JP2557344B2 - 無機水酸化物沈澱の処理方法 - Google Patents

無機水酸化物沈澱の処理方法

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【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、無機水酸化物沈殿の処理方法に関し、さら
に詳しくは、無機水酸化物沈殿を乾燥し、仮焼して得ら
れる焼結原粉をさらに高温で焼結して得られる焼結体で
ある機能性セラミックスなどを製造する際に好ましく用
いられる、均質な構造を有するとともに微細な粒径を有
するような焼結原粉の原料となる無機水酸化物沈殿の処
理方法に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 無機系微粉体を室温程度の低温で成形し、次いで高温
で焼成して微粒子間に結合を起こさせて形状を固定した
焼結体を、一般にセラミックスと呼んでいる。このセラ
ミックスは、近年に至って、原料である無機系微粉体の
純度を高めるとともに粉体の粒径を細かくし、しかも焼
成法を制御することによって、高純度物質のもつ優れた
特性を引出すことが可能となり、電子材料を始めとする
各種の分野での利用が試みられている。
たとえば、ペロブスカイト構造を有するPb・La・(Zr
・Ti)O3系複合酸化物は、透光性の機能性セラミックス
であって、オプトエレクトロニクスにおける光シャッ
タ、光バルブ、画像蓄積装置、表示装置などとしての用
途が期待されている。
このような機能性セラミックスは、従来、乾式法また
は湿式法によって製造されてきた。このうち乾式法で
は、機能性セラミックスを構成する個々の成分化合物ま
たはそれに対応する化合物を混合し、これを焼結するこ
とによって機能性セラミックスを製造してきた。ところ
がこの乾式法では各成分を均一組成に混合することは困
難であり、また各成分間での固相反応を完全に行なわし
めるためには焼結温度を高くしなければならないという
問題点があった。一方、湿式法では、上記のような問題
点はないが、機能性セラミックスを構成する化合物に対
応する化合物を微細で均一な粒径に予め沈殿法により調
製しなければならず、しかもこの際できるだけ均質な構
造を有するようにすることが好ましく、このような均質
は構造を有ししかも微細で均一な粒径への調製は現状に
おいても充分には達成することはできなかった。もし、
機能性セラミックスを構成する化合物に対応する化合物
を均質な構造を有ししかも微細で均一な粒径に調製しな
ければ、得られる機能性セラミックスはその特性にばら
つきが生じたり、充分な機能を果たし得ないという大き
な問題点が生じてしまう。
本発明者らは均質な構造を有し、しかも微細で均一な
粒径を有する前記した焼結原粉の原料となる無機水酸化
物沈殿を形成すべく鋭意研究したところ、沈殿として反
応系から分離された無機水酸化物を、水と炭素数1〜4
の低級脂肪族アルコールまたは炭素数1〜4のケトン類
である極性有機溶媒との混合物と接触させると、構造欠
陥が認められない均質な構造を有する微粉末の焼結原粉
の原料となる無機水酸化物が得られることを見出して本
発明を完成するに至った。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴なう問題点を解
決することを目的としており、機能性セラミックスなど
を製造する際に有用である、均質な構造を有するととも
に微細で均一な粒径を有する焼結原粉の原料となる無機
水酸化物の沈殿を形成するための方法を提供することを
目的としている。
発明の概要 本発明に係る無機水酸化物沈殿の処理方法は、沈殿と
して得られた無機水酸化物を新たな水と炭素数1〜4の
低級脂肪族アルコールまたは炭素数1〜4のケトン類で
ある極性有機溶媒との混合物と接触させて均質な構造を
有する無機水酸化物を得ることを特徴としている。
本発明では、沈殿として得られた無機水酸化物を新た
な水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭素
数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物と接
