JP2570663Y2 - 紡績装置 - Google Patents

紡績装置

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JP2570663Y2
JP2570663Y2 JP1992076863U JP7686392U JP2570663Y2 JP 2570663 Y2 JP2570663 Y2 JP 2570663Y2 JP 1992076863 U JP1992076863 U JP 1992076863U JP 7686392 U JP7686392 U JP 7686392U JP 2570663 Y2 JP2570663 Y2 JP 2570663Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は結束紡績糸やリング糸等
の紡績糸を加工する紡績装置に関し、特に実質的に毛羽
がない毛羽無し紡績糸を効率的に生産することができる
紡績装置に関する。
【0002】紡績糸はその加撚機構によって種々の形態
のものができる。リング紡績装置で加撚するとリング糸
といわれるように全体に撚りが入った紡績糸が得られ
る。空気ノズルで加撚すると結束紡績糸といわれるよう
に平行な芯ファイバの回りに全体の15〜20%程度の
巻き付きファイバが存在することによって加撚状態とな
った紡績糸が得られる。この種の紡績糸ではリング糸又
は結束紡績糸に関係なく多量の毛羽が発生する。
【0003】次に結束糸を例にしてその加撚機構と毛羽
の発生状態を図8〜図10により説明する。図8におい
て、円筒状のケンスKにコイル状に巻かれたスライバS
が、図示されないスライバガイドを経て上下互いに圧接
状態で積極駆動されドラフト装置を構成するバックロー
ラ2、エプロン3を装着したミドルローラ4、及びフロ
ントローラ5の各ローラをそれぞれ通過することによっ
て順次ドラフトされる。ところでフロントローラ5の出
口には、空気紡績ノズル7が糸道に沿って配置されてい
る。この空気紡績ノズル7は、図9に示すように二個の
第1ノズル9と第2ノズル10を直列に内蔵しており、
逆方向の空気流AS,BSを糸Yに作用させる。そして
図8に戻り、空気紡績ノズル7からの糸Yは、糸ガイド
11を経て、デリベリローラ13によって所定速度で引
き出され、糸Yの弛みをとるスラックチューブ14及び
糸欠陥を検出するスラブキャッチャー15を経て、巻取
装置のフリクションローラ16で所定の給糸パッケージ
Pに巻き取られる。
【0004】この空気紡績ノズル7の第1ノズル9と第
2ノズル10による紡績過程は次のようにして行われ
る。通路内に導入されたスライバーSには旋回空気流B
Sによっ当該方向の仮撚が付与され、該仮撚がフロント
ローラ5によるニップ点まで伝搬する。
【0005】フロントローラ5からでてきたスライバー
Sはこの第2ノズル10による仮撚によって集束される
が、フロントローラ5と第1ノズル9間では第1ノズル
によってスライバーSが仮撚とは逆方向にバルーンして
おり、このバルーンによって、後端はまだフロントロー
ラ5に把持され、スライバーを構成するファイバ中にあ
るが、先端はフリーになったファイバ(オープンエンド
ファイバ)f1が生成する。このファイバf1はフロン
トローラ5と第1ノズル9間の仮撚と逆方向のバルーン
および第1ノズル9の空気流ASによって第2ノズル1
0による仮撚とは逆方向に芯繊維束f2に巻き付けられ
る。そして、このファイバf1は第2ノズル10を通過
して仮撚が解撚される過程で、挿入された仮撚とは逆方
向に充分な巻回数で芯繊維束f2にますます強く巻き付
き、いわゆる結束紡績糸Yを形成する。
【0006】この空気紡績ノズル7における第1ノズル
9と第2ノズル10の紡績過程で毛羽fが大量に発生す
る。このようにして加撚された結束紡績糸の状態を図1
0により説明する。芯ファイバーは平行であるが、全体
の15〜20%に相当する表面はZ撚り方向で角度θの
巻き付きファイバーとなっている。図示のように、多く
の毛羽fが紡績糸の周囲に飛び出しており、10m当た
りの紡績糸において糸から横に0.5mm離れた位置で
観測される毛羽数は3000本前後の多数に達する。そ
して、この毛羽fの延びる方向は一見ランダムである
が、よく見ると糸の走行方向に向かって延びている。な
