JP2564886Y2

JP2564886Y2 - ダンパーディスク

Info

Publication number: JP2564886Y2
Application number: JP1992015426U
Authority: JP
Inventors: 寛志寺前
Original assignee: Exedy Corp
Current assignee: Exedy Corp
Priority date: 1992-03-24
Filing date: 1992-03-24
Publication date: 1998-03-11
Anticipated expiration: 2007-03-24
Also published as: JPH0577626U

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ダンパーディスク、特
に、複数の種類の弾性体で入力側回転体と出力側部材と
を連結するダンパーディスクに関する。

【０００２】

【従来の技術】ダンパーディスクは、例えば、自動車の
エンジンとトランスミッションとの間に配置されるクラ
ッチのクラッチディスクに使用される。ダンパーディス
クは一般に、外周側にフランジを有し出力側部材に連結
可能なハブと、入力側回転体と、入力側回転体とフラン
ジとを回転方向に弾性的に連結するトーションスプリン
グ等の弾性体とを有している。入力側からの回転力は弾
性体を介してハブ及び出力側部材に伝えられる。入力側
回転体から入力されたトルク変動は、弾性部材の伸縮及
びヒステリシストルクの発生により減衰される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】最近では、特に異音対
策のために、ダンパーディスクの捩じり特性を多段化す
ることが行われている。この場合には、異なる剛性を有
する複数の種類の弾性体が用いられている。これらの複
数の弾性体は、ハブのフランジの窓孔内に収容されてい
るが、窓孔の数が限定されているために、同一の窓孔内
に異なる剛性を有する弾性体が収容されている。たとえ
ば、１段目と２段目、３段目と４段目、あるいは２段目
と３段目のように、ねじり特性の隣り合った段に用いる
弾性体が１つの窓孔内に配置されている。

【０００４】しかし、１つの窓孔内に隣り合う段の弾性
体が配置されていると、トルク変動の領域によっては、
フランジの窓孔に係る荷重が偏り、フランジの窓孔に偏
磨耗が生じたり、ハブ及びフランジに応力集中が生じて
破損する等の問題が生じる。本考案の目的は、複数種類
の弾性体を用いて入力側回転体と出力側部材に連結され
るハブとを連結するダンパーディスクにおいて、フラン
ジの窓孔に係る荷重を均等にすることにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案に係るダンパーデ
ィスクは、ハブと、第１、第２及び第３弾性体と、入力
側回転体とを備えている。ハブは、第１窓孔と第２窓孔
が形成されたフランジを外周側に有し、出力側部材に連
結されている。第１及び第３弾性体は第１窓孔内に同心
に配置されている。第２弾性体は第２窓孔内に配置され
ている。入力側回転体は、第１窓孔に対応して配置され
第１及び第３弾性体の円周方向両側に係合可能な１対の
第１係合部と、第２窓孔に対応して配置され第２弾性体
の円周方向両側に係合可能な１対の第２係合部とを有し
ている。入力側回転体は、第１、第２及び第３弾性体を
介してフランジと円周方向に弾性的に連結されている。
１対の第２係合部の一方から第２窓孔の円周方向反対側
端までの角度と第２弾性体の円周方向角度との差は、１
対の第１係合部の一方から第１窓孔の円周方向反対側端
までの角度と第１弾性体の円周方向角度との差より大き
く、１対の第１係合部の一方から第１窓孔の円周方向反
対側端までの角度と第３弾性体の円周方向角度との差よ
り小さい。

【０００６】

【作用】本考案に係るダンパーディスクでは、圧縮され
る順番が連続する弾性体は異なる窓孔内に配置されてい
る。したがって、たとえトルク変動が多く生じる領域に
おいて２種類の弾性体が連続して伸縮する場合でも、１
つの窓孔にばね荷重が偏ることはなく均等になる。具体
的には、第１弾性部材と第２弾性部材が連続して圧縮さ
れる領域でトルク変動がある場合は、第１窓孔と第２窓
孔に荷重が作用する。

