JP6934281B2 - 粉末状水溶性重合体の製造方法 - Google Patents

粉末状水溶性重合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、粉末状水溶性重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、細粒化時における発熱が小さく、かつ粒度分布が所定の尖度を有する粉末状水溶性重合体の製造方法に関する。
水溶性高分子材料は生活排水、産業排水等に含まれる懸濁物を凝集・沈降・分離させる高分子凝集剤として、また、製紙産業における製紙用薬剤や土木建築における混和剤や加泥剤などとして用いられている。
高分子凝集剤や製紙用薬剤としては、従来、粉末型やエマルション型等の水溶性高分子材料から成るものが知られている。このうち、粉末型は、製造コストが低いことや、高分子凝集剤の有効成分の含有率が高いため輸送コストが削減できる等の利点を有する。
粉末型の水溶性高分子材料から成る高分子凝集剤は、水溶性単量体を水性溶媒中で重合して含水ゲル状重合体を得、この含水ゲル状重合体をチョッパー等で粗砕した後に乾燥して固形の粗粒状水溶性重合体を得、次いでこの粗粒状水溶性重合体を細粒化することにより製造される。
特許文献1には、特定の温度で乾燥することを特徴とする粉末状のカチオン系水溶性高分子化合物の製造方法が開示されている。乾燥時に生じる熱架橋を抑制しようとするものである。
粉末型の水溶性高分子材料は、使用の際の溶解性や取扱いの利便性の必要から、粒度を適切に調整する必要がある。そのため、粉末型の高分子凝集剤の製造においては、乾燥工程後に細粒化工程が設けられており、この細粒化工程における熱架橋についても抑制することが求められる。従来、この細粒化工程は、ロール粉砕機やグラニュレーターのような圧縮粉砕機を用いて行われているが、圧縮粉砕時の発熱によって熱架橋等の副次的反応が生じて品質を低下させることがある。さらに圧縮粉砕機は、投入される高分子のガラス転移温度が低い場合は、塊状化するなどして粉砕が困難になるため、安定した運転ができない。そのため投入前に冷却が必要になり、さらに冷却に伴う結露で吸湿するなどの問題点がある。
特開2008−094930号公報 特許4835744号公報
本発明の課題は、細粒化時の発熱による熱架橋等の副次的反応が生じ難く、かつ粒度分布が狭い粉末状水溶性重合体を得ることができる製造方法を提供することである。
本発明者らは上記課題について鋭意検討を進めた結果、粗粒状水溶性重合体の細粒化工程において、細粒化装置内に所定の粒子径を有する粗粒状水溶性重合体を供給し、回転刃と固定刃とを有する裁断機構を用いて裁断するとともに、細粒化装置内から気流を用いて粉末を分級しつつ回収することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記課題を解決する本発明は、以下に記載するとおりである。
〔1〕 少なくとも1種類以上のラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物を重合して、乾燥減量が10質量%以下であり、かつ粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%以下である粗粒状水溶性重合体を得、
次いで、前記粗粒状水溶性重合体を細粒化しつつ気流中で分級することにより、粒度分布の尖度を0以上とすることを特徴とする粉末状水溶性重合体の製造方法。
〔2〕 前記単量体混合物が架橋性単量体を含む〔1〕に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
〔3〕 前記重合が水溶液ゲル重合、分散重合、又は逆相エマルション重合の何れかである〔1〕に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
〔4〕 前記細粒化が、温度40℃以上で行われる〔1〕に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
〔5〕 前記粗粒状水溶性重合体の粒子径4.75mm以上の粒子が60質量%以下であり、前記尖度が1〜6である〔1〕に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
〔6〕 前記細粒化が、
チャンバーと、
前記チャンバー内に設けられて成る裁断機構であって、回転軸上の回転円周に沿って突設された回転刃と、前記回転刃と協働する固定刃とにより構成される裁断機構と、
前記チャンバー内から気流により粉体を排出し、サイクロンを用いて気流から粉体を回収する回収機構と、
を備える装置を用いて行う〔1〕に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
本発明の粉末状水溶性重合体の製造方法によれば、細粒化装置内に供給された所定の粒子径を有する粗粒状水溶性重合体は、裁断と並行して連続的な気流中での分級を行っているため、常に空冷状態で細粒化される。加えて回転刃と固定刃とを有する裁断機構を用いる裁断は裁断時の発熱も少ないことも相まって、機械的外力で生じる熱による水溶性重合体の熱架橋等の副次的反応が生じ難くなり、不溶解物等の発生をなくすることができる。また、ガラス転移点が低い水溶性重合体を冷却することなく投入した場合でも、裁断されて細粒化した水溶性重合体は気流による分級で連続的に排出されるため、機械的な外力の繰り返し印加による塊状化が起こりにくい。
さらには圧縮粉砕では一度の粉砕で粒度の異なる多数の細粒を生じやすいのに対し、本発明の裁断機構では細粒の発生は少数にとどまり、そのうちの一定の粒度以下となった細粒のみが先行して回収される機構のため、粒度分布が狭い粉体を得ることができる。その結果、粉末状水溶性重合体の溶解性や取扱い性を高くすることができる。
