JP2557816Y2 - 自動車用内装部品 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、中接部材を装着した
自動車用内装部品に関するもので、特に、中接部材の端
末部の見栄えを向上させた自動車用内装部品に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近、自動車室内の居住性を高めるため
に、自動車用ドアトリム等の内装部品の材質をグレード
アップさせるか、あるいは、クロス，カーペット等の装
飾部材をドアトリム表面に装着する方法が多用されてい
る。

【０００３】図５，図６は、それぞれ自動車用ドアトリ
ムの斜視図，断面図が示されており、これら従来の自動
車用ドアトリム１は、所要形状に成形された芯材２の表
面に真空成形等により一体貼着される表皮材３とから構
成されるドアトリム本体４と、このドアトリム本体４の
表面適宜箇所に装飾性をさらに付与するために装着され
るクロス，カーペット等の中接部材５とから大略構成さ
れている。

【０００４】そして、上記中接部材５は、サポート機能
を備えた金属板等からなる中接部芯材６の表面側にクッ
ション性を備えたポリウレタンフォーム等の中接部パッ
ド７を積層させて、それらの外表面を本皮，合皮等の中
接部表皮８で被覆して、中接部表皮８の周縁端末を中接
部芯材６の周縁に沿って裏面側に巻込み固着して構成さ
れている。

【０００５】さらに、このように構成された中接部材５
をドアトリム本体４に取付けるには、中接部芯材６に係
止爪６ａを切り起こし形成しておき、この係止爪６ａと
対応する箇所のドアトリム本体４に取付孔４ａを開設
し、取付孔４ａ内に係止爪６ａを挿入したのち折曲固定
することにより、中接部材５をドアトリム本体４に対し
て確実に固定するようにしている。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】このように、従来の自
動車用ドアトリム１においては、中接部芯材６の表面に
設置される中接部パッド７は、中接部表皮８を中接部芯
材６の周縁に沿って巻込む際、圧縮されて、中接部材５
の周縁部分の形状出しをシャープに行なうことができ
ず、見栄えの低下を招くという欠点が指摘されている。

【０００７】さらに、中接部表皮８は中接部芯材６の裏
面に巻込む際、特にコーナー部分で巻込み部が厚肉とな
り、そのため、中接部材５をドアトリム本体４に取付け
た際、ドアトリム本体４と中接部材５との間に浮きが生
じ、このことも中接部材５の見栄えを低下させる大きな
要因となっている。

【０００８】この考案は、このような事情に鑑みてなさ
れたもので、本考案の目的とするところは、中接部材を
装着した自動車用内装部品において、中接部材の周縁部
分の見栄えを向上させた自動車用内装部品を提供するこ
とにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１記載の考案は、所要形状に成形された芯材
と、この芯材の表面側に一体貼着された表皮材とからト
リム本体が構成され、このトリム本体の表面適宜位置に
中接部材を装着してなる自動車用内装部品において、前
記中接部材は、中接部芯材の表面側を中接部パッド、中
接用表皮により被覆して構成されるとともに、上記中接
部芯材の周縁に沿ってビードが周設されるとともに、中
接部表皮を中接部芯材周縁に沿って巻込み処理し、中接
部材の周縁端末をトリム本体の木目込み用溝部内に挿入
したことを特徴とする。さらに、請求項２記載の考案
は、所要形状に成形された芯材と、この芯材の表面側に
一体貼着された表皮材とからトリム本体が構成され、こ
のトリム本体の表面適宜位置に中接部材を装着してなる
自動車用内装部品において、前記中接部材は、中接部芯
材の表面側を中接部パッド、中接部表皮により被覆して
構成され、上記中接部芯材の周縁に沿ってビードが周設
されるとともに、該ビードの適宜間隔毎に凹部が形成さ
れ、この凹部に沿って中接部表皮の周縁部形状が規制さ
れることを特徴とする。

【００１０】

【作用】以上の構成から明らかなように、中接部芯材の
周縁にはビードが周設されているため、中接部表皮を中
接部芯材裏面に巻込む際、中接部パッドが潰されること
なく、ビードの形状に沿った任意の形状出しが可能とな
る。

