JP2555841B2 - (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法 - Google Patents

(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法

Info

Publication number
JP2555841B2
JP2555841B2 JP4197010A JP19701092A JP2555841B2 JP 2555841 B2 JP2555841 B2 JP 2555841B2 JP 4197010 A JP4197010 A JP 4197010A JP 19701092 A JP19701092 A JP 19701092A JP 2555841 B2 JP2555841 B2 JP 2555841B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
meth
salt
acrylic acid
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP4197010A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0641313A (ja
Inventor
時浩 横井
啓史 坪井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP4197010A priority Critical patent/JP2555841B2/ja
Publication of JPH0641313A publication Critical patent/JPH0641313A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2555841B2 publication Critical patent/JP2555841B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、低中和度で水への溶解
性の優れた(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およ
びその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は優
れた粘着性、増粘性、吸水性、凝集作用等を有してお
り、その性能を生かして増粘剤、パップ剤、紙力増強
剤、硬化剤、凝集剤、脱水剤、土壌改良剤等として広く
利用されている。中でも中和度の低い(中和度50%程
度以下)(メタ)アクリル酸(塩)系重合体は粘着剤、
増粘剤、凝集剤等として優れた性能を発揮する。
【0003】(メタ)アクリル酸(塩)系重合体を上記
の様な用途に使用する場合、配合の容易さ、取扱い性や
搬送の便宜等を考慮して粉末状もしくは粒状の形態で供
給されることが多い。
【0004】(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製法
としては、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、スラ
リー重合法、水溶液重合法等が挙げられるが、これらの
中で最も汎用されているのは水溶液重合法およびスラリ
ー重合法である。
【0005】スラリー重合によれば、(メタ)アクリル
酸(塩)を主体とする重合性単量体の疎水性溶液に周知
のラジカル重合開始剤を添加し、必要により適度に加熱
することによって重合反応を行なうと、(メタ)アクリ
ル酸(塩)系重合体が沈殿析出物として得られる。一方
水溶液重合法によれば、(メタ)アクリル酸(塩)を主
体とする重合性単量体の水溶液に周知のラジカル重合開
始剤を添加し、必要により適度に加熱することによって
重合反応を行なうと、(メタ)アクリル酸(塩)系重合
体が粘着性及び粘性を有する含水溶液として得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】スラリー重合で得られ
た(メタ)アクリル酸(塩)系重合体沈殿物は、減圧乾
燥等により粉末を得ることができるが、溶媒の除去・回
収および防爆のための設備投資が必要であること、粉末
中に残留する溶媒の安全性といった問題点を有する。ま
た得られる粉末は固め見掛比重の小さな微粉末でしか得
られないため、水に再溶解した時に所謂「ままこ」にな
り易く溶解に著しく時間を要する。
【0007】一方水溶液重合により得られる(メタ)ア
クリル酸(塩)系の含水溶液の場合、中和度が50%を
超える高中和度のものは概して加熱に対して安定である
ため乾燥温度を高めることができ、更には粘着性が小さ
く且つガラス転移温度も高いため、乾燥途中で粉砕する
ことが可能であり、粉砕して表面積を高めてから再び乾
燥することにより比較的簡単に含水率が10%以下で品
質変化の少ない粉末を得ることができる。
【0008】ところが中和度が50%以下である低中和
度の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の含水溶液は、
非常に粘着性が高く、ガラス転移温度が低いため乾燥途
中での破砕が困難であり、乾燥に長時間を要するばかり
でなく、通常の熱風乾燥法等を採用すると表層部のみが
乾燥されて皮張り状態となり、内部に残った水分を揮発
除去できなくなる。そして内部の水分までも除去しよう
として乾燥温度を過度に高めると、表層部が過熱状態と
なって分岐反応や架橋反応等が起こり、水への再溶解性
が低下するばかりでなく水不溶解物が生成し、あるいは
解重合反応が起こって再溶解後の増粘作用および粉体の
経日安定性にまで悪影響が表われてくる。
【0009】この皮張りや加熱による物性の変化は、高
粘度(つまり高分子量)であるほど起こり易く、また起
こった時の影響も大きい。また低含水率まで乾燥するほ
ど、加熱による物性の変化が起こり易くなるため、低含
水率で水への再溶解性および経日安定性に優れた、(メ
タ)アクリル酸(塩)系重合体粉末を得ることは非常に
困難であった。
【0010】本発明は上記の様な事情に着目してなされ
たものであって、その目的は、低含水率で水への再溶解
性および経日安定性に優れ、水に再溶解した状態で高粘
性で優れた粘着性を示す低中和度の(メタ)アクリル酸
(塩)系重合体粉末を提供しようとするものである。ま
た本発明の他の構成は、加熱に対して不安定な低中和度
の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体の含水溶液を効率
よく乾燥し、上記の様なから低中和度の(メタ)アクリ
ル酸(塩)系重合体粉末を効率よく製造することのでき
る方法を提供しようとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明に係る(メタ)アクリル酸(塩)系重合
体粉末の構成は、中和度が50%以下の(メタ)アクリ
ル酸(塩)系重合体からなる粉末であって、水溶媒中で
測定される酸価が250 以上で、且つ(メチルアルコール
溶媒中で測定される酸価)/(水溶媒中で測定される酸
