JP2575533B2 - 非毛羽状吸水性極細仮撚加工糸 - Google Patents

非毛羽状吸水性極細仮撚加工糸

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、非毛羽状吸水性極細仮撚加工糸に関し、更
に詳しくは布帛にしたとき、吸水性や風合が優れたおち
ついた光沢を呈する極細仮撚加工糸に関する。
<従来技術> 仮撚加工により得られるポリエステル加工糸は、嵩高
性に富み、強伸度特性も良好でそのイージーケア性やド
ライ感などから衣料用途に好んで用いられてきた。そし
て、昨今は吸水性糸条が脚光を浴びるようになった。
一般に、繊維製品が水を保持する性質があるのは、天
然繊維に代表されるように、繊維そのものが吸湿,吸水
性能のある場合と、繊維と繊維との微細な間隙に水が保
持される場合と大別できる。合成繊維のように繊維自体
が吸湿,吸水効果がなくても、繊維が集合体になった場
合、吸水性能を有するのは後者の原理による。
しかし、両者のいずれの原理でも、布帛が水を保持し
た状態で肌に接すると、寒冷感,不快な肌ざわり感を覚
える。例えば、吸水性に優れていると一般に言われてい
る木綿でも、発汗すると布帛が肌にべとついで不快な肌
ざわり感を覚えることがある。この不快な肌ざわり感を
少なくするためには、肌に発生した汗を布帛がいち早く
吸い取り、かつ肌に接する布帛面に残留する汗が、なる
べく少ないことが望ましい。
また、吸水性糸条の製造方法として、海島型複合繊維
の海成分を除去することも知られている(特公昭62−31
106号公報)。しかし、この場合は特殊な紡糸装置を必
要とするばかりでなく、2種以上のポリマーの準備、溶
剤処理といった点で非常に高価なものになる。
<発明の目的> 本発明の目的は、ポリエステル繊維の特徴を生かしつ
つ、吸水性およびおちついたナチュラルな光沢を呈する
ポリエステル繊維集合体を提供することにある。
<発明の構成・作用> 本発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意研究
した結果、ポリエステルマルチフィラメントからなる極
細仮撚加工糸において、単糸断面ヘンペイ係数及び断面
ヘンペイ係数分布形状を設計することによって、従来の
ポリエステル加工糸からは到底考えられないほど、柔軟
な風合を示し、かつ発汗による不快な肌ざわり感の少な
い、吸水性糸条が得られることを見出し本発明に到達し
た。
本発明によれば、単糸繊度が0.7デニール以下のポリ
エステルマルチフィラメントからなる仮撚加工糸であっ
て、断面ヘンペイ係数(S)の平均値が2.0〜3.0、断面
ヘンペイ係数分布比(γ)が1.3以上、さらに全捲縮率
(T.C)が5〜12%であることを特徴とする非毛羽状吸
水性極細仮撚加工糸が提供される。
但し、断面ヘンペイ係数(S)および断面ヘンペイ係
数分布比(γ)は以下の定義に従う。
断面ヘンペイ係数(S)=L1/L2 ここで、L1は単繊維の断面において、最も長い部位の
長さ(長軸) L2は単繊維の断面において、長軸に直交する最大幅 である。
断面ヘンペイ係数分布比(γ)=γ1ここで、γ
は上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成する全単糸数を
100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方から数えて75
番目の単糸のヘンペイ係数、 γは上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成する全単糸
数を100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方から数え
て25番目の単糸のヘンペイ係数 である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明でいうポリエステルとしては、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど
通常ポリエステル繊維として知られたもので、更に場合
により、イソフタル酸やスルホイソフタル酸などのジカ
ルボン酸やポリエチレングリコールなどのアルコールな
どの成分を共重合したものがあげられる。
本発明は、このようなポリエステルを主体とする極細
仮撚加工糸からなるものであるが、その単糸繊度(フィ
ラメントデニール)が0.7デニール以下であることが必
要である。0.7デニールを越える場合は風合が粗硬にな
るばかりか、繊維密度が上げられず、布帛での強度も低
下し、その結果吸水性も低下する傾向にある、更に発汗
による不快な肌ざわり感の少ない布帛を得ることができ
ない。また、加工糸全体としては100〜180本のフィラメ
ントで構成されるのが好ましい。
そして、本発明の極細仮撚加工糸に吸水性能を発揮さ
せるためには、断面ヘンペイ係数(S)の平均値が、2.
