JP3605399B2 - 餅状加工食品及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、風味,口溶けの極めて良好な包餡用の餅状チョコレート類,餅状の油脂加工食品等の餅状加工食品、及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
チョコレートとクリーム類等を混合して製造するガナッシュ(生チョコレートを含む)と称する含水のチョコレート類は、口溶け,食感ともに良好である。
【0003】
ところが、ガナッシュを外皮としアイスクリーム類や冷たくてソフトな食品類をセンターにして包餡機を使い包餡しようとする場合、ガナッシュも冷たくする必要があるが、ガナッシュを冷たくするとガナッシュ中の油脂が結晶化して固くなり柔軟性がなくなるので、包餡された製品(菓子)の上部と下部の両方又はどちらか一方に穴があいてしまう、という問題があった。
【0004】
又、ガナッシュを厚さ1〜2mm程度の極薄いフィルム状に延ばし、この薄いフィルムを風呂敷代わりに使って何かを包み込む作業をするときも、やはり結晶化した油脂のために柔軟性がなくなり、うまく包めない。又、ガナッシュをローラで圧延して薄いフィルム状に連続して押し出すとき、切れたり穴があいたりしてうまくフィルム状とすることができない。又、油脂を結晶化させない状態で使うと、べたついて作業ができなくなる、といった問題を有している。
【0005】
チョコレートにクリームの代わりとして水飴を使用すると、所謂プラチョコと称される細工用のチョコレート類ができる。これはローラで圧延して薄いフィルム状とすることは可能であるが、やはり結晶化した油脂の影響で、通常の餅のように自由に曲げることができず、無理に曲げようとすると亀裂が生じやがて破れてしまう。このため、細かいものを包み込むには不向きである。プラチョコはもともと風味や口溶けよりも作業性を重視しているので、水相部の糖質は粘りのある口溶けの悪い水飴を主体に使っている。従って、口溶けが悪く、仮に包餡できたとしても、できた製品(菓子)はあまり美味しいものとはならない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように従来は、低温で使用できる包餡用のチョコレート類や油脂加工食品類等として適当なものがない、という課題を有していた。
【0007】
そこで本発明は、上記従来の課題、すなわちガナッシュやプラチョコ等の含水タイプのチョコレート類がもつ柔軟性にかけるという難点、例えば包餡機等を使用し種々の内包材を包餡するとき奇麗にうまく包餡できないという課題、また薄いフィルムシートにした場合、例えば生八ッ橋(商品名)の求肥のように脆さがなく自由に曲げられるといったことができないという課題を解消し、口溶けがよく柔軟性に優れた性質を有するチョコレート類,油脂加工食品類を得ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の餅状加工食品は、澱粉類を使用しないで、チョコレート類又は油脂加工食品類に、糖類及びプルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤で特に粘性の高いものを1種又は複数種組合せ使用して得られる、水中油滴型( O W 型)エマルジョンの強い粘性を有する餅状のチョコレート類、餅状の油脂加工食品類等であることを特徴とするものである。また、本願発明の餅状加工食品の製造法は、チョコレート類又は油脂加工食品類に、糖類及びプルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤で特に粘性の高いものを1種又は複数種組合わせて加え、これを加熱混合攪拌して滑らかな乳化状態にしたのち、冷却固化して餅状のチョコレート類又は餅状の油脂加工食品を得ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に付き説明する。