本発明の細粒化に用いる装置の一構成例を示す説明図である。
以下に本発明について詳細に説明する。
なお、本明細書において、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと表し、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドを(メタ)アクリルアミドと表し、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
本発明は、
少なくとも1種類以上のラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物を重合した後に乾燥することにより、乾燥減量が10質量%以下、かつ粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%以下である粗粒状水溶性重合体を得る工程と、
粗粒状水溶性重合体を気流中で細粒化することにより、尖度が0以上の粉末状水溶性重合体を得る細粒化工程と、
を有する粉末状水溶性重合体の製造方法である。
(1) 粗粒状水溶性重合体
粗粒状水溶性重合体は、少なくとも1種類以上のラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物を重合して得られる重合体である。
この粗粒状水溶性重合体の粒子径は、所定の範囲である。具体的には、粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%以下であり、60質量%以下であることがより好ましい。粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%を超えて含まれる場合、細粒化工程での滞留時間が長くなり結果として裁断回数が増えて分布が広がるため尖度を0以上にすることが困難となる。また、裁断に大きい力が必要となるため、動力負荷も増加する。なお、粗粒状水溶性重合体が細粒化の目標とする粒子径範囲以下の粒子を多く含む場合、細粒化の過程を経てもその重量分率が減ることは無いため結果として尖度が低下する。以上より、目的とする粒度範囲の下限未満、例えば粒子径0.17mm未満の粒子が10質量%未満であることが好ましく、5質量%未満であることがより好ましい。このような範囲の粒子径を有する粗粒状水溶性重合体を気流中で粉砕することにより、尖度を0以上とすることができる。
この粗粒状水溶性重合体の乾燥減量は、10質量%以下である。ここで、乾燥減量とは、常圧において105℃で90分間加熱乾燥した際における質量減少割合を意味する。乾燥減量は2〜10質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることがより好ましい。
この粗粒状水溶性重合体は、例えば以下のようにして製造される。
(2) 粗粒状水溶性重合体の製造方法
本発明において、粗粒状水溶性重合体の製造方法としては、少なくとも1種類以上のラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物の水溶液を水溶液ゲル重合することにより塊状の含水ゲル重合体を得、該含水ゲル状重合体を一次裁断して乾燥する方法;同単量体混合物を溶剤中でエマルション重合した後に該溶剤を除去して乾燥する方法;同単量体混合物を分散媒中で分散重合した後に該分散媒を除去して乾燥する方法が挙げられる。
(2−1) 単量体混合物
本発明における単量体混合物は、少なくともラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物である。
ラジカル重合性水溶性単量体(A)としては、ラジカル重合し得るラジカル重合性の二重結合を有する単量体であれば使用できる。
カチオン性のラジカル重合性水溶性単量体としては、下記一般式(1)で表される化合物の他、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド等のジアリルジアルキルアンモニウムハロゲン化物等を挙げることができる。これらのカチオン性単量体の中でも、ラジカル重合反応性に優れており、高分子量化が容易であり、得られる重合体の高分子凝集剤としての性能が優れることから、下記一般式(1)で表される化合物が好ましい。

CH=CR−CO−X−Q−N・Z ・・・化(1)

但し、Rは水素原子又はメチル基、R及びRはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基、Rは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はベンジル基であり、同種でも異種でもよい。Xは酸素原子又はNH、Qは炭素数1〜4のアルキレン基又は炭素数2〜4のヒドロキシアルキレン基、Zは対アニオンをそれぞれ表し、Zとしては、塩化物イオン等のハロゲン化物イオンや硫酸イオンが例示される。
前記一般式(1)で表されるカチオン性単量体の具体例としては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートや、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩酸塩及び硫酸塩が例示される。また、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレートやジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドの塩化メチル等のハロゲン化アルキル付加物、塩化ベンジル等のハロゲン化ベンジル付加物、硫酸ジメチル等の硫酸ジアルキル付加物等である第4級塩が例示される。
