化分散液の流れ方向に関して、第1伝熱管29の上流側の端部及び第3伝熱管31の下流側の端部は、それぞれ連通部材35を介して、これらの上流側及び下流側の配管に接続されている。
多段圧力温度制御装置9において、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形状(パイピング、コンフィギュレーション)は、第1〜第3伝熱管29〜31の圧力低下をそれぞれΔP〜ΔPとすれば、第1〜第3伝熱管29〜31内を流れる乳化分散液の流速、密度及び粘度等の物性を考慮した上で、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定されている。すなわち、所定の物性ないしは組成の乳化分散液が得られるように、第1〜第3伝熱管29〜31内を流れる乳化分散液の温度、流速、密度及び粘度を好ましく設定した上で、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形状を決定する。
なお、このように多段圧力温度制御装置9の第1〜第3伝熱管29〜31の圧力低下ΔP〜ΔPを、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定するのは、本願発明者が、多段圧力温度制御装置9の第1〜第3伝熱管29〜31における圧力低下の種々の組合せについてバブリングの発生の有無を実験により確認した結果に基づくものである。この実験により、バブリングが発生しない圧力低下の組合せは、上記条件を満たす場合のみであり、この条件を満たさない組合せではバブリングが発生することが判明した。
前記のとおり、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形態は、乳化分散液の流速、密度及び粘度等の物性に応じて、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定されるが、第1〜第3伝熱管29〜31における圧力低下量ΔP〜ΔPは、以下で説明する手法により算出ないしは推算することができる。
<乳化分散液が層流の場合>
まず、第1〜第3伝熱管29〜31内を乳化分散液が層流で流れる場合の圧力低下量ΔP〜ΔPの算出手法を説明する。この場合は、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径をそれぞれD〜Dとし、第1〜第3伝熱管29〜31の相当長さをそれぞれLe〜Leとし、第1〜第3伝熱管29〜31内の乳化分散液の流速をそれぞれU〜Uとし、第1〜第3伝熱管29〜31内の乳化分散液の粘度をそれぞれμ〜μとし、重力換算係数をg(9.8kg・m/Kg・sec2)とすれば、圧力低下量ΔP〜ΔPは、それぞれ、下記の式1〜3、すなわちハーゲン・ポアズイユ(Hagen-Poiseuille)の式により算出することができる。

ΔP=32・U1・Le1・μ1/(g・D1 )・・・・・・・・・・・・・・・式1
ΔP=32・U2・Le2・μ2/(g・D2 )・・・・・・・・・・・・・・・式2
ΔP=32・U3・Le3・μ3/(g・D3 )・・・・・・・・・・・・・・・式3
なお、ここで「相当長さLe」は、種々の形態の実際の伝熱管の圧力低下ないしは圧力損失と同一の圧力低下ないしは圧力損失を生じさせる、上記伝熱管と内直径が同一の直管の長さを意味する(乳化分散液が乱流で流れる後記の場合も同様)。つまり、本発明では、種々の管継ぎ手等を有しかつ種々の全体形状をもつ種々の伝熱管を、同一の圧力低下を生じさせる直管に置き換える(同一視する)ことにより、ハーゲン・ポアズイユの式を利用することができるようにしている。なお、種々の形態の管ないしは管継ぎ手の「相当長さ」の算出方法は、当業者にはよく知られているので、その詳しい説明は省略する。第1〜第3伝熱管29〜31の断面が円形でない場合、例えば楕円、正方形、矩形等である場合は、上記内直径D〜Dに代えて「相当直径(4×管断面積/浸辺長)」を用いればよい(乳化分散液が乱流で流れる後記の場合も同様)。
このように、第1〜第3伝熱管29〜31内の乳化分散液の流れが層流である場合、すなわちレイノルズ(Reynolds)数がおおむね2300以下である場合、第1〜第3伝熱管29〜31における圧力低下ないしは圧力損失は、第1〜第3伝熱管の内面の粗面度にかかわらず、それぞれ上記式1〜式3、すなわちハーゲン・ポアズイユの式で算出することができる。なお、例えば、乳化分散液の粘度μが3.6kg/m・hr(1センチポイズ)であり、密度ρが1000kg/mであり、流速Uが1800m/hr(0.5m/秒)である場合において、伝熱管の内直径Dを0.002m(2mm)とすれば、伝熱管内の乳化分散液の流れのレイノルズ数は下記のとおり1000であり、したがって乳化分散液の流れは層流である。

