JPH0475810B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は自動車の内装材の製造方法に関し、
特には織布等からなるオーナメントを内装材表面
に固着する内装材の製造方法に関する。

近年、ドアトリムに代表される自動車用内装材
はアームレスト等の内装品をその一部に一体に形
成した、所謂一体成形内装材が多用される傾向に
ある。

（従来の技術） ところで、この様なアームレスト等を一体に形
成するには、内装材の一部を膨出する等して形成
する必要があるため、通常その表面層は成形可能
な一の素材で構成される。そして、その素材とし
て多用されているのは軟質塩化ビニルからなる擬
革である。

しかし、この擬革単体のみでは装飾性に乏しく
又その感触も冷たい等のきらいが有り、アームレ
スト近辺等手が触れる機会の多い部位には織布等
手触りの良いものの装着が臨まれている。

なお、一部には織布等の表面材を有するオーナ
メントが貼着或いは固着されているが、この貼着
等は一体成形ドアトリムの成形後、後工程で行う
必要が有る等工数上好ましいものとは云えなかつ
た。

そこで、本出願人は先に特願昭59−42050号に
おいて織布等のオーナメント部材をドアトリムの
成形時に固着する内装材の製造方法を提案した。

その概要は、織布等の表面材を有するオーナメ
ント部材を真空成形型の所定位置に載置してお
き、内装材の表面層となる合成樹脂シートを前記
オーナメント部材の上から真空成形等によつて成
形することにより、オーナメント部材の周縁を合
成樹脂シートで巻込むように被覆固着する方法で
ある。

（発明が解決しようとする問題点） しかしながら、この方法において次の様な不具
合が生じ易いことが判明した。

例えば、ドアトリムの感触を向上させるために
オーナメントの表面材として起毛等を施した毛足
の長い織布、編物等を使用した場合、その成形時
に起毛等による毛足が毛倒れを起こし、その復元
度が小さいことである。

その原因は、合成樹脂シートの真空成形等によ
る吸引押圧力によつてオーナメント部材が型面に
密着するように圧接されること、および合成樹脂
シートが成形可能な温度に加熱されていること、
並びに成形の繰り返しによつて型表面が相当の高
温に加温されていること、すなわち、オーナメン
ト部材表面の織布等が型と合成樹脂シートの間に
強く挟着されると共に該織布が加熱される所謂ヒ
ートセツト現象によるものと推定される。

よつて本発明は、かかる織布等の毛倒れが生じ
難い新規な内装材の製造方法を提供しようとする
ものである。

（問題点を解決するための手段） 本発明の要旨とするところは、織布、植毛等毛
足を有するものを表面材として有するオーナメン
ト部材を真空成形型上に載置し、然後熱可塑性合
成樹脂シートを真空成形することにより本体表面
層を成形すると同時にオーナメント部材を該表面
層上に固着する内装材の製造方法において、オー
ナメント部材載置面の減圧度を他部より小としな
がら真空成形し、オーナメント部材が型面に圧接
されるのを軽減すると共に前記減圧度を小とする
ための気流によつてオーナメント部材表面を冷却
することを特徴とするところにある。

本発明を図に基いて説明するに、第１図は型上
にオーナメント部材を載置した状態の拡大断面図
であり、第２図は内装材を成形する前の真空成形
型、オーナメント部材および合成樹脂シート夫々
の位置関係を示す合体側面図である。

なお本実施例においては、ドアトリムの例を示
す。また本明細書において真空成形なる語は、真
空成形および真空と圧縮空気を併用する真空圧空
成形を包含する語を意味する。

真空成形型１０は、その上面にドアトリム表面
の形状を規定するキヤビテイ１１が設けられてい
る。そのキヤビテイ面の所定位置には後述するオ
ーナメント部材２０の支承用突起又は壁１２が立
設されていると共に裏面に通ずる細孔１３，１３
ａが多数設けられている。その中、真空成形用の
吸引孔として作用する細孔１３は夫々又は一体化
され、弁１４を介して真空ポンプ（図示せず）に
連結されており、前記支承用突起又は壁１２に囲
まれるオーナメント載置部分の細孔１３ａは別の
弁１４ａを介して外気に開放又は圧縮ポンプ（図
示せず）に連結されている。なお前記の支承用突
起又は壁１２によつて囲まれる部分にはオーナメ
ント部材全体を支承するための針状突起（図示せ
ず）を所望数立設しておいてもよい。