これらの好ましいカチオン性単量体の中でも、特に高分子凝集剤に必要な高分子量化が容易なジメチルアミノエチルアクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩及びジメチルアミノエチルメタクリレートの塩化メチル付加物である第4級塩が最も好ましい。これらのカチオン性単量体は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ノニオン性のラジカル重合性水溶性単量体としては、(メタ)アクリルアミド系化合物の他、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルキルや、スチレン、アクリロニトリル、及び酢酸ビニル等を挙げることができる。これらのノニオン性単量体の中でも、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから、(メタ)アクリルアミドが好ましく、アクリルアミドが最も好ましい。これらのノニオン性単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン性単量体としては、(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類の他、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、マレイン酸、及びこれらの塩類を挙げることができる。これらのアニオン性単量体の中でも、高分子凝集剤として必要な高分子量化が容易であり、高分子凝集剤としての性能が優れることから(メタ)アクリル酸及びこれらの塩類が好ましい。塩類としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩及びカリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。これらのアニオン性単量体は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体混合物には、必要に応じ、架橋性単量体を含むこともできる。架橋性単量体はポリマー鎖に分岐や架橋構造を導入する目的で使用される。架橋性単量体としては、メチレンビスアクリルアミド又は下記式(2)で示されるジ(メタ)アクリレートが好ましい。特に、後者は水溶性の高いエチレンオキサイド及び/又はプロピレングリコール変性されたジ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの中でも分子量が小さく、水溶性であって反応性が高いメチレンビスアクリルアミドが特に好ましい。

CH=CR−CO−Y−CO−CR=CH ・・・化(2)

但し、R及びRはそれぞれ独立にH又はCH、YはO(CO)又はO(CO)であり、nは1〜10の整数を示す。
架橋性単量体の量としては、単量体混合物の全単量体質量に対して1〜1000ppmが好ましく、1〜500ppmがさらに好ましい。1000ppmを超えて添加すると架橋度が高過ぎて、高分子凝集剤としての凝集性能が著しく低下する。
(2−2) 水溶液ゲル重合
水溶液ゲル重合とは、単量体及び該単量体を重合させて得られる重合体がともに溶解する溶媒である水を主たる溶媒として用いて、水中で単量体を重合させる方法である。水溶液ゲル重合による粗粒状水溶性重合体の製造方法としては、以下の方法が例示される。
先ず、ラジカル重合性水溶性単量体(A)の水溶液を調製する。水溶液はどのような方法で調製してもよい。水溶液中の単量体濃度は、20〜85質量%であることが好ましく、30〜60質量%であることがより好ましい。単量体の濃度が20質量%未満である場合は、重合の進行が遅くなり、結果的に製品中の残存モノマーが増加する。単量体の濃度が85質量%を超える場合は、重合が急速に進行するとともに、水の蒸発により発泡し、設備トラブルを引き起こす場合がある。
単量体混合物の水溶液のpHは2〜5に調整することが好ましい。
その後、窒素ガス等を用いて単量体水溶液中の溶存酸素を除去後、重合反応を開始させる。重合反応の開始は、上記方法で調製した単量体水溶液に重合開始剤を添加することにより行う。
重合開始剤は特に制限されない。過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、レドックス系開始剤及び光重合開始剤等を適宜利用できる。これらのラジカル重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシルエチル]−プロピオンアミド、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]が例示される。これらは単独で用いても、2種以上を併用しても良い。
レドックス開始剤は、公知の酸化剤と還元剤とを組み合わせることにより調製できる。酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化水素、ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドが例示される。還元剤としては、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、トリメチルアミンが例示される。レドックス開始剤の添加量は、酸化剤、還元剤ともに単量体水溶液の質量に対して1〜200ppmが好ましい。酸化剤、還元剤の各水溶液を重合開始の直前に単量体水溶液に加えることにより重合を開始させることができる。
光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、アンスラキノン、アシルホスフィンオキサイド化合物、アゾ化合物が例示される。光重合開始剤の添加量は、単量体水溶液の質量に対して200〜5000ppmが好ましい。光重合開始剤を単量体水溶液に加え、光重合開始剤の最大吸収波長の光を含む光を照射することにより重合を開始させることができる。光源としては、高圧水銀灯、低圧水銀灯等が挙げられる。
