JP2561775B2 - 誘電体フィルター及びその周波数特性の調整方法 - Google Patents
誘電体フィルター及びその周波数特性の調整方法Info
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Description
体フィルター及びその周波数特性の調整方法に係り、特
に、小型で優れたフィルター特性を発揮し得る誘電体フ
ィルターの構造と、該誘電体フィルターの周波数特性を
簡便に調整する方法に関するものである。
波を利用した通信機においては、損失を小さくするため
に、各種の誘電体セラミックスを使ったフィルターが使
用されている。そして、従来においては、中心に貫通孔
が形成された誘電体ブロックの内周面をメタライズし
て、共振器に相当する中心導体とした、同軸型の共振器
を用い、これを複数個結合して構成した誘電体フィルタ
ーが使用されていた。しかしながら、このような構造の
誘電体フィルターでは、前記貫通孔のために、フィルタ
ーの薄型化や、小型化には自ずと限界があり、また部品
点数が多いことから、組立プロセスが面倒で、煩雑であ
る問題も内在していた。
606号公報において明らかにされている如き、トリプ
レート型の積層構造の誘電体フィルターには、上記のよ
うな問題がなく、大幅な薄型化が可能で、且つ面倒な組
立てが不要である特徴が認められている。図5、図6に
は、そのような構造の誘電体フィルターの一例が示され
ている。即ち、そこに示される誘電体フィルター2は、
誘電体基板6の内部において、図6に示されている如き
パターンで、入出力用電極3と複数のストリップライン
型の共振器用電極4(ここでは3本)を内蔵しており、
また外周面には、アース導体8及び前記入出力用の電極
3に対応する入出力端子10が設けられてなるものであ
って、極めてコンパクトに作製され得るようになってい
る。
体フィルター2では、図6に示す如きコムライン構造や
インターデジタル構造等の共振器用電極4の配置形態に
よって、共振器間の結合長を調節して、所望のフィルタ
ー特性を得るようになっており、各共振器用電極4を互
いに電気的に結合するための結合回路は含まれていない
ものであった。しかしながら、最近のマイクロ波用フィ
ルターに要求される特性は一段と厳しく、単純なコムラ
イン構造やインターデジタル構造では最早対応できなく
なってきており、各共振器を容量などで結合する結合回
路が必要となってきているのである。
周波数特性を所望の値に合わせて最終的に微調整するた
めに、共振器用電極4が内蔵されている部分に相当する
アース導体8の部位や、共振器用電極4の短絡端(アー
ス導体8に接続する側)をトリミングしていたが、誘電
体基板6内に内蔵されている共振器用電極4の位置が正
確に分かり難いことから、かかる作業が面倒なものとな
っていたのである。
されたものであって、その解決課題とするところは、ト
リプレート構造の誘電体フィルターにおいて、誘電体フ
ィルターの大型化や部品点数の増加を招くことなく、フ
ィルター特性を有利に向上させることにある。また、誘
電体フィルターの周波数特性を調整するに際して、その
作業を容易にすることにある。
に、本発明は為されたものであって、その要旨とすると
ころは、誘電体基板に複数の共振器用電極を内蔵したト
リプレート型の積層構造の誘電体フィルターにおいて、
前記誘電体基板に、所定の結合容量を介して、隣接する
共振器用電極を互いに電気的に結合せしめる結合用電極
を、更に内蔵せしめると共に、該結合用電極が、該誘電
体基板内において、該隣接する共振器用電極とは異なる
平面内に位置し且つ隣接する共振器用電極にそれぞれ対
向位置せしめられて、積層方向において重なり合うよう
に、構成したことにある。
ルターにおいて、有利には、前記結合用電極は、前記共
振器用電極の開放端に重ならないように、該開放端から
該共振器用電極のアース導体短絡端側にずれた位置に配
置せしめられることとなるのである。
極を、1/4又は1/2波長のTEMモードのストリッ
プライン型共振回路を構成するように形成して、その開
放端を外部に露出せしめた構成の誘電体フィルターにお
いて、有利に実現されるものである。また、本発明に従
う誘電体フィルターにあっては、前記誘電体基板の上面
及び下面の略全面に亘ってアース導体が設けられ、それ
ら上、下面のアース導体が相互に電気的に導通せしめら
れていると共に、前記共振器用電極の開放端が露出せし
められる前記誘電体基板の一つの側面において、該共振
器用電極の露出部分に接触しないように、所定幅の帯状
