JP2573331B2 - リブ付短繊維補強PCa板の製造方法 - Google Patents

リブ付短繊維補強PCa板の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、短繊維によって補強されたモルタル又はコ
ンクリートを型枠に打設して製造されるリブ付短繊維補
強PCa(プレキャストコンクリート)板の製造方法に関
するものである。
〔従来の技術〕 通常、PCa板を製造する場合には、硬練り(スランプ5
cm程度)のコンクリートを、現場打ちと同様に型枠中の
数箇所に分散して打ち、棒状バイブレータを掛け乍らコ
ンクリートを均らすという方法が採られている。
然し、通常のコンクリートで製造されたPCa板は、肉
厚となるため、重量があり、又は、ひび割れが生じ易い
という問題がある。
そこで、最近、炭素繊維等の短繊維によって補強され
たモルタル又はコンクリートを用いてPCa板を製造する
ことが提案されている。
この短繊維補強PCa板は、例えば第6図に示す如く、
外形を形成する型枠1とリブを形成するための蓋無し箱
抜き型枠2を配した後、2つの打設口3,4から炭素の短
繊維6によって補強されたモルタル(以下、CFRMと称す
る)5を打設し、棒状バイブレータを掛け乍らこのCFRM
5を均らすことによって製造される。
〔発明が解決しようとする課題〕
然し、この製造方法で得られた短繊維補強PCa板7
は、両方の打設口3,4から打設されたCFRM5の打継部8に
於て、炭素の短繊維6が不連続となる面を形成する。こ
れは、CFRM5が粘性を有するため、打継部8で両方から
打設されたCFRM5中の炭素の短繊維6同士が混じり合う
ことができず、単にセメントモルタルだけが接合した状
態に止まるためである。
斯して得られた短繊維補強PCa板7は、打継部8では
セメントモルタルは隙間なく接触しており、外観からは
見分けられないが、繊維補強効果が分断されているた
め、乾燥収縮や引張応力によってクラックが発生し易
い。即ち、脆弱な層が材料中に存在することになり、部
材の性能は著しく低下する。
そこで、例えば第7図に示す如く、打継部8に棒状バ
イブレータ9で振動を与え、繊維補強効果が得られるよ
うにすることが考えられるが、棒状バイブレータ9の振
動伝達は、棒状バイブレータ9の周辺部に止まり、CFRM
5全体に伝わらない。即ち、CFRM5の流動性増大には寄与
しない。そのため、棒状バイブレータ9によって炭素の
短繊維6による不連続面を局部的に解消できるが、棒状
バイブレータ9を抜き出した部位に新たに打継部分を形
成することになり、打継部8に於ける炭素の短繊維6が
不連続となる面を形成するという現象を無くすことがで
き得ない。
尚、上記では、便宜上2つの打設口からCFRMを打つ場
合について説明したが、複数の箇所からCFRMを打つ場合
でも、各打継部に於て同様の現象が見られる。特に、短
繊維補強PCa板は、薄く成っているため、補強の為にリ
ブを形成する必要があるが、この補強のためにリブを形
成する場合に、この打継部に於ける短繊維の不連続面が
形成されることとなる。
本発明は斯かる従来の問題点を解決するために為され
たもので、その目的は、打継に起因する短繊維の不連続
面の発生を無くし、短繊維が部材全体に亘って十分な補
強効果を持つようにすることができるリブ付短繊維補強
PCa板の製造方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係るリブ付短繊維補強PCa板の製造方法は、
短繊維によって補強されたモルタル又はコンクリートを
型枠に打設し、PCa板を製造するに際し、外形形成用の
型枠全体に高周波の振動を与え乍ら、短繊維によって補
強されたモルタル又はコンクリートを打設し、リブ形成
用の型枠を圧入し、外形形成用の型枠とリブ形成用の型
枠との間にリブ構造を形成するものである。
〔作用〕
本発明に於ては、外形形成用の型枠全体に高周波の振
動を与え乍ら、短繊維によって補強されたモルタル又は
コンクリートを打設すると、短繊維によって補強された
モルタル又はコンクリート全体に振動が与えられ、流動
性を補助し、外形形成用の型枠全体に均一に行き渡り、
平滑面を形成する。そして、この状態で、リブ形成用の
型枠を圧入すると、短繊維によって補強されたモルタル
又はコンクリートの流れ方向が一様となり、外形形成用
の型枠とリブ形成用の型枠との間にリブ構造を形成する
ことができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
本発明の一実施例に係るリブ付短繊維補強PCa板の製
造方法を第1図に基づいて説明する。
先ず、第1図(a)に示す如く、外形形成用の型枠10
を、高周波バイブレータ12上に載置する。この高周波バ
イブレータ12は、振動台形式とし、外形形成用の型枠10
全体を振動させるように成っている。本実施例では、鋼
製ベッド(2.5m×5m)13に、ワッカー製、1.2KWの高周
波バイブレータを3台取り付けた。
次に、振動源の振動数を5000〜6000r.p.m.として、高
周波バイブレータ12を駆動し、外形形成用の型枠10全体
を振動させる。そして、外形形成用の型枠10の中央部に
炭素の短繊維補強モルタル(以下、本CFRMと称する)14
を乗せる。本CFRM14の組成は、次の通りである。
尚、上記組成は、混練時に投入する材料の重量で示
す。単位は、混練後の容積1m3当たりの重量(kg)とし
て表す。
高周波バイブレータ12によって振動されている外形形
状用の型枠10上に乗せられた本CFRM14は、当初は山状に
成っていたが、振動によって水平方向へ流動し、外形形
状用の型枠10の立ち上がり壁11方向へ行き渡り、第1図
(b)の如く、殆ど平滑な面と成る。