触させているため、この無機水酸化物を乾燥し、仮焼し
て得られる機能性セラミックスなどの原料となる焼結原
粉は構造欠陥が認められない均質な構造を有するように
なる。
また、本発明では無機水酸化物の沈殿形成反応時に反
応系に超音波照射を行ない、次いで得られた無機水酸化
物沈殿を新たな水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコー
ルまたは炭素数1〜4のケトン類である極性有機溶媒と
の混合物と接触させると、均質な構造を有するとともに
微細で均一な粒径を有する焼結原粉の原料となる無機水
酸化物が得られる。
発明の具体的説明 以下本発明に係る無機水酸化物沈殿の処理方法につい
て具体的に説明する。
本発明では、沈殿として得られた無機水酸化物を新た
な水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭素
数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物と接
触させることを特徴としているが、沈殿としての無機水
酸化物を得るには、従来公知の方法が広く用いられう
る。たとえば、硝酸塩など金属塩類の水溶液にアルカリ
などの沈殿剤を加えて無機水酸化物の沈殿を得ることが
できる。また、沈殿剤に用いるアルカリ成分含有溶液
に、金属塩類の水溶液を加える方法などを用いることも
できる。この場合、金属塩類の水溶液としては、(a)
構成金属塩を全部含有するもの、(b)複数金属塩に分
割して水溶液としたもの、(c)あるいは各々単一金属
塩水溶液としたもの、のいずれの態様を用いても良い
が、以下に特に説明するPLZT系ペロブスカイトの場合は
(b)の態様を用いるのが好ましい。
沈殿形成反応の具体的内容としてPb・La(Zr・Ti)O3
系について述べると、(a)の全金属塩を有する水溶液
としては、鉛、ランタン、ジルコニウムの硝酸塩および
チタンのアルコキシドを水に加えた後、濃硝酸を所定量
加えて均一な水溶液とすることにより鉛、ランタン、ジ
ルコニウム、チタンイオンを含む水溶液を調製する方法
を、また水溶液を多分割する(b)の場合としては、
鉛、ランタン、ジルコニウムの硝酸塩を溶解した水溶液
と、四塩化チタンを溶解した水溶液から成るものを例示
することができる。
本発明の方法を適用するのに特に好ましいペロブスカ
イト化合物とは、A2+B4+O3(A:酸素12配位の+2価の金
属元素の1種または2種以上を示す。B:酸素6配位の+
4価の金属元素の1種または2種以上を示す。)の一般
式で示される金属酸化物であって、具体的には次のよう
な成分からなる化合物である。
A:Pb,Ca,Sr,Ba,Laなどの希土類元素 B;Ti,Zr,Mg,Hf,W,Sc,Nb,Ta,Cr,Mo,Fe,Co,Ni,Zn,Al,Snな
ど。
本発明では該ペロブスカイト化合物として具体的に
は、Pb・La(Zr・Ti)O3、Pb(Zr・Ti)O3、BaTiO3など
を例示できる。
上記のような無機水酸化物沈殿を形成する際に用いら
れる金属塩類としては、硝酸塩のほかに、オキシ硝酸
塩、硝酸塩、酢酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、オキシ塩化
物、塩化物などが広く用いられる。
沈澱剤としてはアルカリが主として用いられるが、具
体的には、アンモニア、炭酸アンモニウム、苛性アルカ
リ、炭酸ナトリウムなどが用いられ、場合によってはオ
キシン、アミンなどの有機塩基が用いられてもよい。
溶媒としては主として水が用いられるが、メタノー
ル、エタノールなどの低級アルコールを用いてもよく、
また水と低級アルコールとの混合溶媒を用いてもよい。
無機水酸化物沈殿を形成する際には、反応系である水
溶液を攪拌しながら行なうことが好ましい。
本発明では、無機水酸化物の沈殿形成反応時に、反応
系である水溶液に超音波照射を行なうことが好ましい。
超音波の振動数は、10〜100KHz好ましくは15〜50KHzで
ある。無機水酸化物の沈殿形成反応時に超音波照射を行
なうことによって、得られる無機水酸化物沈殿は微細と
