JP2574583Y2 - 梱包・輸送用スペーサー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は梱包・輸送用スペーサ
ー、特に段ボール板を材料とした梱包・輸送用スペーサ
ーに関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に、種々の製品は、輸送の便宜を図
るため、段ボール箱によって梱包した状態で、流通経路
にのせることが多い。特に、電気製品などは、ほとんど
のものが段ボール箱で梱包されて出荷される。この場
合、輸送中の衝撃などから製品を保護するために、段ボ
ール箱の壁面と製品との間に空隙を確保することが好ま
しい。このため、段ボール箱内部には、梱包・輸送用ス
ペーサーが使われている。従来、一般に用いられている
梱包・輸送用スペーサーは、発泡スチロール材料を所定
の形状に成型したものである。通常は、段ボール箱の内
部において製品をしっかりと支持できるように、梱包対
象となる製品の隅部や辺部に適合するような形状に成型
される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】前述したように、従来
の一般的な梱包・輸送用スペーサーは、発泡スチロール
製のものである。これは、発泡スチロールが、コストが
安く、成型性にすぐれるという利点をもつためである。
ところが、近年、自然環境を保護するという見地から、
産業廃棄物に対する関心がにわかに高まってきている。
この点では、発泡スチロール製品は不燃性であり、廃棄
処理が非常に困難であるという問題点をかかえており、
今後のゴミ処理事業にも、重大な悪影響を与える要因の
ひとつとして認識されつつある。

【０００４】このような問題を解決するために、段ボー
ルを材料とする梱包・輸送用スペーサーが一部で用いら
れている。すなわち、段ボール片を何枚か重ねて接着
し、必要な厚みのスペーサーを構成するのである。しか
しながら、このような段ボールを材料としたスペーサ
は、堅牢さに欠けるため、一定以上の圧力が作用した場
合に押し潰されてしまうという強度上の問題がある。

【０００５】そこで本考案は、従来の発泡スチロール製
の梱包・輸送用スペーサーに代わることができ、しかも
十分な堅牢性をもった梱包・輸送用スペーサーを提供す
ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案に係る梱包・輸送
用スペーサーは、左右に伸びた細長い段ボール板の長手
方向のほぼ中央部分に中間領域を定義し、この中間領域
より左側に位置する左方部分に、左側から右側に向かっ
て長手方向に連続的に並ぶように、第１の領域、第２の
領域、第３の領域、第４の領域、第５の領域、なる少な
くとも５つの領域を配置するとともに、中間領域より右
側に位置する右方部分に、右側から左側に向かって長手
方向に連続的に並ぶように、第１の領域、第２の領域、
第３の領域、第４の領域、第５の領域、なる少なくとも
５つの領域を配置し、少なくとも合計１１個の領域が連
続的に配置されるようにし、これら各領域相互の区切り
となる直線境界線上に折り曲げ路を定義し、この折り曲
げ路に沿って折り曲げが可能となるような加工を施し、
左方部分および右方部分の双方について、第２の領域と
第４の領域とが対向し、第３の領域と第５の領域とが対
向するように、かつ、左方部分と右方部分とが中間領域
を挟んで左右対称となるように、段ボール板を折り曲げ
路に沿って折り畳み、対角線の長さが第１の領域の長手
方向の長さに等しい長方形を断面とする内部空間を形成
し、この内部空間内に段ボール板の第１の領域を含む端
部を収容し、長方形の対角線をなす位置に第１の領域が
配置されるようにし、この第１の領域によって内部空間
が断面三角形状の２つの空間に分割されるようにし、 折
り畳みを行った際に、左方部分の第３の領域と右方部分
の第３の領域とが面接触をなすことができるように、中
間領域の長手方向の長さを設定しておくようにし、この
面接触を維持した状態で固定して、梱包・輸送用スペー
サーを構成するようにしたものである。

