JP2567308Y2 - エアフィルタの着脱構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、車両用空調装置のエ
バポレータケース等の空調ケースに、エアフィルタを簡
易に着脱するための構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】例えば、実開平３−１０７３１９号公報
には、車両用空調装置の冷房サイクルを構成するエバポ
レーター等を収納するエバポレータケースにおいて、エ
バポレータの上流側近傍にエアフイルタを着脱自在に装
着する考案が開示されている。 このようなエバポレータ
ケースにおいて、エアフィルタの着脱作業は、車室内の
助手席足元において、インストルメントパネル下部から
エバポレータケースに設けられた取付長孔に、エアフィ
ルタを挿入したり、取り外したりすることにより行われ
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、近年に
おいて、車両の横方向の強度を高めるために、インスト
ルメントパネル内にレインフォースを取付けることが一
般的となっており、このレインフォースがエアフィルタ
の着脱用の取付長孔の手前側にくる構造となっている場
合に、エアフィルタの着脱作業が困難であるという問題
があった。

【０００４】このような場合、従来ではエアフィルタを
折り曲げたり、分割したりすることが考えられている
が、フィルタを分割した場合には、各々のフィルタの枠
体によりフィルタ本体に張られたフィルタ部材の正面面
積が減少する欠点があり、また部品増加によるコストア
ップ及び着脱作業の煩雑化を招くという欠点がある。

【０００５】そこで、この考案は、フィルタ部材の正面
面積の維持が図れるとともに、部品点数が増加せず、エ
アフィルタの着脱作業が簡易なエアフィルタの着脱構造
を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】しかして、この考案は、
内部に空気通路を有し、該空気通路に熱交換器が配され
ると共に、該熱交換器近傍に前記空気通路を横切るよう
に挿入されるエアフィルタを具備する空調ケースにおい
て、前記エアフィルタを、前記空調ケースへの挿入方向
に垂直な長手方向に伸縮自在であるフィルタ部材と、前
記挿入方向に沿った前記フィルタ部材の各々の辺に固定
される第１及び第２の枠と、前記挿入方向奥端側の前記
フィルタ部材の一辺において前記第１及び第２の枠に連
設されると共に前記フィルタ部材に固着され、外力にて
屈曲する第３の枠と、前記フィルタ部材の残りの一辺に
配される共に前記フィルタ部材に対して分離可能である
第 ４の枠とによって構成したことにある。

【０００７】また、前記第４の枠は、前記空調ケースに
形成のフィルタ取付長孔を閉塞する蓋部としても良いも
のである。

【０００８】

【作用】したがって、フィルタ部材を保持する第４の枠
が、フィルタ部材に対して分離可能であり、フィルタ部
材が挿入方向に垂直な長手方向に伸縮自在で、且つ第３
の枠が外力によって屈曲することから、エアフィルタの
着脱時には、第４の枠をフィルタ部材から分離させるこ
とによって、挿入方向に垂直な方向にエアフィルタを縮
小することができるので、レインフォースを迂回させ
て、空調ケースに対してエアフィルタを着脱することが
できるものである。また、エアフィルタの装着後には、
第４の枠を通常の状態に戻すことによってエアフィルタ
をしっかりと固定することができ、上記課題を達成する
ことができるものである。

【０００９】

【実施例】以下、この考案の実施例について、図１乃至
図７を用いて詳細に説明する。

【００１０】図１に示されるエバポレータケース１は、
車両用空調装置の冷房サイクルの一部を構成するエバポ
レータ（図示せず）等を収納するものであり、一方にブ
ロワ嵌合口２が形成され、このブロワ嵌合口２を介して
送風機等を収納する図示しないブロワケースと接続され
る。

【００１１】このエバポレータケース１の側面には、細
長い取付長孔３が形成されている。この取付長孔３は、
図示しないエバポレータの前面と並行方向に形成されて
いる。そして、該エバポレータケース１の取付長孔３の
両側には、各々対向する位置に、突起４，５が設けられ
ており、この突起４，５には螺子２５，２８を螺合でき
るように螺子孔６，７が形成されている。

【００１２】更に、エバポータケース１の下面におい
て、係止部材８が、螺子９にて取付孔１０に螺合される
ことにより固定されている。この係止部材８は、その一
端において二つの突起片８ａ，８ａが並列に形成され、
該突起片８ａ，８ａ間において棒８ｂが取付られている
構造となっており、この棒８ｂには下記するエアフィル
タ１１を固定するための蓋部１８のフック２０が棒８ｂ
に係合する。

