JP2587466B2 - 感熱転写記録材料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は感熱転写記録媒体に関し、さらに詳しく言
うと、耐擦過性に優れた印字画像を形成することのでき
る感熱転写記録材料に関する。

［従来技術と発明が解決しようとする課題］ 近年、ワードプロセッサー等の感熱転写装置の普及に
伴ない、支持体上に熱軟化性層を積層してなる感熱転写
記録媒体が広く採用されるに至っている。

ところで、これらの感熱転写記録媒体を用いて転写紙
等上に形成した印字画像は、通常、色材とともに熱軟化
性物質を含んでなるものである。

しかしながら、前記印字画像は、熱軟化性物質を含む
ことから、耐擦過性に欠け、手などでこすると画像が乱
れる等の不都合を有していた。

また、今日においては、印字画像を単なる印刷物とし
てのみに用いるだけでなく、感熱転写で得られた印字画
像を加工し、たとえば摺擦される機会の多いラベル等と
しても広く使用されるに至っており、かかる場合におい
て、前記不都合を解消することは、さらに重要な課題と
なっている。

この発明は前記事情に基いてなされたものである。

すなわち、この発明の目的は、耐擦過性に優れた印字
画像を形成することのできる感熱転写記録材料を提供す
ることにある。

［前記課題を解決するための手段］ 前記課題を解決するために、この発明者が鋭意、検討
を重ねた結果、支持体上に特定の熱軟化性色材層を設け
てなる感熱転写記録媒体と、支持体上に特定の受像層を
設けてなる記録シートとの組合せからなる感熱転写記録
材料は、優れた耐擦過性を有する印字画像を形成するこ
とができることを見出してこの発明に到達した。

すなわち、前記課題を解決するための請求項１に記載
の発明は、支持体（Ａ）上に、熱軟化性色材層を設けて
なる感熱転写記録媒体と、支持体（Ｂ）上に、受像層を
設けてなる記録シートとの組合せからなり、前記熱軟化
性色材層に硬化性ポリマーを含有し、前記受像層に硬化
剤を含有してなることを特徴とする感熱転写記録材料で
ある。

請求項２に記載の発明は、支持体（Ａ）上に、硬化剤
を含有する熱軟化性色材層を設けてなる感熱転写記録媒
体と、支持体（Ｂ）上に、硬化性ポリマーを含有する受
像層を設けてなる記録シートとからなることを特徴とす
る感熱転写記録材料である。

この発明の原理は、硬化反応を利用して色材を固定
し、印字画像の耐擦過性を向上させようとするものであ
る。

すなわち、受像層に転写された色材を硬化性ポリマー
と硬化剤との反応により形成された硬化ポリマーにより
固定するものである。

つまり、この発明においては、感熱転写記録媒体の熱
軟化色材層と記録シートの受像層とのそれぞれに、硬化
性ポリマーおよび硬化剤のいずれかを含有せしめ、熱転
写時に、熱軟化色材層と受像層とが接触し、この接触に
よって、硬化性ポリマーと硬化剤とが接触し、この両者
間で硬化反応が生じて色材が受像層表面で固定される。

したがって、この発明の感熱転写記録材料は、特定の
感熱転写記録媒体と、特定の記録シートとの組合せから
なる。

以下、この発明の感熱転写記録材料にかかる感熱転写
記録媒体と、記録シートとについて説明する。

感熱転写記録媒体 請求項１に記載の感熱転写記録媒体は、支持体（Ａ）
上に、硬化性ポリマーを含有する熱軟化性色材層を設け
てなるものである。

なお、この発明の感熱転写記録媒体は、その特性を損
なわない範囲内で他の層を有していても良い。たとえ
ば、熱軟化性色材層は、支持体（Ａ）上に剥離層などの
他の層を介して積層されていても良い。

次に、この発明の感熱転写記録媒体の構成について、
支持体（Ａ）、熱軟化性色材層の順に説明する。

−支持体（Ａ）− この発明の感熱転写記録媒体における支持体（Ａ）
は、良好な耐熱強度を有するとともに寸法安定性の高い
ことが望ましい。

その材料としては、たとえば、ポリエチレンテレフタ
レート等を挙げることができる。

支持体（Ａ）の厚みは、通常、30μｍ以上、好ましく
は２〜30μｍの範囲内である。支持体の厚みが30μｍを
超えると、熱伝導性が低下して、印字品質の低下を招く
ことがある。

なお、この発明の感熱転写記録媒体において、支持体
（Ａ）の裏面側の構成については任意であり、たとえば
スティッキング防止層等のバッキング層を設けても良
い。

このような支持体（Ａ）上に、以下に示す硬化性ポリ
マーを含有する熱軟化性色材層を形成する。

−熱軟化性色材層− 前記硬化性ポリマーは、後述する硬化剤と反応して硬
化するポリマーであり、かつ、この発明の目的を阻害し
ないかぎりは、特に制限するものではなく、たとえば、
イソシアネート基と反応する水酸基を含有するポリエチ
レン−酢酸ビニル共重合体を挙げることができる。