単量体水溶液には、前述の単量体、重合開始剤の他、必要に応じて連鎖移動剤、pH調整剤等を加えてもよい。
重合反応は、適当な反応容器中で回分的に行うこともできるし、ベルトコンベア等のベルトの上に単量体水溶液を連続的に流し込み、連続的に重合反応を行うこともできる。
上記重合反応によって得られる含水ゲル重合体は、残留している単量体の含有量の低減を目的として、熱処理を行ってもよい。熱処理は、反応容器内やベルトコンベア上で含水ゲル重合体を加熱することにより行う。熱処理条件は70〜100℃で、1〜5時間が好ましい。
得られた含水ゲル重合体を公知の方法で一次裁断した後、乾燥することにより、粗粒状水溶性重合体を得ることができる。
含水ゲル重合体の一次裁断は、チョッパーや肉挽機を用いて行うことができる。
一次裁断は、乾燥後に得られる粗粒状水溶性重合体の粒子径が所定の範囲となるように行うことが好ましい。具体的には、乾燥後に得られる粗粒状水溶性重合体において、粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%以下となるように行うことが好ましく、60質量%以下となるように行うことがより好ましい。
なお、乾燥した後に得られる粗粒状水溶性重合体において、粒子径4.75mm以上の粒子が過度に含まれる場合は、該粒子を予備粉砕した後、分級して供給しても良い。
含水ゲル重合体の乾燥は、公知の方法で行うことができる。乾燥温度は60〜130℃が好ましく、80〜110℃がより好ましい。乾燥時間は1〜6時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。
含水ゲル重合体の乾燥は、得られる粗粒状水溶性重合体の乾燥減量が10質量%以下になるまで乾燥することが必要である。ここで、乾燥減量とは、常圧において105℃で90分間加熱乾燥した際における質量減少割合を意味する。乾燥減量は0〜10質量%となるまで乾燥することが好ましく、4〜10質量%となるまで乾燥することがより好ましい。
(2−3) エマルション重合
エマルション重合は、所定の単量体、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤等を含有する水相と、非混和性の炭化水素からなる油状物質と、油中水滴型エマルションを形成させる有効量の界面活性剤と、を用いて油中水滴型エマルションを形成させ、このエマルションの液滴内で単量体を重合させる方法である。
油状物質としては、パラフィン類、各種鉱油、パラフィン類や各種鉱油と同等の特性を有する炭化水素系油、及びこれらの混合物を挙げることができる。油状物質の含有量は、油中水滴型エマルション全量に対して15〜50質量%の範囲であり、20〜40質量%であることが好ましい。
界面活性剤は、HLBが3〜11であることが好ましい。そのような界面活性剤の例としては、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノステアレート等のノニオン性界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤の添加量は、油中水滴型エマルション全量に対して0.3〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましい。
エマルション重合を行う場合の重合条件は、使用する単量体や開始剤、重合体の物性に応じて適宜設定される。重合温度は5〜90℃が好ましい。単量体の重合濃度は20〜60質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。重合時間は1〜10時間が好ましく、2〜6時間がより好ましい。重合反応は酸素のない不活性雰囲気で行うことが好ましい。エマルションの平均粒子径は、0.03〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.5〜3.0μmがさらに好ましい。平均粒子径は、レーザー回折法により測定される体積平均値をいう。
エマルション重合によって得られるエマルション重合体は、公知の方法で脱溶剤及び乾燥を行うことにより粗粒状水溶性重合体が得られる。例えば、少量の水を添加して油中水滴型エマルションを転相させて塊状としたのち、前述の含水ゲル重合と同様の方法で乾燥する方法、水及び炭化水素を蒸発させて分離した蒸気のうち炭化水素のみを系内に戻す還流脱水工程により、水の一部を除去した重合体の分散液を作製し、さらに炭化水素及び水を除去して塊状としたのち、前述の含水ゲル重合と同様の方法で乾燥する方法、が挙げられる。
乾燥温度は60〜130℃が好ましく、80〜130℃がより好ましい。乾燥時間は1〜6時間が好ましく、2〜5時間がより好ましい。
(3) 粉末状水溶性重合体
粉末状水溶性重合体は、前述の粗粒状水溶性重合体を細粒化することによって得られる。この粉末状水溶性重合体は尖度が0以上の粒度分布を有していることを特徴とする。尖度は1〜6であることが好ましく、4〜6であることがより好ましい。このような尖度を有する粉末状水溶性重合体は粒度分布が狭いため、溶解性及び取扱性が高い。
ここで尖度とは、分布の尖り具合を表す値である。正規分布の場合は尖度が0であり、値が大きいほど尖っていることを示す。
尖度は、例えば、篩分けや粒度分布測定装置によって粒度分布を測定した後、平均値に対するモーメントとして算出することができる。
本発明の粉末状水溶性重合体の製造方法は、この粗粒状水溶性重合体の細粒化方法に最大の特徴を有する。
本発明において粗粒状水溶性重合体の細粒化は、
チャンバーと、
このチャンバー内に設けられて成る裁断機構であって、回転軸上の回転円周に沿って突設された回転刃と、この回転刃と協働する固定刃とにより構成される裁断機構と、
前記チャンバー内から気流により粉体を排出し、サイクロンを用いて気流から粉体を回収する回収機構と、