価)の比が0.90以上であると共に、水分含有率が10%
以下、固め見掛比重が0.6以上の要件を満たす他、下
記方法によって求められる水への溶解時間が3時間以下
であるところにその特徴が存在する。
【0012】[水への溶解時間] 500mlのビーカーに水450gを入れ、マグネチック
スターラーにより撹拌しながら重合体粉末50gを30
秒以内で投入して分散させる。この分散液を、図2に示
す如く羽根(7.5 ×7.5cm の平板の4か所に1.5 ×1.5c
mの穴をあけたもの)付き撹拌機を使用し、25℃、2
0rpm で撹拌する。そして所定時間撹拌した後、分散液
を50メッシュのふるいによって濾過し、ふるい上に不
溶物が認められなくなるまでの時間を求め、水への溶解
時間とする。
【0013】上記(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉
末の中でも特に好ましいのは、10%水溶液の粘度が1
0cps 以上であり、また、16メッシュパスで且つ30
0メッシュオンが50重量%以上であり、しかも300
メッシュパスが30重量%以下の粒度構成を有するもの
は、水への再溶解性および再溶解物の粘着性等において
一層優れた性質を発揮するので好ましい。
【0014】また本発明に係る製法の構成は、中和度が
50%以下である(メタ)アクリル酸(塩)系重合体か
らなる水分含有量が45%超の含水溶液を乾燥する際
に、 (1) 該含水溶液を予熱する工程、 (2) その後、表面温度を70〜150℃に保つと共に、
表面温度と内部温度の差を50℃以下に抑えながら、全
体の水分含有率を40%にまで低減する工程、 (3) 更に、表面温度および内部温度を80〜170℃に
保つと共に、表面温度と内部温度の差を50℃以下に抑
えながら、全体の水分含有率を10%以下にまで低減す
る工程、 (4) 次いで粉砕する工程、を順次実施し、上記諸特性を
備えた低中和度の(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉
末を製造するところにその特徴を有している。
【0015】
【作用】本発明に係る(メタ)アクリル酸(塩)系重合
体粉末は、その水分含有率、酸価、固め見掛比重を特定
すると共に、後述する方法によって求められる水への溶
解時間を特定し、それによって粘着剤、増粘剤、凝集剤
等としての性能を高めることに成功したものである。ま
た本発明の製法は、中和度が50%以下である(メタ)
アクリル酸(塩)系重合体の含水溶液を対象とし、乾燥
工程で架橋反応等による水への再溶解性の低下を防止し
つつ効率良く乾燥し、或はこれを更に粉砕し、上記諸特
性を備えると共に水への再溶解性に優れた(メタ)アク
リル酸(塩)系重合体粉末を効率よく得ることのできる
製法を提供するものである。
【0016】まず本発明に係る(メタ)アクリル酸
(塩)系重合体の主たるモノマー単位は(メタ)アクリ
ル酸(塩)であり、重合体を構成する全モノマー単位の
うち70モル%以上、より好ましくは90モル%以上が
(メタ)アクリル酸(塩)からなるものであって、必要
により含まれることのある共重合性単量体成分として
は、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のカルボキシ
ル基含有単量体成分:ビニルスルホン酸、メタリルスル
ホン酸、アリルスルホン酸、3−(メタ)アリロキシ−
2−ヒドロキシプロパンスルホン酸等のスルホン酸基含
有単量成分;(メタ)アクリルアミド、第3級ブチル
(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体成分;グリ
セロールモノ(メタ)アリルエーテル等のアリルエーテ
ル系単量体成分;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリ
レート、アリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−
1−オール(イソプレノール)、グリセロールモノ(メ
タ)アクリレート等の水酸基含有単量体成分;(メタ)
アクリロニトリル等のニトリル系単量体成分;(メタ)
アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メ
タ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、
(メタ)アクリル酸ヘキシル等の(メタ)アクリル酸エ
ステル系性単量体成分;酢酸ビニル等のビニル系単量体
成分;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単
量体成分等が例示され、これらは必要により2種以上を
含むものであってもよい。
【0017】しかしこれらの共重合性単量体成分のうち
疎水性の単量体成分は重合体の水溶性を阻害する傾向が
あるので、好ましくは親水性の単量体成分を使用するの
がよく、これらの中でも特に好ましいのはマレイン酸、
フマル酸、イタコン酸等のカルボキシル基含有単量体成
分である。
【0018】そして本発明においては、高レベルの水溶
性を確保するため全単量体中に占める(メタ)アクリル
酸(塩)の量を70モル%以上とし、必要により共重合
させることのできる他の共重合性単量体成分の量は、全
ての重合性単量体成分中に占める比率で30モル%以下
に抑えるのがよい。
【0019】また本発明においては、(メタ)アクリル
酸(塩)系重合体の中和度を50%以下に定めたが、こ
の理由は、中和度が50%を超える高中和度の(メタ)
アクリル酸(塩)系重合体の含水溶液は比較的粘着性が
乏しく、低中和度のものに比べて粘着剤等としての性能
が劣るばかりでなく、加熱に対し安定であり、乾燥途中
に比較的容易に破砕することで乾燥を促進できるので乾
燥も容易であり、本発明で規定する乾燥法を採用せずと
も容易に乾燥することができるからである。
【0020】尚(メタ)アクリル酸(塩)系重合体にお
ける塩とは、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアル
カリ金属塩やアンモニウム塩の如く1価の塩を意味する
ものであり、たとえばカルシウムやマグネシウムの如く
2価もしくは3価以上の多価金属塩は水溶性に欠けるも
のであるから、本発明における塩からは除外される。
【0021】この(メタ)アクリル酸(塩)系重合体
は、乳化重合法や懸濁重合法等によって得ることもでき
るが水溶液重合が最も好ましい。水溶液重合法は、周知
のラジカル重合開始剤を使用し必要により適宜加熱して
重合することによって製造され、濃度に応じて粘稠な含
水溶液として得られる。本発明の粉末は、該(メタ)ア
クリル酸(塩)系重合体の粘稠水溶液を乾燥し粉砕する
ことによって得られるが、これを粉末状にするための乾
燥工程で様々の問題(加熱乾燥時の架橋反応等による水
溶性の低下等)を生じるので、その乾燥法につき、後で
詳述する様な工夫をこらしている。まず、本発明に係る
(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末の特性を定めた
理由を明らかにする。