【０００７】

【実施例】図１及び図２は、本考案の一実施例によるダ
ンパーディスクを示している。ここでは、Ｏ−Ｏが回転
中心線である。このダンパーディスクの中心には、出力
側部材としてのトランスミッション軸（図示せず）に連
結されるハブ１が配置されている。ハブ１は、その中心
部にスプライン１ａを有している。またハブ１には、外
周側に突出するフランジ部２が一体に形成されている。
フランジ部２の外周には、４つのストッパー用切欠き２
ａが等間隔に形成されている。また、隣接するストッパ
ー用切欠き２ａの間には、内周側捩じりスプリング３を
収容するための４個の切欠き２ｂが形成されている。そ
の切欠きのうち図２の上下方向に対向する２つの切欠き
内に、剛性の低い内周側捩じりスプリング３が収容され
ている。

【０００８】一方、フランジ部２の両側方には、１対の
サイドプレート４，５が配置されている。この１対のサ
イドプレート４，５は、ハブ１の外周側に回転自在に配
置された概ね円板状のプレート部材である。サイドプレ
ート４，５の半径方向外周は密着しており、両者はリベ
ット６により固定されている。この１対のサイドプレー
ト４，５の外周には、円周方向に所定の角度で形成され
たそれぞれ４つの窓孔４ａ，５ａが形成されている。ま
た、サイドプレート４，５は窓孔４ａ，５ａの間に外周
側に開いた切欠き４ｄ，５ｄを有している。

【０００９】また、１対のサイドプレート４，５の内周
部には、これらのサイドプレート４，５で挟まれるよう
に第１ストッパーピン７が設けられている。この第１ス
トッパーピン７により、サイドプレート４，５の内周端
の軸方向の間隔が設定されている。なお、第１ストッパ
ーピン７は、図１から明らかなように、ハブ１のフラン
ジ部２に設けられた切欠き２ａを挿通するように配置さ
れており、切欠き２ａの円周方向壁と円周方向に所定の
隙間を有している。このようにして、サイドプレート
４，５とハブ１との間に相対回転が生じたときに、第１
ストッパーピン７が切欠き２ａの端面に当接することで
両者の捩じり角度が規制される。

【００１０】また、サイドプレート４，５の内周端部で
フランジ２の切欠き２ｂに対応する部分には、それぞれ
窓孔が形成されている。内周側捩じりスプリング３の両
端にに設けられたシート部材３ａは軸方向に延びて、前
記窓孔内に進入し、その両端に当接している。つまり、
サイドプレート４，５は内周側捩じりスプリング３を介
してハブ１に連結されており、ハブ１のフランジとして
機能する。

【００１１】サイドプレート４，５のそれぞれの軸方向
外方には、入力側回転体としてのクラッチプレート８及
びリテーニングプレート９が配置されている。クラッチ
プレート８及びリテーニングプレート９は、概ね円板状
の１対の部材であり、ハブ１の外周側に回転自在に係合
している。クラッチプレート８及びリテーニングプレー
ト９は外周部で第２ストッパーピン１０により固定され
ている。この第２ストッパーピン１０は、図２に示すよ
うに、サイドプレート４，５の外周端に形成された切欠
き４ｄ，５ｄ内を挿通するように配置されている。第２
ストッパーピン１０と切欠き４ｄ，５ｄとの間には円周
方向には所定の隙間が形成されている。これにより、ク
ラッチプレート８及びリテーニングプレート９がサイド
プレート３，４に対して相対回転するときには、第２ス
トッパーピン１０が切欠き４ｄ，５ｄに当接することで
捩じり角度が規制される。

【００１２】クラッチプレート８の外周端には、リベッ
ト１１により複数のクッショニングプレート１２が連結
されており、クッショニングプレート１２の両面には摩
擦フェーシング１３が設けられている。リテーニングプ
レート９及びクラッチプレート８には、それぞれサイド
プレート４，５の窓孔４ａ，４ｂ及び５ａ，５ｂに対応
した位置に、軸方向外方に切り起こされたスプリング収
納部８ａ，９ａを有している。このスプリング収納部９
ａ，８ａとサイドプレート３，４の窓孔４ａ，５ａ内に
複数種類の外周側捩じりスプリングが収納されて、プレ
ート８，９とサイドプレート４，５が回転方向に弾性的
に連結されている。