なり、しかも均一となるという効果が認められる。
なお、従来分散系に超音波を照射することによって固
体粒子が液体中に細かく分散される現象、あるいは種々
の溶液反応に超音波を照射することによって化学反応が
促進される現象は認められていたが、無機水酸化物の沈
殿生成反応時に超音波照射を行なうことによって、極め
て微細でかつ均一な粒径を有する粒子が得られることは
知られていなかった。
本発明での無機水酸化物の沈殿生成反応は、通常0〜
100℃好ましくは10〜50℃の温度範囲で行なわれ、反応
時間は0.01〜10時間好ましくは0.1〜1時間である。ま
た、上記沈殿生成反応は、一段で行なってもよく、場合
によっては多段で行なってもよい。このようにして形成
された無機水酸化物の沈殿は、濾過、遠心分離等の通常
手段によって沈澱形成反応の際に用いた溶媒からなる反
応系から沈澱として分離することができる。
次にこのようにして得られた無機水酸化物沈殿を、新
たな水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭
素数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物と
充分に接触させる。
無機水酸化物沈殿と接触させる際して用いられる極性
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロ
パノール、イソプロパノール、ブタノールなどの炭素数
1〜4の低級脂肪族アルコール、アセトン、メチルエチ
ルケトンなどの炭素数1〜4のケトン類が用いられる。
またこれらの極性有機溶媒の混合物を用いることができ
る。
水と極性有機溶媒との混合物割合に関しては、水100
重量部に対して、極性有機溶媒は10〜1000重量部好まし
くは20〜200重量部の量で用いられる。極性有機溶媒が
水100重量部に対して10重量部未満の場合および1000重
量部を越えた場合には、焼結原粉の構造が乱れる傾向を
示し(粉末X線回折で分析した場合に構造の乱れが認め
られる)、そしてこのような焼結原粉を用いて得られる
焼結体の透光性等の物性は通常低下するので好ましくな
い。
このようにして、無機水酸化物を、新たな水と炭素数
1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭素数1〜4のケ
トン類である極性有機溶媒との混合物と充分に接触させ
ると、構造欠陥が認められない均質な構造を有する焼結
原粉の原料となる無機水酸化物が得られる。
この理由としては、明らかではないが次のように推定
される。すなわち、反応系から得られた無機水酸化物を
水と接触させることにより洗浄する場合には、沈澱物の
粒子どうしが水分子を両者の間に介在させて水素結合力
によってかなり強く引きつけあっているので、沈澱形成
反応の際に使用した金属の硝酸塩、ハロゲン塩などに由
来するNO3 2-、Cl-などの不純物イオンは、沈澱物粒子の
間に閉じ込められて容易に外へ出ることができなくなっ
たり、あるいは金属にリガンドとして配位したままで容
易に外れない状態となる。そのためにこの無機水酸化物
を水と接触させても不純物は容易には除去されず、した
がって、これを乾燥、仮焼して得られる焼結原粉には構
造的な乱れが生ずる。一方、反応系から得られた無機水
酸化物を新たな水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコー
ルまたは炭素数1〜4のケトン類である極性有機溶媒と
の混合物と接触させると、沈澱物粒子間に水分子以外に
極性有機溶媒が存在しており、この極性有機溶媒は、沈
澱物粒子を水はどには強く引きつけあわせないため、沈
澱物粒子どうしでの結合力が低下し、そのために不純物
イオンの取り込みも少なくなると同時に、沈澱物粒子の
径も均一で微細なものになりやすいためであろう。
無機水酸化物と、新たな水と有機溶媒との混合物との
接触は、0〜80℃の温度で0.1〜10時間行なわれること
が好ましい。具体的には反応系から分離した沈澱物のケ
ーキを、別途に用意した新たな水と炭素数1〜4の低級
脂肪族アルコールまたは炭素数1〜4のケトン類である