Re=D・U・ρ/μ=0.002×1800×1000/3.6=1000
かくして、第1〜第3伝熱管29〜31内に乳化分散液を層流で流す場合は、まず第1〜第3伝熱管29〜31内を流れる乳化分散液の温度、流速、密度及び粘度を設定した上で、上記式1〜式3を利用して第1〜第3伝熱管29〜31の圧力低下量ΔP〜ΔPがΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形状を決定すればよい。
<乳化分散液が流の場合>
次に、第1〜第3伝熱管29〜31内を乳化分散液が乱流で流れる場合の圧力低下量ΔP〜ΔPの算出手法を説明する。この場合、第1〜第3伝熱管29〜31が平滑管であれば、第1〜第3伝熱管29〜31における圧力低下ΔP〜ΔPは、それぞれ、下記の式4〜6、すなわちカルマン・ニクラーゼ(Karman-Nikuradse)の式により算出することができる。なお、この乳化分散液製造システムSでは、第1〜第3伝熱管29〜31にはすべて平滑管、例えば内壁面の粗度がガラス管の粗度と同程度である平滑なステンレススチール管、銅管等を用いている。
ΔP=4・f1・[(ρ1・U1 2/(2・g)]・(Le1/D1)・・・・・・・・・・・式4
但し 1/f1 0.5=4・log[(D1・U1・ρ1/μ1)・f1 0.5]−0.4

ΔP=4・f2・[(ρ2・U2 2/(2・g)]・(Le2/D2)・・・・・・・・・・・式5
但し 1/f2 0.5=4・log[(D2・U2・ρ2/μ2)・f2 0.5]−0.4

ΔP=4・f3・[(ρ3・U3 2/(2・g)]・(Le3/D3)・・・・・・・・・・・式6
但し 1/f3 0.5=4・log[(D3・U3・ρ3/μ3)・f3 0.5]−0.4
なお、式4〜式6において、ρ〜ρは、それぞれ、第1〜第3伝熱管29〜31内を流れる乳化分散液の密度である。また、f〜fは、第1〜第3伝熱管29〜31の管摩擦係数であり、第1〜第3伝熱管29〜31が平滑管であるので、レイノルズ数のみの関数である。その他の記号の意味は、乳化分散液が層流で流れる場合と同一である。
このように、第1〜第3伝熱管29〜31内の乳化分散液の流れが乱流である場合、すなわちレイノルズ(Reynolds)数がおおむね2300を超える場合、第1〜第3伝熱管29〜31における圧力低下ないしは圧力損失は、第1〜第3伝熱管29〜31が平滑管であれば、それぞれ上記式4〜式6、すなわちカルマン・ニクラーゼの式で算出することができる。なお、例えば、乳化分散液の粘度μが3.6kg/m・hr(1センチポイズ)であり、密度ρが1000kg/mであり、流速Uが3600m/hr(1m/秒)である場合において、伝熱管の内直径Dを0.003m(3mm)とすれば、伝熱管内の乳化分散液の流れのレイノルズ数は下記のとおり3000であり、したがって乳化分散液の流れは乱流である。