また、これらの硬化性ポリマーは、１種単独で使用し
ても良いし、２種以上を組み合せて使用しても良い。

熱軟化性色材層における前記硬化性ポリマーの含有率
は、通常、１〜40重量％の範囲内であり、好ましくは３
〜20重量％の範囲内である。

熱軟化性色材層は、前記硬化性ポリマーのほかに、少
なくとも色材と熱溶融性物質とを含有する。

前記色材としては、無機顔料、有機顔料、染料等のな
かから適宜に選択して使用することができ、たとえばカ
ーボンブラック等を挙げることができる。

熱軟化性色材層における前記色材の含有率は、通常、
５〜40重量％の範囲内であり、好ましくは10〜30重量％
の範囲内である。

前記熱溶融性物質としては、この発明の目的を阻害し
ないかぎり、特に制限はないが、好ましくは柳本MJP−
２型を用いて測定した融点が50〜100℃の範囲内にある
ワックスである。

前記ワックスとしては、たとえばパラフィンワックス
等を挙げることができる。

なお、前記ワックスは１種単独で用いても良いし、２
種以上を組合わせて用いても良い。

熱軟化性色材層における前記熱溶融性物質の含有率
は、熱軟化性色材層組成物の合計量に対して、通常、５
〜90重量％の範囲内であり、好ましくは10〜80重量％の
範囲内である。

熱軟化性色材層は、前記熱溶融性物質および前記色材
とともにエチレン系共重合体、ポリアミド系樹脂、ポリ
エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の熱可塑性樹脂
を含有していても良い。

熱軟化性色材層における前記熱可塑性樹脂の含有率
は、通常、１〜40重量％の範囲内であり、好ましくは３
〜20重量％の範囲内であり、さらに好ましくは５〜15重
量％の範囲内である。

熱軟化性色材層は、前記の成分の外に、剥離性を調節
するために、たとえばポリオキシエチレン鎖含有化合物
などの界面活性剤を含むものであっても良い。

さらに、無機あるいは有機微粒子（金属粉、シリカゲ
ルなど）あるいは、オイル類（アマニ油、鉱油など）を
添加することもできる。

熱軟化性色材層は、ホットメルト塗布法、水性塗工
法、有機溶媒を用いた塗工法などを採用して塗設するこ
とができる。

このような塗工法により支持体（Ａ）上に塗設される
熱軟化性色材層の層厚は、通常、0.3〜8.0μｍの範囲内
であり、好ましくは0.5〜6.0μｍの範囲内である。

こうして熱軟化性色材層を塗設した後、所望により乾
燥工程、表面平滑化処理工程などを経て所望の形状に裁
断することにより、この発明の感熱転写記録材料にかか
る感熱転写記録材料を得ることができる。

また、この感熱転写記録媒体は、シート状あるいはテ
ープ状の形態に加工して使用することができる。

記録シート 請求項１に記載の記録シートは、支持体（Ｂ）上に、
硬化剤を含有する受像層を設けてなるものである。

次に、この発明の記録シートの構成について、支持体
（Ｂ）、受像層の順に説明する。

−支持体（Ｂ）− この発明の記録シートにおける支持体（Ｂ）は、低価
格であるとともに良好な耐熱強度を有し、寸法安定性の
高いことが望ましい。

その材料としては、たとえば、普通紙、コンデンサー
紙、ラミネート紙およびコート紙等の紙類を挙げること
ができる。なお、前記支持体（Ｂ）の厚みには、特に限
定がない。

このような支持体（Ｂ）上に、以下に示す硬化剤を含
有する受像層を形成する。

−受像層− 前記硬化剤としては、従来から硬化剤として使用され
ているものを好適に使用することができ、たとえば、ジ
フェニルメタンジイソシアネート等の２官能イソシアネ
ート、コロネートＬ（商品名；日本ポリウレタン工業
（株）製）等の３官能イソシアネート、または両末端に
イソシアネート基を含有するウレタンプレポリマーなど
を挙げることができる。

また前記受像層は、前記硬化像のほかに、少なくとも
硬化剤を分散するための熱可塑性物質を含有する。

前記熱可塑性物質としては、前記硬化剤と反応しない
ものであって、かつこの発明の目的を阻害しないかぎり
において、特に制限するものではなく、たとえばポリエ
ステル等を挙げることができる。

受像層は、ホットメルト塗布法、水性塗工法、有機溶
媒を用いた塗工法などを採用して塗設することができ
る。

このような塗工法により支持体（Ｂ）上に塗設される
受像層の層厚は、通常、0.5〜100μｍの範囲内であり、
好ましくは１〜20μｍの範囲内である。

こうして受像層を塗設した後、所望により乾燥工程、
表面平滑化処理工程などを経て所望の形状に裁断するこ
とにより、この発明の感熱転写記録材料にかかる記録シ
ートを得ることができる。