【0022】本発明の(メタ)アクリル酸(塩)系重合
体粉末は、水への再溶解性および粉体の経日安定性に優
れると共に水溶液として優れた粘着性や増粘作用を発揮
するものであって、水分含有率が10%以下(より好
ましくは8%以下、更に好ましくは5%以下)、水溶
媒中で求められる酸価(以下、AVH2O という)が25
0以上(より好ましくは500以上)、メチルアルコ
ール溶媒中で求められる酸価(以下、AVMeOHという)
とAVH2O の比、即ち[AVMeOH/AVH2O ]が0.9
0以上(より好ましくは0.92以上)、固め見掛比
重が0.6以上(より好ましくは0.7以上)であり、
且つ後述する方法によって求められる水への溶解時間
が3時間以下の易水溶性で且つ粘性の水性液を与える粉
末である。
【0023】上記においての構成要件は主として粉砕
性の観点から決められるものであって、10%を超える
高含水率の重合体は粘着性を帯びたゴム状を呈し、微粉
砕が困難であって粗めのフレーク状にしか裁断できず、
水への再溶解に長時間を要する。水分含水率を低減すれ
ばするほど加熱による物性の変化が起こり易く、他の構
成要件との両立が困難になるが、水分含水率は本発明に
おける重要な構成要件であり、10%以下、より好まし
くは8%以下、更に好ましくは5%以下が良い。
【0024】また上記の構成要件は、重合体中の中和
されていない酸基の量を表わすものであって、水への再
溶解性を確保する上で極めて重要な特性であり、AV
H2O が250未満では本発明で意図する様な水への再溶
解性が得られない。
【0025】上記の構成要件は、重合体粉末中の酸無
水物の量と遊離状態として存在する酸の量との比率を表
わす指標となる。即ちAVH2O は、前述の如く水溶媒中
で測定される酸価であり、重合体中の酸無水物及び遊離
状態の酸基のすべてが酸価として現れる。これに対しA
MeOHは、メチルアルコール溶媒中で測定された酸価で
あり、アルコ−ル溶媒中で酸無水物は開環して一方はエ
ステルとなるため、このエステル化された部分は酸価と
して測定されない。従ってAVMeOH/AVH2Oの比が1
であるものは、重合体中のすべての酸基が遊離状態の酸
基として存在することを意味し、この比が小さいものほ
ど酸無水物としての存在比率が高いことを意味する。
【0026】そして本発明者等が種々検討を行ったとこ
ろによると、たとえAVH2O が同じものであっても、重
合体粉末中に多量の酸無水物が存在するもの程その経日
安定性(特に高温経日後の水への再溶解性)は悪くな
り、本発明で意図する様な水への優れた再溶解性を長期
的に維持するためには、上記AVMeOH/AVH2O の比を
0.90以上、より好ましくは0.92以上にしなけれ
ばならず、この要件を外れる重合体は特に夏季のごとく
高温条件下での保管や輸送時に変質して水不溶物が生成
し易くなることが確認された。
【0027】換言すると、本発明に係る上記(メタ)ア
クリル酸(塩)系重合体粉末は、分子鎖中に酸無水物構
造が非常に少ないことに大きな特徴を有するものであ
り、これは乾燥条件と重要な関連を有しているものと考
えられる。即ち乾燥時における架橋反応の一態様とし
て、(メタ)アクリル酸(塩)成分中のカルボキシル基
同士が結合して無水物を形成し、更にはこの無水物が乾
燥時もしくは保存時に脱炭酸反応を起こして強固な架橋
構造となって水溶性に悪影響を及ぼすことが考えられる
が、前述の如く乾燥条件をうまくコントロールして過熱
を防止してやれば、こうした無水物の形成および脱炭酸
反応が抑制され、これが水溶性の向上に好影響をもたら
しているものと推定される。
【0028】上記の構成要件は、所謂「ままこ」を生
じることなく、水への再溶解を高めるために定めたもの
であって、固め見掛比重が小さ過ぎる場合は、水に再溶
解するときにいわゆる「ままこ」状になり易く再溶解性
が悪くなり、本発明で意図する様な再溶解性が得られな
くなる。又搬送及び取扱い性においても不都合を生じ易
くなる。
【0029】上記の構成要件は、水への溶解性を示す
新たな基準として本発明者らが定めたものであって、乾
燥時における架橋反応や分岐反応等によって起こる水溶
性低下の有無を評価するための指標として極めて重要で
あり、該溶解時間の長短は、該粉末を水に再溶解して実
用化するときの作業性に顕著な影響を及ぼす。そしてこ
の溶解時間が前述の要件を外れるものでは、水への再溶
解に長時間を要するばかりでなく再溶解物の粘性や増粘
作用も悪くなる傾向があり、本発明の目的にそぐわなく
なる。
【0030】そして上記〜のすべての要件を満足す
る(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末は、経日安定
性が良好で経時変化(水溶性の劣化や粘度の変化等)が
少なく、且つ飛散等も少ないので取扱いも容易であり、
しかも水への再溶解が容易でしかも再溶解により優れた
粘着性や増粘性を示すものとなる。
【0031】本発明に係る(メタ)アクリル酸(塩)系
重合体粉末は上記の〜の他、更に、10%水溶液
粘度が10cps 以上、および粒度構成が16メッシュ
パスで且つ300メッシュオンが50重量%以上であ
り、且つ300メッシュパスが30重量%以下という構
成要件を付加すれば、水への再溶解性、経日安定性およ
び水溶液として粘着性や増粘作用は更に向上する。
【0032】上記においての構成要件は、水に再溶解
した時の粘着性、増粘性、凝集作用等の観点から決めら
れるものであって、10%水溶液粘度が低いと本発明で
意図する粘着性、増粘性、凝集性が不十分になることが
あり、10%水溶液粘度が10cps 以上が好ましく、よ
り好ましくは30cps 以上、更に好ましくは100cps
以上、最も好ましくは200cps 以上であり、一方10
%水溶液粘度が高すぎると粘着性が低下することがある
ので、5000cps 以下、より好ましくは3000cps
がよい。
【0033】上記の構成要件は、所謂「ままこ」を生
じることなく、しかも表面積を可及的に増大して水への
再溶解を高めるために定めたものであって、粒度構成が
細か過ぎる場合は取扱い時に飛散し易いという欠点に加
えて水に再溶解する時に所謂「ままこ」状になり易くか
えって再溶解性が悪くなり、また粒度構成が粗過ぎる場
合は比表面積が小さいため矢張り水への再溶解に長時間
を要することになり、いずれの場合も本発明で意図する
様な再溶解性が得られにくい。
【0034】そして上記〜のすべての要件を満足す
る(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末は、経日安定
性が良好で経時変化(水溶液の粘度変化や水溶性の劣化
等)が少なく、且つ飛散等も少ないので取扱いも容易で
あり、しかも水への再溶解が容易でしかも再溶解により
優れた粘着性を示すものとなる。
【0035】この様な要件を備えた(メタ)アクリル酸
(塩)系重合体粉末は、前述の様な(メタ)アクリル酸
(塩)系重合体の粘稠水溶液を乾燥し粉砕することによ
って得られるが、これを粉末状にするための乾燥工程で
様々の問題(加熱乾燥時の架橋反応等による水溶性の低
下等)を生じてくる。
【0036】そこで本発明では、乾燥工程での架橋反応
等による水溶性の低下、あるいは粘着性の低下等の問題