お、リング紡績装置によるリング糸でも毛羽は3000
本以上が普通である。
【0007】そこで従来、毛羽が実質的にない毛羽無し
紡績糸を得たい場合には、紡績工程の後に、毛羽焼き工
程を付加して紡績糸の毛羽を焼き切っていた。
【0008】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、紡績工
程に毛羽焼き工程を付加するとなると、紡績装置で得ら
れた給糸パッケージを解舒してバーナ炉等に通し、再び
給糸パッケージを巻形成することになり、巻取回数が増
える分だけ段取りが悪くなり、コストアップにもなると
いう問題点を有していた。
【0009】本考案は、従来の技術の有するこのような
問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすると
ころは、紡績の連続工程の中で効率的に毛羽を解消でき
る紡績装置を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本考
案における紡績装置は、紡績糸を送る手段の下流に、紡
績糸に仮撚を施すニップ部材を配設し、仮撚装置のニッ
プ部材と紡績糸を送る手段との間の紡績糸が仮撚装置の
ニップ部材によって加撚される区間を紡績糸の撚り切れ
が生じない距離に設定したものである。
【0011】
【作用】紡績糸にニップ部材で仮撚を施すと、糸固有の
撚りにさらに別の撚りが付加され緊張するが、ニップ部
材と紡績糸を送る手段との間の所定区間がこの緊張を緩
和し、糸の撚り切れが生じない距離に設定されている
また、ニップ部材で糸固有の撚りにさらに別の撚りが付
加され、同時にニップ部材によって毛羽が擦り付けられ
た状態になって毛羽は付加された撚りの変動と共に巻き
込まれるか又は巻き付く。
【0012】
【実施例】以下、本考案方法の実施例を図面を参照しつ
つ説明する。図1は紡績装置の概念図であり、同図
(a)は逆方向仮撚用紡績装置、同図(b)同方向仮撚
用紡績装置を示す。また、図2は逆方向仮撚用紡績装置
の要部斜視図、図3は同方向仮撚用紡績装置の要部斜視
図である。
【0013】図1において、13は紡績糸を送るデリベ
リローラ、16は巻取装置のフリクションローラであ
る。仮撚装置20,20′はデリベリローラ13とフリ
クションローラ16との間に設けられ、固有の撚りを有
する糸に直ちに仮撚が施される紡績装置となっている。
仮撚装置20,20′はいずれもニップ部材としての駆
動ローラ22と仮撚ベルト23との間に以下に述べるス
リップが生じる程度の適当な接圧が付与され、これらの
ニップ点で仮撚するものである。仮撚装置20,20′
からデリベリローラ13までの上流の区間Lの糸Yは一
時的に加撚される仮撚状態であるが、仮撚装置20,2
0′から下流の糸Yは解撚状態である。すなわち、デリ
ベリローラ13に入る糸Yの撚りがZ撚りであれば、仮
撚装置20,20′より出る糸YもZ撚りである。そし
て、空気紡績ノズルによる紡績糸は実質的に走行方向延
びる毛羽fを多数有している。
【0014】図1(a)では、仮撚ベルト23は左下が
りに配設され、区間Lの糸YはS撚り仮撚が施され、逆
方向の仮撚を受ける。この場合、仮撚装置20を出た糸
Yは紡績後の糸Yと同方向に解撚されるので、これを追
撚と呼ぶ。デリベリローラ13の送り速度(糸速と略同
一)をS1、駆動ローラ22の送り速度をS2、仮撚ベ
ルト23の走行速度をS3、巻取装置のフリクションロ
ーラ16の送り速度をS4とすると、S2>S1とす
る。また、S3≒S2×cosγとし、S1≒S4とす
る。すると、ニップ部材としての駆動ローラ22と仮撚
ベルト23との間で、S2−S1に相当するスリップが
生じ、そのスリップの方向は毛羽fを延ばす方向であ
る。
【0015】この追撚の場合、付加された別の撚りとS
2−S1の速度差とに起因して、区間Lの糸Yは緊張す
る。そこで、区間Lはこの緊張を緩和する距離にする必
要がある。例えば送り速度S1が200m/minで、
駆動ローラ22の送り速度S2が200〜210m/m
inの場合、区間Lを6cm以上に設定することが好ま
しく、6cm以上であれば紡績糸の緊張が緩和され、撚
り切れが発生しにくくなる。さらに、送り速度S1が2
00m/minで、駆動ローラ22の送り速度S2が2
10〜230m/minと早くした場合、紡績糸の緊張