なお請求項２に記載の発明は、請求項１に記載の発明
において、熱軟化性色材層に含有する硬化性ポリマーに
代えて硬化剤を含有し、受像層に含有する硬化剤に代え
て、硬化性ポリマーを含有するほかは、請求項１に記載
の発明と同様に感熱転写記録媒体および記録シートを得
ることができる。

感熱転写方法 この感熱転写記録材料を用いる感熱転写方法は、通常
の感熱転写記録方法と異なるものではないが、熱源とし
て最も典型的な熱ヘッドを使用する場合を例にして説明
する。

まず、感熱転写記録媒体の熱軟化性色剤層と記録シー
トの受像層とを密着させ、必要に応じてさらに記録シー
トの背面からプラテンによって熱パルスを与えつつ、熱
ヘッドによって熱パルスを与え、所望の印字ないし転写
パターンに対応する熱軟化性色剤層を局部的に加熱す
る。

熱軟化性色剤層の被加熱部は、その温度が上昇し、速
やかに軟化して記録シートの受像層上に転写される。

このとき、熱軟化性色材層が前記のように硬化性ポリ
マーまたは硬化剤を含有し、受像層が前記のように硬化
剤または硬化性ポリマーを含有するので、記録シート上
に形成された印字画像は、熱硬化されたポリマーを有
し、耐擦過性に優れたものとなる。

［実施例］ 次に、この発明の実施例および比較例を示し、この発
明について、さらに具体的に説明する。

（実施例１） 感熱転写記録媒体の製造 厚み６μｍのポリエチレンテレフタレートフィルム上
に下記の熱軟化性色材層組成物を乾燥膜厚が４μｍにな
るように塗布し、熱軟化性色材層を形成した。

なお、塗布はグラビアコーターを用いたホットメルト
法を採用して行なった。

熱軟化性色材層用組成物 パラフィンワックス ……55重量部 エステルワックス ……15重量部 ポリエチレン酢酸ビニル ……15重量部 カーボンブラック ……15重量部 記録シートの製造 厚み30μｍのミラーコート紙上に下記の受像層組成物
を乾燥膜厚が４μｍになるように塗布して、受像層を形
成した。

なお、塗布はグラビアコーターを用いた溶媒塗布法を
採用した。

前記溶媒としては、下記の受像層組成物100重量部に
対して、メチルエチルケトン450重量部とトルエン450重
量部とを用いた。

受像層用組成物 ポリエステル ……60重量部 ジフェニルメタンジイソシアネート ……40重量部 つぎに、得られた感熱転写記録材料を用いて、以下に
示すように印字画像を形成し、その耐擦過性の評価を行
った。

耐擦過性 感熱転写記録材料を市販のプリンター（24ドットシリ
アルヘッド、印加エネルギー;30mJ/ヘッド）に装着し、
プリンターのプラテン圧を700g/ヘッド、印字速度を50C
PSに設定してアルファベットの転写（印字）を行なっ
た。

ついで、硬化した印字画像に対し、通常の段ボール紙
を介して20g/cm²の荷重をかけ、前記印字画像を10回摺
擦した。

その印字画像を観察することにより耐擦過性の評価を
行った。

その結果、印字画像の変化は見られなかった。

（比較例１） 実施例１と同様の感熱転写記録媒体を市販のプリンタ
ー（24ドットシリアルヘッド、印加エネルギー;30mJ/ヘ
ッド）に装着し、プリンターのプラテン圧を700g/ヘッ
ド、印字速度を50CPSに設定してスピカボンド紙にアル
ファベットの転写（印字）を行なった。

得られた印字画像に対し、通常の段ボール紙を介して
20g/cm²の荷重をかけ、前記印字画像を10回摺擦した。

その印字画像を観察すことにより耐擦過性の評価を行
った。

その試験の結果、印字画像は、判読不可能となった。

［発明の効果］ この発明によると、耐擦過性に優れた印字画像を形成
することのできる感熱転写記録材料を提供することがで
きる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−132791（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−132792（ＪＰ，Ａ) 特開 昭62−233294（ＪＰ，Ａ) 特開 昭61−6649（ＪＰ，Ａ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】支持体（Ａ）上に、硬化性ポリマーを含有
   する熱軟化性色材層を設けてなる感熱転写記録媒体と、
   支持体（Ｂ）上に、硬化剤を含有する受像層を設けてな
   る記録シートとからなることを特徴とする感熱転写記録
   材料。
2. 【請求項２】支持体（Ａ）上に、硬化剤を含有する熱軟
   化性色材層を設けてなる感熱転写記録媒体と、支持体
   （Ｂ）上に、硬化性ポリマーを含有する受像層を設けて
   なる記録シートとからなることを特徴とする感熱転写記
   録材料。