【0010】
本発明において、チョコレート類とは、チョコレート業者が自主的に設定し公正取引委員会が認定したチョコレート規格のチョコレートに限らず、チョコレート加工品、準チョコレート、チョコレート利用食品を含む広い意味のものを指している。
【0011】
油脂加工食品類は、油脂分が25部〜65部、原料油脂としては精製サラダオイル及び精製された動植物性油脂の硬化,分別,エステル交換等の加工油脂、マーガリン、ショートニング、チョコレート由来の油脂、ハードバター、乳脂等、これらの油脂の単独若しくは複数種の組合せで、融点を40℃以下に調整したものである。
【0012】
その他の組成としては、甘さを付与しボディ形成を補助する糖類や可溶性の繊維類、水に水和溶解若しくはサスペンドし骨格(ボディ)を形成する乳類や豆類及び大豆蛋白等の蛋白質を多く含有するもの、可食可能な種実の粉、微細に粉砕されたセルローズ類、風味付けをする素材等から構成されるものが使用される。又、経済的問題より糊っぽさの出ない程度(5部未満程度)の澱粉をボディ形成補助剤として使用する場合もあり得る。
【0013】
増粘安定剤としては、プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤で特に粘性の高いものを用いる。この増粘安定剤は、0.05〜6 . 0%使用する。あるいは、前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方に、キサンタンガム、グアガム、グルコマンナン、カラギーナン、ローカストビーンガム等の水和溶解時に高粘性を示すものを1種又は複数種を組合わせた増粘安定剤を0.05%〜6.0%使用する。
【0014】
糖類として粘度の高い水飴を単独で使用すると甘さの切れが悪くなり、同時に製品の口溶けも悪くなるので、使う糖類は砂糖に似て甘さの切れがよいものを選ぶ必要がある。そこで糖類としては、ブドウ糖、乳糖、麦芽糖、ソルビトール、マルチトール、ブドウ糖のチェンの比較的短い還元水飴等の糖類を単独若しくは2〜3種類組合せて使用する。
【0015】
【実施例1】
餅状生チョコレートの薄いシート(ミルクチョコレート使用品)
(配合例)
ミルクチョコレート 70部
クリーム 10部
還元水飴 10部
プルラン2%水溶液 5部
洋酒(ブランデー) 5部
餅状の粘りを発現させる増粘多糖類プルランの2%水溶液にしたもの5部と、クリーム10部及び還元水飴10部を混合し、殺菌を兼ねて85℃まで加熱し、この熱い状態のプルラン溶液を、市販のミルクチョコレート(細かく粉砕されたフレーク状のデオロ・ミルクチョコレート・日新化工株式会社製)70部に投入し、滑らかな乳化状態になるまで攪拌し、良好な乳化状態となった後に残りの洋酒(ブランデー)5部を加えて均一に混ざる程度攪拌を行った後、容器に充填し冷蔵庫に入れて冷却固化せしめる。
【0016】
上記の冷却固化された混合物は、5℃程度の低温でも非常に柔軟性に富み、餅のように伸びるとともに滑らかで口溶けもシャープな性状を示した。
【0017】
本品を、包餡機のノズル部分を厚み1.2mm,幅140mmに調整したものより吐出させ、これをココアを振りかけたベルトコンベア上にのせ、吐出速度とベルトコンベアの速度を合せ、ベルトコンベア上で140mmの長さでカットして薄いシート状の生チョコレートを得る。これをこのシートよりやや大きいサイズの薄く柔らかいポリエチレン等のフィルムにのせ、これを重ねて冷蔵保管し、冷蔵若しくは冷凍状態で流通させる。
【0018】
この薄い生チョコレートのシートは、5℃程度の低温でも餅状の性状を呈するので、柔らかく又複雑な形状の可食物を破れることなく風呂敷のように包むことができる。
【0019】
【実施例2】
餅状生チョコレートの薄いシート(ホワイトチョコレート使用品)
(配合例)
ホワイトチョコレート 70部
クリーム 10部
還元水飴 7部
3%プルラン水溶液 5部
2%グルコマンナン水溶液 3部
洋酒(ブランデー) 5部
