JP2588660Y2 - 魚釣用リールのハンドル装着機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、スプールに釣糸を巻
き上げるハンドルを改善した魚釣用リールのハンドル装
着機構に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、魚釣用リールにおいて、駆動歯車
を有する駆動軸内に回り止め嵌合されるハンドル軸のガ
タ付きを抑える方法として、例えば実公昭６０−７７７
号公報で、雌螺子を形成したハンドル軸の端部に割溝を
形成し、該割溝内にテーパー部を有する雄螺子を螺合
し、該雄螺子のテーパー部で割溝部を径方向外方に拡開
変形させて、ハンドル軸の端部を駆動軸内面に圧接し、
ハンドル軸の回転方向のガタ付きを抑えるようにしたも
のが知られている。しかしながら、テーパー付き雄螺子
のテーパー部により、ハンドル軸端部の割溝部分の両側
が外方に変形されるので、ハンドル軸の端部の雌螺子部
も外方変形の影響を受けて雄螺子との螺合があまくなっ
て、ネジバカを起こし易く、ハンドル軸の着脱時の耐久
性に劣る欠点があった。又、雄螺子のテーパー部で締付
けながら変形を生じさせるため、テーパー部にハンドル
軸の端部の雌螺子部の螺子山によるキズが付き易く、安
定したテーパー面の接触による変形作用が得られない。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、テーパー付き雄螺子のテーパー部により、ハンド
ル軸端部の割溝部分の両側が外方に変形されるので、ハ
ンドル軸の端部の雌螺子部も外方変形の影響を受けて雄
螺子との螺合があまくなって、ネジバカを起こし易く、
ハンドル軸の着脱時の耐久性に劣る欠点があると共に、
テーパー部にハンドル軸の端部の雌螺子部の螺子山によ
るキズが付き易く、安定したテーパー面の接触による変
形作用が得られないことである。

【０００４】本考案の目的は前記欠点に鑑み、ハンドル
軸の端部外周に先端に向け漸次先細となる先細状係合面
を形成し、この先細状係合面にハンドル軸に螺合するネ
ジ部材側に設けた係止部材の端部を当接係合し、安定し
て確実なハンドル軸の回転方向のガタ止めを行った魚釣
用リールのハンドル装着機構を提供することである。

【０００５】

【問題を解決するための手段】本考案は、駆動歯車を有
する駆動軸内にハンドルが取り付けられたハンドル軸を
回り止め嵌合し、該ハンドル軸の雌螺子部を除く端部外
周に先端に向け漸次先細となる先細状係合面を形成し、
前記ハンドル軸に螺合するネジ部材の杵部に回動可能に
且つ該ネジ部材の締め付けで軸方向に押圧移動するよう
に係止部材を挿入嵌合し、該係止部材に形成した突片状
の係止端部を前記先細状係合面と駆動軸内面との径方向
の間隙内に挿入係合せしめたことを要旨とするものであ
る。

【０００６】

【作用】駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内に
ハンドル軸７と係止部材９が挿入されてネジ部材８で取
り付けられる時は、ハンドル軸７の先細状係合面７ｂに
係止部材９の係止端部９ｅが当てられてハンドル軸７の
雌螺子７ａにネジ部材８の雄螺子８ａが螺合される。カ
バー部８ｃを手で掴んでネジ部材８が締め付けられる
と、ハンドル軸７の先 細状係合面７ｂに係止部材９の係
止端部９ｅが押し当てられると共に、係止端部９ｅが駆
動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接さ
れ、先細状係合面７ｂと貫通孔４ｃの内面との径方向の
間隙内に挿入係合される。更にハンドル軸７の先細状係
合面７ｂに係止部材９の係止端部９ｅが押し当てられて
係止端部９ｅが押し返される時２つの屈曲部９ｃ、９ｄ
位置が駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に
圧接される。又、ネジ部材８で係止部材９が軸方向に押
圧されると、ハンドル軸７の先細状係合面７ｂに係止部
材９の係止端部９ｅが押し当てられると共に、係止端部
９ｅが押し返されて２つの屈曲部９ｃ、９ｄ位置が駆動
歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接される
ので透孔９ｂがネジ部材８の杆部８ｂに押し当てられ
る。

【０００７】

【実施例】以下、図示の実施例によって本考案を説明す
ると、図１から図４は第１実施例で魚釣用リールが魚釣
用スピニングリールで図示され、図１は魚釣用スピニン
グリールの要部断面平面図、図２はハンドルの要部拡大
断面平面図、図３（ａ）はハンドル軸の平面図で、
（ｂ）はハンドル軸端部の側面図、図４（ａ）は係止部
材の拡大正面図で、（ｂ）は係止部材の拡大側面図であ
る。