0〜3.0(好ましくは2.2〜2.8)であることが必要であ
る。ここでいう断面ヘンペイ係数(S)は、下記に定義
した値であり、マルチフィラメントの横断面の拡大写真
から各フィラメントの断面ヘンペイ係数を求めたもので
あり、ランダムに少なくとも100ケ所について測定した
平均値である。
断面ヘンペイ係数(S)=L1/L2 ここで、L1は単繊維の断面において、最も長い部位の
長さ(長軸) L2は単繊維の断面において、長軸に直交する最大幅 である。
ここでL1,L2について第1図に示す繊維断面の具体例
にて説明する。第1図の繊維断面中最も長い部位に線を
引き、この長さを長軸L1とし、次にこの長軸L1に垂直に
測定した最大幅部を調べ、これをL2としたものである。
上述の断面ヘンペイ係数(S)は、織編物とした場合
の光沢効果や吸水性能及び保水効果の重要な因子であ
り、この断面ヘンペイ係数(S)が2.0未満では、フィ
ラメント上での“乱反射”が特に増大し、かつ本発明の
目的とするおちついたナチュラルな光沢が得られず、か
つ吸水効果を充分発揮させることができない。
一方、断面ヘンペイ係数(S)が3.0を越える場合
は、光沢差が強すぎて光沢感(キラキラ感)が強調され
すぎるので、好ましくない。
更に重要なことは、下記に定義する断面ヘンペイ係数
分布比(γ)が1.3以上、好ましくは1.5以上であること
が必要である。
断面ヘンペイ係数分布比(γ)=γ1 ここで、γは上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成す
る全単糸数を100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方
から数えて75番目の単糸のヘンペイ係数、 γは上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成する全単糸
数を100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方から数え
て25番目の単糸のヘンペイ係数 である。
上記の断面ヘンペイ係数分布比(γ)は、上述の断面
ヘンペイ係数(S)と同様に、繊維と繊維との微細な間
隙に水が保持される効果に関して重要な因子であり、ま
た織編物とした場合のナチュラルなおちついた光沢効果
及び吸水効果に大きく作用する。
ちなみに、通常の丸断面糸から得られる断面ヘンペイ
係数(S)の平均値が1.0〜1.6、かつ断面ヘンペイ係数
分布比(γ)は1.2以下であり、これから得られた織編
物は光沢斑が大きくかつ吸水機能も劣る。
従って、本発明においては断面ヘンペイ係数分布比
(γ)として1.3以上、好ましくは1.5以上であることが
必要で、これらの要件を満たさない時(γ=1.3未満に
おいて)は繊維と繊維の微細な間隙に染料吸収もさるこ
とながら、水が保持されにくくなり、おちついたナチュ
ラルな光沢が得られず、かつ安定した吸水性能が得られ
ない。つまり、肌にべとついて不快感を覚えるのは、肌
に触った時の単位繊度当りの接触面積が大きいことに主
因すると考えられる。
即ち、木綿繊維のように、保水率の大きい繊維の場合
は、かえって皮膚表面を濡らしベトツキ感を与えるが、
本発明の極細仮撚加工糸は、皮膚と接触する面が常に極
細繊維により覆われており、常に乾いた感じとなり、柔
軟な肌ざわり感を与えるものである。
本発明の吸水性を呈する極細仮撚加工糸は、単糸フィ
ラメントのセクション分布が広範囲に亘ることから、繊
維と繊維の微細な間隙に水が保持されやすく、べとつき
感がなく、染料吸収が均一となり、染着差によるイラツ
キがなくおちついたナチュラルな光沢が得られる。
更に、断面ヘンペイ係数(S)が小さい部分と大きい
部分とで、若干の結晶化度,配向性等の構造差に基づい
た緩やかな捲縮が生じており、繊維軸方向に均衡のとれ
た、糸の膨らみ感を増長させ、柔軟な肌ざわりを与える
優れた風合の布帛を作り得る。
ここで、断面ヘンペイ係数分布比(γ)において、ヘ
ンペイ係数の小さい方から数えて25番目あるいは75番目