アース導体が上下方向に延びるように設けられ、該帯状
アース導体によって上、下面のアース導体が電気的に導
通せしめられている構造が、有利に採用される。
成の誘電体フィルターにおいて、前記共振器用電極の開
放端をトリミングすることにより、対応する各共振回路
の共振周波数を調整することが、有利に行なわれること
となる。
ーの構成及びその周波数特性の調整方法について、図面
に基づいて具体的に説明することとする。
リプレート構造の誘電体フィルターの一例が示されてい
る。そこにおいて、誘電体フィルター42は、内蔵され
ている共振器用電極18の開放端側に当たる一側面(図
1において正面)の一部を除いて、略全面がアース導体
14にて覆われており、また他の側面において、該アー
ス導体14と電気的に非接続な状態で、一対の入出力端
子16が形成されている。そして、アース導体14が設
けられていない面には、誘電体基板(44,46,4
8,50)に内蔵されている共振器用電極18の開放端
が露出せしめられているものである。
れぞれ隣り合う共振器用電極18,18を結合する結合
用電極22が、別体に形成されて、それぞれ別の誘電体
基板上に形成されている。その中で、共振器用電極18
は、第三の誘電体基板48上に形成され、図2に示され
るように、その一端がアース導体14に短絡され、他端
が前述の如く外部に露出せしめられている。一方、結合
用電極22は、第二の誘電体基板46上に形成されてお
り、また図2に示されているように、第三の誘電体基板
48に形成された各共振器用電極18の開放端に対応す
る部位に、それぞれ形成されている。従って、結合用電
極22は、共振器用電極18に対して誘電体基板の異な
る平面内に位置し、且つ該共振器用電極18に対向し
て、内蔵せしめられるようになっているのである。そし
て、誘電体フィルター42は、それら第一〜第四の誘電
体基板44,46,48,50が積層されて、焼成によ
り一体化せしめられて、構成されている。
体フィルター42の等価回路を示す図3より明らかなよ
うに、隣り合う共振器34同士は、共振器用電極18と
結合用電極22の間の容量36,36及び結合用電極2
2を介して結合されており、それらの各容量36が適宜
に調整されることによって、共振器34間の結合量が調
整され得るようになっているのである。特に、結合用電
極22が、誘電体基板(44、46、48、50)内に
おいて、共振器用電極18とは異なる平面内に位置し、
且つ該共振器用電極18に対向して、内蔵されているこ
とにより、大きな結合容量が得られ、以てフィルター設
計の自由度が大幅に向上せしめられるのである。
においては、共振器用電極18の開放端側に当たる誘電
体基板(44,46,48,50)の一側面(端面)
に、図1に示される如く、該誘電体基板の上面及び下面
に設けられたアース導体14,14を接続する帯状のア
ース導体14aが、共振器用電極18の開放端間に位置
するように設けられている。このような帯状アース導体
14aの存在により、上面のアース導体14と下面のア
ース導体14との間のアース電位の差の解消が効果的に
図られ得、以てフィルター特性の安定化が達成される特
徴を発揮するようになっている。
い部分と、前記誘電体基板の一側面に形成されている帯
状アース導体14aとの間に形成される容量52によ
り、共振周波数においては共振器用電極18は誘導性と
なっており、そのため各共振器34間には誘導結合Mが
生じている。このように、各共振器34には、容量36
による結合(容量結合)と誘導結合Mが生じるので、フ
ィルターの通過帯域より低周波数側での減衰量を大きく
取ることが出来、図4に示される如く周波数の分離特性
が向上せしめられ得るのである。要するに、かかる結合
容量36によって、共振器34間の結合を調整すること
が出来ることとなるのであり、特に結合用電極22の共
振器用電極18に対する対向配置によって大きな容量を
形成し得るところから、共振器34間の結合を誘導性か
ら容量性に変更することが出来、以て図4の如く、通過
帯域の低域での減衰特性を効果的に改善し得るのであ
る。加えて、かかる容量52の存在により、共振器34
の長さは、該容量52が存在しない場合よりも同じ共振
周波数で短くすることが出来、以てフィルターの小型化
にも寄与し得るのである。
42では、外部に露出せしめられた共振器用電極18の
開放端をトリミングすることによって、周波数特性を簡
便に微調整することができることから、かかる作業が的
確且つ簡便となり、作業性が向上する利点もあるのであ
る。