【００１３】エアフィルタ１１は、図２に示すように、
不織布（但し、不織布以外の素材であってもよい）から
成るジャバラ状のフィルタ部材１２と、その周囲に設け
られた枠体１３とから構成される。この枠体１３は、第
１の枠（上枠）１３ａ、第２の枠（下枠）１３ｂ、第３
の枠（左側枠）１３ｃ及び第４の枠（右側枠）１４とに
よって構成され、前記上枠及び下枠と左側枠の接続点若
しくは左側枠自体が、公知の適宜な手段で折れ曲がる構
成となっている。

【００１４】前記右側枠１４は、中央の切断部を挟んで
上部１４ａと下部１４ｂとに分けられ、上部１４ａは取
付長孔３内に挿入可能な挿入枠部１５ａと、前記フィル
タ取付長孔３の外部に突出し、且つ取付長孔３を閉塞す
るため横方向に広がる押え枠部１５ｂより成っている。
また、前記挿入枠部１５ａは、前記フィルタ部材１２の
右端とは固定されていない状態、いわゆる分離可能な状
態となっている。

【００１５】前記押さえ枠部１５ｂは、その内面にウレ
タン等のシール材が添着されると共に、その外面にエア
フィルタ１１を挿入したり取り出したりするための取手
１７が設けられている。

【００１６】前記右側枠１４の下部１４ｂは、前述の上
枠１３ａ、下枠１３ｂ及び左側枠１３ｃと同等の厚みと
大きさが持たされて、取付長孔３内に挿入時には、完全
に収納された状態となるもので、外面に下記する蓋体１
８と係止する係止片２２が突設されている。この下部１
４ｂにあっても、前記フィルタ部材２の右端とは固定さ
れていない構造となっている。

【００１７】蓋体１８は、Ｌ字状をなし、中央縦方向に
係合孔１９が形成されていると共に、下部には前記した
係止部８と係止するフック２０が形成されている。ま
た、この蓋体１８の内面には、ウレタン等のシール材２
１が添着されている。この蓋体１８が、下部のフック２
０を係止部８に引っ掛けてフィルタ取付長孔３を閉塞す
るように装着された場合、その上端（反フック側）が前
記押え枠部１５ｂの下端と係合し押圧するようになる。

【００１８】図３に示す取付金具２３は、前記蓋体１８
を押圧し取付けるためのもので、２枚の板２４ａ，２４
ｂを有し、図１に示すように、一方の板２４ａは一端側
が前記螺子孔７に螺子２５が螺合してエバポレータケー
ス１に取付られると共に、他端側には背後にナット２７
を持つ係合孔２６が形成されている。また、他方の板２
４ｂは、一端側が螺子２８にて前記螺子孔６に螺合して
エバポレータケース１に緩く取付られると共に、他端側
には挿入孔２９が形成され、この挿入孔２９及び前記板
２４ａの係合孔２６を介して蝶螺子３０をナット２７に
螺合して締付けることで、前記蓋体１８を直接押圧し且
つ取付けることができ、これによってエアフィルタ１１
をエバポレータケース１内に装着することができるもの
である。

【００１９】上述の構成において、エアフィルタ１１を
エバポレータケース２から、レインフォース１００に妨
げられることなく取り出すには、図２，図４及び図５に
示す様な手順によって行われる。

【００２０】図２に示すように、エアフィルタ１１がエ
バポレータケース１内に取付けられている状態は、前述
したように、最終的には、取付金具２３にて行われてお
り、従って、図４に示す様に、蝶螺子３０を外し、これ
により板２４ａ，２４ｂとの結合を解除して、板２４ｂ
を垂直に垂れさがった状態とする。これによって、蓋体
１８が取り外し可能な状態となる。

【００２１】次に、蓋体１８のフック２０を、係止部材
８の棒８ｂより外すと共に、係合孔１９から係止片２２
を取り外すことで、蓋体１８を外す。これにより、エア
フィルタ１１の右側枠１４は、蓋体１８による係止から
解除されることとなる。

【００２２】更に、取手１７を持ち、手前方向に引っ張
ると、フィルタ部材１２の右側枠１４の上枠１４ａと下
枠１４ｂとが分離し、上枠１４ａは下枠１４ｂの上に乗
り上げる状態となり、更に一層取手１７を手前下に引っ
張ると、図５に示すように、左側枠１３ｃが屈曲してフ
ィルタ部材１２の縦方向寸法を縮小することができ、エ
アフィルタ１１がレインフォース１００に妨げられるこ
となく、取り出せるようになる。尚、エアフィルタ１１
を、エバポレータケース１に装着するためには、上述し
た手順と反対の手順をとれば良い。

