JP2588273Y2

JP2588273Y2 - キャビン内冷房装置

Info

Publication number: JP2588273Y2
Application number: JP1991062608U
Authority: JP
Inventors: 皖一門谷; 照幸松本; 広記中西
Original assignee: Komatsu Ltd
Current assignee: Komatsu Ltd
Priority date: 1991-07-12
Filing date: 1991-07-12
Publication date: 1999-01-06
Anticipated expiration: 2006-07-12
Also published as: JPH057510U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、キャビン内冷房装置に
係わり、特には、建設機械、農業機械、および産業車両
等の作業車両のキャビン内冷房装置に関するものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、建設機械、農業機械、および産業
車両等の作業車両のキャビン内には、夏季における運転
者の環境条件を快適にするために、冷風式冷房装置が設
けられている。例えば、建設機械のキャビンに設けられ
ている冷房装置としては、図５に示すように運転席１１
後方のフロアにクーラ１２を設置し、クーラ１２の両側
面からキャビン内の空気を吸入してクーラ１２で冷却
し、クーラ１２の前面から冷風を吹き出すようにしたも
のや、図６に示すように運転席１１後方のフロアに空調
機１を設置し、吸入口１３からキャビン内の空気を吸入
して空調機１で冷却し、運転席１１の下から前方に、あ
るいは運転席１１の後側から上方にそれぞれ冷風を吹き
出したものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、図５に示し
た構造のキャビン内冷房装置の場合、冷風吹き出し口が
クーラの前面のみに設けられているため、冷たい空気は
すぐにキャビンの下部に集まり、キャビン内の温度分布
は頭寒足熱の状態になりにくい。また、図６に示した空
調機の場合には、運転席背後の吹き出し口から上方に冷
風を吹き出しキャビン内の空気を攪拌しているが、頭寒
足熱の状態になりにくい。特に、夏季には前面の窓より
直射日光を受けた場合には、図４の従来型Ａに示すよう
に人体前面側の皮膚温度の上昇が著しく快適感の妨げと
なり、不快感になるという問題がある。

【０００４】本考案は上記従来の問題点に着目し、夏季
の環境においても、キャビン内の温度分布を最適化する
ことができるキャビン内冷房装置の改良を目的としてい
る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本考案に係わるキャビン内冷房装置は、運転席後方
に配設された冷房ユニットと、冷房ユニットに接続され
た後部ダクトと、後部ダクトに配設されて運転席上方に
向けて冷風を吹き出す後部吹き出し口と、後部ダクトか
ら分岐して運転席前方に延設された前部ダクトと、前部
ダクトに配設されて運転席前方に向けて冷風を吹き出す
前部吹き出し口とを有するキャビン内冷房装置におい
て、（１）後部ダクトと前部ダクトとが分岐する部位に前後
切換えダンパを設け、（２）前部ダクトに上下切換えダンパを設け、（３）上下切換えダンパの一方側にフロアに沿って運転
者の前方に冷風を吹き出す下部吹き出し口を設け、（４）上下切換えダンパの他方側から立ち上げた前部ダ
クトに運転者の前面に向けて冷風を吹き出す横前部吹き
出し口を設け、（５）前後切換えダンパによる風量分配比を、前：後＝
３５〜４５％：６５〜５５％とし、（６）上下切換えダンパによる風量分配比を、横上：横
下＝８０〜９０％：２０〜１０％としたことを特徴とし
ている。

【０００６】

【作用】上記構成によれば、本考案のキャビン内冷房装
置では、空調機ユニットから吹き出す冷風を、切換ダン
パを介して最適風量比に分配し、後部吹き出し量からの
風量を全体の３５〜４５％にしてキャビン内の空気を攪
拌し、主にキャビン内部の全般的に冷却する。また、前
部へ分配された風量の内、横前部吹き出し口（横上）の
上側からは８０〜９０％を吹き出し、主に、人体の前面
側の表面温度を下げたり、過上昇を防いだりする。さら
に、前部へ分配された風量の内、下部吹き出し口（横
下）の下側からは１０〜２０％を吹き出し、主に、床面
の表面温度を下げる。このように、各吹き出し口からの
風量配分の最適化によりキャビン内の温度分布を変え
て、運転者に対して快適化が計れる。即ち、運転者の頭
寒足熱は、通常では足側が頭側より２〜３℃位高いのが
良いとされているが、本考案によりほぼ近い値が得られ
る。即ち、上記構成によれば、例え狭いキャビン内に直
射日光が差し込んでいても、詳細を後述する図２〜図４
の試験成績で示される頭寒足熱の効果が得られる。