オーナメント部材２０は、少なくとも表面材２
１と裏打材２２とからなる。表面材２１は織布、
編布又は植毛層等の感触に優れる装飾材からな
り、起毛等を施したものが好適である。裏打材２
２は前記織布等の表面材２１を所定の形状に保持
するためのものであり、プラスチツクシート、ハ
ードボード又は金属板等の適度の剛性を有するも
のからなる。なおこの両者の間に軟質ポリウレタ
ンフオーム等のクツシヨン材２３を介装してもよ
い。これら表面材２１、裏打材２２及び要すれば
クツシヨン材２３は積層され、その周縁において
厚みを減ずるように圧着されている。

合成樹脂シート３０は、第３図に示す内装材４
０の表面層４１を形成するためのものであり、軟
質塩化ビニルを主体とする真空成形可能なシート
状物からなつている。なおこのシート３０は、真
空成形を限定しない他材質の層、例えば発泡ポリ
エチレンシート等と積層されていてもよいもので
ある。

次に、本発明の工程を説明する。

先ず、真空成形型１０のキヤビテイ内の所定位
置にオーナメント部材２０をその表面材２１がキ
ヤビテイ面に対向するように載置する。このとき
オーナメント部材２０の周縁が支承用突起又は壁
１２から所定量はみ出すように載置するものであ
る。

次いで、加熱した合成樹脂シート３０を前記オ
ーナメント部材２０の上に被覆するようにして、
真空成形する。このとき圧縮ポンプ又は大気に連
結された細孔１３ａから僅かにキヤビテイ内に空
気が流入するようにして成形する。他方、真空ポ
ンプに連結された細孔１３からは勿論キヤビテイ
上面の空気を吸引するものである。なお、この真
空成形時、初期の段階において圧縮ポンプに連結
する細孔１３ａから殆ど空気が流入しないように
弁１４ａを閉鎖又は絞つておき、次いで空気が流
入するように調節するのが好ましい。さすれば、
初期の成形時においてオーナメント部材２０下面
のキヤビテイも減圧となり、加熱された合成樹脂
シート３０が第１図の破線で示すようにオーナメ
ント部材２０周縁を巻き込むようにして被覆する
と共に所定の内装材表面形状に賦形される。それ
に続いてオーナメント部材２０下面の細孔１３ａ
から流入する空気によつて織布等の表面材２１と
その載置面との間が他の一般成形面より気圧が高
くなり、すなわち減圧度が小となり、オーナメン
ト表面材２１の型面への圧接が解放されるように
して阻害される。又それにともなつて表面材２１
表面の熱気が真空ポンプ側の方へ吸引され、外気
が該表面へ供給されるので表面材が常に冷却され
るようにして内装材表面層が成形される。このと
きオーナメント部材載置面に針状突起が立設して
あれば表面材２１がそれによつて支承され、すな
わち表面材２１と型面との間に空間を形成しより
気流の流れが改善される。

このようにしてオーナメント部材２０と一体に
成形された内装材表面層４１は、然後その裏面へ
ガラスマツト等の補強材を載置し、硬質ポリウレ
タンフオーム等の液状原料を注入し、発泡成形さ
れる。なおこの場合、真空成形型１０を発泡成形
型の一方の分割型として使用してもよい。又前記
の成形されたオーナメント部材付の表面層１１は
別個に加工又は成形された芯材等に被覆固着して
ドアトリム等の内装材とすることもできるもので
ある。

（効果） 本発明は以上の如く、オーナメント部材を内装
材表面層の真空成形時に一体とする内装材の製造
方法において、オーナメント部材下面の減圧度を
他部より小としながら成形するものであるから、
その表面材が型に圧接される度合は小さく、又圧
接されても直ぐに解放されるものである。また、
該表面材の下面の熱気が他部の一般成形面下の細
孔に吸引され、そこに外気が流入するものである
から表面材表面は常に冷却作用を受ける。従つ
て、前記表面材が毛足の長い織布、植毛等からな
るもものであつても従来の如きヒートセツト現象
を殆ど防止しうる効果を有し、織布等の風合を維
持しうるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は内装材表面層の成形時要部拡大断面
図、第２図は内装材表面層の成形前全体正面図、
第３図はドアトリムの斜視図である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 織布、植毛等毛足を有するものを表面材とし
   て有するオーナメント部材を真空成形型上に載置
   し、然後熱可塑性合成樹脂シートを真空成形する
   ことにより本体表面層を成形すると同時にオーナ
   メント部材を該表面層上に固着する内装材の製造
   方法において、オーナメント部材載置面の減圧度
   を他部より小としながら真空成形することを特徴
   とする内装材の製造方法。