JPS6253377B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、車両用シートのウオークイン装
置、特に２ドア自動車に於けるフロントシートを
リヤシート側乗員の乗降性に鑑みシートバツクの
前倒れと共に最前位置へ移動させるウオークイン
装置に関する。

従来の車両用シートのウオークイン装置として
は、例えば“NISSANサービス周報第336号（昭
和52年５月、日産自動車(株)発行）”の212〜214ペ
ージに記載されている第１図〜第４図に示すよう
なものがある。図中１はシート、２はシートクツ
シヨン、３はシートクツシヨンフレーム、４はシ
ートバツク、５はシートバツクフレーム、６は車
体に固設される車体側スライドレール６ａとこの
車体側スライドレール６ａとの摺動可能でシート
クツシヨンフレーム３に固設されるシートクツシ
ヨン側スライドレール６ｂよりなる一対のシート
スライド装置、７はシートスライド装置６用のロ
ツク機構、８はロツク操作レバー、そして９はリ
クライニングデバイスである。シートクツシヨン
２はシートクツシヨンフレーム３を介して一対の
シートスライド装置６のシートクツシヨン側スラ
イドレール６ｂに取付け支持され図示せぬスプリ
ングを介して前方向（図中Ａ方向）に付勢される
と共に、シートスライド装置６のロツク機構７を
介して前後方向（図中Ａ及びＢ方向）の適宜位置
で位置決め自在にされる。シートバツク４はリク
ライニングデバイス９を介してシートクツシヨン
２へ回動自在に設けられる。具体的にはリクライ
ニングデバイス９のベースプレート１０をシート
クツシヨンフレーム３に固設し、このベースプレ
ート１０に対し回動自在にされたデバイスアーム
１１をシートバツクフレーム５に取付けている。
このデバイスアーム１１はコイルスプリング１２
の弾性によりシートバツク４を前倒れ方向（図中
Ｃ方向）に付勢している。またデバイスアーム１
１はツース１３を備え、このツース１３に対して
係合自在なツースプレート１４を介して任意傾斜
角度で位置決め自在とされる。ツースプレート１
４はリクライニングレバー１５の操作にてツース
１３に対する係合及び解除がなされる。そして、
このシートバツク４の前倒れによるデバイスアー
ム１１の回動を感知する感知機構１７をリクライ
ニングデバイス９側に、またこの感知機構１７及
びシートスライド装置６のロツク機構７と連結す
るメモリー機構１８をシートスライド装置６のシ
ートクツシヨン側スライドレール６ｂに各々設け
ている。感知機構１７は、デバイスアーム１１の
表面１９側にピン２０ａを突設させた回動感知用
のブラケツト２０をデバイスアーム１１と同軸に
配設し、このピン２０ａに連結ワイヤ２１をター
ミナル２２を介して取付けている。メモリー機構
１８は、一端を上記連結ワイヤ２１を介してピン
２０に、また他端を他の連結ワイヤ２３を介して
シートスライド装置６のロツクレバー８に各々連
結したシフター２４を、シートスライド装置６の
シートクツシヨン側スライドレール６ｂに固設し
た「〓」形状のブラケツト２５に対し、このブラ
ケツト２５に形成したスリツト２６を介して矢示
Ｅ及びＦ方向で移動可能にしている。またシフタ
ー２４にはブラケツト２５に当接してＦ方向の移
動を阻止する傾斜したストツパー２７が形成して
あり、ブラケツト２５にはこのストツパー２７の
当接部位上方にストツパー２７通過用の切欠部２
８が形成してある。そして上記シフター２４を、
シートクツシヨン２の中立位置でシートスライド
装置６の車体側スライドレール６ａに位置固定に
設けたプツシヤープレート２９に当接させて持上
げ、ブラケツト２５に対するストツパー２７の当
接係合を解除自在にしている。尚、ロツクレバー
８はスプリングを介して矢示Ｇ方向に付勢されシ
フター２４をＦ方向に引張している。従つて、シ
ートバツク４を前倒れさせるとブラケツト２０の
ピン２０ａの回動により連結ワイヤ２１を介して
シフター２４がＥ方向に移動し且つこのシフター
２４の移動により連結ワイヤ２３を介してロツク
レバー８がＨ方向に回動してシートスライド装置
６のロツク機構７を解錠させると共に、シートク
ツシヨン２が図示せぬスプリングの付勢力にて自
動的に最前位置まで移動するようになつている。
そして、シートバツクを起こすとシフター２４に
対するＥ方向への引張力（即ちロツク機構７解錠
方向への力）が働かなくなり、シフター２４がＦ
方向に引張られることとなるが、シフター２４は
ストツパー２７がブラケツト２５に当接してＦ方
向の移動が阻止されるためロツク機構７は解錠状
態のままとなる。そこでシートクツシヨン２をそ
の付勢力に抗して押圧するとシートクツシヨン２
は後方に移動し、更にシートクツシヨン２が中立
位置まで移動するとプツシヤープレート２９がシ
フター２４に当接して持上げストツパー２７のブ
ラケツト２５に対する当接状態を解除させ、その
位置でロツク機構７を施錠させてシートクツシヨ
ン２を位置決めするようにしている。

