JP2579279Y2 - 自動車用サンバイザ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 《産業上の利用分野》 この考案は、天井凹部内にロック機構によりロック保
持される自動車用サンバイザに関し、特に、格納状態時
において天井とサンバイザとの間の一体感を助長でき、
室内美観を向上させた自動車用サンバイザに関する。

《従来の技術》 周知のように、自動車のフロントウィンドウの上方に
は、自動車用サンバイザが設けられており、直射日光や
夜間の対向車のライトから乗員の走行視界を確保し、も
って安全走行に大きく貢献している。

上記自動車用サンバイザは所望の遮光面積を得るよう
に形成されたサンバイザ本体の一側縁部にＬ字状シャフ
トの一端を回動自在に挿通し、且つ、このシャフトの他
端をブラケットを介して車体パネルに取り付けて構成さ
れている。

そして、このサンバイザの使用時には、フロントウィ
ンドウとほぼ平行状態に位置決めし、更にサンバイザの
格納時には、サンバイザ本体をシャフト廻りに上方へ回
動させて、天井面とほぼ平行状態に格納するようにして
いる。

ところで、最近では、第５図に示すように、ルーフパ
ネルに内装されるルーフトリム１に、サンバイザ本体２
とほぼ等しい外形を備えた凹部３を形成し、この凹部３
内にサンバイザ本体２を収納し、サンバイザ本体２の外
表面とルーフトリム１の外表面とをほぼ面位置に設定
し、従来のように天井面からサンバイザ本体２がその板
厚分だけ突出するのを避け、両者の一体感をはかり、美
観の向上並びに室内スペースの有効利用を図るようにし
ている（実開昭60−55517号公報参照）。

そして、この種のサンバイザにあっては、サンバイザ
本体２を凹部３内に格納状態でロックするロック機構４
が備わっており、第６図に示すように、ロック機構４の
ロックピン4aがサンバイザ本体２の下縁に形成された係
合穴５内に係合することにより、サンバイザ本体２をル
ーフトリム１の凹部３内で確実にロック保持するように
している。

更に、このサンバイザ本体２は上記ロック機構４を解
除したとき、すなわちロックピン4aを天井側に後退させ
たとき、サンバイザ本体２が下方に若干回動して、乗員
が操作しやすい箇所に位置させることが必要であるた
め、サンバイザ本体２を支承するシャフト６に板バネ７
を弾発保持させ、シャフト6,板バネ７の両者にそれぞれ
面取り6a,7aを形成し、ロック機構４を解除した際、シ
ャフト６と板バネ７との各面取り6a,7aが当接する際の
係合力により、サンバイザ本体２は、第６図中一点鎖線
で示す位置まで回動し、この位置から乗員が手で任意の
位置まで下側に回動操作すれば良いように構成されてい
る。

《考案が解決しようとする課題》 しかしながら、上述した従来のサンバイザにおいて
は、サンバイザ本体２の形状を保持しているワイヤフレ
ーム2aに弾性があるため、板バネ７によるスプリング反
力により、例えば、第７図に示す部分においては、ワイ
ヤフレーム2aがその弾性力により下側に位置し、ルーフ
トリム１の表面に比べ、サンバイザ本体２の表面が突出
する状態となり、段差ｄが生じる。

したがって、サンバイザ本体２の表面とルーフトリム
１の表面との間に上述したように段差ｄが生じるため、
両者の一体感が損われ、著しい美観の低下を招くという
欠点が指摘されている。

さらに、従来のワイヤフレーム2aを使用したサンバイ
ザにあっては、サンバイザ本体２の回動操作時、ワイヤ
フレーム2aがインサートされている部分を操作するには
支障はないが、それ以外の部分をつかんだ場合、コシが
なく、操作性に劣るという欠点も指摘されている。

この考案は、このような事情に鑑みてなされたもの
で、本考案の目的とするところは、天井の凹部内にロッ
ク機構によりロック保持されて格納される自動車用サン
バイザにおいて、サンバイザ本体格納時、サンバイザ本
体と天井との間に段差が生じることがなく、室内美観の
向上に貢献できるとともに、サンバイザの回動操作性を
向上させるようにした自動車用サンバイザを提供するこ
とにある。