【０００７】

【０００８】

【０００９】

【００１０】

【００１１】

【作 用】本考案による梱包・輸送用スペーサーは、１
枚の段ボール板によって構成できる。この段ボール板に
は、折り曲げ路が定義され、この折り曲げ路に沿って、
折り曲げが可能となるような加工が施される。細長い段
ボール板上には、この折り曲げ路を境界として少なくと
も１１個の領域が定義される。折り曲げ路に沿って段ボ
ールを折り畳むようにすれば、左右対称となる一対の構
造体が得られる。すなわち、中央領域の左方部分の５個
の領域により断面が長方形状の構造体が作られ、同様
に、中央領域の右方部分の５個の領域により断面が長方
形状の構造体が得られる。この一対の構造体は互いに接
触した状態で固定される。しかも、各構造体によって構
成される内部空間は、対角線に沿って配置された１つの
領域によって、断面三角形状の２つの空間に分割され
る。内部空間の大きさを任意に設定すれば、任意の大き
さのスペーサーを作成することができる。対角線位置に
配置された領域により、補強がなされるため、縦横いず
れの方向にも十分な堅牢性をもった梱包・輸送用スペー
サーが構成できる。この梱包・輸送用スペーサーのメリ
ットは、１枚の段ボール板によって構成することができ
る点であり、製造方法が非常に単純化され、使用後は、
燃焼させて容易に廃棄することもできるし、再生紙とし
て再利用を図ることも可能である。

【００１２】

【実施例】以下、本考案を図示する実施例に基づいて説
明する。はじめに、本考案の基本構造を説明するための
基本例を説明する。図１は、この基本例に係る梱包・輸
送用スペーサーの展開図である。この梱包・輸送用スペ
ーサーは細長い１枚の段ボール板１０によって構成され
ている。段ボール板１０の長手方向（図の左右方向）に
対して垂直な方向（図の上下方向）には、図に破線で示
すような折り曲げ路が定義されており、この折り曲げ路
に沿って、折り曲げが可能となるような加工が施されて
いる。そして、これらの折り曲げ路を境界として、１１
個の領域１ａ，２ａ，３ａ，４ａ，５ａ，６，５ｂ，４
ｂ，３ｂ，２ｂ，１ｂが、互いに連続した領域として定
義されている。このような段ボール板１０の各折り曲げ
路を谷折りし、両端（領域１ａ，１ｂ側）から順に巻き
付けるようにして折り畳んでゆき、各層間の必要箇所に
接着剤を充填してゆけば、図２に示すようなスペーサー
２０が得られる。すなわち、図１における左側の５つの
領域１ａ，２ａ，３ａ，４ａ，５ａを、左側から右側へ
向かって順に折り畳んでゆくことによりブロック２１が
形成され、同様に、右側の５つの領域１ｂ，２ｂ，３
ｂ，４ｂ，５ｂを、右側から左側へ向かって順に折り畳
んでゆくことによりブロック２２が形成される。このブ
ロック２１，２２は、中間領域として機能する領域６に
よって連結されている。

【００１３】このスペーサー２０の構造は、図３の端面
図に更に詳細に示されている。この図３に示された各領
域の符号に基づいて、図１の展開図を参照すれば、この
スペーサー２０が１枚の段ボール板１０によって構成さ
れていることが容易に理解できよう。段ボール板１０を
このように折り畳むために、予め、図１の破線部分に折
り曲げ加工を施しておく。この折り曲げ加工は、折り曲
げ路に沿った折り曲げが可能となるような加工であれば
どのような加工でもかまわないが、たとえば、図４の側
面図に示すように、段ボール板１０の上面に、溝１１を
形成すれば、この溝１１に沿って図の矢印で示すような
谷折りを行うことができる。先端が鈍い刃を用いて、段
ボール板１０の上面を押し潰すような加工を行えば、こ
のような溝１１を容易に形成することができる。あるい
は、先端が鋭利な刃を用いて、段ボール板１０の裏面ま
でには達しないような深さのスリットを形成するように
してもよい。なお、接着剤の充填箇所は、各部の寸法
や、スペーサーとして要求される堅牢性を考慮して、適
宜決定すればよい。高い堅牢性を確保しようとするので
あれば、図３におけるすべての層間に接着剤を充填する
のが好ましいが、領域３ａと領域３ｂとの接触面だけに
接着剤を充填しても、一応スペーサーとしての構造は保
たれる。

【００１４】このようなスペーサー２０は、発砲スチロ
ール製の梱包・輸送用スペーサーと同等の機能を果たす
ことができ、しかも、全体が段ボールによって構成され
ているため、使用後は、燃焼させて容易に廃棄すること
もできるし、再生紙として再利用を図ることもできる。
したがって、廃棄処理に何ら問題は生じない。また、製
造プロセスは非常に簡単である。すなわち、図１に示す
ような段ボール板１０を作成し、これを折り畳む作業を
行うだけでよい。段ボール板１０に折り曲げ路を形成す
る作業は、所定のパターンの刃型を作成しておけば、自
動化することができる。また、折り曲げ路に沿った折り
曲げ作業や、相互の接着加工も既存の技術で自動化を図
ることができる。したがって、非常に合理的な製造プロ
セスを利用することができ、製造コストの低減を図るこ
ともできる。