餅状の粘りを発現させる増粘多糖類プルランの2%水溶液にしたもの5部及び増粘多糖類グルコマンナンの2%水溶液3部と、クリーム10部及び還元水飴7部を混合し、殺菌を兼ねて85℃まで加熱し、この熱い状態のプルラン溶液を、市販のホワイトチョコレート(デオロ・ミルクチョコレート・日新化工株式会社製)70部に投入し、滑らかな乳化状態になるまで攪拌し、良好な乳化状態となった後に残りの洋酒(ブランデー)5部を加えて均一に混ざる程度攪拌を行った後、容器に充填し冷蔵庫に入れて冷却固化せしめる。
上記の冷却固化された混合物は、前記実施例1にてミルクチョコレートで造ったものと同様の性状を示した。
【0020】
本品を実施例1の場合と同様に包餡機より吐出させたものをベルトコンベア上にのせる際には、ココアの代わりに白い粉(コーンスターチや濡れ防止加工を施した粉糖・徳倉製糖株式会社製NSPトッピング)を撒き、ベルトコンベアへの付着を防止する。
【0021】
この薄い生チョコレートのシートは、5℃程度の低温でも餅状の性状を呈するので、柔らかく又複雑な形状の可食物を破れることなく風呂敷のように包むことができる。
【0022】
【実施例3】
餅状油脂加工食品類の薄いシート
(配合例)
ココアバター代用脂 32部
砂糖 25部
全粉乳 13部
プルラン2%水溶液 3部
アルギン酸ソーダ3%水溶液 10部
水 17部
市販のココアバター代用脂(不二製油株式会社製EE7A、旭電化株式会社製ファントム950、鐘淵化学工業株式会社製ベルコNA等)32部を湯煎で50℃程度の温度で溶かしておき、この溶かしたココアバター代用脂にプルランとアルギン酸ソーダの水溶液及び全粉乳と砂糖を水に溶かした加糖のミルク溶液を混合し、この溶液を85℃程度で加熱殺菌し、熱い状態で攪拌混合し、水中油滴型(O/W型)エマルジョンを造り、容器に充填し冷蔵庫で冷却固化せしめる。
【0023】
上記の冷却固化された混合物は、前記実施例1にてミルクチョコレートで造ったものと同様に、5℃程度の低温でも非常に柔軟性に富み、餅のように伸びるとともに滑らかで口溶けもシャープな性状を示した。
【0024】
以上実施例1〜3のように、チョコレートから食用油脂加工品まで、餅状の粘りを発現させる高粘性を示す増粘多糖類、例えばプルランやアルギン酸ソーダ等を使用することで、餅状の加工食品を得ることができる。
【0025】
【実施例4】
アイスクリーム等の低温でソフトなセンターを包める低温でもソフトな餅状生チョコレート(ミルクチョコレート使用品)
(配合例)
ミルクチョコレート 60部
クリーム 10部
還元水飴 20部
プルラン2%水溶液 5部
洋酒(ブランデー) 5部
餅状の粘りを発現させる増粘多糖類プルランの2%水溶液にしたもの5部と、クリーム10部及び還元水飴20部を混合し、殺菌を兼ねて85℃まで加熱し、この熱い状態のプルラン溶液を、市販のミルクチョコレート(細かく粉砕されたフレーク状のデオロ・ミルクチョコレート・日新化工株式会社製)60部に投入し、滑らかな乳化状態になるまで攪拌し、良好な水中油滴型(O/W型)エマルジョンの乳化状態にした後、残りの洋酒(ブランデー)5部を加えて均一に混ざる程度攪拌を行った後、容器に充填し冷蔵庫に入れて冷却固化せしめる。
【0026】
上記の冷却固化された混合物は、5℃程度の低温では、前記実施例1で示した薄いシート状の生チョコレートより物性においてさらにソフトで柔軟性に優れ且つシャープな口溶けを有している。
【0027】
包餡機を使用し、本品を外皮材としアイスクリームを内包材(センター)として、饅頭のような生チョコアイスを製造するとき、従来の含水チョコレートガナッシュ(生チョコレートを含む)と違って、粘りと柔軟性があるので、包餡機のシャッターで強引に外皮材及び内包材を絞りながら切る工程が入っても、外皮材の上部と下部のどちらかに穴があいてしまうといった問題は完全に解消され、的確にアイスクリームが包餡され、好ましい形状の製品が連続的に得られる。
【0028】