《課題を解決するための手段》 上記目的を達成するために、請求項１記載の考案は、
所望の遮光面積を備えたサンバイザ本体の上端縁に回動
用シャフトを挿通させ、この回動用シャフトによりサン
バイザ本体を回動可能に支承し、さらに、このサンバイ
ザ本体内に設置される板バネにより回動用シャフトを弾
発保持し、上記板バネと回動用シャフトとの係合力によ
り、サンバイザ本体の回動トルクを得るとともに、天井
の凹部内にサンバイザ本体を格納した際、サンバイザ本
体の下端縁をロック機構によりロック保持した自動車用
サンバイザにおいて、前記サンバイザ本体内には、サン
バイザの製品外形に沿う形状にトリム加工され、かつ、
その外周縁を折曲して縁加工を施してなる金属板がイン
サートされているとともに、金属板には、ロックピンを
サポートする舌片が一体に形成されていることを特徴と
する。

更に、請求項２記載の考案は、所望の遮光面積を備え
たサンバイザ本体の上端縁に回動用シャフトを挿通さ
せ、この回動用シャフトによりサンバイザ本体を回動可
能に支承し、さらに、このサンバイザ本体内に設置され
る板バネにより回動用シャフトを弾発保持し、上記板バ
ネと回動用シャフトとの係合力により、サンバイザ本体
の回動トルクを得るとともに、天井の凹部内にサンバイ
ザ本体を格納した際、サンバイザ本体の下端縁をロック
機構によりロック保持した自動車用サンバイザにおい
て、前記サンバイザ本体内には、サンバイザの製品外形
に沿う形状にトリム加工され、かつ、その外周縁を折曲
して縁加工を施してなる金属板がインサートされている
とともに、金属板には、ミラーユニットを取付支持する
エンボス部が一体に形成されていることを特徴とする。

《作用》 以上の構成から明らかなように、サンバイザ本体を天
井側凹部内に格納した際、板バネと回動用シャフトとの
係合力により、サンバイザ本体の下端縁が下側に強く押
圧されても、サンバイザ本体の支承部分とロック部分と
でサンバイザ本体は天井側に保持されており、しかもサ
ンバイザ本体内にインサートされている金属板により剛
性が著しく強化されているため、サンバイザ本体のフラ
ット形状を常に維持することができ、天井面と平行にサ
ンバイザ本体を格納保持することができる。

また、サンバイザ本体の回動操作時、サンバイザ本体
の全体にわたって金属板がインサートされているため、
サンバイザ本体のどの部分をつかんでも金属板によりコ
シがあるため、操作性も向上する。

更に、金属板の剛性を利用して、ロックピンをサポー
トする舌片や、ミラーユニットを取付支持するエンボス
部を金属板に一体成形することも可能となる。

《実施例》 以下、本考案による自動車用サンバイザの実施例につ
いて、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

第１図は本考案による自動車用サンバイザを天井面に
格納した状態を示す室内側から見た正面図、第２図は同
サンバイザの格納状態を示す断面図、第３図は同サンバ
イザ本体の構成を示す一部破断斜視図、第４図は本考案
の別実施例を示すサンバイザ本体の構成を示す要部斜視
図である。

第１図において、本考案による自動車用サンバイザ10
は、所望の遮光面積を有し、適度のクッション性，表面
装飾性を備えたサンバイザ本体11と、このサンバイザ本
体11の上端縁に挿通され、サンバイザ本体11を回動可能
に支承する回動用シャフト12と、この回動用シャフト12
を天井側に取付けるためのブラケット13とから大略構成
されている。

そして、第１図，第２図はサンバイザ本体11を天井側
に格納した状態を示しているが、回動用シャフト12廻り
に、このサンバイザ本体11を回動操作することにより、
格納状態時ならびに図示しないフロントウィンドゥの前
方にウィンドゥとほぼ平行状態に位置決めする使用状態
時との間で任意の回動姿勢をとることが可能である。

また、このサンバイザ本体11を天井側に格納するに
は、天井側の内装材としてのルーフトリム14にサンバイ
ザ本体11の外形状より若干大きな外形を備えた凹部15が
形成されており、この凹部15内にサンバイザ本体11を格
納することにより、サンバイザ本体11の表面とルーフト
リム14の表面を面一に設定して、両者の一体感を図り、
美観の向上に貢献するようになっている。

