JPH0556012U - コンパクト容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 蓋体を後方へ押圧し、若干移動させることで
蝶番ピンに蓋体の開方向の付勢力を蓄積させる構造とす
ることにより、フックを解除したとき所定量蓋体が自動
的に開き、かつ容器の密閉性を保持しつつ蓋体に無理な
力が作用するのを防止できるコンパクト容器を提供す
る。 【構成】 容器本体１０に形成した第１蝶番片２３と、
蓋体３０に形成した第２蝶番片３６とを重合し、蝶番ピ
ン５１を挿入する。容器本体１０の後端部の一部を二重
壁として可撓壁部２０と内壁部２１の間に空隙を形成し
て、可撓壁部２０を内壁部２１側に変形可能とし、可撓
壁部２０と蓋体３０との間に突起２２を後方に突出して
設ける。 【効果】 蓋体の閉止時に突起により蓋体を後方へ移動
させて蝶番ピンを変形させ、蝶番ピンに蓋体の開方向へ
の付勢力を蓄積させることができる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、コンパクト容器に関するもので、より具体的には容器本体と、容器 本体を開閉する蓋体とを有し、容器本体と蓋体の後端部に蝶番ピンを連通挿入し て蝶番部を形成すると共に、容器本体と蓋体の前端部にフックを設けてなるコン パクト容器に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

従来、コンパクト容器は、化粧料を収納する容器本体と、これを開閉自在に閉 じる蓋体とが蝶番部を介して結合されて構成されている。

【０００３】 ところで、前記コンパクト容器の蝶番部に対しては、従来から各種工夫が凝ら され、単なる蝶番機能のみならず、付勢力を持って蓋体を自動的に回動させるこ とができるなど、その開閉操作が便利なものとされている。

【０００４】 例えば、実開昭５９−１３２０６号公報には、蓋体を閉じる際に浮上手段を介 して蓋体後端部を若干持ち上げることにより蝶番ピンを変形させ、蓋体に開方向 への付勢力を与えるように構成されたものが開示されている。従って、このコン パクト容器では、蓋体の閉状態でフックを解除すると、蝶番ピンの変形によって 生じる付勢力で、蓋体が自動的に開くことになる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる従来のコンパクト容器においては、蓋体後端部を持ち上 げることにより蝶番ピンを弾性変形させ、これにより蓋体に開方向への付勢力を 生じさせるようになっている。このため蓋体が閉じた状態では、浮上手段により 蓋体と容器本体との間に上下方向の隙間が生じて、容器の密閉性が損なわれてし まうおそれがあるとともに、蓋体に反りを与えるような無理な力が作用するとい う問題があった。また、蓋体と容器本体との間に上下方向に相当の厚みで介設さ れる浮上手段のために、コンパクト容器の厚みが厚くなってしまうという問題も あった。

【０００６】 本考案はかかる従来の問題に鑑みてなされたもので、その目的は、蓋体を後方 に押圧する突起を容器本体の後端壁に形成することで蝶番ピンに蓋体の開方向の 付勢力を蓄積させるとともに、この後端壁にさらに可撓壁部を形成してこれにも 付勢力を蓄積させる構造とすることにより、蓋体の閉止状態を解除した時に蓋体 が自動的に十分な開度で開き、かつ容器の密閉性を保持しつつ蓋体に無理な力が 作用するのを防止でき、また、厚さも厚くならないコンパクト容器を提供するこ とにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

かかる目的を達成するために本考案によれば、容器本体と、該容器本体を開閉 する蓋体とを有し、該容器本体と該蓋体の後端部に蝶番ピンを連通挿入して蝶番 部を形成すると共に、該容器本体と該蓋体の前端部にフックを設けたコンパクト 容器において、該容器本体の後端壁に、可撓壁部と内壁部の間に空隙を形成して 二重壁を形成し、該可撓壁部を該内壁部側に変形可能とし、該容器本体の該可撓 壁部と該蓋体との間に、該蓋体の閉止時に該蝶番ピンを弾性変形させ該蓋体の開 方向に付勢すべく、該蓋体を容器本体に対して後方に押圧する突起を設けたこと を特徴とする。

