JP2567690Y2 - パチンコ機の戻り玉阻止部材 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、発射された打玉が遊技
盤面で釘等に跳ね返って、再び玉誘導路に戻ってくるの
を阻止するパチンコ機の戻り玉阻止部材に関する。

【０００２】

【従来の技術】パチンコ機は内外の玉誘導レールにより
形成されて玉打部から遊技盤面に至る玉誘導路から遊技
盤面に発射されるが、一旦発射された玉が釘や、誘導レ
ールに設けられたストッパに跳ね返って再び玉誘導路に
戻る場合がある。この戻り玉が発生すると、次に打ち出
された玉と誘導路内で衝突して、円滑な玉発射作動が損
なわれることとなり、パチンコ遊技の円滑な進行が阻害
される。特に、いわゆる電役物を多用する昨今のパチン
コ機にあっては、発射タイミングが重要な意味を有し、
このタイミングが外れることとなって、遊技者に大きな
不利益感をもたらす。

【０００３】そこで、戻り玉を排除するために、実公昭
60-24386号、実公平3-303138号、実公平4-28617 号等で
玉戻りの防止手段が提案された。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところで、実公昭60-2
4386号、実公平4-28617 号の各構成は、戻り玉の流入を
妨げる構成ではあるものの、玉誘導路の放出端を直接遮
蔽するものではないから、玉戻りを確実に防止すること
はできない。

【０００５】一方、実公平3-303138号の構成は、誘導レ
ールの放出端に、金属製の舌片を直接固定し、該舌片の
湾曲作用により逆止弁のような作用を生じさせるもので
あるが、金属片の湾曲によるものであるから、玉発射時
の抵抗が大きく、適正な勢いで玉を発射できなかった
り、経時的な湾曲疲労により、金属製舌片が外側へ徐々
に拡開し、発射条件が後発的に変化したり、または挫屈
して逆止機能を生じなくなる。さらには、誘導レールの
加工を要し、既存台に後付することができない等の問題
点がある。本考案は、かかる従来構成の欠点を除去する
ことを目的とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案は、支軸を挿通す
る軸孔を形成し、かつ該軸孔の下方部に重錘部を設ける
と共に、その側面にＬ形の保持腕を該側面に沿って上方
突成して、該保持腕と側面との間に奥端に保持孔を備え
る装着溝を形成してなる合成樹脂製保持基体に、薄板か
らなる金属舌片を、その基端に形成した基筒部を前記保
持孔へ嵌合することにより装着溝内に保持して、該装着
溝から上方へ突出して構成され、内外の玉誘導レールに
より形成されて玉打部から遊技盤面に至る玉誘導路の放
出端の側傍に、前記支軸を遊技盤面に固着することによ
り回転可能に枢支され、重錘部の作用によって金属舌片
が玉誘導レールの放出端を遮蔽する起立位置に保持され
るパチンコ機の戻り玉阻止部材である。また、かかる構
成にあって、合成樹脂製保持基体の上端に、内側の玉誘
導レールと連続状に配設される案内面を形成することが
できる。さらにまた、合成樹脂製保持基体の上部側面か
ら係止突起を突成して、前記装着溝の前縁を覆うように
することができ、この場合には、装着溝に装着された金
属舌片は、前方を係止突起により遮断され、後方を遊技
盤面に遮断されて、装着溝内で前後移動不能に支持され
ることとなる。

【０００７】

【作用】定常状態で、戻り玉阻止部材は支軸で支持され
て、重錘部の自重により、遮断片を直立させ、玉誘導路
の放出端を遮蔽する。この状態で、玉が発射されると前
記支軸を中心として、時計方向へ回転し、該玉の発射を
可能とした後、戻り玉阻止部材は自重により直ちに遮断
位置に戻る。このため、遊技盤面で跳返って玉誘導路の
放出端側に飛来した玉は、遮断片に衝突するが、戻り玉
阻止部材は、誘導レールに当接してその遮蔽状態を維持
され、返り玉は誘導路内へ流入することができず、従っ
て玉の戻りが阻止され、再び遊技盤面内に跳ね返され
る。かかる構成の戻り玉阻止部材にあって、一体成形さ
れる合成樹脂製保持基体に、金属舌片を装着するだけで
構成されるから、製造が簡単で組み付けが容易である。
また、上端に、内側の玉誘導レールと連続状に配設され
る案内面を形成した場合には、該案内面が内側の玉誘導
レールと同様の作用を生ずることとなり、このため、玉
の発射が円滑となり、合成樹脂製保持基体を遊技盤面か
ら可及的に外側へ寄せた位置に配設することができる。
さらにまた、装着溝の前縁を前記係止突起で覆うように
した場合には、装着溝に装着された金属舌片は、前方を
係止突起により遮断され、後方を遊技盤面に遮断され
て、装着溝内で前後移動不能に支持されることとなる。

