JP2560975Y2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は車両用シートに関し、
詳しくはシートクッションをシートリクライニング装置
のベースプレートに取付けるシートクッション取付用ブ
ラケットの固定構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】車両用のシートは、一般にシートクッシ
ョンとシートバックとで構成され、該シートクッション
はクッションフレーム上に載置され、該クッションフレ
ームはシートリクライニング装置のベースプレートに複
数のシートクッション取付用ブラケットを介して各々１
本のピンをカシメることにより固定されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来のシートクッション取付用ブラケットの固定構造に
あっては、シートクッション取付用ブラケットは各々１
本のピンによりベースプレートに固定しているだけなの
で、シートクッション取付用ブラケットに荷重が加わる
と相対的に回転移動してしまう。その為、たとえ各々の
シートクッション取付用ブラケット間のピッチ寸法に精
度がでるように治具等で位置決めをして固定しても、シ
ートクッション取付用ブラケットの相対的な回転移動に
より精度が落ちてしまう。その結果、シートクッション
取付用ブラケットをクッションフレームに取付固定する
作業において、シートクッション取付用ブラケットとク
ッションフレームとの相対的な位置がずれてしまう為、
作業性が悪くなってしまうという問題があった。また、
シートクッション取付用ブラケットをクッションフレー
ムに組付固定できても、他からの荷重が加わるとシート
クッション取付用ブラケットとクッションフレームとが
相対的に回転移動してしまい、その結果、所謂ガタが発
生してしまい、乗員に不快感を与えてしまうという問題
もあった。

【０００４】この考案は、上記問題を除去し、シートク
ッション取付用ブラケットをクッションフレームに取付
固定する作業の作業性を向上するとともに、所謂ガタの
発生を防止して乗員の着座感を向上した車両用シートを
提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案は上記目的を達
成するため、車体側に固定されるベースプレートと、シ
ートクッションを載置するクッションフレームと、前記
ベースプレートに前記クッションフレームを取付ける複
数のシートクッション取付用ブラケットとで構成され、
該シートクッション取付用ブラケットを前記ベースプレ
ートに各々１本のピンで固定する構造の車両用シートに
おいて、前記ベースプレートに前記シートクッション取
付用ブラケットを前記ピンの端部を径方向に塑性変形さ
せて固定すると同時に、前記ベースプレートに対して前
記シートクッション取付用ブラケットの相対的な回転移
動を阻止する係止部を形成したことを特徴としている。

【０００６】

【作用】上記構成に係るこの考案によれば、ベースプレ
ートにシートクッション取付用ブラケットをピンの端部
を径方向に塑性変形させて固定すると同時に、ベースプ
レートに対してシートクッション取付用ブラケットの相
対的な回転移動を阻止する係止部を形成したから、シー
トクッション取付用ブラケットとクッションフレームと
の相対的な位置ずれを防止することができる。

【０００７】

【実施例】つぎに、この考案を図面に示す実施例に基づ
いて説明する。

【０００８】図１はこの考案の第１実施例を示す車両用
シートのシートクッション取付用ブラケットの固定構造
を有するシートリクライニング装置の正面説明図、図２
はベースプレートとシートクッション取付用ブラケット
の関係を示す図１の上面説明図、図３はベースプレート
とシートクッション取付用ブラケットの関係を示す図１
の右側面説明図、図４はこの考案の第１実施例における
ベースプレート前部へのシートクッション取付用ブラケ
ットの取付部の拡大説明図、図５はこの考案の第２実施
例におけるベースプレート前部へのシートクッション取
付用ブラケットの取付部の拡大説明図、図６はこの考案
の第３実施例におけるベースプレート前部へのシートク
ッション取付用ブラケットの取付部の拡大説明図、図７
はシートクッション取付用ブラケットをベースプレート
へ固定する治具の斜視説明図である。

【０００９】図において、２は図示しないスライドレー
ル等を介して車体のフロア面に固定されるベースプレー
トであって、このベースプレート２には、シートバック
の側部に固定されるアームプレート４がセンターシャフ
ト６により回動可能に軸着されるとともに、前記アーム
プレート４を所望の角度に調節固定するロック機構１０
が設けられている。