【０００８】

【作用】

以上の構成により本考案のコンパクト容器にあっては、突起により蓋体の閉止 時に蓋体が後方へ押圧され、蝶番ピンが弾性変形して付勢力が蓄積され、また可 撓壁部にも付勢力が蓄積されることとなって、蓋体に開方向への付勢力を与える ことができる。従って、蓋体の閉止状態でフックを解除することにより、蓋体は 蝶番ピンの付勢力で自動的に十分な開度で開かれる。

【０００９】 ところで、蝶番ピンに付勢力を蓄積させるにあたり、蓋体を後方へ押圧するこ とによって行うため、蓋体と容器本体との間に上下方向の隙間が生ずるのを防止 できるとともに、この蓋体に反りを与えるような無理な力が作用することも防止 できる。

【００１０】 また、容器本体と蓋体との間に前後方向に突出する突起としたことにより、そ の構造を著しく簡単化することができるとともに、コンパクト容器の厚みを薄く することができる。

【００１１】

【実施例】

以下、本考案の好適な実施例を図に基づいて詳細に説明する。図１ないし図５ は、本考案に係るコンパクト容器の第１実施例を示す。

【００１２】 本実施例のコンパクト容器は、容器本体１０と、この容器本体１０とは別体に 形成された蓋体３０とを備え、これら容器本体１０と蓋体３０とは、その外周を 一致させた矩形状として形成してある。

【００１３】 容器本体１０は、図１に示されるように上面に化粧料を収納するための凹部１ １が形成され、この凹部１１の周縁を囲う周壁１２の上端面１２ａが、蓋体３０ の裏面３１に密接する。一方、蓋体３０の裏面中央部には凹部３２が形成され、 この凹部３２に化粧鏡３３が密接して嵌合固定される。この時、化粧鏡３３の鏡 面と蓋体３０の裏面３１とは面一となっている。

【００１４】 また、容器本体１０と蓋体３０との前端縁中央部には、フック６０が配置され る。このフック６０は、蓋体３０の前端部下側から垂設された爪片３４と、この 爪片３４に係止される第２の係合突片４３を有するプッシュピース４０とから構 成されている。この爪片３４の後面端部には、第１の係合突片３５が一体的に形 成されている。そして、この爪片３４に対応するように容器本体１０の前端中央 部には、凹所１３が形成されている。この凹所１３は、前壁１４を有し、この前 壁１４の下端には挿通孔１５が設けられている。また、この凹所１３の後壁１６ の下端には挿通孔１５と同レベルの案内孔１７が形成されている。

【００１５】 この凹所１３には、プッシュピース４０が凹所１３の底面上を前後方向に摺動 可能に配設されている。プッシュピース４０は、底壁４１と底壁４１の後方から 垂直上方へ延長する後壁４２からなり、この後壁４２の前面上端中央部には蓋体 ３０の爪片３４に形成された第１の係合突片３５と係合可能な第２の係合突片４ ３が形成されている。そして、蓋体３０の閉止状態では、爪片３４が凹所１３内 にあって爪片３４の第１の係合突片３５とプッシュピース４０の第２の係合突片 ４３とが係合して止錠状態をしめるようになっている。この際、プッシュピース ４０の底壁４１の前端部４４は、挿通孔１５を貫通して凹所１３の前壁１４、す なわち容器本体１０の前端面より露出された状態となっている。そして、このプ ッシュピース４０の前端部４４を押し込むことで第１の係合突片３５から第２の 係合突片４３を離脱させ、容器本体１０と蓋体３０の係止状態が解除されるよう に構成されている。

【００１６】 さらに、容器本体１０の後端壁１８の中央部には切欠凹所１９が形成され、こ こに空隙を形成した二重壁が形成されている。可撓壁部２０は、切欠凹所１９の 後端部中央に容器本体１０の後端壁１８と面一に形成され、内壁部２１側へ変形 可能であり、その高さは内壁部２１の高さより低くなっている。またこの可撓壁 部２０の上端部後側には後方に向かって突起２２が突出している。

【００１７】 さらにまた、容器本体１０及び蓋体３０の後端部には蝶番部５０が形成されて いる。この蝶番部５０は、容器本体１０に形成した第１蝶番片２３，２３と、蓋 体３０に形成した第２蝶番片３６と、これら第１蝶番片２３と第２蝶番片３６と を連結する蝶番ピン５１，５１とにより構成されている。