を解消するため、具体的な乾燥条件について詳細に検討
を行なった。尚乾燥に当たっては、揮発水分の放出を促
進するため若干の吸引排気を行なうことがあるとして
も、実質的には設備負担の少ない常圧乾燥法を採用する
こととした。
【0037】そして、水分含有量が45%超である上記
重合体含水溶液を実質的に常圧で乾燥する際に、前述の
如く先ず(1)該含水溶液を予熱し、次いで(2)全体
の水分含有率が40%に達するまでは、表層部のみの乾
燥が集中的に進んで皮張りを起こすことがない様、表面
温度を70〜150℃の範囲に保つと共に、表面温度と
内部温度の差を50℃以下に抑え、更に(3)表面温度
および内部温度を80〜170℃に保つと共に、表面温
度と内部温度の差を50℃以下に抑えながら、全体の水
分含有率を10%以下にまで低減する、という乾燥方法
を採用すれば、上記の問題が見事に解消されることを知
った。
【0038】ちなみに、実質的に常圧で乾燥を行なう場
合、含水溶液(以下、乾燥が進行して含水溶液とは言い
難くなったものを含水物ということがある)の温度が7
0℃程度に達するまでの予熱工程では水分の揮発量が非
常に少ないため、加熱温度等が問題になることはない。
しかし、70℃を超えると水分揮発量は急激に増大して
くる。
【0039】そして乾燥初期の高含水状態では、乾燥末
期に比べて大量の水分が揮発するが、たとえば通常の熱
風乾燥等の様に格別の温度制御も行なわずに重合体含水
溶液の表面側から加熱して乾燥させる方法では、表層部
の水分が集中的に揮発して粘性が急速に高まり表面で皮
張りを起こすため、内部の水分が揮発できなくなる。そ
して本発明者らが種々研究を重ねたところでは、こうし
た皮張り状態は(メタ)アクリル酸(塩)重合体含水物
の水分含量が40%に達するまでの乾燥前半期に生じ易
く、このときの表面温度が150℃を超え、しかも表面
温度と内部温度の差が大きくなるにつれて顕著になるこ
とが確認された。しかし表面温度を70〜150℃の範
囲に保ち且つ上記温度差を50℃以下に抑えると、十分
な水分揮発量を維持しつつ、最表層部からの水の揮発速
度と内部から表面方向への水分の移行速度の均衡を良好
に保つこことができ、表面に皮張りを生じることなく含
水物全体の水分を40%程度まで効率よく揮発除去する
ことができる。
【0040】水分含有量が40%に達した後更に乾燥を
続け、目標の水分含有量である10%まで乾燥する。こ
の時の温度は、過熱による重合体の架橋反応、分岐反
応、解重合反応等が起こらない様に、表面温度および内
部温度を80〜170℃の範囲に設定する必要があり、
またこの間にも生じ得る表層部の皮張りを防止するた
め、表面温度と内部温度の差は50℃以下に抑えなけれ
ばならず、170℃を超える場合は乾燥時における架橋
反応や分岐反応によって水への溶解性が低下したり、あ
るいは解重合反応によって水に再溶解したときの粘着性
や増粘作用に影響が現れる。尚この乾燥工程では、乾燥
が進んで揮発水分量が減少してくるにつれて蒸発潜熱量
が少なくなり、被加熱体である重合体の温度はヒーター
加熱温度に近ずいてくる。そして、こうした蒸発潜熱量
の減少は、重合体中の水分量が約20%に達した時点で
顕著になる傾向があるので、その後は、ヒーター加熱温
度が重合体の前記温度範囲の上限値を超えない様に制御
することが望まれる。
【0041】上記の条件で乾燥を行なえば、乾燥時に皮
張りを起こして乾燥不良になったり、表層部が過熱状態
となって分岐反応や架橋反応或は解重合反応等が起こっ
て乾燥物の水への再溶解性を悪くしたり、再溶解物の粘
着性等に悪影響を及ぼすことなく、効率的に乾燥を行な
うことができる。
【0042】尚乾燥時間は、採用される乾燥温度に応じ
て適宜設定すればよいが、水分含有量が恒量に達した後
更に加熱を続けると、その間に架橋反応等が起こって水
溶性などに悪影響を及ぼす恐れがあるので、好ましくは
実質的な乾燥の行なわれる前記(2) と(3) 工程の総和で
3時間以下、より好ましくは2時間以下に止めるのがよ
い。
【0043】本発明では上記温度条件を確保し得る限り
乾燥に用いられる装置の構成は特に限定されないが、好
ましいのは図1に略示する様な無端回動型の乾燥装置を
使用する方法である。図1において1は重合体支持用の
ベルトであり、ローラ2a,2bに張架されて連続的に
回動する構成とする。このベルトは、両端縁に側板を立
設して重合体含水溶液の流出を防止できる様にしたもの
であってもよく、あるいは多数のパレットを載置固定し
て重合体含水溶液を受け入れる様にしたもの等、要は重
合体含水溶液をその上方に支持し得るものであればどの
様なものでもかまわない。但し(メタ)アクリル酸
(塩)系重合体含水溶液は前述の如く非常に粘着性の高
いものであるから、乾燥後の取出しを容易にするため重
合体含水物に接する面はテフロン等の離型コーティング
処理を施しておくのがよい。
【0044】そして該無端回動ベルト1の一方端側上方
に重合体含水溶液供給部3を設け、ベルト1上に含水溶
液Pを一定厚さとなる様に供給すると共に、ベルト1の
下面側にはヒーター4a,4b,4cを配置して下方側
から含水物Pを加熱する構成とし、ベルト1上を移送さ
れる間に乾燥された重合体は、ベルト1の他端に設けた
スリッター5によって載断する。
【0045】ヒーター4a〜4bは、たとえば図示する
如く最上流側を予熱部として含水溶液Pを70℃程度ま
で予熱し、ヒーター4bは80〜150℃程度に、また
ヒーター4cは90〜170℃程度に設定することによ
って順次乾燥を進め、最下流側は冷却部6とすることに
より乾燥を終えた重合体の冷却を行なう。尚図1では3
個のヒーター4a〜4cで加熱する例を示したが、ヒー
ターの数は必要に応じて更に増やすことも可能である。
またベルト1上に供給される重合体含水溶液Pは、前述
の如く乾燥時の表面温度と内部温度の差をより小さくす
る意味から厚みを10mm程度以下、より好ましくは5mm
程度以下にするのがよい。
【0046】この様に重合体含水溶液をベルト上に薄め
に載置し下方から加熱乾燥する方法を採用するのが最も
好ましい。下方から加熱すると、水分は重合体含水物の
下方側から順次表層側へ移行しつつ揮発していくので、
表面と下方部の温度差が小さくなると共に表面で皮張り
を起こすことがなく、しかもヒーター4bの温度を15
0℃程度以下に、またヒーター4cは170℃程度以下
に夫々抑えてやれば、重合体が局部的に過熱状態となる
恐れもない。但し乾燥工程における重合体の温度は、水
分の蒸発潜熱によりヒーターの温度よりも若干低くなる
ので、ヒーターの設定温度は高めにしても構わない。
【0047】尚上記ではベルト下方側だけから加熱する
例を示したが、場合によっては移送される重合体含水物
の上方からもやや低めに温度設定されたヒーターあるい
は温風によって補助的に加熱し、乾燥促進を図ることも
可能である。またヒーターとしては蒸気加熱および熱媒
加熱タイプのものが一般的であるが、赤外線、遠赤外
線、電熱式ヒーター等を使用することも勿論可能であ
り、更にはマイクロ波加熱を利用することも可能であ
る。尚マイクロ波加熱方式であれば重合体含水物の加熱
面のみならず内部まで効率よく加熱することができる。