【００１０】該ロック機構１０は、アームプレート４に
固定されたアッパーツース１５と、該アッパーツース１
５と係脱すべく前記ベースプレート２に回動可能に軸着
されたロアーツース１３と、該ロアーツース１３と前記
アッパーツース１５をその回動により係脱させるカム１
２と、該カム１２を回動させるカム１２と同軸上に軸着
された操作レバー１１とから成っている。

【００１１】また、前記ベースプレート２には、図示し
ないシートクッションを載置するクッションフレーム１
が、該ベースプレート２の前部と後部の２ヵ所でシート
クッション取付用ブラケット３１、３２を介して固定さ
れている。該シートクッション取付用ブラケット３１、
３２は、略Ｌ字状に形成されており、その一方には前記
クッションフレーム１を固定するクッション側取付孔３
１ａ、３２ａが形成され、他方には該シートクッション
取付用ブラケット３１、３２を前記ベースプレート２に
固定するベース側取付孔３１ｂ、３２ｂが形成されてい
る。また、該シートクッション取付用ブラケット３１、
３２には、それぞれ補強のためのフランジ部３１ｃ、３
２ｃが形成されている。

【００１２】そして、該シートクッション取付用ブラケ
ット３１、３２の前記ベースプレート２への固定は、前
記ベース側取付孔３１ｂ、３２ｂと前記ベースプレート
２の取付孔２ａ、２ｂをそれぞれ重ね合わせ、頭部５ａ
を有するピン５を挿通し、ピン５の端部５ｂを径方向に
塑性変形させることにより成される。

【００１３】つぎに、シートクッション取付用ブラケッ
ト３１、３２をベースプレート２へ固定する工程を図７
を用いて詳細に説明する。

【００１４】図７に示すように、Ｅは治具であって、該
治具Ｅのブラケット位置決め部Ｅｂ、Ｅｂにシートクッ
ション取付用ブラケット３１、３２を嵌合する。ここ
で、クッションフレーム１の取付け位置の精度を良くす
るために、ブラケット位置決め部Ｅｂ、Ｅｂには位置決
めピンＥｃ、Ｅｃが植設されており、該位置決めピンＥ
ｃ、Ｅｃに前記シートクッション取付用ブラケット３
１、３２のクッション側取付孔３１ａ、３２ａを嵌挿し
ている。

【００１５】そして、前記治具Ｅのベース位置決め部Ｅ
ａにベースプレート２を嵌合し、該ベースプレート２の
取付孔２ａ、２ｂ及びシートクッション取付用ブラケッ
ト３１、３２のベース側取付孔３１ｂ、３２ｂにピン
５、５を挿通する。

【００１６】この状態で、押圧部材Ｅｄ、Ｅｄにより、
ピン５、５の頭部５ａ、５ａに荷重を加えてピン５、５
の端部５ｂ、５ｂを径方向に塑性変形させて、ベースプ
レート２とシートクッション取付用ブラケット３１、３
２を固定している。

【００１７】そして、本願考案の第１実施例では、図４
に詳細に示すように、シートクッション取付用ブラケッ
ト３１とベースプレート２とが重ね合わされるととも
に、ベース側取付孔３１ｂと取付孔２ａとを挿通するピ
ン５の近傍の位置に、前記ピン５の端部５ｂを径方向に
塑性変形させてシートクッション取付用ブラケット３１
とベースプレート２を固定すると同時に、前記シートク
ッション取付用ブラケット３１と前記ベースプレート２
にそれぞれエンボス３ａとエンボス２１を形成する。

【００１８】ここで、前記シートクッション取付用ブラ
ケット３１に形成されたエンボス３ａと、前記ベースプ
レート２に形成されたエンボス２１は、前記シートクッ
ション取付用ブラケット３１と前記ベースプレート２が
重ね合わされた状態で形成されているので隙間なく係合
する。

【００１９】これにより前記ベースプレート２に対して
前記シートクッション取付用ブラケット３１の相対的な
回転移動を阻止する係止部２５が構成される。

【００２０】なお、図示はしないが、シートクッション
取付用ブラケット３２とベースプレート２とが重ね合わ
されている、ベース側取付孔３２ｂと取付孔２ｂとを挿
通するピン５の近傍の位置にも同様にして係止部２５が
形成される。