及び結合用電極22を、積層一体化 された誘電体基板
(44,46,48,50)内に完全に内蔵するもので
あるところから、それらの電極を形成する導体には、比
抵抗の低いものを用いることが望ましい。何故なら、電
極でのロスがフィルターの通過域での損失を増加させる
からであり、特に、マイクロ波帯での電磁波を扱う場合
には、結合回路の導体の抵抗が低い必要があり、低抵抗
のAu系、Ag系若しくはCu系の導体を使用すること
が好ましい。
場合には、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材
料と同時焼成することは困難であるところから、それら
の融点(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得
る誘電体材料を用いる必要がある。また、マイクロ波フ
ィルターとしてのデバイスの性格上、形成される共振回
路の共振周波数の温度特性(温度係数)が±50ppm
/℃以下になるような誘電体材料が好ましい。このよう
な誘電体材料としては、例えば、コージェライト系ガラ
ス粉末とTiO2 粉末及びNd2 Ti2 O7 粉末との混
合物等のガラス系のものや、BaO−TiO2 −RE2
O3 −Bi2 O3 系組成(RE:レアアース成分)に若
干のガラス形成成分やガラス粉末を添加したものがあ
る。
発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明
が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも
受けるものでないことは、言うまでもないところであ
る。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には
上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない
限りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、
修正、改良等を加え得るものであることが、理解される
べきである。
末に、低融点ガラス粉末及び低融点金属酸化物粉末を、
それらの合計量が8wt%となるように添加せしめて、
混合粉末を調製した。次いで、この混合粉末に、アクリ
ル系有機バインダー、可塑剤、トルエン及びアルコール
系の溶剤を加え、アルミナ玉石で充分に混合して、スラ
リーとした。そして、この得られたスラリーを用いて、
ドクターブレード法により、0.2mm〜0.5mmの厚み
のグリーンテープを作製した。
ダー及びテルピネオール系の有機溶剤を、3本ローラー
により良く混練し、印刷用の導体ペーストにした。そし
て、この導体ペーストを使用して、前記グリーンテープ
上に、図1、図2に示した配線パターンや、上下二面の
アース導体及び入出力端子部分を印刷した。次いで、こ
れら導体パターンが印刷されたグリーンテープを、所定
の順番で重ねた後、100℃、100kg/cm2 の条件で
積層一体化した。積層後、この積層体を切断し、その側
面(切断面)に入出力端子部分や上下のアース導体を接
続するように側面のアース導体を印刷して、図1に示す
構造を得た。更にその後、大気雰囲気下で、900℃、
30分の条件で焼成し、全体の厚みが2mmの薄いマイク
ロ波用フィルターを得た。
帯域幅:20MHz、挿入損失:3dBであった。また、
前記混合粉末の焼結体を作製して、所定の寸法に研磨し
た後、平行導体板型共振器法にて、マイクロ波帯におけ
る共振周波数の温度特性(温度係数)を測定したとこ
ろ、−25℃から+75℃の間で+15ppm/℃であ
った。なお、この際、周波数特性の微調整を、共振器用
電極の外部に露出した開放端をトリミングすることによ
って、行なった(図1参照)。
では、トリプレート構造の誘電体フィルターにおいて、
共振器用電極間の結合量を調整する結合用電極を更に内
蔵させたことにより、優れたフィルター特性を得ること
ができるのであり、しかも、それによってフィルターが
大型化したり、複雑化することはない。
器の結合用電極部位に対して他の導体や誘電体が接近し
ても、結合用電極と共振器用電極の間に形成される電磁
界が乱されるようなことが効果的に抑制乃至は阻止され
得て、結合特性の安定性の向上が有利に図られ得るので
あり、以て外部の影響を受けずに安定したフィルター特
性を得ることが出来ることとなったのである。
て共振器用電極とは異なる平面内に位置せしめ、且つ該
共振器用電極に対向して内蔵せしめるようにすれば、大
