JP2559705Y2 - コンパクト容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、コンパクト容器に関す
るもので、より具体的には容器本体、中蓋及び蓋体それ
ぞれの後端部に蝶番ピンを連通挿入して蝶番部を形成す
るとともに、容器本体及び蓋体の前端部にフックを設け
てなるコンパクト容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、コンパクト容器は、化粧料を収納
する容器本体と、これを開閉自在に閉じる蓋体とが蝶番
部を介して結合されて構成されている。

【０００３】ところで、コンパクト容器の蝶番部に対し
ては、従来から各種工夫が凝らされ、単なる蝶番機能の
みならず、付勢力を持って蓋体を自動的に回動させるこ
とができるなど、その開閉操作が便利なものとされてい
る。

【０００４】例えば、実開昭５９−１３２０６号公報に
は、蓋体を閉じる際に浮上手段を介して蓋体後端部を若
干持ち上げることにより蝶番ピンを変形させ、蓋体に開
方向への付勢力を与えるように構成されたものが開示さ
れている。従って、このコンパクト容器では、蓋体の閉
止状態でフックを解除すると、蝶番ピンの変形によって
生じる付勢力で、蓋体が自動的に開くことになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、かかる
従来のコンパクト容器においては、蓋体後端部を持ち上
げることにより蝶番ピンを弾性変形させ、これにより蓋
体に開方向への付勢力を生じさせるようになっている。
このため蓋体が閉じた状態では、浮上手段により蓋体と
容器本体との間に上下方向の隙間が生じて、容器の密閉
性が損なわれてしまうおそれがあるとともに、蓋体に反
りを与えるような無理な力が作用するという問題があっ
た。また、蓋体と容器本体との間に上下方向に相当の厚
みで介設される浮上手段のために、コンパクト容器の厚
みが厚くなってしまうという問題もあった。

【０００６】本考案はかかる従来の問題に鑑みてなされ
たもので、その目的は、蓋体を後方に押圧することで蝶
番ピンに蓋体の開方向の付勢力を蓄積させる構造とする
ことにより、蓋体の閉止状態を解放したときに蓋体が自
動的に所定量開き、かつ容器の密閉性を保持しつつ蓋体
に無理な力が作用するのを防止でき、また、厚さも厚く
ならない中蓋を有するコンパクト容器を提供することに
ある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本考案によれば、容器本体、中蓋及び蓋体それぞれ
の後端部に蝶番ピンを連通挿入して蝶番部を形成すると
ともに、容器本体及び蓋体の前端部にフックを設けたコ
ンパクト容器において、中蓋と蓋体との間に、蓋体の閉
止時に蝶番ピンを弾性変形させ蓋体の開方向に付勢すべ
く、蓋体を容器本体に対して後方に押圧する突起を設け
たことを特徴とする。

【０００８】

【作用】以上の構成により本考案のコンパクト容器にあ
っては、突起により蓋体の閉止時に蓋体が後方へ押圧さ
れ、蝶番ピンが弾性変形して付勢力が蓄積されることと
なって、蓋体に開方向への付勢力を与えることができ
る。従って、蓋体の閉止状態でフックを解除することに
より、蓋体は蝶番ピンの付勢力で自動的に所定量だけ開
く。

【０００９】ところで、蝶番ピンに付勢力を蓄積させる
にあたり、蓋体を後方へ押圧することによって行うた
め、蓋体と中蓋との間に上下方向の隙間が生ずるのを防
止できるとともに、この蓋体に反りを与えるような無理
な力が作用することも防止できる。

【００１０】また、中蓋と蓋体との間に前後方向に突出
する突起としたことにより、その構造を著しく簡単化す
ることができるとともに、コンパクト容器の厚みを薄く
することができる。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の好適な実施例を図に基づいて
詳細に説明する。本実施例のコンパクト容器は、図１に
示したように、容器本体１０、蓋体２０及び中蓋３０と
を備え、これら容器本体１０、蓋体２０、中蓋３０は、
その外周を一致させた矩形状として形成してある。

【００１２】容器本体１０は、図１に示したように上面
に化粧料を収納するための凹部１１が形成され、この凹
部１１の周縁を囲う周壁１２の上端面１２ａが、中蓋３
０の裏面３１に密接する。一方、中蓋３０の裏面中央部
には凹部３２が形成され、この凹部３２に化粧鏡３３が
密接して嵌合固定される。このとき、化粧鏡３３の鏡面
と中蓋３０の裏面３１とは面一となっている。

【００１３】蓋体２０の裏面中央部には凹部２１が形成
され、ここに化粧具等を収納するようになっている。ま
た、この容器本体１０、蓋体２０、中蓋３０の前端縁中
央部には、フック４０が以下に示すように配置されてい
る。

