JPH0380096B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、自動車のドアートリム、クオータ
ートリム等の車両用内装材、又は屋内の壁装等に
使用する内装材およびその製造方法に関し、特に
は装飾又は触感向上の為に布類等通気性層を表面
層とするオーナメントをその一部に有する内装材
およびその製造方法に関する。

以下、説明の便宜上、自動車の内装材であるド
アトリムを例にとり説明するが、これに限るもの
ではない。

近年、自動車において車内の居住性向上が一段
と図られており、その一としてドアトリム等内装
材本体１の一部表面に装飾又は触感向上の為布類
等を表面層とするオーナメント部材２の使用が試
みられている。

ところで、従来このオーナメント部材２は通常
内装材本体１とは別個に製造され、車体（例えば
ドア）組立時に取付けられることが多い。その
為、このオーナメント部材２は、第２図に示す如
く通常予め所定形状に形成され、その一面に係止
爪等の取付手段３を設けたボード、鉄板等の剛性
を有する基材４に、クツシヨン材５および表皮６
を積層したものが多用されている。

しかし、かかるオーナメント部材２は前記した
如く、取付手段３をその剛性基材４裏面に設けて
おく必要があり、その為鉄板等の部材をその基材
４としなければならなく、又その取付は内装材本
体１の表面に積層固着するものであるから、その
端縁は巻き込み等の加工を必要とし、オーナメン
ト部材２自体の製造に数多の工数を必要とし、重
量的にもかなり過重のものとなつている。更に
は、このオーナメント部材２を内装材本体１に固
着する必要があり、内装材本体そのものの構成も
その取付構造に合つた構成としなければならず、
構造が複雑化するきらいを免れえなかつた。又総
合的に見れば前記の如く工数的に多大な工程を必
要としており、その改善が望まれていた。

よつて、本発明はこのような点に鑑みなされた
ものであつて、その目的とするところは、オーナ
メント部材を一体に固着した新規な内装材、およ
びかかる内装材の製造方法を提供しようとするも
ので、その要旨とするところは、積層品のオーナ
メント部材の端縁を内装材本体の表面層で被覆し
た構成の内装材、およびオーナメント部材の少く
とも一の表面層を通気性層とし、該オーナメント
部材を真空成形型上に載置し、然後内装材本体の
表面層を形成する熱可塑性シートを成形する時、
該オーナメント部材の端縁を一体に被覆成形する
内装材の製造方法にある。

本発明を実施例に基いて説明するに、第３図は
本発明内装材に使用したオーナメント部材１０の
断面図であり、基材層１１、中間層１２および表
面層１３とから構成されている。基材層１１はオ
ーナメント部材１０を保形支持するためのもので
あり、板紙、プラスチツク板等比較的薄層で剛性
を有し、且つ軽量の非通気性又は難通気性のシー
ト状材料からなつている。中間層１２はオーナメ
ント部材１０に所望の緩衝性又は感触等を付与す
るためのものでもあり、不織布、プラスチツク発
泡体、（好ましくは連続気泡構造の発泡体、例え
ば軟質ウレタンフオーム等の発泡体）又はゴム弾
性体等好ましくは通気性構造のものから構成され
る。尚この中間層１２はオーナメント部材１０に
要求される性質によつて設計選択されるものであ
り、目的によつては２層以上の層から構成しても
よいし、或いはこの中間層を設けなくてもよい。
表面層１３はオーナメント部材１０をより美麗に
或いは感触を向上させるためのものであり、通
常、布或いは細孔を多数穿つた植毛プラスチツク
フイルム等の通気性を有するものから構成されて
いる。

そして、これらはこの順序で積層或いは貼着さ
れていると共に少くともその端縁部１４において
全体の厚みを減ずるように圧着されている。従つ
て、通常端縁部近傍は図示する如くなだらかな曲
面を形成している。この圧着は端縁部分に限られ
るものではなく、オーナメント部材１０の適宜位
置に施し模様等を形成してもよいものである。又
表面層１３は前記した如く美観を生じさせるもの
でもあるから任意の模様或いは着色がされていて
もよいことは云うまでもない。

次に、このオーナメント部材１０を一部表面に
有する内装材およびその製造方法について説明す
る。

第４図は、真空成形型２１、オーナメント部材
１０、および内装材の表面層となる熱可塑性シー
ト２２を含む縦断面図であり第５図、第６図は成
形の途中を示す要部拡大断面図である。真空成形
型２１には内装材の表面形状を規定する形状、模
様等がその表面に設けられており、且つその表面
所要位置に背面の気室２３或いは真空ポンプ（図
示せず）に連接する多数の細孔２４（第５図およ
び第６図参照）が設けられている。

この真空成形型２１の所望位置に、前記のオー
ナメント部材１０がその表面層１３を型表面２５
に接するように載置される。尚、前述の如くオー
ナメント部材１０はその端縁部１４において厚み
を減ずるように圧着されている為、その端縁近傍
と型表面２５との間に僅かながら空間２６が形成
されている。

内装材の表面層となるプラスチツクの熱可塑性
シート２２は、その両端においてクランプ２７に
よつて挟着支持されている。尚この熱可塑性シー
トは真空成形、圧空成形、又は真空圧空成形（以
下総称して真空成形といい、本文中において成形
又は真空成形と云う場合、圧空成形が併用される
場合も含むものである。）が可能なものであれば
よく、例えば塩化ビニルシート、ABS樹脂シー
ト等の単一プラスチツクシートー、若しくはこれ
らと軟質ウレタンフオーム、ポリエチレンフオー
ム等の発泡体との積層体、又はこれらに植毛を施
したものが使用される。説明図にはプラスチツク
シート２８と発泡体２９との積層品を示す。