得られた製品は、従来から使用されている外皮材を餅澱粉の糊から構成した砂糖含量の多いソフトタイプの求肥に比べ、はるかに口溶けがよく、アイスクリームの旨さをスムーズに引き出せる利点がある。
【0029】
【実施例5】
アイスクリーム等の低温でソフトなセンターを包める低温でもソフトな餅状油脂加工食品類
(配合例)
パーム油の分別油脂 30部
砂糖 27部
全粉乳 15部
プルラン2%水溶液 4部
アルギン酸ソーダ3%水溶液 7部
洋酒(ブランデー、ラム酒等) 3部
水 14部
市販のパーム油の分別油脂(豊年リーバー社製ソーラマルチ、鐘淵化学工業株式会社製ベルコC−35等)30部を湯煎で50℃程度の温度で溶かしておき、この溶かしたパーム油の分別油脂にプルランとアルギン酸ソーダの水溶液及び全粉乳と砂糖を水に溶かした加糖のミルク溶液を混合し、この溶液を85℃程度で加熱殺菌し、熱い状態で攪拌混合し風味付けに洋酒を添加し、水中油滴型(O/W型)エマルジョンを造り、容器に充填し冷蔵庫で冷却固化せしめる。
【0030】
上記の冷却固化された混合物は、5℃程度の低温では、前記実施例3で示した薄いシート状の油脂加工食品より物性においてさらにソフトで柔軟性に優れ且つシャープな口溶けを有している。
【0031】
包餡機を使用し、本品を外皮材としアイスクリームを内包材(センター)として、饅頭のような生チョコアイスを製造するときも、上部や下部に穴があくことなく奇麗に包餡することができた。
【0032】
【実施例6】
上記実施例5では油脂加工食品に風味素材を入れないプレーンタイプのものを例示したが、このプレーンタイプのものに風味素材、例えば抹茶、コーヒー、紅茶等のエイストラクトやそのパウダー類、チョコレートやココア、フルーツ類のパウダーやペースト、ナッツ類のペースト、乳製品類等を、ミキサーを使って手軽にしかも簡単に練り込むことにより、製品のバラエティー化をはかることができる。
【0033】
実施例5で示した配合例の配合品をプレーンタイプのベースとし、このベースに風味素材を添加した配合を以下例示する。
【0034】
各種風味素材で風味付けをした配合例
(1)抹茶風味
プレーンタイプのベース 98部
抹茶 2部
(2)コーヒー風味
プレーンタイプのベース 96部
インスタントコーヒー 4部
(3)キャラメル(乳製品)風味
プレーンタイプのベース 93部
キャラメルソース(ネッスル社製) 4部
キャラメルパウダー(ドイツMOLDA社製) 3部
以上のようにプレーンタイプのベースに色々な風味素材を添加し、ミキサーで混ぜ合わせれば、簡単に色々な風味の餅状油脂加工食品を造ることができる。
【0035】
【実施例7】
高粘性を示す増粘安定材の添加量を、上記各実施例より多くした場合の実施例を示す。
【0036】
(配合例)
パーム油の分別油脂若しくはココアバター代用脂 37部
カマンベールチーズパウダー 20部
プルラン25%水溶液 20部
グルコマンナン2%水溶液 18部
粉糖 2部
洋酒(ブランデー等) 3部
市販のパーム油の分別油脂(豊年リーバー社製ソーラマルチ、鐘淵化学工業株式会社製ベルコC−35等)若しくはココアバター代用脂(不二製油株式会社製EE7A、旭電化株式会社製ファントム950、鐘淵化学工業株式会社製ベルコNA等)37部を湯煎で50℃程度の温度で溶かしておき、この溶かしたパーム油の分別油脂又はココアバター代用脂をニーダーに入れ、さらにカマンベールチーズパウダー(ドイツMOLDA社製)20部及び粉糖2部を投入しておく。別のタンクでプルランとグルコマンナンの水溶液を85℃まで加熱殺菌し、この溶液を熱い状態で油脂が入っているニーダーに投入して攪拌混合し、良好な水中油滴型(O/W型)エマルジョンが形成されてから洋酒を添加し、容器に充填して冷蔵庫で冷却固化せしめる。
【0037】
上記の冷却固化された混合物は、5℃程度の低温でも、非常に柔軟性に富み、餅のように伸びるとともに滑らかで口溶けもシャープな性状を示した。
【0038】