【０００７】

【実施例】以下に、本考案に係わるキャビン内冷房装置
の実施例について、図面を参照して詳細に説明する。図
１において、空調機ユニット１は従来例と同様に配設さ
れた運転席１１の後方のフロア上に設置され、この空調
機ユニット１には前後切換えダンパ２が接続されてい
る。前後切換えダンパ２の出口側には、横部ダクト３と
後部ダクト４とが接続され、横部ダクト３は運転席１１
の右横下部を通り、運転席１１の前端右側のフロア付近
に設置された上下切換えダンパ５に接続されている。こ
の上下切換えダンパ５を経た前方で、かつ運転者の前方
の下部（足側）に下部吹き出し口６が接続され、上下切
換えダンパ５からほぼ垂直に立ち上がる横部ダクト７の
上端に横前部吹き出し口８が接続されている。

【０００８】前後切換えダンパ２の出口側に接続された
後部ダクト４は、途中で左右に分岐し、運転席１１の背
後に設置された後部吹き出し口９にそれぞれ接続されて
いる。下部吹き出し口６、横前部吹き出し口８、後部吹
き出し口９の各吹き出し口には、吹き出し方向を調節す
るルーバが配設されている。また、前後切換えダンパ２
と上下切換えダンパ５はバルブ（バタフライ弁、スライ
ド弁等）が配設され、運転席１１の近傍に配設されたス
イッチ１０によりサーボモータ２０Ａ、２０Ｂが駆動さ
れて風量を調整する。前後切換えダンパ２と上下切換え
ダンパ５とは運転席１１の近傍に配設された一つのスイ
ッチ１０により連動し、バルブの開度を変えて可変の吹
き出し量を得ている。また別の方法として、前後切換え
ダンパ２と上下切換えダンパ５との風量はスイッチ１０
Ａ、１０Ｂを別々に設けて風量を特定値に段階的に固定
しても良い。

【０００９】上記実施例において、つぎに作動について
説明する。スイッチ１０を作動させてバルブの開度を調
整し、空調機ユニット１から吹き出す冷風を前後切換え
ダンパ２の風量の調整により、後部吹き出し口９からの
風量を全体風量の３５〜４５％にしてキャビン内の空気
を攪拌しキャビン内部を全般的に冷却する。また、前部
へ分配された風量の内、上下切換えダンパ５からの風量
を調整して、横前部吹き出し口８からは８０〜９０％を
吹き出し、人体の前面側の表面温度を下げたり、過上昇
を防いだりする。さらに、前部へ分配された風量の内、
下部吹き出し口６からは１０〜２０％を吹き出し、主
に、床面の表面温度を下げる。このように、各吹き出し
口６、８、９からの風量配分の最適化によりキャビン内
の温度分布を変えることにより図２に示すように運転者
に対して快適化が図れる。

【００１０】図２は、キャビン内の温度分布を測定した
ものであり、フロアからの高さと温度との関係を４箇所
測定し平均したものであり、頭部と胸部の位置ではほぼ
２２℃であり、腿部では２３℃、足部では２２．５℃で
ある。このように、足側が頭側より高く、２〜３℃の範
囲に入っている。

【００１１】図３および図４は従来型（図５、図６参
照）の冷房装置と本考案の冷房装置との皮膚表面温度の
比較をしたものであり、従来型の冷房装置は線Ａで示さ
れ、本考案の冷房装置は太線Ｃで示される。なお、この
とき後部吹き出し口９からの風量は全体風量の４５％、
横前部吹き出し口８からは全体風量の５５％の内の９０
％を吹き出している。図３は胸部の温度の測定であり、
また、図４は左腿部の温度の測定を示し、冷房を開始し
てからの経時変化を表している。図３では、従来型の後
方からの冷房だけの冷房装置では、冷房開始前温度は３
６．５℃であったのが、冷房開始から約５分後にほぼ３
４℃になっている。一方、本考案の前方からと後方から
冷房する冷房装置では、冷房開始前温度は３６．５℃で
あったのが、冷房開始から約５分後にほぼ３３℃になっ
ており、従来型の冷房装置より速く冷却されている。