を備える装置を用いて行う
図1は、本発明において粗粒状水溶性重合体の細粒化に使用する装置の一構成例を示す説明図である。符号100は細粒化装置であり、10はチャンバーである。チャンバー10には、粗粒状水溶性重合体をチャンバー10内に導入する導入口11と、チャンバー10の上部に形成されるとともにチャンバー10内から細粒化品を排出する排出口13とが形成されている。排出口13には接続管15を介してサイクロン17が接続されている。サイクロン17の下方には製品回収口19が形成されている。サイクロン17には接続管21を介してバグフィルタ23、ファン25が順次接続されている。チャンバー10内には裁断機構50が設けられている。この裁断機構50は、回転軸51上の回転円周に沿って突設された回転刃53と、この回転刃53と協働する固定刃55とにより構成される。
この細粒化装置100は、以下のように動作する。
先ず、ファン25を運転することにより、サイクロン17、チャンバー10内に気流が発生する。次いで導入口11からチャンバー10内に粗粒状水溶性重合体が導入される。チャンバー10内に導入された粗粒状水溶性重合体は、裁断機構50によって繰り返し裁断される。裁断が進行して粗粒状水溶性重合体の粒度が所定の範囲になった粒子(即ち、本発明に規定する粉末状水溶性重合体になった粒子)は、排出口13からチャンバー10外に自動的に排出される。細粒化が不十分な粗粒状水溶性重合体は、チャンバー10内に留まり、裁断機構50によって所定の粒度になるまで繰り返し裁断される。排出された粉末状水溶性重合体は、サイクロン17によって固気分離され、分離された粉末状水溶性重合体は製品回収口19から回収される。即ち、粗粒状水溶性重合体(粉末状水溶性重合体)は、気流によって分級されるように構成されている。分級の程度は、サイクロンの風量によって適宜調整される。
このように気流中での分級と並行して裁断することにより、裁断時の発熱は抑制される。また、粗粒状水溶性重合体は、当初はチャンバー内で繰り返し裁断され、気流によって排出される粒径になると直ちにチャンバーから排出されるため、粒度分布をシャープにすることができる。
さらには、本発明の製造方法に使用する細粒化装置は、回転刃53と協働する固定刃55とにより構成されるため、粗粒状水溶性重合体の一粒子において、その一点に集中的に裁断の外力が加わる。即ち、圧縮粉砕のような一粒子の全体に外力が加わることがない。加えて裁断後に所定の粒度以下となった細粒は、連続的に排出されるため、繰り返し外力を受けることがない。そのため、比較的含水率が高く、あるいは比較的分子量が低く柔らかい水溶性重合体、さらにはガラス転移点が低いなど、圧縮粉砕では粉砕不良や塊状化を起こしてしまうために投入前に冷却が必要な物質であっても、冷却をしないまま細粒化を行うことができる。具体的には、温度30℃以上、さらには40℃以上の範囲で裁断を行うことができる。このように本発明の製造方法によれば、細粒化時の発熱が元来小さいことと比較的高温になっても対応可能なことから、長時間の安定した細粒化の継続が可能である。
このような装置としては、例えば特許文献2に開示されている装置を用いることもできる。
(4) 粉末状水溶性重合体の用途
本発明の製造方法により得られる粉末状水溶性重合体は、汚泥に添加して脱水する汚泥処理剤として使用される。処理対象の汚泥は特に制限されない。下水処理、し尿処理及び生活廃水処理等で発生する汚泥の他、食品工場、食肉加工及び化学工場等の各種産業廃水処理で発生する汚泥、養豚場等の畜産関係で発生する生し尿及びその廃水処理で発生する汚泥、パルプ又は製紙工業で発生する汚泥等の各種汚泥が処理対象になる。汚泥の種類にも制限はなく、初沈汚泥、余剰汚泥及びこれらの混合汚泥、濃縮汚泥及び嫌気性微生物処理した消化汚泥等が何れも処理対象になる。
本発明の汚泥の脱水方法は、上記各種汚泥に、本発明の製造方法により得られる粉末状水溶性重合体を添加して脱水することを特徴とする。脱水方法の具体例としては、以下の方法が例示される。
すなわち、汚泥に、必要に応じて無機凝集剤を添加し、好ましくはpHを4〜7に調節する。その後、この汚泥に本発明の高分子凝集剤を添加し、公知の方法で撹拌及び/又は混合することで汚泥中の懸濁物と高分子凝集剤を作用させて、汚泥フロックを形成させる。形成された汚泥フロックを、公知の手段により機械的に脱水処理することで、処理水と脱水ケーキに分離する。なお、本発明の高分子凝集剤として架橋型両性重合体を使用する場合は、前記無機凝集剤を併用することが好ましい。また、脱臭、脱リン及び脱窒等を目的とする場合は、汚泥のpHを5未満にすることが好ましい。
無機凝集剤としては、特に制限されないが、硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、ポリ硫酸第二鉄等が例示される。
脱水装置としては、特に制限されないが、スクリュープレス型脱水機、ベルトプレス型脱水機、フィルタープレス型脱水機、スクリューデカンター、多重円盤等が例示される。
以下、実施例によりさらに具体的に本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各種物性の測定方法は以下の通りである。各種物性の測定における温度条件は、特に断りのない限り25℃である。
<粒度分布の測定方法>
JIS K 0069「化学製品のふるい分け試験法」によって篩分けし、全体に対する各分画の質量を測定して質量百分率を求め、篩粒度測定値とする。
<流動性の測定方法>
精秤した試料約 100gをJIS K 6721に示された「かさ比重測定装置」のダンパーを差し込んだ漏斗に入れた後,速やかにダンパーを引き抜き,試料が受器に落下するまでの時間を計測する。落下に要する時間と試料量から1分あたりの落下量(g/min)を算出し、流動性測定値とする。
<流動性の測定方法>
