JP3204753B2 - 共用器 - Google Patents

共用器

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JP3204753B2
JP3204753B2 JP25829092A JP25829092A JP3204753B2 JP 3204753 B2 JP3204753 B2 JP 3204753B2 JP 25829092 A JP25829092 A JP 25829092A JP 25829092 A JP25829092 A JP 25829092A JP 3204753 B2 JP3204753 B2 JP 3204753B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は共用器に関し、特に一つ
のアンテナを送信側と受信側とで共用し送信信号と受信
信号とを分離する機能を有する共用器に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】共用
器、例えば、一つのアンテナを送信側と受信側とで共用
し送信信号と受信信号とを分離する機能を有するアンテ
ナ共用器においては、中心周波数の異なる二つのフィル
タが並列に接続されるから、これらの二つのフィルタの
いずれか一方のフィルタの中心周波数においても、これ
らのフィルタが共用する入出力端子であるアンテナから
見た他方のフィルタのインピーダンスが無限大になるよ
うにして、当該フィルタの通過特性を妨げないようする
必要がある。
【0003】この目的のために、分波回路を二つのフイ
ルタの接続部分に挿入することが行われている。図10
は、それぞれ所定の電気長を持った伝送線路411、4
12をアンテナ700とフィルタ500およびフィルタ
600との間にそれぞれ挿入して分波回路400を構成
した場合を示している。この構造においては、伝送線路
411、412が所定の電気長を有することが必要とな
るので、これらの伝送線路411、412を所定の長さ
引き回す必要があり、誘電体基板中にこれらの伝送線路
411、412を形成する場合には大きな面積を必要と
し、共用器を小型化できないという問題があった。
【0004】そこで、伝送線路の代わりに容量やコイル
等の集中定数素子を使用して分波回路を構成することが
行われている。図11にはその一例として、コイル42
1および422をフィルタ500および600とアンテ
ナ700との間にそれぞれ直列に挿入し、容量423を
フィルタ500、600と並列に挿入した場合を示して
いる。このような分波回路を構成するために、従来にお
いては、コイル421、422として、実際にリードを
巻いた個別部品を使用し、容量423として、チップ容
量等の個別部品を使用していた。従って、部品点数が増
加し、共用器も小型化できないという問題があった。さ
らに、コイルのリアクタンスが振動によって変化し、安
定性や信頼性も低いという問題があった。
【0005】従って、本発明の一目的は、小型化に適し
た構造を有する共用器を提供することにある。
【0006】本発明の他の目的は、分波回路を構成する
のにコイル等の部品を不用とし、安定性や信頼性に優れ
た共用器を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、中心周
波数の異なる第1のフィルタおよび第2のフィルタと、
前記第1および第2のフィルタのいずれか一方のフィル
タの中心周波数においても、前記第1および第2のフィ
ルタが共用する入出力端子から見た前記第1および第2
のフィルタのうちの他方のフィルタのインピーダンスが
無限大になるようにした分波回路とを有する共用器にお
いて、前記第1および第2のフィルタの少なくとも一つ
を共振素子が誘電体基板中に一体的に設けられたトリプ
レート型のフィルタとし、前記分波回路の少なくとも一
部を前記誘電体基板中に設け、前記第1のフィルタ、前
記第2のフィルタおよび前記分波回路を前記誘電体基板
に一体的に形成したことを特徴とする共用器が得られ
る。
【0008】好ましくは、前記分波回路が前記第1およ
び第2のフィルタにそれぞれ直列に接続された容量と前
記第1および第2のフィルタに並列に接続されたインダ
クタンスとを有して構成される。
【0009】さらに好ましくは、前記インダクタンスの
先端がアースに短絡され電気長が90度以下の伝送線路
によって構成される。
【0010】前記分波回路のインダクタンスを構成する
伝送線路がマイクロストリップ線路であることが、さら
に好ましい。
【0011】
【作用】本発明においては、中心周波数の異なる第1の
フィルタおよび第2のフィルタと、前記第1および第2
