JP2588138B2 - 耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法 - Google Patents

耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法

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  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は,軟質ゼリーが多く入っ
た長期保存可能な耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来,ゲル化剤(カラギーナン,ゼラチ
ン,ペクチン,寒天,ゼラチン等)にて固化させた食品
素材はゼリーとしてスプーン等で食するタイプが多く,
また,破砕して飲料として提供しようとする場合には,
ゼリー100部に対して液部が100部以上ないと飲料
としての食感が得られなかった(例えば,特公昭61−
50586号公報,第1頁右欄参照),また飲料として
の食感を得るために柔らかいゼリーを作ると長期保存に
必要な95℃以上の温度で15分以上殺菌するとゼリー
が壊れて溶解し,形状が不安定となり液部にも影響を与
えることからゼリー入り飲料として供することができな
かった。
【0003】また殺菌可能なゼリー入り飲料としてジエ
ランガムを主成分として使用することは例えば「月刊フ
ードケミカル1992年3月号127頁,株式会社食品
化学新聞社発行」に記載されているがジエランガムを単
に主成分としたゲルではゲルが硬く,液部を100部以
下にしてゼリー入り飲料とすることは喉ごしが悪く噛ま
ないと食せないものであり不適であった。また,ゼリー
を振るタイプのものは100%軟質ゼリーであり,加熱
殺菌は充填後,液状にて行なわれるもので,冷却後に容
器内で固形化したものを消費者が振り破砕するために振
り方によりサイズが異なり食感が不安定であった。又,
硬質ゼリーを利用したゼリー部100,液部100以上
のタイプでは喉ごしが悪く,噛まないと違和感があり,
飲料の中に占める寒天ゲルの割合が寒天ゲル10部に対
し,液部の量は10部〜90部であることが必要であっ
た。(例えば特公昭61−50586号公報参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のゼリーの製法で
作られた硬質のゼリーでは,喉ごしが悪く,噛まないと
食することができず,液部をゼリー部より多くして液状
部で流れ出させないと容器中より円滑に流動せず液部の
みが先に流出してゼリーが容器中に残存する問題点を有
し,また,喉ごしや流動性を考慮して軟質のゼリーに仕
上げると長期保存のために95℃以上の温度で15分以
上殺菌するとゼリーが壊れて溶解し,液部にも影響を与
える問題点を有していた。
【0005】本発明は,従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものでありその目的とするとこ
ろは,ゼリーとしての食感を保ちながら飲料としての喉
ごしのよい流動機能をもち,尚,且つ,長期保存の可能
な加熱殺菌を行なっても形崩れや,不安定さが無くな
り,咀嚼の必要がない耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法を
提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】ジエランガムをベースに
キサンタンガム,ローカストビーンガム,乳酸カルシウ
ム,クエン酸ナトリウムを複合的に配合したものに食品
素材と水を加えて液部との比重を調整し,加熱溶解後,
型に流し,柔らかくて形崩れ寸前の軟質に成形した耐熱
軟質ゼリーを5〜7mmになるように破砕後,前記耐熱軟
質ゼリーの比重と糖度の調整で同比重に近づけ,且つ,
耐熱軟質ゼリーの配合量よりも少量の液部とを混合する
ものである。
【0007】
【実施例】本発明の実施例について以下詳細に述べる。 I) 耐熱軟質ゼリー(ゲル)の調整 配合例1. ジエランガム 1.80g キサンタンガム 3.42g ローカストビーンガム 3.42g 乳酸カルシウム 1.80g クエン酸ナトリウム 1.80g これらと砂糖180gを合わせ,水1,300mlを加
え,加熱溶解後PH3.8に調整し型に流し冷却固化させ
たゲルを10mm以下になるよう破砕後,果肉と果汁を配
合し,缶に充填した後95℃で15分殺菌したところ,
やや粘度の高い飲料が得られた。 配合例2. ジエランガム 2.52g キサンタンガム 1.44g ローカストビーンガム 1.44g 乳酸カルシウム 1.80g クエン酸ナトリウム 1.80g これらと砂糖180gを合わせ,水1,300mlに加
え,加熱溶解後PH3.8に調整し型に流し冷却固化した