きな結合容量を容易に得ることが出来るところから、フ
ィルター設計の自由度を大幅に向上させることが出来る
のである。即ち、かかる結合容量によって、共振器間の
結合を調整することが出来、そして結合用電極の共振器
用電極に対する対向によって大きな容量を形成し得るた
め、共振器間の結合を誘導性から容量性に変更すること
が出来、以て通過帯域の低域での減衰特性を効果的に改
善し得るのである。
いて、共振器用電極の開放端を外部に露出させる場合に
は、その開放端をトリミングすることにより、周波数特
性の微調整が極めて簡便に為され得るのであり、作業性
が向上するのである。
視図である。
る。
図である。
関係を示すグラフである。
る。
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 誘電体基板に複数の共振器用電極を内蔵
したトリプレート型の積層構造の誘電体フィルターにお
いて、前記誘電体基板に、所定の結合容量を介して、隣
接する共振器用電極を互いに電気的に結合せしめる結合
用電極を、更に内蔵せしめると共に、該結合用電極が、
該誘電体基板内において、該隣接する共振器用電極とは
異なる平面内に位置し且つ該隣接する共振器用電極にそ
れぞれ対向位置せしめられて、積層方向において重なり
合うように、構成したことを特徴とする誘電体フィルタ
ー。 - 【請求項2】 前記結合用電極が、前記共振器用電極の
開放端に重ならないように、該開放端から該共振器用電
極のアース導体短絡端側にずれた位置に配置せしめられ
ていることを特徴とする請求項1に記載の誘電体フィル
ター。 - 【請求項3】 前記共振器用電極が、1/4又は1/2
波長のTEMモードのストリップライン型共振回路を構
成するように形成され、その開放端が外部に露出せしめ
られていることを特徴とする請求項1または請求項2に
記載の誘電体フィルター。 - 【請求項4】 前記誘電体基板の上面及び下面の略全面
に亘ってアース導体が設けられ、それら上、下面のアー
ス導体が相互に電気的に導通せしめられていると共に、
前記共振器用電極の開放端が露出せしめられる前記誘電
体基板の一つの側面において、該共振器用電極の露出部
分に接触しないように、所定幅の帯状アース導体が上下
方向に延びるように設けられ、該帯状アース導体によっ
て上、下面のアース導体が電気的に導通せしめられてい
る請求項1乃至請求項3の何れかに記載の誘電体フィル
ター。 - 【請求項5】 前記請求項3または請求項4に記載の誘
電体フィルターにおいて、外部に露出せしめられた共振
器用電極の開放端をトリミングすることによって、対応
する各共振回路の共振周波数を調整するようにしたこと
を特徴とする誘電体フィルターの周波数特性の調整方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP4100652A JP2561775B2 (ja) | 1991-03-29 | 1992-03-26 | 誘電体フィルター及びその周波数特性の調整方法 |
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JP9309291 | 1991-03-29 | ||
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Publications (2)
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JPH05152804A JPH05152804A (ja) | 1993-06-18 |
JP2561775B2 true JP2561775B2 (ja) | 1996-12-11 |
Family
ID=26434532
Family Applications (1)
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Country Status (1)
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-
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- 1992-03-26 JP JP4100652A patent/JP2561775B2/ja not_active Expired - Lifetime
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