【００１５】スペーサー２０は、すぐれた堅牢性を有す
る。従来、一部で用いられていた段ボール製のスペーサ
ーは、段ボールの小片を何層にも積層した構造であった
ため、過度の圧力が加わった場合に潰れやすいという欠
点があった。これに対し、本考案に係るスペーサー２０
は、いずれの方向に圧力が加わった場合にも潰れにくい
十分な堅牢性を有する。たとえば、図３に示すスペーサ
ー２０におけるブロック２１の構造を考えてみる。この
ブロック２１は、水平方向に配置された領域２ａ，４ａ
が対向し、垂直方向に配置された領域３ａ，５ａが対向
した状態となっており、これら４つの領域により、断面
が細長い長方形状の内部空間が構成されている。しか
も、この内部空間に、領域１ａがぴったりと収容された
状態となっている。一般に、段ボールは厚み方向に対し
ては押し潰されやすいが、表面方向に対しては押し潰さ
れにくいという性質を有する。したがって、５つの領域
１ａ〜５ａをこのように配して構成されたブロック２１
は、どの方向から力が加えられたとしても、押し潰され
ることはなく、十分な堅牢性をもつことになる。ブロッ
ク２２も全く同様の構成であり、２組のブロック２１，
２２を領域６によって連結し、両ブロックを一塊とした
スペーサー２０は、非常に堅牢なものとなる。

【００１６】以上、本考案の基本例を説明したが、本考
案の特徴は、この基本例を更に改良し、十分な堅牢性を
維持したまま、内部空間の大きさを更に広げるように工
夫した点にある。以下、このような特徴をもった本考案
の一実施例を説明する。図５は、この一実施例に係る梱
包・輸送用スペーサー３０の側面図である。この梱包・
輸送用スペーサーは、やはり図１に示すような細長い１
枚の段ボール板１０によって構成されている。ただし、
領域１ａ，２ａ，４ａ、および領域１ｂ，２ｂ，４ｂ、
ならびに領域６の長手方向の寸法を、上述の基本例のも
のより若干長く設定してある。その結果、たとえば、ブ
ロック２３では、領域２ａ，３ａ，４ａ，５ａで囲まれ
ることによって形成される内部空間の大きさは、領域１
ａを収容するために必要な大きさよりも大きくなってお
り、内部に余分な空間ＳＰ１，ＳＰ２が形成されてい
る。また、この内部空間は断面が長方形状をしており、
領域１ａの長さ（段ボール板１０の長手方向に関する長
さ）は、この長方形の対角線の長さに等しくなるように
設定されている。したがって、この長方形断面は、対角
線位置が固定されるようになり、内部に余分な空間ＳＰ
１，ＳＰ２が存在していても、潰れることはない。ブロ
ック２４についても同様に、余分な空間ＳＰ３，ＳＰ４
が形成されている。２組のブロック２３，２４を組み合
わせたため、堅牢性は更に向上する。

【００１７】図５に示すスペーサー３０と、図３に示す
スペーサー２０との相違は、余分な空間ＳＰ１〜ＳＰ４
の有無だけである。余分な空間ＳＰ１〜ＳＰ４を設ける
ことにより、スペーサーの幅を自由に設定することがで
きるようになる。一般に、スペーサーの各部の寸法は、
梱包や輸送の対象となる製品と梱包用段ボール箱との間
に生じるスペースの大きさによって決定される。スペー
サー３０のように、内部に余分な空間を設けることがで
きる構造を採れば、要求された寸法のスペーサーを容易
に作製することができ、しかも、使用する段ボールの材
料も少なくてすむ。

【００１８】最後に、本考案に類似したスペーサーの参
考例を説明する。図６は、この参考例に係る梱包・輸送
用スペーサー４０の端部の斜視図である。この梱包・輸
送用スペーサ−は、断面がＬ字状をしている点におい
て、上述のスペーサー２０，３０とは異なっているが、
その基本的な構造は上述のスペーサーと同様である。す
なわち、やはり図１に示すような細長い１枚の段ボール
板１０によって構成することができる。ただし、各部の
寸法は若干異なり、領域６は不要になる。領域１ａ〜５
ａによってブロック２５が構成され、領域１ｂ〜５ｂに
よってブロック２６が構成されており、両ブロックは断
面がＬ字状になるように固定されている。この断面Ｌ字
状の構造は、領域２ａと領域３ｂとの接触面における接
着により維持される。図７に、更に別な参考例を示す。
ここでは、説明の便宜上、段ボールの厚みを無視した側
面図で各参考例を示してある。〜は、各領域を示し
ている。