包餡機を使用し、本品を外皮材としアイスクリームを内包材(センター)として包餡しても、何ら問題なく奇麗に包餡することができた。
【0039】
包餡機を使用し薄いシート状態で取り出す場合は、既に少ない増粘安定材を使用した例で示している通り、使用する油脂を融点の高いココアバター代用脂を主体に使用することで、包み込む包餡作業におけるハンドリングが容易となる。
【0040】
【実施例8】
油脂分の多い油脂加工食品の場合
(配合例)
サラダオイル 60部
乳蛋白(TMP1100ニュージーランド製) 2部
プルラン30%水溶液 1部
ゼラチン30%水溶液 3部
砂糖 20部
還元水飴(PO−40東和化成株式会社製) 7部
水 7部
カッターミキサーに、市販のサラダオイル10部に乳蛋白2部を分散させたのち、水及び還元水飴それぞれ7部を投入し、攪拌しながら85℃まで加熱し乳蛋白を溶解する。次いで、砂糖20部、プルラン30%水溶液1部、ゼラチン30%水溶液3部及びサラダオイル30部を投入し冷却しながら3000rpmの高速回転で乳化を行う。さらに残りのサラダオイル20部を投入し、再び3000rpmの高速回転で乳化を行い、これを容器に充填し冷蔵庫で冷却固化する。
【0041】
上記の冷却固化した混合物は、5℃程度の低温でも、非常に柔軟性に富み、餅のように伸びるとともに滑らかで口溶けもシャープな性状を示した。
【0042】
包餡機を使用し、本品を外皮材としアイスクリームを内包材(センター)として包餡しても、何ら問題なく奇麗に包餡することができた。
【0043】
包餡機を使用し薄いシート状態で取り出す場合は、包餡機より吐出させたものをベルトコンベア上にのせる際には、白い粉(コーンスターチや濡れ防止加工を施した粉糖・徳倉製糖株式会社製NSPトッピング)を撒き、ベルトコンベアへの付着を防止し、吐出速度とベルトコンベア速度を合せ、ベルトコンベア上で適当なサイズ(厚みと幅は包餡機の吐出ノズルで調整し、ベルトコンベア上で任意の長さにカットする)にカットし、薄いシート状の油脂加工食品を得る。このシートよりやや大きいサイズの薄く柔らかいポリエチレン等のフィルムにのせ、これを重ねて冷蔵保管し、冷蔵若しくは冷凍状態で流通させる。
【0044】
【実施例9】
油脂分の少ない油脂加工食品の場合
(配合例)
白並餡(市販品で糖度60) 97部
ゼラチン30%水溶液 1.5部
プルラン30%水溶液 1.5部
ニーダーで市販の白生並餡97部を攪拌しながら85℃まで加熱殺菌し、これにゼラチン及びプルランの30%水溶液をそれぞれ1.5部投入してよく混合する。これを容器に充填したのち冷蔵庫で冷却固化させる。
【0045】
上記の冷却固化した混合物は、5℃程度の低温でも、非常に柔軟性に富み、餅のように伸びるとともに滑らかで口溶けもシャープな性状を示した。
【0046】
包餡機を使用し、本品を外皮材としアイスクリームを内包材(センター)として包餡しても、何ら問題なく奇麗に包餡することができた。
【0047】
包餡機を使用し薄いシート状態で取り出す場合は、前記実施例8で例示した方法と同じ方法で行う。
【0048】
【発明の効果】
以上のように、本発明によって得られた餅状チョコレート類及び餅状油脂加工食品類は、口溶けがよく低温でも柔軟性に優れているので、包餡機を使ってアイスクリームのように冷たく柔らかい可食物を容易に包餡することが可能となる。又、本発明で得られたものを薄いシート状に押出し成形し、これを任意の形状にカットし、この薄いシートを使って不定形でソフトな内包材(センター)を風呂敷で包むように包んでも、亀裂が入ったり破れたりするようなことはなく、色々な手作り感覚の製品(菓子)を容易に造ることができるもので、実用上多大の効果をもたらし得るものである。

Claims (10)

  1. 澱粉類を使用しないで、チョコレート類又は油脂加工食品類に、糖類及びプルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤で特に粘性の高いものを組合せ使用して得られる、水中油滴型(O/W型)エマルジョンの強い粘性を有する餅状のチョコレート類、餅状の油脂加工食品類等であることを特徴とする餅状加工食品。