のフィルタのいずれか一方のフィルタの中心周波数にお
いても、前記第1および第2のフィルタが共用する入出
力端子から見た前記第1および第2のフィルタのうちの
他方のフィルタのインピーダンスが無限大になるように
した分波回路とを有する共用器において、前記第1およ
び第2のフィルタの少なくとも一つを共振素子が誘電体
基板中に一体的に設けられたトリプレート型のフィルタ
とし、前記分波回路の少なくとも一部を前記誘電体基板
中に設け、前記第1のフィルタ、前記第2のフィルタお
よび前記分波回路を前記誘電体基板に一体的に形成して
いるから、共用器を小型化でき、部品点数も減少し、ま
た、コイル等の部品も不用となるから、安定性や信頼性
に優れた共用器が得られる。
【0012】ここで、使用するフィルタをトリプレート
型のフィルタとする理由は、一部内蔵化された分波回路
とフィルタを接続する際、その接続は基板に内蔵された
電極を使用して行われるのが望ましく、そのためには、
導体の内蔵多層構造が可能で、分波回路とフィルタを接
続する電極の形成が容易な積層型のトリプレート型フィ
ルタが好ましいからである。
【0013】また、少なくとも一つがトリプレート型で
ある理由は、残り一つのフィルタに要求される仕様が低
い場合には、集中定数型のLC型フィルタ(バンドパ
ス、ローパス等)が使用される場合が考えられるからで
ある。
【0014】好ましくは、第1、第2のフィルタ共にト
リプレート型フィルタが使用される。
【0015】また、本発明の共用器において、分波回路
を第1および第2のフィルタにそれぞれ直列に接続され
た容量と第1および第2のフィルタに並列に接続された
インダクタンスとによって構成することにより、分波回
路を誘電体基板に容易に形成できる。すなわち、誘電体
基板中または誘電体基板上に形成した導体を利用してイ
ンダクタンスを形成する場合には導体の一端を短絡また
は開放にする必要があるが、この導体を第1および第2
のフィルタに並列に接続することによって、その一端を
容易に短絡または開放できる。なお、第1および第2の
フィルタに直列に接続された容量は誘電体基板内に内蔵
された電極を利用して容易に形成できる。
【0016】そして、このインダクタンスを先端がアー
スに短絡され電気長が90度以下の伝送線路によって構
成することによって、インダクタンスをコンパクトに誘
電体基板に形成できる。なお、先端短絡した伝送線路の
インピーダンスは、jZtanθと変化するため、どの
ようなインピーダンスの値にも対応できる。
【0017】また、分波回路のインダクタンスを構成す
る伝送線路をマイクロストリップ線路とすることによっ
て、伝送線路の特性インピーダンスを高くすることがで
きる。分波回路のインダクタンスを構成する伝送線路は
集中定数素子であるコイルを置き換えたものであるが、
この伝送線路の特性インピーダンスが高くなると、その
周波数に対するリアクタンスの変化がコイルの場合に近
くなるから分波回路を広帯域化することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付の図面を参照し
て説明する。
【0019】図1は本発明の共用器の第1の実施例の模
式展開図であり、図2は本実施例の斜視図である。
【0020】誘電体層11の下面には後にアース電極1
10が設けられるが、そのアース電極110と後記する
伝送線路70の先端部とを接続するためのスルーホール
91を誘電体層11内に形成する。
【0021】後記する共振素子21、22の開放端側に
誘電体層14、13を挟んで重なり、端部が後記するア
ース電極110と接続される内層アース電極81および
後記する共振素子23、24、25の開放端側に誘電体
層14、13を挟んで重なり、端部が後記するアース電
極110と接続される内層アース電極83を誘電体層1
2上に形成する。さらに、アース電極110と後記する
伝送線路70の先端部とを接続するためのスルーホール
92も誘電体層12内に形成する。
【0022】誘電体層13上に、その一端部51が後記
する伝送線路70の一部に誘電体層14を挟んで重なり
その他端部52が後記する共振素子23の一部に誘電体
層14を挟んで重なる容量結合電極50および後記する
共振素子25の一部に重なる入出力電極42を形成す
る。さらに、アース電極110と後記する伝送線路70
の先端部とを接続するためのスルーホール93も誘電体
層13内に形成する。
【0023】後記するアース電極110に一端部がそれ
ぞれ接続されて1/4波長型ストリップライン共振器を
構成する共振素子21〜25を誘電体層14上に形成
し、さらに、一端部が後記するアース電極110に接続
され、かつ他端部が共振素子21〜25の開放端から所