の度合いが大きくなるので、10cm以上の区間Lとす
ることが好ましい。
【0016】図2は具体的な逆方向仮撚用紡績装置の要
部斜視図である。デリベリローラ13の駆動軸17と平
行な駆動軸21がスラックチューブ14の上に設けられ
る。この駆動軸21に駆動ローラ22が嵌入され、駆動
ローラ22に対して斜めの仮撚ベルト23が接離自在に
配設されている。この仮撚ベルトは従動プーリ24と駆
動プーリ25との間に巻き掛けられ、駆動プーリ25は
ベベルギア等の変速手段を経てローラ26に連結されて
いる。ローラ26は駆動軸21に嵌入されたフリクショ
ンローラ27に当接して回転力を伝達される。なお、2
8は糸ガイドである。このように、ニップ部材が駆動ロ
ーラ22と仮撚ベルト23の組合せであると、ロール同
士のようにニップ部分が単なる線ではなく、面のニップ
部分となる。そのため、スリップによる糸の擦り付けが
広範囲にわたって行われることになり好ましい。また、
ニップ力が強すぎると、ニップ部分での糸のスリップが
生じにくくなるため、ニップ力はスリップを許容する程
度の弱めに設定される。
【0017】図1(b)では、仮撚ベルト23は右下が
りに配設され、区間Lの糸YはZ撚りの仮撚施され、同
方向の仮撚を受ける。この場合、仮撚装置20を出た糸
Yは紡績後の糸Yと逆方向に解撚されるので、これを解
撚と呼ぶ。この場合も、デリベリローラ13の送り速度
(糸速と略同一)をS1′、駆動ローラ22の送り速度
をS2′、仮撚ベルト23の走行速度をS3′、巻取装
置のフリクションローラ16の送り速度をS4′とする
と、特に駆動ローラ22の送り速度S2′は区間Lの糸
の張力が過度にならない程度で糸を引っ張り込めるよう
に決定され、デリベリローラ13の送り速度S1′より
遅くしたりやや早くしたりする。また、S3′≒S2′
×cosγとし、S1′≒S4′とする。すると、ニッ
プ部材としての駆動ローラ22と仮撚ベルト23との間
で、スリップが生じ、そのスリップの方向は毛羽fを延
ばす方向である。
【0018】この解撚の場合、糸の張力が過度にならな
い程度で糸を引っ張り込み、更に別の撚りを付加するた
めに、区間Lの糸Yは緊張する。そこで、区間Lはこの
緊張を緩和する大きさにする必要がある。例えば送り速
度S1′が200m/minで、駆動ローラ22の送り
速度S2′が180〜190m/minの場合、区間L
を6cm以上に設定することが好ましく、6cm以上で
あれば紡績糸の緊張が緩和され、撚り切れが発生しにく
くなる。さらに、送り速度S1′が200m/min
で、駆動ローラ22の送り速度S2が190〜210m
/minと早くした場合、紡績糸の緊張の度合いが大き
くなるので、10cm以上の区間Lとすることが好まし
い。
【0019】図3は具体的な同方向仮撚用紡績装置の斜
視図である。図2の逆方向仮撚用紡績装置と異なる点
は、仮撚装置が左右勝手反対となっている点であり、他
は同様であるので、同じ符号を付してその説明を省略す
る。
【0020】図1(a)の追撚又は図1(b)の解撚の
いずれでも、区間Lの糸Yは別の撚りが付加される。そ
して仮撚ベルト23を出ると付加された撚りが急に戻ろ
うとするので、この過程で糸Yを構成するファイバの旋
回が起こり、巻き付きファイバが短時間の間に複雑に動
き、周囲の毛羽を巻き込んだり、表面に巻き付いたりす
る。さらに、駆動ローラ22と仮撚ベルト23の面とな
ったニップ部において、糸Yは擦り又はスリップの作用
を受ける。そのため、単に先端が浮いた状態の毛羽は撚
りに基づく回転力だけでは、簡単に糸表面に巻き込まれ
ない場合もあるが、浮いた状態の毛羽がニップ部で相対
的に毛羽が多く延びる方向に糸表面を擦り付けられする
ため、浮いた状態の毛羽も簡単に巻き込まれてしまう
か、又は巻き付く。
【0021】つぎに、毛羽が解消された糸の状態を図4
で説明する。図4(a)は追撚すなわち逆方向仮撚を受
けた糸であり、毛羽fは周囲の巻き付きファイバに巻き
込まれている。追撚の影響を受けて、芯ファイバーは全
体的にZ撚りが残った状態となっており、周囲の巻き付
きファイバの巻き付き角度θは全体的に図10のものに
比較して小さくなっている。また糸の太さも図10のも
のに比較して約0.9倍に細くなっている。そのため糸
の直線度と強度が改善される。例えば図5の糸の場合、