【００１２】図４の左腿部では、従来型の後方からの冷
房だけの冷房装置では、冷房開始から約５分後にほぼ３
３℃になっている。また、本考案の前方からと後方から
冷房する冷房装置では、冷房開始から約５分後にほぼ３
２℃になっている。また、冷房開始から約５６分後に左
腿部に直射日光を当てた場合では、従来型が最高３８℃
になり暑く感じたのに対して、本考案の冷房装置では最
高３６℃であり、あまり不快に感じられなかった。さら
に、本考案の冷房装置では、直射日光を受けたときで
も、胸部と左腿部に差は約３℃の範囲に収まり、頭寒足
熱が保たれている。

【００１３】上記実施例では、このとき後部吹き出し口
９からの風量を全体の４５％に、横前部吹き出し口８か
らは９０％を吹き出しているが、この値を３５％と８０
％に変えればさらに頭寒足熱が保たれる。また上記実施
例では、一個のスイッチ１０を切り換えて前後切換えダ
ンパ２と上下切換えダンパ５との風量を調整したが、別
々に設けて前後切換えダンパ２と上下切換えダンパ５と
の風量を調整しても良く、また、スイッチ１０を、最
強、強、中、弱、最弱等多数設けて特定値を段階的に固
定しても良い。

【００１４】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のキャビン
内冷房装置では、空調機ユニットから吹き出す冷風を、
切換ダンパを介して最適風量比に分配し、後部吹き出し
口からの風量でキャビン内の空気を攪拌し、主にキャビ
ン内部を全般的に冷却する。また、前部へ分配された風
量を横前部吹き出し口と下部吹き出し口とで最適風量比
に分配し、主に、横前部吹き出し口では人体の前面側の
表面温度を下げたり、過上昇を防いだりする。さらに、
下部吹き出し口では主に、床面の表面温度を下げる。こ
れにより各吹き出し口からの風量配分の最適化し、キャ
ビン内の温度分布を変えし運転者に対して快適化が計ら
れ、運転者の頭寒足熱が得られるという優れた効果が得
られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のキャビン内冷房装置の全体構成図。

【図２】本考案のキャビン内の温度分布を示す図。

【図３】本考案と従来の運転者の胸部の皮膚温度を示す
図。

【図４】本考案と従来の運転者の左腿部の皮膚温度を示
す図。

【図５】従来のキャビン内の冷房装置（クーラを搭載）
を示す図。

【図６】従来のキャビン内の冷房装置（空調機を搭載）
を示す図。

【符号の説明】

１空調機ユニット２前後切換えダンパ３横部ダクト４後部ダクト５上下切換えダンパ６下部吹き出し口７前部ダクト８横前部吹き出し口９後部吹き出し口１０スイッチ２０サーボモータ

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】運転席後方に配設された冷房ユニット
と、冷房ユニットに接続された後部ダクトと、後部ダク
トに配設されて運転席上方に向けて冷風を吹き出す後部
吹き出し口と、後部ダクトから分岐して運転席前方に延
設された前部ダクトと、前部ダクトに配設されて運転席
前方に向けて冷風を吹き出す前部吹き出し口とを有する
キャビン内冷房装置において、（１）後部ダクトと前部ダクトとが分岐する部位に前後
切換えダンパを設け、（２）前部ダクトに上下切換えダンパを設け、（３）上下切換えダンパの一方側にフロアに沿って運転
者の前方に冷風を吹き出す下部吹き出し口を設け、（４）上下切換えダンパの他方側から立ち上げた前部ダ
クトに運転者の前面に向けて冷風を吹き出す横前部吹き
出し口を設け、（５）前後切換えダンパによる風量分配比を、前：後＝
３５〜４５％：６５〜５５％とし、（６）上下切換えダンパによる風量分配比を、横上：横
下＝８０〜９０％：２０〜１０％としたことを特徴とす
るキャビン内冷房装置。