ただしこの場合は、ベルトがマイクロ波加熱の障害とな
ることがない様に重合体含水物の上方側から加熱する構
成とするのがよい。
【0048】かくして得られる乾燥物はシート状もしく
はフィルム状として得られ、これは用途によってはその
ままで適当な大きさに裁断してシート状もしくはフィル
ム状として製品化することもできるが、水への再溶解性
を高める上では、乾燥物を破砕し、必要により分級して
適当な固め見掛比重の粉末とすることが望まれる。
【0049】即ち粉末とする場合には、固め見掛比重が
小さ過ぎると水に再溶解する時に均一に分散することが
難しくなり、「ままこ」状態になって溶解性が悪くな
り、また搬送および取扱い性においても不都合を生じ易
いので、固め見掛比重は0.6以上になる様に調整する
のが望ましい。
【0050】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、保
存安定性、取扱い性、水への再溶解性、再溶解後の粘性
や増粘作用等のすべてにおいて非常に優れた(メタ)ア
クリル酸(塩)系重合体粉末を提供すると共に、該粉末
を効率よく製造し得ることになった。そしてこの重合体
粉末は、その優れた増粘作用、吸水作用、粘着作用など
を生かして、増粘剤、粘着剤、吸水剤、凝集剤等として
幅広く活用することができる。
【0051】
【実施例】次に実施例を挙げて本発明の構成および作用
効果をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記
実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記趣
旨に適合し得る範囲で適当に変更して実施することはい
ずれも本発明の技術的範囲に含まれる。尚下記実施例で
採用した物性試験法は次の通りである。
【0052】10%水溶液粘度:ブルックフィールド回
転粘度計使用、25℃、30rpm 粒度構成:JISふるい使用(wt%) 固め見掛比重:細川ミクロン社製のパウダーテスター使
用 経日安定性:乾燥直後に再溶解したときの10%水溶液
粘度(A)と、重合体粉末を80℃で7日間静置した後
再溶解したときの10%水溶液粘度(B)を測定し、B
/Aによって経日安定性を評価する。
【0053】酸価: AVH2O :0.1%重合体水溶液に0.2N水酸化カリ
ウム水溶液を加えながら電気伝導度を測定する。電気伝
導度の変曲点を中和の終点とし、中和に要した添加量
(A)からAVH2O (水溶媒中で重合体1gを中和する
のに必要な水酸化カリウムのミリグラム数)を求める。 AVH2O =(56.11×A×0.2 ×FKOH )/B A:0.2 N水酸化カリウム溶液添加量(ml) B:重合体グラム数 FKOH:0.2 N水酸化カリウムのファクター AVMeOH:AVH2O の測定に使用した溶媒をMeOHに
代えた以外は全て上記と同様にして行なった(但し、部
分中和によって重合体がMeOHに溶解しない時は0.2
N−HCl−MeOH溶液を重合体が溶解するまで必要
に応じて添加した後行なう)。 AVMeOH=[56.11×0.2(A・FKOH −C・FHCl)] /B C:0.2 N−塩化水素メタノール溶液の添加量(ml) FHCl:0.2 N−塩化水素メタノール溶液のファクター
【0054】最終含水率:乾燥重合体粉末約1gをシャ
ーレに厚みが約1mm以下となる様に積載し、105℃で
90分乾燥を行なった後の重量減により最終含水率を求
める。 含水率:下記式により乾燥途中の含水率を求める。
【0055】
【数1】
【0056】水への溶解時間: 500mlのビーカーに水450gを入れ、マグネチック
スターラーにより撹拌しながら重合体粉末50gを30
秒以内で投入して分散させる。この分散液を、図2に示
す如く羽根(7.5 ×7.5cm の平板の4か所に1.5 ×1.5c
m の穴をあけたもの)付き撹拌機を使用し、25℃、2
0rpm で撹拌する。そして所定時間撹拌した後、分散液
を50メッシュのふるいによって濾過し、ふるい上に不
溶物が認められなくなるまでの時間を測定し、下記の基
準で評価した。 ◎:2時間以内で完全溶解 ○:3時間以内で完全溶解 △:24時間で完全溶解 ×:24時間以上でも不溶解物残存 不溶物:重合体50g(A) を、水への溶解時間測定法と同
様にして溶解し、24時間後に50メッシュのふるい上に残
る不溶物を採取して140 ℃で8時間乾燥して重量(B) を
測定し、不溶物の残存率(重量%)を求める。 不溶物(%)=((B) /(A) )×100
【0057】重合体製造例1 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水2540gを仕込
み、100℃まで昇温した。次に0.8 重量%の過硫酸ナ
トリウム水溶液50gと80重量%のアクリル酸水溶液
920gを60分かけて常圧下、沸点温度で連続的に滴
下し、重合反応を行なった。次いで更に0.8 重量%過硫
酸ナトリウム水溶液150gを15分かけて常圧下、沸
点温度で連続的に滴下し、滴下終了後沸点温度で更に3
0分間撹拌して重合反応を完了し、固形分20%のポリ
アクリル酸含水溶液(重合体A1)を得た。
【0058】重合体製造例2 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水1791gを仕込
み、100℃まで昇温した。次に10重量%の過硫酸ナ
トリウム水溶液71gと80重量%のアクリル酸水溶液
1282gを120分かけて常圧下、沸点温度で連続的
に滴下し、重合反応を行なった。更に48重量%の水酸
化ナトリウム水溶液356gを15分かけて常圧下、沸
点温度で連続的に滴下し、滴下終了後沸点温度で更に3
0分間撹拌して重合反応を完了し、固形分32%のポリ
アクリル酸塩含水溶液(重合体A2)を得た。
【0059】重合体製造例3 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水890gと無水マ
レイン酸466gを仕込み、100℃まで昇温した。次
に10重量%の過硫酸ナトリウム水溶液476g,10
重量%の過酸化水素水溶液47gおよび80重量%のア
クリル酸水溶液1714gを120分かけて常圧下、沸
点温度で連続的に滴下し、重合反応を行なった。滴下終
了後沸点温度で更に30分間撹拌して重合反応を完了
し、固形分55%のポリアクリル酸含水溶液(重合体A
3)を得た。
【0060】重合体製造例4 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水505g、無水マ
レイン酸424gおよび48重量%の水酸化ナトリウム
651gを仕込み、100℃まで昇温した。次に10重
量%の過硫酸ナトリウム水溶液434gと80重量%の
アクリル酸水溶液1562gを120分かけて常圧下、
沸点温度で連続的に滴下し、重合反応を行なった。滴下
終了後沸点温度で更に30分間撹拌して重合反応を完了
し、固形分55%のポリアクリル酸塩含水溶液(重合体
A4)を得た。
【0061】重合体製造例5 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量1リットルのセパラブルフラスコに200gのメタ