【００１１】さらに、中接部表皮の裏面巻込み部はビー
ド内部に収容されるため、従来のように、各コーナー部
において巻込み部が厚肉とならず、したがって、トリム
本体と中接部材との間にすきが生じることがなく、木目
込み用溝部内への中接部材の周縁端末の圧入処理も簡単
に行なえる。また、中接部芯材の周縁に沿って形成され
ているビードに所定間隔毎に凹部を形成し、中接部表皮
を中接部芯材裏面に巻込む際、この凹部により中接部表
皮にシワを意識的に形成することができ、高級感を付与
できる。

【００１２】加えて、中接部芯材の周縁に形成されたビ
ードにより、中接部芯材の剛性が強化される。

【００１３】

【実施例】以下、本考案に係る自動車用内装部品の実施
例について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。

【００１４】図１は本考案を自動車用ドアトリムに適用
した実施例を示すもので、ドアトリム本体ならびに中接
部材を示す分解斜視図、図２は同自動車用ドアトリムを
示す縦断面図、図３は本考案による自動車用内装部品に
適用する中接部材の別実施例の構成を示す斜視図、図４
は本考案の更に別実施例を示す断面図である。

【００１５】図１において、本考案を適用した自動車用
ドアトリム１０は、所要形状に成形された樹脂板，複合
樹脂板からなる芯材１１の表面側にクッション性ならび
に適度の装飾性を付与する表皮材１２を一体貼着してな
るドアトリム本体１３と、このドアトリム本体１３の表
面所要箇所に装着される中接部材２０とから大略構成さ
れている。

【００１６】さらに詳しくは、上記ドアトリム本体１３
の芯材１１は、本実施例では成形性，コスト，機械強度
等を考慮して、ポリプロピレン樹脂と木粉フィラーとか
らなる複合樹脂材料を使用し、また表皮材１２として
は、ポリプロピレンフォーム，ポリエチレンフォーム等
の発泡層をＡＢＳ混入ＰＶＣシート等の樹脂シート裏面
にラミネートした積層シートが使用されている。

【００１７】そして、上記中接部材２０の構成は、サポ
ート機能を備えた金属板からなる中接部芯材２１と、こ
の中接部芯材２１の表面に積層され、適度のクッション
性を付与するポリウレタンフォーム等の中接部パッド２
２と、この中接部パッド２２の表面を被覆するととも
に、周縁端末を中接部芯材２１内面に巻込み固定される
本皮，合皮等の中接部表皮２３とから大略構成される。

【００１８】ところで、本考案の特徴は、中接部材２０
のうち中接部芯材２１の形状に工夫を加えることによ
り、中接部材２０の周縁部分の見栄えを向上させたこと
が特徴である。

【００１９】すなわち、中接部芯材２１の周縁に沿って
ビード２４が周設されており、中接部表皮２３の巻込み
処理は、このビード２４に沿って行なわれることにな
り、中接部パッド２２の厚みに対応してビード２４のビ
ード高さ（寸法高さ）を適切に設定すれば、中接部パッ
ド２２が潰れるおそれがなく、また、中接部パッド２２
のトリム形状にバラツキが生じた場合でも、凹凸が生じ
ることなく、中接部材２０の周縁部分の見栄えが向上す
る。

【００２０】さらに、中接部表皮２３は、中接部芯材２
１裏面に巻込まれるが、ビード２４の内面に接着固定さ
れるため、従来のようにコーナー部における巻込み部が
かさばることがなく、ドアトリム本体１３と中接部材２
０との間にスキが生じるという従来不具合を有効に解決
できる。

【００２１】なお、中接部材２０をドアトリム本体１３
に取付けるには、中接部芯材２１に係止爪２１ａを適宜
位置に切り起こし形成し、ドアトリム本体１３に設けた
取付孔１３ａ内に挿入したのち、この係止爪２１ａを折
曲固定すれば確実に固定されるとともに、さらに、ドア
トリム本体１３に設けられた木目込み用溝部１４内に中
接部材２０の端末を挿入することにより、さらに周縁部
分の見栄えが向上する。

【００２２】加えて、中接部芯材２１に形成されたビー
ド２４により、中接部芯材２１の剛性が強化されること
になり、変形を未然に防止できる利点もある。

【００２３】次いで、図３は本考案の別実施例を示すも
ので、この実施例によれば、中接部芯材２１の周縁に沿
って形成されているビード２４に所定間隔毎に凹部２５
を形成し、中接部表皮２３を中接部芯材２１裏面に巻込
む際、この凹部２５により中接部表皮２３にシワ２６を
意識的に形成することができ、高級感を付与できる利点
がある。