駆動ローラ22の周速を早くして仮撚の程度を大きくす
るほど、糸の強度が向上している。
【0022】図4(b)は解撚すなわち同方向仮撚を受
けた糸であり、毛羽fは周囲の巻き付きファイバに巻き
込まれている。解撚では芯ファイバは平行なままである
が、巻き付きファイバの平均的な巻き付き角度θは大き
くなっている。また巻き付きファイバは元の撚り方向に
巻き付いたものもあるが、a部の如く直角巻きになった
ものが多く見られ、b部のように逆巻きになったものも
ある。そのため、糸の残留トルクが少なくなる。例えば
図6に示される糸の場合、駆動ローラ22の周速を早く
して仮撚の程度を大きくするほど、JISL−1008
で規定されるスナル係数が小さくなっている。また、糸
の太さは図10のものと同程度であるが、毛羽fの巻き
込み及び巻き付きは図4(a)より多く、毛羽fはより
少なくなっている。
【0023】同方向仮撚又は逆方向仮撚のいずれの場合
でも、毛羽の減少の程度は、仮撚を施さない場合の30
00本(10m当たりの糸における0.5mm離れた位
置で観測される毛羽の総数)が200本以下に減少す
る。例えば、図7に示される糸の場合、解撚で駆動ロー
ラ22の周速を早くして仮撚の程度を大きくして滑りを
生じさせるほど、毛羽数が少なくなっている。なお、ニ
ップ部材と糸との間に毛羽が実質的に延びる方向の滑り
を生じさずに、仮撚を施すと、毛羽の減少の程度が少な
くなると共に、毛羽がネップ状に塊となって巻き付く傾
向が生じ、糸の均一性が損なわれる。
【0024】なお、上述した実施例では毛羽が糸の走行
方向に伸びる場合を説明したが、糸の走行方向と逆に毛
羽が伸びる場合には、例えば図1(a)において、巻取
装置のフリクションローラ16の送り速度S4>ニップ
部材の駆動ローラ22の送り速度S2にして、毛羽が伸
びる方向にスリップを生じさせる。また、紡績糸として
空気紡績ノズルを用いた紡績装置による結束紡績糸の場
合を説明したが、リング糸でも本考案方法が適用され
る。さらに、仮撚ベルト23は平ベルトに限らず、丸ベ
ルトであってもよい。
【0025】
【考案の効果】本考案の紡績装置は、ニップ部材と紡績
糸を送る手段との間に、紡績糸の緊張を緩和して撚り切
れが生じない距離の所定区間を設けたものであり、所定
区間によって糸の撚り切れをなくし、また仮撚によって
別の撚りを付加すると同時に、ニップ部材によって毛羽
を擦り付けられた状態にし、毛羽が付加された撚りの変
動と共に巻き込まれるか又は巻き付くようにしたので、
毛羽を紡績工程の途中で効率良く解消させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の紡績装置の概念図である。
【図2】逆方向仮撚用紡績装置の要部斜視図である。
【図3】同方向仮撚用紡績装置の要部斜視図である。
【図4】本考案装置で得られた紡績糸を示す図である。
【図5】駆動ローラの周速と糸の強度との関係を示すグ
ラフ図である。
【図6】駆動ローラの周速とスナル係数の関係を示すグ
ラフ図である。
【図7】駆動ローラの周速と毛羽数の関係を示すグラフ
図である。
【図8】空気紡績ノズルを用いた紡績装置の斜視図であ
る。
【図9】空気紡績ノズルの作動図である。
【図10】従来装置で得られた紡績糸を示す図である。
【符号の説明】
13 デリベリローラ(糸を送る手段) 20,20′ 仮撚装置(ニップ部材) 22 駆動ローラ(ニップ部材) 23 仮撚ベルト(ニップ部材) L 所定区間

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紡績糸を送る手段の下流に、紡績糸に仮
    撚を施すニップ部材を配設し、仮撚装置のニップ部材と
    紡績糸を送る手段との間の紡績糸が仮撚装置のニップ部
    材によって加撚される区間を紡績糸の撚り切れが生じな
    い距離に設定した紡績装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020105510A1 (ja) * 2018-11-19 2020-05-28 株式会社近藤紡績所 編地製造方法、生地製造方法、及び縫製品製造方法

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