定の間隔離れて共振素子21〜25の開放端とそれぞれ
対向する電極31〜35を誘電体層14上に形成し、共
振素子21、22が分布結合されることを利用してコム
ライン型のフィルタ500を構成し、共振素子23、2
4、25が分布結合されることを利用してコムライン型
のフィルタ600を構成する。
【0024】また、さらに、共振素子22と共振素子2
3との間の誘電体層14上には、インダクタンスを構成
するための伝送線路70を形成する。伝送線路70の先
端部にはアース電極110と接続するためのスルーホー
ル94が設けられており、伝送線路70の先端部はスル
ーホール94、93、92および91を介して誘電体層
11の下面に設けられるアース電極110に短絡され
る。スルーホール94は伝送線路70の電気長が90度
以下の所定の長さとなるような位置に設けてあるから、
伝送線路70はインダクタンスを構成する。なお、伝送
線路70の前端部71の導体幅を細くしているのは伝送
線路70の特性インピーダンスをなるべく高くして分波
回路を広帯域化するためであり、伝送線路70の後端部
72の導体幅を広くしているのは、実装を容易にするた
めには外部導出部をある程度広くする必要があるからで
ある。
【0025】誘電体層15上に、その一端部61が伝送
線路70の一部に誘電体層15を挟んで重なりその他端
部62が共振素子22の一部に誘電体層15を挟んで重
なる容量結合電極60および共振素子21の一部に重な
る入出力電極41を形成する。
【0026】共振素子21、22の開放端側に誘電体層
15、16を挟んで重なり、端部が後記するアース電極
110と接続される内層アース電極82および共振素子
23、24、25の開放端側に誘電体層15、16を挟
んで重なり、端部が後記するアース電極110と接続さ
れる内層アース電極84を誘電体層16上に形成する。
【0027】誘電体層16上に、表面にアース電極11
0が形成される誘電体層17を積層して、誘電体層11
〜17を一体に構成し、その後焼成して、積層体100
を形成する。
【0028】図2に示すように、積層体100の上下面
および入出力端子部131、入出力端子部132および
アンテナ端子部133を除く側面に、アース電極110
を形成する。また、積層体100の側面の入出力端子部
131内に、アース電極110と絶縁され、かつ入出力
電極41と接続される入出力端子121を形成し、さら
に同様に、積層体100の側面の入出力端子部132内
に、アース電極110と絶縁され、かつ入出力電極42
と接続される入出力端子122を形成する。さらに、ア
ンテナ端子部133内に、アース電極110と絶縁さ
れ、かつ伝送線路70の後端部72と接続されるアンテ
ナ端子123を形成する。
【0029】上記のようにして構成した共用器の等価回
路は図3のようになる。共振素子21、22によってバ
ンドパスフィルタ500を構成し、共振素子23、2
4、25によってバンドパスフィルタ600を構成して
いる。静電容量211、221、231、241、25
1およびインダクタンス212、222、232、24
2、252は共振素子21、22、23、24、25を
それぞれ等価変換したときの静電容量およびインダクタ
ンスである。静電容量213、223、233、24
3、253はそれぞれ共振素子21、22、23、2
4、25と電極31、32、33、34、35との間に
形成される静電容量であり、これらの静電容量が存在す
ることによって共振素子21と共振素子22とはインダ
クタンス311で結合され、共振素子23と共振素子2
4とはインダクタンス312で結合され、共振素子24
と共振素子25とはインダクタンス313で結合されて
いる。
【0030】また、この実施例においては、共振素子2
1、22の開放端側と対向する内層アース電極81、8
2および共振素子23、24、25の開放端側と対向す
る内層アース電極83、84を設けている。内層アース
電極81、82と対向している共振素子21、22の開
放端側の部分はよりアースに近くなり、共振素子21の
開放端側と内層アース電極81および82との間には静
電容量214、215がそれぞれ形成され、共振素子2
2の開放端側と内層アース電極81および82との間に
は静電容量224、225がそれぞれ形成される。同様
に、内層アース電極83、84と対向している共振素子
23、24、25の開放端側の部分はよりアースに近く
なり、共振素子23の開放端側と内層アース電極83お
よび84との間には静電容量234、235がそれぞれ
形成され、共振素子24の開放端側と内層アース電極8
3および84との間には静電容量244、245がそれ
ぞれ形成され、共振素子25の開放端側と内層アース電