【００１８】 第１蝶番片２３は、容器本体１０の後端部両側から後方に向かって一体的に一 対設けられ、その両側部には蝶番ピン挿通孔２４，２４が貫通している。一方、 第２蝶番片３６は、蓋体３０の後端部中央部から後方かつ下方に向かって一体的 に設けられ、その両側部には蝶番ピン挿通孔３７，３７が穿孔されている。なお 、容器本体１０の蝶番ピン挿通孔２４は、蝶番ピン５１とほぼ同径に形成され、 蓋体３０の蝶番ピン挿通孔３７には、蝶番ピン５１が挿入される方向の両端部（ 図２中、上下方向）に蝶番ピン挿通孔３７を拡径した大径部３８，３８が形成さ れている。この蝶番ピン挿通孔２４と蝶番ピン挿通孔３７の位置は、図３、図４ に示したように蓋体３０が開状態にあるときに同一の中心線上となるように形成 する。そして、蓋体３０の第２蝶番片３６を容器本体１０の第１蝶番片２３の間 に重合させ、蝶番ピン挿通孔２４と蝶番ピン挿通孔３７に、同一中心軸状態で蝶 番ピン５１を挿入すると、容器本体１０と蓋体３０とは開閉自在に軸着される。 なお、蝶番ピン５１は、ある程度の弾性変形が可能な材質、例えば、炭素鋼、ば ね鋼などにより形成し、蓋体３０の蝶番ピン挿通孔３７の端部に大径部３８が形 成され、蝶番ピン５１の弾性変形が許容される。

【００１９】 以上のような構成のコンパクト容器の蓋体３０を閉止すると、図１、図２に示 されるように、可撓壁部２０の突起２２の先端は、蓋体３０の第２蝶番片３６の 前端面に当接するため可撓壁部２０が内壁部２１側に撓み、突起２２の先端下端 部から第２蝶番片３６に可撓壁部２０の付勢力が働き、これにより蓋体３０は後 方に押圧されて若干移動した状態となる。したがって、このように蓋体３０が後 方へ若干移動することにより、蝶番ピン挿通孔２４，３７は前後方向（第２蝶番 部３６側が後方となる方向）に若干オフセット（オフセット量ｆ）する。このと き、蝶番ピン５１は、蝶番ピン挿通孔２４と蝶番ピン挿通孔３７の大径部３８内 で変形するとともに、蓋体３０の第１の係合突片３５がプッシュピース４０の第 ２の係合突片４３に係合し、蓋体３０の閉止状態を保持する。このとき、蝶番ピ ン５１，５１は弾性変形されて、この蝶番ピン５１，５１には真っ直ぐに復帰し ようとする方向、つまり蓋体３０を回動しようとする方向の付勢力が発生する。

【００２０】 上記のように形成されたコンパクト容器の蓋体３０の止錠位置から蓋体を開放 するには、前記フック６０のプッシュピース４０の前端部４４を内方に押圧する と、プッシュピース４０は、案内孔１７に沿って後方へ水平移動し、第２の係合 突片４３は蓋体３０の第１の係合突片３５との係合から離脱し、蓋体３０の止錠 が解除される。同時に、蝶番ピン５１，５１及び可撓壁部２０の付勢力によって 蓋体３０を上方に回動する力により蓋体３０は突起２２を支点として自動的に開 く。この状態で蓋体３０を手によってさらに開くことにより、蓋体３０を完全な 開放状態とすることができる。

【００２１】 したがって、このように蓋体３０を開放する際に、フック６０の解除にともな ってこの蓋体３０を十分な所定角度で開くことができるため、蓋体３０の開放操 作を簡単化することができる。

【００２２】 ところで、本実施例では蝶番ピン５１，５１の弾性変形により蓋体３０に開動 方向の付勢力を蓄積させるに、容器本体１０の可撓壁部２０の後端から後方に突 出した突起２２を第２蝶番部３６に当接させることにより行っている。このため 突起２２に第２蝶番部３６が当接された際に、蓋体３０が後方に移動する構造で あるため、蓋体３０と容器本体１０との間に上下方向の隙間が発生するのを防止 することができる。また、このように蓋体３０を後方に押圧すると、この蓋体３ ０には若干の引張り力が作用するが、従来のように蓋体３０に反りを与えるよう な無理な力が作用することがないため蓋体３０が湾曲されることを防止でき、そ の耐久性を向上できる。