【００１９】以上、本考案を図５に示す実施例に基づい
て説明したが、本考案はこの実施例のみに限定されるこ
とはなく、この他にも種々の態様で実施可能である。要
するに、本考案の要点は、段ボール板１０の長手方向に
連続的に並ぶように、少なくとも１１個の領域を配置
し、これら各領域相互の区切りとなる直線境界上に折り
曲げ路を定義し、この折り曲げ路に沿って折り曲げが可
能となるような加工を施し、断面が長方形状をなし対角
線位置に１つの領域が配置された構造体を、左右対称と
なるように一対設けるようにした点にあり、このような
基本思想から逸脱しない限りどのような態様で実施する
ことも可能である。また、本考案の梱包・輸送用スペー
サーは、製品の箱内に梱包するときのスペーサーとして
だけではなく、フォークリフトなどの輸送に用いるパレ
ットの脚としても利用することが可能である。

【００２０】

【００２１】

【考案の効果】以上のとおり、本考案によれば、１枚の
段ボール板に少なくとも１１個の領域を定義し、この段
ボール板を折り畳むことにより梱包・輸送用スペーサー
を構成したため、使用後は、燃焼させて容易に廃棄する
こともでき、再生紙として再利用を図ることも可能にな
り、しかも十分な堅牢性を確保することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の基本例に係る梱包・輸送用スペーサー
の展開図である。

【図２】図１に示す梱包・輸送用スペーサーを折り畳ん
だ状態を示す斜視図である。

【図３】図２に示す梱包・輸送用スペーサーの端面の詳
細を示す図である。

【図４】折り曲げ路を構成するために、溝１１を形成し
た状態を示す段ボール板の側面図である。

【図５】本考案の一実施例に係る梱包・輸送用スペーサ
ーの側面図である。

【図６】本考案に関連する参考例に係る梱包・輸送用ス
ペーサーの部分斜視図である。

【図７】本考案に関連する更に別な参考例を示す構造説
明図である。

【符号の説明】

１０…段ボール板 １１…溝 ２０，３０，４０…梱包・輸送用スペーサー ２１〜２６…ブロック ａ１〜ａ５，ｂ１〜ｂ５，６…段ボール板上の領域 ＳＰ１〜ＳＰ４…余分な空間

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 左右に伸びた細長い段ボール板の長手方
   向のほぼ中央部分に中間領域を定義し、前記中間領域よ
   り左側に位置する左方部分に、左側から右側に向かって
   長手方向に連続的に並ぶように、第１の領域、第２の領
   域、第３の領域、第４の領域、第５の領域、なる少なく
   とも５つの領域を配置するとともに、前記中間領域より
   右側に位置する右方部分に、右側から左側に向かって長
   手方向に連続的に並ぶように、第１の領域、第２の領
   域、第３の領域、第４の領域、第５の領域、なる少なく
   とも５つの領域を配置し、少なくとも合計１１個の領域
   が連続的に配置されるようにし、これら各領域相互の区
   切りとなる直線境界線上に折り曲げ路を定義し、この折
   り曲げ路に沿って折り曲げが可能となるような加工を施
   し、 前記左方部分および前記右方部分の双方について、第２
   の領域と第４の領域とが対向し、第３の領域と第５の領
   域とが対向するように、かつ、前記左方部分と前記右方
   部分とが前記中間領域を挟んで左右対称となるように、
   前記段ボール板を前記折り曲げ路に沿って折り畳み、対
   角線の長さが第１の領域の長手方向の長さに等しい長方
   形を断面とする内部空間を形成し、この内部空間内に前
   記段ボール板の第１の領域を含む端部を収容し、前記長
   方形の対角線をなす位置に第１の領域が配置されるよう
   にし、この第１の領域によって前記内部空間が断面三角
   形状の２つの空間に分割されるようにし、 前記折り畳みを行った際に、前記左方部分の第３の領域
   と前記右方部分の第３の領域とが面接触をなすことがで
   きるように、前記中間領域の長手方向の長さを設定して
   おくようにし、前記面接触を維持した状態で固定したこ
   とを特徴とする梱包・輸送用スペーサー。