【０００８】

【実施例】添付図面について本考案の一実施例を説明す
る。図１は、パチンコ機１を示し、その下部には発射槌
を打出す操作ハンドルや受皿（図示せず）等が配設さ
れ、遊技盤面２を囲繞するように内外の玉誘導レール
３，４が設けられている。そして、内側の玉誘導レール
４は遊技盤面２の左上部まで延成され、該玉誘導レール
３と玉誘導レール４との間で発射槌に打圧される玉打部
から遊技盤面２の側傍に至る玉誘導路５が形成されてい
る。前記遊技盤面２には、中央部の入賞装置６等、種々
の入賞口や、釘が配設されている。

【０００９】次に本考案に係る戻り玉阻止部材１０の構
成につき説明する。

【００１０】ここで１１は合成樹脂製材料からなる保持
基体であって、内部を軸孔１３とする円筒形支軸部１２
と、重り１５を嵌着した重錘部１４とを連成してなり、
前記重錘部１４から、Ｌ形の保持腕１６が突成され、該
保持腕１６と基部１７との間に装着溝１８を形成してい
る。また前記保持腕１６の突端には、円形状の保持突縁
１９を形成し、装着溝１８の奥端には円形保持孔２１を
形成している。前記装着溝１８は図２で示すように、前
面側へ開放され、かつ背面側は遮蔽されている。

【００１１】さらに前記円筒形支軸部１２には、三角状
の保持頭部２２が突成され、右側面を前記装着溝１８の
中心に沿って形成し、かつ頂面を左側へ傾斜して、これ
を案内面２３としている。

【００１２】かかる構成の保持基体１１の重錘部１４
は、重りを嵌着することなく、それ自体で重り作用を生
じさせることもできる。

【００１３】この保持基体１１の装着溝１８には、薄板
からなる金属舌片２５がその基端の基筒部２６を前記円
形保持孔２１へ嵌着して上方へ突出している。該金属舌
片２５は、装着溝１８の開口側となる前面から嵌着され
る。かかる嵌着状態にあって、金属舌片２５は基端側の
右側面を保持突縁２０に支持され、かつ左側を円筒形支
軸部１２に支持されて保持される。尚、この金属舌片２
５の横ずれをさらに完全に阻止するために、図４の鎖線
で示すように、保持頭部２２の右側面の前縁部から、係
止突起２７を突成し、該金属舌片２５の前縁に当接させ
るようにしても良い。また、金属舌片２５の先端と玉誘
導レール４との間隔がパチンコ玉の直径以内になるよう
に金属舌片２５を短くしても良い。かかる構成の戻り玉
阻止部材１０は、一体成形される合成樹脂製保持基体１
１のの装着溝１８に、金属舌片２５を装着するだけで構
成されるから、製造が簡単で組み付けが容易となる。

【００１４】この戻り玉阻止部材１０は前記玉誘導レー
ル４の端縁位置で、前記軸孔１３に支軸２４を挿通して
取付けられる。この支軸２４は、釘を用いることがで
き、これを遊技盤面２に直接打圧することにより簡易に
取付け得る。そしてこの取付け状態で、重り１５の作用
により、金属舌片２５は直立位置に保持され、図４で示
すように、玉誘導路５の放出端を遮蔽することとなる。
この取付け位置は、前記案内面２３が玉誘導レール４の
端縁からの延長線とほぼ一致するようにされる。これに
より、玉誘導路５の放出端付近で案内面２３が発射玉を
良好に遊技盤面２へ案内することとなる。

【００１５】かかる構成にあって、ハンドル操作により
玉打部から玉ｘが発射されて、玉誘導路５で誘導され、
該玉誘導路５の放出端から放射されると、図５で示すよ
うに、金属舌片２５に当接して、該戻り玉阻止部材１０
は前記支軸２４を中心として時計方向へ回転する。これ
により、発射玉ｘは円滑に放出される。この傾動した戻
り玉阻止部材１０は重錘部１４が玉誘導レール４の内面
に当接して、その傾斜角度を制限され、玉通過後に自重
により原位置へ復帰する。

【００１６】この作動にあって、戻り玉阻止部材１０は
支軸２４を支点として自重により定位置となり、重り１
５による振り子の作動により傾動するものであるから、
玉発射時の抵抗が極めて小さく、玉打部での大きな打圧
力を要することなく、玉の円滑な発射を確保でき、かつ
戻り玉阻止部材１０自体にも無理な力がかからない。