クリル酸、4gの過硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウ
ム3.4 gおよび水を仕込み、水溶液重量を1000gと
した。撹拌しながら窒素ガスを吹込み水溶液中に溶存し
ている酸素を除去した後、56℃で恒温槽に浸すと、水
溶液は5分後から増粘し始め、重合開始20分後に最高
温度76℃を示した。3時間後固形分20%のポリメタ
クリル酸含水溶液(重合体A5)を得た。
【0062】重合体製造例6 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水2564gを仕込
んで、100℃まで昇温した。次に5%の過硫酸ナトリ
ウム水溶液710gと80重量%のアクリル酸水溶液7
26gを180分かけて常圧下、沸点温度で連続的に滴
下し、重合反応を行なった。滴下終了後沸点温度で更に
60分間撹拌して重合反応を完了し、固形分15.4%のポ
リアクリル酸含水溶液(比較重合体A6)を得た。
【0063】重合体製造例7 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水2510gを仕込
み、100℃まで昇温した。次に0.8 重量%の過硫酸ナ
トリウム水溶液80gと80重量%のアクリル酸水溶液
920gを60分かけて常圧下、沸点温度で連続的に滴
下し、重合反応を行なった。次いで更に0.8 重量%過硫
酸ナトリウム水溶液 150gを15分かけて常圧下、沸点
温度で連続的に滴下し、滴下終了後沸点温度で更に30
分間撹拌して重合反応を完了し、固形分20%のポリア
クリル酸含水溶液(重合体A7)を得た。
【0064】重合体製造例8 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量5リットルの四つ口フラスコに水1620gを仕込
み、100℃まで昇温した。次に0.8 重量%の過硫酸ナ
トリウム水溶液40gと40重量%のアクリル酸水溶液
1840gを60分かけて常圧下、沸点温度で連続的に
滴下し、重合反応を行なった。次いで更に0.8 重量%過
硫酸ナトリウム水溶液150gを15分かけて常圧下、
沸点温度で連続的に滴下し、滴下終了後沸点温度で更に
30分間撹拌して重合反応を完了し、固形分20%のポ
リアクリル酸含水溶液(重合体A8)を得た。
【0065】重合体比較製造例1 温度計、窒素導入管、撹拌機および還流冷却機を備えた
容量1リットルの四つ口フラスコにベンゼン450gを
仕込み、次にアクリル酸50gおよびアゾビスイソブチ
ロニトリル0.1 gを仕込んで、窒素気流下に70℃で沈
澱重合を行なった。生成ポリマーは微粒子となって析出
沈澱した。スラリーを40℃で180分減圧(20mmH
g)乾燥しポリアクリル酸粉末(比較重合体B1)を得
た。得られた各重合体の10%水溶液粘度および分子量
を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】上記で得た各重合体含水溶液を、下記乾燥
法1〜4に示す方法で加熱条件を種々変更して乾燥を行
ない、得られた各粉末の物性を調べた。結果を、乾燥条
件などを含めて表2〜表4に一括して示す。
【0068】乾燥法1 図3に示した様な回転式乾燥装置を用いて、テフロン製
ベルト1の下方から伝熱板A、B、C、D、Eにより伝
熱加熱する方式の乾燥法を採用し、各伝熱板の温度を表
1に示す様に変更して乾燥を行なう。尚ベルト加熱領域
の長さは300cmとし、各伝熱板A、B、C、D、Eに
よる加熱部の長さは夫々50cmとし、冷却ゾーンFの長
さは50cmとした。このベルト上に各重合体含水溶液P
を所定の厚さとなる様に供給して連続的に乾燥を行なう
と共に、各加熱ゾーンにおける表面温度および内部温度
を測定する。尚温度測定は、乾燥中の重合体含水物Pの
表面にCA線(直径0.3mm )の先端がほぼ埋没する様に
押し当てて表面温度を測定し、また内部温度はCA線
(同前)の先端部が乾燥中の重合体含水物Pのほぼ真中
に位置する様に斜め方向から差し込んで測定する。
【0069】乾燥法2 図4に略示する如く、横方向に熱風を送りながら乾燥す
るタイプの熱風乾燥機を使用し、その中の金網a上に、
重合体含水溶液Pをテフロンシートb上に所定厚さに塗
布してから載置し、所定温度で熱風乾燥を行なう。
【0070】乾燥法3 図5に略示する様な減圧式の箱形乾燥機を使用し、その
中の金網a上に上記と同様に重合体含水溶液Pをテフロ
ンシートb上に所定厚さに塗布してから載置し、所定の
減圧度および温度で減圧乾燥を行なう。
【0071】乾燥法4 テフロンシート上に所定の厚さで載置した重合体含水溶
液を25℃×65%RHの恒温恒室内に放置し、常温常
圧で自然乾燥させる。
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】表2〜表4より次の様に考察することがで
きる。実施例1〜12:本発明の規定要件を全て満足す
る実施例であり、いずれの重合体粉末も経日安定性が良
好であり、水への再溶解性も良好で且つ不溶解物の存在
も認められない。これに対し比較例1〜6は、本発明で
規定する何れかの要件を欠如するものであり、以下に示
す如く経日安定性、水への溶解性のいずれかに問題があ
る。
【0076】比較例1:乾燥時における重合体の温度が
規定範囲を超えているため、AVMeOH/AVH2O の値が
低く、乾燥時に相当量の酸無水物が生成していることを
確認することができ、経日安定性および水への再溶解性
が悪く、且つ不溶物の残存量も多い。
【0077】比較例2,3:乾燥時における重合体の温
度が規定範囲を超えているばかりでなく、表面温度と内
部温度の差も50℃を超えているため、AVMeOH/AV
H2Oの値が低く、乾燥時に相当量の酸無水物が生成して
いることを確認することができ、経日安定性および水へ
の再溶解性が悪く、且つ不溶物の残存量も多い。
【0078】比較例4:最終の含水率が10%を超える
ため粉砕が困難であり、極めて粗い粒が存在し、更には
粒度構成も好適要件を外れているため目標の溶解時間を
得ることができない。 比較例5:常温常圧で自然乾燥したものであって水への
再溶解に長時間を要する。
【0079】比較例6:沈殿重合法によって得たもので
あり、微細な沈殿として得ることができるので乾燥が容
易であり高粘性で経日安定性も良好であるが、固め見掛
比重が小さいために水への再溶解時に「ままこ」状とな
り、溶解に長時間を要する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用される好ましい乾燥装置を例示す
る概念説明図である。
【図2】水への溶解時間の測定に用いた撹拌羽根の形状
を示す図である。
【図3】実施例で採用した乾燥方法を示す説明図であ
る。
【図4】実施例で採用した乾燥方法を示す説明図であ
る。
【図5】比較例で採用した乾燥方法を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 ベルト 2a,2b ローラ 3 重合体含水物供給部 4a,4b,4c ヒーター 5 スリッター P 重合体含水物