【００１３】図２の左右方向に対向する２つの窓孔４ａ
（第１窓孔），５ａに相当する部分には、第１外周側捩
じりスプリング１４（第１弾性体）が配置されている。
この第１外周捩じりスプリング１４の両端はサイドプレ
ート４，５の窓孔４ａ，５ａの円周方向端面に当接して
いる。第１外周側捩じりスプリング１４の内周には最も
剛性の高いフロートラバー１５（第３弾性体）が配置さ
れている。フロートラバー１５と窓孔４ａ，５ａの円周
方向端面及びクラッチプレート８及びリテーニングプレ
ート９の切り起こし部８ａ及び９ａの円周方向端面との
間には、大きな隙間が形成されている。

【００１４】図２の上下方向に対向する窓孔４ａ（第２
窓孔），５ａに対応する部分には、第２外周側捩じりス
プリング１６（第２弾性体）が配置されている。第２外
周側捩じりスプリング１６は、２種類のスプリング１６
ａ及び１６ｂから構成されており、窓孔４ａ，５ａの円
周方向端面との間には比較的小さな隙間が確保されてい
る。なお、第２外周側ねじりスプリング１６が配置され
た窓孔４ａ，５ａは、内周側捩じりスプリング３が収容
されたフランジ部２の切欠き２ｂの半径方向外周側に配
置されている。

【００１５】サイドプレート５の内周端とフランジ部２
との間にはウェーブスプリング１７及び第１フリクショ
ンワッシャー１８が配置されている。ウェーブスプリン
グ１７と第１フリクションワッシャー１８との間には第
１フリクションプレート１９が配置されている。第１フ
リクションプレート１９は図２から明らかなように第１
ストッパーピン７に対して円周方向に共回りするように
かつ軸方向にスライド自在に係合している。サイドプレ
ート４の内周端とフランジ部２との間には第２フリクシ
ョンワッシャー２０が配置されている。以上のフリクシ
ョンワッシャー及びウェーブスプリング１７により、サ
イドプレート４，５がフランジ部２に対して相対回転す
るときに所定のヒステリシストルクが発生するようにな
っている。

【００１６】サイドプレート４及びクラッチプレート８
の半径方向内周端とハブ１の外周面との間にはブッシュ
２１が配置されている。サイドプレート４の内周端とク
ラッチプレート８の内周端でブッシュ２１の外周側に
は、クラッチプレート８側から環状のコーンスプリング
２４，クラッチプレート８に回り留めされた第２フリク
ションプレート２３，第３フリクションワッシャー２２
が配置されている。リテーニングプレート９の内周端と
サイドプレート５の内周端との間には、第４フリクショ
ンワッシャー２５が配置されている。コーンスプリング
２４の押圧力と第３フリクションワッシャー２２及び第
４フリクションワッシャー２５とにより、クラッチプレ
ート８及びリテーニングプレート９がサイドプレート
４，５に対し相対回転するときに比較的に大きいヒステ
リシストルクが発生するようになっている。

【００１７】次に動作について説明する。摩擦フェーシ
ング１３にトルクが伝達されると、そのトルクは入力側
回転体としてのクラッチプレート８及びリテーニングプ
レート９に伝達される。そして、これらのプレート８及
び９に伝達されたトルクは、第１外周側捩じりスプリン
グ１４を介してサイドプレート４，５に伝達され、さら
にハブ１に伝達される。このとき、低負荷の場合は、剛
性の最も低い部分、すなわち内周側捩じりスプリング３
が圧縮され、このばね特性に応じた捩じり角−捩じりト
ルク特性が得られる。

【００１８】高負荷となって伝達トルクが大きくなる
と、内周側捩じりスプリング３はさらに圧縮され、第１
ストッパーピン７が回転してハブ１の切欠き２ａの端部
に当接する。これにより、サイドプレート４，５とハブ
１及びフランジ部２とが一体化する。さらに高負荷にな
ると、クラッチプレート８及びリテーニングプレート９
とサイドプレート４，５との間に相対回転が生じる。そ
して、捩じり角度が大きくなるにつれて、クラッチプレ
ート８及びリテーニングプレート９が第１外周側捩じり
スプリング１４を圧縮する。その圧縮の途中で、クラッ
チプレート８及びリテーニングプレート９が第２外周側
捩じりスプリング１６の圧縮を開始する。これ以後は、
第１外周側捩じりスプリング１４と第２外周側捩じりス
プリング１６とを合わせたばね特性になり、このばね特
性に応じた捩じり角−捩じりトルク特性が得られる。さ
らに捩じり角度が大きくなると、クラッチプレート８お
よびリテーニングプレート９がフロートラバー１５の圧
縮を開始する。第２ストッパーピン１０が切欠き４ｄ，
５ｄに当接すると、プレート８及び９とサイドプレート
４，５とは以後一体回転する。

