JP3568070B2 - ウォークイン機構付シートアジャスタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車のシートの前後位置調節用シートアジャスタ、詳しくは、ウォークイン復帰機構付のシートアジャスタに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種のシートアジャスタは、シートの前後位置を調節してロックするスライドロック機構と、シートバックの前倒動作に連動してスライドロック機構のロックを解除するロック解除機構と、ウォークイン作動後シートを所定位置にロックさせるメモリー機構とから構成されている(例えば、特開平2ー310132号公報)。
そして、前記ロック解除機構、メモリー機構は多数の独立した部品を組付けることにより形成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来のウォークイン機構付のシートアジャスタは、構成部品の部品点数が多くなるため、その組立に工数を要するばかりか、取付スペースを要する不具合があった。
そこで、本発明は部品点数を削減することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するための本発明に係るウォークイン機構付シートアジャスタは、シート側のアッパーレールに、上下方向に回動自在にストッパを枢着し、該ストッパを車床側のロアレールに設けた係止歯の係合方向に付勢してなるシートアジャスタにおいて、前記ストッパに一体に設けてアッパーレール側に設けた上下方向に長い長孔に貫通したピン、アッパーレール側に前後方向に摺動自在に枢着し前記ピンが挿通するカム孔を有すると共にシートバックの前倒しによりプルワイヤに索引されて後方に回動するカムとからなり、前記カムの下端には前記ロアレールの前端面に突き当たるロック用の突片部を設け、前記カム孔の下部孔縁には上向きに前記ピンが乗り上げてロック状態を保持する突起部を設けてなることを特徴とするものである。
【0005】
カムがプルワイヤに索引されることにより後方に回動すると、ストッパと一体のピンがカム孔の突起部に乗り上げることにより、アッパーレール側のストッパがロアレールの係止歯から脱出してロック解除になると共にそのロック解除状態が保持されシートが前進する。そして、シートを後進させるとカムの突起部がロアレールの前端面に突き当たるため、その慣性によりピンが元の位置に戻り、シートがニュートラル位置にロックされる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を、図面に基づいて説明する。
図中(1)は車床側に固定される左右一対のロアレールで、このロアレール(1)内にシートを固定するアッパーレール(2)が摺動自在に嵌合されている。
以上のロアレール(1)における外側の上部には下向きに多数の係止歯(11)(11)…が一体に形成されている。
【0007】
一方、アッパーレール(2)側にはストッパ(7)が枢支ピン(73)によって上下方向に回動自在に枢着され、このストッパ(7)にはアッパーレール(2)に設けた窓孔(23)からロアレール(1)の係止歯(11)(11)…に係合するロック片部(7A)がL字状に延設され、ロック片部(7A)には係止歯(11)(11)が挿通するロック孔が開孔されている。
【0008】
左右のアッパーレール(2)に設けたストッパ(7)は略コ字状の操作シャフト(5)の両遊端に一体に連結材(51)によって連結されており、ばね(6)の弾力によって、ロック片部(7A)が係止歯(11)に対して係合する方向、即ち、ロック方向に付勢されている。
以上のばね(6)はトーションバーで一端がストッパ(7)の後部側に設けた掛止孔(7B)に、他端がアッパーレール(2)に設けた係止孔(22)に夫々掛止されている。
【0009】
ストッパ(7)の前側にはコ字状にブラケット(71)が一体に溶接され、このブラケット(71)に前記連結材(51)が一体に嵌合して固定される。
そして、ブラケット(71)にはアッパーレール(2)に設けた上下方向に長い長孔(21)に貫通するピン(72)が固着されている。
【0010】
一方、ピン(72)に対応するアッパーレール(2)の外側面にはカム(3)が前後方向に上端部が回動自在に段付ピン(30)によって枢着されている。
【0011】
カム(3)には図2、図3に示すように、前記ピン(72)が挿通するカム孔(32)が開孔され、また前側下端にはロアレール(1)の前端面(1A)に突き当たるロック用の突片部(31)が下方に延設されている。
【0012】
そして、このカム(3)の後側下端部に設けた取付部(33)には、プルワイヤ(4)の一端が結着され、プルワイヤ(4)の他端はリクライニング装置に連結され、シートバックの前倒しによってプルワイヤ(4)が索引されてカム(3)を後方に回動するように構成されている。
【0013】
従って、ピン(72)を上下方向に移動させることにより、ストッパ(7)は枢支ピン(73)を回転中心に上下方向に回動し、後部側が上方に回動すると、図2、図4に示すように、ロック片部(7A)がロアレール(1)の係止歯(11)(11)に係合してアッパーレール(2)はロアレール(1)にロックされる。
【0014】
また、ストッパ(7)の後部側をばね(6)の弾力に抗して下方に回動することにより、ストッパ(7)のロック片部(7A)が図4鎖線に示すようにロアレール(1)の係止歯(11)(11)から脱出する。これによりアッパーレール(2)のロアレール(1)に対するロック状態が解除され、アッパーレール(2)は前後方向に摺動自在になる。