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中和度が50%以下の(メタ)アクリル
    酸(塩)系重合体からなる粉末であって、水溶媒中で測
    定される酸価が250 以上で、且つ(メチルアルコール溶
    媒中で測定される酸価)/(水溶媒中で測定される酸
    価)の比が0.90以上であると共に、水分含有率が10%
    以下、固め見掛比重が0.6以上の要件を満たす他、下
    記方法によって求められる水への溶解時間が3時間以下
    であることを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系重
    合体粉末。 [水への溶解時間] 500mlのビーカーに水450gを入れ、マグネチック
    スターラーにより撹拌しながら重合体粉末50gを30
    秒以内で投入して分散させる。この分散液を、図2に示
    す如く羽根(7.5 ×7.5cm の平板の4か所に1.5 ×1.5c
    mの穴をあけたもの)付き撹拌機を使用し、25℃、2
    0rpm で撹拌する。そして所定時間撹拌した後、分散液
    を50メッシュのふるいによって濾過し、ふるい上に不
    溶物が認められなくなるまでの時間を求め、水への溶解
    時間とする。
  2. 【請求項2】 10%水溶液の粘度が10cps 以上で、
    16メッシュパスで且つ300メッシュオンが50重量
    %以上であり、且つ300メッシュパスが30重量%以
    下の粒度構成を有するものである請求項1に記載の(メ
    タ)アクリル酸(塩)系重合体粉末。
  3. 【請求項3】 中和度が50%以下である(メタ)アク
    リル酸(塩)系重合体からなる水分含有量が45%超の
    含水溶液を乾燥するに当たり、 (1) 該含水溶液を予熱する工程、 (2) その後、表面温度を70〜150℃に保つと共に、
    表面温度と内部温度の差を50℃以下に抑えながら、全
    体の水分含有率を40%にまで低減する工程、 (3) 更に、表面温度および内部温度を80〜170℃に
    保つと共に、表面温度と内部温度の差を50℃以下に抑
    えながら、全体の水分含有率を10%以下にまで低減す
    る工程、 (4) 次いで粉砕する工程、 を順次実施し、請求項1または2に記載の粉末を得るこ
    とを特徴とする(メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末
    の製法。
JP4197010A 1992-07-23 1992-07-23 (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法 Expired - Fee Related JP2555841B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4197010A JP2555841B2 (ja) 1992-07-23 1992-07-23 (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP4197010A JP2555841B2 (ja) 1992-07-23 1992-07-23 (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0641313A JPH0641313A (ja) 1994-02-15
JP2555841B2 true JP2555841B2 (ja) 1996-11-20