【００１４】蓋体２０の前端部下側からは、爪片２２が
垂設され、この爪片２２の後面端部には、第１の係合突
片２３が一体的に形成されている。そして、この爪片２
２に対応するように容器本体１０の前端中央部には、凹
所１３が形成され、ここに爪片２２の第１の係合突片２
３に係止される第２の係合突片５１を有するプッシュピ
ース５０が容器本体１０の凹所１３の底面上を前後方向
に摺動可能に配設されている。また、この凹所１３は、
前壁１４を有し、この前壁１４の下端には挿通孔１５が
設けられている。また、この凹所１３の後壁１６の下端
には挿通孔１５と同レベルの案内孔１７が形成されてい
る。さらに、中蓋３０の前端面中央部には、爪片２２が
貫通可能な貫通孔３４が形成されている。

【００１５】そして、蓋体２０の閉止状態では、爪片２
２が中蓋３０の貫通孔３４を貫通して凹所１３内にあっ
て爪片２２の第１の係合突片２３と第２の係合突片５１
とが係合して止錠状態をしめるようになっている。この
際、プッシュピース５０の底壁５２の前端部５３は、挿
通孔１５を貫通して凹所１３の前壁１４、すなわち容器
本体１０の前端面より露出された状態となっている。そ
して、このプッシュピース５０の前端部５３を押し込む
ことで前記第１の係合突片２３から前記第２の係合突片
５１を離脱させ、容器本体１０、蓋体２０、中蓋３０の
係止状態が解除されるように構成されている。

【００１６】さらに、容器本体１０、蓋体２０、中蓋３
０の後端部には蝶番部６０が形成されている。この蝶番
部６０は、中蓋３０に形成した第１蝶番片３５，３５
と、容器本体１０に形成した第２蝶番片１８，１８と、
蓋体２０に形成した第３蝶番片２４と、これら第１蝶番
片３５、第２蝶番片１８及び第３蝶番片２４とを連結す
る蝶番ピン６１，６１とにより構成されている。

【００１７】第１蝶番片３５，３５は、中蓋３０の後端
部両側から後方に向かって一体的に一対設けられ、その
間隔は容器本体１０の第２蝶番片１８，１８が挿入可能
な寸法に形成され、その両側部には蝶番ピン挿通孔３
６，３６が貫通している。また、第２蝶番片１８，１８
は、容器本体１０の後端部両側から後方に向かって一体
的に一対設けられ、その間隔は蓋体２０の第３蝶番片２
４が挿入可能な寸法に形成され、その両側部には蝶番ピ
ン挿通孔１９，１９が貫通している。さらに、第３蝶番
片２４は、蓋体２０の後端部中央部から後方かつ下方に
向かって一体的に設けられ、その両側部からは蝶番ピン
挿通孔２５，２５が穿孔されている。

【００１８】これらの蝶番ピン挿通孔３５，１９，２５
の位置は、図４に示したように蓋体２０が開状態にある
ときに同一の中心線上となるように形成する。また、中
蓋３０の蝶番ピン挿通孔３６及び容器本体１０の蝶番ピ
ン挿通孔１９は、蝶番ピン６１とほぼ同径に形成され、
蓋体２０の蝶番ピン挿通孔２５には、蝶番ピン６１が挿
入される方向の両端部（図２中、上下方向）に蝶番ピン
挿通孔２５を拡径した逃げ穴２６，２６が形成されてい
る。そして、この蝶番ピン挿通孔２５の逃げ穴２６内で
蝶番ピン６１の弾性変形が許容される。なお、蝶番ピン
６１は、弾性変形が可能な材質、例えば、炭素鋼、ばね
鋼などにより形成する。

【００１９】さらに、中蓋３０の上端中央部後側から後
方に向かって、突起３７が一体的に突設されている。

【００２０】以上のような構成のコンパクト容器の第３
蝶番片２４を第２蝶番片１８の間に重合させ、第２蝶番
片１８を第１蝶番片３５の間に重合させ、蝶番ピン６１
を挿入し、これにより容器本体１０、蓋体２０及び中蓋
３０を開閉自在に軸着する。そして、蓋体２０を閉止す
ると、図１、図２に示されるように、中蓋３０の突起３
７の先端は、蓋体２０の第３蝶番片２４の前端面に当接
するため、蓋体２０は後方に押圧されて若干移動した状
態となる。したがって、このように蓋体２０が後方へ若
干移動することにより、蝶番ピン挿通孔３６，１９，２
５は前後方向（第３蝶番片２４側が後方となる方向）に
若干オフセット（オフセット量ｆ）する。このとき、蝶
番ピン６１は、蝶番ピン挿通孔２５の逃げ穴２６内で弾
性変形するとともに、蓋体２０の第１の係合突片２３が
プッシュピース５０の第２の係合突片５１に係合し、蓋
体２０の閉止状態を保持する。このとき、蝶番ピン６
１，６１は弾性変形されて、この蝶番ピン６１，６１に
は真っ直ぐに復帰しようとする方向、つまり蓋体２０を
回動しようとする方向の付勢力が発生する。

