JP4010155B2 - シートトラック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートの前後位置を調整するためのシートトラック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のシートトラック装置は、例えば特開2001-158259の公報に開示されている技術が公知である。この技術からも明らかなようにシートトラック装置は、シートのクッションフレームに固定されたアッパレールが車両のフロアに固定されたロアレールに案内されて前後にスライドできるように組み付けられている。そしてアッパレールのスライドは、ロック機構によってロックされ、またロック解除されるようになっている。
【0003】
ロック機構は、アッパレールに支持されているレバー形状のロック部材がハンドルの操作によって上下方向へ回動するようになっている。このロック部材の先端部にはロック孔があり、ロアレールにはアッパレールのスライド方向に沿って形成された複数個のロック歯がある。これらのロック歯にロック部材のロック孔が選択的に係合してロックとなり、ハンドルの操作で係合を外すことによってロック解除となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のシートトラック装置においては、ロック機構のロック部材をアッパレールに対し、左右方向に貫通するシャフトによって上下方向へ回動できるように支持している。すなわちロック部材およびアッパレールにはシャフトを通す孔があけられており、アッパレールの内側にロック部材を組み込んだ状態で相互の孔を合わせ、そこにアッパレールの外側からシャフトを挿入している。このためロック機構の組み付け作業が煩雑になっている。
本発明は前記課題を解決しようとするもので、その目的は、アッパレールに対するロック機構の組み付けをワンタッチ感覚の簡単な作業にすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するためのもので、請求項1に記載の発明は、ロアレールに対するアッパレールのスライドをロックするためのロック機構が、前記アッパレールの内部に組み込まれたロック部材をレールの左右方向へ回動させることでロックおよびロック解除を行う形式のシートトラック装置であって、前記ロック部材が前記アッパレールに対してその下面の開放部から組み込まれる。またこのロック部材を回動自在に支持する支持部材が前記アッパレールの側部にあるサイド溝に組み込まれる。この支持部材は、前記ロック部材の両端部を個別に支持する一対の支持ブロックと、これらの支持ブロックを位置決めした状態で前記アッパレールに固定される保持ブロックとを備えている。そして前記支持ブロックはサイド溝に対してその端部の開放部から組み付けられ、前記保持ブロックは前記サイド溝に対してその上面の開放部から組み付けられるように構成されている。
このようにロック部材がレールの左右方向へ回動することで、ロックおよびロック解除が行われる形式のロック機構において、このロック機構のロック部材はアッパレールに、かつ支持部材はアッパレールのサイド溝に、それぞれの開放部から組み込まれる。したがってロック機構をアッパレールに対し、ワンタッチ感覚で簡単に組み付けることができる。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材に対してロック方向への付勢力を与えるロックスプリングが、前記アッパレールに対してその下面の開放部から組み込まれている。
これにより、ロック機構における全ての構成部材をアッパレールに対して簡単に組み付けることができる。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材の両端部が前記サイド溝に位置しているとともに、このロック部材における両端部の間に前記支持部材の両支持ブロックが位置し、これらの支持ブロックの間に前記保持ブロックが位置している。
この場合、一対の支持ブロックに対して一つの保持ブロックで対応でき、その分、支持部材の構造が簡素化される。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材の両端部が前記サイド溝に位置しているとともに、このロック部材における両端部の外側に前記支持部材の両支持ブロックが位置し、これらの支持ブロックの外側に前記保持ブロックがそれぞれ位置している。
これにより、サイド溝に対してその両端の開放部から組み付けられる支持ブロックを、アッパレールにロック部材を組み付けてから組み付けることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。まず図1〜11によって実施の形態1を説明する。
図1はシートトラック装置の側面図、図2はシートトラック装置の平面図、図3はシートトラック装置を分解して表した斜視図である。図4は図1のA-A矢視方向の拡大断面図、図5は図1のB-B矢視方向の拡大断面図、図6は図1のC-C矢視方向の拡大断面図、図7は図1のD-D矢視方向の拡大断面図である。また図8は図1のE-E矢視方向の拡大断面図、図9は図1のF-F矢視方向の拡大断面図、図10は図1のG-G矢視方向の拡大断面図、図11は図2のH-H矢視方向の拡大断面図である。
【0010】
シートトラック装置のレールは、ロアレール10とアッパレール20とに分かれている。ロアレール10はその上面が開放されたチャンネル形状をしており、アッパレール20はその下面が開放されたチャンネル形状をしている。そしてロアレール10はその下面に固定された前後のブラケット18によって車両のフロア(図示外)に固定され、アッパレール20にはシートのクッションフレーム(図示外)を固定する。このアッパレール20がロアレール10に案内されて前後にスライドすることで、シートの前後位置を調整できる。
【0011】
ロアレール10は、上面開放部の両側においてそれぞれ内側に曲げられた折り返し部12を備え、両折り返し部12には複数個のロック孔14が前後方向(長さ方向)に沿って一定の間隔で形成されている。また折り返し部12の外側に位置するロアレール10の側壁には、ロック孔14が形成されている箇所と対応する箇所において複数個のチェック孔16が形成されている(図3,8)。これらのチェック孔16は、後で説明するロック機構60のロック状態においてロック部材62とロック孔14とが適正に係合(ロック)しているかどうかを外側から確認するためのものである。
【0012】
アッパレール20は、下面開放部の両側をそれぞれ外側に折り返すことで形成されたサイド溝24,25を備えている。つまり両サイド溝24,25は、それぞれの上面が開放されているとともに、当然のことながら個々の両端(アッパレール20の両端)においても開放されている。一方のサイド溝24における底面付近には、アッパレール20の内部から外部に貫通した一対の開口26が形成されている(図1,3,9)。またサイド溝24を構成している内側および外側の側壁には、開口26に挟まれた領域においてそれぞれ複数個のロック孔28が前後方向(長さ方向)に一定の間隔で形成されている。これらのロック孔28は、ロアレール10のロック孔14と同一間隔であるが、前後方向に関する個数は少ない。
【0013】
ロアレール10とアッパレール20とは、ロアレール10の折り返し部12がアッパレール20のサイド溝24,25に入り込んだ状態で相互の端部側から挿入することで組み付けられる。ロアレール10の内部には、前後二箇所においてガイド30がそれぞれ組み込まれている(図1,2)。これらのガイド30は、リテーナ32の底部に位置決めされたローラ34と、リテーナ32の両側部に位置決めされたボール36とを備えている。ガイド30のローラ34はサイド溝24,25の下面を支持し、ボール36はサイド溝24,25の側面を支持しており(図10)、アッパレール20がロアレール10に案内されて円滑にスライドできるようになっている。
【0014】
つづいてロアレール10に対するアッパレール20のスライドをロックするためのロック機構60について説明する。このロック機構60は、ロアレール10およびアッパレール20のロック孔14,28、ロック部材62、支持部材70およびロックスプリング84を主体として構成されている。
ロック部材62は、個々のロック孔14,28に入り込むことができる複数個(ロック孔28と同数)のロック爪64を備えているとともに、両端部にアーム部分66を備えている。ロック部材62は、アッパレール20の内部に下面の開放部から組み込まれ、この内部側から両アーム部分66がサイド溝24の開口26に差し込まれる(図9,11)。なおロック部材62は、各ロック爪64とは反対側に張り出した一つの操作片68を備えている(図7)。
【0015】