Re=D・U・ρ/μ=0.003×3600×1000/3.6=3000
かくして、第1〜第3伝熱管29〜31内に乳化分散液を乱流で流す場合は、まず第1〜第3伝熱管29〜31内を流れる乳化分散液の温度、流速、密度及び粘度を設定した上で、上記式4〜式6を利用して第1〜第3伝熱管29〜31の圧力低下量ΔP〜ΔPがΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形状を決定すればよい。
前記のとおり、多段圧力温度制御装置9においては、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径、全長及び全体的形状ないしは配管形状は、乳化分散液の粘度及び密度を考慮しつつ、第1〜第3伝熱管29〜31の圧力低下ΔP〜ΔPがΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように好ましく決定されるが、この実施形態では、第1伝熱管29及び第2伝熱管30はコイル状の管(蛇管)である。
そして、第1伝熱管29では、その圧力低下量ΔPを最大にするために、内直径は比較的小さく、管全長は比較的長く、コイル直径は比較的小さく、コイルピッチは比較的小さく設定されている。すなわち、第1伝熱管29は、コイル直径が小さい、密に巻かれたコイル状の管である。他方、第2伝熱管30では、その圧力低下量ΔPを最小にするために、内直径は比較的大きく、管全長は比較的短く、コイル直径は比較的小さく、コイルピッチは比較的小さく設定されている。すなわち、第2伝熱管30は、コイル直径が大きい、疎に巻かれたコイル状の管である。
また、第3伝熱管31は、全体的形状ないしは配管形状が矩形波の形状の管、すなわち矩形の凹凸を繰り返す形状の管である。そして、この第3伝熱管31は、図3中にその一部を拡大して示しているように、複数の直管37が各折れ曲がり部でそれぞれ90°エルボ38を用いて接続された組立体構造のものである。ここで、第3伝熱管31の全長、直管37の内直径、90°エルボ38の形状は、該第3伝熱管31における圧力低下量ΔPが、第1伝熱管29の圧力低下量ΔPより小さく、かつ第2伝熱管30の圧力低下量ΔPより大きくなるように好ましく設定されている。なお、第3伝熱管31は、分解してその内部を容易に清掃することができる。
第1〜第3伝熱管29〜31の寸法ないしは全体的形状の一例を以下に示す。
<第1伝熱管>
内直径D 1mm
管全長L 5m
相当長さLe 6m
全体的形状 コイル状(蛇管)
コイル直径:50mm
コイルピッチ:15mm
<第2伝熱管>
内直径D 3mm
管全長L 3m
相当長さLe 3.5m
全体的形状 コイル状(蛇管)
コイル直径:100mm
コイルピッチ:30mm
<第3伝熱管>
内直径D 2mm
管全長L 4m
相当長さLe 4.5m
全体的形状 矩形波状
1つの矩形の幅:10mm
1つの矩形の長さ:20mm
図4に、多段圧力温度制御装置9の第1〜第3制御部23〜25(第1〜第3伝熱管29〜31)における乳化分散液の位置的な圧力変化の一例を示す。図4に示すように、多段圧力温度制御装置9内では、乳化分散液の圧力は段階的ないしは漸次的に低下し、第3制御部25(第3伝熱管31)の出口部では、大気圧ないしはほぼ大気圧となっている。このように、多段圧力温度制御装置9内では、乳化分散液の圧力が段階的ないしは漸次的に低下させられ急激ないしは瞬時の圧力低下が起こらないので、乳化分散液が乳化分散液製造システムSから外部に排出される際に、乳化分散液中にバブリングが発生しない。また、乳化分散液製造システムSから外部に排出される乳化分散液の温度を好ましく制御することができる。このため、実質的に界面活性剤を用いることなく、乳化分散液の製品としての品質を高めることができ、かつ、エネルギの損失を低減してエネルギ効率を高めることができる。
多段圧力温度制御装置9は、第1、第2乳化分散装置5、7に対して必要な背圧、すなわちバブリングの発生を防止することができる背圧を設定することができる一方、この背圧を段階的ないしは漸次的に減圧して最終的には大気に解放してもバブリングが発生しない圧力まで低下させることができる。その際、第1〜第3伝熱管29〜31の内直径ないしは相当内直径と、全長(管長)ないしは相当長さと、全体的形状とを好ましく組み合せることにより、背圧あるいは背圧の減圧度に高い自由度でもって対応することができる。
なお、この乳化分散液製造システムSにおいては、水あるいはその他の種々の媒体液(例えば、メタノール、エタノール、あるいはこれらの水溶液等)を用いることができるが、これらの媒体液を臨界状態として乳化分散材料を乳化分散させてもよい。例えば、媒体液が水であり、乳化分散材料がグリセロリン脂質であるレシチンある場合は、およそ次のような工程で乳化分散材料を乳化分散させればよい。
すなわち、まず混合液供給タンク1内に、所定量の水及びレシチン並びにその他の必要な添加剤を入れて攪拌機(図示せず)で攪拌し、巨視的ないしはマクロ的には媒体液である水の中にレシチン及び添加剤の微粒子がほぼ均一に分布している混合液を調製する。そして、この混合液を圧送ポンプ2により所定の流量で熱交換器3を経由して、混合液加圧ポンプ4に供給する。ここで、熱交換器3及び混合液加圧ポンプ4により、混合液を、媒体液である水の臨界温度である374.2℃以上の温度(例えば400℃)に昇温するとともに、水の臨界圧力である218.4気圧以上の圧力(例えば1000気圧)に昇圧して、混合液を臨界状態にする。
そして、臨界状態となっている混合液を、第1乳化分散装置5さらには第2乳化分散装置7に供給する。なお、必要であれば、第1、第2添加剤供給装置6、8から所定の添加剤を添加する。媒体液である水が臨界状態となっているので、レシチン等の非水溶性の乳化分散材料は水の中に乳化又は分散しやすい状態となっている。このような状態で、混合液が第1乳化分散装置5内に、さらには第2乳化分散装置7内に高速で噴射されるので、強いせん断力によってレシチン等の非水溶性の乳化分散材料の乳化分散が促進される。このため、界面活性剤を用いることなく、媒体液である水の中に、レシチン等の非水溶性の乳化分散材料を乳化分散させることができる。
その際、多段圧力温度制御装置9によって、第1、第2乳化分散装置5、7内の高温・高圧の混合液ないしは乳化分散液に背圧がかけられるので、第1、第2乳化分散装置5、7ではバブリングは発生しない。第2乳化分散装置7から排出された乳化分散液は、多段圧力温度制御装置9内で所定の温度(例えば室温)まで冷却され、かつ段階的ないしは漸次的に所定の圧力(例えば大気圧)まで減圧される。乳化分散液は、このように冷却されかつ段階的ないしは漸次的に減圧されるので、圧力温度制御装置9内あるいは圧力温度制御装置9から外部に排出されたときにバブリングは発生しない。かくして、臨界状態で混合液にせん断力をかけて乳化分散を行った後、良好な乳化分散状態を維持しながら、バブリングを発生させることなく、最終製品を得ることができる。
以上のように、本発明にかかる多段圧力温度制御装置を用いた乳化分散液製造システムは、とくに高いせん断力を必要とする乳化分散液に有用であり、ホモジナイザ等に用いるのに適している。
S 乳化分散液製造システム、1 混合液供給タンク、2 圧送ポンプ、3 熱交換器、4 混合液加圧ポンプ、5 第1乳化分散装置、6 第1添加剤供給ポート、7 第2乳化分散装置、8 第2添加剤供給ポート、9 多段圧力温度制御装置、11 ノズル部材、12 通路部材、13 本体部、14 第1細孔部材、15 第2細孔部材、16 第3細孔部材、17 第1細孔、18 第2細孔、19 第3細孔、20 シール部材、21 接続部材、23 第1制御部、24 第2制御部、25 第3制御部、26 第1外套、27 第2外套、28 第3外套、29 第1伝熱管、30 第2伝熱管、31 第3伝熱管、35 連通部材、37 直管、38 90°エルボ。