精秤した試料約100gをJIS K 6721に示された「かさ比重測定装置」のダンパーを差し込んだ漏斗に入れた後,速やかにダンパーを引き抜き,試料が受器に落下するまでの時間を計測する。落下に要する時間と試料量から1分あたりの落下量(g/min)を算出し、流動性測定値とする。
<不溶解分の測定方法>
ビーカーにイオン交換水400mlをとり、撹拌装置に装てんして素早く撹拌させながら0.40gの水溶性重合体を投入する。水溶性重合体が分散したのち撹拌速度を落とし、ビーカー内の液の全体が撹拌する程度の撹拌速度を維持しつつ2時間溶解する。
この溶液を、あらかじめ予備乾燥して質量を測定した150メッシュステンレス製金網でろ過する。金網上の残渣を、さらに3リットルのイオン交換水で洗浄したのち、金網ごと105℃で90分間乾燥し、デシケーター中で冷却後、質量を測定し、水溶性重合体の投入量に対する残渣の質量百分率を求める。
(製造例1)
<アニオン性の粗粒状水溶性重合体A1の製造法>
50質量%アクリルアミド(以下、AAMと記す)水溶液と、31質量%アクリル酸ナトリウム(以下、AANaと記す)水溶液と、イオン交換水と、を混合した。AAMとAANaの組成比は84:16(mol%)、AAMとAANaとの合計の濃度は32質量%とした。2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(以下、AMBNと記す)を少量のメタノールに溶解して添加した。AMBNの添加量は、AAMとAANaとの合計モル数の550×10−6倍のモル数とした。この液に窒素気流を通じて十分に脱気しつつ、液温を0℃±1℃に調整した。これに硫酸第一鉄アンモニウム・6水塩(以下、FASと記す)の0.014質量%水溶液と、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロペルオキシド(以下、P25Hと記す)の0.007質量%水溶液とを、それぞれAAMとAANaとの合計モル数に対して1.50×10−6倍のモル数、1.65×10−6倍のモル数となるよう連続的に添加しながら、幅約1.8m、反応深さ約20cmのベルト型の連続重合器に投入した。ベルト上の滞留時間は約6時間であり、最高到達温度は92゜Cであった。ベルト重合器の出口において、自動裁断機を用いてゲルを裁断し、帯状の含水ゲル状重合体を得た。
得られた含水ゲル状重合体を目皿径4.5mmφのチョッパーで一次裁断し、連続式回転ドラム式乾燥機で、各ブースの温度と滞留時間を調整することにより、乾燥後のゲル状重合体の乾燥減量(含水率)が約6質量%となるようにして、粗粒状水溶性重合体A1を得た。この時の乾燥機内の滞留時間は240分であった。粗粒状水溶性重合体A1の物性を表1に示した。
(製造例2)
<アニオン性の粗粒状水溶性重合体A2の製造法>
連続式回転ドラム乾燥機の滞留時間を180分とする以外は、製造例1と同様にして、粗粒状水溶性重合体A2を得た。粗粒状水溶性重合体A2の物性を表1に示した。
(製造例3)
<アニオン性の粗粒状水溶性重合体A3の製造法>
チョッパーの目皿径を6.0mmφとし、連続式回転ドラム乾燥機の滞留時間を280分とする以外は、製造例1と同様にして、粗粒状水溶性重合体A3を得た。粗粒状水溶性重合体A3の物性を表1に示した。
Figure 0006934281
(実施例1)
気流による搬送により所定の粒度を分画する分級機能を備えた裁断機型細粒化装置(有限会社吉工製、SRC250シリーズ、定格電力1.9kW)を使用し、粗粒状水溶性重合体1を細粒化した。粗粒状水溶性重合体は、ホッパー下部にスクリュー状の粉体押し出し機構を備えた給粉機を用い、導入口から投入した。投入量はスクリューの回転速度で調整した。空気は導入口から流入し、ブロワーによる吸引によりチャンバー、排出口、サイクロンに至る搬送気流を形成する。粗粒状水溶性重合体1及びその細粒化物の滞留時間と排出速度は気流の流速で調整した。気流の流速はブロワー回転数で設定した。全量で20kgのサンプルを細粒化し、すべて排出されるまでの時間を計測した(以下、この方法による細粒化を「本発明の細粒化法」ともいう)。その条件及び得られた粉末の物性を表2に示した。
(比較例1)
2段回転ロールミル型粉砕機(株式会社浅野鉄工所製、M-742−1型、定格電力11kW)を用いて粗粒状水溶性重合体1を粉砕した。投入には、ホッパー下部にスクリュー状の粉体押し出し機構を備えた給粉機を用いた。投入速度はスクリューの回転速度により調整し、可及的速やかにかつロール刃が粗粒状水溶性重合体1で完全に覆われないように粉砕した。全量で20kgのサンプルを粉砕し、すべて排出されるまでの時間を計測した(以下、この方法による細粒化を「ロールミル法」ともいう)。その条件及び得られた粉末の物性を表2に示した。
(比較例2)
4段回転ロール型グラニュレーター(日本グラニュレーター製、GRN−6041型、定格電力15.4W)を用いて粗粒状水溶性重合体1を粉砕した。投入方法及び投入量の調整は比較例1と同様である(以下、この方法による細粒化を「グラニュレーター法」ともいう)。その条件及び得られた粉末の物性を表2に示した。
実施例1の方法によると、比較例1、2の方法よりも短時間で細粒化が完了した。比較例2のロールミル法では、一度に粉砕刃に投入できる量が制限されるため時間を要した。また、実施例1で得られた粉末は不溶解分も相対的に少なかった。比較例1、2の方法では粉砕時に粗粒に強い圧力がかかり、局部的に高温状態となって熱架橋による不溶解物が発生したと考えられる。さらに実施例1では、尖度の値が比較例1、2に比べて高い。即ち、粒度分布が狭く、粒径の均一性が相対的に高い。このため、流動性が良好な粉末が得られた。
Figure 0006934281
(実施例2)
実施例1と同様に粗粒状水溶性重合体A2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表3に示した。