極性有機溶媒との混合物に入れて攪拌し、濾過する操作
を数回繰り返す方法、あるいは無機水酸化物含む反応系
から溶媒を傾しゃ法により除去した後、この無機水酸化
物に新たな水と極性有機溶媒との混合物を入れ、この操
作を数回繰り返す方法などが例示できる。
このようにして新たな水と極性有機溶媒との混合物と
接触された無機水酸化物は、次いで50〜200℃程度の温
度で1〜30時間乾燥された後、500〜900℃の温度で1〜
10時間仮焼され、次いで850〜1300℃までの温度で焼結
されて、たとえば機能性セラミックスなどの所望の製品
に仕上げられる。
仮焼温度は上述のように500〜900℃であるが、仮焼温
度が500℃未満では焼結時に脱ガス反応などが起こるこ
とがあり、また得られる機能性セラミックスの嵩密度が
低くなるため好ましくない。一方仮焼温度が900℃を越
えると粒子が粗大化して焼結性が低下するため好ましく
ない。
このようにして得られた粒子を成形後焼結するが、焼
結温度は上述のように850〜1300℃である。焼結温度が8
50℃未満では焼結が不充分であり、一方1300℃を越える
と成分の一部が飛散して多孔質化するため好ましくな
い。
本発明に係る無機水酸化物沈殿の処理方法によれば、
沈殿した無機水酸化物を乾燥し、仮焼して得られる焼結
原粉を構造欠陥が認められない均質な構造とすることが
できるため、かかる微細粒径からなる焼結原粉の粉体を
焼結して得られる焼結体の透光性などの物性は、従来法
によって得られるものに比べて優れている。本発明に係
る無機水酸化物沈殿の形成方法は、PLZTと呼ばれるペロ
ブスカイト構造を有するPb・La・(Zr・Ti)O3系の透光
性セラミックスの原料粉末の製造に際して特に有用であ
る。
発明の効果 本発明では、沈殿として得られた無機水酸化物を新た
な水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭素
数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物と接
触させているため、得られる無機水酸化物を乾燥し、仮
焼して得られる焼結原粉は構造欠陥が認められない均質
な構造とすることができる。
また本発明では、無機水酸化物の沈澱形成反応時に反
応系に超音波を照射した後、反応系から得られた無機水
酸化物を新たな水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコー
ルまたは炭素数1〜4のケトン類である極性有機溶媒と
の混合物と接触させると、構造欠陥が認められない均質
な構造を有するとともに、微細で均一な焼結原粉の原料
となる無機水酸化物を得ることができる。
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれ
ら実施例に限定されるものではない。
実施例 1 硝酸鉛14.9g、硝酸ランタン1.46g、オキシ硝酸ジルコ
ニウム7.35gを溶解した水溶液400mlを調製し、この液を
攪拌下に6Nアンモニア水1.5リットル中に滴下して沈殿
物を作った。この沈殿物含有水溶液に四塩化チタン3.25
gを含有する水溶液を滴下し、鉛、ランタン、ジルコニ
ウム、チタンの水酸化物を得た。
得られた沈殿物を、水−エタノール混合溶媒(混合割
合、容積比50:50)と充分に接触させた後、すなわち、
反応系から分離した沈澱物のケーキーを別途に用意した
新たな水と極性有機溶媒との混合物に入れて攪拌し、濾
過する操作を4回繰り返して無機水酸化物沈澱を洗浄し
た後、120℃で1時間乾燥後、750℃で1時間仮焼してPb
0.91La0.09(Zr0.65Ti0.350.978O3の組成の粉末を得
た。このPLZT粉末を粉末X線分析(XRD)し、このスペ
クトルを第1図に示す。このスペクトルから、2θ=31
゜付近のメインピークあるいは他のピークには、スプリ
ット(分裂)が認められず、得られたPLZT粉末は構造的
に欠陥がなく均質であることがわかる。なお得られたPL
ZT粉末の平均粒径は、マイクロトラック粒度分析計で測
定したところ、1μmであった。
比較例 1 実施例において、得られた沈殿物を水−エタノール混