  2. 請求項1に記載の餅状加工食品において、前記増粘安定剤としては、前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤を、0.05%〜6.0%使用することを特徴とする餅状加工食品。
  3. 請求項1に記載の餅状加工食品において、前記増粘安定剤としては、前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤の他に、キサンタンガム、グアガム、グルコマンナン、カラギーナン、ローカストビーンガム等の水和溶解時に高粘性を示すものが使用され、これらの増粘安定剤の1種又は複数種を前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方と組合わせたものを0.05%〜6.0%使用することを特徴とする餅状加工食品。
  4. 請求項1乃至請求項 3 のいずれかに記載の餅状加工食品において、前記油脂加工食品類は、油脂分が25部〜65部、その他の組成として、甘さを付与しボディ形成を補助する糖類や水に水和溶解若しくはサスペンドし骨格(ボディ)を形成する乳類、加食可能な種実の粉、大豆蛋白等の蛋白質を多く含有するもの、可溶性若しくは微細に粉砕されたセルローズ類及び風味付けをする素材等から構成されていることを特徴とする餅状加工食品。
  5. 請求項1乃至請求項 3 のいずれかに記載の餅状加工食品において、前記油脂加工食品の油脂分以外の組成に、糊っぽさの出ない程度(5部未満程度)の澱粉をボディ形成補助材として使用することを特徴とする餅状加工食品。
  6. チョコレート類又は油脂加工食品類に、糖類及びプルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤で特に粘性の高いものを組合わせて加え、これを加熱混合攪拌して滑らかな乳化状態にしたのち、冷却固化して餅状のチョコレート類又は餅状の油脂加工食品を得ることを特徴とする餅状加工食品の製造方法。
  7. 請求項6に記載の餅状加工食品において、前記増粘安定剤としては、前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤を、0.05%〜6.0%使用することを特徴とする餅状加工食品の製造方法。
  8. 請求項6に記載の餅状加工食品の製造方法において、前記増粘安定剤としては、前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方を有する増粘安定剤の他に、キサンタンガム、グアガム、グルコマンナン、カラギーナン、ローカストビーンガム等の水和溶解時に高粘性を示すものが使用され、これらの増粘安定剤の1種又は複数種を前記プルラン又はアルギン酸ソーダの一方又は両方と組合わせたものを0.05%〜6.0%使用することを特徴とする餅状加工食品の製造方法。
  9. 請求項6乃至請求項8に記載のいずれかに餅状加工食品の製造方法において、前記油脂加工食品類は、油脂分が25部〜65部、その他の組成として、甘さを付与しボディ形成を補助する糖類や水に水和溶解若しくはサスペンドし骨格(ボディ)を形成する乳類、加食可能な種実の粉、大豆蛋白等の蛋白質を多く含有するもの、可溶性若しくは微細に粉砕されたセルローズ類及び風味付けをする素材等から構成されていることを特徴とする餅状加工食品の製造方法。
  10. 請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の餅状加工食品の製造方法において、前記油脂加工食品の油脂分以外の組成に、糊っぽさの出ない程度(5部未満程度)の澱粉をボディ形成補助材として使用することを特徴とする餅状加工食品の製造方法。
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