Family

ID=16367287

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP4197010A Expired - Fee Related JP2555841B2 (ja) 1992-07-23 1992-07-23 (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2555841B2 (ja)

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5668252A (en) * 1995-09-11 1997-09-16 Nippon Shokubai Co., Ltd. Drying process of viscous solution containing (meth)acrylic acid-based polymer
JP4608132B2 (ja) * 2001-05-30 2011-01-05 太平洋セメント株式会社 粉末状セメント分散剤の製造方法
US8975339B2 (en) * 2007-10-09 2015-03-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. Surface treatment method for water-absorbent resin
JP6044635B2 (ja) 2011-07-29 2016-12-14 ロジャース ジャーマニー ゲーエムベーハー 基板用包装ならびにそのような包装を備える包装ユニット
JP6934281B2 (ja) * 2018-01-24 2021-09-15 Mtアクアポリマー株式会社 粉末状水溶性重合体の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0641313A (ja) 1994-02-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4271736B2 (ja) すぐれた加工性を有する高吸収性ポリマー
JP2008522003A (ja) 高吸水性ポリマー用架橋剤
JPS62235305A (ja) 高分子量アクリル系重合体の製法
JP2951014B2 (ja) ビニルアミン単位を含有する微粒状の水溶性ポリマーの製造法
CN102361890A (zh) 制备表面后交联的吸水性聚合物颗粒的方法
JPH04175319A (ja) 吸水性樹脂の製造法
JP2555841B2 (ja) (メタ)アクリル酸(塩)系重合体粉末およびその製法
JP2011527359A (ja) 吸水性ポリマー粒子の製造方法
JP2005036100A (ja) 吸水性樹脂を製造する方法
JPH0310642B2 (ja)
JPH11240914A (ja) 親水性架橋重合体の製造方法
JPH06256414A (ja) (メタ)アクリル酸(塩)系重合体の製造方法
JP2011168632A (ja) 架橋重合体微粒子およびその製造方法
JP2003251106A (ja) 粒状高分子凝集剤の製造法
JPS5918712A (ja) 乾燥した吸水性樹脂の製造方法
JP4057096B2 (ja) ポリ(メタ)アクリル酸系の水溶性ポリマー粒子
JP4844858B2 (ja) 水溶性ポリアクリル酸系重合体の製造方法
JPS608681B2 (ja) 凝集性重合体
JPH0527641B2 (ja)
JP3291383B2 (ja) (メタ)アクリル酸(塩)系重合体熱処理物の製造方法
JP7374175B2 (ja) 超吸収体の製造の方法
CN112969529B (zh) 制备超吸收剂的方法
JP5604999B2 (ja) 水溶性重合体の製造方法
KR102586309B1 (ko) 소수성 용매 중 분산된 단량체 수용액의 중합에 의한 초흡수제 입자의 불연속적 제조 방법
JPS63270708A (ja) カチオン性(メタ)アクリル系水溶性ポリマ−の製法

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 19960709

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070905

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080905

Year of fee payment: 12

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090905

Year of fee payment: 13

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees