JP2559887B2 - 水系塗布剤及びこれを塗布したフイルム - Google Patents

水系塗布剤及びこれを塗布したフイルム

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は水系塗布剤及びこれを塗布したフイルムに関
し、さらに詳しくはフイルムに対する漏れ性を塗布剤に
与え、かつ塗布乾燥後は他の成分と反応して耐水性,耐
ブロッキング性の改良された塗膜を形成する反応性界面
活性剤を含む水系塗布剤及びこれを塗布したフイルムに
関する。
<従来技術> 水溶液,水エマルジョン,水懸濁液等の水系塗布剤を
フイルムに塗布する場合、該塗布液に界面活性剤を添加
することが通常行なわれている。しかし、従来の界面活
性剤には、次のような問題がある。
(1) 界面活性剤は通常、液体であるため塗膜が軟化
して塗布フイルムがブロッキングをおこしやすい。
(2) 界面活性剤は低分子物質が多いのでバインダー
ポリマーとの相溶性が乏しく、相分離して塗膜表面にブ
リードして表面特性を変えてしまう。
(3) ブリードした界面活性剤が他の面に転写して悪
影響を及ぼす。
(4) バインダーの架橋反応を阻害する場合がある。
これらの問題を回避するため界面活性剤の選定,添加量
の調節,高分子量化等で対応してきたが、諸特性のバラ
ンスをとることには制約があった。
<発明の目的> 本発明の目的は、耐水性,耐ブロッキング性の改良さ
れた塗膜を形成する、反応性界面活性剤含有水系塗布
剤、及びこれを塗布したフイルムを提供することにあ
る。
<発明の構成,効果> 本発明のかかる目的は、本発明によれば、 1. (A)水性高分子,(B)分子内に2個以上のオキ
シラン基を有する化合物又はその樹脂、及び(C)分子
内に少くとも1個のカルボン酸塩基−COOX(但し、Xは
アンモニウム又は4級アミノ基である)及び少くとも1
個のスルホン酸塩基−SO3Y(但し、Yはアルカリ金属,
アルカリ土類金属,アンモニウム又は4級アミノ基であ
る)を有する反応性界面活性剤を含む水素塗布剤、並び
に 2. 前記水系塗布剤を塗布,乾燥したフイルムによって
達成される。
本発明において(A)成分の水性高分子は、塗膜に機
能特性例えば易接着性,易滑性等を付与するものであ
り、通常水性液例えば水溶液,水エマルジョン,水懸濁
液等として入手できる。かかる高分子水性液としては、
アクリル系樹脂エマルジョン,ポリエステル系エマルジ
ョン,ポリウレタンエマルジョン,フェノキシ樹脂エマ
ルジョン,ポリアミド水性液,ポリビニルアルコール,
メチルセルロース水溶液,アクリル変性ポリエステルエ
マルジョン,アクリル変性ポリウレタンエマルジョン,
ビニル樹脂エマルジョン,ポリ塩化ビニリデンエマルジ
ョン,ポリ塩化ビニルエマルジョン,フェノール樹脂エ
マルジョン,メラミン樹脂水溶液,シリコン樹脂エマル
ジョン,ポリスチレンスルホン酸ソーダ水溶液等を例示
しうる。
水性高分子(A)は、水系塗布剤中50重量%以上(固
形分比)であることが好ましい。
本発明において(B)成分の分子内に2個以上のオキ
シラン基を有する化合物、その樹脂は、通常水性液とし
て入手できる。この水性液としては、エチレングリコー
ルジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジル
エーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテ
ル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、
ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ビスフェノー
ルA・ジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシア
ヌレート、グリシジルメタクリレート−メタリルスルホ
ン酸ソーダ共重合体等の水性液を例示しうる。
分子内に2個以上のオキシラン基を有する化合物やそ
の樹脂(B)は、水系塗布剤中2〜20重量%(固形分
比)であることが好ましい。
本発明において(C)成分の反応性界面活性剤は、分
子内に少くとも1個のカルボン酸塩基−COOX(但し、X
はアンモニウム又は4級アミノ基である)及び少くとも
1個のスルホン酸塩基−SO3Y(但し、Yはアルカリ金
属,アルカリ土類金属,アンモニウム又は4級アミノ基
である)を有する界面活性剤である。前記カルボン酸塩
基−COOXとしては、−COONH4,−COONH(CH33,−COONH
(C2H53,−COONH(C4H9等を例示しうる。また前
記スルホン酸塩基−SO3Yとしては、−SO3Na,−SO3K,−S
O3Li,−SO3NH4,−SO3NH(CH3等を例示しうる。
反応性界面活性剤の具体例としては、下記構造式 (ホ)H4NOOC(CH2lCOOCH2CH2OCH2CH2Om CH2CH2SO3Y1=3〜12,m=5〜500(平均値),Y1=Na,K) で示される化合物等を挙げることができる。上記(イ)
の化合物は、例えば対応するP−アルキルベンゼンカル
ボン酸にH2SO4存在下SO3を反応させ、生成した−SO3H基
を炭酸ソーダまたは炭酸カリで中和して3−アルカリス
ルホ−P−アルキルベンゼンカルボン酸をつくり、これ
とトリメチルアミンとを水相で反応させて合成すること
ができる。上記(ニ)の化合物は、例えばP−カルボキ
シベンジルアルコールにエチレンオキサイドを付加反応
させてP−カルボキシベンジルアルコールのエチレンオ
キサイド付加物 をつくり、この末端水酸基を塩素化したのち亜硫酸ソー
ダまたは亜硫酸カリと反応させて をつくり、さらにカルボキシル基をトリメチルアミンで
中和することで合成することができる。上記(ハ)の化
合物は、例えば対応する飽和脂肪酸に無水硫酸を反応さ
せ、アルカリで中和したのちトリメチルアミンと反応さ
せて合成することができる。上記(ニ)の化合物は、例
えばP−アルキルベンゼンカルボン酸の代りにm−アル
キルベンゼンカルボン酸を、トリメチルアミンの代りに
トリエタノールアミンを用いる以外は上記(イ)化合物
の合成に準じて反応させて合成することができる。また
上記(ホ)の化合物は、例えば対応する脂肪族ジカルボ
ン酸のモノエチレングリコールエステルにエチレンオキ
サイドを付加反応させ、生成付加物の末端水酸基を塩素
化したのち亜硫酸ソーダまたは亜硫酸カリと反応させ、
またカルボキシル基をアンモニアで中和することで合成
することができる。
反応性界面活性剤(C)は、水系塗布剤中3〜30重量
%(固形分比)であることが好ましい。反応性界面活性
剤(C)は塗液塗布後の乾燥時に(B)成分のオキシラ
ン基と反応して高分子構造中に一体化する。
本発明の水系塗布剤は(A)成分,(B)成分及び
(C)成分を水媒体中に溶解または微分散させて水溶液
または水エマルジョン,水懸濁液とすることで調製でき
るが、該水系塗布剤中には所望により他の添加剤例えば
通常の界面活性剤,充填剤,滑剤,着色剤,可塑剤,安
定剤,紫外線吸収剤,架橋剤,分散剤,溶剤等が加えら
れてもよい。又、塗布剤の固形分濃度も自由に選定しう
るが、通常2〜8重量%である。
かくして得られた水系塗布剤は良好な漏れ性を有する
と共に耐水性及び耐ブロッキング性の優れた塗膜を付与
する。
本発明の水系塗布剤はフイルム、他の成形品に適用で
きるが、フイルムへの適用が特に好ましい。フイルムと
しては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等の如き芳
香族ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリ塩
化ビニル、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルケ
トン等のプラスチックから構成されるフイルムが好まし
く挙げられる。就中芳香族ポリエステルから構成される
フイルムが好ましい。またフイルムとしては二軸延伸フ
イルムが好ましい。
水系塗布剤の塗布は常法により行なうことができ、例
えばキスコート,リバースコート,グラビヤコート,ダ
イコート,スプレーコート等の塗布法が使える。塗布量
も自由に選定しうるが、通常2〜10g/m2(ウェット)で
ある。
塗布後の乾燥は100〜250℃の温度で行なうのが好まし
い。乾燥温度が低すぎると、(B)成分と(C)成分の
反応が十分でなく、好ましくない。
本発明の水系塗布剤は(C)成分の構造によって帯電
防止剤としての作用を示す場合があり、この場合形成さ
れた塗膜は帯電防止性を示す。また形成された塗膜は
(A)成分による機能を示すと共に、優れた耐水性及び
耐ブロッキング性を示す。
<実施例> 実施例1 ポリウレタン水エマルジョンの商品名「メルシ585」
(東洋ポリマー),下記構造式で示される反応性界面活
性剤及びグリセリントリグリシジルエーテルを重量固形
比80:10:10の割合で混合し、更に水で薄めて固形分濃度
4%の水系塗布液を調製した。
固有粘度0.63のポリエチレンテレフタレートを20℃に
維持した回転冷却ドラム上に溶融押出し、冷却して未延
伸フイルムとし、次に機械軸方向に3.5倍延伸してから
前記塗布液をロールコーティングした。次いで直角方向
に100℃で3.8倍延伸し、220℃で熱処理して、厚み50
μのフイルムを得た。塗布厚みは0.03μ(dry)で
あった。
該フイルムの耐湿熱ブロッキング性を表−1に示す。
[耐ブロッキング性の評価法] 2枚のフイルムを処理面と非処理面同士を合せ、これ
に6Kg/cm2の圧力を60℃×80%RHの雰囲気下17hrかけた
後に剥離し、その剥離力(5cm当りのg数)で評価す
る。
実施例2〜8 反応性界面活性剤の種類と量を表−1に示すようにす
る以外は実施例1と同様に行なった。得られたフイルム
の耐湿熱ブロッキング性を表−1に示す。
比較例1 反応性界面活性剤の代わりに通常のノニオン界面活性
剤である「ニッサンノニオンNS 208.5」(日本油脂)を
用いる以外は実施例1と同様に行なった。得られたフイ
ルムの耐湿熱ブロッキング性を表−1に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 5/02 PPT C09D 5/02 PPT 7/12 PSM 7/12 PSM 163/00 PKC 163/00 PKC

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)水性高分子,(B)分子内に2個以
    上のオキシラン基を有する化合物又はその樹脂、及び
    (C)分子内に少くとも1個のカルボン酸塩基−COOX
    (但し、Xはアンモニウム又は4級アミノ基である)及
    び少くとも1個のスルホン酸塩基−SO3Y(但し、Yはア
    ルカリ金属,アルカリ土類金属,アンモニウム又は4級
    アミノ基である)を有する反応性界面活性剤を含む水系
    塗布剤。
  2. 【請求項2】請求項1記載の水系塗布剤を塗布,乾燥し
    たフイルム。
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