さらに、ルーフトリム14には、ロック機構16が備わっ
ており、ロックピン17が図示しないバネ手段により凹部
15内に突出するようにバネ付勢されている。そして、ロ
ックピン17をサンバイザ本体11の下縁ほぼ中央に設定さ
れている係合孔18内に挿通させて、サンバイザ本体11を
凹部15内の格納位置で格納保持するようにしている。

一方、サンバイザ本体11を回動可能に支承する回動用
シャフト12は、サンバイザ本体11内に埋設されている軸
受部材としてのホルダ19内に軸受されており、また、回
動用シャフト12の軸廻りにサンバイザ本体11の回動トル
クを出すために、この回動用シャフト12の側面に弾接す
るように板バネ20が設置されている。

そして、第２図に示すように板バネ20は、回動用シャ
フト12の側面を挾着保持しており、さらに、板バネ20の
両側面に平坦部21を設け、かつ回動用シャフト12の両側
面にも平坦な面取り部22を設け、サンバイザ本体11の回
動操作時、節度感のあるサンバイザ本体11の保持を可能
にしている。

ところで、本考案のサンバイザ10の特徴は、サンバイ
ザ本体11内に剛性のある金属板23をインサートした点に
ある。

すなわち、サンバイザ本体11は、サンバイザの製品形
状にトリム加工されている金属板23の上下面にポリウレ
タンフォーム等のパッド材24を積層して、それらの外周
を塩ビシート等の表皮材25により被覆することにより構
成され、さらに、安全上並びにパッド材24,表皮材25の
損傷を防止するために、上記金属板23の外周縁23aに沿
って、ヘミング加工，カール加工等を施し、丸みをもた
せた縁加工がなされている。

したがって、板バネ20,回動用シャフト12との係合力
が高く、板バネ20による反力によりルーフトリム14とサ
ンバイザ本体11の表面との間に段差が生じる方向に外力
が働いても、サンバイザ本体11の格納時、回動用シャフ
ト12の支承部分ならびにロック機構16によるロック部分
において、サンバイザ本体11が天井側に確実に保持さ
れ、かつ、金属板23の剛性により、サンバイザ本体11が
フラット形状を確実に維持しているため、サンバイザ本
体11が凹部15から突出することがなく、常に、サンバイ
ザ本体11の外表面とルーフトリム14の表面とは面一状態
を維持でき、美麗な外観を長期にわたり保証できる。

さらに、金属板23はサンバイザ本体11の全面にわたっ
てインサートされているため、例えば、サンバイザ本体
11を回動操作する際、どの部分をつかんでも、コシがあ
り、良好な操作性も期待できる。

さらに、第３図に示すように、金属板23の下縁中央部
に上方に折曲する舌片26を一体に形成し、この舌片26に
係合孔18が形成されているため、ロック機構16のロック
ピン17を挿入させる部分の構成を簡単に製作することが
でき、従来のように樹脂成形体からなるエスカッション
を廃止でき、コストダウンが図れるという利点もある。

加えて、第４図に示すように、ミラー仕様のサンバイ
ザにおいては、金属板23の中央部分にエンボス加工を施
し、このエンボス部27に取付孔28を穿設し、クリップ29
を介してミラーユニット30の取付用ペグ31を上記取付孔
28内に挿入固定すれば、金属板23に、芯材の機能とミラ
ー取付用プレートの機能をもたせることができ、ミラー
仕様サンバイザにおける構造を簡素化することができ
る。

更に、金属板23の強度をさらに高めるために、ビード
加工やエンボス加工が施され、このようにビード加工，
エンボス加工等で剛性を高めることにより、金属板23を
薄肉化，軽量化することができ、サンバイザの全体とし
ての軽量化を図ることが可能である。

《考案の効果》 以上説明したように、本考案による自動車用サンバイ
ザによれば、以下に記載する格別の作用効果を有する。

請求項1,2記載の考案によれば、サンバイザ本体の芯
材として剛性の強化された金属板を使用するものである
から、板バネによるクリックアクションタイプのサンバ
イザにおいて、スプリングの反力により天井から突出す
る方向にサンバイザ本体に外力が加わっても、シャフト
支承部，ロック機構部においてサンバイザ本体が確実に
保持されていれば、金属板の剛性によりサンバイザ本体
が下方に突出するのが矯正され、サンバイザ本体の下端
縁とルーフトリムの表面との間に段差が生じることがな
く、連続表面を呈するような外観が得られ、室内美観を
向上させるという効果を有する。