【００１９】以上の説明の捩じり動作において、サイド
プレート４，５が内周側捩じりスプリング３を圧縮しな
がらハブ１に捩じれるときは、ウェーブスプリング１
７，第１フリクションワッシャー１８及び第２フリクシ
ョンワッシャー２０によって小さな１段目ヒステリシス
トルクが発生する。そして、クラッチプレート８及びリ
テーニングプレート９がサイドプレート４，５に対して
捩じれるときには、コーンスプリング２４、第３フリク
ションワッシャー２２及び第４フリクションワッシャー
２５により大きな２段目ヒステリシストルクが発生す
る。その結果、入力されてくるトルク変動が減衰され
る。

【００２０】また、この実施例では、ハブ１のフランジ
として機能するサイドプレート４，５の窓孔内には、３
種類の外周側捩じりスプリング（第１外周側捩じりスプ
リング１４，第２外周側捩じりスプリング１６，フロー
トラバー１５）が配置されており、多段階のばね特性が
得られる構造になっている。第１外周側捩じりスプリン
グ１４と第２外周側捩じりスプリング１６とは異なる窓
孔４ａに別々に配置されている。そして、３番目の外周
側捩じりスプリングとして機能するフロートラバー１５
は２番目に機能する第２外周側捩じりスプリング１６と
は別のつまり第１外周側捩じりスプリング１４の収容さ
れた窓孔４ａ（第１窓孔）内に配置されている。すなわ
ち、圧縮される順番が連続している各弾性体は異なる窓
孔内に配置されている。したがって、トルク変動により
第１外周側捩じりスプリング１４と第２外周側捩じりス
プリング１６とが伸縮を繰り返す場合に、従来では４つ
の窓孔のうち２つのみに荷重がかかっていたのが、本実
施例では窓孔４ａ，５ａの対向する２組にばね荷重が分
散され、均等になる。この結果、穿孔４ａ，５ａの偏磨
耗が防止される。また、サイドプレート４，５とフラン
ジ部２とハブ１とに生じる応力集中が減り、破損が防止
される。また、これらの部材の偏心を防止することがで
きる。

【００２１】

【考案の効果】本考案に係るダンパーディスクでは、圧
縮される順番が連続する弾性体は異なる窓孔内に配置さ
れている。したがって、入力側回転体からトルク変動が
伝達され弾性体が伸縮を繰り返す際に、フランジの窓孔
に係る荷重は均等になる。その結果、フランジ及びハブ
の磨耗や破損等が防止される。また、フランジ及びハブ
の偏心が防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例によるダンパーディスクの縦
断面図。

【図２】図１のII−II断面図。

【符号の説明】

１ハブ２フランジ部４，５サイドプレート４ａ，５ａ窓孔８クラッチプレート９リテーニングプレート１４第１外周側捩じりスプリング１５フロートラバー１６第２外周側捩じりスプリング

Claims

(57)【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】第１窓孔と第２窓孔が形成されたフランジ
を外周側に有し、出力側部材に連結されるハブと、前記第１窓孔内に同心に配置された第１及び第３弾性体
と、前記第２窓孔内に配置された第２弾性体と、前記第１窓孔に対応して配置され前記第１及び第３弾性
体の円周方向両側に係合可能な１対の第１係合部と、前
記第２窓孔に対応して配置され前記第２弾性体の円周方
向両側に係合可能な１対の第２係合部とを有し、前記第
１、第２及び第３弾性体を介して前記フランジと円周方
向に弾性的に連結された入力側回転体とを備え、前記１対の第２係合部の一方から前記第２窓孔の円周方
向反対側端までの角度と前記第２弾性体の円周方向角度
との差は、前記１対の第１係合部の一方から前記第１窓
孔の円周方向反対側端までの角度と前記第１弾性体の円
周方向角度との差より大きく、前記１対の第１係合部の
一方から前記第１窓孔の円周方向反対側端までの角度と
前記第３弾性体の円周方向角度との差より小さい、ダン
パーディスク。