しかしながら、このような従来の車両用シート
のウオークイン装置にあつては、シートバツク４
の前倒れによるデバイスアーム１１の回動を感知
する感知機構１７をリクライニングデバイス９側
に、またこの感知機構１７及びシートスライド装
置６のロツク機構７と連結するメモリー機構１８
をシートスライド装置６側に、各々分散して配置
することとしていたため、リクライニングデバイ
ス９及びシートスライド装置６の組付精度や感知
機構１７及びメモリー機構１８の組付精度等各部
品間の組付精度にバラツキが生じ易く、感知機構
１７及びメモリー機構１８の円滑な作動の妨げと
なり、作動信頼性が低下することとなる上に、
各々専用部品となるため部品数が増大し、管理が
大変で、更には組立の自動化が困難であるという
問題点があつた。

この発明は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、シートバツクの前倒れによる
デバイスアームの回動を感知する感知機構と、こ
の感知機構及びシートスライド装置のロツク機構
に連結するメモリー機構とを、各々リクライニン
グデバイスのベースプレートに集中配設すること
により、上記従来の問題点を解決することを目的
としている。

以下、この発明を図面に基づいて説明する。第
５図〜第８図は、この考案の一実施例を示す図で
ある。尚、以下では、従来と同様の部分は同一符
号を以つて示すに止め、重複する説明を省略す
る。

図中３０がリクライニングデバイス、３１がデ
バイスアーム、３２がベースプレートで、このベ
ースプレート３２の裏面３３側に感知機構３４及
びメモリー機構３５を各々配設している。デバイ
スアーム３１は、プレス成形品としてのシートバ
ツクフレーム５固設用のアーム部３６と、ツース
１３を備える鋳造品としてのツース部３７とを、
複数（具体的には４本）のかしめピン３８ａ，３
８ｂ，３８ｃ，３８ｄにて連結一体化している。
ベースプレート３２は、前側下部３９を前方に延
長形成すると共に、外縁全体に裏面３３側へのフ
ランジ部４０を形成している。感知機構３４は、
上記デバイスアーム３１のかしめピン３８ａ，３
８ｂ，３８ｃ，３８ｄのうち１本のかしめピン３
８ｄを、ベースプレート３２に形成したデバイス
アーム３１回動規制用の長孔４１よりベースプレ
ート３２の裏面３３側に貫通・突出させると共
に、このかしめピン３８ｄの突出先端４２にター
ミナル２２を嵌装して連結ワイヤ２１と接続させ
ている。尚、この感知機構３４はデバイスアーム
３１のアーム部３６とツース部３７とを連結する
かしめピン３８ａ，３８ｂ，３８ｃ，３８ｄのう
ち１本のかしめピン３８ｄを回動感知用のピンと
して用いているが、必ずしもかしめピン３８ｄを
用いる必要はなく、かしめピンとは別にデバイス
アーム３１に回動感知用のピンを設けても良く、
またデバイスアームは一体成形品としても良い。
メモリー機構３５は、ベースプレート３２の裏面
３３側でその前側下部３９より突出したブラケツ
ト４３に、軸ピン４４を介してクランク４５を回
動自在に取付けている。軸ピン４４にはコイルス
プリング４６が嵌装してあり、このコイルスプリ
ングを介してクランク４５を下方に付勢してい
る。クランク４５は、一端が連結ワイヤ２１を介
して回動感知用のかしめピン３８ｄと連結し、他
端が他の連結ワイヤ２３を介してロツクレバー８
と各々連結している。またクランク４５にはメモ
リーピン４７及び押上げピン４８を突出させてあ
り、このメモリーピン４７及び押上げピン４８を
各々ブラケツト４３に形成した長孔４９，５０に
挿通させている。メモリーピン４７は長孔４９を
介してクランク４５の回動を規制し、押上げピン
４８はシートクツシヨン２の中立位置でプツシヤ
ープレート５１の上段部５２と当接してクランク
４５を上方に押し上げてメモリーピン４７を長孔
４９より離脱自在にする。尚、この実施例ではリ
クライニングデバイス３０取付側のシートスライ
ド装置６０を縦形に配置し車体側スライドレール
５３に対するシートクツシヨン側スライドレール
５４に上記ベースプレート３２を取付けている
が、特にこの例に限定されるものではない。ま
た、リクライニングレバー５５はピン５６をベー
スプレート３２の長孔５７よりその裏面３３側に
突出させると共に、このピン５６にレリーズフツ
ク１６と連結したレリーズアーム５８を当接さ
せ、このレリーズアーム５８を介してレリーズフ
ツク１６と連動自在になつている。