第1図(b)の如く、本CFRM14が均等に外形形状用の
型枠10に行き渡った後、第1図(b)及び(c)に示す
如く、その上方から蓋付き箱抜き型枠15を本CFRM14上に
乗せ、次いで、蓋付き箱抜き型枠14を120〜150kg/m2
度の力で圧入する。
この蓋付き箱抜き型枠15の圧入によって、本CFRM14
は、外形形状用の型枠10の立ち上がり壁11と蓋付き箱抜
き型枠15の垂直壁16との間へ押し出されて行く。この
時、圧入の目安としては、第1図(c)に示す如く、外
形形状用の型枠10の立ち上がり壁11と蓋付き型抜き型枠
15の垂直壁16との間へ押し出されて行た本CFRM14が溢れ
るように山状に形成するまで行なう。この際、本CFRM14
の流れ方向は一様であるから、炭素繊維の不連続面を作
り出すことがない。
最後に、本CFRM14が、外形形状用の型枠10の立ち上が
り壁11と蓋付き箱抜き型枠15の垂直壁16との間に行き渡
ったことが確認された後、第1図(d)の如く、高周波
バイブレータ12を停止し、蓋付き箱抜き型枠15の位置を
固定し、打設面を鏝で押さえる。そして、打設3時間
後、第1図(d)の状態で蒸気養生を行なった。
次に、斯して製造された本実施例に係るPCa板の曲げ
試験時の亀裂の発生状況を確認した。
この際、比較のために、本CFRM14を従来のPCa板と同
様の打設方法で製作した試験体を用意した。
第2図に於て、Aは供試体を現し、本実施例に係るPC
a板30と比較のための試験体40とに相当するものであ
る。これらは、外観上は同様に見える。そして、20は第
3図に於ける曲げ試験時に於ける4つの載荷点、21は同
じく4つのピン支持点を現す。
先ず、第3図に示す如く、支持ブロック22に設けた4
つのピン23上に、各ピン支持点21を載置することによっ
て供試体Aを固定した。
次いで、下部に4つのロール25を設け、上部中央に球
座26を設けると共に、この球座26上にロードセル27を設
けた押圧体24を、上記供試体Aの上方から降下し、4つ
のロール25を4つの載荷点20上に載置した。
そして、ロードセル27の上部に30トン油圧ジャッキを
固定し、この30トン油圧ジャッキで供試体Aを押圧し
た。
第4図は、本実施例に係るPCa板30の曲げ変形後の亀
裂状況を示す。亀裂31は曲げ応力を受けた範囲に略均等
に分散しており、繊維補強効果が一様に分布しているこ
とが分かる。
第5図は、比較のための試験体40の曲げ変形後の亀裂
状況を示す。打設時の状況を考慮して、亀裂部分を観察
すると、これらの亀裂41は打継面に沿って発生してい
る。そして、亀裂41は、第5図に示す如く発生した後
は、この幅が広がるだけで、周囲は変化しなかった。従
って、繊維補強の目的である亀裂分散効果が発揮されて
いないことが理解できる。
尚、上記実施例では、短繊維として炭素繊維について
説明したが、合成繊維,スチールファイバー等であって
も良い。又、短繊維によって補強されたモルタルについ
て説明したが、コンクリートであっても良い。更に、短
繊維によって補強されたモルタル又はコンクリートの組
成は、上記実施例に限らず、短繊維0.5〜8wt%、セメン
ト20〜45wt%、その他(水,骨材,混和剤等)であれば
良い。
〔発明の効果〕
以上の如く、本発明によれば、短繊維によって補強さ
れたモルタル又はコンクリートを型枠に打設し、PCa板
を製造するに際し、外形形成用の型枠全体に高周波の振
動を与え乍ら、短繊維によって補強されたモルタル又は
コンクリートを打設し、リブ形成用の型枠を圧入し、外
形形成用の型枠とリブ形成用の型枠との間にリブ構造を
形成するものであるから、製造工程に於て打継に起因す
る短繊維の不連続面の発生が起こらず、短繊維が部材全
体に行き渡り、脆弱な層が存在せず、短繊維補強の目的
が十分達せられる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係るリブ付短繊維補強PCa
板の製造方法を示す説明図である。 第2図は曲げ試験に用いる供試体の平面図である。 第3図は曲げ試験を示す説明図である。 第4図は本発明の一実施例に係るリブ付短繊維補強PCa
板の曲げ試験の結果を示す平面図である。 第5図は従来のリブ付短繊維補強PCa板の曲げ試験の結
果を示す平面図である。 第6図は従来のリブ付短繊維補強PCa板の製造方法を示
す説明図である。 第7図は従来法に於ける打継部の不連続面解消手段を示
す説明図である。 〔主要な部分の符号の説明〕 10……外形形成用の型枠 11……外形形状用の型枠10の立ち上がり壁 12……高周波バイブレータ 14……炭素の短繊維補強モルタル 15……蓋付き箱抜き型枠 16……蓋付き箱抜き型枠15の垂直壁 30……本実施例に係るPCa板 31……亀裂 40……比較のための試験体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−169030(JP,A) 特開 昭57−203503(JP,A) 特開 昭52−14611(JP,A) 特開 昭51−116815(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】短繊維によって補強されたモルタル又はコ
    ンクリートを型枠に打設し、PCa板を製造するに際し、
    外形形成用の型枠全体に高周波の振動を与え乍ら、短繊
    維によって補強されたモルタル又はコンクリートを打設
    し、リブ形成用の型枠を圧入し、外形形成用の型枠とリ
    ブ形成用の型枠との間にリブ構造を形成することを特徴
    とするリブ付短繊維補強PCa板の製造方法。
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