【００２３】 また、突起２２を、容器本体１０と蓋体３０との間に前後方向に突出する構成 としたことにより、従来に比してコンパクト容器１０の厚みを薄くすることがで きる。

【００２４】 図６ないし図８は、本考案の第２実施例を示す。この実施例では、容器本体１ ０ａの凹部１１に化粧皿２５が収納されている。この化粧皿２５の内周壁の上面 には外方へ延出する鍔部２５ａが設けられ、この鍔部２５ａが容器本体１０の上 面全体を覆っている。また、この鍔部２５ａの後端中央部には、上下に貫通した スリット状開口部２６が形成され、このスリット状開口部２６が空隙となって、 これにより二重壁が形成されている。この可撓壁部２７は、内壁部２８と左右の 側端において連結され、中央部が内壁部２８側に変形可能となっている。さらに 、この可撓壁部２７の上端中央部からは後方に向かって突起２９が突出している 。その他の構成は、上述した第１実施例と同様であり、また同様の作用をなすも のである。

【００２５】

【考案の効果】

以上のように本考案によれば、容器本体と、容器本体を開閉する蓋体とを有し 、容器本体と蓋体の後端部に蝶番ピンを連通挿入して蝶番部を形成するとともに 、容器本体と蓋体の前端部にフックを設けたコンパクト容器において、容器本体 の後端壁に、可撓壁部と内壁部の間に空隙を形成して二重壁を形成し、可撓壁部 を内壁部側に変形可能として蓋体を開方向に付勢する力を蓄積し、かつ、容器本 体の可撓壁部と蓋体との間に、蓋体の閉止時に蝶番ピンを弾性変形させ、蓋体を 開方向に付勢すべく蓋体を容器本体に対して後方に押圧する突起を設けているの で、蓋体の閉止時に突起により蓋体を後方へ押圧し、若干移動させて蝶番ピンを 弾性変形させることができ、この蝶番ピンに蓋体を開方向への付勢力を蓄積させ ることができる。したがって、蓋体はフックの解除により可撓壁部及び蝶番ピン の付勢力を持って自動的に開くことができる。ところで、突起は、蓋体を後方へ 押圧し、若干移動することで蝶番ピンの付勢力を蓄積するため、蓋体と容器本体 との間に上下方向の隙間を生じることがなく、コンパクト容器の密閉性を向上さ せることができる。また、蓋体を後方へ押圧することにより付勢力が蓄積される ため、この蓋体に反りを与えるような無理な力が加わることを防止できる。

【００２６】 さらにまた、構造も著しく簡素化でき、安価な製品を提供することができると ともに、コンパクト容器の厚みも薄くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例に係るコンパクト容器の断
面側面図である。

【図２】図１中のＡ−Ａ線の断面図である。

【図３】作動状態を要部を拡大して示す断面側面図であ
る。

【図４】作動状態を要部を拡大して示す断面平面図であ
る。

【図５】要部拡大斜視図である。

【図６】本考案の第２実施例に係るコンパクト容器の断
面側面図である。

【図７】図６中のＡ−Ａ線の断面図である。

【図８】要部拡大斜視図である。

【符号の説明】

１０ 容器本体 ２０，２７ 可撓壁 部 ２１，２８ 内壁部 ２２，２９ 突起 ３０ 蓋体 ４０ プッシュピー ス ６０ フック ５０ 蝶番部 ５１ 蝶番ピン

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器本体と、該容器本体を開閉する蓋体
   とを有し、該容器本体と該蓋体の後端部に蝶番ピンを連
   通挿入して蝶番部を形成すると共に、該容器本体と該蓋
   体の前端部にフックを設けたコンパクト容器において、
   該容器本体の後端壁に、可撓壁部と内壁部の間に空隙を
   形成して二重壁を形成し、該可撓壁部を該内壁部側に変
   形可能とし、該容器本体の該可撓壁部と該蓋体との間
   に、該蓋体の閉止時に該蝶番ピンを弾性変形させ該蓋体
   の開方向に付勢すべく、該蓋体を容器本体に対して後方
   に押圧する突起を設けたことを特徴とするコンパクト容
   器。