の単糸の特定の仕方は次の通りである。
(a)例えば全単糸数が100本の場合 ・25番目の単糸 100×25/100=25 つまり、Sの小さい方から数えて25(本)番目の単糸
が“25番目の単糸”に相当する。
・75番目の単糸 100×75/100=75 つまり、Sの小さい方から数えて75番目の単糸が“75
番目の単糸”に相当する。
(b)例えば、全単糸数が150本の場合: ・25番目の単糸 150×25/100=37.5 この場合、単糸を単独で特定することはできないの
で、Sの小さい方から数えて37番目の単糸のSと38番目
のSとの平均値をもって、“25番目の単糸”のSとす
る。
・75番目の単糸 150×75/100=112.5 この場合も、単糸を単独で特定することはできないの
で、Sの小さい方から数えて112番目の単糸のSと113番
目のSとの平均値をもって、75番目の単糸のSとする。
更に本発明の、極細仮撚加工糸の全捲縮率(T.C)が
5〜12%の範囲にあることが、吸水性の面からいって必
要である。
T.Cが5%未満の場合、肌ざわり感はソフトである
が、ボリューム感(膨らみ感)に欠け、織編物製品(吸
水布帛)とした場合の嵩高性が著しく貧弱となり、吸水
性も低下する。
一方、T.Cが12%を越える場合は、膨らみ感(ボリュ
ーム感)はよいが、手ざわり感がガサガサのザラツキ感
を呈し、織編物最終製品(吸水布帛)とした場合の柔軟
な肌ざわり感に欠け、この場合も吸水性が低下する。ま
た、吸水性布帛を構成するためには、極細仮撚加工糸を
50%(重量)以上用いることが必要である。構成比率が
50%未満では得られる布帛は吸水性能,柔軟な肌ざわり
感が不足し、本発明の目的を達することができない。
次に、本発明の極細仮撚加工糸は、例えば以下に述べ
る処法によって得ることができる。
まず、前述したポリエステル系熱可塑性重合体は加熱
溶融され、口金孔を通して、通常の紡糸方法に従って吐
出される。このようにして吐出されたパイマーは、300m
/分以上4000m/分以下の引取り速度(紡速)で溶融紡糸
する。その際、ポリエステル未延伸糸の複屈折率(Δ
n)が0.03以上0.06以下になければならない。紡速が30
00m/分未満で、かつΔnが0.03未満の場合は、仮撚加工
において糸条が脆化して糸切れが多発する他、得られた
加工糸の断面ヘンペイ係数(S)及び断面ヘンペイ係数
分布比(γ)が、かたよりすぎる傾向にあり好ましくな
い。
一方、紡速が4000m/分を超え、かつΔnが0.06を超え
ると、仮撚加工において毛羽が多発し、織物品位に悪影
響を与える他、得られた加工糸の断面ヘンペイ係数
(S)の平均値が2.0未満、断面ヘンペイ係数分布比
(γ)が1.3未満となり、目的とする落ち着いた光沢感
及び吸水効果が得られない。
次に、このようにして得られた原糸を第2図に示す工
程により仮撚又は延伸仮撚加工する。
前述の高配向ポリエステル未延伸糸(原糸)1は、フ
ィードローラ2に供給され第1デリベリーローラーとの
間に設けた交絡用空気噴射ノズル3で交絡を付与された
後、第1ヒーター5、冷却プレート6を経て仮撚付与装
置に導入され第2デリベリーローラー8にて引取られ、
この間に仮撚−セット−解撚される。その後、第3デリ
ベリーローラー9、給油装置10を経てチーズ11に巻取ら
れる。
ここで、大事なことは、上記のポリエステルマルチフ
ィラメントからなる未延伸原糸に、あらかじめ交絡を付
与した後、延伸仮撚加工することにある。
更に本発明にあっては、延伸仮撚加工前に、あらかじ
め交絡を付与しておくことによって、交絡部では仮撚加
工時に構成単糸の層転移が阻止され、捲縮クリンプの付
与が妨げられる。
一方、交絡が付与されていない部分では、単糸の層転
移が起こり、捲縮クリンプが付与される。交絡が付与さ
れた状態で、熱セットされるため、マルチフィラメント
の長さ方向に一般には50ケ/m以上、特に60ケ/m以上の交
絡を付与することにより、毛虫毛羽の発生のない極細加
工糸が得られる。更に、マルチフィラメントの長さ方向