極83および84との間には静電容量254、255が
それぞれ形成されている。これらの静電容量214、2
15、224、225、234、235、244、24
5、254、255も共振素子21、22、23、2
4、25を等価変換したときの並列共振回路の静電容量
211、221、231、241、251にそれぞれ付
加されることになる。従って、共振周波数を同一とすれ
ば、並列共振回路のインダクタンスは小さくてすむこと
になり、共振素子21、22、23、24、25の長さ
もより短くなる。
【0031】さらに、また、内層アース電極81、82
と対向している共振素子21、22の開放端側の部分お
よび内層アース電極83、84と対向している共振素子
23、24、25の開放端側の部分はよりアースに近く
なり、アースとの結合が強くなるから、内層アース電極
81、82と対向している共振素子21、22の開放端
側の部分および内層アース電極83、84と対向してい
る共振素子23、24、25の開放端側の部分における
共振素子同士の結合が弱くなる。従って、共振素子同士
の結合は内層アース電極81、82または内層アース電
極83、84と重ならない部分で主として結合すること
になる。このことは、実質的に共振素子の結合電気長が
短くなったことを意味する。このように結合電気長が短
くなると、共振素子同士を結合する分布定数素子のリア
クタンスも小さくなり、共振素子同士が強く誘導結合す
るようになり、フィルタ500、600の特性が広帯域
化する。
【0032】静電容量301は入出力電極41と共振素
子21との間に形成される静電容量であり、静電容量3
02は容量結合電極60と共振素子22との間に形成さ
れる静電容量であり、静電容量303は容量結合電極5
0と共振素子23との間に形成される静電容量であり、
静電容量304は入出力電極42と共振素子25との間
に形成される静電容量である。
【0033】静電容量401は容量結合電極60と伝送
線路70との間に形成される静電容量であり、静電容量
402は容量結合電極50と伝送線路70との間に形成
される静電容量である。インダクタンス403は伝送線
路70によって構成されるインダクタンスである。イン
ダクタンス403はフィルタ500、600と並列に接
続され、静電容量401はアンテナ700とフィルタ5
00との間に直列に接続され、静電容量402はアンテ
ナ700とフィルタ600との間に直列に接続され、こ
れらのインダクタンス403、静電容量401、402
によって分波回路400を構成している。
【0034】このように、本実施例においては、フィル
タ500、600および分波回路400を一つの積層体
100内に一体的に形成しているから、共用器を小型化
でき、部品点数も減少し、また、コイル等の部品も不用
となるから、安定性や信頼性に優れた共用器が得られ
る。
【0035】そして、本実施例においては、分波回路4
00を構成するインダクタンス403をフィルタ50
0、600と並列に接続しているから、インダクタンス
403を構成する伝送線路70の先端を容易にアースに
短絡することができる。伝送線路70の先端をアースに
短絡しその電気長を90度以下とすることによって伝送
線路70はインダクタンス403となる。なお、このよ
うに先端短絡した伝送線路のインピーダンスは、jZt
anθと変化するため、どのようなインピーダンスの値
にも対応できる。また、フィルタ500に直列に接続さ
れる静電容量401は誘電体層15上に設けられた容量
結合電極60、誘電体層15および伝送線路70により
容易に形成でき、フィルタ600に直列に接続される静
電容量402は誘電体層13上に設けられた容量結合電
極50、誘電体層14および伝送線路70により容易に
形成できる。
【0036】次に、第1の実施例の共用器の製造方法に
ついて説明する。
【0037】本実施例の共用器は共振素子21〜25、
電極31〜35、入出力電極41、42、容量結合電極
50、60、伝送線路70および内層アース電極81〜
84を完全に誘電体中に内蔵することから、共振素子2
1〜25、電極31〜35、入出力電極41、42、容
量結合電極50、60、伝送線路70および内層アース
電極81〜84には損失の少ない比抵抗の低いものを用
いることが望ましく、低抵抗のAg系、若しくはCu系
の導体を用いることが好ましい。
【0038】使用する誘電体としては、信頼性が高く誘
電率εγが大きいために小型化が可能となるセラミック
ス誘電体が好ましい。
【0039】また、製造方法としては、セラミックス粉
末の成形体に導体ペーストを塗布して電極パターンを形
成した後、各々の成形体を積層しさらに焼成して緻密化
し、導体がその内部に積層された状態でセラミックス誘