支持部材70は、図3,11で明らかなように一対の支持ブロック72と一つの保持ブロック78とによって成り立っている。両支持ブロック72におけるそれぞれの外側端部には、球面形状の先端部をもったピボットピン74が設けられている。これらの支持ブロック72は、サイド溝24に対してロック部材62の両アーム部分66の間に組み込まれる(図11)。なお支持ブロック72は、がたつき防止のために、サイド溝24に対してその端部の開放部からのみ組み込む形状になっている(図7)。したがって支持ブロック72を両アーム部分66の間に位置させるには、ロック部材62の組み付けに先立ってサイド溝24に組み込む必要がある。
【0016】
保持ブロック78は、支持ブロック72と同様にサイド溝24に組み込まれるが、この保持ブロック78は平板形状であってサイド溝24の上面開放部から組み込むことができる。保持ブロック78は両支持ブロック72の間に組み込まれ、かつその下部に形成されている凸部82をサイド溝24の底面に予めあけられている孔に差し込んで外側からカシメ加工により押し潰す(図11)。両支持ブロック72と保持ブロック78との接触部は、上に向かって開いた斜面80になっており(図11)、両支持ブロック72の間に保持ブロック78が上方から組み込まれることでクサビのような働きをする。このため両支持ブロック72が両側へ押しやられ、個々のピボットピン74がロック部材62における両アーム部分66の内側に形成された凹部にそれぞれ押し付けられ、両アーム部分66が回動可能に球面支持される。
【0017】
ロックスプリング84には、その中間部にフック部分86を有するコイルスプリングが使用されている(図3)。このロックスプリング84は、アッパレール20の下面開放部から内部のコーナ部22に組み付けられる(図8)。この状態においてフック部分86がロック部材62の背面に接触しており、このロック部材62を各ロック爪64がロック孔14,28に入り込んだロック状態に付勢する。なおアッパレール20の長さ方向(前後方向)に関するロックスプリング84の位置決めは、アッパレール20の内壁に形成された突起などによりロックスプリング84の両端位置を規制することで行っている。
【0018】
ロック機構60のロック解除を行うためのループハンドル40は、図1,2で示すようにアッパレール20の前端部から内部に挿入されている。またアッパレール20の内部に位置する支持ブラケット44は、リベット56によってアッパレール20の上壁に固定されている(図5)。ハンドル40は、支持ブラケット44の支持孔46(図3)に挿通され、この支持孔46の縁を支点として上下方向へ回動操作できる状態で位置決めされる。そしてハンドル40の先端部42はロック部材62の操作片68に干渉できるように位置している(図7)。
【0019】
図3で示すように支持ブラケット44の上面にはバネ取付部48があり、ここにトーションバネ50のほぼ中間部が取り付けられる。このトーションバネ50における前方側の端部52はハンドル40の上面(切り欠き部)に係合してハンドル40の抜け止め機能を果たしている(図4)。トーションバネ50の後方側の端部54はハンドル40の下面に係合し、ハンドル40の先端部42を押し上げるように付勢している(図6)。そこでハンドル40のフロント部分を引き上げると、先端部42が押し下げられてロック部材62の操作片68が押され、このロック部材62がロックスプリング84の付勢力に逆らって回動する。その結果、各ロック爪64がロック孔14,28から抜け出て、ロック機構60がロック解除状態になる。
【0020】
ロック機構60を構成しているロック部材62、支持部材70およびロックスプリング84の組み付け手順につき、より詳細に説明する。まず支持部材70における一対の支持ブロック72を、アッパレール20のサイド溝24に対して端部開放部から組み込み、これらを開口26に挟まれた箇所に位置させておく。つぎにロック部材62をアッパレール20の下面開放部から内部に組み込み、アーム部分66を開口26に位置させる。この後、支持部材70の保持ブロック78を、サイド溝24に対してその上面開放部から両支持ブロック72の間に向けて組み込み、その凸部82を既に述べたようにカシメ加工する。最後にロックスプリング84をアッパレール20のコーナ部22に組み込む。
【0021】
このようにロック機構60の各構成部材は、アッパレール20に対し、その開放部を利用することによってワンタッチ感覚で簡単に組み付けることができる。また支持部材70は、その保持ブロック78を組み付けることにより、ロック部材62を両支持ブロック72のピボットピン74でがたつくことなく支持でき、かつ凸部82をカシメることによってサイド溝24から外れることなく位置決めされる。
【0022】
つぎに図12によって実施の形態2を説明する。