請求項1,2記載の考案によれば、サンバイザ本体内に
は剛性の強化された金属板が全体にインサートされてお
り、サンバイザ本体の回動操作時、どの部分をつかんで
もコシがあり、良好な操作性が得られ、サンバイザの回
動操作性が向上するという効果を有する。

請求項１記載の考案によれば、芯材として機能する金
属板の下端縁中央部に舌片が一体形成されているため、
この舌片にロックピンが挿入する係止孔を設けることに
より、従来のロックピンを受容するためのエスカッショ
ンを組み付けることが不要となり、部品点数の削減なら
びにコストダウンを招来するという効果を有する。

請求項２記載の考案によれば、サンバイザ本体の芯材
として機能する金属板の中央にミラーユニットを取付け
るための取付孔が開設されているため、芯材と、ミラー
取付用プレートの機能を併せもつことができ、ミラー仕
様サンバイザの芯材を廉価に構成できるという効果をも
つ。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による自動車用サンバイザの格納状態を
示すもので、車室内側から見たサンバイザの正面図、第
２図は第１図中II−II線断面図、第３図，第４図は本考
案による自動車用サンバイザに使用する金属板の構成を
示す各斜視図、第５図は従来の自動車用サンバイザの格
納状態を示す正面図、第６図は第５図中VI−VI線断面
図、第７図は第５図中VII−VII線断面図である。 10…自動車用サンバイザ 11…サンバイザ本体 12…回動用シャフト 14…ルーフトリム 15…凹部 16…ロック機構 17…ロックピン 18…係合孔 20…板バネ 21…平坦部 22…面取り部 23…金属板 26…舌片 27…エンボス部 28…取付孔 30…ミラーユニット

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−116308（ＪＰ，Ａ) 実開 昭61−150218（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭59−309（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】所望の遮光面積を備えたサンバイザ本体
   （11）の上端縁に回動用シャフト（12）を挿通させ、こ
   の回動用シャフト（12）によりサンバイザ本体（11）を
   回動可能に支承し、さらに、このサンバイザ本体（11）
   内に設置される板バネ（20）により回動用シャフト（1
   2）を弾発保持し、上記板バネ（20）と回動用シャフト
   （12）との係合力により、サンバイザ本体（11）の回動
   トルクを得るとともに、天井（14）の凹部（15）内にサ
   ンバイザ本体（11）を格納した際、サンバイザ本体（1
   1）の下端縁をロック機構（16）によりロック保持した
   自動車用サンバイザにおいて、 前記サンバイザ本体（11）内には、サンバイザの製品外
   形に沿う形状にトリム加工され、かつ、その外周縁（23
   a）を折曲して縁加工を施してなる金属板（23）がイン
   サートされているとともに、金属板（23）には、ロック
   ピン（17）をサポートする舌片（26）が一体に形成され
   ていることを特徴とする自動車用サンバイザ。
2. 【請求項２】所望の遮光面積を備えたサンバイザ本体
   （11）の上端縁に回動用シャフト（12）を挿通させ、こ
   の回動用シャフト（12）によりサンバイザ本体（11）を
   回動可能に支承し、さらに、このサンバイザ本体（11）
   内に設置される板バネ（20）により回動用シャフト（1
   2）を弾発保持し、上記板バネ（20）と回動用シャフト
   （12）との係合力により、サンバイザ本体（11）の回動
   トルクを得るとともに、天井（14）の凹部（15）内にサ
   ンバイザ本体（11）を格納した際、サンバイザ本体（1
   1）の下端縁をロック機構（16）によりロック保持した
   自動車用サンバイザにおいて、 前記サンバイザ本体（11）内には、サンバイザの製品外
   形に沿う形状にトリム加工され、かつ、その外周縁（23
   a）を折曲して縁加工を施してなる金属板（23）がイン
   サートされているとともに、金属板（23）には、ミラー
   ユニット（30）を取付支持するエンボス部（27）が一体
   に形成されていることを特徴とする自動車用サンバイ
   ザ。