【００２３】次に、図６及び図７において、この考案の
第２の実施例が示される。この実施例におけるエアフィ
ルタ１１は、フィルタ部材１２の周囲に設けられた枠体
１３の図６上における右側枠１４はなく、第１の枠（上
枠）１３ａ及び第２の枠（下枠）１３ｂの開口側端を外
方へ折り曲げてフランジ３４，３５が形成されている。
尚、上枠１３ａ，下枠１３ｂと第３の枠（左側枠）１３
ｃとの接続点若しくは左側枠１３ｃ自体が前記実施例と
同様に適宜な手段で折れ曲がる構成が示されている。従
って、外力を加えれば内側方向へフィルタ部材１２を縮
ませることができる。尚、本願実施の形態においては、
特に左側枠１３ｃを屈曲自在としたことから、エアフィ
ルタ全体を挿入方向に垂直である方向に縮小できるの
で、エアフィルタ１１の着脱がさらに容易となるもので
ある。

【００２４】このエアフィルタ１１は、前記フランジ３
４，３５に形成の取付孔３６，３７に下記する螺子４
３，４４にて取付られる。

【００２５】蓋体４０は、フィルタ取付長孔３を閉塞す
るに適する形状をなしており、上下に取付孔４１，４２
を有し、螺子４３，４４にてエバポレータケース１に形
成の螺子孔４５，４６に螺合して取付られる。これによ
って、前記フィルタ部材１２の枠体１３の一部である第
４の枠（右側枠）を蓋体４０によって兼ねるものであ
る。

【００２６】また、この蓋体４０の内側には、多数の突
起４７が形成され、この蓋体４０の装着時に、蛇腹状に
屈曲する前記フィルタ部材１２の各々の間に挿入され
て、前記フィルタ部材１２の右端に係合し、がたつきを
防止することができるものである。

【００２７】上述の構成において、エアフィルタ１１を
エバポレータケース２から、レインフォース１００に妨
げられることなく取り出すには、図７に示すように、蓋
体１８を取り外して、フランジ３４，３５の一方又は双
方を内側に強く押して、フィルタ部材１２の縦方向寸法
を縮小しつつ引き出し、若干下側に向けて引くという手
順をとるものである。

【００２８】しかるに、この考案であっても、フィルタ
部材１２の正面面積の維持が図れるとともに、エアフィ
ルタ１１の着脱作業が、レインフォース１００に妨げら
れることなく簡易に行え、先の実施例に比し更に部品数
の増加をおさえることができるものである。

【００２９】

【考案の効果】以上の様に、この考案によれば、エバポ
レータにエアフィルタの着脱作業を行う場合に、エアフ
ィルタの縦方向寸法を狭められるので、レインフォース
により妨げられることなく簡単にできると共に、かかる
構造であっても、フィルタ部材の正面面積を維持し、エ
アフィルタの部品数の増加をおさえることができるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１の実施例に係るエアフィルタ及
びエバポレータケースの構成部品を示す斜視図である。

【図２】同上のエアフィルタをエバポレータケース内に
装着された状態を示す拡大図である。

【図３】同上のエアフィルタをエバポレータケースに固
定するための構成を示す説明図である。

【図４】及び

【図５】同上のエアフィルタをエバポレータケースから
取り出す時の手順を示した説明図である。

【図６】この考案の第２の実施例に係るエアフィルタ及
びエバポレータケースの構成部品を示す斜視図である。

【図７】同上のエアフィルタをエバポレータケースから
取り出す時の手順を示した説明図である。

【符号の説明】

３ フィルタ取付長孔 １１ エアフィルタ １２ フィルタ部材 １３ 枠体 １４ 右側枠体 １４ａ 上部 １４ｂ 下部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に空気通路を有し、該空気通路に熱
   交換器が配されると共に、該熱交換器近傍に前記空気通
   路を横切るように挿入されるエアフィルタを具備する空
   調ケースにおいて、 前記エアフィルタを、 前記空調ケースへの挿入方向に垂直な長手方向に伸縮自
   在であるフィルタ部材と、 前記挿入方向に沿った前記フィルタ部材の各々の辺に固
   定される第１及び第２の枠と、 前記挿入方向奥端側の前記フィルタ部材の一辺において
   前記第１及び第２の枠に連設されると共に前記フィルタ
   部材に固着され外力にて屈曲する第３の枠と、 前記フィルタ部材の残りの一辺に配される共に前記フィ
   ルタ部材に対して分離可能である第４の枠とによって構
   成したことを特徴とする エアフィルタの着脱構造。
2. 【請求項２】 前記第４の枠は、前記空調ケースに形成
   のフィルタ取付長孔を閉塞する蓋部であることを特徴と
   する請求項１記載のエアフィルタの着脱構造。