(比較例3)
比較例1と同様に粗粒状水溶性重合体A2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表3に示した。
(比較例4)
比較例2と同様に粗粒状水溶性重合体A2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表3に示した。
実施例2では、比較例4に比べて短時間で粒度分布が狭い細粒化物が得られた。この細粒化物は流動性も良好な粉末であり、不溶解物も少なかった。
一方、比較例3では、粉砕刃上部で粗粒状水溶性重合体が滞留してしまい、塊状物が生成して粉砕工程を中止せざるを得なかった。塊状物の不溶解分を測定したところ、1.8質量%であり、不溶解分の生成が見られた。
粗粒状水溶性重合体A2は、A1に比べ乾燥減量が多い、即ち水分が多くなっているためガラス転移点が低い。そのため粉砕刃との衝突により温度が上がると団子の様な塊状あるいは圧延されたせんべい状となり粉砕できなくなる。本発明の細粒化法では、気流分級のための空気流により常に粉末が冷却され、さらに所定の粒子径以下に細粒化された粉末は連続的に排出され繰り返し外力を受けることがない。よって塊状化することなく細粒化でき、また熱架橋を防ぐことができる。
Figure 0006934281
(実施例3)
実施例1と同様に粗粒状水溶性重合体A3を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表4に示した。
(比較例5)
比較例1と同様に粗粒状水溶性重合体A3を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表4に示した。
(比較例6)
比較例2と同様に粗粒状水溶性重合体A3を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表4に示した。
実施例3では、組成は実施例2と同じだが4.75mmφ以上の粒子が63.4質量%とA2より多い水溶性重合体A3を使用した。そのため細粒化の完了までにより長時間を要したが全量細粒化でき、尖度0以上の粒度分布をもつ細粒化物が得られた。ただ、粗粒が多いため繰り返しの裁断が必要となり、粉砕後の粉体温度の低下も小さかった。A3より粗粒が多い水溶性重合体の場合、尖度0以上の粒度分布を得ることは難しく、また裁断装置の動力負荷の上昇も懸念される。
一方、比較例6では、粉砕刃上部で粗粒状水溶性重合体が噛みこまれずほとんど滞留してしまい連続投入できず、さらに塊状物が生成して粉砕工程を中止せざるを得なかった。
比較例7でも、徐々に細粒化物は排出されるものの、粉砕刃1段目と2段目の上部で粗粒状水溶性重合体が滞留して塊状物が生成してしまい、粉砕工程を中止せざるを得なかった。
Figure 0006934281
(製造例4)
<カチオン性の粗粒状水溶性重合体C1の製造法>
容器下部に抜き出し機構を有する重合反応缶中で50質量%AAM水溶液と、79質量%ジメチルアミノエチルアクリレートのメチルクロライド4級塩(以下、DACと記す)水溶液と、イオン交換水とを混合した。AAMとDACとの組成比は65:35(mol%)、AAMとDACとの合計濃度が30質量%となるようにした。塩酸を用いてこの水溶液をpH=4に調整した。窒素ガスを60分間溶液に吹き込みながら、溶液温度を7℃に調節し、その後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)2塩酸塩(以下、「V−50」と記す)、及び過硫酸アンモニウム((NH(SO))の水溶液を、各単量体の合計質量に対して固形分換算で、それぞれ2000ppm、20ppmとなるように加えた。次いで、重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)の水溶液を各単量体の合計質量に対して固形分換算で20ppmとなるように加え、素早く撹拌して重合を進行させた。反応温度の上昇が停止した後、60分間保持し、含水ゲル状の重合体を得た。得られた含水ゲル状の重合体を、反応缶の下部抜き出し機構から取り出して目皿径6mmφのチョッパーで一次裁断し、連続式ベルト乾燥機で滞留時間が60分となるように乾燥し、粗粒状水溶性重合体C1を得た。この粗粒状水溶性重合体C1の物性を表5に示した。
(製造例5)
<カチオン性の粗粒状水溶性重合体C2の製造法>
内面をテフロンコートした反応容器に、AAMとDACとの組成比が20:80(mol%)、AAMとDACとの合計濃度が40質量%となるように混合し、全質量を1.0kgにして均一に混合した。この溶液をpH=4に調整し、溶液温度を5℃に調節した。系内に窒素ガスを吹き込み脱気しつつ、V−50及びNaHSOを、各単量体の合計質量に対して固形分換算で、それぞれ1500ppm、20ppmとなるように連続的に加えた。これを窒素雰囲気下に置かれた幅約1.5mの連続ベルト重合器に投入した。ベルトの上方からこの溶液に光照射して重合を行い、含水ゲル状の重合体を得た。光照射には13Wブラックライトを用いた。照射強度は0.4mW/cmで、照射滞留時間は60分間である。得られた含水ゲル状の重合体は、ベルト重合器から取り出して帯状に細断したのち、目皿径6mmφのチョッパーで一次裁断した。これを初段温度100℃、終段温度80℃とした連続回転乾燥機で、滞留時間が35分となるよう乾燥し、粗粒状水溶性重合体C2を得た。この粗粒状水溶性重合体C2の物性を表5に示した。
Figure 0006934281
(実施例4)
実施例1と同様に粗粒状水溶性重合体C1を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表6に示した。
(比較例7)
比較例1と同様に粗粒状水溶性重合体C1を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表6に示した。