に捲縮クリンプ形態が変化したふくらみの豊かな嵩高
で、弾力性があり、ふくよかな感覚の望ましい形態の仮
撚加工糸が得られる。
ポリエステルフィラメント原糸に交絡を付与するに
は、通常の流体噴射交絡付与装置が用いられる。
本発明において、延伸仮撚加工前に付与する交絡は、
従来の仮撚加工後の糸条に集束性を与えることを目的と
して付与する交絡とはまったく別異のものである。仮撚
加工後に交絡処理した加工糸は、本発明方法で得られた
仮撚加工糸と類似の外観を呈するが、その交絡は、わず
かなシゴキによって簡単に消滅してしまい、更に、交絡
部,比交絡部が共に同じ程度に仮撚付与されているの
で、弛緩熱処理によって加工糸の長さ方向に均一な捲縮
クリンプ形態が発現してしまう。
このことは、特に極細糸を仮撚加工後の交絡処理時に
損傷を与え、毛羽足の長い“毛虫状毛羽”(毛羽の長さ
3〜10mm)が発生し、品位低下を招くと共に、後加工で
の解舒性(市場での製織性)で問題がある。
また、延伸仮撚加工前に、交絡を付与しなかった場合
や、交絡を付与しても交絡度が50ケ/mに満たない場合も
同様に、“毛虫状毛羽”が発生する傾向があり好ましく
ない。
延伸仮撚加工に際しては、前述の高配向未延伸糸を、 仮撚加工温度H(℃)150≦H≦200℃で、延伸仮撚加工
する。
仮撚数T(t/m)が 未満では、得られるポリエステル加工糸は捲縮性及び嵩
高性に乏しいばかりか、及び目的とする断面ヘンペイ係
数が得られない。そして、このような加工糸を製織ある
いは編成した織編物は光沢感,風合に欠け、かつ吸水性
布帛として供し得ない。
一方、仮撚数T(t/m)が を超えると、延伸仮撚加工時に、毛羽が発生し、かつ断
面ヘンペイ係数分布(γ)がかたよる傾向となり、所望
の吸水性布帛が得られない。
また、仮撚加工温度が150℃未満の場合には、得られ
る極細加工糸の全捲縮が5%未満となり、ふくらみ感が
不足し、一方、200℃を超えると全捲縮が12%を超えて
ガサツキ感が発生し、いずれも吸水性布帛の(風合)肌
ざわり感に不足を生じ好ましくない。
一般的に断面ヘンペイ度を大きくするには、紡速を上
げる、撚数を上げる、加工温度を上げる、単糸deを細く
するといったことが考えられるが、これらの条件を上記
のように限られた条件に最適化することにより、目的と
する断面ヘンペイ係数,断面ヘンペイ係数分布比が得ら
れ、このことにより落ち着いたナチュラルな光沢と柔軟
な肌ざわり感を有する、吸水性布帛を実現し得るのであ
る。
その他、従来の技術では、仮撚加工前にあらかじめ先
撚を付与して、仮撚加工糸を製造するには、仮撚加工前
の糸条に、イタリー撚糸機、ダブルツイスター等で300T
/m前後の撚を付与していた。この方法では、パッケージ
に巻かれた仮撚加工前の糸条を、一旦小さなパッケージ
に巻返した後で撚糸機にかけるため、操作がすこぶる繁
雑となり、しかも、撚糸速度は20m/分程度と遅いため、
生産効率も劣るという問題がある。
本発明によれば、上述した繁雑で生産効率の劣る撚糸
工程を省略し、簡単で効率のよい極細仮撚加工糸が得ら
れる。
また、それ以外にも従来の極細繊維における、コンジ
ュゲートタイプやポリマー改質による吸水性改善糸より
も、低コストで生産できる(通常の紡糸法で安価に生
産)利点がある。
<実施例> 以下に実施例をあげて、本発明を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。
実施例1 極限粘度([η]60)が0.648であるポリエチレンテ
レフタレートのポリマーを常法に従ってチップ化し、乾
燥し、孔径0.15φの円形吐出孔を72個穿設した紡糸口金
を使用して、最高310℃で溶融し紡糸捲取、引取速度毎
分3000mで高速紡糸して82デニール/144フィラメント,
単糸de=0.6デニールで複屈折率が△n0.050の極細糸を
得た。得られた紡出糸の極限粘度[η]は0.625であ
った。この得られた糸を第2図に示す工程で、交絡処理
及び延伸仮撚加工を行なった。
インターレースノズルにより、オーバーフィード率1.
5%、圧空圧3kg/cm2で60ケ/mの交絡を付与し、引続いて
延伸倍率1.50、ヒーター温度180℃、仮撚装置に外接式
摩擦仮撚装置を用い、仮撚数を4600ケ/m,糸速600m/分で
延伸仮撚加工し、50デニール/144フィラメントの加工糸
を得た。
このようにして得られた加工糸の物性は、強度4.3g/d
e、シルクファクター25.0、その他の物性(T.Cセクショ
ン分布)は、第1表に示した通りである。また紡糸調
子、極細加工糸の毛羽がなく、かつ強度も充分良好であ
る。
この極細仮撚加工糸(50デニール/144フィラメント、
単糸de=0.35de)、及び原糸,加工条件を種々変更して
得た仮撚加工糸を用いて経緯にそれぞれ8本:8本を配列
して80本/インチ×80本/インチの平織物を製織した。
該織物を80℃×20分間精練リラックスし、180℃×45秒
のプレセットを実施し、通常の染色工程を経てファイナ
ルセットを施した。それらの布帛について風合と吸水性
について測定し、その結果を第1表に示す。
また、この布帛を用いて、タオル,肌着をつくり、特
別温調室の温度33℃,湿度80%で激しい作業を実施し
た。
この作業で発生した汗は、表面の極細仮撚加工糸によ
る吸水布帛に迅速に吸収され、皮膚への快感度は極めて
良好であった。また激しい作業のあと、軽度の作業に移
った時に、肌着が汗で濡れることにより、寒冷感,べと
つき感もほとんどなかった。
実施例−2、比較例−1〜6 実施例1において、デニールとフィラメント数と仮撚
条件を第1表の如く変更した以外は実施例1と同様に実
施した。但し、比較例1については紡出未延伸糸を別延
伸した後、仮撚加工した。その結果を第1表に示す。
第2表には本実施例によるテスト結果を記載し、比較
用として木綿繊維100%,普通ポリエステル加工糸100%
による布帛の試験結果を示す。
上記第2表に記載した保水率*(1),吸水速度
(2),(3),べとつき度(4)は、下記により測定
する。
(1)保水率測定法: 布帛を乾燥して得られる試料を水中に30分以上浸漬し
た後、家庭用電気洗濯機の脱水機で5分間脱水する。乾
燥試料の重量と脱水後の試料の重量から、下記式により
求めた。
(2)吸水速度試験法(JIS−L1018に準ずる) 試験布帛(試料)をアニオン性洗剤ザブ(花王石鹸社
製)の0.3%水溶液で、家庭用電気洗濯機により40℃で3
0分の洗浄を行い、次いで乾燥して得られる試料を水平
に張り、試料の上方1cmの高さから水滴を1滴(0.04c
c)滴下し、水が完全に試料に吸収され反射光が観測さ
れなくなるまでの時間を測定する。
(3)バイレック法(JIS−L1018Bに準ず) 織物の一端を水に浸し(巾2.5cm)10分後に吸い上げ
られる水の高さで吸水性を測定する。
(4)べとつき度 牛皮上を保水させた布帛を滑らす時の抵抗(動摩擦係
数)を測定しベトツキ度として評価する。
<発明の効果> 本発明の吸水性極細仮撚加工糸は、ポリエステル100
%で従来のコンジュゲート方式(ナイロン混)よりも低
コストで、しかもナイロンなどの黄ばみ感や、ヌメリ感
がなく、落ち着いたナチュラルな光沢で極めて吸水特性
に優れた布帛であって、更に柔軟で特に水吸収を必要と
するタオル手触りの肌着、ドライ感良好なドライタオル
等の衣料用布帛として極めて好適な素材である。
【図面の簡単な説明】
第1図は断面ヘンペイ係数(S)についての説明図、第
2図は本発明の極細仮撚加工糸の製造工程の一例を示す
略線図である。 1……ポリエステルフィラメントからなる原糸、 2……フィードローラー(プリ,フィードローラー)、 3……交絡用空気噴射ノズル、 7……仮撚付与装置、 4……第1デリベリローラー 8……第2デリベリローラー、 5……第1ヒーター、 6……冷却プレート、 9……第3デリベリローラー、 10……給油装置、 11……チーズ。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸織度が0.7デニール以下のポリエステ
    ルマルチフィラメントからなる仮撚加工糸であって、断
    面ヘンペイ係数(S)の平均値が2.0〜3.0、断面ヘンペ
    イ係数分布比(γ)が1.3以上、さらに全捲縮率(T.C)
    が5〜12%であることを特徴とする非毛羽状吸水性極細
    仮撚加工糸。 但し、断面ヘンペイ係数(S)および断面ヘンペイ係数
    分布比(γ)は以下の定義に従う。 断面ヘンペイ係数(S)=L1/L2 ここで、L1は単繊維の断面において、最も長い部位の長
    さ(長軸) L2は単繊維の断面において、長軸に直交する最大幅 である。 断面ヘンペイ係数分布比(γ)=γ1 ここで、γは上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成する
    全単糸数を100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方か
    ら数えて75番目の単糸のヘンペイ係数、 γは上記の吸水性極細仮撚加工糸を構成する全単糸数
    を100としたとき、ヘンペイ係数の小さい方から数えて2
    5番目の単糸のヘンペイ係数 である。
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