【００１７】一方、遊技盤面２内へ発射された玉は、玉
誘導レール３の内面に沿って打ち出されると共に、該玉
誘導レール３の右上に配設されたストッパ３０や、釘等
に跳ね返って、玉誘導路５の放出端側へ復帰する場合が
ある。この返り玉ｙは図６で示すように、金属舌片２５
に当たり、戻り玉阻止部材１０を反時計方向へ付勢する
が、戻り玉阻止部材１０は、金属舌片２５の先端が玉誘
導レール３の内面に当接した位置までの回動のみを許容
されるから、玉誘導路５の放出端は金属舌片２５により
遮蔽状態が維持され、該玉ｙは、玉誘導路５内に戻るこ
となく跳ね返って、再び遊技盤面２に放出されることと
なる。

【００１８】このように戻り玉阻止部材１０は金属舌片
２５により逆止弁の作用を生じ、これにより、返り玉ｙ
が戻って、次の玉発射を阻害することはなく、円滑に玉
が順次発射される。このため、例えば、入賞装置６の開
閉翼片が開放状態となって、打ち玉のタイミングを要求
される場合にも、円滑に放射され、戻り玉による遊技者
の不利益が除去される。

【００１９】

【考案の効果】本考案の戻り玉阻止部材１０は、上述し
たように、重錘部１４により直立状態に維持されて玉誘
導路５の放出端を遮蔽する金属舌片２５を備え、金属舌
片２５により返り玉を遮断するようにしたものであるか
ら、戻り玉の発生を確実に阻止できて、玉発射の適正な
タイミングを維持し、パチンコ遊技の円滑な進行を補完
し得ることとなる。また、常態では、支軸２４を支点と
して自重により定位置となり、玉の発射により、振り子
の作動により傾動するものであるから、発射時の抵抗が
極めて小さく、玉打部での大きな打圧力を要することな
く、玉の円滑な発射を確保でき、かつ戻り玉阻止部材１
０自体にも無理な力がかからないから、経時使用による
変形や、挫屈を生ずることもなく、耐久性に優れる。ま
た、戻り玉阻止部材１０は、一体成形される合成樹脂製
保持基体１１に、金属舌片２５を装着するだけで構成さ
れるから、製造が簡単で組み付けが容易である。さらに
は、遊技盤面２に支軸２４を直接固着することにより、
簡易に取付けることができ、誘導レールの加工を要せ
ず、既存台にも適用可能となる。一方、合成樹脂製保持
基体１１の上端に、内側の玉誘導レール３と連続状に配
設される案内面２３を形成した場合には、該案内面２３
が内側の玉誘導レール３と同様の案内作用を生ずること
となり、このため、玉の発射が円滑となると共に、合成
樹脂製保持基体１１を可及的に球落下の邪魔にならない
位置に配設することができる。また、装着溝１８の前縁
を係止突起２７で覆うようにした場合には、装着溝１８
に装着された金属舌片２５は、前方を係止突起２７によ
り遮断されて、装着溝１８内で移動不能に支持されるこ
ととなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】パチンコ機の一部を示す正面図である。

【図２】戻り玉阻止部材１０の斜視図である。

【図３】戻り玉阻止部材１０の一部切欠側面図である。

【図４】戻り玉阻止部材１０の定常状態を示す作動を示
す要部の拡大正面図である。

【図５】戻り玉阻止部材１０の開放作動を示す要部の拡
大正面図である。

【図６】戻り玉阻止部材１０の遮断作動を示す作動を示
す要部の拡大正面図である。

【符号の説明】

２ 遊技盤面 ３，４ 玉誘導レール ５ 玉誘導路 １０ 戻り玉阻止部材 １１ 保持基体 １２ 支軸部 １３ 軸孔 １４ 重錘部 １５ 重り １８ 装着溝 ２１ 保持孔 ２４ 支軸 ２５ 金属舌片

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】支軸を挿通する軸孔を形成し、かつ該軸孔
   の下方部に重錘部を設けると共に、その側面にＬ形の保
   持腕を該側面に沿って上方突成して、該保持腕と側面と
   の間に奥端に保持孔を備える装着溝を形成してなる合成
   樹脂製保持基体に、 薄板からなる金属舌片を、その基端に形成した基筒部を
   前記保持孔へ嵌合することにより装着溝内に保持して、
   該装着溝から上方へ突出して構成され、 内外の玉誘導レールにより形成されて玉打部から遊技盤
   面に至る玉誘導路の放出端の側傍に、前記支軸を遊技盤
   面に固着することにより回転可能に枢支され、重錘部の
   作用によって金属舌片が玉誘導レールの放出端を遮蔽す
   る起立位置に保持されるパチンコ機の戻り玉阻止部材。
2. 【請求項２】 合成樹脂製保持基体の上端に、内側の玉誘
   導レールと連続状に配設される案内面を形成したことを
   特徴とする請求項１記載のパチンコ機の戻り玉阻止部
   材。
3. 【請求項３】 合成樹脂製保持基体の上部側面から係止突
   起を突成して、前記装着溝の前縁を覆うようにしたこと
   を特徴とする請求項１記載のパチンコ機の戻り玉阻止部
   材。