合液と接触させる代わりに、水(比較例1)のみと接触
させた以外は、実施例1と同様にしてPb0.91La0.09(Zr
0.65Ti0.350.978O3仮焼粉末を得た。
この粉末を実施例1と同様に粉末X線分析し、このス
ペクトルを第2図に示す。
このスペクトルから、2θ=31゜付近のメインピーク
あるいは他のピークには、スプリット(分裂)が認めら
れ、得られたPLZT粉末には構造的な乱れがあることがわ
かる。
比較例 2〜5 実施例1において、得られた沈殿物を水−エタノール
混合液と接触させる代わりに、エタノール(比較例2)
のみ、メタノール(比較例3)のみ、イソプロパノール
(比較例4)のみおよびアセトン(比較例5)のみを用
いた以外は、実施例1と同様にしてPLZT仮焼粉末を得
た。
この粉末を実施例1と同様に粉末X線回析したとこ
ろ、いずれの比較例においても第2図に示すスペクトル
と同一なスペクトルを与えた。
このスペクトルから、2θ=31゜付近のメインピーク
あるいは他のピークには、スプリット(分裂)が認めら
れ、得られたPLZT粉末には構造的な乱れがあることがわ
かる。
実施例 2〜4 実施例1において、得られた沈殿物を水−エタノール
混合液と接触させる代わりに、水−メタノール混合溶媒
(混合割合 容積比50:50、実施例2)、水−イソプロ
パノール混合溶媒(混合割合、容積比50:50、実施例
3)および水−アセトン混合溶媒(混合割合 容積比5
0:50、実施例4)を用いた以外は実施例1と同様にして
PLZT粉末を調製し、粉末X線分析した。
得られた粉末X線分析チャートは、いずれも第1図と
全く同様であり、PLZT粉末は構造的に欠陥がなく均質で
あった。
実施例 5〜6 実施例1において、水−エタノール混合液の水とエタ
ノールとの混合比を80/20(容積比 実施例5)あるい
は20/80(容積比 実施例6)とした以外は、実施例1
と同様にしてPLZT仮焼粉を得た。
この粉末を粉末X線回析したところ、いずれの実施例
においても第1図と同様のスペクトルを得た。
実施例 7 硝酸鉛16.6g、オキシ硝酸ジルコニウム5.78gを溶解し
た水溶液400mlを調製し、この液を攪拌下に6Nアンモニ
ア水1.5リットルに滴下して沈殿物を作った。
得られた沈殿物を水−エタノール混合液(混合割合、
容積比50:50)と接触させた後、120℃で1時間乾燥し、
次いで700℃で2時間仮焼してPb(Zr0.5Ti0.5)O3粉末
を得た。
得られた粉末を粉末X線分析し、スペクトルを第3図
に示す。このスペクトルから、2θ=31゜付近のメイン
ピークあるいは他のピークには、スプリット(分裂)が
認められず、得られたPb(Zr0.5Ti0.5)O3は構造的に欠
陥がなく、均質であることがわかる。
比較列 6〜7 実施例7において、得られた沈殿物を処理するに際し
て、水/エタノール混合液の代わりに、水のみ(比較例
6)およびエタノールのみ(比較例7)を用いた以外
は、実施例7と同様にしてPb(Zr0.5Ti0.5)O3仮焼粉末
を得た。
得られたPb(Zr0.5Ti0.5)O3粉末を粉末X線回析した
ところ、両者は同一のスペクトルを与え、そのスペクト
ルを第4図に示す。
いずれにおいても、2θ=31゜付近のメインピークお
よび他のピークにはスプリット(分裂)が認められ、得
られた粉末には構造の乱れが認められた。
実施例 8 バリウムジプロポキシド12.8gおよびチタンテトラプ
ロポキシド14.2gを溶解したベンゼン溶液1リットル
に、攪拌下、蒸留水を徐々に添加して沈殿物を調製し
た。
得られた沈殿物を水/エタノール=60/40(VOL比)の
混合液と充分に接触させた後、120℃で1時間乾燥し、
次いで850℃で2時間仮焼してBaTiO3粉末を得た。
この仮焼粉を粉末X線分析し、このスペクトルを第5
図に示す。
このスペクトルから、2θ=31゜付近のメインピーク
あるいは他のピークには、スプリット(分裂)が認めら
れず、得られたBaTiO3粉末は構造的に欠陥がなく均質で
あることがわかる。
比較例 8〜9 実施例8において、得られた沈殿物を処理するに際し
て、水/エタノール混合液の代わりに、水のみ(比較例
8)およびエタノールのみ(比較例9)を用いた以外