【００２１】また、本願考案の第２実施例では、図５に
詳細に示すように、ベースプレート２と重ね合わされる
シートクッション取付用ブラケット３１のベース側取付
孔３１ｂの近傍の位置にエンボス３ｂを設けるととも
に、該エンボス３ｂの位置に対応する前記ベースプレー
ト２の取付孔２ａの近傍の位置に該エンボス３ｂより径
の大きい係合孔２３を設ける。

【００２２】そして、前記工程に従ってシートクッショ
ン取付用ブラケット３１を治具Ｅのブラケット位置決め
部Ｅｂに嵌合し、ついでベースプレート２をベース位置
決め部Ｅａに嵌合するとともに、前記係合孔２３を前記
エンボス３ｂに嵌合する。

【００２３】ここで、前記係合孔２３を前記エンボス３
ｂに嵌合することにより、前記シートクッション取付用
ブラケット３１に対する前記ベースプレート２の位置決
め精度が向上できる。また、前記エンボス３ｂより前記
係合孔２３の径を大きく設定しているため、ベースプレ
ート２及びシートクッション取付用ブラケット３１の寸
法誤差等による位置ずれを防止できる。

【００２４】この状態で、ピン５の端部５ｂを径方向に
塑性変形させてシートクッション取付用ブラケット３１
とベースプレー２を固定すると同時に、図５（ｃ）に破
線で示すように、前記エンボス３ｂを前記係合孔２３と
の隙間がなくなるように塑性変形させる。

【００２５】これにより、前記ベースプレート２に対し
て前記シートクッション取付用ブラケット３１の相対的
な回転移動を阻止する係止部２５が構成される。

【００２６】なお、図示はしないが、シートクッション
取付用ブラケット３２とベースプレート２とが重ね合わ
されている、ベース側取付孔３２ｂと取付孔２ｂとを挿
通するピン５の近傍の位置にも同様にして係止部２５が
形成される。

【００２７】さらに、本願考案の第３実施例では、図６
に詳細に示すように、ベースプレート２と重ね合わされ
るシートクッション取付用ブラケット３１のベース側取
付孔３１ｂの近傍の位置に切起部３ｃを形成するととも
に、該切起部３ｃの位置に対応する前記ベースプレート
２の取付孔２ａの近傍の位置に該切起部３ｃより大きく
係合孔２４を形成する。

【００２８】そして、前記工程に従ってシートクッショ
ン取付用ブラケット３１を治具Ｅのブラケット位置決め
部Ｅｂに嵌合し、ついでベースプレート２をベース位置
決め部Ｅａに嵌合するとともに、前記係合孔２４を前記
切起部３ｃに嵌合する。

【００２９】ここで、前記係合孔２４を前記切起部３ｃ
に嵌合することにより、前記シートクッション取付用ブ
ラケット３１に対する前記ベースプレート２の位置決め
精度が向上できる。また、前記係合孔２４を前記切起部
３ｃよりも大きく設定しているため、ベースプレート２
及びシートクッション取付用ブラケット３１の寸法誤差
等による位置ずれを防止できる。

【００３０】この状態で、ピン５の端部５ｂを径方向に
塑性変形させてシートクッション取付用ブラケット３１
とベースプレー２を固定すると同時に、図６（ｃ）に破
線で示したように、前記切起部３ｃを前記係合孔２４と
の隙間がなくなるように塑性変形させる。

【００３１】これにより、前記ベースプレート２に対し
て前記シートクッション取付用ブラケット３１の相対的
な回転移動を阻止する係止部２５が構成される。

【００３２】なお、図示はしないが、シートクッション
取付用ブラケット３２とベースプレート２とが重ね合わ
されている、ベース側取付孔３２ｂと取付孔２ｂとを挿
通するピン５の近傍の位置にも同様にして係止部２５が
形成される。

【００３３】このようにして、前記ベースプレート２に
対して前記シートクッション取付用ブラケット３１、３
２の相対的な回転移動を阻止する係止部２５、２５を形
成することにより、該シートクッション取付用ブラケッ
ト３１、３２は、その組付け時に治具Ｅにより位置決め
された状態で固定されるため、クッションフレーム１の
取付け位置がずれてしますことがなくなり、精度の向上
が図れる。