電体と一体化することが望ましい。
【0040】Ag系やCu系の導体を使用する場合に
は、それらの導体の融点が低く、通常の誘電体材料と同
時焼成することは困難であるところから、それらの融点
(1100℃以下)よりも低い温度で焼成され得る誘電
体材料を用いる必要がある。また、マイクロ波フィルタ
としてのデバイスの性格上、形成される並列共振回路の
共振周波数の温度特性(温度係数)が±50ppm/℃
以下になるような誘電体材料が好ましい。このような誘
電体材料としては、例えば、コージェライト系ガラス粉
末とTiO2 粉末およびNd2 Ti2 7 粉末との混合
物等のガラス系のものや、BaO−TiO2 −Re2
3 −Bi2 3 系組成(Re:レアアース成分)に若干
のガラス形成成分やガラス粉末を添加したもの、酸化バ
リウム−酸化チタン−酸化ネオジウム系誘電体磁器組成
物粉末に若干のガラス粉末を添加したものがある。
【0041】一例として、MgO:18wt%−Al2
3 :37wt%−SiO2 :37wt%−B2 3
5wt%−TiO2 :3wt%なる組成のガラス粉末の
73wt%と、市販のTiO2 粉末の17wt%と、N
2 Ti2 7 粉末の10wt%を充分に混合し、混合
粉末を得た。なお、Nd2 Ti2 7 粉末は、Nd2
3 粉末とTiO2 粉末を1200℃で仮焼した後、粉砕
して得たものを使用した。次いで、この混合粉末に、ア
クリル系有機バインダー、可塑剤、トルエンおよびアル
コール系の溶剤を加え、アルミナ玉石で充分に混合して
スラリーとした。そして、このスラリーを用いて、ドク
ターブレード法により、0.2mm〜0.5mmの厚み
のグリーンテープを作成した。
【0042】次に、上記第1の実施例の場合は、所定の
位置にスルーホール用の穴を形成した後、銀ペーストに
よって充填する。そして、銀ペーストを導体ペーストと
して図1に示した導体パターンをそれぞれ印刷し、次い
で、これら導体パターンが印刷されたグリーンテープの
厚みを調整するため必要なグリーンテープを重ねて図1
の構造となるように重ね、積層した後、900℃で焼成
して、積層体100を作成した。
【0043】上記のように構成した積層体100の上
面、下面および入出力端子部131、132およびアン
テナ端子部133を除く側面に図2に示すように銀電極
からなるアース電極110を印刷し、さらにアース電極
110から絶縁し、かつ入出力電極41、42および伝
送線路70に各別に接続する銀電極を入出力端子部13
1、132内およびアンテナ端子部133内に入出力端
子121、122およびアンテナ端子123として印刷
し、印刷した電極を850℃で焼きつけた。
【0044】次に、本発明の共用器の第2の実施例を説
明する。図4は本実施例の模式展開図であり、図5は本
実施例の斜視図である。
【0045】第1の実施例においては、分波回路400
のインダクタンス403を構成する伝送線路70を積層
体100の内部に形成したストリップ線路としたが、本
実施例においては、分波回路400のインダクタンス4
03を構成する伝送線路70を誘電体層17上、すなわ
ち、積層体100上に形成したマイクロストリップ線路
としている。このように、分波回路400のインダクタ
ンス403を構成する伝送線路70をマイクロストリッ
プ線路とすることによって、伝送線路70の特性インピ
ーダンスを高くすることができる。分波回路400のイ
ンダクタンス403を構成する伝送線路70は集中定数
素子であるコイルを置き換えたものであるが、この伝送
線路70の特性インピーダンスが高くなると、周波数に
対するリアクタンスの変化がコイルの場合に近くなるか
ら分波回路400を広帯域化することができる。
【0046】なお、本実施例では、インダクタンスは表
面のマイクロストリップ線路としたが、実用的には保護
層として薄い絶縁層をマイクロストリップ線路の導体上
に形成する場合もある。
【0047】本実施例においては、さらに、分波回路4
00の静電容量401を容量結合電極60の一端部61
と誘電体層14上の容量結合電極73との重なり部分で
形成し、分波回路400の静電容量402を容量結合電
極50の一端部51と誘電体層14上の容量結合電極7
3との重なり部分で形成した点、および伝送線路70の
先端部を誘電体層17上に設けられるアース電極と直接
接続している点が第1の実施例と異なるが、他の構成は
第1の実施例と同様である。なお、伝送線路70の後端
部72と容量結合電極73とはアンテナ端子部133内
に設けたアンテナ端子123によって接続されている。
また、使用した材料や製造方法も第1の実施例と同様で
ある。
【0048】次に、本発明の共用器の第3の実施例を説