は、実施例8と同様にしてBaTiO3仮焼粉末を得た。
得られたBaTiO3粉末を粉末X線分析したところ、両者
は同一のスペクトルを与え、そのスペクトルを第6図に
示す。いずれにおいても2θ=31゜付近のメインピーク
あるいは他のピークにはスプリット(分裂)が認めら
れ、得られた粉末には、構造の乱れが認められた。
実施例 9 実施例1において、沈殿物の生成反応を、20KHzの超
音波照射下で行なった以外は、実施例1と同様にしてPb
0.91La0.09(Zr0.65Ti0.350.978O3仮焼粉末を得た。
この粉末を粉末X線分析し、このスペクトルを第7図
に示す。このスペクトルから、2θ=31゜付近のメイン
ピークあるいは他のピークにはスプリット(分裂)は認
められず、得られた粉末は構造的に欠陥がなく均質であ
ることがわかる。
なお得られたPLZT粉末の平均粒径は、マイクロトラッ
ク粒度分析計で測定したところ、0.5μmであった。
比較例 10 実施例9において、処理液を水/エタノール混合液か
ら水のみに代えた以外は、実施例9と同様にしてPb0.91
La0.09(Zr0.65Ti0.350.978O3仮焼粉末を得た。
この粉末を粉末X線分析し、このスペクトルを第8図
に示す。このスペクトルから、2θ=31゜付近のメイン
ピークあるいは他のピークには、スプリットは認めら
れ、得られたPLZT粉末には構造的な乱れがあることがわ
かる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法により製造されたPLZT粉末の粉末X
線回析図であり、第2図は本発明方法以外の方法により
製造されたPLZT粉末の粉末X線回析図であり、第3図は
本発明により製造されたPb(Zr0.5Ti0.5)O3粉末の粉末
X線回析図であり、第4図は本発明以外の方法により製
造されたPb(Zr0.5Ti0.5)O3粉末の粉末X線回析図であ
り、第5図は本発明により製造されたBaTiO3粉末の粉末
X線回析図であり、第6図は本発明以外の方法により製
造されたBaTiO3粉末の粉末X線回析図であり、第7図は
本発明により製造されたPLZT粉末の粉末X線回析図であ
り、第8図は本発明以外の方法により製造されたPLZT粉
末の粉末X線回析図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白崎 信一 茨城県新治郡桜村竹園3丁目1610番201 号 (56)参考文献 特開 昭48−48399(JP,A) 特開 昭62−30605(JP,A) 特開 昭62−70204(JP,A) 特開 昭61−132510(JP,A) 特公 昭44−22408(JP,B1) 特公 昭59−39367(JP,B2) 特公 昭62−14490(JP,B2)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】沈殿として得られた無機水酸化物を、新た
    な水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは炭素
    数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物と接
    触させて、均質な構造を有する無機水酸化物を得ること
    を特徴とする無機水酸化物沈殿の処理方法。
  2. 【請求項2】生成される沈殿がペロブスカイト系の水酸
    化物である特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】無機水酸化物の沈殿形成反応時に反応系に
    超音波照射を行ない、次いで得られた無機水酸化物を、
    新たな水と炭素数1〜4の低級脂肪族アルコールまたは
    炭素数1〜4のケトン類である極性有機溶媒との混合物
    と接触させて均質な構造を有する無機水酸化物を得るこ
    とを特徴とする無機水酸化物沈殿の処理方法。
  4. 【請求項4】生成される沈殿がペロブスカイト系の水酸
    化物である特許請求の範囲第3項に記載の方法。
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