次に作用を説明する。まず、リクライニングレ
バー５５又はレリーズフツク１６を操作して図示
していないリクライニングデバイスを作動させ、
デバイスアーム３１を前倒れ方向（図中Ｃ方向）
に回動させると、回動感知用のかしめピン３８ｄ
が矢示Ｉ方向に移動して連結ワイヤ２１を矢示Ｊ
方向に引張し、クランク４５を矢示Ｋ方向に回動
させる。この場合クランク４５のメモリーピン４
７はクランク４５の回動によつてブラケツト４３
の上面を滑り長孔４９内に入り込む。そしてクラ
ンク４５の回動により連結ワイヤ２３を介してロ
ツクレバー８が解錠方向（Ｈ方向）に回動せしめ
られシートスライド装置６のロツク機構７が解錠
する。従つて、シートクツシヨン２は図示せぬス
プリングの付勢力により自動的に最前位置まで移
動することとなる。次いで、シートバツク４を起
こしてデバイスアーム３１をＣ方向と逆方向に回
動させると、連結ワイヤ２１にＪ方向の引張力が
働かなくなり、クランク４５にロツクレバー８の
付勢力にて施錠方向（矢示Ｋ方向と逆方向）への
回動力が働くことになるが、クランク４５はブラ
ケツト４３の長孔４９に係入したメモリーピン４
７を介して施錠方向への回動が規制されているた
め、ロツク機構７は解錠状態のままとなる。そこ
でシートクツシヨン２をその付勢力に抗して押圧
するとシートクツシヨン２は後方に移動する。そ
して更にシートクツシヨン２を中立位置まで移動
させると、クランク４５の押上げピン４８がプツ
シヤープレート５１の上段５２と当接しクランク
４５をコイルスプリング４６の付勢力に抗して持
上げると共にメモリーピン４７を長孔４９より離
脱させる。すると、クランク４５は施錠方向への
回動が許されてロツクレバー８を施錠方向に回動
させ、シートスライド装置６のロツク機構７を施
錠させ、シートクツシヨン２を中立位置で位置決
めさせるのである。