このような状態において、内装材の表面層を構
成する熱可塑性シート２２が加熱軟化され、次い
で前記オーナメント部材１０を載置した型２１に
よつて真空成形される。この時、オーナメント部
材１０を有しない型表面２５においてはその表面
形状に該熱可塑性シート２２が吸引成形され、オ
ーナメント部材１０を有する部分においては該部
材の裏面３０に吸着される様にして密着すると共
に該部材の端縁においては成形される熱可塑性シ
ート２２が前記空間２６内に吸引成形されオーナ
メント部材の端縁を巻込むようにして被覆するこ
ととなる。（第６図参照） なんとなれば、オーナメント部材の表面層は布
等の通気性層で形成されているため、前記空間２
６の空気はオーナメント部材下の細孔２４によつ
て吸引され減圧とされるからである。尚、オーナ
メント部材１０の基材層１１が非通気性又は難通
気性であれば、より前記空間２６を減圧にするた
め、成形されるシートの巻込み被覆が良好とな
る。又中間層１２が連続気泡の発泡体等（即、通
気性構造のもの）からなる場合には、空間２６に
面する表面層１３においてより強く熱可塑性シー
ト２２を表面層側に吸引し、表面層１３を構成す
る布の織目等に喰い込むようにして被覆されるこ
ととなる。これらの場合、オーナメント部材１０
はその表面層側が減圧になることから、その全体
の厚みを減ずるようにして型表面２５に吸着され
るが、成形後には復元するため端縁部分において
より熱可塑性シートの被覆部３１と密着すること
となる。

又、ここにおいてこのオーナメント部材１０の
基材層裏面３０、即、熱可塑性シートの接合面に
予め接着剤等が塗布されていても良い。その場合
には、端部部分の巻込み被覆に加え、オーナメン
ト部材１０そのものが成形される熱可塑性シート
２２の表面に貼着され、支承されることとなる。
尚基材層１１が熱可塑性シート２２と相溶性の良
い材質からなる場合は、接着剤なしで溶着される
こととなる。

第７図に成形後の内装材の要部断面図が示され
る。同図から明らかなように、オーナメント部材
１０の端縁部分が成形された熱可塑シート２２に
被覆されている。

第８図は、他の実施例を示す真空成形型２１′
の要部拡大断面図である。該型にはオーナメント
部材１０′をその端縁近傍で支承する突条３２が
設けられており、オーナメント部材１０′の端縁
と型表面の間に所望の空間２６′を形成するよう
にされている。尚この場合には突条３２の根元に
細孔２４′を適宜間隔をおいて設けておくのが好
ましい。

この実施例については重複を避けるため、説明
を省略するが、前記実施例と同様に行われる。尚
前記の説明からも明らかなように空間２６′が確
実に形成されるため、よりオーナメント部材１
０′の端縁が熱可塑性シートにより巻き込み被覆
されることは容易に理解できるであろう。この実
施例の更なる利点は成形された熱可塑性シートの
被覆端縁が突条３２によつて形成される為所望の
直線状又は曲線状が得られることであり、又突状
３２の高さを変えることにより、オーナメント部
材１０′を内装材表面の任意の高さに位置させう
ることである。

このようにして製造された、オーナメント部材
１０，１０′を有する内装材は、そのまま、或い
は必要に応じて更に内装材裏面にクツシヨン層、
補強材等（図示せず）を貼着等して使用に供され
る。

本発明内装材は以上述べる如く、オーナメント
部材の端縁が内装材の表面層（熱可塑性シート）
によつて一体に巻き込み被覆されてなるため、そ
の被覆縁部が美麗であると共に、軽量且つ工数、
工程を減らした内装材として極めて有用なるもの
である。又本発明の内装材の製造方法は、オーナ
メント部材として軽量な基材層、所望の中間層お
よび表面層の積層体を適宜形状に切出して使用で
き、又係止爪等の機械的固着手段を用いることな
くオーナメント部材を内装材本体に固着できるも
のであるから、従来の複雑且つ数多の工数を省略
或いは節減できるものである。更には内装材その
ものを軽量化することができ自動車のドアトリム
等として好適なものを提供できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１は、ドアトリムを内側から見た斜視図、第
２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は本発明
におけるオーナメント部材実施例の断面図、第４
図ないし第６図は本発明の製造方法を示す要部断
面図、第７図は成形した内装材のオーナメントを
含む拡大断面図および第８図は他の製造方法実施
例を示す要部断面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ オーナメント部材を表面に有する内装材にお
   いて、該オーナメント部材の少くとも一の表面層
   が通気性を有する層からなり、且つその端縁が内
   装材本体の表面層によつて被覆されていることを
   特徴とする内装材。 ２ オーナメント部材が表面層を含み少くとも２
   層の通気性層からなる特許請求の範囲第１項記載
   の内装材。 ３ オーナメント部材が少くとも一層の非通気性
   の層又は難通気性の層を有する特許請求の範囲第
   １項又は第２項記載の内装材。 ４ オーナメント部材の裏面が内装材本体の表面
   層に接着又は溶着されてなる特許請求の範囲第１
   項ないし第３項のいずれか１項に記載の内装材。 ５ 少くとも表面層に通気性層を有するオーナメ
   ント部材を予め真空成形型上に載置し、然後熱可
   塑性シートを真空成形することにより本体表面層
   を成形すると同時にオーナメント部材の端縁を該
   成形シートによつて被覆する、オーナメント部材
   を表面に有する内装材の製造方法。 ６ 真空成形型上にオーナメント部材を支承する
   戻部を有する特許請求の範囲第５項記載のオーナ
   メント部材を表面に有する内装材の製造方法。