明する。図6は本実施例の模式展開図であり、図7は本
実施例の斜視図である。
【0049】第2の実施例において、誘電体層11の下
面に設けられるアース電極110を伝送線路70の下の
部分141だけ除いたのが本実施例であり、他の構成は
第2の実施例と同様であり、使用した材料や製造方法も
第1の実施例と同様である。本実施例においては伝送線
路70の下の部分141にはアース電極110が設けら
れていないから、伝送線路70の特性インピーダンスを
第2の実施例よりも高くすることができ、分波回路40
0をより広帯域化することができる。なお、フィルタ5
00、600に対応する部分のアース電極110は第
1、第2の実施例と同様に設けられているから、フィル
タ500、600の特性に対する影響はほとんどない。
【0050】次に、本発明の共用器の第4の実施例を説
明する。図8は本実施例の模式展開図であり、図2は本
実施例の斜視図であり、図9は本実施例の等価回路図で
ある。
【0051】第1〜第3の実施例においては、分波回路
400を二つの静電容量401、402および一つのイ
ンダクタンス403によって構成したが、本実施例にお
いては、分波回路400を四つの静電容量431〜43
4と二つのインダクタンス435、436とによって構
成している。このようにして分波回路400を構成する
ことにより、分波回路400の設計が容易となり、その
特性を広帯域化することができる。
【0052】このような分波回路400を実現するため
に、本実施例においては、誘電体層11上に容量結合用
電極77を設け、誘電体層12上には内層アース電極8
1、83に加え伝送線路76を設け、誘電体層14上に
は伝送線路70に代えてアース電極800を設け、誘電
体層16上には内装アース電極82、84に加え伝送線
路74を設け、誘電体層16と誘電体層17との間に誘
電体層18を設けその誘電体層18上には容量結合用電
極75を設けた点が第1の実施例と異なるが、他の構成
は第1の実施例と同様であり、使用した材料や製造方法
も同様である。
【0053】本実施例においては、分波回路400の静
電容量431を容量結合電極60の一端部61と誘電体
層16上の伝送線路74の後端部742との重なり部分
で形成し、静電容量432を伝送線路74の後端部74
2と誘電体層18上の容量結合用電極75の前端部75
2との重なり部分で形成し、伝送線路74によってイン
ダクタンス435を形成する。なお、伝送線路74の前
端部741は積層体100の前側面に設けられるアース
電極110に接続され、容量結合用電極75の後端部は
積層体100の後側面に設けられるアンテナ端子123
と接続される。
【0054】また、分波回路400の静電容量434を
誘電体層13上の容量結合電極50の一端部51と誘電
体層12上の伝送線路76の後端部762との重なり部
分で形成し、静電容量434を伝送線路76の後端部7
62と誘電体層11上の容量結合用電極77の前端部7
72との重なり部分で形成し、伝送線路76によってイ
ンダクタンス436を形成する。なお、伝送線路76の
前端部761は誘電体層12内に設けられるスルーホー
ル92および誘電体層11内に設けられるスルーホール
91によって積層体100の下面に設けられるアース電
極110と接続されている。このように、伝送線路76
の前端部761を積層体100の前側面に設けられるア
ース電極110と接続せずスルーホール92およびスル
ーホール91によって積層体100の下面に設けられる
アース電極110と接続しているのは、伝送線路74に
よるインダクタンス435とは異なった値のインダクタ
ンス436を得るためである。また、容量結合用電極7
7の後端部771は積層体100の後側面に設けられる
アンテナ端子123と接続される。
【0055】また、本実施例においては、誘電体層14
上に設けられたアース電極800は、伝送線路74、7
6間の分布結合を阻止するシールドとして機能する。ア
ース電極800の前端部は積層体100の前側面に設け
られるアース電極110に接続され、後端部801、8
02は積層体100の後側面に設けられるアース電極1
10と接続される。なお、アース電極800の後端部を
二つの部分801、802に分離し、これらの後端部8
01、802間には電極を設けていないのは、アース電
極800が積層体100の後側面に設けられるアンテナ
端子123と短絡するのを防止するためである。
【0056】なお、以上の各実施例においては、フィル
タ500、600としてバンドパスフィルタを示した
が、本発明においては、バンドパスフィルタのみなら
ず、バンドリジェクションフィルタ、ローパスフィル
タ、ハイパスフィルタ等もそれぞれフィルタ500、6