以上説明してきたように、この発明によれば、
その構成を、シートクツシヨン又はシートクツシ
ヨン側スライドレールに固設されたベースプレー
トに対してシートバツク取付用のデバイスアーム
を回動自在に設けたリクライニングデバイスの上
記ベースプレートに、シートバツクの前倒れによ
るデバイスアームの回動を感知する感知機構と、
この感知機構及びシートスライド装置のロツク機
構に連結しシートバツクの前倒れに連動してシー
トスライド装置のロツク機構を解錠させ且つこの
ロツク機構をシートクツシヨンの設定位置で施錠
自在にするメモリー機構とを、集中的に設けるこ
ととしたため、従来のように感知機構をリクライ
ニングデバイス側に、またメモリー機構をシート
スライド側に、各々分散して配設していた場合に
比し、リクライニングデバイス及びシートスライ
ドの組付精度のバラツキに影響されることなく、
円滑な作動が期待でき、作動信頼性を向上させる
ことができる上に、感知機構及びメモリー機構
は、従来のような専用部品としてではなく、リク
ライニングデバイスの一体品となるため、それだ
け部品数の削減及び組付工数の削減ができ、管理
も容易となり、組立の自動化が容易になるという
効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の車両用シートのウオークイン装
置を示す斜視図、第２図は第１図の感知機構の状
態を示すリクライニングデバイス分解組立図、第
３図は第１図のメモリー機構の状態を示す拡大分
解組立図、第４図はメモリー機構作動状態を示す
説明図で、第４図イはロツク機構施錠時の説明
図、第４図ロはロツク機構解錠時の説明図、第５
図はこの発明の一実施例を示す部分斜視図、第６
図は感知機構の状態を示す拡大斜視図、第７図は
メモリー機構の状態を示す拡大分解組立図、そし
て第８図はメモリー機構の作動状態を示す説明図
で、第８図イはロツク機構解錠時の説明図、第８
図ロはロツク機構施錠時の説明図である。 １…シート、２…シートクツシヨン、４…シー
トバツク、｛６，６０｝…シートスライド装置、
７…ロツク機構、｛９，３０｝…リクライニング
デバイス、｛１０，３２｝…ベースプレート、｛１
１，３１｝…デバイスアーム、｛１７，３４｝…
感知機構、｛１８，３５｝…メモリー機構、３３
…ベースプレートの裏面、４３…メモリー機構の
ブラケツト、４５…クランク、４７…メモリーピ
ン、４８…押上げピン、４９…メモリーピン用の
長孔、５１…プツシヤープレート、Ａ…前方向、
Ｂ…後方向、Ｃ…前倒れ方向。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 車体に固設される車体側スライドレールと、
   このスライドレールと摺動可能で、シートクツシ
   ヨンフレームに固設されるシートクツシヨン側ス
   ライドレールよりなるシートスライド装置を介し
   て車体に前方向に付勢支持され且つシートスライ
   ド装置のロツク機構にて前後方向で位置決め自在
   にされたシートクツシヨンに対し、シートバツク
   取付用のデバイスアームを回動自在に支持しシー
   トクツシヨンフレーム又はシートクツシヨン側ス
   ライドレールに固設されるベースプレートを備え
   たリクライニングデバイスを介して、シートバツ
   クを前倒れ可能に設けると共に、このシートバツ
   クの前倒れによるデバイスアームの回動を感知す
   る感知機構と、この感知機構及び上記シートスラ
   イド装置のロツク機構に連結しシートバツクの前
   倒れに連動させてシートスライド装置のロツク機
   構を解錠させ且つこのロツク機構をシートクツシ
   ヨンの設定位置で施錠自在にするメモリー機構と
   を、上記ベースプレートに配設したことを特徴と
   する車両用シートのウオークイン装置。 ２ メモリー機構は、一端を感知機構他端をシー
   トスライド装置のロツク機構に連結し、かつメモ
   リーピンとこのメモリーピンより長い押上げピン
   を設けたクランクを、ベースプレートの裏面側へ
   突設したブラケツトに回動自在に取付け且つクラ
   ンクより突出させたメモリーピンをブラケツトに
   形成したクランク回動規制用の長孔に係合自在に
   挿入突設させると共に、押上げピンをブラケツト
   に形成した長孔に挿入突設させ、シートクツシヨ
   ンの設定位置で車体側スライドレールに設けたプ
   ツシヤープレート及びこのプツシヤープレートに
   当接自在なクランク側の押上げピンを介し上記メ
   モリーピンを長孔より離脱させてクランクを回動
   可能としたことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載の車両用シートのウオークイン装置。