【００３４】これにより、シートクッション取付用ブラ
ケット３１、３２をクッションフレーム１に取付固定す
る作業において、シートクッション取付用ブラケット３
１、３２とクッションフレーム１との相対的な回転移動
がなく、作業性の向上が図れる。

【００３５】また、シートクッション取付用ブラケット
３１、３２は、クッションフレームに組付固定した後で
も、他からの荷重が加わった楊合にシートクッション取
付用ブラケット３１、３２とクッションフレーム１とが
相対的に回転移動してしまうことがなく、その結果、所
謂ガタが発生が防止でき、乗員の着座感を向上すること
ができる。

【００３６】

【考案の効果】以上説明したこの考案によれば、ベース
プレートにシートクッション取付用ブラケットをピンの
端部を径方向に塑性変形させて固定すると同時に、ベー
スプレートに対してシートクッション取付用ブラケット
の相対的な回転移動を阻止する係止部を形成したから、
クッションフレームの取付け位置がずれてしますことが
なくなり、クッションフレームの取付け位置の精度が向
上し、作業性を向上することができる。

【００３７】また、シートクッション取付用ブラケット
は、他からの荷重が加わった場合でもシートクッション
取付用ブラケットとクッションフレームとが相対的に回
転移動してしまうことがなく、その結果、所謂ガタの発
生が防止でき、乗員の着座感を向上することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の第１実施例を示す車両用シートのシ
ートクッション取付用ブラケットの固定構造を有するシ
ートリクライニング装置の正面説明図。

【図２】ベースプレートとシートクッション取付用ブラ
ケットの関係を示す図１の上面説明図。

【図３】ベースプレートとシートクッション取付用ブラ
ケットの関係を示す図１の右側面説明図。

【図４】（ａ）はこの考案の第１実施例におけるベース
プレート前部へのシートクッション取付用ブラケットの
取付部の拡大説明図、（ｂ）は（ａ）のＩ−Ｉ矢視説明
図、（ｃ）は（ａ）のＩＩ−ＩＩ矢視説明図。

【図５】（ａ）はこの考案の第２実施例におけるベース
プレート前部へのシートクッション取付用ブラケットの
取付部の拡大説明図、（ｂ）は（ａ）のＩＩＩ−ＩＩＩ
矢視説明図、（ｃ）は（ａ）の矢視Ａの拡大説明図。

【図６】（ａ）はこの考案の第３実施例におけるベース
プレート前部へのシートクッション取付用ブラケットの
取付部の拡大説明図、（ｂ）は（ａ）のＩＶ−ＩＶ矢視
説明図、（ｃ）は（ａ）の矢視Ｂの拡大説明図。

【図７】シートクッション取付用ブラケットをベースプ
レートへ固定する治具の斜視説明図。

【符号の説明】

１ クッションフレーム ２ ベースプレート ２ａ 取付孔 ２ｂ 取付孔 ２１ エンボス ２３ 係合孔 ２４ 係合孔 ２５ 係止部 ３ａ エンボス ３ｂ エンボス ３ｃ 切起部 ３１ シートクッション取付用ブラケット ３１ａ クッション側取付孔 ３１ｂ ベース側取付孔 ３２ シートクッション取付用ブラケット ３２ａ クッション側取付孔 ３２ｂ ベース側取付孔 ５ ピン ５ａ 頭部 ５ｂ 端部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体側に固定されるベースプレートと、
   シートクッションを載置するクッションフレームと、前
   記ベースプレートに前記クッションフレームを取付ける
   複数のシートクッション取付用ブラケットとで構成さ
   れ、該シートクッション取付用ブラケットを前記ベース
   プレートに各々１本のピンで固定する構造の車両用シー
   トにおいて、前記ベースプレートに前記シートクッショ
   ン取付用ブラケットを前記ピンの端部を径方向に塑性変
   形させて固定すると同時に、前記ベースプレートに対し
   て前記シートクッション取付用ブラケットの相対的な回
   転移動を阻止する係止部を形成したことを特徴とする車
   両用シート。