【０００８】魚釣用スピニングリールは、リール本体１
の前部１ａ内部に設けた軸受１０から前側に突出した筒
状駆動軸２の外周に鍔付きカラー１１が嵌合され、その
前側にローター３が回り止め嵌合されてナット１２で固
定されている。ローター３は駆動軸２に設けられたピニ
オン２ａと噛合する巻取駆動機構の駆動歯車４と筒状駆
動軸４ａを介してハンドル５の回転に連動して回転され
るように支持されている。ピニオン２ａより前側の駆動
軸２の外周にはカラー１３が嵌合されている。前記筒状
駆動軸２内に嵌合されて突出されたスプール軸１４の先
端部にスプール１５が支持され、スプール１５はハンド
ル５の回転に連動して前後に往復動される。軸受１０は
止め板１６で抜け止めされている。

【０００９】駆動歯車４は筒状駆動軸４ａと歯車４ｂと
で形成されて筒状駆動軸４ａはリール本体１の側部の内
側の軸受１７と蓋体６の内側の軸受１８で軸承されてい
る。リール本体１の側部の外側と蓋体６の外側には夫々
筒状駆動軸４ａの軸芯を中心に筒部１ｂ、６ａが形成さ
れている。ハンドル５は、装着部５ａとカバー部５ｂと
基部５ｃとアーム５ｄとが一体に形成されている。装着
部５ａの中心にはハンドル軸７の一側が固定されてい
る。アーム５ｄには軸１９が固定されて操作ツマミ２０
が回転自在に軸承されている。

【００１０】ハンドル軸７は断面多角形に形成されて他
側には図１から図３のように、雌螺子７ａと端部外周に
先端に向け漸次先細となる先細状係合面７ｂ（傾斜面）
が形成されている。雌螺子７ａにはネジ部材８の雄螺子
８ａが螺合され、ネジ部材８の杆部８ｂに係止部材９が
回動自在に挿入されてＥリング２１で抜け止めされてい
る。ネジ部材８にはカバー部８ｃが固着されている。ハ
ンドル装着機構は、筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃが断面
多角形に形成されてハンドル５に固定されたハンドル軸
７が回り止め嵌合されると共に、ネジ部材８がハンドル
軸７に螺合され、係止部材９の係止端部９ｅが先細状係
合面７ｂ（傾斜面）と駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面との
間に挿入係合せしめることで構成されている。

【００１１】係止部材９は図１、図２、図４のように、
円板部９ａと円板部９ａの中心の透孔９ｂと円板部９ａ
の外側から伸びた２つの屈曲部９ｃ、９ｄとその先の係
止端部９ｅとで形成されている。透孔９ｂにネジ部材８
の杆部８ｂが挿入される。

【００１２】駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ
内にハンドル軸７と係止部材９が挿入されてネジ部材８
で取り付けられる時は、ハンドル軸７の先細状係合面７
ｂ（傾斜面）に係止部材９の係止端部９ｅが当てられて
ハンドル軸７の雌螺子７ａにネジ部材８の雄螺子８ａが
螺合される。カバー部８ｃを手で掴んでネジ部材８が締
め付けられると、ハンドル軸７の先細状係合面７ｂ（傾
斜面）に係止部材９の係止端部９ｅが押し当てられると
共に、係止端部９ｅが駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫
通孔４ｃ内面に圧接される。更に係止端部９ｅが押し返
される時２つの屈曲部９ｃ、９ｄ位置が駆動歯車４の筒
状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接される。又、ネジ
部材８で係止部材９が軸方向に押圧されると、ハンドル
軸７の先細状係合面７ｂ（傾斜面）に係止部材９の係止
端部９ｅが押し当てられると共に、係止端部９ｅが押し
返されて２つの屈曲部９ｃ、９ｄ位置が駆動歯車４の筒
状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接されるので透孔９
ｂがネジ部材８の杆部８ｂに押し当てられる。

【００１３】操作ツマミ２０を握ってハンドル５が回転
されると、ハンドル軸７と筒状駆動軸４ａと駆動歯車４
とピニオン２ａと駆動軸２を介してローター３が回転さ
れて図示しない釣糸がスプール１５に巻回される。

【００１４】ハンドル装着機構が前記のように構成され
ると、ハンドル軸７の先細状係合面７ｂ（傾斜面）に係
止部材９の係止端部９ｅが押し当てられると共に、係止
端部９ｅが駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内
面に圧接される。更にハンドル軸７の先細状係合面７ｂ
（傾斜面）に係止部材９の係止端部９ｅが押し当てられ
て係止端部９ｅが押し返される時２つの屈曲部９ｃ、９
ｄ位置が駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面
に圧接される。これらの圧接で筒状駆動軸４ａとハンド
ル軸７とが安定して係合されて確実な回転方向のガタ止
めが行われて巻取り操作を軽快かつ円滑に行える。又、
ネジ部材８で係止部材９が軸方向に押圧されると、ハン
ドル軸７の先細状係合面７ｂ（傾斜面）に係止部材９の
係止端部９ｅが押し当てられると共に、係止端部９ｅが
押し返され、屈曲部９ｃ、９ｄ位置が駆動歯車４の筒状
駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接されるので、透孔９
ｂがネジ部材８の杆部８ｂに押し当てられるのでネジ部
材８の螺合が緩むことがない。