(比較例8)
比較例2と同様に粗粒状水溶性重合体C1を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表6に示した。
実施例3は、比較例8、9よりも短時間で細粒化が完了した。比較例7のロールミル法では、一度に粉砕刃に投入できる量が制限されており時間を要した。
実施例3は不溶解分も相対的に少なかった。比較例8、9の方法では粉砕時に粗粒に強い圧力がかかり、局部的に高温状態となって熱架橋による不溶解物が発生しやすいものと考えられる。
実施例3では、粒度分布が狭く粒径が均一な細粒化物が得られるため、粉体の流動性も良好であった。
Figure 0006934281
(実施例5)
実施例1と同様に粗粒状水溶性重合体C2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表7に示した。
(比較例9)
比較例1と同様に粗粒状水溶性重合体C2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表7に示した。
(比較例10)
比較例2と同様に粗粒状水溶性重合体C2を細粒化した。その条件及び得られた粉末の物性を表7に示した。
粗粒状水溶性重合体C2は、DACの共重合率が高いこと、及び乾燥減量が多い、即ち水分が多いことによりガラス転移点が低くなる傾向がある。そのため温度が高くなると粉砕できずに団子の様な塊状となりやすい性質を持つ。比較例9、10では、発熱しないよう投入量を調整して比較的ゆっくり粉砕できるようにしたにもかかわらず、塊状物が生成して粉砕工程を中止せざるを得なかった。しかし、実施例3の本発明の細粒化法では、気流分級を行うため空気流により粗粒が冷却され、塊状化は起こらなかった。また、得られた細粒化物は、不溶解分も少なく流動性も良好なものであった。
Figure 0006934281
(実施例6)
粗粒状水溶性重合体C1を恒温槽内で90℃に加温し、実施例1と同様に細粒化を行った。装置投入時の粗粒温度は約80℃であった。その他の条件及び得られた粉末の物性を表8に示した。
(比較例11)
粗粒状水溶性重合体C1を恒温槽内で90℃に加温し、比較例1と同様に細粒化を試みたが、即時に塊状化して粉砕できなかった。約60℃でも同様であった。約45℃まで放冷した場合は、最初は細粒化処理を行うことができたが、約10分後に塊状化して継続できなくなった。約35℃まで放冷したところ、全量を粉砕することができた。その他の条件及び得られた粉末の物性を表8に示した。
(比較例12)
粗粒状水溶性重合体C1を恒温槽内で90℃に加温し、比較例2と同様に細粒化を試みたが、即時に塊状化して粉砕できなかった。約60℃まで放冷した場合は、最初は細粒化処理を行うことができたが、約15分後に塊状化して継続できなくなった。約50℃まで放冷したところ、全量を粉砕することができた。その他の条件及び得られた粉末の物性を表8に示した。
粗粒状水溶性重合体C1は、同種のC2と比較するとガラス転移点は高いが、温度が高ければ軟化して粉砕し難くなる傾向がある。比較例11、12では、温度が高い状態では塊状化して粉砕できなかったが、実施例6の本発明の細粒化法は、約80℃の高温の状態でも細粒化が可能であった。本発明の細粒化法では、気流分級のための空気流により粗粒が冷却される効果もあるが、回転刃による裁断を細粒化の手段としていることから、圧縮破壊を粉砕手段としている比較例より硬軟の適用範囲が広くなっているものと推定される。また、温度が高い粗粒状水溶性重合体であっても、本発明の細粒化法により不溶解分も少なく流動性も良好な細粒化物が得られた。
Figure 0006934281
100・・・細粒化装置
10・・・チャンバー
11・・・導入口
13・・・排出口
15・・・接続管
17・・・サイクロン
19・・・製品回収口
21・・・接続管
23・・・バグフィルタ
25・・・ブロワー
50・・・裁断機構
51・・・回転軸
53・・・回転刃
55・・・固定刃

Claims (6)

  1. 少なくとも1種類以上のラジカル重合性水溶性単量体(A)を含む単量体混合物を重合して、乾燥減量が10質量%以下であり、かつ粒子径4.75mm以上の粒子が65質量%以下である粗粒状水溶性重合体を得、
    次いで、前記粗粒状水溶性重合体を細粒化しつつ気流中で分級することにより、粒度分布の尖度を0以上とすることを特徴とする粉末状水溶性重合体の製造方法。
  2. 前記単量体混合物が架橋性単量体を含む請求項1に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
  3. 前記重合が水溶液ゲル重合、分散重合、又は逆相エマルション重合の何れかである請求項1に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
  4. 前記細粒化が、温度40℃以上で行われる請求項1に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
  5. 前記粗粒状水溶性重合体の粒子径4.75mm以上の粒子が60質量%以下であり、前記尖度が1〜6である請求項1に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
  6. 前記細粒化が、
    チャンバーと、
    前記チャンバー内に設けられて成る裁断機構であって、回転軸上の回転円周に沿って突設された回転刃と、前記回転刃と協働する固定刃とにより構成される裁断機構と、
    前記チャンバー内から気流により粉体を排出し、サイクロンを用いて気流から粉体を回収する回収機構と、
    を備える装置を用いて行う請求項1に記載の粉末状水溶性重合体の製造方法。
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