図12は実施の形態2のロック機構を実施の形態1の図11と対応させて表した断面図である。この図面で示す支持部材90は、ロック部材62の両アーム部分66をそれぞれの外側から回動可能に支持する一対の支持ブロック92と、これらの支持ブロック92の外側にそれぞれ配置された一対の保持ブロック98とを備えている。両支持ブロック92には両アーム部分66の外側に形成された凹部を球面支持するピボットピン94がそれぞれ設けられている。
【0023】
また両保持ブロック98は、サイド溝24の底面に予めあけられている孔に差し込んで外側からカシメ加工される凸部102をそれぞれ備えている。支持ブロック92と保持ブロック98との接触部は、それぞれ斜面100になっている。この斜面100により、両保持ブロック98をサイド溝24の上面開放部から組み付けたときにピボットピン94の先端部がアーム部分66の凹部に適正に押し付けられる。
この実施の形態2によれば、最初にロック部材62のアーム部分66を開口26に位置させておき、その後に支持ブロック92をサイド溝24の両端開放部からそれぞれ組み込むことができる。
【0024】
図13は実施の形態3を表した断面図である。この図面は実施の形態1の支持部材70をベースとしたもので、支持ブロック72のピボットピン74に代えてピボットボール110を用いている。このピボットボール110は支持ブロック72の端部とアーム部分66の凹部との間で、これらに対して相対的に回転でき、ロックおよびロック解除時におけるロック部材62の回動がより円滑となる。なおピボットボール110による支持構造を実施の形態2の支持部材90に適用することは当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シートトラック装置の側面図
【図2】シートトラック装置の平面図
【図3】シートトラック装置を分解して表した斜視図
【図4】図1のA-A矢視方向の拡大断面図
【図5】図1のB-B矢視方向の拡大断面図
【図6】図1のC-C矢視方向の拡大断面図
【図7】図1のD-D矢視方向の拡大断面図
【図8】図1のE-E矢視方向の拡大断面図
【図9】図1のF-F矢視方向の拡大断面図
【図10】図1のG-G矢視方向の拡大断面図
【図11】図2のH-H矢視方向の拡大断面図
【図12】実施の形態2のロック機構を表した断面図
【図13】実施の形態3を表した断面図
【符号の説明】
10 ロアレール
20 アッパレール
24 サイド溝
60 ロック機構
62 ロック部材
70,90 支持部材
72,92 支持ブロック
78,98 保持ブロック
Claims (4)
- ロアレールに対するアッパレールのスライドをロックするためのロック機構が、前記アッパレールの内部に組み込まれたロック部材をレールの左右方向へ回動させることでロックおよびロック解除を行う形式のシートトラック装置であって、前記ロック部材が前記アッパレールに対してその下面の開放部から組み込まれ、このロック部材を回動自在に支持する支持部材が前記アッパレールの側部にあるサイド溝に組み込まれ、この支持部材は、前記ロック部材の両端部を個別に支持する一対の支持ブロックと、これらの支持ブロックを位置決めした状態で前記アッパレールに固定される保持ブロックとを備え、前記支持ブロックはサイド溝に対してその端部の開放部から組み付けられ、前記保持ブロックは前記サイド溝に対してその上面の開放部から組み付けられるように構成されているシートトラック装置。
- 請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材に対してロック方向への付勢力を与えるロックスプリングが、前記アッパレールに対してその下面の開放部から組み込まれているシートトラック装置。
- 請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材の両端部が前記サイド溝に位置しているとともに、このロック部材における両端部の間に前記支持部材の両支持ブロックが位置し、これらの支持ブロックの間に前記保持ブロックが位置しているシートトラック装置。
- 請求項1に記載されたシートトラック装置であって、前記ロック部材の両端部が前記サイド溝に位置しているとともに、このロック部材における両端部の外側に前記支持部材の両支持ブロックが位置し、これらの支持ブロックの外側に前記保持ブロックがそれぞれ位置しているシートトラック装置。
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