【００１５】図５、図６は第２実施例で、図５は魚釣用
スピニングリールの要部拡大断面平面図、図６（ａ）は
係止部材の拡大正面図で、（ｂ）は係止部材の拡大断面
側面図である。

【００１６】第２実施例では、ハンドル軸７が断面多角
形に形成されて他側中心には雌螺子７ａが外周に先細状
係合面７ｂ（テーパー面）が形成されている。雌螺子７
ａにはネジ部材８′の雄螺子８ａが螺合され、ネジ部材
８′の杆部８ｂに合成樹脂からなる係止部材９′が回動
自在に挿入されている。係止部材９′は筒部９ｆの中心
透孔９ｇとハンドル軸７の先細状係合面７ｂ（テーパー
面）に係止される係止端部９ｈと鍔部９ｉが形成されて
いる。リール本体１の側部の外側と蓋体６の外側には夫
々筒状駆動軸４ａの軸芯を中心に筒部１ｂ、６ａが形成
されて筒部１ｂ、６ａの内周にねじ部１ｃ、６ｂが形成
されている。図面でリール本体１側のねじ部１ｃにはカ
バー２２が着脱自在に螺合されている。ハンドル５が右
ハンドルで取り付けられる時は、蓋体６側のねじ部６ｂ
にカバー２２が着脱自在に螺合される。他の構成は前記
第１実施例と略同一である。

【００１７】駆動歯車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ
内にハンドル軸７と係止部材９′が挿入されてネジ部材
８′で取り付けられる時は、ハンドル軸７の先細状係合
面７ｂ（テーパー面）に係止部材９′の係止端部９ｈが
当てられてハンドル軸７の雌螺子７ａにネジ部材８′の
雄螺子８ａが螺合される。ネジ部材８′が締め付けられ
ると、ハンドル軸７の先細状係合面７ｂ（テーパー面）
に係止部材９′の係止端部９ｈが押し当てられると共
に、係止端部９ｈが径方向外方に拡開変形されて駆動歯
車４の筒状駆動軸４ａの貫通孔４ｃ内面に圧接される。
この圧接で筒状駆動軸４ａとハンドル軸７とが安定して
係合されて確実な回転方向のガタ止めが行われる。又、
ネジ部材８′で係止部材９′が軸方向に押圧されると、
ハンドル軸７の先細状係合面７ｂ（テーパー面）に係止
部材９′の係止端部９ｈが押し当てられると共に、係止
端部９ｈが径方向外方に拡開変形されると、係止部材
９′が上方に押し上げられるので、透孔９ｇがネジ部材
８′の杆部８ｂに圧接されてネジ部材８′の螺合が緩む
ことがない。

【００１８】前記係止部材９′の筒部９ｆ外形は断面多
角形に形成してもよいし、円形に形成してもよい。係止
部材９′の鍔部９ｉは省略してもよい。

【００１９】前記説明では、魚釣用リールを魚釣用スピ
ニングリールで述べたが、他の形式のリールに実施して
もよい。

【００２０】

【考案の効果】本考案は前述のように構成されたから、
ハンドル軸の端部外周に傾斜面やテーパー面から成る先
細状係合面と駆動歯車の筒状駆動軸内面との径方向の間
隙内に係止部材の係止端部を挿入係合することにより、
楔作用によるガタ吸収効果によってハンドル軸と筒状駆
動軸とが安定して係合されて確実なハンドル軸のガタ付
き防止が可能となると共に係止部材の挿入係合によりネ
ジ部材の螺合の緩みも防止できる等優れた効果を奏する
魚釣用リールのハンドル装着機構を提供することが出来
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例で、魚釣用スピニングリールの要部
断面平面図である。

【図２】同ハンドルの要部拡大断面平面図である。

【図３】（ａ）はハンドル軸の平面図で、（ｂ）はハン
ドル軸端部の側面図である。

【図４】（ａ）は係止部材の拡大正面図で、（ｂ）は係
止部材の拡大側面図である。

【図５】第２実施例で、魚釣用スピニングリールの要部
拡大断面平面図である。

【図６】（ａ）は係止部材の拡大正面図で、（ｂ）は係
止部材の拡大断面側面図である。

【符号の説明】

４ 駆動歯車 ４ａ 駆動軸 ５ ハンドル ７ ハンドル軸 ７ｂ先細状係合面 ８、８′ ネジ部材 ９、９′ 係止部材 ９ｅ、９ｈ 係止端部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01K 89/00 - 89/08

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 駆動歯車を有する駆動軸内にハンドルが
   取り付けられたハンドル軸を回り止め嵌合し、該ハンド
   ル軸の雌螺子部を除く端部外周に先端に向け漸次先細と
   なる先細状係合面を形成し、前記ハンドル軸に螺合する
   ネジ部材の杵部に回動可能に且つ該ネジ部材の締め付け
   で軸方向に押圧移動するように係止部材を挿入嵌合し、
   該係止部材に形成した突片状の係止端部を前記先細状係
   合面と駆動軸内面との径方向の間隙内に挿入係合せしめ
   たことを特徴とする魚釣用リールのハンドル装着機構。