00として用いることができる。
【0057】
【発明の効果】本発明においては、中心周波数の異なる
第1のフィルタおよび第2のフィルタと、前記第1およ
び第2のフィルタのいずれか一方のフィルタの中心周波
数においても、前記第1および第2のフィルタが共用す
る入出力端子から見た前記第1および第2のフィルタの
うちの他方のフィルタのインピーダンスが無限大になる
ようにした分波回路とを有する共用器において、前記第
1および第2のフィルタの少なくとも一つを共振素子が
誘電体基板中に一体的に設けられたトリプレート型のフ
ィルタとし、前記分波回路の少なくとも一部を前記誘電
体基板中に設け、前記第1のフィルタ、前記第2のフィ
ルタおよび前記分波回路を前記誘電体基板に一体的に形
成しているから、共用器を小型化でき、部品点数も減少
し、また、コイル等の部品も不用となるから、安定性や
信頼性に優れた共用器が得られる。
【0058】この場合において、分波回路を第1および
第2のフィルタにそれぞれ直列に接続された容量と第1
および第2のフィルタに並列に接続されたインダクタン
スとによって構成することにより、分波回路を誘電体基
板に容易に形成できる。
【0059】そして、このインダクタンスを先端がアー
スに短絡され電気長が90度以下の伝送線路によって構
成することによって、インダクタンスをコンパクトに誘
電体基板に形成できる。
【0060】また、分波回路のインダクタンスを構成す
る伝送線路をマイクロストリップ線路とすることによっ
て、伝送線路の特性インピーダンスを高くすることがで
き、その結果、分波回路を広帯域化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の共用器の模式展開図で
ある。
【図2】本発明の第1の実施例の共用器の斜視図であ
る。
【図3】本発明の第1の実施例の共用器の等価回路図で
ある。
【図4】本発明の第2の実施例の共用器の模式展開図で
ある。
【図5】本発明の第2の実施例の共用器の斜視図であ
る。
【図6】本発明の第3の実施例の共用器の模式展開図で
ある。
【図7】本発明の第3の実施例の共用器の斜視図であ
る。
【図8】本発明の第4の実施例の共用器の模式展開図で
ある。
【図9】本発明の第4の実施例の共用器の斜視図であ
る。
【図10】従来の共用器を説明するための図である。
【図11】従来の共用器を説明するための図である。
【符号の説明】
11〜17…誘電体層 21〜25…共振素子 31〜35…電極 41、42…入出力電極 50、60、73…容量結合電極 70、74、76…伝送線路 81〜84…内層アース電極 91〜94…スルーホール 100…積層体 110…アース電極 400…分波回路 500、600…フィルタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−301901(JP,A) 特開 昭64−60006(JP,A) 実開 平5−97103(JP,U) 実開 平5−65101(JP,U) 米国特許4168479(US,A)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】中心周波数の異なる第1のフィルタおよび
    第2のフィルタと、前記第1および第2のフィルタのい
    ずれか一方のフィルタの中心周波数においても、前記第
    1および第2のフィルタが共用する入出力端子から見た
    前記第1および第2のフィルタのうちの他方のフィルタ
    のインピーダンスが無限大になるようにした分波回路と
    を有する共用器において、 前記第1および第2のフィルタの少なくとも一つを共振
    素子が誘電体基板中に一体的に設けられたトリプレート
    型のフィルタとし、 前記分波回路の少なくとも一部を前記誘電体基板中に設
    け、 前記第1のフィルタ、前記第2のフィルタおよび前記分
    波回路を前記誘電体基板に一体的に形成し 前記分波回路が前記第1および第2のフィルタにそれぞ
    れ直列に接続された容量と前記第1および第2のフィル
    タに並列に接続されたインダクタンスとを有している
    とを特徴とする共用器。
  2. 【請求項2】請求項記載の共用器において、 前記インダクタンスの先端がアースに短絡され電気長が
    90度以下の伝送線路によって構成されていることを特
    徴とする共用器。
  3. 【請求項3】請求項または記載の共用器において、 前記分波回路のインダクタンスを構成する伝送線路がマ
    イクロストリップ線路であることを特徴とする共用器。
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