【００２１】上記のように形成されたコンパクト容器の
蓋体２０の止錠位置から蓋体を開放するには、フック４
０のプッシュピース５０の前端部５３を内方に押圧する
と、第２の係合突片５１は蓋体２０の第１の係合突片２
３との係合から離脱し、蓋体２０の止錠が解除される。
同時に、図３に示されるように、前記蝶番ピン６１，６
１の付勢力により蓋体２０を前方に押圧し、この力によ
り蓋体２０は突起３７を支点として自動的に開く。この
状態で蓋体２０を手によってさらに開くことにより、蓋
体２０を完全な開放状態とすることができる。

【００２２】したがって、このように蓋体２０を開放す
る際に、フック４０の解除にともなってこの蓋体２０を
所定角度開くことができるため、蓋体２０の開放操作を
簡単化することができる。

【００２３】なお、本実施例では突起３７を中蓋３０に
設けたが、蓋体２０側に設けてもよい。

【００２４】ところで、本実施例では蝶番ピン６１，６
１の弾性変形により蓋体２０に開方向の付勢力を蓄積さ
せるに、中蓋３０の後端から後方に突出した突起３７を
第３蝶番片２４に当接させることにより行っている。こ
のため突起３７に第３蝶番片２４が当接された際に、蓋
体２０が後方に若干移動する構造であるため、蓋体２０
と中蓋３０との間に上下方向の隙間が発生するのを防止
することができる。また、このように蓋体２０を後方に
押圧すると、この蓋体２０には若干の引張り力が作用す
るが、従来のように蓋体２０に反りを与えるような無理
な力が作用することがないため蓋体２０が湾曲されるこ
とを防止でき、その耐久性を向上できる。

【００２５】また、突起３７を、中蓋３０と蓋体２０と
の間に前後方向に突出する構成としたことにより、従来
に比してコンパクト容器１０の厚みを薄くすることがで
きる。

【００２６】

【考案の効果】以上のように本考案によれば、容器本
体、中蓋及び蓋体それぞれの後端部に蝶番ピンを連通挿
入して蝶番部を形成するとともに、容器本体及び蓋体の
前端部にフックを設けたコンパクト容器において、中蓋
と蓋体との間に、蓋体の閉止時に蝶番ピンを弾性変形さ
せ蓋体の開方向に付勢すべく、蓋体を容器本体に対して
後方に押圧する突起を設けているので、蓋体の閉止時に
突起により蓋体を後方へ押圧し、若干移動させて蝶番ピ
ンを弾性変形させることができ、この蝶番ピンに蓋体を
開方向の付勢力を蓄積させることができる。したがっ
て、蓋体はフックの解除により蝶番ピンの付勢力を持っ
て自動的に開くことができる。ところで、突起は、蓋体
を後方へ押圧し、若干移動することで蝶番ピンの付勢力
を蓄積するため、蓋体と中蓋との間に上下方向の隙間を
生じることがなく、コンパクト容器の密閉性を向上させ
ることができる。また、蓋体を後方へ押圧することによ
り付勢力が蓄積されるため、この蓋体に反りを与えるよ
うな無理な力が加わることを防止できる。

【００２７】さらにまた、構造も著しく簡素化でき、安
価な製品を提供することができるとともに、コンパクト
容器の厚みも薄くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るコンパクト容器の断面側面図であ
る。

【図２】図１中のＡ−Ａ線の断面図である。

【図３】蓋体の開放状態を要部を拡大して示す断面側面
図である。

【図４】蓋体の開放状態を要部を拡大して示す図１中の
Ａ−Ａ線の断面図である。

【符号の説明】 １０ 容器本体 ２０ 蓋体 ３０ 中蓋 ３７ 突起 ４０ フック ６０ 蝶番部 ６１ 蝶番ピン

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器本体、中蓋及び蓋体それぞれの後端
   部に蝶番ピンを連通挿入して蝶番部を形成するととも
   に、該容器本体及び該蓋体の前端部にフックを設けたコ
   ンパクト容器において、該中蓋と該蓋体との間に、該蓋
   体の閉止時に該蝶番ピンを弾性変形させ該蓋体の開方向
   に付勢すべく、該蓋体を該容器本体に対して後方に押圧
   する突起を設けたことを特徴とするコンパクト容器。