ゲルを10mm以下になるよう破砕後,果肉と果汁を配合
し,缶に充填した後95℃で15分殺菌したところ,や
や固い飲料が得られた。 配合例3. ジエランガム 2.0g キサンタンガム 2.0g ローカストビーンガム 2.0g 乳酸カルシウム 1.5g クエン酸ナトリウム 1.5g これらと,その他食品素材180gを合わせ,水1,3
00mlに加え,加熱溶解後(PH3.8,糖度14%度に
調整),型に流し保形可能な極限にまで柔らかめに冷却
固化させた耐熱軟質ゼリーを5〜7mmになるよう破砕
後,下記処方で果肉と果汁を配合し,容器に充填した後
95℃で15分殺菌したところ食感のよい飲料が得られ
た。 破砕した耐熱軟質ゼリー 60% PH3.8,糖度14%度に調整した果汁,果肉入り液部 40% II) 前記I)の配合例3で配合した耐熱軟質ゼリーを
3〜9mmに破砕し,耐熱軟質ゼリー100部に対し,液
部及び果肉部30〜99部配合したものが,食感として
良い結果が得られたが工業的に生産するには不安定なた
め,下記の官能テストを実施した。
【表1】 (但し,缶の開口サイズ20mm) 以上の結果,缶の開口サイズ及び食感の良否を総合的に
検討の結果,耐熱軟質ゼリーのサイズは7〜5mmが最も
良い結果が得られた。 III) 前記I)の配合例3にて配合した耐熱軟質ゼリ
ー100部に対する液量の相違による飲みやすさ,及
び,ゼリー感のテストは下記の通りである。耐熱軟質ゼ
リー100部に対して
【表2】 以上の結果より,耐熱軟質ゼリー100部に対し,液部
30〜99部の範囲,即ち,耐熱軟質ゼリーが51%以
上のものがゼリー飲料としてゼリー感,飲みやすさ共に
特に良い範囲であることが認められた。しかし,本発明
の耐熱軟質ゼリーと液部との調合比率は液部を少なくす
ることが好ましいが,液部を多くしてもゼリー飲料とし
て実施できないものではない。 IV) 前記I)の配合例3にて作成した耐熱軟質ゼリー
(PH3.8,糖度14%度に調整)に対し,液部をPH
3.8,糖度14%に調整し,流動性(容器からの出
方)と分離を確認したところ,下記の結果が得られた。
耐熱軟質ゼリー100部に対して
【表3】 以上の結果より液部40〜80部が最も安定していた。
尚,10部,20部に関しては,飲料としての流動性に
欠けた。また,90部,100部に関しては,缶容器の
開口部に耐熱軟質ゼリーが引っ掛かった場合に一部バラ
ツキが出た。 V) 比較例1. ゲルの調整 寒天 8.0g 以下,前記,実施例I)配合例3.の配合内容と同様の
成分比率でゼリー入り飲料を調整したところゼリーの柔
らかさはやや固く加熱によって一部が溶け,希望とする
形状と安定性に問題が出た。また,これ以上寒天を増量
すると食感が悪くなり飲料には適さないことが判明し
た。
【0008】
【発明の効果】本発明は以上説明したように,従来の寒
天ゼリー,もしくはそれらを併用した硬質のゼリーでは
成し得なかった。ソフトな口当りのゼリーが得られ,耐
熱性にもすぐれ,小さく破砕しても加熱殺菌時における
形状変化もなく安定したゼリーが得られ,ゼリー部に対
する液部の割合が少なくできて従来のジュース感の強い
ものではなく,また,固体としてスプーン等で食するも
のではなくゼリーを飲むという食感のものが得られ,固
化した耐熱性ゼリーをわざわざ破砕し,ゼリー部100
部に対し,液部30〜99部のゼリー感の強いゼリー飲
料が得られた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジエランガム,キサンタンガム,ローカ
    ストビーンガムを主成分とするゲルの調合比率を調整し
    て保形可能の極限まで柔らかくした状態で固めた後,飲
    料容器の開口サイズに適合した大きさの成形サイズに破
    砕して耐熱軟質ゼリーを成形し,前記耐熱軟質ゼリー1
    00部に対し,比重調整した糖液または,果汁,果肉入
    りソースなどの飲料素材を30部〜90部配合し,飲料
    容器に充填した後95℃以上の温度で15分以上加熱殺
    菌を施した耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法。
  2. 【請求項2】 請求項1のジエランガム,キサンタンガ
    ム,ローカストビーンガムの各調合量を同量にして調合
    し,且つ,耐熱軟質ゼリーの成形サイズが径5〜7mmで
    ある耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法。
JP6142352A 1994-05-31 1994-05-31 耐熱軟質ゼリー入り飲料の製法 Expired - Lifetime JP2588138B2 (ja)

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