なお、アッパーレール(2)のロアレール(1)に対するロック状態が解除されると、リターンスプリング(不図示)によって前進するようになっている。
【0015】
カム(3)に設けたカム孔(32)は図5に示すように、下部孔縁における前後方向の中央に前記ピン(72)が乗り上げてロック状態を解除する突起部(32A)が上向きに設けてあり、この突起部(32A)に対して前方の孔縁は後方の孔縁に対して高く、即ち、カム(3)の回転中心に対して近い位置に形成され、前方の孔縁をロック解除保持部(32C)、後方の孔縁をロック部(32B)とする。
図中(30A)は段付ピン(30)の挿通孔を示す。
【0016】
従って、ストッパ(7)がロック状態においてピン(72)がカム孔(32)のロック部(32B)内に、ばね(6)の弾力により位置し、カム(3)の回転によりピン(72)を突起部(32A)に乗り上げると、ストッパ(7)が回動してロック状態が解除になり、更に、ロック解除保持部(32C)にピン(72)を移動させることにより、ストッパ(7)によるロック解除が保持されるようになっている。
【0017】
そして、図6に示すようにストッパ(7)の回動中心から、ピン(72)の中心の法線方向にかかる力(W)とカム孔(32)におけるロック解除保持部(32C)の縁部との角度(R)が90度より小さくなると、カム(3)はX方向に働くように形成されている。
【0018】
従って、カム(3)は図6に示すように、突片部(31)がロアレール(1)の上面に接合状態から図7に示すように、シートの前進によりカム(3)がロアレール(1)の前方に位置した際に、X方向に移動する。
【0019】
斯して、前記図2乃至図4のストッパ(7)によるアッパーレール(2)のロック状態から、シートバックを前倒しすると、プルワイヤ(4)によってカム(3)を後方に回転させる。そのため、カム孔(32)のロック部(32B)に位置するピン(72)は突起部(32A)に乗り上げるため、ピン(72)と一体のストッパ(7)は回動してロック状態が解除される。
【0020】
すると、リターンスプリングの弾力により、図6に示すようにカム(3)の突片部(31)がロアレール(1)の上面にスライドしながら、シートは前進してカム(3)が図7に示すように、ロアレール(1)の前端面(1A)の前方に位置する。すると、カム(3)は後方に移動してピン(72)がカム孔(32)のロック解除保持部(32C)内に位置する。そして、このロック解除保持部(32C)はロック部(32B)に対してカム(3)の上端に設けたカムの回転中心に近い位置にあるため、ストッパ(7)によるロック解除状態が保持される。
【0021】
次にシートを元の位置に後退させると、カム(3)の突片部(31)がロアレール(1)の前端面(1A)に突き当たる。そのため、カム(3)はその際の慣性により、前方に回転してロアレール(1)の上面に乗り上げる。これにより、ピン(72)はカム孔(32)のロック部(32B)に移動するため、常にロック方向にばね(6)の弾力により付勢されているストッパ(7)はロアレール(1)の係止歯(11)(11)に係合する。これにより、アッパーレール(2)はニュートラル位置においてロアレール(1)にロックされる。
【0022】
【発明の効果】
本発明によれば、プルワイヤに索引されるカムの回転により、ロック解除し、ウォークイン作動後シートを所定位置にロックさせることができる。そのため、従来のロック解除機構、メモリー機構を有するウォークイン機構付スライドアジャスタに対して、構成部品の点数が少なくなり、組付が簡単で、取付スペースを大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分解斜視図である。
【図2】要部の部分切欠正面図である。
【図3】図2のIIIーIII線に沿える断面図である。
【図4】図2のIVーIV線に沿える断面図である。
【図5】カムの斜視図である。
【図6】ロック解除時のカムの状態を示す説明図である。
【図7】ロック解除保持状態のカムを示す説明図である。
【符号の説明】
1 ロアレール
2 アッパーレール
3 カム
4 プルワイヤ
5 ロック解除用操作レバー
7 ストッパ
32 カム孔
72 ピン

Claims (3)

  1. シート側のアッパーレールに、上下方向に回動自在にストッパを枢着し、該ストッパを車床側のロアレールに設けた係止歯の係合方向に付勢してなるシートアジャスタにおいて、
    前記ストッパに一体に設けてアッパーレール側に設けた上下方向に長い長孔に貫通したピン、
    アッパーレール側に前後方向に摺動自在に枢着し前記ピンが挿通するカム孔を有すると共にシートバックの前倒しによりプルワイヤに索引されて後方に回動するカムとからなり、
    前記カムの下端には前記ロアレールの前端面に突き当たるロック用の突片部を設け、前記カム孔の下部孔縁には、上向きに前記ピンが乗り上げてロック状態を保持する突起部を設けてなることを特徴とするウォークイン機構付シートアジャスタ。
  2. 前記ストッパは上方に回動することによりロアレールに下向きに設けた係止歯に係合し、且つばねの弾力により係止歯方向に付勢され、ロック解除用操作レバーを一体に連結してなる請求項1記載のウォークイン機構付シートアジャスタ。
  3. ロック解除用操作レバーは略コ字状に折曲し、両遊端を左右のアッパーレール側に設けたストッパに連結してなる請求項2記載のウォークイン機構付シートアジャスタ。
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