【００２４】また、図４に示す実施例は、インナーハン
ドル３０を取付けるための開口２６が中接部材２０に形
成されており、特に、この開口２６周囲にもビード２７
が形成され、このビード２７により、インナーハンドル
３０を取付ける際、中接部パッド２２の圧縮変形が防止
でき、インナーハンドル３０周囲の見栄えが良好なもの
となる。

【００２５】

【考案の効果】以上説明した通り、本考案による自動車
用内装部品は、以下に記載する格別の作用効果を有す
る。

【００２６】（１）本考案によれば、中接部芯材の周縁
にビードを周設することにより、中接部表皮を被覆する
際、中接部パッドの周縁が潰れ変形することがなく、ビ
ードの形状に沿った良好な中接部材の外観が得られ、意
匠性が向上するという効果を有する。

【００２７】（２）本考案によれば、中接部表皮を中接
部芯材周縁に沿って巻込み操作する際、中接部表皮の巻
込み部はビード内に収容されるため、内装部品に中接部
材を取付けた際、両者間にすきが生じることがなく、見
栄えが向上するとともに、ガタツキ音等の発生がなく、
静粛な走行が期待でき、しかも周縁部の美観向上のため
に中接部材の周縁端末を木目込み用溝部内に挿入するこ
とが容易に行なえるという効果を有する。

【００２８】（３）本考案によれば、中接部芯材の周縁
にビードを周設することにより、中接部材の強度を向上
させることができるという効果を有する。

【００２９】（４）本考案によれば、中接部芯材の周縁
にビードが周設され、このビードにより中接部材の周縁
形状が決定されるため、中接部パッドの寸法バラツキが
生じても、従来のようにすきが発生することがなく、中
接部材の周縁部分の見栄えを著しく向上させることがで
きるという効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を自動車用ドアトリムに適用した実施例
を示すもので、ドアトリム本体と中接部材とを示す分解
斜視図。

【図２】同自動車用ドアトリムの構成を示す縦断面図。

【図３】本考案に使用する中接部材の別実施例の構成を
示す一部切欠き斜視図。

【図４】本考案に使用する中接部材のさらに別実施例の
構成を示す断面図。

【図５】従来の自動車用ドアトリムを示す斜視図。

【図６】図５中VI−VI線断面図。

【符号の説明】

１０ 自動車用ドアトリム １１ 芯材 １２ 表皮材 １３ ドアトリム本体 １４ 木目込み用溝部 ２０ 中接部材 ２１ 中接部芯材 ２２ 中接部パッド ２３ 中接部表皮 ２４，２７ ビード ２５ 凹部

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 所要形状に成形された芯材（１１）と、
   この芯材（１１）の表面側に一体貼着された表皮材（１
   ２）とからトリム本体（１３）が構成され、このトリム
   本体（１３）の表面適宜位置に中接部材（２０）を装着
   してなる自動車用内装部品において、 前記中接部材（２０）は、中接部芯材（２１）の表面側
   を中接部パッド（２２）、中接用表皮（２３）により被
   覆して構成されるとともに、上記中接部芯材（２１）の
   周縁に沿ってビード（２４）が周設されるとともに、中
   接部表皮（２３）を中接部芯材（２１）周縁に沿って巻
   込み処理し、中接部材（２０）の周縁端末をトリム本体
   （１３）の木目込み用溝部（１４）内に挿入したことを
   特徴とする自動車用内装部品。
2. 【請求項２】 所要形状に成形された芯材（１１）と、
   この芯材（１１）の表面側に一体貼着された表皮材（１
   ２）とからトリム本体（１３）が構成され、このトリム
   本体（１３）の表面適宜位置に中接部材（２０）を装着
   してなる自動車用内装部品において、 前記中接部材（２０）は、中接部芯材（２１）の表面側
   を中接部パッド（２２）、中接部表皮（２３）により被
   覆して構成され、上記中接部芯材（２１）の周縁に沿っ
   てビード（２４）が周設されるとともに、該ビード（２
   ４）の適宜間隔毎に凹部（２５）が形成され、この凹部
   （２５）に沿って中接部表皮（２３）の周縁部形状が規
   制されることを特徴とする自動車用内装部品。