Claims (6)

  1. 媒体液と、上記媒体液に溶解しない液体又は固体の乳化分散材料とを含む混合液にせん断力を加えることにより、上記乳化分散材料を上記媒体液中に乳化又は分散させて乳化分散液を製造する乳化分散液製造システムであって、
    上記媒体液と上記乳化分散材料とを含む混合液を供給する混合液供給装置と、
    上記混合液供給装置から供給された上記混合液を加圧して排出する混合液加圧装置と、
    上記混合液加圧装置から排出された上記混合液を受け入れ、上記混合液の圧力エネルギを運動エネルギに変換することにより上記混合液のジェット流を生成し、上記ジェット流中に生じるせん断力により上記混合液中の乳化分散材料を上記媒体液中に乳化分散させて乳化分散液を生成し排出する乳化分散装置と、
    上記乳化分散装置から排出された上記乳化分散液を受け入れ、上記乳化分散液の圧力を低下させるととともに上記乳化分散液の温度を制御する一方、上記乳化分散装置内の乳化分散液に背圧をかける多段圧力温度制御装置とを備えていて、
    上記多段圧力温度制御装置は、それぞれ、その内部を伝熱媒体が流通する外套と上記外套の内部に配置されその内部を上記乳化分散液が流通する伝熱管とを有し、上記乳化分散液の流れ方向に関して上流側から下流側に向かって順に直列に配置された第1〜第3制御部を有し、
    上記第1〜第3制御部の上記各伝熱管は互いに直列に接続され、
    上記第1〜第3制御部の上記各伝熱管の内直径、全長及び全体的形状が、上記第1〜第3制御部における上記各伝熱管の圧力低下量をそれぞれΔP、ΔP、ΔPとすれば、上記各伝熱管内の乳化分散液の流速及び粘度に応じて、ΔP>ΔP>ΔPの関係を満たすように設定され、
    上記各伝熱管の圧力低下量が、それぞれ、上記各伝熱管の内直径及び相当長さと上記各伝熱管内の乳化分散液の流速とによって制御され、さらに上記第1〜第3制御部の各外套内に伝熱媒体を流して多段圧力温度制御装置内の乳化分散液の温度を室温まで冷却するとともに、該外套内を流れる伝熱媒体の供給温度及び流量を調節して上記各伝熱管内の乳化分散液の温度を制御し上記各伝熱管内の乳化分散液の粘度ひいては上記各伝熱管の流動抵抗を制御することにより制御されることを特徴とする乳化分散液製造システム。
  2. 上記乳化分散液の流れ方向に関して、上記混合液供給装置と上記混合液加圧装置との間に、上記混合液を加熱又は冷却する熱交換器を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の乳化分散液製造システム。
  3. 上記混合液供給装置が、上記混合液を、上記熱交換器を経由して上記混合液加圧装置に圧送する混合液圧送ポンプを備えていることを特徴とする、請求項に記載の乳化分散液製造システム。
  4. 上記乳化分散装置が、互いに直列に接続された第1乳化分散装置と第2乳化分散装置とで構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の乳化分散液製造システム。
  5. 上記第1乳化分散装置の下流に、第1添加剤を乳化分散液に添加する第1添加剤供給装置が付設され、上記第2乳化分散装置の下流に、第2添加剤を乳化分散液に添加する第2添加剤供給装置が付設されていることを特徴とする、請求項に記載の乳化分散液製造システム。
  6. 上記媒体液が水であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の乳化分散液製造システム。
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